有価証券報告書-第66期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態について
当連結会計年度末における総資産の残高は、55,255百万円(前連結会計年度末は53,867百万円)となり、1,388百万円増加いたしました。これは主に売上債権が65百万円減少した一方、現金及び預金が778百万円、たな卸資産が275百万円、有価証券及び投資有価証券の償還や購入などにより418百万円増加したことなどによるものです。
負債の残高は、6,874百万円(前連結会計年度末は6,860百万円)となり、14百万円増加いたしました。これは主に、未払金及び未払費用が110百万円、長期借入金が73百万円減少した一方、未払法人税等が195百万円増加したことなどによるものです。
純資産の残高は、48,380百万円(前連結会計年度末は47,006百万円)となり、1,373百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が1,297百万円増加したことなどによるものです。
②経営成績の状況について
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、足元で大幅に下押しされており、厳しい状況にあります。加えて、個人消費に関しても、2019年10月から実施された消費税率の引上げや、感染症の影響から消費者心理は低調に推移しました。また、世界経済においては、感染症の世界的大流行の影響により、経済活動が抑制されたことから足元で急速に減速しており、先行きについても、当面この影響が続くとみられ、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある状況です。
このような経営環境の下で、当社グループは「生活文化創造企業」の経営理念の下、日々のくらしの中で役立つ新たな生活様式の創造を目指して事業活動に努めてまいりましたが、当連結会計年度の経営成績は、売上高24,434百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益2,421百万円(同3.8%減)、経常利益2,585百万円(同3.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,824百万円(同2.0%減)と前期を下回りました。
報告セグメントごとの営業の実績は次のとおりであります。
(ファインケミカル)
取引先であるカー用品専門店においては、上半期にて、2019年10月から実施された消費税率の引上げや、タイヤの値上げによる駆け込み需要があったものの、下半期にその反動減が発生いたしました。また、今冬は全国的に暖冬であり、降雪が少なかったことから、冬季商材の販売動向が芳しくなく、それに加えて新型コロナウイルス感染症対策の一環として、車検満了日の延長も施行されたことから、来店水準が前期を下回っております。
自動車の販売台数に関しても、中古乗用車販売は前期を上回っているものの、普通乗用車、軽自動車共に新車販売は前期を下回っております。
a.一般消費者向け販売(自動車分野)
ボディケア製品は、2019年3月に販売を開始した洗車の時短化がテーマの製品「レインドロップ」が市場から高く評価され、またTVCMを年末より開始したことで認知度も高まってきていることから販売が好調に推移し、前期を上回りました。
ガラスケア製品は、「ガラコワイパー」の販売が冬季用ワイパーの展開店舗の拡大に伴って好調に推移したことや、「窓フクピカ」などのクリーナー製品の販売も順調だったことも後押しし、前期を上回りました。
リペア製品は、主要取引先において取扱量が減少したことから、前期を下回りました。しかし、他製品群の順調な販売により、一般消費者向け販売全体では前期を上回る結果となりました。
b.業務用製品販売(自動車分野・産業分野)
当社ブランドの業務用コーティング剤が、中古車販売好調の背景から、中古車販売店にて順調に施工が進み、前期を上回りました。一方で、OEM製品販売は、新車販売の低減により施工台数が低調に推移したことや、輸入車インポーター向けワイパーの初回導入があった前期実績に対し、今期は在庫補充に留まったことで販売量を上回ることができず、全体でも前期を下回る結果となりました。
c.家庭用製品販売(生活分野)
主力のメガネケア製品において、「メガネのシャンプー」や「メガネのくもり止め」が新型コロナウイルス感染症対策に伴うマスク需要を受け、第4四半期において販売量が増加したことに加え、メガネ用OEM製品の販売も好調であったことから、前期を上回る結果となりました。
d.海外向け販売(自動車分野)
中国エリアでは、中国本土においては、積極的なプロモーションの結果、主力製品の販売が増加した一方、第4四半期では新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一般消費者向け製品の販売量が低下しました。しかし、通期での売上上昇分を抑えるほどではなく、通期では前期を上回りました。香港においては、情勢が不安定である影響から、販売量が減少した結果、中国エリア全体でも前期をやや下回る結果となりました。
中国を除く東アジアでは、韓国において日韓関係の悪化に起因する不買運動の終息が見え始め、前期をわずかに上回りました。台湾では例年を上回る降水量を背景に、撥水剤とクリーナーのセット販売やネット販売が売上を伸ばし、モンゴルの出荷も好調だったことから、東アジア全体でも前期を上回りました。
東南アジアでは、フィリピンや、マレーシア向け出荷は伸びたものの、他の国々が低調に推移したことから、前期を下回りました。
ロシアでは、前期より販売を開始した高付加価値タイプのガラスコーティング新製品や、潤滑油及び不凍液の出荷が順調で、出荷がまとまったことに加え、他のCIS諸国への出荷も増加したことから、前期を上回りました。
欧州では、化学品規制に対応した新処方のワックスの出荷が再開されたことに加え、ワックス以外の販売も拡大したことにより、前期を上回りました。
また、近年現地マーケティングが順調であるブラジルへの出荷は好調に推移しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、第4四半期から出荷量が減少してきております。海外向け販売全体ではロシアの好調を受け、前期を上回る結果となりました。
e.TPMSの企画開発販売(自動車分野)
乗用車向けTPMSのОEM製品販売や、自社ブランド製品の販売を開始したことが後押しし、前期を上回る結果となりました。
f.電子機器・ソフトウェア開発販売(産業分野)
携帯電話回線の3Gサービス終了の方針を受け、休眠状態の顧客からの受注が発生したことから、前期を上回る結果となりました。
これらの結果、当連結会計年度におけるファインケミカル事業の売上高は、12,108百万円(同1.0%増)となりました。また、営業利益は、前期の製品価格改定に伴う原価率改善等により、1,316百万円(同3.8%増)となりました。
(ポーラスマテリアル)
a.産業資材部門(産業分野)
半導体市場は、上半期において米中貿易摩擦に伴うハイテク産業の低迷で不調が続いておりましたが、下半期より回復傾向にあり、特にメモリー市場は高い成長率が期待できるとされています。
国内向け販売では、需要の回復傾向がみられるものの、好調であった昨年のペースには届かず、また、製造業全般の不調に伴い、設備投資に関わる製品群の販売も低調に推移したことから、前期を下回る結果となりました。
海外向け販売では、海外の大手ユーザーにおいて新型コロナウイルス感染症起因の物流不安から、在庫積み増し需要があったことを受け、前期を上回りました。また、HDD向け研磨需要も好調に推移したため、産業資材全体でも前期を上回る結果となりました。
b.生活資材部門(自動車分野・生活分野)
国内向け販売では、自動車用製品や、家庭用スポンジの需要が好調なことに加えて、生産体制が整い供給が安定したことも後押しし、前期を上回りました。
海外向け販売では、米国において小売業のEC化が進む中、実店舗での販売が低調に推移したことから、現地で在庫調整が発生し、前期を大きく下回りました。そのため、国内の好調分で全体のマイナスを補うには至らず、生活資材全体では前期を下回る結果となりました。
これらの結果、当連結会計年度のポーラスマテリアル事業の売上高は、生活資材部門の海外向け販売の不調が響き、5,678百万円(同1.4%減)となりました。一方、営業利益は、人員の増加や研究開発費などの将来を見据えた先行的な費用が増加しましたが、セールスミックスの改善によって収益性が向上したことで、733百万円(同4.4%増)となりました。
(サービス)
a.自動車整備・鈑金事業(自動車分野)
今期は、前期の台風被害による特需的な入庫と比較して、その需要が平年並みに戻ったために反動減が発生したことから、前期を下回る結果となり、営業利益についても減益となりました。
b.自動車教習事業(自動車分野)
自動車教習の入所者数が堅調に推移し、更に指導員体制の強化を行ったことで適切な教習時限数を確保していることに加え、今期から社会的要請を受け、対応を強化している高齢者講習も好調であるため、前期を上回る結果となり、営業利益についても増益となりました。
c.生活用品企画販売事業(生活分野)
主力の生協向け販売において、暖冬の影響による季節商材の需要低迷があったものの、第4四半期においてマスクや、外出自粛要請に伴う通信販売需要が増加したことから、前期を上回る結果となり、営業利益についてもやや増益となりました。
これらの結果、当連結会計年度のサービス事業の売上高は、自動車整備・鈑金事業のマイナスをカバーしきれず、5,221百万円(同2.3%減)となりました。また、営業利益についても121百万円(同56.7%減)となりました。
(不動産関連)
a.不動産賃貸事業(生活分野)
保有物件において安定した稼働率を保ったことで、前期を上回る結果となり、営業利益についても経費削減に努めた結果、増益となりました。
b.温浴事業(生活分野)
競合店の新規出店の影響を受けた店舗での売上減少分を、他店舗でカバーしきれなかったことに加え、新型コロナウイルス感染症の流行以降、利用者数が減少したことから、前期を下回る結果となり、営業利益についても減益となりました。
c.介護予防支援事業(生活分野)
登録者数及び利用者数の伸び悩みに加え、新型コロナウイルス感染症対策のため訪問活動を自粛したために、前年を下回る結果となりましたが、営業利益については順調に推移しました。
これらの結果、当連結会計年度の不動産関連事業の売上高は1,426百万円(同2.6%減)となりました。また、営業利益も温浴事業の減益をカバーしきれず、241百万円(同6.5%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、たな卸資産の増加や、有形固定資産及び投資有価証券の評価損などによる支出があったものの、税金等調整前当期純利益2,608百万円(前年同期比2.4%減)などにより、前連結会計年度末に比べ964百万円の増加となり、当連結会計年度末の残高は17,782百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は2,606百万円の流入(前年同期は2,377百万円の流入)と228百万円の増加となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が2,608百万円、減価償却費が796百万円となったこと、たな卸資産が278百万円増加したことや、法人税等の支払額644百万円などを要因としております。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は1,077百万円の支出(前年同期は941百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出783百万円、投資有価証券の取得による支出907百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入502百万円などを要因としております。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は563百万円の支出(前年同期は270百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額525百万円などを要因としております。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は17,782百万円となり、前連結会計年度末と比較して964百万円増加いたしました。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.サービス、不動産関連事業部門については、生産活動を伴わないため、記載しておりません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。これらの概要については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、繰延税金資産の回収可能性及び固定資産に関する減損損失の認識の判断に関する会計上の見積りの仮定においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえて、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「注記事項 (追加情報)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、仕入に係る費用と販売費及び一般管理費などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資及び新事業創出のための投資によるものであります。
当社グループの運転資金は自己資金を基本としており、金融機関からの借入は行っておりません。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、営業預り保証金140百万円のみとなります。長期借入金123百万円については、従業員の福利厚生に資する「従業員持株会支援信託ESOP」導入に際しての信託スキームによる借入です。これは、実質的に当社が利息の支払いを行うものではないため、有利子負債の残高には含んでおりません。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は17,782百万円であります。当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
第5次中期経営計画(2017年4月~2020年3月)の最終年度である2020年3月期の計画に対する達成・進捗状況は以下のとおりです。
ファインケミカルセグメントにおいては、業務用製品販売と海外事業の拡大を目指しており、これらが販売の拡大を牽引しました。業務用製品販売においては、自社ブランドコーティング剤の販売伸長に加え、OEM製品展開の拡大によって販売が伸長しました。海外販売においては、欧州・ブラジル・インド等の新しい仕向け地域において、現地語パッケージ製品の製造を進め、個々の地域性に応じたマーケティング施策を強化することで市場規模を拡大してまいりました。また、自動車分野以外の新しい取り組みとして、M&Aによって2019年より電子機器・ソフトウェア開発販売をスタートしました。現在は当社既存のノウハウにエレクトロニクス技術を活用することによるシナジーの発揮を目指した製品・サービス開発の取り組みを進めております。
一方、自動車の保有形態や利用方法が多様化しつつある状況において、一般消費者向け製品販売分野では、車内清掃や時短ニーズに向けた新しい製品開発、新たな販売チャネル育成等を進めてまいりましたが、大きな市場育成にまでは至っておりません。また、TPMS企画・開発・販売の分野では、後付け型製品についてはトラック・バス向け市場への着実な販売増加や、乗用車向け製品のOEM展開に一定の成果があったものの、新車へのTPMS搭載が進まなかったこと等もあり、補修交換センサー市場の需要拡大には時間のかかる状況となりました。
ポーラスマテリアルセグメントにおいては、半導体市場の活況に併せて半導体洗浄製品の販売が大きく伸長、また、ファインケミカルセグメントとの販路・販売リソース共有により、生活資材分野の販売が伸長したことから、生産設備の増強の必要性が明らかになりました。これに伴い、計画2年目以降は設備投資及び人員の増加を前倒しで実施することにより生産力の増強を進めてまいりましたが、米中貿易摩擦の影響を受けて半導体市場が縮小したことに加え、米国において小売業のEC化が進む中で代理店のEC対応が十分に進まず、実店舗での販売が低調に推移したことから出荷量は減少することとなりました。
一方、既存事業だけに頼らない、新しい事業の柱を構築すべく、医療・環境分野での新製品開発に取り組んでまいりました。医療分野については、医療機器クラスⅠ認証を取得し、今後の製品開発と販売拡大を目指し、更に注力すべき分野と位置付けております。
サービスセグメントにおいては、鈑金事業や自動車教習事業等において保有しているアナログ的な知見をデジタル化することによる既存ビジネスの効率化と新ビジネスの創出に取り組んでまいりましたが、これらの事業化については、まだ一定の時間がかかる見通しとなっております。
これらの取組みの結果、当連結会計年度における各計数目標と達成状況は表のとおりであります。売上についてはファインケミカルで伸長したものの、ポーラスマテリアルの海外向け生活資材、サービスセグメントにおける自動車整備鈑金事業が落ち込みました。利益面についても前期を下回りましたが、こちらについては売上減少によるものと、人件費、広告宣伝費の増加などが主要因であると認識しております。
(単位:百万円)
※2020年3月期においては、ROA及びROEの期首目標値を設定しておりませんので、該当箇所を“-”としております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態について
当連結会計年度末における総資産の残高は、55,255百万円(前連結会計年度末は53,867百万円)となり、1,388百万円増加いたしました。これは主に売上債権が65百万円減少した一方、現金及び預金が778百万円、たな卸資産が275百万円、有価証券及び投資有価証券の償還や購入などにより418百万円増加したことなどによるものです。
負債の残高は、6,874百万円(前連結会計年度末は6,860百万円)となり、14百万円増加いたしました。これは主に、未払金及び未払費用が110百万円、長期借入金が73百万円減少した一方、未払法人税等が195百万円増加したことなどによるものです。
純資産の残高は、48,380百万円(前連結会計年度末は47,006百万円)となり、1,373百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が1,297百万円増加したことなどによるものです。
②経営成績の状況について
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、足元で大幅に下押しされており、厳しい状況にあります。加えて、個人消費に関しても、2019年10月から実施された消費税率の引上げや、感染症の影響から消費者心理は低調に推移しました。また、世界経済においては、感染症の世界的大流行の影響により、経済活動が抑制されたことから足元で急速に減速しており、先行きについても、当面この影響が続くとみられ、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある状況です。
このような経営環境の下で、当社グループは「生活文化創造企業」の経営理念の下、日々のくらしの中で役立つ新たな生活様式の創造を目指して事業活動に努めてまいりましたが、当連結会計年度の経営成績は、売上高24,434百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益2,421百万円(同3.8%減)、経常利益2,585百万円(同3.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,824百万円(同2.0%減)と前期を下回りました。
報告セグメントごとの営業の実績は次のとおりであります。
(ファインケミカル)
取引先であるカー用品専門店においては、上半期にて、2019年10月から実施された消費税率の引上げや、タイヤの値上げによる駆け込み需要があったものの、下半期にその反動減が発生いたしました。また、今冬は全国的に暖冬であり、降雪が少なかったことから、冬季商材の販売動向が芳しくなく、それに加えて新型コロナウイルス感染症対策の一環として、車検満了日の延長も施行されたことから、来店水準が前期を下回っております。
自動車の販売台数に関しても、中古乗用車販売は前期を上回っているものの、普通乗用車、軽自動車共に新車販売は前期を下回っております。
a.一般消費者向け販売(自動車分野)
ボディケア製品は、2019年3月に販売を開始した洗車の時短化がテーマの製品「レインドロップ」が市場から高く評価され、またTVCMを年末より開始したことで認知度も高まってきていることから販売が好調に推移し、前期を上回りました。
ガラスケア製品は、「ガラコワイパー」の販売が冬季用ワイパーの展開店舗の拡大に伴って好調に推移したことや、「窓フクピカ」などのクリーナー製品の販売も順調だったことも後押しし、前期を上回りました。
リペア製品は、主要取引先において取扱量が減少したことから、前期を下回りました。しかし、他製品群の順調な販売により、一般消費者向け販売全体では前期を上回る結果となりました。
b.業務用製品販売(自動車分野・産業分野)
当社ブランドの業務用コーティング剤が、中古車販売好調の背景から、中古車販売店にて順調に施工が進み、前期を上回りました。一方で、OEM製品販売は、新車販売の低減により施工台数が低調に推移したことや、輸入車インポーター向けワイパーの初回導入があった前期実績に対し、今期は在庫補充に留まったことで販売量を上回ることができず、全体でも前期を下回る結果となりました。
c.家庭用製品販売(生活分野)
主力のメガネケア製品において、「メガネのシャンプー」や「メガネのくもり止め」が新型コロナウイルス感染症対策に伴うマスク需要を受け、第4四半期において販売量が増加したことに加え、メガネ用OEM製品の販売も好調であったことから、前期を上回る結果となりました。
d.海外向け販売(自動車分野)
中国エリアでは、中国本土においては、積極的なプロモーションの結果、主力製品の販売が増加した一方、第4四半期では新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一般消費者向け製品の販売量が低下しました。しかし、通期での売上上昇分を抑えるほどではなく、通期では前期を上回りました。香港においては、情勢が不安定である影響から、販売量が減少した結果、中国エリア全体でも前期をやや下回る結果となりました。
中国を除く東アジアでは、韓国において日韓関係の悪化に起因する不買運動の終息が見え始め、前期をわずかに上回りました。台湾では例年を上回る降水量を背景に、撥水剤とクリーナーのセット販売やネット販売が売上を伸ばし、モンゴルの出荷も好調だったことから、東アジア全体でも前期を上回りました。
東南アジアでは、フィリピンや、マレーシア向け出荷は伸びたものの、他の国々が低調に推移したことから、前期を下回りました。
ロシアでは、前期より販売を開始した高付加価値タイプのガラスコーティング新製品や、潤滑油及び不凍液の出荷が順調で、出荷がまとまったことに加え、他のCIS諸国への出荷も増加したことから、前期を上回りました。
欧州では、化学品規制に対応した新処方のワックスの出荷が再開されたことに加え、ワックス以外の販売も拡大したことにより、前期を上回りました。
また、近年現地マーケティングが順調であるブラジルへの出荷は好調に推移しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、第4四半期から出荷量が減少してきております。海外向け販売全体ではロシアの好調を受け、前期を上回る結果となりました。
e.TPMSの企画開発販売(自動車分野)
乗用車向けTPMSのОEM製品販売や、自社ブランド製品の販売を開始したことが後押しし、前期を上回る結果となりました。
f.電子機器・ソフトウェア開発販売(産業分野)
携帯電話回線の3Gサービス終了の方針を受け、休眠状態の顧客からの受注が発生したことから、前期を上回る結果となりました。
これらの結果、当連結会計年度におけるファインケミカル事業の売上高は、12,108百万円(同1.0%増)となりました。また、営業利益は、前期の製品価格改定に伴う原価率改善等により、1,316百万円(同3.8%増)となりました。
(ポーラスマテリアル)
a.産業資材部門(産業分野)
半導体市場は、上半期において米中貿易摩擦に伴うハイテク産業の低迷で不調が続いておりましたが、下半期より回復傾向にあり、特にメモリー市場は高い成長率が期待できるとされています。
国内向け販売では、需要の回復傾向がみられるものの、好調であった昨年のペースには届かず、また、製造業全般の不調に伴い、設備投資に関わる製品群の販売も低調に推移したことから、前期を下回る結果となりました。
海外向け販売では、海外の大手ユーザーにおいて新型コロナウイルス感染症起因の物流不安から、在庫積み増し需要があったことを受け、前期を上回りました。また、HDD向け研磨需要も好調に推移したため、産業資材全体でも前期を上回る結果となりました。
b.生活資材部門(自動車分野・生活分野)
国内向け販売では、自動車用製品や、家庭用スポンジの需要が好調なことに加えて、生産体制が整い供給が安定したことも後押しし、前期を上回りました。
海外向け販売では、米国において小売業のEC化が進む中、実店舗での販売が低調に推移したことから、現地で在庫調整が発生し、前期を大きく下回りました。そのため、国内の好調分で全体のマイナスを補うには至らず、生活資材全体では前期を下回る結果となりました。
これらの結果、当連結会計年度のポーラスマテリアル事業の売上高は、生活資材部門の海外向け販売の不調が響き、5,678百万円(同1.4%減)となりました。一方、営業利益は、人員の増加や研究開発費などの将来を見据えた先行的な費用が増加しましたが、セールスミックスの改善によって収益性が向上したことで、733百万円(同4.4%増)となりました。
(サービス)
a.自動車整備・鈑金事業(自動車分野)
今期は、前期の台風被害による特需的な入庫と比較して、その需要が平年並みに戻ったために反動減が発生したことから、前期を下回る結果となり、営業利益についても減益となりました。
b.自動車教習事業(自動車分野)
自動車教習の入所者数が堅調に推移し、更に指導員体制の強化を行ったことで適切な教習時限数を確保していることに加え、今期から社会的要請を受け、対応を強化している高齢者講習も好調であるため、前期を上回る結果となり、営業利益についても増益となりました。
c.生活用品企画販売事業(生活分野)
主力の生協向け販売において、暖冬の影響による季節商材の需要低迷があったものの、第4四半期においてマスクや、外出自粛要請に伴う通信販売需要が増加したことから、前期を上回る結果となり、営業利益についてもやや増益となりました。
これらの結果、当連結会計年度のサービス事業の売上高は、自動車整備・鈑金事業のマイナスをカバーしきれず、5,221百万円(同2.3%減)となりました。また、営業利益についても121百万円(同56.7%減)となりました。
(不動産関連)
a.不動産賃貸事業(生活分野)
保有物件において安定した稼働率を保ったことで、前期を上回る結果となり、営業利益についても経費削減に努めた結果、増益となりました。
b.温浴事業(生活分野)
競合店の新規出店の影響を受けた店舗での売上減少分を、他店舗でカバーしきれなかったことに加え、新型コロナウイルス感染症の流行以降、利用者数が減少したことから、前期を下回る結果となり、営業利益についても減益となりました。
c.介護予防支援事業(生活分野)
登録者数及び利用者数の伸び悩みに加え、新型コロナウイルス感染症対策のため訪問活動を自粛したために、前年を下回る結果となりましたが、営業利益については順調に推移しました。
これらの結果、当連結会計年度の不動産関連事業の売上高は1,426百万円(同2.6%減)となりました。また、営業利益も温浴事業の減益をカバーしきれず、241百万円(同6.5%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、たな卸資産の増加や、有形固定資産及び投資有価証券の評価損などによる支出があったものの、税金等調整前当期純利益2,608百万円(前年同期比2.4%減)などにより、前連結会計年度末に比べ964百万円の増加となり、当連結会計年度末の残高は17,782百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は2,606百万円の流入(前年同期は2,377百万円の流入)と228百万円の増加となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が2,608百万円、減価償却費が796百万円となったこと、たな卸資産が278百万円増加したことや、法人税等の支払額644百万円などを要因としております。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は1,077百万円の支出(前年同期は941百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出783百万円、投資有価証券の取得による支出907百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入502百万円などを要因としております。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は563百万円の支出(前年同期は270百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額525百万円などを要因としております。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は17,782百万円となり、前連結会計年度末と比較して964百万円増加いたしました。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| ファインケミカル (千円) | 11,981,747 | 100.1 |
| ポーラスマテリアル (千円) | 5,257,767 | 98.2 |
| 合計(千円) | 17,239,515 | 99.5 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.サービス、不動産関連事業部門については、生産活動を伴わないため、記載しておりません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| ファインケミカル (千円) | 12,108,001 | 101.0 |
| ポーラスマテリアル (千円) | 5,678,580 | 98.6 |
| サービス (千円) | 5,221,011 | 97.7 |
| 不動産関連 (千円) | 1,426,685 | 97.4 |
| 合計(千円) | 24,434,278 | 99.5 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。これらの概要については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、繰延税金資産の回収可能性及び固定資産に関する減損損失の認識の判断に関する会計上の見積りの仮定においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえて、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「注記事項 (追加情報)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、仕入に係る費用と販売費及び一般管理費などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資及び新事業創出のための投資によるものであります。
当社グループの運転資金は自己資金を基本としており、金融機関からの借入は行っておりません。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、営業預り保証金140百万円のみとなります。長期借入金123百万円については、従業員の福利厚生に資する「従業員持株会支援信託ESOP」導入に際しての信託スキームによる借入です。これは、実質的に当社が利息の支払いを行うものではないため、有利子負債の残高には含んでおりません。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は17,782百万円であります。当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
第5次中期経営計画(2017年4月~2020年3月)の最終年度である2020年3月期の計画に対する達成・進捗状況は以下のとおりです。
ファインケミカルセグメントにおいては、業務用製品販売と海外事業の拡大を目指しており、これらが販売の拡大を牽引しました。業務用製品販売においては、自社ブランドコーティング剤の販売伸長に加え、OEM製品展開の拡大によって販売が伸長しました。海外販売においては、欧州・ブラジル・インド等の新しい仕向け地域において、現地語パッケージ製品の製造を進め、個々の地域性に応じたマーケティング施策を強化することで市場規模を拡大してまいりました。また、自動車分野以外の新しい取り組みとして、M&Aによって2019年より電子機器・ソフトウェア開発販売をスタートしました。現在は当社既存のノウハウにエレクトロニクス技術を活用することによるシナジーの発揮を目指した製品・サービス開発の取り組みを進めております。
一方、自動車の保有形態や利用方法が多様化しつつある状況において、一般消費者向け製品販売分野では、車内清掃や時短ニーズに向けた新しい製品開発、新たな販売チャネル育成等を進めてまいりましたが、大きな市場育成にまでは至っておりません。また、TPMS企画・開発・販売の分野では、後付け型製品についてはトラック・バス向け市場への着実な販売増加や、乗用車向け製品のOEM展開に一定の成果があったものの、新車へのTPMS搭載が進まなかったこと等もあり、補修交換センサー市場の需要拡大には時間のかかる状況となりました。
ポーラスマテリアルセグメントにおいては、半導体市場の活況に併せて半導体洗浄製品の販売が大きく伸長、また、ファインケミカルセグメントとの販路・販売リソース共有により、生活資材分野の販売が伸長したことから、生産設備の増強の必要性が明らかになりました。これに伴い、計画2年目以降は設備投資及び人員の増加を前倒しで実施することにより生産力の増強を進めてまいりましたが、米中貿易摩擦の影響を受けて半導体市場が縮小したことに加え、米国において小売業のEC化が進む中で代理店のEC対応が十分に進まず、実店舗での販売が低調に推移したことから出荷量は減少することとなりました。
一方、既存事業だけに頼らない、新しい事業の柱を構築すべく、医療・環境分野での新製品開発に取り組んでまいりました。医療分野については、医療機器クラスⅠ認証を取得し、今後の製品開発と販売拡大を目指し、更に注力すべき分野と位置付けております。
サービスセグメントにおいては、鈑金事業や自動車教習事業等において保有しているアナログ的な知見をデジタル化することによる既存ビジネスの効率化と新ビジネスの創出に取り組んでまいりましたが、これらの事業化については、まだ一定の時間がかかる見通しとなっております。
これらの取組みの結果、当連結会計年度における各計数目標と達成状況は表のとおりであります。売上についてはファインケミカルで伸長したものの、ポーラスマテリアルの海外向け生活資材、サービスセグメントにおける自動車整備鈑金事業が落ち込みました。利益面についても前期を下回りましたが、こちらについては売上減少によるものと、人件費、広告宣伝費の増加などが主要因であると認識しております。
(単位:百万円)
| 指標(連結) | 2019年 3月期 (実績) | 2020年 3月期※ (期首目標) | 2020年 3月期 (実績) | 前期比 | 達成状況 期首目標比 |
| 売上高 | 24,561 | 25,000 | 24,434 | △127百万円 (0.5%減) | △566百万円 (2.3%減) |
| 営業利益 | 2,518 | 2,500 | 2,421 | △96百万円 (3.8%減) | △79百万円 (3.2%減) |
| 経常利益 | 2,685 | 2,620 | 2,585 | △100百万円 (3.7%減) | △35百万円 (1.3%減) |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | 1,861 | 1,820 | 1,824 | △37百万円 (2.0%減) | +4百万円 (0.2%増) |
| (参考)ROA (経常利益/総資産) | 5.0% | - | 4.7% | △0.3ポイント | - |
| (参考)ROE (純利益/純資産) | 4.0% | - | 3.8% | △0.2ポイント | - |
※2020年3月期においては、ROA及びROEの期首目標値を設定しておりませんので、該当箇所を“-”としております。