有価証券報告書-第105期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 15:09
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148項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、年度前半から世界経済の景気鈍化の影響を受け、国内企業の収益は製造業を中心に減少傾向に推移いたしました。海外においては、米中貿易摩擦の影響や中国経済の景気減速等により、世界経済全般に変調をきたし、さらに、年明けからは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、国内外の経済活動は急速に低下し、深刻な状況に陥りつつあります。
このような環境のもと、当社グループは販売活動並びに生産体制の強化を図るとともに、経営の効率化と一層のコスト削減に取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
総資産は、前連結会計年度末比1,660百万円減少の101,154百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末比1,194百万円減少の29,201百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末比466百万円減少の71,953百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高71,051百万円(前連結会計年度比1.3%減)、営業利益7,299百万円(前連結会計年度比10.2%減)、経常利益7,659百万円(前連結会計年度比14.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,464百万円(前連結会計年度比11.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
国内ベルト事業の売上高は27,266百万円(前連結会計年度比4.0%減)、営業利益は6,486百万円(前連結会計年度比9.1%減)となりました。
海外ベルト事業の売上高は32,495百万円(前連結会計年度比1.3%減)、営業利益は3,446百万円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。
建設資材事業の売上高は6,872百万円(前連結会計年度比15.0%増)、営業利益は261百万円(前連結会計年度比5.5%増)となりました。
その他の売上高は4,417百万円(前連結会計年度比6.2%減)、営業利益は55百万円(前連結会計年度比69.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して851百万円減少の7,914百万円の収入となりました。主な要因は、前連結会計年度と比較して売上債権の増減額が1,281百万円減少した反面、税金等調整前当期純利益が1,062百万円減少したことに加え、仕入債務の増減額が805百万円減少したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して7,527百万円増加の349百万円の支出となりました。主な要因は、前連結会計年度と比較して定期預金の払戻による収入が4,855百万円増加したことに加え、定期預金の預入による支出が2,246百万円減少したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して7,592百万円減少の6,208百万円の支出となりました。主な要因は、前連結会計年度と比較して長期借入れによる収入が3,300百万円減少したことに加え、自己株式の取得による支出が2,462百万円増加したことによるものです。
営業、投資、財務の各活動によるキャッシュ・フローの合計額から為替換算差額864百万円を減算し、現金及び現金同等物の増加額が493百万円となり、これに期首残高30,650百万円を加算した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は31,143百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
国内ベルト事業21,909△1.9
海外ベルト事業25,625△0.4
建設資材事業3,25021.2
その他2,1083.6
合計52,8920.2

(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、外注製品受入高は含まれておりません。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
国内ベルト事業28,846△4.42,255△13.5
海外ベルト事業31,022△6.01,658△47.0
建設資材事業6,5236.6358△34.3
その他309△4.717△33.6
合計66,701△4.24,291△32.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
国内ベルト事業27,266△4.0
海外ベルト事業32,495△1.3
建設資材事業6,87215.0
その他4,417△6.2
合計71,051△1.3

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 財政状態
当連結会計年度末は、ソフトウエアの増加等により固定資産が1,561百万円増加したものの、現金及び預金の減少等により流動資産が3,221百万円減少したことから、総資産は前連結会計年度末比1,660百万円減少の101,154百万円となりました。
負債は、借入金の減少等により、前連結会計年度末比1,194百万円減少の29,201百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が3,559百万円増加したものの、自己株式の増加2,468百万円のほか、為替換算調整勘定が1,321百万円減少した結果、前連結会計年度末比466百万円減少の71,953百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の70.4%から71.1%に上昇しました。
前連結会計年度との比較は下記のとおりであります。
前連結会計年度当連結会計年度増減
総資産額(百万円)102,814101,154△1,660
純資産額(百万円)72,41971,953△466
自己資本比率(%)70.471.10.7
1株当たり純資産額(円)2,393.662,474.5680.90

2) 経営成績
イ 売上高
売上高は、前連結会計年度と比べ1.3%減少の71,051百万円となりました。
国内ベルト事業の売上高は、前連結会計年度と比べ4.0%減少の27,266百万円となりました。自動車用ベルトは、補修用の売上高は前連結会計年度並みで推移し、組み込みライン用は新製品の販売が増加したことや、新機種への採用などから売上高が増加し、全体では前連結会計年度と比較して微増となりました。一般産業用ベルトは、射出成形機や工作機械などの市場の落ち込みにより、売上高が大幅に減少しました。合成樹脂素材は製造業全体の設備投資の抑制により影響を受けたことから売上高が減少し、また、OA機器用ベルトはユーザの生産台数の減少の影響により売上高が減少しました。一方、搬送ベルトは、ゴムコンベヤベルトの販売が好調であったものの、樹脂ベルトは食品業界向けの売上高がわずかに減少したことから、全体では微減となりました。
海外ベルト事業の売上高は、現地通貨ベースでは前連結会計年度を上回る結果となりましたが、為替が円高に推移していることにより邦貨ベースでは減少し、前連結会計年度と比べ1.3%減少の32,495百万円となりました。自動車用ベルトは、欧州では四輪車用と二輪車用の売上高がいずれも減少しました。米国ではスノーモービルや多用途四輪者向け変速ベルトの販売が堅調に推移しましたが、四輪車向けの売上が減少したことから、前連結会計年度並みとなりました。一方、アジアでは東南アジアにおいて二輪車用の需要が好調に推移したことなどから売上高が増加し、全体でも前連結会計年度と比較して増加となりました。一般産業用ベルトは、米国は横ばい、欧州では補修用がわずかに増加しました。また、アジアでは農用機械向けが減少したものの、風力発電用の需要拡大により、全体では前連結会計年度並みとなりました。OA機器用ベルトは日系ユーザ向けの販売が低下したことから、売上高が減少しました。
建設資材事業の売上高は、前連結会計年度と比べ15.0%増加の6,872百万円となりました。建築部門は公共や民間の改修工事物件が増加したことから売上高が増加し、土木部門も廃棄物処分場などの大型工事物件を中心に売上高が伸長しました。
その他の売上高は、前連結会計年度と比べ6.2%減少の4,417百万円となりました。その他には、エンジニアリング ストラクチュラル フォーム、金属ナノ粒子を応用した新製品、仕入商品等が含まれております。
ロ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前連結会計年度と比べ0.6%減少の49,206百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比べ1.3%増加の14,545百万円となり、営業費用全体では前連結会計年度と比べ0.2%減少の63,751百万円となりました。
ハ 営業外損益
営業外損益は、前連結会計年度の817百万円の収益(純額)に対し、当連結会計年度は360百万円の収益(純額)となりました。
金融収支が、前連結会計年度の538百万円の収益(純額)に対し、当連結会計年度は535百万円の収益(純額)と均衡したものの、為替が差益から差損に転じたこと等により、その他営業外損益項目が前連結会計年度の279百万円の収益(純額)から当連結会計年度は174百万円の費用(純額)となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度と比べ14.4%減少の7,659百万円となりました。
ニ 特別損益
特別損益は、前連結会計年度の69百万円の損失(純額)に対し、当連結会計年度は154百万円の利益(純額)となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度と比べ12.0%減少の7,814百万円となりました。
ホ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ11.2%減少の5,464百万円となりました。
これにより、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の203円50銭に対し、当連結会計年度は183円61銭となりました。
3) 経営成績に重要な影響を与える要因等
当社グループは、自動車産業、一般産業、情報機器関連産業、建築・土木産業への売上高がグループ全体売上高に対する大きな割合を占めていることから、これらの産業は環境の変化も大きく、また、競争も激しいため常に厳しい経営環境と言えます。
当社グループの経営に影響を与える主な要因としては、国内・海外の市場動向、為替動向、資材費の動向、諸外国の政策方針に伴う輸出入規制の動向などがあげられます。
こうした中でも、当社グループは、グローバル市場における競争に勝ち残っていくとともに、財務基盤を強化し、ユーザニーズに対応した高機能、高精密、高品質な製品を提供できるものづくりを目指し、「品質を作り、品質を売る」をモットーにグループ全体の強固な経営基盤を確立すべく、取り組んでいきます。
経営環境の変化に対応できるよう、常にムダを省き、合理化、生産性向上を推進し、厳しい環境下でも利益が確保できる体質を構築して行きます。
また、当社グループは海外との取引が約半分を占めることから、計画段階での想定レートを厳しく設定し、経営に大きな影響が及ばないよう配慮して取り組んでいます。さらに、海外との取引上の規制等の問題については、グループの現地法人との定期的な会合等を通じて、情報共有に努めています。
4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 目標とする経営指標」に記載している'17中期指針の3年目である2019年度の達成状況は以下のとおりです。
売上高は計画比1.4%増となりました。
営業利益は、急激な世界経済の景気減速等の影響を受け、計画比7.7%減となりました。また、営業利益率は10.3%と計画(11%以上)未達となりました。
経常利益も、計画比2.6%減となり、計画を下回りました。
2019年度
計画実績計画比
売上高(億円)7007101.4%
営業利益(億円)7872△7.7%
営業利益率11%以上10.3%-
経常利益(億円)7876△2.6%

5) セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
[国内ベルト事業]
自動車用ベルトは、補修用の売上高は前連結会計年度並みで推移し、組み込みライン用は新製品の販売が増加したことや、新機種への採用などから売上高が増加し、全体では前連結会計年度と比較して微増となりました。
一般産業用ベルトは、射出成形機や工作機械などの市場の落ち込みにより、売上高が大幅に減少しました。合成樹脂素材は製造業全体の設備投資の抑制により影響を受けたことから売上高が減少し、また、OA機器用ベルトはユーザの生産台数の減少の影響により売上高が減少しました。
一方、搬送ベルトは、ゴムコンベヤベルトの販売が好調であったものの、樹脂ベルトは食品業界向けの売上高がわずかに減少したことから、全体では微減となりました。
その結果、当事業の売上高は27,266百万円(前連結会計年度比4.0%減)、営業利益は6,486百万円(前連結会計年度比9.1%減)となりました。
また、セグメント資産は、自動車用機能システム部品の製造設備やベルト製造設備の増設を行うとともに、試験設備の増強、老朽化設備の更新などにより、57,550百万円(前連結会計年度比1.7%増)となりました。
[海外ベルト事業]
自動車用ベルトは、欧州では四輪車用と二輪車用の売上高がいずれも減少しました。米国ではスノーモービルや多用途四輪車向け変速ベルトの販売が堅調に推移しましたが、四輪車向けの売上が減少したことから、前連結会計年度並みとなりました。一方、アジアでは東南アジアにおいて二輪車用の需要が好調に推移したことなどから売上高が増加し、全体でも前連結会計年度と比較して増加となりました。
一般産業用ベルトは、米国は横ばい、欧州では補修用がわずかに増加しました。また、アジアでは農用機械向けが減少したものの、風力発電用の需要拡大により、全体では前連結会計年度並みとなりました。
OA機器用ベルトは日系ユーザ向けの販売が低下したことから、売上高が減少しました。
その結果、当事業の売上高は現地通貨ベースでは前連結会計年度を上回る結果となりましたが、為替が円高に推移していることにより邦貨ベースでは減少し、32,495百万円(前連結会計年度比1.3%減)、営業利益は3,446百万円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。
また、セグメント資産は、ベルト製造設備の増設を行うとともに、老朽化設備の更新などにより、40,606百万円(前連結会計年度比6.2%増)となりました。
[建設資材事業]
建築部門は公共や民間の改修工事物件が増加したことから売上高が増加し、土木部門も廃棄物処分場などの大型工事物件を中心に売上高が伸長しました。
その結果、当事業の売上高は6,872百万円(前連結会計年度比15.0%増)、営業利益は261百万円(前連結会計年度比5.5%増)となりました。
また、セグメント資産は3,324百万円(前連結会計年度比20.3%増)となりました。
[その他]
その他には、エンジニアリング ストラクチュラル フォーム、金属ナノ粒子を応用した新製品、仕入商品等が含まれております。
その他の売上高は4,417百万円(前連結会計年度比6.2%減)、営業利益は55百万円(前連結会計年度比69.2%減)となりました。
また、セグメント資産は5,124百万円(前連結会計年度比8.9%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
1) キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金及び設備資金については、自己資金又は金融機関からの借入により資金調達することを基本とし、このうち、借入による資金調達に関しては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は長期借入金で調達しております。一方で、キャッシュ・マネジメント・システムの導入によりグループ内での余剰資金の有効活用を図っております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は8,192百万円であります。また、現金及び現金同等物の残高は31,143百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は適正な連結財務諸表を作成する責任を有しており、以下の確認を行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
a.有価証券
投資その他の資産に計上している有価証券は、当社の保有目的に基づき、子会社・関連会社株式及びその他有価証券に適切に分類し、会計処理しております。減損処理にあたっては、その他有価証券で時価のあるものについて、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理の対象とし、30%から50%までのものについては当該会社の資産状況、金額の重要性等を勘案して必要と認められる額を減損処理の対象としております。また、非上場株式については、純資産額が50%以上下落した場合に減損処理の対象としております。
b.たな卸資産
たな卸資産は、棚卸資産の評価に関する会計基準に基づき適切に評価しております。
c.営業債権
営業債権は、貸借対照表日以前の売上から生じた債務者に対する正当な債権であり、貸借対照表日後に出荷したもの、委託又は試用販売のために出荷したもの等に係る債権は含めておりません。また、貸借対照表日後に発生すると予想される貸倒損失に対して適正な引当金を計上しております。
d.繰延税金資産
適正な法人税等及び法人税等調整額を計上しております。繰延税金資産に関しては将来の回収可能性を十分に検討し回収可能な額を計上しております。
e.固定資産の減損
固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、回収可能価額に基づき減損の判定を行っております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。