有価証券報告書-第171期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当社では、2016年度を初年度、2020年度を最終年度とする2020中期経営計画を策定しており、継続的な収益性の向上を経営の優先課題の一つとして位置づけております。なお、目標とする経営指標については、2020年度に売上高9,000億円、営業利益率7.0%以上、ROE10.0%以上、D/Eレシオ40:60(0.66倍)を掲げております。
当期におきましては、当社グループの売上高は7,107億円(前年度比4.0%減)、営業利益は276億円(同19.4%減)、経常利益は210億円(同38.4%減)となりました。
特別損失として、当社の在ブラジル連邦共和国の非連結子会社ProCable Energia e Telecomunicações S.A.及びFujikura Cabos Para Energia e Telecomunicações Ltda.の業績不振から、ブラジル電力向け事業の再編を行うことといたしました。これに伴う当連結会計年度におけるブラジル電力向け事業関連の損失として101億円計上しております。また、当社グループの製品の一部において品質管理に関わる不適切な事例につきまして、損失影響額が一部明らかとなったことに伴い、当連結会計年度において品質不適合品関連損失として17億円計上しております。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は14億円(同92.1%減)、営業利益率は3.9%(前年度は4.6%)、ROEは0.7%(前年度は8.7%)となりました。
エネルギー・情報通信カンパニーにおいては、エネルギー事業の海外EPC事業での大きな損失の発生、情報通信事業の中国における光ファイバの需給環境に変化、ハイパースケールデータセンタ関連事業での主要顧客の調達方針の変化及び競争環境の激化が見られます。
エレクトロニクスカンパニーにおいては、主要顧客の需要が二度にわたり急激に悪化し、利益額・率ともに前年同期比減収減益となりました。
自動車電装カンパニーにおいては、欧州での拠点戦略の見直しと事業再生、アジア地域における需要減があるなど、全体として、柱となる事業で大きな変化が起きており、収益率の低下・財務体質改善の遅れを招いているという認識です。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年度比較については、前年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
エネルギー・情報通信カンパニーにつきましては、前連結会計年度の国内電線販売会社の再編による減収があったこと及び国内外マーケットの競争激化やバングラデシュ送電線工事のコスト増などによる減益により、売上高は前年度比4.1%減の3,548億円、営業利益は同20.5%減の177億円となりました。
エレクトロニクスカンパニーにつきましては、FPC(フレキシブルプリント配線板)・コネクタでスマートフォン向けを中心とした需要が当第4四半期連結会計期間に急減した影響により、売上高は前年度比5.6%減の1,850億円、営業利益は同20.3%減の83億円となりました。
自動車電装カンパニーにつきましては、東欧製造拠点における離職率増加に伴う費用は減少したものの、アジアにおける顧客の減産影響などを受け、売上高は前年度比1.9%減の1,541億円、営業損失は32億円(前年度は営業損失31億円)となりました。
不動産カンパニーにつきましては、当社旧深川工場跡地再開発事業である「深川ギャザリア」において、テナントの入れ替えの影響を受けたこと等により、売上高は前年度比0.7%減の108億円、営業利益は同8.7%減の50億円となりました。
2019年度は「信頼回復への再スタート」と位置づけ、先行投資を行っている光関連事業について、中国ファイバ需要の停滞に対抗し、堅調な他地域の需要取り込みのため、従前より取り組んでいる戦略商品である「Spider Web Ribbon®」及び「Wrapping Tube CableTM」の拡販展開を継続いたします。また、エレクトロニクスカンパニーの需要減に対しては、生産性のさらなる改善と高付加価値品の取り込みにより、収益性を高める取り組みを進めてまいります。自動車電装カンパニーについては、欧州拠点における北アフリカへの生産シフトを計画的に進めると共に、アジアでの構造改革を進めることで下期黒字化を計画しております。
2019年度の当社連結の業績予想につきましては、売上高は6,900億円(前年度比2.9%減)、営業利益は280億円(同1.2%増)、経常利益は270億円(同28.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は120億円(同725.7%増)、営業利益率4.1%(前年度3.9%)、ROE5.4%(前年度0.7%)と予想しております。
②財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較し、2億円増加の6,383億円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金の減少や、投資有価証券の売却により投資有価証券が減少する一方で、エレクトロニクスカンパニー及び情報通信事業部門における設備投資により固定資産が増加したことによるものです。
負債の部は、前連結会計年度末と比較し、13億円増加の3,974億円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が減少した一方で、設備投資により有利子負債が増加したことによるものです。
純資産の部は、前連結会計年度末と比較し、10億円減少の2,409億円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金の減少によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の増加があったものの、税金等調整前当期純利益105億円、減価償却費315億円等を源泉とした収入の増加により、420億円の収入(前年度比141億円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に481億円の支出(同137億円の支出増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは社債の償還による支出はあったものの、短期借入れや長期借入れによる収入を中心に83億円の収入(同12億円の収入減少)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は362億円(同26億円の増加)となりました。
長期借入金を中心とした有利子負債を原資に実施したエレクトロニクス及び光関連事業の設備投資により、2018年度D/Eレシオは54:46(1.17倍)となりました。エレクトロニクスにおける主要顧客の需要減、光関連の中国市場の停滞といった環境の変化に伴い、設備投資については、慎重に対応し、減価償却の範囲内での設備投資を行う予定であります。これに伴い、財務体質改善に取り組み、2020年度目標である40:60(0.66倍)に近づけていく所存です。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の実績については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント経営成績に関連付けて示しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当社では、2016年度を初年度、2020年度を最終年度とする2020中期経営計画を策定しており、継続的な収益性の向上を経営の優先課題の一つとして位置づけております。なお、目標とする経営指標については、2020年度に売上高9,000億円、営業利益率7.0%以上、ROE10.0%以上、D/Eレシオ40:60(0.66倍)を掲げております。
当期におきましては、当社グループの売上高は7,107億円(前年度比4.0%減)、営業利益は276億円(同19.4%減)、経常利益は210億円(同38.4%減)となりました。
特別損失として、当社の在ブラジル連邦共和国の非連結子会社ProCable Energia e Telecomunicações S.A.及びFujikura Cabos Para Energia e Telecomunicações Ltda.の業績不振から、ブラジル電力向け事業の再編を行うことといたしました。これに伴う当連結会計年度におけるブラジル電力向け事業関連の損失として101億円計上しております。また、当社グループの製品の一部において品質管理に関わる不適切な事例につきまして、損失影響額が一部明らかとなったことに伴い、当連結会計年度において品質不適合品関連損失として17億円計上しております。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は14億円(同92.1%減)、営業利益率は3.9%(前年度は4.6%)、ROEは0.7%(前年度は8.7%)となりました。
エネルギー・情報通信カンパニーにおいては、エネルギー事業の海外EPC事業での大きな損失の発生、情報通信事業の中国における光ファイバの需給環境に変化、ハイパースケールデータセンタ関連事業での主要顧客の調達方針の変化及び競争環境の激化が見られます。
エレクトロニクスカンパニーにおいては、主要顧客の需要が二度にわたり急激に悪化し、利益額・率ともに前年同期比減収減益となりました。
自動車電装カンパニーにおいては、欧州での拠点戦略の見直しと事業再生、アジア地域における需要減があるなど、全体として、柱となる事業で大きな変化が起きており、収益率の低下・財務体質改善の遅れを招いているという認識です。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年度比較については、前年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
エネルギー・情報通信カンパニーにつきましては、前連結会計年度の国内電線販売会社の再編による減収があったこと及び国内外マーケットの競争激化やバングラデシュ送電線工事のコスト増などによる減益により、売上高は前年度比4.1%減の3,548億円、営業利益は同20.5%減の177億円となりました。
エレクトロニクスカンパニーにつきましては、FPC(フレキシブルプリント配線板)・コネクタでスマートフォン向けを中心とした需要が当第4四半期連結会計期間に急減した影響により、売上高は前年度比5.6%減の1,850億円、営業利益は同20.3%減の83億円となりました。
自動車電装カンパニーにつきましては、東欧製造拠点における離職率増加に伴う費用は減少したものの、アジアにおける顧客の減産影響などを受け、売上高は前年度比1.9%減の1,541億円、営業損失は32億円(前年度は営業損失31億円)となりました。
不動産カンパニーにつきましては、当社旧深川工場跡地再開発事業である「深川ギャザリア」において、テナントの入れ替えの影響を受けたこと等により、売上高は前年度比0.7%減の108億円、営業利益は同8.7%減の50億円となりました。
2019年度は「信頼回復への再スタート」と位置づけ、先行投資を行っている光関連事業について、中国ファイバ需要の停滞に対抗し、堅調な他地域の需要取り込みのため、従前より取り組んでいる戦略商品である「Spider Web Ribbon®」及び「Wrapping Tube CableTM」の拡販展開を継続いたします。また、エレクトロニクスカンパニーの需要減に対しては、生産性のさらなる改善と高付加価値品の取り込みにより、収益性を高める取り組みを進めてまいります。自動車電装カンパニーについては、欧州拠点における北アフリカへの生産シフトを計画的に進めると共に、アジアでの構造改革を進めることで下期黒字化を計画しております。
2019年度の当社連結の業績予想につきましては、売上高は6,900億円(前年度比2.9%減)、営業利益は280億円(同1.2%増)、経常利益は270億円(同28.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は120億円(同725.7%増)、営業利益率4.1%(前年度3.9%)、ROE5.4%(前年度0.7%)と予想しております。
②財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較し、2億円増加の6,383億円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金の減少や、投資有価証券の売却により投資有価証券が減少する一方で、エレクトロニクスカンパニー及び情報通信事業部門における設備投資により固定資産が増加したことによるものです。
負債の部は、前連結会計年度末と比較し、13億円増加の3,974億円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が減少した一方で、設備投資により有利子負債が増加したことによるものです。
純資産の部は、前連結会計年度末と比較し、10億円減少の2,409億円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金の減少によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の増加があったものの、税金等調整前当期純利益105億円、減価償却費315億円等を源泉とした収入の増加により、420億円の収入(前年度比141億円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に481億円の支出(同137億円の支出増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは社債の償還による支出はあったものの、短期借入れや長期借入れによる収入を中心に83億円の収入(同12億円の収入減少)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は362億円(同26億円の増加)となりました。
長期借入金を中心とした有利子負債を原資に実施したエレクトロニクス及び光関連事業の設備投資により、2018年度D/Eレシオは54:46(1.17倍)となりました。エレクトロニクスにおける主要顧客の需要減、光関連の中国市場の停滞といった環境の変化に伴い、設備投資については、慎重に対応し、減価償却の範囲内での設備投資を行う予定であります。これに伴い、財務体質改善に取り組み、2020年度目標である40:60(0.66倍)に近づけていく所存です。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の実績については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント経営成績に関連付けて示しています。