有価証券報告書-第170期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/29 12:16
【資料】
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【項目】
124項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
2017年度のわが国経済は、米国の政策不安など懸念材料がある一方で、企業収益や雇用環境の改善などを背景に、緩やかな回復基調で推移しました。
当社では、2016年度を初年度、2020年度を最終年度とする2020中期経営計画を策定しており、継続的な収益性の向上を経営の優先課題の一つとして位置づけております。なお、目標とする経営指標については、2020年度に売上高9,000億円、営業利益率7.0%以上、ROE10.0%以上、D/Eレシオ40:60(0.66倍)を掲げております。
当期におきましては、当社グループの売上高は7,400億円(前年度比13.2%増)、営業利益は343億円(同0.3%増)となりました。経常利益は、営業外収益62億円及び営業外費用64億円を計上し、341億円(同4.8%増)となりました。特別利益としては、政策保有株式その他の投資有価証券売却益など合計10億円を計上し、特別損失としては、国内外の拠点整理等にかかる事業構造改善費用や南米のEPC事業が不振であったことに伴う出資金評価損など合計65億円を計上しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は183億円(同42.3%増)、営業利益率は4.6%(前年度は5.2%)、ROEは8.7%(前年度は6.4%)となりました。
後述の自動車電装カンパニーの採算悪化があったものの、エネルギー・情報通信、エレクトロニクスの両カンパニーが増収増益で大きな柱に成長し、全体として「稼ぐ力」は強化されつつあるという認識です。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
エネルギー・情報通信カンパニー
当セグメントにつきましては、エネルギー事業部門における銅価上昇や、情報通信事業部門が海外マーケットを中心に好調に推移したこと等により、売上高は前年度比6.3%増の3,717億円、営業利益は同10.2%増の224億円となりました。
エレクトロニクスカンパニー
当セグメントにつきましては、FPC(フレキシブルプリント配線板)、コネクタを中心とした事業が堅調に推移したこと等により、売上高は前年度比25.0%増の1,959億円、営業利益は同38.2%増の104億円となりました。
自動車電装カンパニー
当セグメントにつきましては、新車種の立ち上げがあった一方で、東欧製造拠点の生産効率悪化に伴うコスト増等を背景に、売上高は前年度比18.0%増の1,570億円、営業損失は31億円(前年度は営業利益25億円)となりました。
不動産カンパニー
当セグメントにつきましては、当社旧深川工場跡地再開発事業である「深川ギャザリア」において、前連結会計年度に追加取得した物件の収益貢献もあり、売上高は前年度比7.6%増の109億円、営業利益は同18.0%増の55億円となりました。
2018年度は「20中期の成否を決める重要な年!」と位置づけ、先行投資を行っている光関連事業の立ち上がりと利益貢献、エレクトロニクスカンパニーのボリューム増による増収増益、自動車電装カンパニーの回復と再生及び下期黒字化を計画しております。
2018年度の当社連結の業績予想につきましては、売上高7,500億円(前年度比1.3%増)、営業利益390億円(同13.6%増)、経常利益370億円(同8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益230億円(同25.3%増)、営業利益率5.2%(前年度4.6%)、ROE10.1%(前年度8.7%)と予想しております。
②財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較し、494億円増加の6,380億円となりました。これは主に、エレクトロニクスカンパニーにおける売上増加によるたな卸資産の増加や、情報通信事業部門における増産投資により固定資産が増加したことによるものです。
負債の部は、前連結会計年度末と比較し、320億円増加の3,960億円となりました。これは主に、運転資金や設備投資により有利子負債が増加したことによるものです。
純資産の部は、前連結会計年度末と比較し、174億円増加の2,419億円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産の増加があったものの、税金等調整前当期純利益286億円、減価償却費268億円等を源泉とした収入の増加により、278億円の収入(前年度比158億円の収入減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に343億円の支出(同262億円の支出減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは社債の償還による支出はあったものの、短期借入れや長期借入れによる収入を中心に96億円の収入(同67億円の収入減少)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は335億円(同28億円の増加)となりました。
長期借入金を中心とした有利子負債を原資に実施した光関連事業の設備投資により、2017年度D/Eレシオは52:48(1.09倍)となりました。引き続き、世界的に旺盛な需要に対応するため、マーケットの状況を見ながら設備投資を行う予定であります。これに伴い、有利子負債の増加が見込まれますが、投資回収を図り、財務体質改善に取り組み、2020年度目標である40:60(0.66倍)に近づけていく所存です。
(3) 生産、受注及び販売の状況
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の状況については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント経営成績に関連付けて示しています。