有価証券報告書-第68期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 13:03
【資料】
PDFをみる
【項目】
113項目

(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国や欧州では緩やかに景気が回復しており、中国では経済成長率が高水準であるなど全体的に好調に推移しました。また国内経済においても、企業収益の改善や個人消費が持ち直すなど回復基調が続きました。
国内の住宅関連業界は、新設住宅着工戸数において持家や貸家が減速するなど低調であったものの、住宅設備機器の買替えは底堅く、順調に推移しました。
このような状況のもと、当社グループは中期経営計画「進化と継承 2017」の最終年度にあたり、企業文化や精神を継承するとともに、社会に役立つ新しい商品やサービスを創出するためのビジネスモデルを進化させるべく事業活動を進めてまいりました。販売面につきましては、中国やアメリカでの給湯器販売が順調であったことで増収となりましたが、損益面では、原材料費の高騰に加え、国内で高付加価値商品が伸び悩んだことや浴室暖房乾燥機の点検費用などによって、当社グループの営業利益は減益となりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて204億15百万円増加し、4,247億40百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて30億88百万円増加し1,167億75百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて173億26百万円増加の3,079億65百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高3,470億71百万円(前期比5.1%増)、営業利益328億49百万円(前期比3.5%減)、経常利益342億86百万円(前期比2.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益211億94百万円(前期比5.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
日本は、売上高1,867億79百万円(前期比1.2%減)、営業利益182億28百万円(前期比18.3%減)となりました。
アメリカは、売上高277億38百万円(前期比18.0%増)、営業利益22億7百万円(前期比32.9%増)となりました。
オーストラリアは、売上高234億79百万円(前期比9.4%増)、営業利益15億80百万円(前期比26.5%増)となりました。
中国は、売上高442億94百万円(前期比23.2%増)、営業利益50億45百万円(前期比64.4%増)となりました。
韓国は、売上高347億39百万円(前期比7.0%増)、営業利益8億11百万円(前期比11.9%減)となりました。
インドネシアは、売上高114億86百万円(前期比7.0%増)、営業利益17億99百万円(前期比5.4%減)となりました。
(注)売上高についてはセグメント間の取引を相殺消去した数値によっております。
②キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況について、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて64億円増加し、1,016億97百万円(前期比6.7%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
主に営業利益の確保による資金の増加、法人税等の支払による資金の減少等の結果、営業活動によって得られた資金は299億14百万円(前期比24.4%減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主に有形固定資産の取得による支出等により、投資活動の結果支出した資金は121億90百万円(前期比31.3%減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主に自己株式の取得による支出等により、財務活動の結果支出した資金は117億25百万円(前期比124.7%増)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
日本 (百万円)202,763106.5
アメリカ (百万円)--
オーストラリア (百万円)8,745115.1
中国 (百万円)43,921133.1
韓国 (百万円)31,005103.5
インドネシア (百万円)11,087105.5
報告セグメント計 (百万円)297,523109.6
その他 (百万円)15,419107.9
計 (百万円)312,943109.5

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
日本 (百万円)18,222115.7
アメリカ (百万円)1,465100.9
オーストラリア (百万円)5,030106.7
中国 (百万円)3,098109.3
韓国 (百万円)1,11084.9
インドネシア (百万円)1,040120.1
報告セグメント計 (百万円)29,966111.3
その他 (百万円)2,358115.0
計 (百万円)32,324111.6

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。
c.受注状況
当社グループは受注見込による生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
日本 (百万円)186,77998.8
アメリカ (百万円)27,738118.0
オーストラリア (百万円)23,479109.4
中国 (百万円)44,294123.2
韓国 (百万円)34,739107.0
インドネシア (百万円)11,486107.0
報告セグメント計 (百万円)328,518104.9
その他 (百万円)18,553108.6
計 (百万円)347,071105.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
貸倒引当金、製品保証引当金等に関する引当及び退職給付に係る会計処理については、過去の実績や当該事象の状況に照らして合理的と考えられる見積り及び判断を行い、また、投資有価証券の評価や繰延税金資産の計上については、将来の回復可能性や回収可能性などを考慮し実施しておりますが、これらの見積りや判断における前提や状況が変化した場合には、最終的な結果が異なるものとなる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ204億15百万円増加し4,247億40百万円(前連結会計年度末は4,043億25百万円)となりました。
流動資産は、2,669億78百万円(前連結会計年度末は2,376億71百万円)となりました。これは主に、営業利益の確保による資金の増加により、現金及び預金が95億46百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、1,577億61百万円(前連結会計年度末は1,666億53百万円)となりました。これは主に、国内の生産体制再構築と海外の需要増に対応する拡張のための設備投資により有形固定資産が52億40百万円増加した一方で、償還等により投資有価証券が136億58百万円減少したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、支払手形及び買掛金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて30億88百万円増加し1,167億75百万円(前連結会計年度末は1,136億86百万円)となりました。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、当期純利益の計上により、前連結会計年度末に比べて173億26百万円増加の3,079億65百万円(前連結会計年度末は2,906億38百万円)となりました。
2)経営成績並びに経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は、中国、アメリカを中心とした給湯器販売が好調であったことなどにより、前連結会計年度に比べ5.1%増の3,470億71百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、原材料費の高騰などにより、前連結会計年度に比べ6.2%増の2,349億96百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、国内での浴室暖房乾燥機の点検費用などによって、前連結会計年度に比べ5.9%増の792億25百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の減少と非支配株主に帰属する当期純利益の増加などによって、前連結会計年度に比べ5.1%減の211億94百万円となりました。
当社グループは中国・アメリカをはじめとする海外市場において、給湯器の快適性・環境性を訴求し、ブランドや商品の認知拡大を進めてまいります。国内においては、「電気」と「ガス」を効率良く使い分けるハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE(エコワン)」や高効率給湯器「エコジョーズ」シリーズなど環境・省エネ性に優れた商品の販売を強化してまいります。また、ガス衣類乾燥機や食器洗い乾燥機、レンジフードなど当社のビジネスとして独自性の強い商品群の販売をより一層強化し、ビルトインコンロなど従来商品との組み合わせで、新たな生活提案と事業の差別化を図ってまいります。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や部品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金、設備投資及び長期運転資金について自己資金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は1億42百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,016億97百万円となっております。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、グループ全体の連携を図り、収益性と資本効率を高めることを目指し、連結営業利益率10%および連結ROE10%を超える水準の維持を目標として取り組んでおります。
当連結会計年度においては、原材料費の高騰に加え、国内で高付加価値商品が伸び悩んだことや浴室暖房乾燥機の点検費用の発生などにより、売上高営業利益率は9.5%(前年同期比△0.8ポイント)、ROEは7.6%(前年同期比△0.8ポイント)となりました。引き続き当該指標の改善に邁進してまいります。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(日本)
テーブルコンロの市場縮小やビルトインコンロでの競争激化によってコンロの販売数が減少していることや、一部の販売ルートで給湯器の売上が減少したことなどによって、日本の売上高は1,867億79百万円(前期比1.2%減)、営業利益は原材料費の増加により182億28百万円(前期比18.3%減)となりました。
セグメント資産は、主に国内の生産体制再構築のための設備投資により有形固定資産が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ52億53百万円増加の3,178億15百万円となりました。
(アメリカ)
住宅設備関連の市場が順調に推移する中、利便性の高いタンクレス給湯器の販売が好調であり、さらに高効率タイプが伸長するなど、アメリカの売上高は277億38百万円(前期比18.0%増)、営業利益は22億7百万円(前期比32.9%増)となりました。
セグメント資産は、主に売上増に伴う仕入増加により、たな卸資産が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ14億40百万円増加の136億27百万円となりました。
(オーストラリア)
主力となるタンクレス給湯器の販売が好調に推移したことに加え、ダクト式冷暖房システムやエアコンといった空調分野の売上も伸長し、オーストラリアの売上高は234億79百万円(前期比9.4%増)、営業利益は15億80百万円(前期比26.5%増)となりました。
セグメント資産は、主に営業利益の確保により現金及び預金が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ24億12百万円増加の221億50百万円となりました。
(中国)
ガスインフラの拡大や生活水準向上により給湯器の販売が好調であったことに加え、政府による寒冷地での環境政策である石炭からガスへの燃料転換推進によってボイラーの売上が増加したことで、中国の売上高は442億94百万円(前期比23.2%増)、営業利益は50億45百万円(前期比64.4%増)となりました。
セグメント資産は、主に売上増に伴う生産増加により、たな卸資産が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ63億18百万円増加の339億29百万円となりました。
(韓国)
小規模集合住宅の新築増加や買替えの需要増によってボイラーの販売が好調であったことで、韓国の売上高は347億39百万円(前期比7.0%増)となりましたが、テーブルコンロ販売での競争激化や原材料費の高騰などによって営業利益は8億11百万円(前期比11.9%減)となりました。
セグメント資産は、売上債権が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ30億30百万円増加の216億98百万円となりました。
(インドネシア)
テーブルコンロの市場において買替需要が少しずつ増加してきたことで当社テーブルコンロの売上が回復し、インドネシアの売上高は114億86百万円(前期比7.0%増)となりましたが、原材料費の高騰により営業利益は17億99百万円(前期比5.4%減)となりました。
セグメント資産は、売上債権の増加や減価償却による有形固定資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ9百万円増加の122億36百万円となりました。