有価証券報告書-第69期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/26 13:38
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148項目

(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国や欧州では緩やかに景気が回復しているものの、中国での経済成長の鈍化や米国・中国を中心とした通商問題など、不透明感も漂ってきました。また国内経済においては、企業収益の改善や個人消費が持ち直すなど回復基調が続きました。
国内の住宅関連業界は、新設住宅着工戸数において持ち直しの傾向は見えてきたものの、住宅設備機器の買替えには力強さがなく、弱含みの状況が続きました。
このような状況のもと、当社グループは当連結会計年度を初年度とする中期経営計画「G-shift 2020」を推進しています。「熱と暮らし」「健康と暮らし」をキーワードに、グローバル市場で生活レベルの向上に寄与していくことや、既存商品やサービスの提供だけでなく、自社のコア技術に新しい技術を取り込み応用発展させた独自の商品・サービスを創出すべく、新しい取り組みを進めてまいりました。販売面につきましては、中国やアメリカなどの海外事業が順調であったことで増収となりましたが、損益面では、国内で高付加価値商品が伸び悩んだことや海外で販売促進費が増加したことなどによって、当社グループの営業利益は減益となりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高3,480億22百万円(前期比0.3%増)、営業利益308億79百万円(前期比6.0%減)、経常利益333億18百万円(前期比2.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益204億80百万円(前期比3.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
日本は、売上高1,808億21百万円(前期比3.2%減)、営業利益173億90百万円(前期比4.6%減)となりました。
アメリカは、売上高303億90百万円(前期比9.6%増)、営業利益14億91百万円(前期比32.5%減)となりました。
オーストラリアは、売上高249億21百万円(前期比6.1%増)、営業利益15億9百万円(前期比4.5%減)となりました。
中国は、売上高460億9百万円(前期比3.9%増)、営業利益49億89百万円(前期比1.1%減)となりました。
韓国は、売上高329億53百万円(前期比5.1%減)、営業利益1億12百万円(前期比86.2%減)となりました。
インドネシアは、売上高121億36百万円(前期比5.7%増)、営業利益16億86百万円(前期比6.3%減)となりました。
(注)売上高についてはセグメント間の取引を相殺消去した数値によっております。
②キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況について、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて144億35百万円増加し、1,161億33百万円(前期比14.2%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
主に営業利益の確保による資金の増加、法人税等の支払による資金の減少等の結果、営業活動によって得られた資金は294億79百万円(前期比1.5%減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主に有形固定資産の取得による支出等により、投資活動の結果支出した資金は72億88百万円(前期比40.2%減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主に配当金の支払い等により、財務活動の結果支出した資金は61億50百万円(前期比47.5%減)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
日本 (百万円)201,70299.5
アメリカ (百万円)1,971-
オーストラリア (百万円)8,07892.4
中国 (百万円)37,59985.6
韓国 (百万円)30,36397.9
インドネシア (百万円)11,710105.6
報告セグメント計 (百万円)291,42698.0
その他 (百万円)14,87996.5
計 (百万円)306,30597.9

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
日本 (百万円)18,829103.3
アメリカ (百万円)1,19981.9
オーストラリア (百万円)6,478128.8
中国 (百万円)3,541114.3
韓国 (百万円)1,164104.9
インドネシア (百万円)1,123108.0
報告セグメント計 (百万円)32,337107.9
その他 (百万円)2,496105.9
計 (百万円)34,833107.8

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。
c.受注状況
当社グループは受注見込による生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
日本 (百万円)180,82196.8
アメリカ (百万円)30,390109.6
オーストラリア (百万円)24,921106.1
中国 (百万円)46,009103.9
韓国 (百万円)32,95394.9
インドネシア (百万円)12,136105.7
報告セグメント計 (百万円)327,23299.6
その他 (百万円)20,789112.1
計 (百万円)348,022100.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
貸倒引当金、製品保証引当金等に関する引当及び退職給付に係る会計処理については、過去の実績や当該事象の状況に照らして合理的と考えられる見積り及び判断を行い、また、投資有価証券の評価や繰延税金資産の計上については、将来の回復可能性や回収可能性などを考慮し実施しておりますが、これらの見積りや判断における前提や状況が変化した場合には、最終的な結果が異なるものとなる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ84億62百万円増加し4,308億85百万円(前連結会計年度末は4,224億22百万円)となりました。
流動資産は、2,808億91百万円(前連結会計年度末は2,634億62百万円)となりました。これは主に、営業利益の確保による資金の増加により、現金及び預金が154億92百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、1,499億93百万円(前連結会計年度末は1,589億60百万円)となりました。これは主に、償還等により投資有価証券が91億54百万円減少したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、支払手形及び買掛金が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べて42億68百万円減少し1,101億88百万円(前連結会計年度末は1,144億57百万円)となりました。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、当期純利益の計上により、前連結会計年度末に比べて127億30百万円増加の3,206億96百万円(前連結会計年度末は3,079億65百万円)となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
2)経営成績並びに経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は、中国やアメリカなどの海外事業が順調であったことで、前連結会計年度に比べ0.3%増の3,480億22百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、国内で高付加価値商品が伸び悩んだことなどにより、前連結会計年度に比べ0.4%増の2,359億15百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、海外で販売促進費が増加したことなどによって、前連結会計年度に比べ2.5%増の812億27百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の減少などによって、前連結会計年度に比べ3.4%減の204億80百万円となりました。
当社グループは中国・アメリカをはじめとする海外市場において、給湯器の快適性・環境性を訴求し、ブランドや商品の認知拡大を進めてまいります。国内においては、「電気」と「ガス」を効率良く使い分けるハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE(エコワン)」や高効率給湯器「エコジョーズ」シリーズなど環境・省エネ性に優れた商品の販売を強化してまいります。また、ガス衣類乾燥機や食器洗い乾燥機、レンジフードなど当社のビジネスとして独自性の強い商品群の販売をより一層強化し、ビルトインコンロなど従来商品との組み合わせで、新たな生活提案と事業の差別化を図ってまいります。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や部品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金、設備投資及び長期運転資金について自己資金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は2億14百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,161億33百万円となっております。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、グループ全体の連携を図り、収益性と資本効率を高めることを目指し、連結営業利益率10%および連結ROE10%を超える水準の維持を目標として取り組んでおります。
当連結会計年度においては、国内で高付加価値商品が伸び悩んだことや海外で販売促進費が増加したことなどによって、売上高営業利益率は8.9%(前年同期比△0.6ポイント)、ROEは7.0%(前年同期比△0.6ポイント)となりました。引き続き当該指標の改善に邁進してまいります。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(日本)
主力商品である給湯暖房機、ふろ給湯器、ビルトインコンロの市場が伸び悩んだことや、給湯器全般において他社との競争が激しく販売が減少したことで、日本の売上高は1,808億21百万円(前期比3.2%減)、営業利益は173億90百万円(前期比4.6%減)となりました。
セグメント資産は、主に営業利益の確保により現金及び預金が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ76億37百万円増加の3,231億37百万円となりました。
(アメリカ)
住住宅設備関連の市場が順調に推移する中、利便性の高いタンクレス給湯器の販売が好調であり、さらに高効率タイプの新商品が伸長するなど、アメリカの売上高は303億90百万円(前期比9.6%増)となりました。しかし、新商品の普及拡大に向けた販売促進費や現地生産開始に伴う費用増加により営業利益は14億91百万円(前期比32.5%減)となりました。
セグメント資産は、主に本社の増築や現地生産開始に伴う設備投資により有形固定資産が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ4億99百万円増加の141億26百万円となりました。
(オーストラリア)
暖冬の影響により開放型暖房機(ファンヒーター)の売上減少はあったものの、主力となる給湯器やエアコンなどの売上が伸長したことに加え、FF暖房機において政府主導の取替需要が増加しており、オーストラリアの売上高は249億21百万円(前期比6.1%増)となりましたが、現地生産拡大等の費用増加によって営業利益は15億9百万円(前期比4.5%減)となりました。
セグメント資産は、主に営業活動により現金及び預金が減少したことなどによって、前連結会計年度末に比べ 8億97百万円減少の212億53百万円となりました。
(中国)
給湯器の販売が回復傾向にあるなど中国の売上高は460億9百万円(前期比3.9%増)となりましたが、厳しくなる競争環境に対応するために販売促進費用が増加しており営業利益は49億89百万円(前期比1.1%減)となりました。
セグメント資産は、売上債権が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ12億82百万円増加の352億12百万円となりました。
(韓国)
拡大していた小規模集合住宅の着工が一巡し、好影響を受けていた住宅設備機器は減少傾向となっており、主力商品となるボイラーの販売が前年割れとなったことや、コンロ市場の競争激化などによって、韓国の売上高は329億53百万円(前期比5.1%減)、高効率ボイラーなど高付加価値商品の減少により営業利益は1億12百万円(前期比86.2%減)となりました。
セグメント資産は、減価償却による有形固定資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ15億69百万円減少の201億27百万円となりました。
(インドネシア)
テーブルコンロ市場において競合会社の経営不振により当社のマーケットシェアが上昇したことに加え、ビルトインコンロの販売も前年を上回ったため、売上高は121億36百万円(前期比5.7%増)となりましたが、円高基調による為替の影響で営業利益は16億86百万円(前期比6.3%減)となりました。
セグメント資産は、減価償却による有形固定資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ2億88百万円減少の119億48百万円となりました。