有価証券報告書-第71期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/29 13:19
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を色濃く受け、段階的な経済活動の再開が進んだものの感染症収束の目途は立っておらず、依然として多くの国で経済活動への規制が続き、深刻な状況が続いています。また国内経済においても経済活動の持ち直しの動きは続いておりますが、非製造業では弱さが見られ経済活動の先行きは不透明な状況となっております。
国内の住宅関連業界は、新設住宅着工戸数において持家住宅には回復が見られますが、全体的に緩やかな減少が続き、住宅設備機器業界では展示会等のイベント自粛により消費者接点の機会が減少し、需要の回復には至っておりません。
このような状況のもと、当社グループは中期経営計画「G-shift 2020」の最終年度として、「熱と暮らし」「健康と暮らし」をキーワードに、既存商品やサービスの提供に加え、自社のコア技術に新しい技術を取り込んだ独自の商品・サービスの創出に努めました。また当期、創業100周年を迎えた当社グループは、健全で心地よい暮らし方を創造する企業として、次の100年に向けた持続的な成長を目指して活動しております。
当連結会計年度の業績につきましては、新型コロナウイルス感染症による事業活動への影響を受けるも、当社グループ全体での徹底した原価低減活動に努めるとともに、感染症拡大に伴う巣ごもり需要を取り込み、高付加価値商品のガスコンロや給湯機器の販売が伸長しました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,443億64百万円(前期比1.1%増)、営業利益406億90百万円(前期比18.2%増)、経常利益424億円(前期比18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は275億81百万円(前期比27.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
日本は、売上高1,831億36百万円(前期比1.1%増)、営業利益245億44百万円(前期比18.6%増)となりました。
アメリカは、売上高369億71百万円(前期比11.6%増)、営業利益21億77百万円(前期比12.3%増)となりました。
オーストラリアは、売上高243億11百万円(前期比2.8%増)、営業利益は9億11百万円(前期比132.2%増)となりました。
中国は、売上高411億60百万円(前期比6.9%減)、営業利益は66億67百万円(前期比4.0%増)となりました。
韓国は、売上高283億58百万円(前期比2.4%増)、営業利益は1億41百万円(前期は営業損失17百万円)となりました。
インドネシアは、売上高112億48百万円(前期比5.1%増)、営業利益は24億23百万円(前期比51.4%増)となりました。
(注)売上高についてはセグメント間の取引を相殺消去した数値によっております。
②キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況について、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて263億85百万円増加し、1,665億24百万円(前期比18.8%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
主に営業利益の確保による資金の増加、法人税等の支払による資金の減少等の結果、営業活動によって得られた資金は494億91百万円(前期比31.3%増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主に有形固定資産の取得による支出等により、投資活動の結果支出した資金は158億20百万円(前期比122.1%増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主に配当金の支払い等により、財務活動の結果支出した資金は72億69百万円(前期比12.9%増)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
日本 (百万円)203,649103.9
アメリカ (百万円)5,535102.3
オーストラリア (百万円)7,647107.4
中国 (百万円)35,181101.6
韓国 (百万円)25,963102.3
インドネシア (百万円)10,871108.9
報告セグメント計 (百万円)288,849103.7
その他 (百万円)12,47091.0
計 (百万円)301,320103.1

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
日本 (百万円)20,885102.9
アメリカ (百万円)1,400101.4
オーストラリア (百万円)7,30798.8
中国 (百万円)1,49530.5
韓国 (百万円)1,370121.3
インドネシア (百万円)88469.5
報告セグメント計 (百万円)33,34491.6
その他 (百万円)2,983116.6
計 (百万円)36,32793.3

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。
c.受注実績
当社グループは受注見込による生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
日本 (百万円)183,136101.1
アメリカ (百万円)36,971111.6
オーストラリア (百万円)24,311102.8
中国 (百万円)41,16093.1
韓国 (百万円)28,358102.4
インドネシア (百万円)11,248105.1
報告セグメント計 (百万円)325,187101.5
その他 (百万円)19,17796.0
計 (百万円)344,364101.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画「G-shift 2020」を推進しました。計画遂行の達成状況を判断するための客観的な指標として、連結売上高営業利益率10%および連結ROE10%を超える水準の維持を目標としております。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症による事業活動への影響を受けるも、当社グループ全体での徹底した原価低減活動に努めるとともに、感染症拡大に伴う巣ごもり需要を取り込み、高付加価値商品のガスコンロや給湯機器の販売が伸長した結果、連結売上高営業利益率は11.8%(前期比+1.7ポイント)となり目標値を上回りました。連結ROEは8.4%(前期比+1.4ポイント)となりました。引き続き、グループ全体の連携を図り収益性と資本効率を高めてまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響について、今後、ワクチン接種が進んでいくと思われますが、その収束時期等を予測することは現時点では困難であります。しかしながら、当社グループの商品が生活必需品としての性格が強く、買替比率の高い商品構成であるため、新型コロナウイルス感染症の影響による大幅な事業縮小などはないものと現時点では考えております。
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ468億5百万円増加し4,972億91百万円(前連結会計年度末は4,504億86百万円)となりました。
流動資産は、3,321億53百万円(前連結会計年度末は2,947億13百万円)となりました。これは主に、営業利益の確保による資金の増加により、現金及び預金が193億21百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、1,651億38百万円(前連結会計年度末は1,557億73百万円)となりました。これは主に、退職給付に係る資産が73億54百万円増加したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、支払手形及び買掛金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて164億45百万円増加し1,259億73百万円(前連結会計年度末は1,095億27百万円)となりました。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べて303億59百万円増加の3,713億18百万円(前連結会計年度末は3,409億59百万円)となり、自己資本比率は68.8%となりました。
b.経営成績
(売上高)
売上高は、国内では成長品目や巣ごもり需要を取り込み増収、海外は前年並みとなり、前連結会計年度に比べ1.1%増の3,443億64百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、当社グループ全体での徹底した原価低減活動により、前連結会計年度に比べ0.5%増の2,290億32百万円となりました。販売費及び一般管理費は、販売促進費が減少したことなどによって、前連結会計年度に比べ4.5%減の746億41百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の増加及び投資有価証券売却益の計上などによって、前連結会計年度に比べ27.9%増の275億81百万円となりました。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
〈日本〉
ガス衣類乾燥機や食器洗い乾燥機の伸長とともに、巣ごもり需要によりオート調理機能付ガスコンロの販売が増加、また年末の寒波による給湯機器の買替えが発生し、日本の売上高は1,831億36百万円(前期比1.1%増)、営業利益は245億44百万円(前期比18.6%増)となりました。
セグメント資産は、売上債権が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ302億90百万円増加し、3,646億59百万円となりました。
〈アメリカ〉
新型コロナウイルス感染症に伴う巣ごもり需要に加え、感染症リスクの回避として郊外へ移住する動きが高まり住宅市場は好調に推移、タンクレスガス給湯器の販売も拡大を続け、アメリカの売上高は369億71百万円(前期比11.6%増)、営業利益は21億77百万円(前期比12.3%増)となりました。
セグメント資産は、主に新工場の建設など成長投資を目的とした増資や営業利益の確保により現金及び預金が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ97億86百万円増加し、259億49百万円となりました。
〈オーストラリア〉
タンクレスガス給湯器や貯湯式給湯器の販売が順調であり、新型コロナウイルス感染症に伴う在宅勤務の増加により暖房機器の販売が伸長し、オーストラリアの売上高は243億11百万円(前期比2.8%増)、営業利益は9億11百万円(前期比132.2%増)となりました。
セグメント資産は、売上債権や有形固定資産が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ33億91百万円増加し、249億50百万円となりました。
〈中国〉
新型コロナウイルス感染症による年初の大幅な売上減少が響き、中国の売上高は411億60百万円(前期比6.9%減)となりましたが、経済活動規制の解除以降、インターネット販売を中心に給湯器の販売が回復し、営業利益は66億67百万円(前期比4.0%増)となりました。
セグメント資産は、売上債権が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ92億51百万円増加し、517億86百万円となりました。
〈韓国〉
韓国政府による新型コロナウイルス感染症対策の緊急災難支援金によりガスコンロ、電気コンロともに販売が増加、また環境規制強化に伴う高効率ボイラーの販売が伸長し、韓国の売上高は283億58百万円(前期比2.4%増)、営業利益は1億41百万円(前期は営業損失17百万円)となりました。
セグメント資産は、たな卸資産が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ1億32百万円増加し、178億95百万円となりました。
〈インドネシア〉
新型コロナウイルス感染症に伴う巣ごもり需要によりテーブルコンロの販売が伸長し、また高価格帯のビルトインコンロやレンジフードは新商品効果も加わり販売が大幅に増加、インドネシアの売上高は112億48百万円(前期比5.1%増)、営業利益は24億23百万円(前期比51.4%増)となりました。
セグメント資産は、主に営業利益の確保により現金及び預金が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ12億44百万円増加し、137億58百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、主に営業利益の確保により、営業活動によって494億91百万円の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)を獲得した一方で、投資活動においては、営業拠点、工場など成長分野への積極的な設備投資を推進したことなどによって158億20百万円、また、財務活動においては、継続的な増配による株主還元を実施したことなどによって72億69百万円の資金をそれぞれ支出しました。これらの結果、当連結会計年度末における資金は、前連結会計年度に比べて263億85百万円増加し、1,665億24百万円となり、「リスクに強い財務基盤の強化」及び「成長投資の為の下地作り」を順調に進めることができました。また、今後の資本政策については、持続的成長に向けた研究開発や設備投資、無形資産への重点投資を実行すると共に、配当性向の引き上げと、機動的な自己株式の取得を通じて総還元性向を向上させ、株主還元の充実に努めてまいります。また、生活必需品としての要素が高い当社グループ商品の安定供給のため、災害時における早期復旧費用などのリスク対応資金を確保したうえで、健全な財務基盤を構築してまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要のうち主なものは、原材料や部品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金、設備投資及び長期運転資金について、営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は17億25百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の数値ならびに当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う当連結会計年度の会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に製品保証引当金、退職給付に係る会計処理及び繰延税金資産に関する見積り及び判断が連結財務諸表の作成に重要な影響を及ぼすと考えております。
a.製品保証引当金
当社及び一部の連結子会社は、製品の無償修理費用の支出に備えるため、製品保証引当金として製品に関する保証費発生見積額を計上しております。当該会社の保証費発生見積額は、過去の発生実績率に基づいて計算した額を計上しておりますが、実際の発生実績率又は製品保証費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要になる可能性があります。
b.退職給付費用及び債務
当社グループは、従業員の退職給付費用及び債務を算出するにあたって、数理計算上で設定した基礎率(割引率、昇給率、退職率、死亡率、期待運用収益率等)は、統計数値等により合理的な見積りに基づいて採用しておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合があり、計上される退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼします。
c.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、課税所得の将来の見積額や一時差異等のスケジューリングの結果に基づき繰延税金資産を計上しております。今後、経営環境の悪化等により課税所得の見積りを減額された場合等には繰延税金資産を取り崩す必要が生じ、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。