有価証券報告書-第60期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/23 9:09
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(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、上期においては新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により輸出や鉱工業生産が大幅に減少したほか、緊急事態宣言の発出により対面での経済活動が大きく制限され、かつて経験したことのない落ち込みとなりましたが、下期に入り、各国の経済活動の再開やペントアップ需要の発生等により製造業を中心に回復の動きとなりました。年明けには新型コロナウイルス拡大の第3波により再び緊急事態宣言が発出されましたが、規制範囲が限定されたこともあり、前回に比べ影響は限定的となりました。
当社グループ製品の主要需要先の状況といたしましては、自動車関連では一時期生産台数が前年同月と比べ半減する等厳しい状況となりましたが、大手メーカーの生産水準維持の姿勢や米中の需要回復等から持ち直す動きとなりました。また電子・デバイス関連においても、リモートワークの拡大によるパソコンや関連機器の伸びに加え、主力スマートフォンの5G対応モデル発売等から回復傾向となりました。このような動きに伴い工具需要が回復傾向となるなか、当社製品も流通在庫の調整が進み、年度末にかけては販売の回復が見られました。
このような環境の中、当社グループでは、これまで営業活動で最も力を入れてきたJIMTOFを始めとした展示会への出展や技術セミナー等の開催、また当社仙台工場の見学会等を行うことが出来なくなったことから、電話やオンラインによる製品紹介や技術アドバイス、メールによる情報発信等を積極的に活用した営業活動を展開いたしました。また、これまで東京にのみであった在庫センターを仙台工場内にも設置し、万が一の際にでも出荷を継続できる体制といたしました。生産活動においては、売上高の減少に伴い一時帰休の実施も含めて減産を行い、可能な限りのコスト削減を図る一方、生産量を戻す過程においては、削減したコストを増やさずに生産を増やす体制づくりに取り組み、年明け後の増産局面で効果を発揮いたしました。製品面では、当社の研削技術により、CBN素材のエンドミルにおいて世界で初めて刃径0.1mmで4枚刃、更にコーナーにR0.01が付いたCBNスーパーハイプレシジョンラジアスエンドミル「SHPR400」(ラジアスエンドミル:刃先の角(コーナー)に丸み(R)が付いた形状のエンドミル)を発売し、本製品を含んだ極小径多刃ラジアスエンドミルシリーズが「超モノづくり部品大賞(主催:モノづくり日本会議/日刊工業新聞社)機械・ロボット部品賞」を受賞いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は8,100百万円(前期比15.0%減)、営業利益は1,512百万円(同31.8%減)、経常利益は1,712百万円(同23.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,214百万円(同21.4%減)となりました。なお経常利益が営業利益を199百万円上回っておりますが、一時帰休の実施に伴う雇用調整助成金や省エネルギー支援事業補助金等の助成金の受給と保険の解約により営業外収益が多額となったことによります。
なおKPI(重要業績評価指標)としている売上高経常利益率20%の目標につきましては、コロナ禍の影響から上期は厳しい状況となりましたが、下期には工具需要が回復傾向となったことに加え、助成金の受給等もあり通期では21.1%とクリアすることが出来ました。しかしながら、もう一つの目標であるROE10%につきましては、自己資本が5.3%増加した一方、親会社株主に帰属する当期純利益が21.4%減少したため8.2%と目標を下回りました。
製品区分別の売上高では、「エンドミル(6mm以下)」が6,338百万円(前期比13.3%減)、「エンドミル(6mm超)」が739百万円(同21.8%減)、「エンドミル(その他)」が478百万円(同22.1%減)、「その他」が543百万円(同17.7%減)となりました。
(注)報告セグメントが1つでありますので、製品区分別に記載しております。なお「その他」の事業セグメントは、製品区分別の「その他」に含めております。
② 財政状態の状況
当連結会計年度における財政状態は、資産合計が16,936百万円(前期末比918百万円増)、負債合計が1,609百万円(同90百万円増)、純資産合計が15,326百万円(同828百万円増)となりました。各資産・負債の増減要因は以下のとおりであります。
<流動資産>当連結会計年度末における流動資産の残高は10,895百万円で、前期比1,339百万円、14.0%の増加となりました。これは主に、保険の解約や設備投資の抑制に伴う現金及び預金の増加によるものであります。
<固定資産>当連結会計年度末における固定資産の残高は6,040百万円で、前期比421百万円、6.5%の減少となりました。これは主に、設備投資の抑制により減価償却費が設備投資額を上回ったことによるものであります。
<資産合計>上記の流動資産の増加及び固定資産の減少により、資産合計は前期に比べ918百万円、5.7%増加し16,936百万円となりました。
<負債合計>当連結会計年度末における負債の残高は、1,609百万円と前期に比べ90百万円、5.9%の増加となりました。これは主に、未払消費税等の増加等によるものであります。
<純資産合計>当連結会計年度末における純資産の残高は15,326百万円と前期に比べ828百万円、5.7%の増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当社は足元の業績に左右されず、今後の成長に必要な投資を継続的に行うこととしており、毎期5%程度の売上高の増加に対応できる設備投資を基本としております。具体的には、工具研削盤等の機械設備を中心に実施いたしておりますが、その計画において設置スペースのキャパシティーが不足すると判断された場合に、工場建設等大がかりな投資を行っております。資金の調達につきましては、無借金を前提としておりますことから、基本的には自己資金の範囲内とし、通常は営業活動により得られた資金を上回ることはありません。しかしながら、今後は製品開発や技術開発のウェイトを高めていく必要があると認識しており、従来に比べ投資活動による資金の使用は増える見込みであります。
また運転資本につきましては、販売、仕入れともに原則翌月決済とさせていただいており、当連結会計年度における売上債権回転期間は2.0ヶ月となっております。
手許資金につきましては、不測の事態に陥った場合でも雇用や設備を維持し、企業活動を継続できる資金を蓄えておく必要があると考えており、その額は現時点で40~50億円程度と想定しております。
株主還元につきましては、安定的な経営基盤の確保並びに事業展開のための内部留保を勘案しながら、業績に応じた利益還元策を実施していくことを基本方針としておりますが、安定性・継続性にも配慮しつつ、業績動向や配当性向等を総合的に勘案して実施いたしております。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。連結ベースでの現金及び現金同等物(以下(資金)という)は、前連結会計年度末に比較し、1,889百万円増加し7,274百万円(前期比35.1%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,526百万円(前期比32.3%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,710百万円による資金の増加と、たな卸資産の減少及び減価償却費による資金の増加や法人税等の支払いによる資金の流出によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は187百万円(同89.4%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出と保険解約による収入によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は438百万円(同22.1%減)となりました。これは主に配当金の支払によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、報告セグメントが1つでありますので、製品区分別に記載しております。なお「その他」の事業セグメントは、製品区分の「その他」に含めております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を製品別に示すと、次のとおりであります。
製品別の名称生産高(千円)前年同期比(%)
エンドミル(6mm以下)6,210,565△19.2
エンドミル(6mm超)656,444△30.7
エンドミル(その他)209,417△23.8
その他397,746△22.6
合計7,474,172△20.7

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績を製品別に示すと、次のとおりであります。
製品別の名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
エンドミル(6mm以下)6,444,521△9.5451,82430.6
エンドミル(6mm超)753,550△16.894,70617.4
エンドミル(その他)463,315△25.8121,756△11.3
その他574,293△9.255,897123.8
合計8,235,679△11.3724,18423.0

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を製品別に示すと、次のとおりであります。
製品別の名称販売高(千円)前年同期比(%)
エンドミル(6mm以下)6,338,594△13.3
エンドミル(6mm超)739,513△21.8
エンドミル(その他)478,792△22.1
その他543,376△17.7
合計8,100,276△15.0

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社サカイ1,536,41716.11,258,06215.5

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
●経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が前期比15.0%減少の8,100百万円、営業利益は同31.8%減少の1,512百万円となりました。新型コロナウイルス感染症の拡大により世界的にロックダウンによる操業停止やサプライチェーンの寸断が発生、特にすそ野の広い自動車産業において一時期生産台数が半減するほどの状況となり、工具需要は大きく減少いたしました。その後大手メーカーの生産水準維持の姿勢や米中の需要回復等から持ち直す動きとなり、リモートワークの拡大によるパソコンや関連機器の伸びに加え、主力スマートフォンの5G対応モデル発売等から電子・デバイス関連においても回復傾向となりました。
●重要な影響を与える要因
当社グループの製品はそれ自体が人々の暮らしを支えるものではなく、人々の暮らしを支える様々な工業製品を作る際に必要となるものです。従いまして、その需要動向は精密・微細加工を必要とする製品群にリンクしています。例えば、スマートフォンのようにこれまでになかった新たな製品が登場し、それを世界中の非常に多くの人が持つようになると、大きな需要が生まれます。また景気が上向き、人々の所得が増えると自動車が売れるようになったり、より高い機能を持った高級品が売れるようになったりすることによって需要が膨らみます。このように当社の製品需要は世界の景気動向や新たな製品の登場等によって大きく影響を受けています。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、世界中で人々の移動や経済活動が制限され、生産現場の多くで稼働が止まりました。同感染症の収束に伴い、社会・経済・産業といった様々な活動が再開されますが、行動様式の変化も考えられ、産業や業種によりコロナ前の水準に戻るには時間がかかるものと思われます。
その一方、今回のコロナ禍の経験により働き方の常識や仕事の進め方が大きく見直され、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進展することが考えられます。日本でもサービスが開始された5Gはテレワークや遠隔医療、遠隔授業をはじめ、今回その必要性がクローズアップされた様々な要素を円滑に行うためのインフラとして、その重要性は確実に高まっています。また5Gの普及と相まってIoTやAIの活用もより積極的に行われるとみられることから、半導体や電子部品等への需要は今後さらに拡大が見込まれるものと想定されます。
当社グループでは、それら最先端の需要をいかにして取りこぼすことなく対応できるかが重要であると考えており、引き続きCBNやPCDを用いた高機能・高付加価値製品の普及を図るとともに、より高精度、高効率、高寿命といったユーザー様のニーズに応え得る製品をご提供できるよう努力してまいります。
●資本の財源及び資金の流動性
当社グループでは、運転資金及び設備資金につきましては、原則内部留保で賄うこととしております。運転資金につきましては、売上に係る決済を原則締め日の翌月応当日とさせていただいており、当連結会計年度における売上債権回転期間は2.0ヶ月となっています。また今期は生産調整によりたな卸資産を442百万円圧縮しましたが、販売規模に見合った対応であり、棚卸資産回転期間は6.0ヶ月と昨年並みとなりました。一方で標準品の販売比率が高く欠品するとユーザー様にご迷惑をおかけしてしまうほか、失注に結び付く可能性もあるため、今後は一定水準の製品在庫を揃えておく必要があります。設備資金につきましては、機械設備の継続的な投資を行いつつ、必要に応じて工場建設等の大きな投資を行っており、通常は営業活動により得られた資金を上回ることはありません。なお、当連結会計年度は売上高の減少を見越して設備投資を後倒しとしたことから、設備投資額が減価償却費を下回りました。
●経営上の目標の達成状況
当社グループでは売上高よりも利益水準や効率性を重視しており、売上高経常利益率20%以上、自己資本利益率(ROE)10%以上を維持することを目標としております。なお、当連結会計年度における売上高経常利益率は21.1%(前期比2.3ポイント低下)、ROEは8.2%(同2.9ポイント低下)となっております。次期につきましては、当期に比べ経営環境は改善すると期待されますが、営業外収益が大きく減少することから売上高経常利益率は20.3%に止まるものと想定しております。また、自己資本利益率(ROE)10%の確保につきましては、次期におきましても達成は厳しい状況であると考えておりますが、資本の有効活用を進め、改善のための努力を行ってまいります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、当社経営陣は資産、負債及び収益・費用の各報告数値に影響を与える見積りの仮定を過去の実績や状況に応じて合理的に設定し、算定しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループは、今回のコロナウイルス感染症の影響や今後の見通しを含め、重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に重要な影響を及ぼす事項であるかを検討いたしましたが、合理的な見積り及びその影響額等を勘案した結果、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす事項は無いと判断いたしました。

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