有価証券報告書-第47期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/30 15:14
【資料】
PDFをみる
【項目】
165項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1) 経営成績
① 当社グループの業績
(金額単位:百万円/%表示は対前期増減率)
売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属
する当期純利益
(損失 △)
%%%%
2020年3月期94,0904.31,35145.9416△47.2664-
2019年3月期90,212△1.2926△61.8789△67.5△2,010-

当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は940億90百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益は13億51百万円(前年同期比45.9%増)、経常利益は営業外費用に為替差損並びに持分法による投資損失等を計上したことにより、4億16百万円(前年同期比47.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産譲渡等による特別利益を計上した一方で、新型コロナウイルス感染症による将来業績への影響を総合的に勘案した結果、特別損失に減損損失を計上し、また繰延税金資産を取り崩したことなどから、6億64百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失20億10百万円)となりました。
② セグメント別の業績
1) 映像コンテンツ事業
当連結会計年度における映像コンテンツ事業の業績は、売上高は262億5百万円(前年同期比11.8%増)、営業損失は3億59百万円(前年同期は営業利益43百万円)となりました。
上期には実写、アニメともに劇場映画作品の制作規模の拡大並びに件数が前年同期比で増加、また、TVCM、音楽ライブ収録も大型を含む案件数が増加して好調に推移しました。一方下期は、TVアニメシリーズの制作数減少などがあったものの、通期では増収を達成いたしました。
営業利益については、劇場作品等の製作委員会への出資に対する評価損等により、営業損失を計上いたしました。
2) 映像制作サービス事業
当連結会計年度における映像制作サービス事業の業績は、売上高は265億57百万円(前年同期比3.5%減)、営業利益は4億31百万円(前年同期比36.3%減)となりました。
映像コンテンツのポストプロダクションやE2Eサービス※1などの分野においては、デジタルシネマサービスや映画・アニメ向け等のポストプロダクションサービスが堅調に推移しました。また第4四半期において新型コロナウイルス感染拡大防止に基づいたスポーツ他イベント中止や延期に伴い、一部の撮影サービス・アーカイブサービスの受注減少が発生したものの、通期の売上は前期水準を維持することができました。営業利益についても継続的な原価コントロール等により増益となりました。
人材サービス分野においては、連結子会社1社の売却やデジタルコンテンツ事業拡充への投資等により、前期に比して減収減益となりました。
※1E2Eサービス:End to End。劇場映画やテレビドラマ作品などの映像コンテンツを編集等により作品として完成させた後に提供するサービス全般を言い、主にローカライズ(吹替、字幕付)とディストリビューション※2を統合したサービスを言う。
※2ディストリビューションとは、各メディア(劇場、VODやDVD/BDなど)へ映像コンテンツを配信するため、完成した作品の原版から、それぞれのメディア用にデータを作成、データチェック、納品の作業、及びその工程管理・素材管理を包括的に行うサービス
3) メディア・ローカライゼーション事業
当連結会計年度におけるメディア・ローカライゼーション事業の業績は、売上高は226億60百万円(前年同期比9.1%減)、営業損失は7億68百万円(前年同期は営業損失12億57百万円)となりました。
売上高については、欧州地域のテレビ番組向けローカライズの不調及び連結子会社2社の売却により、減収となりました。しかしながら、利益率の高い制作案件の好調な推移とともに、制作体制の見直しによる固定費削減を確実に進めたこと等により、売上の減少影響を抑制して損益が改善いたしました。
なお、2019年4月より持分法適用関連会社となったPixelogic Holdings, LLCと連携し、新規映像配信プラットフォーム向け等の受注増の取り組みを継続いたしました。
当該事業分野の業績につきましては、SDI Media Group, Inc.とその子会社の決算日が12月31日であるため、当連結会計年度には2019年1月1日~2019年12月31日の実績を反映しております。
4) 映像システム事業
当連結会計年度における映像システム事業の業績は、売上高は205億51百万円(前年同期比28.9%増)、営業利益は27億14百万円(前年同期比43.1%増)となりました。
映像システム分野においては、上期に計上した放送局向け大型案件に加え、各案件の納品を順調に進めた結果、大幅な増益となりました。またCMオンライン送稿システムもマーケットニーズの拡大により販売を順調に伸ばしました。イメージング分野においても、ハイスピードカメラ新製品の欧米での販売が好調に推移しており、映像システム事業全体で大幅な増収増益を達成いたしました。
※前連結会計年度まで「プロ用映像機器分野」と記載し報告してまいりました事業分野について、直近の業態に即し、「映像システム分野」に名称を改めました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前期比
金額(千円)(%)
映像システム事業20,035,841124.5
合計20,035,841124.5

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記以外の事業につきましては、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2) 受注実績
当社グループの生産・販売品目は、映像ビジネスにおいて幅広く多種多様な事業内容・形態で展開されており、その多くが生産活動の進捗に応じて受注・販売金額が確定するため、受注高及び受注残高は記載しておりません。
3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前期比
金額(千円)(%)
映像コンテンツ事業25,938,151111.7
映像制作サービス事業25,461,13095.8
メディア・ローカライゼーション事業22,584,95191.7
映像システム事業20,015,927128.3
合計94,000,161104.4

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
4.上記の他に新規事業開発関連収入、不動産賃貸収入等が90,542千円計上されております。
(2) 財政状態
①事業全体の状況
1)資産
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて25億70百万円(4.0%)減少し、621億54百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて48億24百万円(12.0%)減少し、352億95百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金、並びにたな卸資産が減少したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて22億53百万円(9.2%)増加し、268億59百万円となりました。これは主に、土地及びのれんが減少した一方で、関係会社株式及び長期貸付金が増加したことによるものであります。
2)負債
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて21億51百万円(5.8%)減少し、346億76百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて9億50百万円(3.6%)減少し、257億62百万円となりました。これは主に、未払法人税等が増加した一方で、前受金及び未払金、並びに支払手形及び買掛金が減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて12億1百万円(11.9%)減少し、89億13百万円となりました。これは主に、長期借入金及び繰延税金負債が減少したことによるものであります。
3)純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて4億18百万円(1.5%)減少し、274億78百万円となりました。なお、自己資本比率は40.3%となりました。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況
1)映像コンテンツ事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて12億55百万円減少し、147億81百万円となりました。これは主に、現金及び預金が増加した一方、たな卸資産、並びに受取手形及び売掛金が減少したことによります。
2)映像制作サービス事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて2億38百万円増加し、117億22百万円となりました。これは主に、現金及び預金が減少した一方、たな卸資産、並びに敷金及び保証金が増加したことによります。
3)メディア・ローカライゼーション事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて12億23百万円減少し、166億49百万円となりました。これは主に、のれん及びその他無形固定資産が減少したことによります。
4)映像システム事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて11億51百万円減少し、109億6百万円となりました。これは主に、現金及び預金が増加した一方、受取手形及び売掛金、並びにたな卸資産が減少したことによります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、前連結会計年度末に比べて12億60百万円(20.8%)増加し、73億27百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は、69億74百万円(前年同期は1億17百万円の獲得)となりました。
これは、主に前受金の減少により資金が減少した一方、売上債権の回収、たな卸資産の減少、並びに未払又は未収消費税等の増減により資金が増加したことによるものであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べて28億76百万円(202.5%)増加し、42億97百万円となりました。
これは、主に有形固定資産の売却により資金が増加した一方、関係会社株式の取得及び長期貸付けにより資金が減少したことによります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べて24億68百万円(65.7%)減少し、12億91百万円となりました。
これは、長期借入金の返済により資金が減少したことによるものであります。
④資本の財源及び資金の流動性について
主要な資金需要及び財源
当社グループの主要な資金需要は、運転資金、設備投資及びM&A等の事業投資であります。
これらの資金需要については、自己資金に加え、金融機関からの借入や新株予約権付社債などによる資金調達にて対応していくこととしております。
資金の流動性
運転資金については、当社及び一部国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。また、コミットメントライン契約を締結し、不測の事態における機動的かつ安定的な資金調達手段を確保しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、見積りは過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づいて、現時点において合理的であると判断したものであり、見積りの前提となる条件や事業環境が変化した場合など、見積りと将来の実績が異なることがあります。新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
重要な会計方針のうち、見積りや仮定等により連結財務諸表に重要な影響を与えると考えている項目は次のとおりであります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(のれんの減損処理)
のれんの償却方法については、投資効果の及ぶ期間にわたり、定額法により償却しております。なお、のれんの対象事業の収益性が低下し、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損処理を行う可能性があります。