有価証券報告書-第45期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/26 15:43
【資料】
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【項目】
126項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出や生産活動は回復が一服しているものの、堅調な雇用・所得情勢を背景に、消費は緩やかに回復を続けています。
当社グループの所属する映像関連業界においては、技術革新に伴う映像メディアの変化や映像制作工程の変化の中、常に新たな価値創造が求められております。
このような環境の下で、当社グループは、映像ビジネスにおいて幅広い事業展開を行っており、映像コンテンツ、映像制作サービス、映像システムソリューションを世界最高レベルでお届けできるOnly Oneのクリエイティブ&テクノロジー集団を目指すことを経営ビジョンに掲げ、グループの総合力を発揮し、収益力及び財務体質を強化することに取り組んでまいりました。
これらの結果、当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、売上高は913億51百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益は24億24百万円(前年同期比35.6%増)、経常利益は24億24百万円(前年同期比20.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は29億37百万円(前年同期比72.1%増)となりました
セグメント別の業績は次のとおりであります。
① 映像コンテンツ事業
映像コンテンツ事業においては、広告事業の最大の強みであるクリエイティブ力とプロデュース力の活用により営業領域を拡張すること、アニメーション事業においては制作体制を強化することで利益を最大化することなどに注力してまいりました。
当連結会計年度において映画とアニメーション作品の制作が前年と比較して増加したことや、CM制作の受注等により増収となりました。営業利益については映画制作やCM制作部門においては増益となったものの、映画配分金収入が前年と比較して減少したことにより、前年同期比1億9百万円減少しました。
これらの結果、当連結会計年度における当該事業の業績は、売上高は252億89百万円(前年同期比17.3%増)、営業利益は7億99百万円(前年同期比12.0%減)となりました。
② 映像制作サービス事業
映像制作サービス事業においては、デジタルシネマやデジタルネットワークなどの成長分野でのビジネス拡大や、労働環境の整備などを通じた生産性の向上、デバッグサービスなど請負型ビジネスの拡大などに注力してまいりました。
テレビ分野とCM分野のポストプロダクションについては前年と比較して減収となったものの、映像配信プラットフォーム向けのエンコードやローカライズサービスと、デジタルシネマサービスが大きく増加しております。
人材コンサルティング事業は人材不足の影響により減収となりましたが、デジタルコンテンツ事業において、業務請負型のCG制作及びデバッグ事業の売上が拡大しました。
これらの結果、当連結会計年度における当該事業分野の業績は、売上高は277億25百万円(前年同期比4.9%増)、営業利益は12億9百万円(前年同期比21.5%増)となりました。
③ メディア・ローカライゼーション事業
メディア・ローカライゼーション事業は、欧州や米国でのビジネスが大きな割合を占めておりますが、映像配信プラットフォーム向けビジネスの拡大に伴って人材の確保、設備増設、ITシステムへの投資を続ける一方で、ダイレクトマージン率のアップやワークフローの改善による生産性の向上などコスト構造改革にも取り込んでまいりました。
これらの結果、当連結会計年度における当該事業分野の業績は、売上高は248億14百万円(前年同期比14.6%増)、営業損失は6億74百万円(前年同期は営業損失11億61百万円)となりました。
なお、当該事業の業績につきましては、SDI Media Group, Inc.とその子会社の決算日が12月31日であるため、当連結会計年度には平成29年1月1日~平成29年12月31日の12ヶ月間の実績を反映しております。
④ 映像システム事業
映像システム事業においては、主に高速度ビデオカメラの開発・製造・販売・保守を、またTV局や映像制作プロダクション向けのプロ用映像機器の販売・保守などを行っておりますが、高速度ビデオカメラ市場は技術革新のスピードが速くまた参入障壁が高いことなど、厳しい競争環境ではあるものの、一定のシェアを確保すると高収益のビジネスを展開することができます。またプロ用映像機器市場は、2020年開催の東京オリンピックに向けて4K対応映像システムへの更新により受注が伸張してきております。
このような事業環境のもと、4K対応映像システムの案件受注と納品、保守サービスの確実な継続、光学計測機器やCMオンライン送稿向けシステム、医療用画像システムなど、新規事業の売上拡大と収益化に取り組んでまいりました。
当連結会計年度においては、プロ用映像機器分野が、放送局の中継分野でのHDから4Kへの移行需要増加による輸入システムの販売増や自社開発テロップシステム、保守サービスの受注増等により、好調に推移いたしました。また、LSI開発分野では、中国向けの映像・画像処理LSI出荷が増加したことで、売上、営業利益増に貢献いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における当該事業分野の業績は、売上高は149億97百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益は14億49百万円(前年同期比17.3%増)となりました。
中期経営計画について
当社グループは、2021年3月期に売上高1,000億円、営業利益率5%を経営指標とした「中期経営計画2020」を定めており、その達成のために以下のグループ基本戦略を掲げております。
1.成長ドライバーによる事業拡大
2.利益創出力の向上
3.経営基盤の強化
当連結会計年度においては、各事業セグメントにおいて上記の基本戦略に沿った事業運営を進めており、「中期経営計画2020」の2年目として中期経営計画の達成に向けた基盤を整備することができております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前期比
金額(千円)(%)
映像システム事業14,265,867106.3
合計14,265,867106.3

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記以外の事業につきましては、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当社グループの生産・販売品目は、映像ビジネスにおいて幅広く多種多様な事業内容・形態で展開されており、その多くが生産活動の進捗に応じて受注・販売金額が確定するため、受注高及び受注残高は記載しておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前期比
金額(千円)(%)
映像コンテンツ事業25,114,451117.3
映像制作サービス事業26,982,069105.4
メディア・ローカライゼーション事業24,472,361114.0
映像システム事業14,637,521109.3
合計91,206,403111.4

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
4.上記の他に不動産賃貸収入、ビル管理収入等が145,554千円計上されております。
5.前期比につきましては、前連結会計年度の実績をセグメント変更後の数値に組み替えて比較を行っております。
(2) 財政状態
①事業全体の状況
1)資産
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて23億39百万円(3.4%)増加し、705億46百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて18億30百万円(4.7%)増加し、405億37百万円となりました。これは主に、たな卸資産が減少した一方で、現金及び預金等が増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて5億8百万円(1.7%)増加し、300億9百万円となりました。これは主に、繰延税金資産が減少した一方で、投資有価証券等が増加したことによるものであります。
2)負債
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて6億97百万円(1.8%)減少し、375億68百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて3億78百万円(1.6%)減少し、238億95百万円となりました。これは主に、未払金が増加した一方で、支払手形及び買掛金が減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて3億18百万円(2.3%)減少し、136億73百万円となりました。これは主に、長期未払金が増加した一方で、退職給付に係る負債が減少したことによるものであります。
3)純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて30億36百万円(10.1%)増加し、329億78百万円となりました。なお、自己資本比率は41.7%となりました。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況
1)映像コンテンツ事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて6億58百万円増加し、161億15百万円となりました。これは主に、たな卸資産が減少した一方で現金及び預金が増加したことによります。
2)映像制作サービス事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて38億65百万円減少し、124億50百万円となりました。これは主に、グループ内配当により現金及び預金が減少したことによります。
3)メディア・ローカライゼーション事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて20億75百万円増加し、211億94百万円となりました。これは主に、PPC Creative Limitedの買収に伴い無形固定資産が増加したことによります。
4)映像システム事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて16億44百万円増加し、96億92百万円となりました。これは主に、現金及び預金と受取手形及び売掛金が増加したことによります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、前連結会計年度末に比べて24億15百万円(27.7%)増加し、111億31百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べて1億81百万円(4.6%)増加し、41億61百万円となりました。
これは、主にたな卸資産の減少により資金が増加した一方、法人税等の支払額が増加したことによります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べて47億14百万円(79.0%)減少し、12億51百万円となりました。
これは、主に連結子会社である株式会社IMAGICAティーヴィを売却したことにより資金が増加した一方、PPC Creative Limitedの買収、及び有形固定資産の取得により資金が減少したことによります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べて11億97百万円(71.0%)減少し、4億89百万円となりました。
これは、主にPPC Creative Limited買収に伴う長期借入金により資金が増加した一方、借入金の返済と配当金の支払により資金が減少したことによります。
④資本の財源及び資金の流動性について
主要な資金需要及び財源
当社グループの主要な資金需要は、運転資金、設備投資及びM&A等の事業投資であります。
これらの資金需要については、自己資金に加え、金融機関からの借入などによる資金調達にて対応していくこととしております。
資金の流動性
運転資金については、当社及び一部国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。また、コミットメントライン契約を締結し、不測の事態における機動的かつ安定的な資金調達手段を確保しております。