有価証券報告書-第81期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/07/31 14:19
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161項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要につきましては、以下のとおりです。
1.財政状態
当連結会計年度末の総資産は2,811億円となり、前連結会計年度末に比べ300億円(11.9%)の増加となりました。一方、負債は1,298億円となり、前連結会計年度末に比べ401億円(44.8%)の増加となりました。その結果、当連結会計年度末の純資産は1,513億円となり、前連結会計年度末に比べ101億円(6.3%)の減少となりました。
これに伴い、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末比11.2ポイントマイナスの48.7%となり、1株当たり純資産額は同97円61銭減の3,043円15銭となりました。
2.経営成績
当連結会計年度の連結業績は、売上高が2,956億円となり、前連結会計年度に比べ321億円(9.8%)の減少となりました。営業費用につきましては、売上原価が2,663億円となり、前連結会計年度に比べ151億円(5.4%)の減少、販売費及び一般管理費が260億円となり、前連結会計年度に比べ1億円(0.7%)の減少となりました。その結果、営業利益は33億円となり、前連結会計年度に比べ168億円(83.6%)の減少となりました。
営業外損益につきましては、営業外収益が18億円となり、前連結会計年度に比べ3億円(16.6%)減少した一方、営業外費用は17億円となり、前連結会計年度に比べ3億円(24.3%)の増加となりました。その結果、経常利益は34億円となり、前連結会計年度に比べ175億円(83.5%)の減少となりました。
特別損益につきましては、特別利益が13億円、特別損失が38億円となり、前連結会計年度に比べそれぞれ12億円の増加、35億円の増加となりました。その結果、税金等調整前当期純利益は9億円となり、前連結会計年度に比べ198億円(95.4%)の減少となりました。
税金費用につきましては、法人税、住民税及び事業税が32億円、過年度法人税等が32億円、法人税等調整額がマイナス39億円の合計25億円となり、前連結会計年度に比べ41億円(62.2%)の減少となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益は23億円となり、前連結会計年度に比べ12億円(100.6%)の増加となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は39億円の損失となり、前連結会計年度(128億円の利益)に比べ168億円の減少となりました。
なお、総資産利益率(ROA)は1.3%、自己資本利益率(ROE)は△2.8%となり、前連結会計年度に比べそれぞれ7.1ポイント、11.5ポイント下がっております。
各セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
a. 日本
売上高は882億円となり、前連結会計年度に比べ102億円(10.5%)の減収となりました。また、セグメント損失(営業損失)は85億円となり、前連結会計年度(68億円の利益)に比べ153億円の減益となりました。
b. 米州
売上高は887億円となり、前連結会計年度に比べ111億円(11.2%)の減収となりました。一方、セグメント利益は64億円となり、前連結会計年度に比べ22億円(54.0%)の増益となりました。
c. 欧州
売上高は352億円となり、前連結会計年度に比べ15億円(4.1%)の減収となりました。また、セグメント損失は9億円となり、前連結会計年度(10億円の利益)に比べ19億円の減益となりました。
d. アジア
売上高は833億円となり、前連結会計年度に比べ91億円(9.8%)の減収となりました。また、セグメント利益は70億円となり、前連結会計年度に比べ14億円(16.9%)の減益となりました。
3.キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は239億円となり、前連結会計年度末に比べ44億円減少しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは105億円の収入となり、前連結会計年度(364億円の収入)に比べ収入が259億円減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは379億円の支出となり、前連結会計年度(336億円の支出)に比べ支出が43億円増加しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは229億円の収入となり、前連結会計年度(45億円の支出)に比べ収入が274億円増加しました。
4.生産・受注及び販売の状況
生産、受注及び販売の実績につきましては、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
日本90,259112.0
米州83,11088.5
欧州35,016108.0
アジア69,68990.1
合計278,07697.8

(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
日本89,45893.522,973105.5
米州89,60590.519,666104.3
欧州38,397113.610,663141.9
アジア84,70292.719,766107.1
合計302,16494.573,069109.7

(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度におきまして、欧州セグメントにおける受注残高に著しい増加がありました。これは、当連結会計年度からユーエムコーポレーションを連結の範囲に含めたことによるものです。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
日本88,25389.5
米州88,79688.8
欧州35,24695.9
アジア83,39690.2
合計295,69290.2

(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高
(百万円)
割合(%)販売高
(百万円)
割合(%)
東風汽車有限公司59,60118.252,62017.8
日産自動車株式会社43,57013.340,96413.9
北米日産会社40,41012.334,57611.7
メキシコ日産自動車会社33,67110.330,66010.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ11.9%増(300億円増)の2,811億円となりました。これは得意先の減産影響及び為替影響等により受取手形及び売掛金が122億円減少した一方、日本や米州を中心に主に新車対応を目的に総額379億円(リースも含む)の設備投資を行ったこと等により有形固定資産が235億円増加したことや、今後の新車部品立上げに向けた金型設備の製作等により棚卸資産が117億円増加したことが主な要因であります。
他方、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ44.8%増(401億円増)の1,298億円となりました。これは将来に向けた金型設備の製作や設備投資、戦略的関係会社投資、資本政策としての自己株式取得等の資金需要に対し、主として短期借入金を中心とした資金調達を行ったことや、グループ間での移転価格調整の結果、一時的に未払法人税等が増加したこと等によるものであります。
これに伴い、当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ6.3%減(101億円減)の1,513億円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純損失(39億円)の計上に加え、配当金の支払い(25億円)や自己株式の取得(50億円)等により株主資本が減少した一方、持分法適用会社の連結子会社化等により非支配株主持分が増加したこと等によるものであります。
2.経営成績
当連結会計年度の売上高は2,956億円となり、前連結会計年度に比べ321億円(9.8%)の減少となりました。これは日本、米州、欧州、アジアのすべてのセグメントにおける得意先の減産に伴う操業度の低下や、グローバルでの円高・現地通貨安の傾向により為替換算後の売上高が減少したこと、年度末の新型コロナウイルス感染症による生産停止等によるものであります。
営業利益につきましては、上記の操業度低下に加えて、新車部品立上げ準備費用の負担等もあり、前連結会計年度に比べ168億円減(83.6%減)の33億円となりました。 上記に加え、受取利息の減少等による営業外収益の減少(前連結会計年度比3億円減、16.6%減)と、為替差損の増加等による営業外費用の増加(同3億円増、24.3%増)により、経常利益は前連結会計年度に比べ175億円減(83.5%減)の34億円となりました。
また、当連結会計年度においては、持分法適用会社の連結子会社化により12億円の段階取得に係る差益を計上した一方で、関係会社株式評価損13億円、関係会社整理損失引当金繰入額16億円、工場閉鎖損失4億円などの特別損失を計上したことにより、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ198億円減(95.4%減)の9億円となりました。
さらに、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、移転価格税制に関するメキシコ子会社での税金費用の減額により、非支配株主に帰属する当期純利益が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ168億円減の39億円の損失となりました。
各セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
a. 日本
日本におきましては、得意先の減産影響及び新型コロナウイルス感染症による生産停止影響等により、売上高は前連結会計年度比10.5%減の882億円となりました。また、得意先の減産影響に加え、新車部品立上げ準備費用等の負担があったこと、さらには日米間の移転価格税制調整金の支払い等により、セグメント利益(営業利益)は大きく減少し、85億円の損失(前連結会計年度は68億円の利益)のとなりました。
b. 米州
米州におきましては、得意先の大幅な減産影響及び新型コロナウイルス感染症による生産停止影響があったことに加え、米ドル、メキシコペソともに日本円に対してドル安、ペソ安で推移したことによる為替換算影響から、売上高は前連結会計年度比11.2%減の887億円となりました。一方、セグメント利益は、上記の減産影響があったものの、当社からの移転価格税制調整金の収入等もあり、前連結会計年度比54.0%増の64億円となりました。
c. 欧州
欧州におきましては、一方では当連結会計年度からユーエムコーポレーションを連結子会社化したことによる売上高の増加影響があったものの、他方では英国における得意先の大幅な減産影響があり、それに加えポンドが日本円に対して比較的大きく下落しポンド安で推移したことによる為替換算影響等もあり、売上高は前連結会計年度比4.1%減の352億円となりました。セグメント利益につきましては、主として上記の減産影響により、9億円の損失(前連結会計年度は10億円の利益)となりました。
d. アジア
アジアにおきましては、地域ごとに得意先の生産影響にバラつきはありましたが、一部の地域を除き概ね減産傾向となりました。また、為替影響につきましても、特に中国元が日本円に対して比較的大きく下落し元安で推移したことによる為替換算影響となり、上記の減産影響と相俟って大幅な売上の減少となりました。結果、売上高は前連結会計年度比9.8%減の833億円となりました。また、セグメント利益につきましては、多くの拠点で合理化活動により操業度低下の影響を抑えつつも、一部の拠点において大幅な減産影響による利益減等があり、前連結会計年度比16.9%減の70億円となりました。
3.キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資本が増加したものの、税金等調整前当期純利益や減価償却費等により105億円の収入となり、前連結会計年度に比べて259億円の収入減少となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益の減少及びたな卸資産の増加等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、日本、米州を中心とした固定資産の購入等により379億円の支出となり、前連結会計年度に比べて43億円の支出増加となりました。これは、主に有形固定資産の購入の増加等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式取得や配当金の支払い等による支出があったものの、短期借入金による資金調達の結果、229億円の収入となりました。前連結会計年度は45億円の支出であり、274億円の支出減少となりました。これは、主に短期借入金が増加したこと等によるものであります。
これらに為替変動の影響を加えた結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ44億円減の239億円となりました。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性維持及び効率的な資金の確保を最優先としております。これに従い、営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めると共に、自己資金を効率的に活用しております。
当社グループの運転資金需要の主な内訳は、自動車部品製造、プレス用金型製作のための材料および部品の購入のほか、労務費、製造経費、販売費および一般管理費等であります。また、設備資金需要の主な内訳は、得意先のモデルチェンジに対応するための自動車用部品の生産用設備及び生産性向上、品質向上のための設備投資であります。
こうした資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借入等でまかなっております。当社は、当連結会計年度末現在、資金の短期流動性を確保するため、シンジケーション方式のコミットメントライン契約による銀行融資枠及び当座貸越契約による銀行融資枠を467億円設定しており、その未使用枠は158億円となっております。さらに、グループファイナンスを効率よく行うこと及び金融費用の削減を目的として、資金余剰となっている国内子会社から当社が資金を借り入れ、資金需要が発生している国内子会社に貸出を行うキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しております。
当連結会計年度末において、流動資産は1,136億円(前連結会計年度末比5億円増)、流動負債は1,095億円(同348億円増)となり、その結果、流動比率は103.7%と前連結会計年度末に比べ47.6ポイントマイナスとなっております。
営業活動から得られるキャッシュ・フロー、資金調達手段、流動比率の水準に基づき、当社グループは、将来の債務履行のための手段を十分に確保しているものと考えております。また、足元の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う事業環境の悪化による資金需要の増加に備えて、「第5 経理の状況」「1 連結財務諸表等」「(1) 連結財務諸表」「後発事象」に記載のとおり、当社グループにおいて新たに複数の金融機関から総額163億円の資金調達を行ったほか、更なる機動的かつ安定資金確保の観点から、当社は新たに主要取引先銀行との間でコミットメントライン契約を締結し、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な資金の確保に努めております。
当社は、格付機関である㈱格付投資情報センター(R&I)から信用格付を取得しております。当連結会計年度末現在、当社の発行体格付けは、㈱格付投資情報センター(R&I):A-(長期)、a-1(短期)となっております。
4.重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況」「1 連結財務諸表等」「(1) 連結財務諸表」「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
貸倒引当金、賞与引当金等の計上につきましては、過去の実績や当該事象の状況に照らして合理的と考えられる見積り及び判断を行い、固定資産や投資有価証券の減損、繰延税金資産の計上につきましては、将来キャッシュ・フローの見積りや将来における回復可能性、回収可能性の判断を行っておりますが、これらの見積りや判断における前提や状況が変化した場合には、最終的な結果が異なるものとなる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症が固定資産の減損や繰延税金資産の回収可能性の判断における将来キャッシュ・フロー等の見積りに及ぼす影響につきましては、「第5 経理の状況」「1 連結財務諸表等」「(1) 連結財務諸表」「追加情報」に記載のとおりですが、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等の不透明さが今後も継続し、生産・販売水準の仮定が不利な方向に変動する場合には、将来キャッシュ・フローや将来の課税所得の減少により、追加的な減損損失や税金費用が発生する可能性があります。
上記のほかに、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性のある事象につきましては、「第2 事業の状況」「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。