半期報告書-第104期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2024/11/13 14:24
【資料】
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【項目】
35項目
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営環境
当中間連結会計期間の世界経済を概観しますと、経済成長率はおおむね堅調に推移し、インフレ収束を受け欧米では利下げが行われる等、金融政策の潮目に変化が見られました。一方で、中東情勢の緊迫化や、中国の過剰生産能力に対抗する対中関税引き上げの動き等、地政学的緊張による成長鈍化の懸念が高まりました。
米国経済は、個人消費を中心に景気は拡大したものの、労働市場の減速や物価上昇率の低下を受け、米国連邦準備制度理事会が9月に4年半ぶりとなる利下げを決定する等、金融政策の転換が見られました。欧州経済は、外需の落ち込みによる製造業の低迷で一部に足踏みが見られたものの、エネルギー価格の下落を背景としたインフレ圧力の低下やサービス輸出の押し上げにより、持ち直しの動きが見られました。中国経済は、国内需要の低迷を主因に減速する中、内需喚起の方針や金融緩和策が決定される等、景気浮揚への動きが見られました。新興国経済は、中国経済停滞の影響を受けつつも、堅調な内需と世界的なIT関連需要を背景に、アジア諸国を中心に景気は回復に転じました。
こうした中、わが国経済は、日米金利差の縮小を背景に2023年7月以来の円高水準となる中、個人消費では物価高影響による節約志向から足踏みが残るものの、実質賃金は27カ月ぶりにプラスに転じる等、景気は緩やかな回復基調が続きました。
②セグメント別の事業活動
当社は2024年4月1日より成長戦略の更なる加速のため、組織体制を見直すとともに、明確なミッションに基づいた社会やお客様への提供価値を表す本部名称へ変更しました。
(Ⅰ)メタル+(Plus)
日本国内における自動車鋼板事業の競争力強化を目的に、当社の金属事業の一部について、豊田スチールセンター㈱への会社分割と、㈱プロスチールへの事業譲渡を2024年4月に行いました。本取り組みにより、各社へ国内自動車鋼板事業の移管、集約及び効率化を進めつつ、更なる商権拡大を目指します。
(Ⅱ)サーキュラーエコノミー
アルミサッシの水平リサイクル拡大を目的に、豊通ソーテック㈱は、兵庫県赤穂市において新工場を建設、2025年8月の生産開始を予定しています。本工場では、市中から集荷したアルミサッシスクラップを原料に、破砕・選別工程によってビス等異物を除去し、リサイクルアルミ原料に加工する取り組みを行います。本取り組みにより、アルミ資源の循環を実現することでサーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルの実現に貢献していきます。
(Ⅲ)サプライチェーン
製造業のグローバル展開及び調達業務の高度化をサポートすることを目的に、A1A㈱との資本業務提携を行い、A1A㈱が開発した自動車業界の調達コストを最適化するサービス「UPCYCLE」の提供を支援しています。本取り組みにより、グローバルでの調達最適化に向けた調達先の選定・集約等の実行支援までを一気通貫して行うことで、製造業のグローバルでの調達・購買活動の高度化に貢献していきます。
(Ⅳ)モビリティ
カンボジアにおけるモビリティ産業の発展に貢献することを目的に、車両組立事業会社であるToyota Tsusho Manufacturing (Cambodia) Co., Ltd.は、プノンペン経済特区内の新工場において、トヨタ自動車㈱のピックアップトラック「ハイラックス」及びSUV「フォーチュナー」のSKD (Semi Knock Down)生産を、2024年5月から開始しています。本取り組みにより、同国のモビリティバリューチェーンや雇用創出・人財育成に更に深く関わり、モビリティ産業の発展、そして同国の経済、社会の発展に貢献していきます。
(Ⅴ)グリーンインフラ
新千歳空港内で使用する作業車両のCO2排出量削減を目的に、2024年7月から、日本航空㈱、㈱セコマ、千歳空港モーターサービス㈱とともに、バイオディーゼル燃料(BDF)を通年で使用する運用を開始しました。道内のセイコーマートの店内調理「HOT CHEF」で発生する廃食油をBDFに精製することで地産地消による循環型エネルギーの利用によるCO2排出削減の取り組みを推進していきます。
(Ⅵ)デジタルソリューション
サイバーセキュリティ事業の拡大を目的に、2024年9月に米国のサイバーセキュリティ企業Keyfactor, Inc.と戦略的パートナーシップを締結しました。公開鍵基盤(PKI)技術により、自動車のサイバーセキュリティを更に強化するとともに、サイバーセキュリティ対応が必要な様々な産業に対しグローバルにサービスを提供します。PKIを軸とした暗号技術の社会実装を推進し、安心・安全で優しい未来を実現するデジタルインフラの構築に貢献していきます。
(Ⅶ)ライフスタイル
繊維・ファッション領域のサーキュラーエコノミー推進プロジェクト「PATCHWORKS®」の一環として、2024年8月に、一般社団法人SWiTCHが主催する、海洋問題を含む環境問題へのアクションの促進を図る「渋谷で感じる海プロジェクト」に参画しました。今後もナイロンtoナイロンの繊維リサイクルを始めとした「PATCHWORKS®」の取り組みを通じて、廃棄される全ての衣料品が、再び衣料品として生まれ変わる機会と未来を創り、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。
(Ⅷ)アフリカ
アフリカで再生可能エネルギー事業を通じたグリーンな経済発展への貢献を目的に設立した当社グループのAEOLUS SASが、2024年8月に、ノルウェーのScatec ASAとともにチュニジアで計100MWの太陽光発電所を建設・所有・運営し、電力を販売する独立系発電事業(IPP事業)に参画しました。本事業は、同国において当社グループ初となる再生可能エネルギー事業となり、2025年度下期の完工・売電開始を予定しています。今後もAEOLUS SASを通じて、アフリカ各国の状況に適した再エネ電源の開発・導入量拡大を目指していきます。
③当中間連結会計期間の経営成績
当社グループの当中間連結会計期間の収益は、円安影響等の一方で、食料事業における取り扱い減少等により、前年同中間連結会計期間を693億円(1.3%)下回る5兆659億円となりました。
利益につきましては、営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費の増加の一方で、売上総利益の増加により、前年同中間連結会計期間を148億円(6.3%)上回る2,479億円となりました。中間利益(親会社の所有者に帰属)は、資源市況悪化等による持分法投資損益の減少の一方で、営業活動に係る利益の増加等により、前年同中間連結会計期間を38億円(2.1%)上回る1,815億円となりました。
(Ⅰ)メタル+(Plus)
中間利益(親会社の所有者に帰属)については、北米を中心とした自動車生産関連の取り扱い増加等により、前年同中間連結会計期間を47億円(25.2%)上回る234億円となりました。
(Ⅱ)サーキュラーエコノミー
中間利益(親会社の所有者に帰属)については、資源市況の悪化等により、前年同中間連結会計期間を73億円(22.1%)下回る256億円となりました。
(Ⅲ)サプライチェーン
中間利益(親会社の所有者に帰属)については、北米を中心とした自動車部品の取り扱い増加等により、前年同中間連結会計期間を10億円(4.2%)上回る239億円となりました。
(Ⅳ)モビリティ
中間利益(親会社の所有者に帰属)については、欧州、豪亜を中心とした海外自動車販売台数減少等により、前年同中間連結会計期間を8億円(2.8%)下回る290億円となりました。
(Ⅴ)グリーンインフラ
中間利益(親会社の所有者に帰属)については、欧州電力価格の下落及び北米発電事業における評価損等により、前年同中間連結会計期間を7億円(5.2%)下回る121億円となりました。
(Ⅵ)デジタルソリューション
中間利益(親会社の所有者に帰属)については、エレクトロニクス事業における取り扱い減少の一方で、前期一過性損失の影響等により、前年同中間連結会計期間を13億円(9.8%)上回る153億円となりました。
(Ⅶ)ライフスタイル
中間利益(親会社の所有者に帰属)については、南米食料事業における市況下落の一方で、国内食品事業における一過性利益等により、前年同中間連結会計期間を22億円(32.6%)上回る89億円となりました。
(Ⅷ)アフリカ
中間利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車販売台数減少の一方で、モデルミックスの変化等により、前年同中間連結会計期間を26億円(7.1%)上回る396億円となりました。
④財政状態
資産につきましては、棚卸資産で884億円、持分法で会計処理されている投資で193億円増加した一方で、その他の投資で1,289億円、営業債権及びその他の債権で722億円、現金及び現金同等物で275億円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,290億円減少の6兆9,309億円となりました。また、資本につきましては、FVTOCIの金融資産が917億円、在外営業活動体の換算差額が191億円減少した一方で、中間利益(親会社の所有者に帰属)等により利益剰余金が1,268億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ58億円増加の2兆6,259億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、営業活動による増加、投資活動及び財務活動による減少等により8,512億円となり、前連結会計年度末より275億円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において、営業活動による資金の増加は1,606億円(前年同中間連結会計期間比426億円
の収入減少)となりました。これは、税引前中間利益等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において、投資活動による資金の減少は636億円(前年同中間連結会計期間比1,115億円
の支出減少)となりました。これは、有形固定資産の取得等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において、財務活動による資金の減少は1,084億円(前年同中間連結会計期間比553億円
の支出増加)となりました。これは、配当金の支払い等によるものです。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当中間連結会計期間において、特記すべき事項はありません。