有価証券報告書-第97期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/21 13:40
【資料】
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【項目】
64項目
(1)業績等の概要
①業績
当連結会計年度の世界経済を概観しますと、米国の保護主義的な貿易通商政策や、中国習近平体制の強化及び流動的な北朝鮮情勢等、先行き不透明感があるものの、米国と欧州の経済が堅調に推移したことに加え、新興国経済の改善が継続し、全体として回復基調となりました。
米国経済は、堅調な雇用・所得環境と個人消費・設備投資の拡大に加え、減税効果等により、回復基調が継続しました。欧州経済は、英国のEU離脱交渉難航等による減速基調やイタリア等でのポピュリズム台頭等、先行き不透明感があるものの、堅調な内需と雇用環境の改善及び輸出拡大により、全体では緩やかな回復を継続しました。中国経済は、公共投資等の政府政策と良好な企業・家計の景況感に基づく内需が堅調に推移したものの、企業債務や過剰生産能力の調整等により、緩やかな減速が続きました。新興国経済は、資源価格の持ち直し等による景況感の改善に加え、低インフレ・低金利を背景に、安定した成長軌道に乗りました。
こうした中、わが国経済は、雇用環境の改善に伴う消費の拡大に加え、堅調な設備投資や輸出拡大等により、緩やかな回復基調が継続しました。
このような環境のもと、豊田通商グループの当連結会計年度の収益は円安による為替影響及び自動車生産関連取り扱い増加等により、前連結会計年度を6,937億円(12.0%)上回る6兆4,910億円となりました。
利益につきましては、営業活動に係る利益は収益増加に伴う売上総利益の増加等により、前連結会計年度を490億円(36.7%)上回る1,826億円となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は前期の連結納税制度適用を前提とした会計処理の影響により税金費用が増加したものの、営業活動に係る利益の増加に加え、子会社株式の一部売却益等により、前連結会計年度を223億円(20.7%)上回る1,302億円となりました。
(Ⅰ)金属
需要増が見込まれるリチウムの安定供給及びパートナーシップ強化を目的に、オーストラリアのリチウム資源開発会社Orocobre Limitedによる第三者割当増資の引受け、及び新株予約権無償割当への参加を2018年1月に決定し、同社株の15%を取得しました。当期利益(親会社の所有者に帰属)については、市況の上昇等により、前連結会計年度を25億円(9.9%)上回る278億円となりました。
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
航空部品事業の強化を目的に、2018年3月に航空機エンジン用部品の製造・販売会社AeroEdge株式会社による第三者割当増資を引き受け、同社へ出資しました。当期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車部品取り扱い増加等により、前連結会計年度を68億円(42.6%)上回る228億円となりました。
(Ⅲ)自動車
新たなモビリティサービス領域における協業を目的に、2017年8月に東南アジア最大のライドシェアサービス会社Grab Inc.へ出資しました。当期利益(親会社の所有者に帰属)については、海外自動車販売会社の取扱台数増加等により、前連結会計年度を33億円(21.9%)上回る183億円となりました。
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
EV・PHVを活用したバーチャルパワープラント事業の推進を目的に、車載蓄電池を活用したVehicle to Grid電力事業を展開する米国ベンチャー企業Nuvve Corporationへ2017年11月に出資しました。当期利益(親会社の所有者に帰属)については、前期ガス事業の損失影響及び当期ガス事業の売却益等により、前連結会計年度を159億円(98.7%)上回る320億円となりました。
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
経済産業省からの受託事業である「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業:トラックの隊列走行の社会実装に向けた実証」に関し、本事業の一環として2018年1月に世界初となる国内メーカー4社が開発したトラックによる高速道路での後続有人隊列走行の実証実験を行いました。当期利益(親会社の所有者に帰属)については、子会社株式の一部売却益、エレクトロニクス関連取り扱い増加及び前期一過性損失の影響等により、前連結会計年度を188億円(183.9%)上回る290億円となりました。
(Ⅵ)食料・生活産業
名古屋ささしまライブ24地区の複合施設「グローバルゲート」において、2017年4月のオフィス入居開始に続き、10月に49店舗の商業施設・ホテルが開業しました。当期利益(親会社の所有者に帰属)については、前期固定資産減損損失の影響等により、前連結会計年度を113億円上回る23億円となりました。
(Ⅶ)アフリカ
CFAO SASがショッピングセンター事業をカメルーンで開始し、同国最大の経済都市ドゥアラにCarrefour Market Bonamoussadiを2017年12月にオープンしました。当期損失(親会社の所有者に帰属)については、固定資産減損損失等により、前連結会計年度を89億円下回る△32億円となりました。
(次期の見通し)
次期の業績の見通しにつきましては、当期利益(親会社の所有者に帰属)は1,400億円となる見込みです。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による増加、投資活動及び財務活動による減少等により、4,234億円となり、前連結会計年度末より28億円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は2,150億円(前連結会計年度比553億円増加)となりました。これは税引前利益等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は924億円(前連結会計年度比351億円増加)となりました。これは有形固定資産の取得等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は1,287億円(前連結会計年度比1,343億円減少)となりました。これは借入金の返済等によるものです。
(2)仕入、成約及び販売の実績
①仕入の実績
仕入と販売との差額は僅少であるため、記載は省略しております。
②成約の実績
成約と販売との差額は僅少であるため、記載は省略しております。
③販売の実績
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ①業績」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項4.セグメント情報」を参照してください。
(3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
①重要な会計方針及び見積り
当社グループにおける重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項3.重要な会計方針」を参照してください。
②当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の収益は円安による為替影響及び自動車生産関連取り扱い増加等により、前連結会計年度を6,937億円(12.0%)上回る6兆4,910億円となりました。
利益につきましては、営業活動に係る利益は収益増加に伴う売上総利益の増加等により、前連結会計年度を490億円(36.7%)上回る1,826億円となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は営業活動に係る利益の増加に加え、子会社株式の一部売却益等により、前連結会計年度を223億円(20.7%)上回る1,302億円となり、2期連続で過去最高益を更新することができました。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
(Ⅰ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度と比べ28億円減少し4,234億円となりました。資金の増減額は前連結会計年度と比べて368億円の減少となっており、この主な増加または減少要因は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローでは、2,150億円の資金を獲得しました。前連結会計年度と比べて553億円の収入増加となりましたが、これは主に営業債権及びその他の債権による資金の使用が1,089億円減少したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、924億円の資金を使用しました。前連結会計年度と比べて351億円の支出減少となりましたが、これは主に定期預金の預入れによる資金の支出が336億円減少したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、1,287億円の資金を使用しました。前連結会計年度と比べて1,343億円の支出増加となりましたが、これは主に長期借入金の返済による資金の支出が1,850億円増加したことによるものです。
(Ⅱ)財務戦略
当社グループでは、財務健全性を維持した安定的成長を目指して、「資産の効率化」と「資産の内容に見合った調達」を柱とする財務戦略を推進しております。
「資産の効率化」については、“最小限の資金で最大限の利益確保”を目指し、売掛債権回収の早期化、在庫の削減等による運転資本の効率化や不稼動・非効率固定資産の削減など、資金の効率化を進めております。これらの活動により得られる資金を、より将来性の高い事業への投資や、有利子負債の圧縮に充当することにしており、“企業価値の向上”と“財務の健全性向上”の両立を目指しております。
一方、「資産の内容に見合った調達」については、固定資産は長期借入金と株主資本でカバーし、運転資本は短期借入金でカバーすることを原則としておりますが、同時に運転資本の底溜り部分も長期資金でまかなうことを方針としております。また、連結ベースでの資金管理体制については、親会社からの国内グループファイナンスに一元化すると共に、海外子会社の資金調達についても、アジア及び欧米の海外現地法人などにおいて集中して資金調達を行い、子会社への資金供給をするというキャッシュマネジメントシステムを活用したグループファイナンスを行うことで、連結ベースでの資金の効率化に努め、資金管理体制の更なる充実を図っております。更には、当社グループの資金調達の安全のため、マルチカレンシー・リボルビング・ファシリティー(複数通貨協調融資枠)及びマルチプライシング型長期リボルビング・クレジット・ファシリティーを設定するなど、不測の事態にも対応できるように備えております。
今後の資金調達について、当社グループの営業活動が生み出すキャッシュ・フロー、資産の内容、経済情勢、金融環境などを考慮し、資産の一層の効率化と安定的な資金調達に対応していきたいと考えております。
当連結会計年度末の流動比率は連結ベースで143%となっており、流動性の点で当社の財務健全性を維持しております。また、当社及び連結子会社では、主として現預金及び上述コミットメントラインの設定により、十分な流動性を確保しております。
(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(収益の表示方法)
日本基準では、当社グループが当事者として行った取引額及び当社グループが代理人として関与した取引額を総額で売上高として表示いたしますが、IFRSでは、代理人として関与したと判断される取引については純額で収益を表示いたします。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度の収益及び原価がそれぞれ2,152,579百万円減少しております。
(のれんの償却)
日本基準では、のれんの償却については、一定の期間で償却いたしますが、IFRSでは償却を行いません。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度ののれん償却額(販売費及び一般管理費)が17,802百万円減少しております。