有価証券報告書-第99期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)業績等の概要
①経営環境
当連結会計年度の世界経済を概観しますと、第3四半期までは米国では底堅さが見られたものの、欧州や中国の景気低迷により、全体として減速基調となりました。また、第4四半期には各国に広がる新型コロナウイルス感染症の影響により、世界的に景気が失速しました。
第3四半期までを振り返りますと、米国経済は、雇用環境や個人消費が堅調に推移するとともに、FRBの利下げ等の金融政策が景気の下支えとなっていました。欧州経済は、個人消費と政府消費が底堅さを維持し、低迷が続いていた製造業に底入れの兆しが見えてきた一方で、英国のEU離脱等により先行き不透明感が増大しました。中国経済は、減税・補助金等の経済政策で景気下支えを図るも、インフラ投資停滞と消費マインド悪化等により減速基調が継続しました。新興国経済は、中国経済減速による輸出減や資源価格の下落等で減速基調となりました。
第4四半期に入り、新型コロナウイルス感染症の拡大による各国での経済活動の停止や金融市場の混乱等に伴い、世界的に景気失速傾向が強まりました。
こうした中、わが国経済は、雇用・所得環境は改善したものの、相次ぐ自然災害や消費増税の影響により内需が冷え込み、減速基調となりました。また、新型コロナウイルス感染症の拡大によるインバウンド需要の減少や輸出低迷が継続、製造業を中心に景況感が悪化し、消費マインドが一層冷え込み、景気が後退しました。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響が広がっておりますが、当社グループは引き続き「Global Vision」の達成を目指し、さまざまな社会課題の解決に貢献する事業活動を推進してまいります。
②セグメント別の事業活動
当社グループは「Global Vision」において、あるべき姿として「Be the Right ONE」を掲げ、Mobility分野、Life & Community分野、Resources & Environment分野の3つの事業領域で当社グループならではの強みである「Toyotsu Core Values」を発揮し、当社グループらしい事業を広げてまいります。
(Ⅰ)金属
インドでの使用済み車両の不法投棄削減と適正処理等を目的に、Toyota Tsusho India Private Limitedとスズキ株式会社のインド子会社であるMaruti Suzuki India Limitedと共に、使用済み車両の解体とリサイクルを行う合弁会社Maruti Suzuki Toyotsu India Private Limitedを、2019年10月に設立しました。(Mobility分野・Resources & Environment分野)
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
車両検査の効率化と省人化を目的に、AIを活用した画像解析による車両検査サービスを提供するイスラエルのUVeye Ltd.の第三者割当増資を引き受け、2019年6月に同社へ出資し、協業を推進しています。(Mobility分野)
(Ⅲ)自動車
新興国におけるモビリティサービスやMaaS領域の事業開発を推進することを目的に、新興国で公共交通データプラットフォーム事業を展開する英国のWhereIsMyTransport Ltd. に対して、2019年12月にシリーズA資金調達ラウンドにおいて出資し、業務提携並びに協業を進めています。(Mobility分野・Life & Community分野)
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
エジプトの自動車産業と経済発展への貢献を目的に、フランスのBolloré Africa Logistics及び日本郵船株式会社と共に、エジプトの東ポートサイード港において、同国初となる自動車専用ターミナルの建設と運営を、スエズ運河経済特区庁から2019年12月に受託しました。(Mobility分野)
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
コネクティッドサービスの実現に向けた技術のR&D推進を目的に、Toyota Tsusho Asia Pacific Pte. Ltd.及びTOYOTA TSUSHO NEXTY ELECTRONICS (THAILAND) CO., LTD.と共に、シンガポールにおいてToyota Tsusho Mobility Informatics Pte. Ltd.を、2019年11月に設立し、12月より営業を開始しています。(Mobility分野)
(Ⅵ)食料・生活産業
インドネシアにおける単身者・出張者向けサービスアパートメントであるAXIA第1期・第2期が好評であることを受け、増加を続ける在留邦人のさらなる需要に応えることを目的に、ファミリー向けサービスアパートメント開発・運営会社のPT. Toyota Tsusho Real Estate Cikarangが、2019年12月に第3期の建設を開始しました。(Life & Community分野)
(Ⅶ)アフリカ
ケニアを中心に東アフリカで物流デジタルプラットフォームサービスを展開するSendy Limitedのサービス活用を目的に、Mobility 54 Investment SASを通じて、Sendy LimitedのシリーズB第三者割当増資を引き受け、2019年12月に同社への出資を決定しました。(Mobility分野・Life & Community分野)
③業績
(2)仕入、成約及び販売の実績
①仕入の実績
仕入と販売との差額は僅少であるため、記載は省略しております。
②成約の実績
成約と販売との差額は僅少であるため、記載は省略しております。
③販売の実績
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③業績」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項4.セグメント情報」を参照してください。
(3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項3.重要な会計方針」に記載しています。また、重要な見積り及び判断については「第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。
②当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の収益は原油の取り扱い減少及び円高による為替影響等により、前連結会計年度を687億円(1.0%)下回る6兆6,940億円となりました。
利益につきましては、営業活動に係る利益は売上総利益の増加の一方で販売費及び一般管理費の増加等により、前連結会計年度を48億円(2.2%)下回る2,103億円となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は営業活動に係る利益の減少及び持分法による投資損益の悪化の一方で、法人所得税費用の減少等により、前連結会計年度を29億円(2.2%)上回る1,355億円となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響については、営業活動に係る利益ベースでマイナス46億円程度含まれております。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
(Ⅰ)金属
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車生産関連の取り扱い減少及び市況の下落、金属資源事業における減損等により、前連結会計年度を164億円(46.2%)下回る189億円となりました。
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、受取配当金の減少及び為替影響等により、前連結会計年度を14億円(5.9%)下回る223億円となりました。
(Ⅲ)自動車
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、海外自動車販売会社の取扱台数減少等により、前連結会計年度を30億円(13.0%)下回る197億円となりました。
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、電力事業における関連会社株式売却益及び前期一過性損失の影響等により、前連結会計年度を164億円(87.4%)上回る351億円となりました。
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、エレクトロニクス事業における利益率低下の一方で、前期一過性損失の影響等により、前連結会計年度を43億円(23.3%)上回る227億円となりました。
(Ⅵ)食料・生活産業
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、食料事業の採算良化及び高利益率商内の増加等により、前連結会計年度を41億円(234.1%)上回る58億円となりました。
(Ⅶ)アフリカ
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車販売の増加等により、前連結会計年度を39億円(38.5%)上回る140億円となりました。
次期の業績の見通しにつきましては、当期利益(親会社の所有者に帰属)は800億円となる見込みです。
③財政状態
資産につきましては、有形固定資産で1,683億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,038億円増加の4兆5,452億円となりました。また、資本につきましては、当期利益(親会社の所有者に帰属)等により利益剰余金が923億円増加した一方で、その他の資本の構成要素で901億円減少したこと及び非支配持分で179億円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ172億円減少の1兆3,724億円となりました。
その結果、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は26.3%、ネットDERは0.9倍となりました。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
(Ⅰ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による増加、投資活動及び財務活動による減少等により、4,963億円となり、前連結会計年度末より305億円の増加となりました。資金の増減額は前連結会計年度と比べて81億円の減少となっており、この主な増加または減少要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は2,678億円となりました。これは税引前利益等によるものです。前連結会計年度比では571億円の収入増加となりましたが、これは主に棚卸資産の増加額が631億円減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は1,739億円となりました。これは有形固定資産の取得等によるものです。前連結会計年度比では364億円の支出増加となりましたが、これは主に定期預金への預け入れにより資金が488億円減少したこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは939億円の資金の増加となりました。前連結会計年度比では207億円の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は536億円となりました。これは配当金の支払い等によるものです。前連結会計年度比では287億円の支出増加となりましたが、これは主に非支配株主からの子会社持分取得により資金が247億円減少したこと等によるものです。
(Ⅱ)財務戦略
当社グループでは、財務健全性を維持した安定的成長を目指して、「資産の効率化」と「資産の内容に見合った調達」を柱とする財務戦略を推進しております。
「資産の効率化」については、“最小限の資金で最大限の利益確保”を目指し、売掛債権回収の早期化、在庫の削減等による運転資本の効率化や不稼動・非効率固定資産の削減など、資金の効率化を進めております。これらの活動により得られる資金を、より将来性の高い事業への投資や、有利子負債の圧縮に充当することにしており、“企業価値の向上”と“財務の健全性向上”の両立を目指しております。
一方、「資産の内容に見合った調達」については、固定資産は長期借入金と株主資本でカバーし、運転資本は短期借入金でカバーすることを原則としておりますが、同時に運転資本の底溜り部分も長期資金でまかなうことを方針としております。また、連結ベースでの資金管理体制については、親会社からの国内グループファイナンスに一元化すると共に、海外子会社の資金調達についても、アジア及び欧米の海外現地法人などにおいて集中して資金調達を行い、子会社への資金供給をするというキャッシュマネジメントシステムを活用したグループファイナンスを行うことで、連結ベースでの資金の効率化に努め、資金管理体制の更なる充実を図っております。更には、当社グループの資金調達の安全のため、マルチカレンシー・リボルビング・ファシリティー(複数通貨協調融資枠)等を設定するなど、不測の事態にも対応できるように備えております。
今後の資金調達について、当社グループの営業活動が生み出すキャッシュ・フロー、資産の内容、経済情勢、金融環境などを考慮し、資産の一層の効率化と安定的な資金調達に対応していきたいと考えております。
当連結会計年度末の流動比率は連結ベースで150%となっており、流動性の点で当社の財務健全性を維持しております。また、当社及び連結子会社では、主として現預金及び上述コミットメントラインの設定により、十分な流動性を確保しております。
当連結会計年度末時点での当社の長期及び短期の信用格付けは次のとおりです。
(注) 2020年5月28日にA(ネガティブ)に引き下げられております。
①経営環境
当連結会計年度の世界経済を概観しますと、第3四半期までは米国では底堅さが見られたものの、欧州や中国の景気低迷により、全体として減速基調となりました。また、第4四半期には各国に広がる新型コロナウイルス感染症の影響により、世界的に景気が失速しました。
第3四半期までを振り返りますと、米国経済は、雇用環境や個人消費が堅調に推移するとともに、FRBの利下げ等の金融政策が景気の下支えとなっていました。欧州経済は、個人消費と政府消費が底堅さを維持し、低迷が続いていた製造業に底入れの兆しが見えてきた一方で、英国のEU離脱等により先行き不透明感が増大しました。中国経済は、減税・補助金等の経済政策で景気下支えを図るも、インフラ投資停滞と消費マインド悪化等により減速基調が継続しました。新興国経済は、中国経済減速による輸出減や資源価格の下落等で減速基調となりました。
第4四半期に入り、新型コロナウイルス感染症の拡大による各国での経済活動の停止や金融市場の混乱等に伴い、世界的に景気失速傾向が強まりました。
こうした中、わが国経済は、雇用・所得環境は改善したものの、相次ぐ自然災害や消費増税の影響により内需が冷え込み、減速基調となりました。また、新型コロナウイルス感染症の拡大によるインバウンド需要の減少や輸出低迷が継続、製造業を中心に景況感が悪化し、消費マインドが一層冷え込み、景気が後退しました。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響が広がっておりますが、当社グループは引き続き「Global Vision」の達成を目指し、さまざまな社会課題の解決に貢献する事業活動を推進してまいります。
②セグメント別の事業活動
当社グループは「Global Vision」において、あるべき姿として「Be the Right ONE」を掲げ、Mobility分野、Life & Community分野、Resources & Environment分野の3つの事業領域で当社グループならではの強みである「Toyotsu Core Values」を発揮し、当社グループらしい事業を広げてまいります。
(Ⅰ)金属
インドでの使用済み車両の不法投棄削減と適正処理等を目的に、Toyota Tsusho India Private Limitedとスズキ株式会社のインド子会社であるMaruti Suzuki India Limitedと共に、使用済み車両の解体とリサイクルを行う合弁会社Maruti Suzuki Toyotsu India Private Limitedを、2019年10月に設立しました。(Mobility分野・Resources & Environment分野)
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
車両検査の効率化と省人化を目的に、AIを活用した画像解析による車両検査サービスを提供するイスラエルのUVeye Ltd.の第三者割当増資を引き受け、2019年6月に同社へ出資し、協業を推進しています。(Mobility分野)
(Ⅲ)自動車
新興国におけるモビリティサービスやMaaS領域の事業開発を推進することを目的に、新興国で公共交通データプラットフォーム事業を展開する英国のWhereIsMyTransport Ltd. に対して、2019年12月にシリーズA資金調達ラウンドにおいて出資し、業務提携並びに協業を進めています。(Mobility分野・Life & Community分野)
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
エジプトの自動車産業と経済発展への貢献を目的に、フランスのBolloré Africa Logistics及び日本郵船株式会社と共に、エジプトの東ポートサイード港において、同国初となる自動車専用ターミナルの建設と運営を、スエズ運河経済特区庁から2019年12月に受託しました。(Mobility分野)
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
コネクティッドサービスの実現に向けた技術のR&D推進を目的に、Toyota Tsusho Asia Pacific Pte. Ltd.及びTOYOTA TSUSHO NEXTY ELECTRONICS (THAILAND) CO., LTD.と共に、シンガポールにおいてToyota Tsusho Mobility Informatics Pte. Ltd.を、2019年11月に設立し、12月より営業を開始しています。(Mobility分野)
(Ⅵ)食料・生活産業
インドネシアにおける単身者・出張者向けサービスアパートメントであるAXIA第1期・第2期が好評であることを受け、増加を続ける在留邦人のさらなる需要に応えることを目的に、ファミリー向けサービスアパートメント開発・運営会社のPT. Toyota Tsusho Real Estate Cikarangが、2019年12月に第3期の建設を開始しました。(Life & Community分野)
(Ⅶ)アフリカ
ケニアを中心に東アフリカで物流デジタルプラットフォームサービスを展開するSendy Limitedのサービス活用を目的に、Mobility 54 Investment SASを通じて、Sendy LimitedのシリーズB第三者割当増資を引き受け、2019年12月に同社への出資を決定しました。(Mobility分野・Life & Community分野)
③業績
(単位:億円) | |||
前連結会計年度 (2019年3月期) | 当連結会計年度 (2020年3月期) | 増減 | |
収益 | 67,627 | 66,940 | △687 |
売上総利益 | 6,384 | 6,398 | 14 |
営業活動に係る利益 | 2,151 | 2,103 | △48 |
当期利益(親会社所有者帰属) | 1,326 | 1,355 | 29 |
総資産 | 44,414 | 45,452 | 1,038 |
(2)仕入、成約及び販売の実績
①仕入の実績
仕入と販売との差額は僅少であるため、記載は省略しております。
②成約の実績
成約と販売との差額は僅少であるため、記載は省略しております。
③販売の実績
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③業績」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項4.セグメント情報」を参照してください。
(3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項3.重要な会計方針」に記載しています。また、重要な見積り及び判断については「第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。
②当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の収益は原油の取り扱い減少及び円高による為替影響等により、前連結会計年度を687億円(1.0%)下回る6兆6,940億円となりました。
利益につきましては、営業活動に係る利益は売上総利益の増加の一方で販売費及び一般管理費の増加等により、前連結会計年度を48億円(2.2%)下回る2,103億円となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は営業活動に係る利益の減少及び持分法による投資損益の悪化の一方で、法人所得税費用の減少等により、前連結会計年度を29億円(2.2%)上回る1,355億円となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響については、営業活動に係る利益ベースでマイナス46億円程度含まれております。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
(Ⅰ)金属
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車生産関連の取り扱い減少及び市況の下落、金属資源事業における減損等により、前連結会計年度を164億円(46.2%)下回る189億円となりました。
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、受取配当金の減少及び為替影響等により、前連結会計年度を14億円(5.9%)下回る223億円となりました。
(Ⅲ)自動車
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、海外自動車販売会社の取扱台数減少等により、前連結会計年度を30億円(13.0%)下回る197億円となりました。
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、電力事業における関連会社株式売却益及び前期一過性損失の影響等により、前連結会計年度を164億円(87.4%)上回る351億円となりました。
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、エレクトロニクス事業における利益率低下の一方で、前期一過性損失の影響等により、前連結会計年度を43億円(23.3%)上回る227億円となりました。
(Ⅵ)食料・生活産業
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、食料事業の採算良化及び高利益率商内の増加等により、前連結会計年度を41億円(234.1%)上回る58億円となりました。
(Ⅶ)アフリカ
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車販売の増加等により、前連結会計年度を39億円(38.5%)上回る140億円となりました。
次期の業績の見通しにつきましては、当期利益(親会社の所有者に帰属)は800億円となる見込みです。
③財政状態
資産につきましては、有形固定資産で1,683億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,038億円増加の4兆5,452億円となりました。また、資本につきましては、当期利益(親会社の所有者に帰属)等により利益剰余金が923億円増加した一方で、その他の資本の構成要素で901億円減少したこと及び非支配持分で179億円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ172億円減少の1兆3,724億円となりました。
その結果、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は26.3%、ネットDERは0.9倍となりました。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
(Ⅰ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による増加、投資活動及び財務活動による減少等により、4,963億円となり、前連結会計年度末より305億円の増加となりました。資金の増減額は前連結会計年度と比べて81億円の減少となっており、この主な増加または減少要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は2,678億円となりました。これは税引前利益等によるものです。前連結会計年度比では571億円の収入増加となりましたが、これは主に棚卸資産の増加額が631億円減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は1,739億円となりました。これは有形固定資産の取得等によるものです。前連結会計年度比では364億円の支出増加となりましたが、これは主に定期預金への預け入れにより資金が488億円減少したこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは939億円の資金の増加となりました。前連結会計年度比では207億円の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は536億円となりました。これは配当金の支払い等によるものです。前連結会計年度比では287億円の支出増加となりましたが、これは主に非支配株主からの子会社持分取得により資金が247億円減少したこと等によるものです。
(Ⅱ)財務戦略
当社グループでは、財務健全性を維持した安定的成長を目指して、「資産の効率化」と「資産の内容に見合った調達」を柱とする財務戦略を推進しております。
「資産の効率化」については、“最小限の資金で最大限の利益確保”を目指し、売掛債権回収の早期化、在庫の削減等による運転資本の効率化や不稼動・非効率固定資産の削減など、資金の効率化を進めております。これらの活動により得られる資金を、より将来性の高い事業への投資や、有利子負債の圧縮に充当することにしており、“企業価値の向上”と“財務の健全性向上”の両立を目指しております。
一方、「資産の内容に見合った調達」については、固定資産は長期借入金と株主資本でカバーし、運転資本は短期借入金でカバーすることを原則としておりますが、同時に運転資本の底溜り部分も長期資金でまかなうことを方針としております。また、連結ベースでの資金管理体制については、親会社からの国内グループファイナンスに一元化すると共に、海外子会社の資金調達についても、アジア及び欧米の海外現地法人などにおいて集中して資金調達を行い、子会社への資金供給をするというキャッシュマネジメントシステムを活用したグループファイナンスを行うことで、連結ベースでの資金の効率化に努め、資金管理体制の更なる充実を図っております。更には、当社グループの資金調達の安全のため、マルチカレンシー・リボルビング・ファシリティー(複数通貨協調融資枠)等を設定するなど、不測の事態にも対応できるように備えております。
今後の資金調達について、当社グループの営業活動が生み出すキャッシュ・フロー、資産の内容、経済情勢、金融環境などを考慮し、資産の一層の効率化と安定的な資金調達に対応していきたいと考えております。
当連結会計年度末の流動比率は連結ベースで150%となっており、流動性の点で当社の財務健全性を維持しております。また、当社及び連結子会社では、主として現預金及び上述コミットメントラインの設定により、十分な流動性を確保しております。
当連結会計年度末時点での当社の長期及び短期の信用格付けは次のとおりです。
長期 | 短期 | |
格付投資情報センター(R&I) | A+(安定的) | a-1 |
スタンダード&プアーズ(S&P) | A+(CWネガティブ)(注) | A-1 |
ムーディーズ(Moody's) | A3(安定的) | - |
(注) 2020年5月28日にA(ネガティブ)に引き下げられております。