有価証券報告書-第100期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)業績等の概要
①経営環境
当連結会計年度の世界経済を概観しますと、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、景気は大きく
落ち込みました。特に第3四半期から続く欧米等での感染再拡大に伴う長期的な活動制限により、第4四半期に
は停滞感が強まりました。
米国経済は、世界最悪の感染状況に加え、寒波の影響等もあり、大きく落ち込みましたが、大規模な経済対策
やワクチンの一定の普及等により、製造業を中心に経済活動の再開が進展しました。一方、人種差別抗議デモ、大統領選の混迷等により、米国社会の分断が深化しました。欧州経済は、感染再拡大に伴う活動制限が長期化す
る中、英国型等の変異株の拡大により低迷が継続しました。一方、EUと英国間の新協定の交渉が離脱移行期間内
での合意となり、懸念されていた混乱は回避されました。中国経済は、他国に先駆け感染拡大前の水準まで回復
し、米国の対中政策による貿易摩擦等はあるものの、生産活動や輸出入が堅調に推移しました。新興国経済は、感染拡大が継続し、景気低迷が続きました。
こうした中、わが国経済は、2度の緊急事態宣言による経済活動の制限に伴い、個人消費や企業活動が低下
し、インバウンド需要も低迷しました。米国・中国向けを中心とした輸出が回復基調となったものの、景気低迷
となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しは未だ不透明であるものの、当社グループは引き続き「Global Vision」の達成を目指し、さまざまな社会課題の解決に貢献する事業活動を推進してまいります。
②セグメント別の事業活動
当社グループは「Global Vision」において、あるべき姿として「Be the Right ONE」を掲げ、Mobility分野、Life & Community分野、Resources & Environment分野の3つの事業領域で当社グループならではの強みである「Toyotsu Core Values」を発揮し、当社グループらしい事業を広げてまいります。
(Ⅰ)金属
地域の防災力向上及び資源循環を目的に、災害時等に既存ハイブリッド車から電力供給を可能にする電源キット「Re-Q」の販売を、2021年3月から開始しました。福岡県宮若市への初納入及び九州での販売を皮切りに、今後全国での販売拡大を進めていきます。(Mobility分野・Resources & Environment分野)
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
燃料電池の販売拡大を目的に、500W以下の小型燃料電池における製造・販売世界シェアNo.1メーカーであるドイツのSFC Energy AGと、日本での独占販売契約を、2020年9月に締結しました。2021年3月には、アジア諸国でも独占販売契約を締結する等、燃料電池の販売先及び用途の多角化を進めています。
(Resources & Environment分野)
(Ⅲ)自動車
途上国のワクチン使用率向上を目的に、トヨタ自動車株式会社、B Medical Systemsと共に、ワクチンを適切な温度で輸送するための保冷輸送車に対して、世界保健機関が定める医療機材品質認証を、世界で初めて2021年3月に取得しました。ワクチン保冷輸送車の活用を通じて、グローバルヘルスに貢献していきます。
(Mobility分野・Life & Community分野)
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
再生可能エネルギー事業の強化を目的に、ベトナム・ノイファット水力発電所の事業会社であるNorthern Electricity Development & Investment Joint Stock Company No.2に2021年1月に出資し、海外水力発電事業の経営に初めて参画しました。日本の水力発電技術やノウハウを活用し、水力発電のオペレーション改善及び発電コストの低減に取り組みます。(Resources & Environment分野)
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
中東地域におけるモビリティ事業の強化を目的に、同地域でモビリティ向けコネクティッドサービス事業を手掛けるTOYOTA Connected Middle East FZCO.に増資し、2021年2月、社名をToyota Tsusho Connected Middle East FZCO.に変更しました。今後、個人向けサービスの提供支援に加えて、企業向けサービスの拡充を進めていきます。(Mobility分野)
(Ⅵ)食料・生活産業
医療事故の削減と救命率の向上及び医療現場の人員不足解消を目的に、ICUの重症患者管理システムを開発・提供する株式会社CROSS SYNCに、2021年3月に出資しました。AIを駆使して集中治療室の患者の容体をリアルタイムに遠隔で把握できるシステムを活用し、医療現場のデジタル化を進めていきます。(Life & Community分野)
(Ⅶ)アフリカ
アフリカ市場におけるトヨタブランドの小型車の販売強化を目的に、スズキ株式会社よりインド製小型乗用車のOEM供給を受け、「スターレット」として、2020年9月よりアフリカで販売を開始しました。お客様のニーズに応えるために、2021年にはモデル拡充を図り、更なるサービスの提供をしていきます。(Mobility分野)
③業績
(2)仕入、成約及び販売の実績
①仕入の実績
仕入と販売との差額は僅少であるため、記載は省略しております。
②成約の実績
成約と販売との差額は僅少であるため、記載は省略しております。
③販売の実績
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③業績」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項4.セグメント情報」を参照してください。
(3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項3.重要な会計方針」に記載しています。また、重要な見積り及び判断については「第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。
②当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の収益は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による自動車生産関連の取り
扱い及び自動車販売の減少等により、前連結会計年度を3,847億円(5.7%)下回る6兆3,093億円となりまし
た。
利益につきましては、営業活動に係る利益は売上総利益の減少の一方で販売費及び一般管理費の削減等によ
り、前連結会計年度を27億円(1.3%)上回る2,130億円となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は持
分法による投資損益の増加の一方で機械・エネルギー・プラントプロジェクト本部における前期関連会社株式売
却益の影響等により、前連結会計年度を9億円(0.7%)下回る1,346億円となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
(Ⅰ)金属
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車生産関連の取り扱い減少の一方で持分法による投
資損益の増加等により、前連結会計年度を36億円(18.7%)上回る225億円となりました。
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車部品の取り扱い減少等により、前連結会計年度を
23億円(10.3%)下回る200億円となりました。
(Ⅲ)自動車
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、海外自動車販売会社の取扱台数減少等により、前連結会
計年度を46億円(23.7%)下回る151億円となりました。
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、前期電力事業における関連会社株式売却益の影響等によ
り、前連結会計年度を121億円(34.6%)下回る230億円となりました。
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、半導体等の取り扱い増加等により、前連結会計年度を45億円(20.0%)上回る272億円となりました。
(Ⅵ)食料・生活産業
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、穀物事業における需要増加及び前期食品事業における減
損の影響等により、前連結会計年度を24億円(40.5%)上回る82億円となりました。
(Ⅶ)アフリカ
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、新規連結子会社の影響等により、前連結会計年度を13億
円(9.6%)上回る153億円となりました。
次期の業績の見通しにつきましては、当期利益(親会社の所有者に帰属)は1,500億円となる見込みです。
③財政状態
資産につきましては、その他投資で2,024億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ6,828億円増加
の5兆2,280億円となりました。また、資本につきましては、その他の資本の構成要素で1,758億円増加したこと
及び当期利益(親会社の所有者に帰属)等により利益剰余金が999億円増加したこと等により、前連結会計年度
末に比べ2,856億円増加の1兆6,580億円となりました。
その結果、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は28.1%、ネットDERは0.7倍となりました。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
(Ⅰ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び財務活動による増加、投資活動による減少等により6,774億円となり、前連結会計年度末より1,811億円の増加となりました。資金の増減額は前連結会計年度と比べて1,267億円の増加となっており、この主な増加または減少要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は2,450億円となりました。これは税引前利益等によるものです。前連結会計年度比では228億円の収入減少となりましたが、これは主に運転資本が85億円増加したこと及び配当金の受取額が76億円減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は1,021億円となりました。これは有形固定資産の取得等によるものです。前連結会計年度比では718億円の支出減少となりましたが、これは主に定期預金の減少により資金が784億円増加したこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは1,429億円の資金の増加となりました。前連結会計年度比では490億円の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動による資金の増加は240億円となりました。これは借入金が増加したこと等によるものです。前連結会計年度比では776億円の収入増加となりました。
(Ⅱ)財務戦略
当社グループでは、財務健全性を維持した安定的成長を目指して、「資産の効率化」と「資産の内容に見合った調達」を柱とする財務戦略を推進しております。
「資産の効率化」については、“最小限の資金で最大限の利益確保”を目指し、売掛債権回収の早期化、在庫の削減等による運転資本の効率化や不稼動・非効率固定資産の削減など、資金の効率化を進めております。これらの活動により得られる資金を、より将来性の高い事業への投資や、有利子負債の圧縮に充当することにしており、“企業価値の向上”と“財務の健全性向上”の両立を目指しております。
一方、「資産の内容に見合った調達」については、固定資産は長期借入金と株主資本でカバーし、運転資本は短期借入金でカバーすることを原則としておりますが、同時に運転資本の底溜り部分も長期資金でまかなうことを方針としております。また、連結ベースでの資金管理体制については、親会社からの国内グループファイナンスに一元化すると共に、海外子会社の資金調達についても、アジア及び欧米の海外現地法人などにおいて集中して資金調達を行い、子会社への資金供給をするというキャッシュマネジメントシステムを活用したグループファイナンスを行うことで、連結ベースでの資金の効率化に努め、資金管理体制の更なる充実を図っております。更には、当社グループの資金調達の安全のため、マルチカレンシー・リボルビング・ファシリティー(複数通貨協調融資枠)等を設定するなど、不測の事態にも対応できるように備えております。
今後の資金調達について、当社グループの営業活動が生み出すキャッシュ・フロー、資産の内容、経済情勢、金融環境などを考慮し、資産の一層の効率化と安定的な資金調達に対応していきたいと考えております。
当連結会計年度末の流動比率は連結ベースで150%となっており、流動性の点で当社の財務健全性を維持しております。また、当社及び連結子会社では、主として現預金及び上述コミットメントラインの設定により、十分な流動性を確保しております。
当連結会計年度末時点での当社の長期及び短期の信用格付けは次のとおりです。
①経営環境
当連結会計年度の世界経済を概観しますと、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、景気は大きく
落ち込みました。特に第3四半期から続く欧米等での感染再拡大に伴う長期的な活動制限により、第4四半期に
は停滞感が強まりました。
米国経済は、世界最悪の感染状況に加え、寒波の影響等もあり、大きく落ち込みましたが、大規模な経済対策
やワクチンの一定の普及等により、製造業を中心に経済活動の再開が進展しました。一方、人種差別抗議デモ、大統領選の混迷等により、米国社会の分断が深化しました。欧州経済は、感染再拡大に伴う活動制限が長期化す
る中、英国型等の変異株の拡大により低迷が継続しました。一方、EUと英国間の新協定の交渉が離脱移行期間内
での合意となり、懸念されていた混乱は回避されました。中国経済は、他国に先駆け感染拡大前の水準まで回復
し、米国の対中政策による貿易摩擦等はあるものの、生産活動や輸出入が堅調に推移しました。新興国経済は、感染拡大が継続し、景気低迷が続きました。
こうした中、わが国経済は、2度の緊急事態宣言による経済活動の制限に伴い、個人消費や企業活動が低下
し、インバウンド需要も低迷しました。米国・中国向けを中心とした輸出が回復基調となったものの、景気低迷
となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しは未だ不透明であるものの、当社グループは引き続き「Global Vision」の達成を目指し、さまざまな社会課題の解決に貢献する事業活動を推進してまいります。
②セグメント別の事業活動
当社グループは「Global Vision」において、あるべき姿として「Be the Right ONE」を掲げ、Mobility分野、Life & Community分野、Resources & Environment分野の3つの事業領域で当社グループならではの強みである「Toyotsu Core Values」を発揮し、当社グループらしい事業を広げてまいります。
(Ⅰ)金属
地域の防災力向上及び資源循環を目的に、災害時等に既存ハイブリッド車から電力供給を可能にする電源キット「Re-Q」の販売を、2021年3月から開始しました。福岡県宮若市への初納入及び九州での販売を皮切りに、今後全国での販売拡大を進めていきます。(Mobility分野・Resources & Environment分野)
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
燃料電池の販売拡大を目的に、500W以下の小型燃料電池における製造・販売世界シェアNo.1メーカーであるドイツのSFC Energy AGと、日本での独占販売契約を、2020年9月に締結しました。2021年3月には、アジア諸国でも独占販売契約を締結する等、燃料電池の販売先及び用途の多角化を進めています。
(Resources & Environment分野)
(Ⅲ)自動車
途上国のワクチン使用率向上を目的に、トヨタ自動車株式会社、B Medical Systemsと共に、ワクチンを適切な温度で輸送するための保冷輸送車に対して、世界保健機関が定める医療機材品質認証を、世界で初めて2021年3月に取得しました。ワクチン保冷輸送車の活用を通じて、グローバルヘルスに貢献していきます。
(Mobility分野・Life & Community分野)
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
再生可能エネルギー事業の強化を目的に、ベトナム・ノイファット水力発電所の事業会社であるNorthern Electricity Development & Investment Joint Stock Company No.2に2021年1月に出資し、海外水力発電事業の経営に初めて参画しました。日本の水力発電技術やノウハウを活用し、水力発電のオペレーション改善及び発電コストの低減に取り組みます。(Resources & Environment分野)
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
中東地域におけるモビリティ事業の強化を目的に、同地域でモビリティ向けコネクティッドサービス事業を手掛けるTOYOTA Connected Middle East FZCO.に増資し、2021年2月、社名をToyota Tsusho Connected Middle East FZCO.に変更しました。今後、個人向けサービスの提供支援に加えて、企業向けサービスの拡充を進めていきます。(Mobility分野)
(Ⅵ)食料・生活産業
医療事故の削減と救命率の向上及び医療現場の人員不足解消を目的に、ICUの重症患者管理システムを開発・提供する株式会社CROSS SYNCに、2021年3月に出資しました。AIを駆使して集中治療室の患者の容体をリアルタイムに遠隔で把握できるシステムを活用し、医療現場のデジタル化を進めていきます。(Life & Community分野)
(Ⅶ)アフリカ
アフリカ市場におけるトヨタブランドの小型車の販売強化を目的に、スズキ株式会社よりインド製小型乗用車のOEM供給を受け、「スターレット」として、2020年9月よりアフリカで販売を開始しました。お客様のニーズに応えるために、2021年にはモデル拡充を図り、更なるサービスの提供をしていきます。(Mobility分野)
③業績
(単位:億円) | |||
前連結会計年度 (2020年3月期) | 当連結会計年度 (2021年3月期) | 増減 | |
収益 | 66,940 | 63,093 | △3,847 |
売上総利益 | 6,398 | 6,076 | △322 |
営業活動に係る利益 | 2,103 | 2,130 | 27 |
当期利益(親会社所有者帰属) | 1,355 | 1,346 | △9 |
総資産 | 45,452 | 52,280 | 6,828 |
(2)仕入、成約及び販売の実績
①仕入の実績
仕入と販売との差額は僅少であるため、記載は省略しております。
②成約の実績
成約と販売との差額は僅少であるため、記載は省略しております。
③販売の実績
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③業績」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項4.セグメント情報」を参照してください。
(3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項3.重要な会計方針」に記載しています。また、重要な見積り及び判断については「第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。
②当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の収益は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による自動車生産関連の取り
扱い及び自動車販売の減少等により、前連結会計年度を3,847億円(5.7%)下回る6兆3,093億円となりまし
た。
利益につきましては、営業活動に係る利益は売上総利益の減少の一方で販売費及び一般管理費の削減等によ
り、前連結会計年度を27億円(1.3%)上回る2,130億円となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は持
分法による投資損益の増加の一方で機械・エネルギー・プラントプロジェクト本部における前期関連会社株式売
却益の影響等により、前連結会計年度を9億円(0.7%)下回る1,346億円となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
(Ⅰ)金属
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車生産関連の取り扱い減少の一方で持分法による投
資損益の増加等により、前連結会計年度を36億円(18.7%)上回る225億円となりました。
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車部品の取り扱い減少等により、前連結会計年度を
23億円(10.3%)下回る200億円となりました。
(Ⅲ)自動車
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、海外自動車販売会社の取扱台数減少等により、前連結会
計年度を46億円(23.7%)下回る151億円となりました。
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、前期電力事業における関連会社株式売却益の影響等によ
り、前連結会計年度を121億円(34.6%)下回る230億円となりました。
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、半導体等の取り扱い増加等により、前連結会計年度を45億円(20.0%)上回る272億円となりました。
(Ⅵ)食料・生活産業
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、穀物事業における需要増加及び前期食品事業における減
損の影響等により、前連結会計年度を24億円(40.5%)上回る82億円となりました。
(Ⅶ)アフリカ
当期利益(親会社の所有者に帰属)については、新規連結子会社の影響等により、前連結会計年度を13億
円(9.6%)上回る153億円となりました。
次期の業績の見通しにつきましては、当期利益(親会社の所有者に帰属)は1,500億円となる見込みです。
③財政状態
資産につきましては、その他投資で2,024億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ6,828億円増加
の5兆2,280億円となりました。また、資本につきましては、その他の資本の構成要素で1,758億円増加したこと
及び当期利益(親会社の所有者に帰属)等により利益剰余金が999億円増加したこと等により、前連結会計年度
末に比べ2,856億円増加の1兆6,580億円となりました。
その結果、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は28.1%、ネットDERは0.7倍となりました。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
(Ⅰ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び財務活動による増加、投資活動による減少等により6,774億円となり、前連結会計年度末より1,811億円の増加となりました。資金の増減額は前連結会計年度と比べて1,267億円の増加となっており、この主な増加または減少要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は2,450億円となりました。これは税引前利益等によるものです。前連結会計年度比では228億円の収入減少となりましたが、これは主に運転資本が85億円増加したこと及び配当金の受取額が76億円減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は1,021億円となりました。これは有形固定資産の取得等によるものです。前連結会計年度比では718億円の支出減少となりましたが、これは主に定期預金の減少により資金が784億円増加したこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは1,429億円の資金の増加となりました。前連結会計年度比では490億円の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動による資金の増加は240億円となりました。これは借入金が増加したこと等によるものです。前連結会計年度比では776億円の収入増加となりました。
(Ⅱ)財務戦略
当社グループでは、財務健全性を維持した安定的成長を目指して、「資産の効率化」と「資産の内容に見合った調達」を柱とする財務戦略を推進しております。
「資産の効率化」については、“最小限の資金で最大限の利益確保”を目指し、売掛債権回収の早期化、在庫の削減等による運転資本の効率化や不稼動・非効率固定資産の削減など、資金の効率化を進めております。これらの活動により得られる資金を、より将来性の高い事業への投資や、有利子負債の圧縮に充当することにしており、“企業価値の向上”と“財務の健全性向上”の両立を目指しております。
一方、「資産の内容に見合った調達」については、固定資産は長期借入金と株主資本でカバーし、運転資本は短期借入金でカバーすることを原則としておりますが、同時に運転資本の底溜り部分も長期資金でまかなうことを方針としております。また、連結ベースでの資金管理体制については、親会社からの国内グループファイナンスに一元化すると共に、海外子会社の資金調達についても、アジア及び欧米の海外現地法人などにおいて集中して資金調達を行い、子会社への資金供給をするというキャッシュマネジメントシステムを活用したグループファイナンスを行うことで、連結ベースでの資金の効率化に努め、資金管理体制の更なる充実を図っております。更には、当社グループの資金調達の安全のため、マルチカレンシー・リボルビング・ファシリティー(複数通貨協調融資枠)等を設定するなど、不測の事態にも対応できるように備えております。
今後の資金調達について、当社グループの営業活動が生み出すキャッシュ・フロー、資産の内容、経済情勢、金融環境などを考慮し、資産の一層の効率化と安定的な資金調達に対応していきたいと考えております。
当連結会計年度末の流動比率は連結ベースで150%となっており、流動性の点で当社の財務健全性を維持しております。また、当社及び連結子会社では、主として現預金及び上述コミットメントラインの設定により、十分な流動性を確保しております。
当連結会計年度末時点での当社の長期及び短期の信用格付けは次のとおりです。
長期 | 短期 | |
格付投資情報センター(R&I) | A+(安定的) | a-1 |
スタンダード&プアーズ(S&P) | A(安定的) | A-1 |
ムーディーズ(Moody's) | A3(安定的) | - |