有価証券報告書-第67期(2024/03/01-2025/02/28)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
①経営成績の状況及び分析
当連結会計年度(2024年3月1日~2025年2月28日)の経営成績は、売上収益が2,256億58百万円、コア営業利益が170億13百万円、営業利益が167億96百万円、税引前当期利益が155億6百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は111億5百万円となりました。なお、当社は、前連結会計年度の第66期より決算期を3月末日から2月末日に変更しました。経営成績及び各セグメントにおける対前年同期比について、連結会計年度が第66期(2023年4月1日~2024年2月29日)と第67期(2024年3月1日~2025年2月28日)で異なるため、記載しておりません。
当連結会計年度は、2023年5月8日に公表した中期経営計画「PLAN-W」の2年目にあたり、「人材競争力を高める従業員処遇の改善」と「再上場後の最高益水準の実現」の両立を目指したテーマ『持続的成長と利益の証明』を掲げ臨み、当初目論んだ経営成績を収められました。具体的には、ブランド事業では一部アパレルの不振がライフスタイルの健闘を幾分打ち消したものの、デジタル事業とプラットフォーム事業のセグメント利益が大幅増益とグループ収益を力強く牽引したことから、コア営業利益は再上場後の最高益を5期振りに更新しました。
売上収益では、店舗売上の伸び悩みを好調なEC売上がカバーしました。店舗売上は、新型コロナウイルス感染症の5類移行を契機にした人流の店頭回帰に伴う押し上げ効果が一巡した影響を受けました。加えて、アパレルブランドを中核とするブランド事業においては、8月を中心とした端境期の晩夏・初秋商材の品揃えに量・質の両面で依然として課題を残したほか、秋冬シーズンでは季節の遅い進行にも適応できませんでした。店頭にて売上機会を的確に捉えた商品を適時適量揃えることで、一段と収益を伸ばせる余地は大きいという反省が残りました。
利益面においては、端境期における品揃えや四半期評価ルールへの適応力に課題を残したものの、店舗・EC両販路でプロパーを重視した売り方に努めた結果、売上総利益率は59.1%でした。また、販売費及び一般管理費では、従業員処遇の改善に伴う人件費の増加を経費コントロールの徹底で吸収して販管費率を51.5%に抑えました。結果として、本業の稼ぐ力であるコア営業利益が計画通り進捗したうえ、エムシーファッション㈱の連結加入に伴う負ののれん発生益も寄与し、全ての利益段階において「PLAN-W」2年目の目標を達成しました。
セグメント別の状況は次のとおりです。
a. ブランド事業
ブランド事業においては、あるべきブランドポートフォリオ戦略の完遂にむけて、ブランド事業セグメント全体最適の視点で成長性と収益性のバランスが取れた持続的成長を追求しております。
百貨店を中心に展開するミドルアッパーブランドは、ブランドらしく差別化された高付加価値な商品開発を行うほか、世界的な物価上昇や急激な為替変動に左右されないよう、自社工場体制を垂直統合して国産回帰を図っております。また、お客様との強いつながりを構築するため、マルチチャネル化やOMO(Online Merges with Offline)戦略を進め、様々なプロトタイプ開発・出店を通じて新たな成長の創造に取り組んでおります。
ショッピングセンターを中心に展開するミドルロワーブランドにおいては、前連結会計年度の期首にSC主体のミドルロワー事業を一社に集約し、水平統合に伴うスケールメリットなどの追求で収益性の改善を図っています。加えて、2024年3月からは商品調達部隊の垂直統合で直貿化の更なる推進体制を整えているほか、店舗数の純増転換に向けて店舗運営の改良や店舗開発の強化に取り組んでおります。
ライフスタイルブランドでは、暮らしに寄り添った衣・食・住を生活雑貨や服飾雑貨で提案し、引き続きお客様の支持拡大に努めております。2024年3月よりミドルロワー系のライフスタイルブランド事業を一社に統合しており、リソースの融通やノウハウの共有などで収益構造の抜本的な改革を進めております。また、新しいブランドの開発を進めており、ローンチに向けて着々と準備を進めています。
投資ブランドは、プラットフォーム導入によるシナジー追求や収益構造の改善・確立をテーマに掲げています。ラグジュアリーセレクトを運営する㈱ストラスブルゴでは、欧州インポートブランドのエージェント獲得に加え、新規出店で高価格帯ビジネスの拡充を図っています。質の高い革小物で世代を超えたファンを持つ㈱ヒロフを中核とする日本発ラグジュアリーバッググループでは、MD改革が幅広い顧客から支持を得ております。
また、ブランド事業として海外事業の開発・拡張も進めております。タイでは「タケオキクチ」が店舗網をバンコクから他の都市圏へ広げると同時に、アジアでタイ以外にも新規進出の機会を探っています。台湾においては、「ココシュニック」のドミナント展開や「ドレステリア」の新規出店に続き、㈱ナルミヤ・インターナショナルとのシナジーを一段と発揮すべく、「プティマイン」の出店も予定し協業活動を本格化しております。
当連結会計年度は、ライフスタイルブランドが健闘したものの、アパレルブランドでは商品課題が散見されました。2024年8月の猛暑と9~10月の季節外れの残暑、その後も秋冬稼働が遅れたことなどへ商品設計等での適応力が弱く、当期より適用した四半期単位の商品評価損ルールは決算期末の前倒しも相まって一部ブランドの売価変更の拙さを招きました。店舗数に関しては、出店の一部が翌期にずれたものの、ようやく純増転換を果たし、今後の成長及び収益への貢献を期待できる状態を整えました。
この結果、ブランド事業の経営成績は、売上収益が1,988億93百万円(うち外部収益は1,906億37百万円)、コア営業利益(セグメント利益)が110億57百万円となりました。
b. デジタル事業
デジタル事業は「B2Bソリューション」と「B2Cネオエコノミー」から成り立ち、B2Bはこれまでの積極投資を外販収益で回収できるよう、B2Cは「サーキュラー」を成長加速できるよう目指しています。
B2Bソリューションでは、ECの運営受託サービスにおいて、自社ブランドを中心に販売する直営ファッション通販サイト「ワールドオンラインストア(WOS)」をはじめ、他社公式ECの開発・運営を受託しております。自社サイト運営においては、アプリの機能改善やOMO活動に対する投資を進め、直営店舗とのシームレスなサービス改善をブランド事業と一体で推進しています。また、ソリューションサービスでは、自社グループの物流コスト抑制の取組みや基幹システムの更新に留まらず、他社への在庫コントロールシステムの導入・運用サービスの提供を進めており、売上拡大に向けた営業活動を強化してまいります。また、案件収支の見える化と損益改善の打ち手を進めており、WOSでの配送料値上げ効果に加え、他社公式EC受託でも売上サポートを前提とした一部取引見直しの効果が出ております。
B2Cネオエコノミーは、「サーキュラー」に焦点を当てた成長戦略を追求しております。ラクサス・テクノロジーズ㈱ではブランドバッグに特化したサブスクリプション型レンタルサービスを営むほか、保有資産であるバッグの稼働率に着目した試用販売等の事業サービスを拡充し、2024年12月13日には東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。ユーズドセレクトショップ「RAGTAG」を運営する㈱ティンパンアレイは、店舗・EC相互活用による仕入・販売両面のOMO推進及び出店加速を両輪にした成長路線に加えて、カジュアル業態「usebowl」やタイでのPOP-UPといった様々な実験を実施しました。国内外で積極投資による事業基盤の拡充に本腰を入れており、2024年3月より連結子会社化したオフプライスストア「& Bridge」を運営する㈱アンドブリッジでは、㈱ティンパンアレイとの事業連携やノウハウ共有を強化してシナジー最大化に努めております。
当連結会計年度においては、B2BソリューションでEC受託事業の大幅な収支改善を実現した㈱ファッション・コ・ラボが貢献したほか、B2Cネオエコノミーでは、サーキュラーへの「選択と集中」が奏功したことに加えて、海外旅行客のインバウンド需要も追い風に伸張する㈱ティンパンアレイが引き続き好調な業績を維持しております。なお、上場に伴うラクサス・テクノロジーズ㈱の連結子会社から持分法適用関連会社への連結範囲の変更があった反面、2025年2月28日付で株式の追加取得により㈱OpenFashionが完全子会社となりました。
この結果、デジタル事業の経営成績は、売上収益は325億36百万円(うち外部収益は144億54百万円)、コア営業利益(セグメント利益)が26億19百万円となりました。
c. プラットフォーム事業
プラットフォーム事業では、ワールドグループが培ってきた様々なノウハウと仕組みを活用したプラットフォームの外部企業へのオープン化を推進し、業界の枠組みを超えた新たな事業領域の拡大に取り組んでいます。
中間持株会社の㈱ワールドプラットフォームサービスは、プラットフォーム事業の収益モデルを整える事業マネジメント機能と外部顧客の法人企業へのマーケティング機能を有します。各プラットフォームのノウハウ・仕組みを横断的に組み合わせ、クライアントのニーズに最適なサービスをワンストップで提案・提供します。
生産プラットフォームの㈱ワールドプロダクションパートナーズは、自らの商社機能を発揮して直接貿易スキームの構築や、製造子会社群の生産性改善の指導・支援をするほか、外販主体の専門商社である㈱イディオムや縫製工場の㈱ラ・モードでは、他社アパレルの商品開発及び製造(OEM・ODM事業)を受託しております。
販売プラットフォームの㈱ワールドストアパートナーズでは、商品在庫の最終的な換金に不可欠なアウトレット「NEXT DOOR」や他社ブランドの出店も年々増やしてきたファミリーセール等の催事を運営するほか、様々な業種業態の販売代行業務といった外販サービスも着実に拡充してきております。
こうしたアパレル起点の生産・販売プラットフォーム以外では、㈱アスプルンドに代表される子会社群が、空間創造や什器・備品の製造販売(建装)、家具や雑貨の卸からコントラクトに至るライフスタイル領域も手掛けており、プラットフォーム事業のサービスラインやクライアント層の幅を拡張することに寄与しています。
なお、2025年2月28日付で三菱商事ファッション㈱(同日、エムシーファッション㈱に社名変更)を100%子会社としたほか、2025年3月1日付で㈱TSIソーイング(同日、㈱ワールドソーイングに社名変更)の株式も取得いたしました。
M&Aも活用しながらプラットフォーム機能の強化を図ることでB2B事業基盤の拡充を進めてきており、ファッションの多様性と永続性の実現への貢献を目指した「ワールド・ファッション・エコシステム」の構築に向けて更なる事業基盤の拡充を図ってまいります。
当連結会計年度においては、為替変動に抵抗力を増すべく、取引条件の変更による粗利確保や案件単位の採算性も吟味した外販受注などを進めたほか、前連結会計年度との単純比較では、B2B事業の書き入れ時である3月を含む点も寄与しました。なお、ブランド事業がアパレル商品の企画・開発から生産業務までを一気通貫で垂直統合して収益向上を図ることを目的として、当期初に(当社グループのブランドに対する)内販を主体にした縫製工場運営会社の一部をプラットフォーム事業からブランド事業へ移管しました。
この結果、プラットフォーム事業の経営成績は、売上収益は744億52百万円(うち外部収益は204億22百万円)、コア営業利益(セグメント利益)が18億29百万円となりました。
d. 共通部門
事業セグメントに属さない共通部門においては、子会社からの配当や経営指導料等を収入として計上し、当社(ホールディングス)のコーポレートスタッフ等の費用を賄うことを基本的な収益構造としておりますが、子会社からの配当は予めセグメント利益から除いております。
共通部門は、「グループ経営本部」、「グループ人事統括室」といったコーポレートスタッフに加えて、グループの商品鮮度向上とソフト開発を監修する「クリエイティブ・マネジメント・センター」、グループの情報・物流システムを開発・運用する「デジタルソリューション事業本部」などで成り立っています。
ホールディングスは重点分野への集中投資という自らの役割を果たすため、子会社からホールディングスのスタッフ等の実費を上回る経営指導料等で回収することを原則としておりますが、機能集約化などを不断に進めて自らの生産性の改善に努めております。
当連結会計年度においては、当期より本格稼働した海外事業開発室の活動費のほか、会社・部署横断で取り組む新規事業等に対する戦略的投資やグループを挙げたM&Aなどに代表される成長投資にかかる先行費用の増加、従業員処遇の改善に伴う人件費の増加などの影響を受けました。
この結果、共通部門の経営成績は、売上収益は100億47百万円(うち外部収益は1億45百万円)、コア営業利益(セグメント利益)が14億85百万円となりました。
②財政状態の状況及び分析
当社グループの財政状態の状況及びその要因につき、次のとおり分析しております。
(資産)
資産合計は2,738億80百万円と前連結会計年度末に比べて341億95百万円増加しました。
この主な要因は、エムシーファッション㈱の連結加入の影響で流動資産を中心に約478億円資産合計が増加した一方、ラクサス・テクノロジーズ㈱の連結除外の影響で非流動資産を中心に約30億円資産合計が減少したことによるものです。
(負債)
負債合計は1,873億75百万円と前連結会計年度末に比べて361億8百万円増加しました。
この主な要因は、エムシーファッション㈱の連結加入の影響で約429億円負債合計が増加した一方、ラクサス・テクノロジーズ㈱の連結除外の影響で約26億円負債合計が減少したことによるものです。借入金は、主に連結範囲の変更の影響により125億円増加しました。
(資本合計)
資本合計は865億5百万円と前連結会計年度末に比べて19億13百万円減少しました。
この主な要因は、主に親会社の所有者に帰属する当期利益により利益剰余金が約111億円増加した一方、配当金の支払いにより約24億円、その他資本性金融商品の償還により約100億円、その他資本性金融商品に係る支払利息の計上により約3億円減少したことによるものです。
(在庫)
当社グループではブランド事業が売上収益の大半を占めておりますが、ブランド事業におけるアパレルブランドの事業特性から、売上債権と棚卸資産の合計から仕入債務を差し引いた運転資本のコントロール、とりわけ棚卸資産(在庫)の抑制を重視しております。
当連結会計年度末の運転資本は370億7百万円と前連結会計年度末に比べて約151億円の増加となりました。運転資本が増加した主因は、エムシーファッション㈱の連結加入に伴うものであり、当該影響を除くと運転資本は約4億円減少しております。新規連結影響を除いた実質では、在庫も前連結会計年度末から圧縮しました。
(ネットD/Eレシオ)
当社グループでは、債務返済の能力及び事業の収益性・成長性を持続的に向上できるよう、有利子負債と株主資本の最適な資本構成を検討する目的から、ネットD/Eレシオを財務体質の健全性指標とし、中長期的にネットD/Eレシオ0.5倍を目指してまいります。
当連結会計年度末のネット有利子負債は699億14百万円と前連結会計年度末より約118億円増加した一方、親会社の所有者に帰属する持分合計については約8億円減少しました。その結果、当連結会計年度のネットD/Eレシオは前連結会計年度末の0.71倍から0.86倍と0.15ポイント上昇しました。
なお、この主な要因は、エムシーファッション㈱の連結加入に伴うものであり、この間において資本勘定である永久劣後ローン100億円を借入金にて借り換えた影響は、当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益及びフリー・キャッシュ・フローの増加で吸収できた結果となっております。
(ROE)
当社グループでは、中期経営計画「PLAN-W」策定時において、株主資本コスト(COE)を超過する株主資本当期利益率(ROE)として10%超の実現を目標に掲げておりましたが、現在ではこれまでの業績等の進捗状況も踏まえて、「PLAN-W」最終年度の2026年2月期に目標値12.0%を超えるよう努めております。
当連結会計年度のROEは、前連結会計年度の7.1%から6.5ポイント改善の13.6%となり1年前倒して目標値を超えることができました。一時的な収益貢献アイテムなしで、持続的な目標値の超過を目指してまいります。
(ROIC)
当社グループでは、次期の中期経営計画で本格的な成長戦略を追求できるよう、価値創造的な状態を「PLAN-W」で創り上げることが重要と認識しております。具体的には、「PLAN-W」において、最適資本構成の下でROEがCOEを超過する状態や、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る状態を目指しています。
このため、これまでのROA(コア営業利益ベース)に替えてROICを経営指標に設定し、当中期経営計画「PLAN-W」最終年度には目標値8.5%を射程圏に捉えられる水準を目指しております。また、格付けがA格でWACCが最も低位の状態を最適資本構成と定義したうえで、WACCを目標値5.0%以下でコントロールできるよう努めます。
当連結会計年度のROICは、前連結会計年度の4.8%から3.7ポイント改善の8.5%となり目標値に達しましたが、一時的な押し上げ要因もあるため、引き続き改善を進めてまいります。
各指標に関しては、下記の定義の通り算出しております。
なお、ネット有利子負債及び親会社の所有者に帰属する持分合計は前年同期末と当期末の平均で算出しております。
・ネットD/Eレシオ
期末のネット有利子負債 ÷ 期末の親会社の所有者に帰属する持分合計
・ネット有利子負債
借入金 + 日本基準におけるファイナンスリース負債 - 現金及び現金同等物
・ROE
過去一年間の親会社の所有者に帰属する当期 (四半期) 利益 ÷ 親会社の所有者に帰属する持分合計
・ROIC
(過去一年間の営業利益 - 法人所得税 - 非支配株主持分に帰属する当期 (四半期) 利益) ÷(ネット有利子負債 + 親会社の所有者に帰属する持分合計)
③キャッシュ・フローの状況及び分析
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。なお、前連結会計年度の決算期変更に伴い、第66期(2023年4月1日~2024年2月29日)と第67期(2024年3月1日~2025年2月28日)で期間が異なっております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
319億92百万円の収入(前年同期比45億33百万円 収入増)となりました。
この主な要因は、税引前当期利益が約43億円増加したことによるものです。なお、運転資本約14億円がキャッシュ・フロー上マイナス要因となっておりますが、これは決算期変更に伴う累計期間の差異による影響によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
102億62百万円の支出(前年同期比83億1百万円 支出増)となりました。
この主な要因は、店舗への出店・改装投資に伴い約18億円、子会社株式及び関連会社株式の取得による支出が約64億円、それぞれ支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
207億55百万円の支出(前年同期比47億45百万円 支出減)となりました。
この主な要因は、エムシーファッション㈱の連結加入の影響で借入金が約118億円増加した一方、その他資本性金融商品の償還により約50億円、リース負債の返済により約17億円、それぞれ支出が増加したことによるものです。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より9億円増加して、217億48百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
前連結会計年度は、決算期の変更により、2023年4月1日から2024年2月29日までの11ヶ月間となっております。このため、前年同期比較については記載しておりません。
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
b. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2 IFRS調整は、為替予約における調整金額を記載しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
販路別売上状況
なお、「受注実績」につきましては、該当事項はありません。
(参考)
当社グループのEC化率は以下のとおりであります。
(注)EC化率とは商品の取扱高を分母にし、そのうちECの取扱高を分子にしたものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当社は、前記「3 事業等のリスク」に記載のとおり、経済情勢の変化、消費者の嗜好の変化、在庫管理、出店・閉店、仕入価格その他費用の増加等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場環境等に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、消費者や市場のニーズに適時適切に対応していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、前記「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは金融機関からの借入金のほか、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フロー及びリース負債の返済を差し引いた実質的なフリー・キャッシュ・フローを資金の源泉と考えております。当連結会計年度における資金使途について、主に出店・改装に伴う店舗設備やシステムへの投資に係るものであります。資金調達に係る借入金の残高については後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 20.借入金」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
①経営成績の状況及び分析
当連結会計年度(2024年3月1日~2025年2月28日)の経営成績は、売上収益が2,256億58百万円、コア営業利益が170億13百万円、営業利益が167億96百万円、税引前当期利益が155億6百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は111億5百万円となりました。なお、当社は、前連結会計年度の第66期より決算期を3月末日から2月末日に変更しました。経営成績及び各セグメントにおける対前年同期比について、連結会計年度が第66期(2023年4月1日~2024年2月29日)と第67期(2024年3月1日~2025年2月28日)で異なるため、記載しておりません。
当連結会計年度は、2023年5月8日に公表した中期経営計画「PLAN-W」の2年目にあたり、「人材競争力を高める従業員処遇の改善」と「再上場後の最高益水準の実現」の両立を目指したテーマ『持続的成長と利益の証明』を掲げ臨み、当初目論んだ経営成績を収められました。具体的には、ブランド事業では一部アパレルの不振がライフスタイルの健闘を幾分打ち消したものの、デジタル事業とプラットフォーム事業のセグメント利益が大幅増益とグループ収益を力強く牽引したことから、コア営業利益は再上場後の最高益を5期振りに更新しました。
売上収益では、店舗売上の伸び悩みを好調なEC売上がカバーしました。店舗売上は、新型コロナウイルス感染症の5類移行を契機にした人流の店頭回帰に伴う押し上げ効果が一巡した影響を受けました。加えて、アパレルブランドを中核とするブランド事業においては、8月を中心とした端境期の晩夏・初秋商材の品揃えに量・質の両面で依然として課題を残したほか、秋冬シーズンでは季節の遅い進行にも適応できませんでした。店頭にて売上機会を的確に捉えた商品を適時適量揃えることで、一段と収益を伸ばせる余地は大きいという反省が残りました。
利益面においては、端境期における品揃えや四半期評価ルールへの適応力に課題を残したものの、店舗・EC両販路でプロパーを重視した売り方に努めた結果、売上総利益率は59.1%でした。また、販売費及び一般管理費では、従業員処遇の改善に伴う人件費の増加を経費コントロールの徹底で吸収して販管費率を51.5%に抑えました。結果として、本業の稼ぐ力であるコア営業利益が計画通り進捗したうえ、エムシーファッション㈱の連結加入に伴う負ののれん発生益も寄与し、全ての利益段階において「PLAN-W」2年目の目標を達成しました。
セグメント別の状況は次のとおりです。
a. ブランド事業
ブランド事業においては、あるべきブランドポートフォリオ戦略の完遂にむけて、ブランド事業セグメント全体最適の視点で成長性と収益性のバランスが取れた持続的成長を追求しております。
百貨店を中心に展開するミドルアッパーブランドは、ブランドらしく差別化された高付加価値な商品開発を行うほか、世界的な物価上昇や急激な為替変動に左右されないよう、自社工場体制を垂直統合して国産回帰を図っております。また、お客様との強いつながりを構築するため、マルチチャネル化やOMO(Online Merges with Offline)戦略を進め、様々なプロトタイプ開発・出店を通じて新たな成長の創造に取り組んでおります。
ショッピングセンターを中心に展開するミドルロワーブランドにおいては、前連結会計年度の期首にSC主体のミドルロワー事業を一社に集約し、水平統合に伴うスケールメリットなどの追求で収益性の改善を図っています。加えて、2024年3月からは商品調達部隊の垂直統合で直貿化の更なる推進体制を整えているほか、店舗数の純増転換に向けて店舗運営の改良や店舗開発の強化に取り組んでおります。
ライフスタイルブランドでは、暮らしに寄り添った衣・食・住を生活雑貨や服飾雑貨で提案し、引き続きお客様の支持拡大に努めております。2024年3月よりミドルロワー系のライフスタイルブランド事業を一社に統合しており、リソースの融通やノウハウの共有などで収益構造の抜本的な改革を進めております。また、新しいブランドの開発を進めており、ローンチに向けて着々と準備を進めています。
投資ブランドは、プラットフォーム導入によるシナジー追求や収益構造の改善・確立をテーマに掲げています。ラグジュアリーセレクトを運営する㈱ストラスブルゴでは、欧州インポートブランドのエージェント獲得に加え、新規出店で高価格帯ビジネスの拡充を図っています。質の高い革小物で世代を超えたファンを持つ㈱ヒロフを中核とする日本発ラグジュアリーバッググループでは、MD改革が幅広い顧客から支持を得ております。
また、ブランド事業として海外事業の開発・拡張も進めております。タイでは「タケオキクチ」が店舗網をバンコクから他の都市圏へ広げると同時に、アジアでタイ以外にも新規進出の機会を探っています。台湾においては、「ココシュニック」のドミナント展開や「ドレステリア」の新規出店に続き、㈱ナルミヤ・インターナショナルとのシナジーを一段と発揮すべく、「プティマイン」の出店も予定し協業活動を本格化しております。
当連結会計年度は、ライフスタイルブランドが健闘したものの、アパレルブランドでは商品課題が散見されました。2024年8月の猛暑と9~10月の季節外れの残暑、その後も秋冬稼働が遅れたことなどへ商品設計等での適応力が弱く、当期より適用した四半期単位の商品評価損ルールは決算期末の前倒しも相まって一部ブランドの売価変更の拙さを招きました。店舗数に関しては、出店の一部が翌期にずれたものの、ようやく純増転換を果たし、今後の成長及び収益への貢献を期待できる状態を整えました。
この結果、ブランド事業の経営成績は、売上収益が1,988億93百万円(うち外部収益は1,906億37百万円)、コア営業利益(セグメント利益)が110億57百万円となりました。
b. デジタル事業
デジタル事業は「B2Bソリューション」と「B2Cネオエコノミー」から成り立ち、B2Bはこれまでの積極投資を外販収益で回収できるよう、B2Cは「サーキュラー」を成長加速できるよう目指しています。
B2Bソリューションでは、ECの運営受託サービスにおいて、自社ブランドを中心に販売する直営ファッション通販サイト「ワールドオンラインストア(WOS)」をはじめ、他社公式ECの開発・運営を受託しております。自社サイト運営においては、アプリの機能改善やOMO活動に対する投資を進め、直営店舗とのシームレスなサービス改善をブランド事業と一体で推進しています。また、ソリューションサービスでは、自社グループの物流コスト抑制の取組みや基幹システムの更新に留まらず、他社への在庫コントロールシステムの導入・運用サービスの提供を進めており、売上拡大に向けた営業活動を強化してまいります。また、案件収支の見える化と損益改善の打ち手を進めており、WOSでの配送料値上げ効果に加え、他社公式EC受託でも売上サポートを前提とした一部取引見直しの効果が出ております。
B2Cネオエコノミーは、「サーキュラー」に焦点を当てた成長戦略を追求しております。ラクサス・テクノロジーズ㈱ではブランドバッグに特化したサブスクリプション型レンタルサービスを営むほか、保有資産であるバッグの稼働率に着目した試用販売等の事業サービスを拡充し、2024年12月13日には東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。ユーズドセレクトショップ「RAGTAG」を運営する㈱ティンパンアレイは、店舗・EC相互活用による仕入・販売両面のOMO推進及び出店加速を両輪にした成長路線に加えて、カジュアル業態「usebowl」やタイでのPOP-UPといった様々な実験を実施しました。国内外で積極投資による事業基盤の拡充に本腰を入れており、2024年3月より連結子会社化したオフプライスストア「& Bridge」を運営する㈱アンドブリッジでは、㈱ティンパンアレイとの事業連携やノウハウ共有を強化してシナジー最大化に努めております。
当連結会計年度においては、B2BソリューションでEC受託事業の大幅な収支改善を実現した㈱ファッション・コ・ラボが貢献したほか、B2Cネオエコノミーでは、サーキュラーへの「選択と集中」が奏功したことに加えて、海外旅行客のインバウンド需要も追い風に伸張する㈱ティンパンアレイが引き続き好調な業績を維持しております。なお、上場に伴うラクサス・テクノロジーズ㈱の連結子会社から持分法適用関連会社への連結範囲の変更があった反面、2025年2月28日付で株式の追加取得により㈱OpenFashionが完全子会社となりました。
この結果、デジタル事業の経営成績は、売上収益は325億36百万円(うち外部収益は144億54百万円)、コア営業利益(セグメント利益)が26億19百万円となりました。
c. プラットフォーム事業
プラットフォーム事業では、ワールドグループが培ってきた様々なノウハウと仕組みを活用したプラットフォームの外部企業へのオープン化を推進し、業界の枠組みを超えた新たな事業領域の拡大に取り組んでいます。
中間持株会社の㈱ワールドプラットフォームサービスは、プラットフォーム事業の収益モデルを整える事業マネジメント機能と外部顧客の法人企業へのマーケティング機能を有します。各プラットフォームのノウハウ・仕組みを横断的に組み合わせ、クライアントのニーズに最適なサービスをワンストップで提案・提供します。
生産プラットフォームの㈱ワールドプロダクションパートナーズは、自らの商社機能を発揮して直接貿易スキームの構築や、製造子会社群の生産性改善の指導・支援をするほか、外販主体の専門商社である㈱イディオムや縫製工場の㈱ラ・モードでは、他社アパレルの商品開発及び製造(OEM・ODM事業)を受託しております。
販売プラットフォームの㈱ワールドストアパートナーズでは、商品在庫の最終的な換金に不可欠なアウトレット「NEXT DOOR」や他社ブランドの出店も年々増やしてきたファミリーセール等の催事を運営するほか、様々な業種業態の販売代行業務といった外販サービスも着実に拡充してきております。
こうしたアパレル起点の生産・販売プラットフォーム以外では、㈱アスプルンドに代表される子会社群が、空間創造や什器・備品の製造販売(建装)、家具や雑貨の卸からコントラクトに至るライフスタイル領域も手掛けており、プラットフォーム事業のサービスラインやクライアント層の幅を拡張することに寄与しています。
なお、2025年2月28日付で三菱商事ファッション㈱(同日、エムシーファッション㈱に社名変更)を100%子会社としたほか、2025年3月1日付で㈱TSIソーイング(同日、㈱ワールドソーイングに社名変更)の株式も取得いたしました。
M&Aも活用しながらプラットフォーム機能の強化を図ることでB2B事業基盤の拡充を進めてきており、ファッションの多様性と永続性の実現への貢献を目指した「ワールド・ファッション・エコシステム」の構築に向けて更なる事業基盤の拡充を図ってまいります。
当連結会計年度においては、為替変動に抵抗力を増すべく、取引条件の変更による粗利確保や案件単位の採算性も吟味した外販受注などを進めたほか、前連結会計年度との単純比較では、B2B事業の書き入れ時である3月を含む点も寄与しました。なお、ブランド事業がアパレル商品の企画・開発から生産業務までを一気通貫で垂直統合して収益向上を図ることを目的として、当期初に(当社グループのブランドに対する)内販を主体にした縫製工場運営会社の一部をプラットフォーム事業からブランド事業へ移管しました。
この結果、プラットフォーム事業の経営成績は、売上収益は744億52百万円(うち外部収益は204億22百万円)、コア営業利益(セグメント利益)が18億29百万円となりました。
d. 共通部門
事業セグメントに属さない共通部門においては、子会社からの配当や経営指導料等を収入として計上し、当社(ホールディングス)のコーポレートスタッフ等の費用を賄うことを基本的な収益構造としておりますが、子会社からの配当は予めセグメント利益から除いております。
共通部門は、「グループ経営本部」、「グループ人事統括室」といったコーポレートスタッフに加えて、グループの商品鮮度向上とソフト開発を監修する「クリエイティブ・マネジメント・センター」、グループの情報・物流システムを開発・運用する「デジタルソリューション事業本部」などで成り立っています。
ホールディングスは重点分野への集中投資という自らの役割を果たすため、子会社からホールディングスのスタッフ等の実費を上回る経営指導料等で回収することを原則としておりますが、機能集約化などを不断に進めて自らの生産性の改善に努めております。
当連結会計年度においては、当期より本格稼働した海外事業開発室の活動費のほか、会社・部署横断で取り組む新規事業等に対する戦略的投資やグループを挙げたM&Aなどに代表される成長投資にかかる先行費用の増加、従業員処遇の改善に伴う人件費の増加などの影響を受けました。
この結果、共通部門の経営成績は、売上収益は100億47百万円(うち外部収益は1億45百万円)、コア営業利益(セグメント利益)が14億85百万円となりました。
②財政状態の状況及び分析
当社グループの財政状態の状況及びその要因につき、次のとおり分析しております。
(資産)
資産合計は2,738億80百万円と前連結会計年度末に比べて341億95百万円増加しました。
この主な要因は、エムシーファッション㈱の連結加入の影響で流動資産を中心に約478億円資産合計が増加した一方、ラクサス・テクノロジーズ㈱の連結除外の影響で非流動資産を中心に約30億円資産合計が減少したことによるものです。
(負債)
負債合計は1,873億75百万円と前連結会計年度末に比べて361億8百万円増加しました。
この主な要因は、エムシーファッション㈱の連結加入の影響で約429億円負債合計が増加した一方、ラクサス・テクノロジーズ㈱の連結除外の影響で約26億円負債合計が減少したことによるものです。借入金は、主に連結範囲の変更の影響により125億円増加しました。
(資本合計)
資本合計は865億5百万円と前連結会計年度末に比べて19億13百万円減少しました。
この主な要因は、主に親会社の所有者に帰属する当期利益により利益剰余金が約111億円増加した一方、配当金の支払いにより約24億円、その他資本性金融商品の償還により約100億円、その他資本性金融商品に係る支払利息の計上により約3億円減少したことによるものです。
(在庫)
当社グループではブランド事業が売上収益の大半を占めておりますが、ブランド事業におけるアパレルブランドの事業特性から、売上債権と棚卸資産の合計から仕入債務を差し引いた運転資本のコントロール、とりわけ棚卸資産(在庫)の抑制を重視しております。
当連結会計年度末の運転資本は370億7百万円と前連結会計年度末に比べて約151億円の増加となりました。運転資本が増加した主因は、エムシーファッション㈱の連結加入に伴うものであり、当該影響を除くと運転資本は約4億円減少しております。新規連結影響を除いた実質では、在庫も前連結会計年度末から圧縮しました。
(ネットD/Eレシオ)
当社グループでは、債務返済の能力及び事業の収益性・成長性を持続的に向上できるよう、有利子負債と株主資本の最適な資本構成を検討する目的から、ネットD/Eレシオを財務体質の健全性指標とし、中長期的にネットD/Eレシオ0.5倍を目指してまいります。
当連結会計年度末のネット有利子負債は699億14百万円と前連結会計年度末より約118億円増加した一方、親会社の所有者に帰属する持分合計については約8億円減少しました。その結果、当連結会計年度のネットD/Eレシオは前連結会計年度末の0.71倍から0.86倍と0.15ポイント上昇しました。
なお、この主な要因は、エムシーファッション㈱の連結加入に伴うものであり、この間において資本勘定である永久劣後ローン100億円を借入金にて借り換えた影響は、当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益及びフリー・キャッシュ・フローの増加で吸収できた結果となっております。
(ROE)
当社グループでは、中期経営計画「PLAN-W」策定時において、株主資本コスト(COE)を超過する株主資本当期利益率(ROE)として10%超の実現を目標に掲げておりましたが、現在ではこれまでの業績等の進捗状況も踏まえて、「PLAN-W」最終年度の2026年2月期に目標値12.0%を超えるよう努めております。
当連結会計年度のROEは、前連結会計年度の7.1%から6.5ポイント改善の13.6%となり1年前倒して目標値を超えることができました。一時的な収益貢献アイテムなしで、持続的な目標値の超過を目指してまいります。
(ROIC)
当社グループでは、次期の中期経営計画で本格的な成長戦略を追求できるよう、価値創造的な状態を「PLAN-W」で創り上げることが重要と認識しております。具体的には、「PLAN-W」において、最適資本構成の下でROEがCOEを超過する状態や、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る状態を目指しています。
このため、これまでのROA(コア営業利益ベース)に替えてROICを経営指標に設定し、当中期経営計画「PLAN-W」最終年度には目標値8.5%を射程圏に捉えられる水準を目指しております。また、格付けがA格でWACCが最も低位の状態を最適資本構成と定義したうえで、WACCを目標値5.0%以下でコントロールできるよう努めます。
当連結会計年度のROICは、前連結会計年度の4.8%から3.7ポイント改善の8.5%となり目標値に達しましたが、一時的な押し上げ要因もあるため、引き続き改善を進めてまいります。
各指標に関しては、下記の定義の通り算出しております。
なお、ネット有利子負債及び親会社の所有者に帰属する持分合計は前年同期末と当期末の平均で算出しております。
・ネットD/Eレシオ
期末のネット有利子負債 ÷ 期末の親会社の所有者に帰属する持分合計
・ネット有利子負債
借入金 + 日本基準におけるファイナンスリース負債 - 現金及び現金同等物
・ROE
過去一年間の親会社の所有者に帰属する当期 (四半期) 利益 ÷ 親会社の所有者に帰属する持分合計
・ROIC
(過去一年間の営業利益 - 法人所得税 - 非支配株主持分に帰属する当期 (四半期) 利益) ÷(ネット有利子負債 + 親会社の所有者に帰属する持分合計)
③キャッシュ・フローの状況及び分析
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。なお、前連結会計年度の決算期変更に伴い、第66期(2023年4月1日~2024年2月29日)と第67期(2024年3月1日~2025年2月28日)で期間が異なっております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
319億92百万円の収入(前年同期比45億33百万円 収入増)となりました。
この主な要因は、税引前当期利益が約43億円増加したことによるものです。なお、運転資本約14億円がキャッシュ・フロー上マイナス要因となっておりますが、これは決算期変更に伴う累計期間の差異による影響によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
102億62百万円の支出(前年同期比83億1百万円 支出増)となりました。
この主な要因は、店舗への出店・改装投資に伴い約18億円、子会社株式及び関連会社株式の取得による支出が約64億円、それぞれ支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
207億55百万円の支出(前年同期比47億45百万円 支出減)となりました。
この主な要因は、エムシーファッション㈱の連結加入の影響で借入金が約118億円増加した一方、その他資本性金融商品の償還により約50億円、リース負債の返済により約17億円、それぞれ支出が増加したことによるものです。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より9億円増加して、217億48百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
前連結会計年度は、決算期の変更により、2023年4月1日から2024年2月29日までの11ヶ月間となっております。このため、前年同期比較については記載しておりません。
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ブランド事業 | 5,321 | - |
| プラットフォーム事業 | 421 | - |
| 合計 | 5,742 | - |
(注) 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
b. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ブランド事業 | 80,745 | - |
| デジタル事業 | 4,147 | - |
| プラットフォーム事業 | 62,972 | - |
| 小計 | 147,864 | - |
| IFRS調整(注)2 | 168 | - |
| 合計 | 148,031 | - |
(注)1 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2 IFRS調整は、為替予約における調整金額を記載しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
販路別売上状況
| セグメント | 区分 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
| ブランド事業 | ミドルアッパー | 55,059 | - | |
| ミドルロワー | 96,000 | - | ||
| 国内アパレルブランド | 151,058 | - | ||
| 国内ライフスタイルブランド | 26,396 | - | ||
| 海外 | 1,686 | - | ||
| 投資 | 11,497 | - | ||
| 小計 | 190,637 | - | ||
| デジタル事業 | B2Bソリューション | 3,535 | - | |
| B2Cネオエコノミー | 10,920 | - | ||
| 小計 | 14,454 | - | ||
| プラット フォーム事業 | 生産プラットフォーム | 3,019 | - | |
| 販売プラットフォーム | 6,673 | - | ||
| シェアードサービスプラットフォーム | 203 | - | ||
| ライフスタイルプラットフォーム | 10,526 | - | ||
| 小計 | 20,422 | - | ||
| 共通部門 | 145 | - | ||
| 売上収益 | 225,658 | - | ||
なお、「受注実績」につきましては、該当事項はありません。
(参考)
当社グループのEC化率は以下のとおりであります。
| EC化率 | 金額(百万円) | % | 前年同期差 | ||||
|
| 22.25 | + 0.47 |
(注)EC化率とは商品の取扱高を分母にし、そのうちECの取扱高を分子にしたものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当社は、前記「3 事業等のリスク」に記載のとおり、経済情勢の変化、消費者の嗜好の変化、在庫管理、出店・閉店、仕入価格その他費用の増加等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場環境等に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、消費者や市場のニーズに適時適切に対応していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、前記「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは金融機関からの借入金のほか、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フロー及びリース負債の返済を差し引いた実質的なフリー・キャッシュ・フローを資金の源泉と考えております。当連結会計年度における資金使途について、主に出店・改装に伴う店舗設備やシステムへの投資に係るものであります。資金調達に係る借入金の残高については後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 20.借入金」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。