有価証券報告書-第63期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況及び分析
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の経営成績は、売上収益が1,803億22百万円(前年同期比23.7%減)、コア営業損失が64億99百万円(前期はコア営業利益130億65百万円)、営業損失が216億37百万円(前期は営業利益123億51百万円)、税引前当期損失が225億56百万円(前期は税引前当期利益114億37百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失は171億49百万円(前期は親会社の所有者に帰属する当期利益80億80百万円)と、大幅な減収減益となりました。特に、コア営業利益に対して、営業利益以下の損益段階で前年同期に対する減益幅が拡大しましたが、これは2020年8月5日及び2021年2月3日付で公表した2度の構造改革の実施に伴う一時費用・損失を138億12百万円計上したことが主因であります。
売上収益は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う店舗の臨時休業や、外出機会の減少を背景とした外出着需要の減少により大幅な減収となりました。特に、2020年4月と5月が大変厳しい出足でした。4月の緊急事態宣言を受け、4月末時点で当社グループ直営店舗の約9割に当たる2,227店舗が臨時休業となったほか、営業店舗においてもほぼ全店で時間短縮営業となりました。全店舗が営業を再開した6月の店舗の売上は、外出自粛の反動を受け想定以上のスピードで力強く回復しましたが、7月以降も感染再拡大を繰り返し、もともと集客力が高かった都心部の駅ビルや百貨店においては、お客様の戻りが緩慢な状況が続きました。また、コロナ収束の見通しが不透明な中、巣篭り需要の拡大を背景として、家での過ごし方を充実させる生活雑貨や自社ECサイトの牽引でEC販路の売上成長率が上昇しましたが、在宅勤務の拡がりによるビジネス需要減少への商品対応や、家ナカ需要にマッチした商品構成に大きく舵を切ることができずに苦戦しました。
利益面においては、2020年4月の緊急事態宣言時に店舗での販売機会を失った春物商品の在庫消化を推し進めた結果、春夏シーズンは値引き販売の増加で利益率の大幅な低下を招いたという反省を残しました。このため、秋冬シーズンにおいては、仕入を前年より約2割抑制し、プロパー中心の販売をすることによって、採算の改善に努めましたが、全てを打ち返すには至らず、売上総利益率は前年同期比4.7ポイントの低下となりました。一方、人件費では、雇用調整助成金収入の他、中途採用と賞与引当金の抑制により軽減しました。さらに、店舗の臨時休業等に伴う家賃・賃借料の減少や、出張やイベントの自粛など不要不急の支出の徹底した削減に努めましたが、売上総利益の大幅な減少をカバーするには至りませんでした。加えて、構造改革に伴うブランドの終息や統廃合及び低収益店の撤退などにより、退店に伴う損失、ブランド終息にかかるのれんの減損損失や商品廃棄損、また、希望退職者募集の実施による特別加算金等をその他の費用に計上したことにより、コア営業利益以下において損失を計上しました。
そのような中、ブランド事業では、生活雑貨業態の「ワンズテラス」や「212キッチンストア」が家ナカ需要を的確に捉えて収益を伸ばしたほか、今春新たに立ち上げたブランド「ローラアシュレイ」が順調な滑り出しを見せました。プラットフォーム事業でも医療用アイソレーションガウンを始め、コロナ禍に伴うニーズを取り込んだ生産プラットフォームが貢献しました。また、デジタル事業においては、B2Bソリューションにてデジタル・トランスフォーメーションの顧客ニーズを掴み複数の大型案件を獲得して将来の備えを着々と進め、B2Cネオエコノミーはオフプライスストアのアンドブリッジがテスト期間を経て大型店の出店にも挑戦するなど好調なスタートを切り、バッグレンタルのラクサスもテレビCMを展開して会員数を大きく伸ばしています。厳しい業績下でも、こうした弊社グループならではの成長の芽が見えた1年でもありました。
コロナ禍の収束が見通せない現状においては、グループ横断の徹底的なリソースコントロールが不可欠であり、今期は“ヒトのコントロール”、“モノのコントロール”、“カネのコントロール”のそれぞれに全社一丸で取り組んでいます。
さらに当社グループでは、中期的な基本方針として、より多様なファッションの楽しさを、デジタル技術を活用したプラットフォームやサービスを通じて、ロス・ムダなくお客様に価値を届ける持続可能な産業世界を追求する「ワールド・ファッション・エコシステム」の実現を目指して、持続可能な社会に適合したビジネスモデルの開発を推進しています。コロナ禍の環境下においてテクノロジーが日常生活に一段と浸透するなか、ファッションの新たな事業の開発に向けた投資や活動の手綱は決して緩めておりません。
セグメント別の状況は次のとおりです。
(a)ブランド事業
ブランド事業においては、ブランドポートフォリオ戦略を機動的に修正し、ブランド事業セグメント全体最適の視点で成長性と収益性のバランスを図っています。
百貨店を中心に展開するミドルアッパーブランドは、ブランドらしさや強みを明確に打ち出し、差別化された付加価値の高い商品開発に継続して取り組んでいます。ショッピングセンターを中心に展開するミドルロワーブランドにおいては、近年常態化しつつある値引き販売の風潮の中で、プロパー中心の企画および販売に注力することで毎月の店頭鮮度を維持し、在庫効率をより高めることに取り組んでいます。また、ライフスタイルブランドは季節ごとのモチベーションを生活雑貨で提案し、お客様の支持拡大に努めています。
一方、投資グループにおいては、プラットフォームやシステムの導入によるシナジー効果の追求をテーマに掲げ、開発・改革ブランドが引き続き構造改革や成長戦略の推進に取り組み、また、M&Aブランドでは「靴」のバリューチェーンの大半を自社でカバーする神戸レザークロス㈱や質の高い革小物を提供する㈱ヒロフが前期連結加入となったことで、グループ全体の事業ポートフォリオの拡充が順調に進んでいます。
そうしたなか、当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年4月から5月を中心に多くの店舗が館の一時休業に伴う営業停止を余儀なくされたことに加え、店舗が再オープンした6月以降においても外出着に代表されるアパレルファッション消費の戻りは引き続き緩慢な状況です。
アパレル業態では主に近隣型ショッピングセンターに展開している「シューラルー」において売上回復が見られるものの、これまでハイ・トラフィックな立地であった都心百貨店や駅・ターミナル周辺を中心として集客力の回復に苦戦しています。このため、主力アパレル業態で構造改革の断行や経営資源の見直しによる「選択と集中」を推進しております。
一方でコロナ禍での家の過ごし方を充実させる生活雑貨業態の健闘が光り、バラエティに富んだ生活雑貨を取り扱う「ワンズテラス」や、内食需要をうまく取り込んだ「212キッチンストア」が休業期間を除くと前年同期を大きく上回る売上水準で推移しました。ブランド事業では、この生活雑貨業態を成長分野と位置付けて、投資を強化しております。
この結果、ブランド事業の経営成績は第1四半期の店舗の一時休業を中心とする影響を大きく受け、売上収益が1,611億88百万円(前年同期比26.2%減)(うち外部収益は1,580億42百万円(前年同期比26.2%減))、コア営業利益(セグメント利益)が△108億17百万円(前年同期比182億4百万円減)と減収減益になりました。
(b)デジタル事業
デジタル事業については、「B2Bソリューション」と「B2Cネオエコノミー」から成り立っており、デジタル技術を梃子にしたトランスフォーメーションの牽引役として、当社グループにおける重点投資の領域と位置付けております。
B2Bソリューションにおいては、Eコマースの運営受託とデジタルソリューションを行っております。
Eコマースの運営受託では、自社ブランドを販売する直営ファッション通販サイト「ワールドオンラインストア」の運営を受託しており、ブランド事業の直営店舗との相互送客(O2O)強化に取り組んでいます。また、デジタルソリューションでは、自社の物流コスト抑制の取組みや基幹システムの刷新に限らず、他社に向けた基幹システムやCRM(顧客管理)システム等の新たなソリューションの提供などの業容拡大にも注力しております。
B2Cネオエコノミーにおいては、「シェアリング」や「カスタマイズ」といったキーワードで新規の事業開発へ本格的に取り組んでおります。
前期にグループ連結加入したオンラインカスタムシャツブランド「オリジナルスティッチ」を運営する米国・Original Inc.は、キャラクターを活用したIP(知的財産)ビジネス強化、海外展開地域の拡大といった価値創造の活動を本格化しております。また、ブランドバッグに特化したサブスクリプション型レンタルサービスを営み、シェアリングエコノミーの浸透を牽引するラクサス・テクノロジーズ㈱も、前期のグループ連結加入後、TVCMも巧みに活用しながら会員数を増加させています。
デジタル事業の経営成績については、B2Bソリューションにおいて、新型コロナウイルスの影響で店舗販路の集客力が戻らないなか、Eコマース販路へより多くの商材を振り向け、集客効果を狙った販売促進策を進めた結果、Eコマース売上はその成長力を一段とスピードアップしました。ただ、販売促進費を積極投下したことや主に物流費の増加に伴う変動費率の上昇もあり、もう一段の経費コントロールによる収益性の向上が今後の課題となりました。
一方で、B2Cネオエコノミーでは、ユーズドセレクトショップ「ラグタグ」を営む㈱ティンパンアレイにおいて、海外からのインバウンド減少などで都市基幹店を中心に店頭の客数減を受けたほか、Eコマース販路でも基幹システム切り替えで一定期間に亘って売上収益を落としたことが響きました。また、ラクサスのTVCM費用に代表されるとおり、将来成長に向けた投資負担が先行している点も収益を圧迫しております。
これらの結果として、売上収益は263億19百万円(前年同期比4.8%増)(うち外部収益は94億74百万円(前年同期比9.8%減))、コア営業利益(セグメント利益)が19億15百万円の赤字(前年同期比13億33百万円減)と増収減益になりました。
(c)プラットフォーム事業
プラットフォーム事業においては、ワールドグループが培ってきた様々なノウハウと仕組みを活用したプラットフォームの外部企業へのオープン化を推進し、業界の枠組みを超えた新たな事業領域の拡大に取り組んでいます。
生産プラットフォームの㈱ワールドプロダクションパートナーズは、自ら商社機能を発揮して直接貿易に取り組み、製造子会社群の生産性改善を指導・支援するほか、他社アパレルの商品開発及び製造(OEM・ODM事業)も強化しております。
また、販売プラットフォームの㈱ワールドストアパートナーズは、全国を網羅する支店及び営業所できめ細やかな販売支援体制を整えており、最近では他業種小売業の運営受託案件も拡大しております。
ライフスタイルプラットフォーム(空間創造)の㈱ワールドスペースソリューションズは、引き続きアパレル以外の業界にも営業活動を広げて、什器・家具の製造販売、空間・店舗デザインの提供を着実に拡大しております。
プラットフォーム事業の経営成績においては、生産プラットフォームではコロナ禍でアパレル生産が落ち込む中、様々な免疫備品の全国的な需要拡大に対応しつつ、国内自社工場のクオリティの高い生産背景を活かして、アイソレーションガウンの生産を開始した結果、受注・生産拡大によって商社と工場の両方で収益性が大きく改善しました。
また、販売プラットフォームでは、アウトレット店舗事業やアトリエセール等の催事における集客の大幅な減少や、店舗人員の配置見直しによって収入が減少したものの、雇用調整助成金収入による人件費負担の軽減などが収益を下支えしました。
ライフスタイルプラットフォーム(空間創造)においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う第1四半期における営業活動の大幅な縮小による受注減に加えて、その後も顧客であるホテルや飲食、アパレルなどの開業・改装案件の中止や延期が相次いだ影響を受けたものの、経費コントロールの徹底に加えて、小規模案件やグループ案件のきめ細かな受注で打撃を最小限に食い止めるよう努めました。
結果として、売上収益は885億56百万円(前年同期比16.7%減)(うち外部収益は127億11百万円(前年同期比11.5%増))ながらも、コア営業利益(セグメント利益)が41億81百万円(前年同期比95.0%増)と減収増益になりました。
(d)共通部門
事業セグメントに属さない共通部門においては、子会社からの配当や経営指導料等を収入として計上する一方、それでホールディングスのコーポレートスタッフ等の費用を賄うことを基本的な収益構造としておりますが、子会社からの配当は予めセグメント利益から除いております。
共通部門は、「グループ企画本部」、「グループ支援本部」に加えて、グループの商品鮮度向上とソフト開発を推進する「クリエイティブ・マネジメント・センター」、グループブランディングを推進する「グループコミュニケーション推進室」や各事業のノウハウ・仕組みを横断的に外部企業へのオープン化に向けて推進する「プラットフォーム事業推進室」などで成り立っています。
ホールディングスは重点分野への集中投資という自らの役割を果たすため、子会社からホールディングスのスタッフ等の実費を上回る経営指導料等で回収することを原則としております。
共通部門においても、コロナ禍でブランド事業を中心に子会社の売上収益が減少し、それに伴う料率方式の経営指導料収入が減少したことから、売上収益71億14百万円(前年同期比20.6%減)(うち外部収益95百万円(前年同期比39.2%減))、コア営業利益(セグメント利益)が23億20百万円(前年同期比43.7%減)と減収減益になりました。
<サステナビリティ(持続可能性)への取り組みについて>当社グループは、『価値創造企業グループ』として長期的・持続的に価値を創造し提供し続けるためには、「持続可能な社会の実現」への貢献が不可欠であり、環境および社会活動に関する取り組みを企業経営における重要課題のひとつと位置づけております。ファッション産業全体における余剰在庫や商品廃棄の課題解消に向けて「ムダなモノを作らない」新たなビジネスモデルをB2Cネオエコノミー事業領域にて推進しています。
具体的には、米国・Original Inc.のオンラインカスタムシャツブランド「Original Stitch」ならびにセットアップジャケットやパンツなどのカスタムオーダーブランド「アンビルト タケオキクチ」の受注生産による製品在庫レスモデルの開発、㈱ティンパンアレイのユーズドセレクトショップ「ラグタグ」では、高感度なリユース品を買い取り販売する循環モデルを確立しています。
また、オフプライスストア業態「アンドブリッジ」を開発して産業全体の余剰在庫に新たな価値を付けて循環サイクルを廻す取り組みや、会員の保有するバッグの循環も含めたブランドバッグのシェアリングを可能とするサブスクリプション型レンタルサービスを展開するラクサス・テクノロジーズ㈱など、産業全体の構造的課題の解消に積極的に取り組んでいます。
加えて、当期においては、在庫廃棄削減を目的として、店舗にて販売中の非稼働在庫や価値あるものの一部に不良が生じた製品について、日常的に同地域内の一店舗に集約して低価格や二級品として販売するトライアルを試みており、シーズン中に一定の地域内で「完全売切り」を実現するモデル開発にも取り組んでおります。
また当連結会計年度は、ファッション企業のリソースを最大限に活用し、新型コロナウイルス感染症に立ち向かう医療従事者を応援できるよう、そして人々の新日常への対応を補助できるよう、様々なサステナビリティ活動にも取り組んでいます。主な活動は以下のとおりです。
・医療用ガウン(アイソレーションガウン)の製造・販売
日本政府の要請に応じて、当社グループが培ってきた生産・調達プラットフォームを活かし、国内6ヶ所の自社工場を中心に約410万枚を日本政府への納品の他自治体や法人向けに販売しております。
・マスクの製造・販売
感染予防に対応すべく、抗菌防臭や抗菌・抗ウイルス機能などの加工技術を用いた素材を使用したマスクを自社ECサイト「ワールドオンラインストア」を通じて販売しています。
・当社グループ全従業員への対応
当社グループ全従業員及び家族をはじめ、お客様、お取引先様など関係する皆様の感染を防止するため、原則テレワークへ移行を推進しています。但し、テレワークでは遂行できない業務については、混雑時間帯を避ける目的で時差出勤を行うなどし、必要最小限の出勤としています。また、店舗をはじめ物流センターやコールセンター、海外グループ会社勤務者には早期に優先してマスクの配布を行い、その後、全従業員向けに「洗える抗ウイルスマスク」の配布を行いました。
②財政状態の状況及び分析
当社グループの財政状態の状況及びその要因につき、次のとおり分析しております。
(資産)
資産合計は2,453億86百万円と前連結会計年度末に比べて166億10百万円減少しました。
この主な要因は、構造改革の一環で一部ブランドの終息に伴い店舗関連設備(約7億円)及びのれん(約65億円)について減損損失を計上したことに加え、低収益店舗撤退により店舗関連設備(約25億円)を除却した結果、有形固定資産が約37億円、使用権資産が約116億円、無形資産が約57億円それぞれ減少したことによるものです。
また、繰延税金資産が約59億円、売上債権及びその他の債権が約34億円それぞれ増加しました。
(負債)
負債は1,653億57百万円と前連結会計年度末に比べて133億11百万円減少しました。
この主な要因は、仕入抑制により仕入債務及びその他の債務が約27億円、構造改革に伴う店舗撤退により、店舗の賃貸借契約および店舗内装リースが減少し、リース負債が約123億円それぞれ減少したことによるものです。このほか、借入金は約18億円増加しております。
(資本合計)
資本合計は800億29百万円と前連結会計年度末に比べて32億99百万円減少しました。
この主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期損失を171億49百万円計上した結果、利益剰余金が約180億円減少した一方、永久劣後特約付ローンによる資金調達により、その他資本性金融商品が約146億円増加したことによるものです。
(在庫)
当社グループではブランド事業が売上収益の大半を占めておりますが、ブランド事業におけるアパレルブランドの事業特性から、売上債権と棚卸資産の合計から仕入債務を差し引いた運転資本のコントロール、とりわけ棚卸資産(在庫)の抑制を重視しております。
当連結会計年度末の運転資本は202億20百万円と前連結会計年度末に比べて8億96百万円の減少となりました。また、当連結会計年度末の棚卸資産は217億78百万円と前連結会計年度末に比べて35億18百万円の減少となりました。この主な要因は、ブランド事業において、売上収益が低調にとどまっているものの、それに合わせて仕入コントロールをタイトにおこなったほか、終息ブランドの在庫消化を徹底的に推進したことによるものです。
(D/Eレシオ)
当社グループは、資本合計に対する有利子負債※の割合であるデット・エクイティ・レシオ(D/Eレシオ)を財務体質の健全化の指標としており、中期的にD/Eレシオ0.5倍を目指しております。
当連結会計年度末の有利子負債は、短期借入金の増加により、799億65百万円と前連結会計年度末より18億48百万円増加し、資本合計については32億99百万円減少しています。その結果、前連結会計年度末の0.94倍から0.06ポイント悪化し、当連結会計年度末のD/Eレシオは1.00倍となりました。
なお、2度の構造改革の実施に伴う一時的で多額な費用・損失を計上しましたが、2021年3月にその他資本性金融商品の調達を実行したことで、その他資本性金融商品が損失を補う結果となりました。これにより、当連結会計年度で最も指標の高かった第2四半期連結会計期間末の1.18倍から改善しています。
※ 有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている借入金を対象としております。
(ROA)
当社グループでは、売上収益に対する利益の割合だけではなく、資産(負債及び資本合計)に対する利益の割合も資産効率の観点で重視しており、総資産に対するコア営業利益の割合であるROA(コア営業利益ベース)を収益性の指標としております。
当連結会計年度においては、構造改革を実施したことで、店舗関連設備の減損損失及び除却損、のれんの減損損失計上などに伴い、有形固定資産、無形資産、使用権資産などが減少した結果、分母となる当連結会計年度末の総資産は2,453億86百万円と前連結会計年度末に比べて166億10百万円減少しました。
反対に、分子のコア営業利益については、2020年4月の緊急事態宣言を受けて、一時的に約9割の店舗が臨時休業となる事態の収益への打撃が大きかったほか、強みとしていた外出・通勤用レディスアパレルのオンニーズからオフニーズへの顧客変化に十分に対応しきれなかったことにより、正常な収益力への回復に遅れをとったことなどから△64億99百万円(前期比195億64百万円減)となりました。
その結果、当連結会計年度末のROA(コア営業利益ベース)は△2.6%(前期比8.1ポイント減)と大きく悪化しました。当該指標の回復には、分子のコア営業利益の黒字定着の早期実現が急務と認識しております。
③キャッシュ・フローの状況及び分析
当社グループの各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につき、次のとおり分析しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
41億55百万円の収入(前年同期比227億34百万円 収入減)となりました。
この主な要因は、当連結会計年度において、税引前当期損失を225億56百万円計上したことで、前連結会計年度に計上した税引前当期利益から収入が約340億円減少したことに加え、当連結会計年度に計上した構造改革費用が96億65百万円及び、前連結会計年度に一時的に計上した負ののれん発生益26億87百万円が、キャッシュ・フロー上、収入として認識されているほか、売上債権及びその他の債権の増減額が40億円の減少と約130億円収入が減少したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
26億79百万円の支出(前年同期比52億62百万円 支出減)となりました。
この主な要因は、前連結会計年度における一時的な事象として、神戸レザークロス㈱及びOriginal Inc.(米国)の株式取得時において12億60百万円の収入、ラクサス・テクロノジーズ㈱の株式取得時において40億12百万円の支出をそれぞれ認識したほか、無形資産の取得による支出が23億94百万円と約26億円減少したことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
11億44百万円の支出(前年同期比170億90百万円 支出減)となりました。
この主な要因は、長期借入金の返済による支出が89億23百万円と前連結会計年度に計上した120億82百万円に比べ約32億円支出が減少したことや、永久劣後特約付ローンによる資金調達により、その他資本性金融商品の発行による収入が145億56百万円増加したことによります。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より4億45百万円増加して、206億87百万円となりました。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、主に非アパレルブランドの拡充やバリューチェーン補強を目的としたM&Aの推進、そしてデジタル軸における新たなサービスや全業務領域のシステム刷新に伴う開発投資を推進しており、計画通りに進捗しております。なお、これらの財源は、手許資金を充当いたします。
⑤生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
3 IFRS調整は、為替予約における調整金額を記載しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
販路別売上状況
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(注)2 当連結会計年度において、デジタル事業及びプラットフォーム事業の一部の区分を除くすべてのセグメントの販売実績が減少しております。減少の主な要因は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、多くの店舗での臨時休業したためであります。詳細は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります
なお、「受注実績」につきましては、該当事項はありません。
(参考)
当社グループのEC化率は以下のとおりであります。
(注)EC化率とは商品の取扱高を分母にし、そのうちECの取扱高を分子にしたものであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、前記「2 事業等のリスク」に記載のとおり、経済情勢の変化、消費者の嗜好の変化、在庫管理、出店・閉店、仕入価格その他費用の増加等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場環境等に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、消費者や市場のニーズに適時適切に対応していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。
②経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容につきましては、前記「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況及び分析
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の経営成績は、売上収益が1,803億22百万円(前年同期比23.7%減)、コア営業損失が64億99百万円(前期はコア営業利益130億65百万円)、営業損失が216億37百万円(前期は営業利益123億51百万円)、税引前当期損失が225億56百万円(前期は税引前当期利益114億37百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失は171億49百万円(前期は親会社の所有者に帰属する当期利益80億80百万円)と、大幅な減収減益となりました。特に、コア営業利益に対して、営業利益以下の損益段階で前年同期に対する減益幅が拡大しましたが、これは2020年8月5日及び2021年2月3日付で公表した2度の構造改革の実施に伴う一時費用・損失を138億12百万円計上したことが主因であります。
売上収益は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う店舗の臨時休業や、外出機会の減少を背景とした外出着需要の減少により大幅な減収となりました。特に、2020年4月と5月が大変厳しい出足でした。4月の緊急事態宣言を受け、4月末時点で当社グループ直営店舗の約9割に当たる2,227店舗が臨時休業となったほか、営業店舗においてもほぼ全店で時間短縮営業となりました。全店舗が営業を再開した6月の店舗の売上は、外出自粛の反動を受け想定以上のスピードで力強く回復しましたが、7月以降も感染再拡大を繰り返し、もともと集客力が高かった都心部の駅ビルや百貨店においては、お客様の戻りが緩慢な状況が続きました。また、コロナ収束の見通しが不透明な中、巣篭り需要の拡大を背景として、家での過ごし方を充実させる生活雑貨や自社ECサイトの牽引でEC販路の売上成長率が上昇しましたが、在宅勤務の拡がりによるビジネス需要減少への商品対応や、家ナカ需要にマッチした商品構成に大きく舵を切ることができずに苦戦しました。
利益面においては、2020年4月の緊急事態宣言時に店舗での販売機会を失った春物商品の在庫消化を推し進めた結果、春夏シーズンは値引き販売の増加で利益率の大幅な低下を招いたという反省を残しました。このため、秋冬シーズンにおいては、仕入を前年より約2割抑制し、プロパー中心の販売をすることによって、採算の改善に努めましたが、全てを打ち返すには至らず、売上総利益率は前年同期比4.7ポイントの低下となりました。一方、人件費では、雇用調整助成金収入の他、中途採用と賞与引当金の抑制により軽減しました。さらに、店舗の臨時休業等に伴う家賃・賃借料の減少や、出張やイベントの自粛など不要不急の支出の徹底した削減に努めましたが、売上総利益の大幅な減少をカバーするには至りませんでした。加えて、構造改革に伴うブランドの終息や統廃合及び低収益店の撤退などにより、退店に伴う損失、ブランド終息にかかるのれんの減損損失や商品廃棄損、また、希望退職者募集の実施による特別加算金等をその他の費用に計上したことにより、コア営業利益以下において損失を計上しました。
そのような中、ブランド事業では、生活雑貨業態の「ワンズテラス」や「212キッチンストア」が家ナカ需要を的確に捉えて収益を伸ばしたほか、今春新たに立ち上げたブランド「ローラアシュレイ」が順調な滑り出しを見せました。プラットフォーム事業でも医療用アイソレーションガウンを始め、コロナ禍に伴うニーズを取り込んだ生産プラットフォームが貢献しました。また、デジタル事業においては、B2Bソリューションにてデジタル・トランスフォーメーションの顧客ニーズを掴み複数の大型案件を獲得して将来の備えを着々と進め、B2Cネオエコノミーはオフプライスストアのアンドブリッジがテスト期間を経て大型店の出店にも挑戦するなど好調なスタートを切り、バッグレンタルのラクサスもテレビCMを展開して会員数を大きく伸ばしています。厳しい業績下でも、こうした弊社グループならではの成長の芽が見えた1年でもありました。
コロナ禍の収束が見通せない現状においては、グループ横断の徹底的なリソースコントロールが不可欠であり、今期は“ヒトのコントロール”、“モノのコントロール”、“カネのコントロール”のそれぞれに全社一丸で取り組んでいます。
さらに当社グループでは、中期的な基本方針として、より多様なファッションの楽しさを、デジタル技術を活用したプラットフォームやサービスを通じて、ロス・ムダなくお客様に価値を届ける持続可能な産業世界を追求する「ワールド・ファッション・エコシステム」の実現を目指して、持続可能な社会に適合したビジネスモデルの開発を推進しています。コロナ禍の環境下においてテクノロジーが日常生活に一段と浸透するなか、ファッションの新たな事業の開発に向けた投資や活動の手綱は決して緩めておりません。
セグメント別の状況は次のとおりです。
(a)ブランド事業
ブランド事業においては、ブランドポートフォリオ戦略を機動的に修正し、ブランド事業セグメント全体最適の視点で成長性と収益性のバランスを図っています。
百貨店を中心に展開するミドルアッパーブランドは、ブランドらしさや強みを明確に打ち出し、差別化された付加価値の高い商品開発に継続して取り組んでいます。ショッピングセンターを中心に展開するミドルロワーブランドにおいては、近年常態化しつつある値引き販売の風潮の中で、プロパー中心の企画および販売に注力することで毎月の店頭鮮度を維持し、在庫効率をより高めることに取り組んでいます。また、ライフスタイルブランドは季節ごとのモチベーションを生活雑貨で提案し、お客様の支持拡大に努めています。
一方、投資グループにおいては、プラットフォームやシステムの導入によるシナジー効果の追求をテーマに掲げ、開発・改革ブランドが引き続き構造改革や成長戦略の推進に取り組み、また、M&Aブランドでは「靴」のバリューチェーンの大半を自社でカバーする神戸レザークロス㈱や質の高い革小物を提供する㈱ヒロフが前期連結加入となったことで、グループ全体の事業ポートフォリオの拡充が順調に進んでいます。
そうしたなか、当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年4月から5月を中心に多くの店舗が館の一時休業に伴う営業停止を余儀なくされたことに加え、店舗が再オープンした6月以降においても外出着に代表されるアパレルファッション消費の戻りは引き続き緩慢な状況です。
アパレル業態では主に近隣型ショッピングセンターに展開している「シューラルー」において売上回復が見られるものの、これまでハイ・トラフィックな立地であった都心百貨店や駅・ターミナル周辺を中心として集客力の回復に苦戦しています。このため、主力アパレル業態で構造改革の断行や経営資源の見直しによる「選択と集中」を推進しております。
一方でコロナ禍での家の過ごし方を充実させる生活雑貨業態の健闘が光り、バラエティに富んだ生活雑貨を取り扱う「ワンズテラス」や、内食需要をうまく取り込んだ「212キッチンストア」が休業期間を除くと前年同期を大きく上回る売上水準で推移しました。ブランド事業では、この生活雑貨業態を成長分野と位置付けて、投資を強化しております。
この結果、ブランド事業の経営成績は第1四半期の店舗の一時休業を中心とする影響を大きく受け、売上収益が1,611億88百万円(前年同期比26.2%減)(うち外部収益は1,580億42百万円(前年同期比26.2%減))、コア営業利益(セグメント利益)が△108億17百万円(前年同期比182億4百万円減)と減収減益になりました。
(b)デジタル事業
デジタル事業については、「B2Bソリューション」と「B2Cネオエコノミー」から成り立っており、デジタル技術を梃子にしたトランスフォーメーションの牽引役として、当社グループにおける重点投資の領域と位置付けております。
B2Bソリューションにおいては、Eコマースの運営受託とデジタルソリューションを行っております。
Eコマースの運営受託では、自社ブランドを販売する直営ファッション通販サイト「ワールドオンラインストア」の運営を受託しており、ブランド事業の直営店舗との相互送客(O2O)強化に取り組んでいます。また、デジタルソリューションでは、自社の物流コスト抑制の取組みや基幹システムの刷新に限らず、他社に向けた基幹システムやCRM(顧客管理)システム等の新たなソリューションの提供などの業容拡大にも注力しております。
B2Cネオエコノミーにおいては、「シェアリング」や「カスタマイズ」といったキーワードで新規の事業開発へ本格的に取り組んでおります。
前期にグループ連結加入したオンラインカスタムシャツブランド「オリジナルスティッチ」を運営する米国・Original Inc.は、キャラクターを活用したIP(知的財産)ビジネス強化、海外展開地域の拡大といった価値創造の活動を本格化しております。また、ブランドバッグに特化したサブスクリプション型レンタルサービスを営み、シェアリングエコノミーの浸透を牽引するラクサス・テクノロジーズ㈱も、前期のグループ連結加入後、TVCMも巧みに活用しながら会員数を増加させています。
デジタル事業の経営成績については、B2Bソリューションにおいて、新型コロナウイルスの影響で店舗販路の集客力が戻らないなか、Eコマース販路へより多くの商材を振り向け、集客効果を狙った販売促進策を進めた結果、Eコマース売上はその成長力を一段とスピードアップしました。ただ、販売促進費を積極投下したことや主に物流費の増加に伴う変動費率の上昇もあり、もう一段の経費コントロールによる収益性の向上が今後の課題となりました。
一方で、B2Cネオエコノミーでは、ユーズドセレクトショップ「ラグタグ」を営む㈱ティンパンアレイにおいて、海外からのインバウンド減少などで都市基幹店を中心に店頭の客数減を受けたほか、Eコマース販路でも基幹システム切り替えで一定期間に亘って売上収益を落としたことが響きました。また、ラクサスのTVCM費用に代表されるとおり、将来成長に向けた投資負担が先行している点も収益を圧迫しております。
これらの結果として、売上収益は263億19百万円(前年同期比4.8%増)(うち外部収益は94億74百万円(前年同期比9.8%減))、コア営業利益(セグメント利益)が19億15百万円の赤字(前年同期比13億33百万円減)と増収減益になりました。
(c)プラットフォーム事業
プラットフォーム事業においては、ワールドグループが培ってきた様々なノウハウと仕組みを活用したプラットフォームの外部企業へのオープン化を推進し、業界の枠組みを超えた新たな事業領域の拡大に取り組んでいます。
生産プラットフォームの㈱ワールドプロダクションパートナーズは、自ら商社機能を発揮して直接貿易に取り組み、製造子会社群の生産性改善を指導・支援するほか、他社アパレルの商品開発及び製造(OEM・ODM事業)も強化しております。
また、販売プラットフォームの㈱ワールドストアパートナーズは、全国を網羅する支店及び営業所できめ細やかな販売支援体制を整えており、最近では他業種小売業の運営受託案件も拡大しております。
ライフスタイルプラットフォーム(空間創造)の㈱ワールドスペースソリューションズは、引き続きアパレル以外の業界にも営業活動を広げて、什器・家具の製造販売、空間・店舗デザインの提供を着実に拡大しております。
プラットフォーム事業の経営成績においては、生産プラットフォームではコロナ禍でアパレル生産が落ち込む中、様々な免疫備品の全国的な需要拡大に対応しつつ、国内自社工場のクオリティの高い生産背景を活かして、アイソレーションガウンの生産を開始した結果、受注・生産拡大によって商社と工場の両方で収益性が大きく改善しました。
また、販売プラットフォームでは、アウトレット店舗事業やアトリエセール等の催事における集客の大幅な減少や、店舗人員の配置見直しによって収入が減少したものの、雇用調整助成金収入による人件費負担の軽減などが収益を下支えしました。
ライフスタイルプラットフォーム(空間創造)においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う第1四半期における営業活動の大幅な縮小による受注減に加えて、その後も顧客であるホテルや飲食、アパレルなどの開業・改装案件の中止や延期が相次いだ影響を受けたものの、経費コントロールの徹底に加えて、小規模案件やグループ案件のきめ細かな受注で打撃を最小限に食い止めるよう努めました。
結果として、売上収益は885億56百万円(前年同期比16.7%減)(うち外部収益は127億11百万円(前年同期比11.5%増))ながらも、コア営業利益(セグメント利益)が41億81百万円(前年同期比95.0%増)と減収増益になりました。
(d)共通部門
事業セグメントに属さない共通部門においては、子会社からの配当や経営指導料等を収入として計上する一方、それでホールディングスのコーポレートスタッフ等の費用を賄うことを基本的な収益構造としておりますが、子会社からの配当は予めセグメント利益から除いております。
共通部門は、「グループ企画本部」、「グループ支援本部」に加えて、グループの商品鮮度向上とソフト開発を推進する「クリエイティブ・マネジメント・センター」、グループブランディングを推進する「グループコミュニケーション推進室」や各事業のノウハウ・仕組みを横断的に外部企業へのオープン化に向けて推進する「プラットフォーム事業推進室」などで成り立っています。
ホールディングスは重点分野への集中投資という自らの役割を果たすため、子会社からホールディングスのスタッフ等の実費を上回る経営指導料等で回収することを原則としております。
共通部門においても、コロナ禍でブランド事業を中心に子会社の売上収益が減少し、それに伴う料率方式の経営指導料収入が減少したことから、売上収益71億14百万円(前年同期比20.6%減)(うち外部収益95百万円(前年同期比39.2%減))、コア営業利益(セグメント利益)が23億20百万円(前年同期比43.7%減)と減収減益になりました。
<サステナビリティ(持続可能性)への取り組みについて>当社グループは、『価値創造企業グループ』として長期的・持続的に価値を創造し提供し続けるためには、「持続可能な社会の実現」への貢献が不可欠であり、環境および社会活動に関する取り組みを企業経営における重要課題のひとつと位置づけております。ファッション産業全体における余剰在庫や商品廃棄の課題解消に向けて「ムダなモノを作らない」新たなビジネスモデルをB2Cネオエコノミー事業領域にて推進しています。
具体的には、米国・Original Inc.のオンラインカスタムシャツブランド「Original Stitch」ならびにセットアップジャケットやパンツなどのカスタムオーダーブランド「アンビルト タケオキクチ」の受注生産による製品在庫レスモデルの開発、㈱ティンパンアレイのユーズドセレクトショップ「ラグタグ」では、高感度なリユース品を買い取り販売する循環モデルを確立しています。
また、オフプライスストア業態「アンドブリッジ」を開発して産業全体の余剰在庫に新たな価値を付けて循環サイクルを廻す取り組みや、会員の保有するバッグの循環も含めたブランドバッグのシェアリングを可能とするサブスクリプション型レンタルサービスを展開するラクサス・テクノロジーズ㈱など、産業全体の構造的課題の解消に積極的に取り組んでいます。
加えて、当期においては、在庫廃棄削減を目的として、店舗にて販売中の非稼働在庫や価値あるものの一部に不良が生じた製品について、日常的に同地域内の一店舗に集約して低価格や二級品として販売するトライアルを試みており、シーズン中に一定の地域内で「完全売切り」を実現するモデル開発にも取り組んでおります。
また当連結会計年度は、ファッション企業のリソースを最大限に活用し、新型コロナウイルス感染症に立ち向かう医療従事者を応援できるよう、そして人々の新日常への対応を補助できるよう、様々なサステナビリティ活動にも取り組んでいます。主な活動は以下のとおりです。
・医療用ガウン(アイソレーションガウン)の製造・販売
日本政府の要請に応じて、当社グループが培ってきた生産・調達プラットフォームを活かし、国内6ヶ所の自社工場を中心に約410万枚を日本政府への納品の他自治体や法人向けに販売しております。
・マスクの製造・販売
感染予防に対応すべく、抗菌防臭や抗菌・抗ウイルス機能などの加工技術を用いた素材を使用したマスクを自社ECサイト「ワールドオンラインストア」を通じて販売しています。
・当社グループ全従業員への対応
当社グループ全従業員及び家族をはじめ、お客様、お取引先様など関係する皆様の感染を防止するため、原則テレワークへ移行を推進しています。但し、テレワークでは遂行できない業務については、混雑時間帯を避ける目的で時差出勤を行うなどし、必要最小限の出勤としています。また、店舗をはじめ物流センターやコールセンター、海外グループ会社勤務者には早期に優先してマスクの配布を行い、その後、全従業員向けに「洗える抗ウイルスマスク」の配布を行いました。
②財政状態の状況及び分析
当社グループの財政状態の状況及びその要因につき、次のとおり分析しております。
(資産)
資産合計は2,453億86百万円と前連結会計年度末に比べて166億10百万円減少しました。
この主な要因は、構造改革の一環で一部ブランドの終息に伴い店舗関連設備(約7億円)及びのれん(約65億円)について減損損失を計上したことに加え、低収益店舗撤退により店舗関連設備(約25億円)を除却した結果、有形固定資産が約37億円、使用権資産が約116億円、無形資産が約57億円それぞれ減少したことによるものです。
また、繰延税金資産が約59億円、売上債権及びその他の債権が約34億円それぞれ増加しました。
(負債)
負債は1,653億57百万円と前連結会計年度末に比べて133億11百万円減少しました。
この主な要因は、仕入抑制により仕入債務及びその他の債務が約27億円、構造改革に伴う店舗撤退により、店舗の賃貸借契約および店舗内装リースが減少し、リース負債が約123億円それぞれ減少したことによるものです。このほか、借入金は約18億円増加しております。
(資本合計)
資本合計は800億29百万円と前連結会計年度末に比べて32億99百万円減少しました。
この主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期損失を171億49百万円計上した結果、利益剰余金が約180億円減少した一方、永久劣後特約付ローンによる資金調達により、その他資本性金融商品が約146億円増加したことによるものです。
(在庫)
当社グループではブランド事業が売上収益の大半を占めておりますが、ブランド事業におけるアパレルブランドの事業特性から、売上債権と棚卸資産の合計から仕入債務を差し引いた運転資本のコントロール、とりわけ棚卸資産(在庫)の抑制を重視しております。
当連結会計年度末の運転資本は202億20百万円と前連結会計年度末に比べて8億96百万円の減少となりました。また、当連結会計年度末の棚卸資産は217億78百万円と前連結会計年度末に比べて35億18百万円の減少となりました。この主な要因は、ブランド事業において、売上収益が低調にとどまっているものの、それに合わせて仕入コントロールをタイトにおこなったほか、終息ブランドの在庫消化を徹底的に推進したことによるものです。
(D/Eレシオ)
当社グループは、資本合計に対する有利子負債※の割合であるデット・エクイティ・レシオ(D/Eレシオ)を財務体質の健全化の指標としており、中期的にD/Eレシオ0.5倍を目指しております。
当連結会計年度末の有利子負債は、短期借入金の増加により、799億65百万円と前連結会計年度末より18億48百万円増加し、資本合計については32億99百万円減少しています。その結果、前連結会計年度末の0.94倍から0.06ポイント悪化し、当連結会計年度末のD/Eレシオは1.00倍となりました。
なお、2度の構造改革の実施に伴う一時的で多額な費用・損失を計上しましたが、2021年3月にその他資本性金融商品の調達を実行したことで、その他資本性金融商品が損失を補う結果となりました。これにより、当連結会計年度で最も指標の高かった第2四半期連結会計期間末の1.18倍から改善しています。
※ 有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている借入金を対象としております。
(ROA)
当社グループでは、売上収益に対する利益の割合だけではなく、資産(負債及び資本合計)に対する利益の割合も資産効率の観点で重視しており、総資産に対するコア営業利益の割合であるROA(コア営業利益ベース)を収益性の指標としております。
当連結会計年度においては、構造改革を実施したことで、店舗関連設備の減損損失及び除却損、のれんの減損損失計上などに伴い、有形固定資産、無形資産、使用権資産などが減少した結果、分母となる当連結会計年度末の総資産は2,453億86百万円と前連結会計年度末に比べて166億10百万円減少しました。
反対に、分子のコア営業利益については、2020年4月の緊急事態宣言を受けて、一時的に約9割の店舗が臨時休業となる事態の収益への打撃が大きかったほか、強みとしていた外出・通勤用レディスアパレルのオンニーズからオフニーズへの顧客変化に十分に対応しきれなかったことにより、正常な収益力への回復に遅れをとったことなどから△64億99百万円(前期比195億64百万円減)となりました。
その結果、当連結会計年度末のROA(コア営業利益ベース)は△2.6%(前期比8.1ポイント減)と大きく悪化しました。当該指標の回復には、分子のコア営業利益の黒字定着の早期実現が急務と認識しております。
③キャッシュ・フローの状況及び分析
当社グループの各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につき、次のとおり分析しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
41億55百万円の収入(前年同期比227億34百万円 収入減)となりました。
この主な要因は、当連結会計年度において、税引前当期損失を225億56百万円計上したことで、前連結会計年度に計上した税引前当期利益から収入が約340億円減少したことに加え、当連結会計年度に計上した構造改革費用が96億65百万円及び、前連結会計年度に一時的に計上した負ののれん発生益26億87百万円が、キャッシュ・フロー上、収入として認識されているほか、売上債権及びその他の債権の増減額が40億円の減少と約130億円収入が減少したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
26億79百万円の支出(前年同期比52億62百万円 支出減)となりました。
この主な要因は、前連結会計年度における一時的な事象として、神戸レザークロス㈱及びOriginal Inc.(米国)の株式取得時において12億60百万円の収入、ラクサス・テクロノジーズ㈱の株式取得時において40億12百万円の支出をそれぞれ認識したほか、無形資産の取得による支出が23億94百万円と約26億円減少したことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
11億44百万円の支出(前年同期比170億90百万円 支出減)となりました。
この主な要因は、長期借入金の返済による支出が89億23百万円と前連結会計年度に計上した120億82百万円に比べ約32億円支出が減少したことや、永久劣後特約付ローンによる資金調達により、その他資本性金融商品の発行による収入が145億56百万円増加したことによります。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より4億45百万円増加して、206億87百万円となりました。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、主に非アパレルブランドの拡充やバリューチェーン補強を目的としたM&Aの推進、そしてデジタル軸における新たなサービスや全業務領域のシステム刷新に伴う開発投資を推進しており、計画通りに進捗しております。なお、これらの財源は、手許資金を充当いたします。
⑤生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ブランド事業 | 45 | △40.3 |
| プラットフォーム事業 | 6,411 | 14.5 |
| 合計 | 6,455 | 13.8 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ブランド事業 | 74,842 | △24.8 |
| デジタル事業 | 2,879 | △9.2 |
| プラットフォーム事業 | 71,896 | △15.4 |
| 小計 | 149,616 | △20.3 |
| IFRS調整(注)3 | 76 | △28.3 |
| 合計 | 149,692 | △20.3 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
3 IFRS調整は、為替予約における調整金額を記載しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
販路別売上状況
| セグメント | 区分 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
| ブランド事業 | ミドルアッパー | 42,124 | △33.2 | |
| ミドルロワー | 66,430 | △23.7 | ||
| 卸 | 2,741 | △36.7 | ||
| 国内アパレルブランド | 111,295 | △28.0 | ||
| 国内ライフスタイルブランド | 19,553 | △22.0 | ||
| 海外 | 1,003 | △3.2 | ||
| 開発・改革ブランド | 10,021 | △29.4 | ||
| M&Aブランド | 16,170 | △16.8 | ||
| 投資 | 26,191 | △22.1 | ||
| 小計 | 158,042 | △26.2 | ||
| デジタル事業 | Eコマース | 970 | △55.6 | |
| デジタルソリューション | 2,908 | 36.4 | ||
| B2Bソリューション | 3,878 | △10.1 | ||
| B2Cネオエコノミー | 5,596 | △9.5 | ||
| 小計 | 9,474 | △9.8 | ||
| プラット フォーム事業 | 生産プラットフォーム | 6,785 | 93.2 | |
| 販売プラットフォーム | 4,826 | △24.2 | ||
| シェアードサービスプラットフォーム | 52 | △14.4 | ||
| ライフスタイルプラットフォーム(空間創造) | 1,048 | △28.0 | ||
| 小計 | 12,711 | 11.5 | ||
| 共通部門 | 95 | △39.2 | ||
| 売上収益 | 180,322 | △23.7 | ||
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(注)2 当連結会計年度において、デジタル事業及びプラットフォーム事業の一部の区分を除くすべてのセグメントの販売実績が減少しております。減少の主な要因は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、多くの店舗での臨時休業したためであります。詳細は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります
なお、「受注実績」につきましては、該当事項はありません。
(参考)
当社グループのEC化率は以下のとおりであります。
| EC化率 | 金額(百万円) | % | 前年同期差 | ||||
|
| 21.86 | +7.73 |
(注)EC化率とは商品の取扱高を分母にし、そのうちECの取扱高を分子にしたものであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、前記「2 事業等のリスク」に記載のとおり、経済情勢の変化、消費者の嗜好の変化、在庫管理、出店・閉店、仕入価格その他費用の増加等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場環境等に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、消費者や市場のニーズに適時適切に対応していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。
②経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容につきましては、前記「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。