有価証券報告書-第68期(2025/03/01-2026/02/28)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
①経営成績の状況及び分析
当連結会計年度(2025年3月1日~2026年2月28日)の経営成績は、売上収益が2,840億14百万円(前期比25.9%増)、コア営業利益が164億7百万円(同3.6%減)、営業利益が160億28百万円(同4.2%減)、税引前当期利益が142億3百万円(同8.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は120億13百万円(同8.8%増)とトップラインとボトムラインで増収増益を確保したものの、その間の段階損益であるコア営業利益や営業利益などが第4四半期連結会計期間の失速で前年減益に転じました。
当連結会計年度は、2023年5月8日に公表した中期経営計画「PLAN-W」の最終年度3年目の総仕上げとなると同時に、「次なる挑戦」となる次期中期経営計画「VISION-W」に向け準備を進めてまいりました。この度の決算は、当社が推進する事業ポートフォリオ改革の成果と、次なる成長に向けた課題が顕在化した期間であったと総括しております。
具体的には、ブランド事業において、上期より苦戦が継続していたアパレルブランドについては、次期中期経営計画に備えた収益構造改革の断行が必須と判断し、徹底した生産性改善と他の成長事業への人材再配置を進めつつ、冬物仕入を戦略的に抑制してプロパー消化率の向上と在庫の適正化を最優先する戦略へと方針転換しました。この取り組みにより、キャッシュ・フローや粗利益率の改善といった来期に向けた成果を得たものの、第4四半期連結会計期間の年末年始セール商戦も含んだ繁忙期における売上高の未達を補うには至らず、通期のコア営業利益が前年を下回る主因となりました。
一方で、プラットフォーム事業が2025年2月末に連結加入したエムシーファッション㈱の貢献等で大幅な増益を達成しました。ブランド事業の中でも健闘したライフスタイルブランドなどと併せて、特定の事業環境の変化に左右されにくい、収益構造への転換がさらに進んだ証左と認識しております。
また、2025年12月に連結子会社化した㈱ライトオンについて、オプション価値の評価益及び段階取得差益を一時収益として計上したほか、株式交換の手法で㈱ナルミヤ・インターナショナルを2025年10月1日付で完全子会社化した効果が非支配持分への利益流出の停止を通じて、親会社の所有者に帰属する当期利益と資本(親会社持分)の増加に寄与しました。
反面、神戸本社の土地・建物を譲渡したことに伴う売却損失や、持分法適用関連会社であるラクサス・テクノロジーズ㈱の投資損失を計上したことから、第3四半期連結累計期間までの営業利益の計画超過分を取り崩す結果となりました。これらの会計処理は、将来の不確実性を早期に排除し、次期中期経営計画「VISION-W」でのROIC経営本格始動に向けたアセットの再配分と財務基盤の健全化を企図したものです。
セグメント別の状況は次のとおりです。
a. ブランド事業
ブランド事業においては、あるべきブランドポートフォリオ戦略の完遂にむけて、ブランド事業セグメント全体最適の視点で成長性と収益性のバランスが取れた持続的成長を追求しております。
百貨店を中心に展開するミドルアッパーブランドは、ブランドらしく差別化された高付加価値な商品開発を行うほか、世界的な物価上昇や急激な為替変動に左右されないよう、自社工場体制を垂直統合して国内生産回帰を進めております。また、お客様との強いつながりを構築するため、マルチチャネル化やOMO (Online Merges with Offline) 戦略を進め、様々なプロトタイプ開発・出店を通じて新たな成長の創造に取り組んでおります。
ショッピングセンターを中心に展開するミドルロワーブランドにおいては、前連結会計年度の期首に商品調達部隊の垂直統合を行い、更なる直貿化の推進や型数の適正化などによる原価率低減や価格競争力の強化に努めております。また、ミドルロワーブランド事業子会社のスケール活用やノウハウ共有によって、店舗運営の改良や店舗開発などの強化にも取り組んでおります。
ライフスタイルブランドでは、暮らしに寄り添った衣・食・住を生活雑貨や服飾雑貨で提案し、引き続きお客様の支持拡大に努めております。前連結会計年度の期首に行ったミドルロワー系のライフスタイルブランド事業の一社統合によるリソースの融通、ノウハウの共有等での収益構造の抜本的な改革効果も発現しております。
なお、2026年3月1日に、㈱阪急スタイルレーベルズが運営するコスメセレクトショップ「カラーフィールド」事業及び家具・インテリア雑貨「ダブルデイ」事業を承継し、ライフスタイル領域における事業基盤の更なる拡充も進めております。
一方、投資サブセグメントにおいては、プラットフォーム導入によるシナジー追求や収益構造の向上・確立をテーマに掲げております。投資会社の㈱W&Dインベストメントデザインが再生投資事業の大型案件として取り組む㈱ライトオンの事業再生については、収益の抜本的な構造改革が当初想定通りの進捗となっていることから、抜本再生の総仕上げとして2026年3月1日付で完全子会社化しました。
また、海外事業の開発・拡張も積極的に進めております。タイでは2025年1月にサハ・グループと合弁で設立したWorld Saha (Thailand) Co.,Ltd.がバンコクに「RAGTAG」の海外1号店と同2号店を2025年7月と同年9月に出店しました。台湾では㈱ナルミヤ・インターナショナルと共に「プティマイン」の海外1号店を2025年3月に出店したほか、同年11月には「RAGTAG」の海外3号店も出店しました。また香港においては、代理商を通じて、「プティマイン」の海外2号店を2025年9月、同3号店を同年11月に相次ぎ出店いたしました。
当連結会計年度では、春夏商戦において一部のアパレルブランドのMD設計が量・質の両面で顧客ニーズを充分に捉えきれなかったことに加えて、夏から秋への商品切り替えの遅れ等により年間を通じて苦戦を強いられ、ライフスタイルブランドの好調による増益を相殺する結果となりました。この課題解決と収益構造の抜本的改革に向け、来期よりB2C事業を統括する㈱ワールド・ブランズへ経営管理実務やブランド運営機能を再編・集約し、資本と機能を一体化させることで意思決定の迅速化を図り、アパレルのMD改善活動などを推進してまいります。
この結果、ブランド事業の経営成績は、売上収益が2,000億91百万円(前年同期比0.6%増(うち外部収益は1,939億27百万円(同1.7%増)))、コア営業利益(セグメント利益)が88億54百万円(同19.9%減)と増収減益になりました。
b. デジタル事業
デジタル事業は「B2Bソリューション」と「B2Cネオエコノミー」から成り立っており、B2Bはこれまでの積極投資を外販収益で回収できるよう、B2Cは「サーキュラー」を成長加速できるよう目指しております。
B2Bソリューションでは、ECの運営受託サービスにおいて、自社ブランドを中心に販売する直営ファッション通販サイト「ワールド オンラインストア (WOS)」をはじめ、他社公式ECの開発・運営を受託しております。自社サイト運営においては、アプリの機能改善やOMO活動に対する投資を進め、直営店舗とのシームレスなサービス改善をブランド事業と一体で推進しております。また、他社ブランドの取り扱い拡大による「WOS」のモール化にかかる先行投資を推進しております。一方、ソリューションサービスでは、自社グループの物流コスト抑制の取り組みや基幹システムの更新に留まらず、他社への在庫コントロールシステムの導入・運用サービスの提供を進めており、売上拡大に向けた営業活動を継続して強化しております。
B2Cネオエコノミーにおいては、様々なテーマで実験した事業の「選択と集中」を行った結果、「サーキュラー」に焦点を当てて成長戦略を追求しております。ユーズドセレクトショップ「RAGTAG」を運営する㈱ティンパンアレイは店舗とECの相互活用による仕入・販売両面のOMO戦略で成長を追求しつつ、今後の成長に向けてカジュアル業態「usebowl」の実験を継続するほか、海外展開においては現地でのPOP-UP出店からの学びを活かしてタイと台湾での店舗展開に挑戦するなど、将来の成長に向けた先行投資を重点的に実施しております。また、オフプライスストア「& Bridge」を運営する㈱アンドブリッジにおいては、㈱ティンパンアレイとの事業連携を推進しており、店舗収支の改善やEC売上の伸長といったシナジー効果も出ております。
当連結会計年度のセグメント利益は、上場に伴いラクサス・テクノロジーズ㈱を連結子会社から持分法適用関連会社へ連結範囲を変更したことによるマイナスの影響を除くと、B2BとB2Cの合計では先行投資の負担増を吸収する格好でほぼ前年並みでした。ただ、B2CはB2Bに比べて成長投資の負担が相対的に大きいこともあり、B2Cサーキュラーは既存店売上の伸長や粗利率の改善にもう一段注力する必要があると考えております。
この結果、デジタル事業の経営成績は、売上収益は313億39百万円(前年同期比3.7%減(うち外部収益は118億58百万円(同18.0%減)))、コア営業利益(セグメント利益)が22億77百万円(同13.1%減)と減収減益になりました。
c. プラットフォーム事業
プラットフォーム事業では、ワールドグループが培ってきた様々なノウハウと仕組みを活用したプラットフォームの外部企業へのオープン化を推進し、業界の枠組みを超えた新たな事業領域の拡大に取り組んでおります。
中間持株会社の㈱ワールドプラットフォームサービスは、プラットフォーム事業の収益モデルを整える事業マネジメント機能と外部顧客の法人企業へのマーケティング機能を有します。各プラットフォームのノウハウ・仕組みを横断的に組み合わせ、顧客のニーズに最適なサービスをワンストップで提案・提供しております。
生産プラットフォームの㈱ワールドプロダクションパートナーズは、自らの商社機能を発揮して直接貿易スキームの構築や、製造子会社群の生産性改善の指導・支援をするほか、外販主体の専門商社である㈱イディオムや縫製工場の㈱ラ・モードでは、他社アパレルの商品開発及び製造 (OEM・ODM事業) を受託しております。
販売プラットフォームの㈱ワールドストアパートナーズでは、商品在庫の最終的な換金に不可欠なアウトレット「NEXT DOOR」や他社ブランドの出店も年々増やしてきたファミリーセール等の催事を運営するほか、様々な販売代行業務といった外販サービスも着実に成長してきております。
こうしたアパレル起点の生産・販売プラットフォーム以外では、㈱アスプルンドに代表される子会社群が、空間創造や什器・備品の製造販売(建装)、家具や雑貨の卸からコントラクトに至るライフスタイル領域も手掛けており、プラットフォーム事業のサービスラインやクライアント層の幅を拡張することに寄与しております。
このほか、M&Aも活用しながらプラットフォーム機能の強化を図ることでB2B事業基盤の拡充を進めてきており、ファッションの多様性と永続性の実現への貢献を目指した「ワールド・ファッション・エコシステム」の構築に向けて更なる事業基盤の拡充を図っております。
具体的な事例としては、2025年2月28日付で子会社化したエムシーファッション㈱、2025年3月1日付で子会社化した㈱ワールドソーイングの連結加入により、生産プラットフォームのリソースは大きく拡充されており、当社グループを挙げてシナジー効果も追求しながら一層の事業拡大を推進しております。
当連結会計年度においては、未だ受注パイプラインの拡充に課題を残したものの、取引条件の変更による粗利確保や案件単位の採算性も吟味した外販受注などを継続的に進めており、為替変動に対する抵抗力を増すことや複数サービスを顧客に提供するクロスセルなどで着実に成果を得つつあります。また、前期との比較では、エムシーファッション㈱の連結加入に伴うB2B外販の収益拡大がセグメント利益の増加へ大きく寄与しました。
この結果、プラットフォーム事業の経営成績は、売上収益は1,304億22百万円(前年同期比75.2%増(うち外部収益は779億91百万円(同281.9%増)))、コア営業利益(セグメント利益)が41億71百万円(同128.0%増)と増収増益になりました。
d. 共通部門
事業セグメントに属さない共通部門においては、子会社からの配当や経営指導料等を収入として計上し、当社(ホールディングス)のコーポレートスタッフ等の費用を賄うことを基本的な収益構造としておりますが、子会社からの配当は予めセグメント利益から除いております。
共通部門は、コーポレートスタッフの「グループ経営本部」に加えて、グループの商品鮮度向上とソフト開発を監修する「クリエイティブ・マネジメント・センター」、次世代OMOストアの開発・運営やDCXを推進する「デジタルリテール推進室」を束ねる「ブランド事業本部」、グループの情報・物流システムを開発・運用する「デジタルソリューション事業本部」などで成り立っております。
そして、2025年9月には「企業戦略室」を新設したほか、2026年1月に㈱ワールドインベストメントネットワークを前身とする「企業投資室」も設置しており、次期中期経営計画「VISION-W」に向けて、グループ共通の重要戦略の実現に向けた活動を開始いたしました。
ホールディングスは重点分野への集中投資という自らの役割を果たすため、子会社からホールディングスのスタッフ等の実費を上回る経営指導料等で回収することを原則としております。新規事業や海外事業の開発といった実験費用の一部を負担する反面、コーポレートはAI活用のDX化や重複機能の集約化などを不断に進めて自らの生産性の改善に努めております。
当連結会計年度においては、業績連動に伴うコストコントロールを行った一方で、前連結会計年度より本格稼働した海外事業開発室の活動費のほか、会社・部署横断で取り組む新規事業等に対する戦略的投資や成長投資にかかる先行費用の増加、従業員処遇の改善に伴う人件費の増加などの影響を受けました。
この結果、共通部門の経営成績は、売上収益は75億94百万円(前年同期比24.4%減(うち外部収益は2億38百万円(同64.1%増)))、コア営業利益(セグメント利益)が11億19百万円(同24.7%減)と減収減益になりました。
②財政状態の状況及び分析
当社グループの財政状態の状況及びその要因につき、次のとおり分析しております。
(資産)
資産合計は2,800億59百万円と前連結会計年度末に比べて62億33百万円増加しました。
この主な要因は、㈱ライトオンを連結子会社化したことで資産合計が約226億円増加した一方、現金及び現金同等物が約10億円、売上債権及びその他の債権が約53億円、使用権資産が約21億円、神戸本社ビル売却により有形固定資産が約28億円、持分法適用関連会社である㈱ラクサス・テクノロジーズにおいて株式評価損を計上したことで持分法で会計処理されている投資が約35億円それぞれ減少したことによるものです。
(負債)
負債合計は1,837億77百万円と前連結会計年度末に比べて36億11百万円減少しました。
この主な要因は、㈱ライトオンを連結子会社化したことで負債合計が約175億円増加した一方、仕入債務及びその他の債務が約83億円、借入金が約80億円、リース負債が約46億円、それぞれ減少したことによるものです。
(資本合計)
資本合計は962億82百万円と前連結会計年度末に比べて98億43百万円増加しました。
この主な要因は、主に親会社の所有者に帰属する当期利益を約120億円計上した一方、配当金を約31億円支出したことで、利益剰余金が約89億円増加したことによるものです。
(在庫)
当社グループではブランド事業が売上収益の大半を占めておりますが、ブランド事業におけるアパレルブランドの事業特性から、売上債権と棚卸資産の合計から仕入債務を差し引いた運転資本のコントロール、とりわけ棚卸資産(在庫)の抑制を重視しております。
当連結会計年度末の運転資本は406億42百万円と前連結会計年度末に比べて約36億円の増加となりました。運転資本が増加した主因は、㈱ライトオンの連結加入に伴うものです。当該影響を除いた既存事業における運転資本の増加は約13億円となりますが、これは主に、期末休日に伴うエムシーファッション㈱の売上債権未回収(約19億円)に起因するものです。
(ネットD/Eレシオ)
当社グループでは、債務返済の能力及び事業の収益性・成長性を持続的に向上できるよう、有利子負債と株主資本の最適な資本構成を検討する目的から、ネットD/Eレシオを財務体質の健全化指標としております。中期経営計画「PLAN-W」策定時において、中長期的にネットD/Eレシオ0.5倍を目標といたしました。
当連結会計年度のネット有利子負債は677億57百万円と前連結会計年度末より約22億円減少した一方、親会社所有者に帰属する持分合計についてはナルミヤ・インターナショナル㈱の完全子会社化による非支配持分から親会社持分合計への組替もあり約134億円増加しました。その結果、当連結会計年度のネットD/Eレシオは0.72倍となりました。
(ROE)
当社グループでは、株主資本コスト(COE)を超過する株主資本当期利益率(ROE)として、中期経営計画「PLAN-W」策定時において10%としていた目標を上方修正し、それまでの業績等の進捗状況も踏まえて12.0%以上となるよう努めてまいりました。
当連結会計年度のROEは、前連結会計年度の13.5%から0.2ポイント増加の13.7%となりました。
(ROIC)
当社グループでは、中期経営計画「PLAN-W」において、最適資本構成の下でROEがCOEを超過する状態や、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る状態といった、価値創造的な状態を創り上げることを念頭に、最終年度である当連結会計年度末には8.5%を超える水準を目指しました。
また、格付けがA格でWACCが最も低位の状態を最適資本構成と定義したうえで、WACCを目標値5.0%以下でコントロールできるよう努めます。
当連結会計年度のROICは、前連結会計年度の8.5%から0.3ポイント増加の8.8%でした。
各指標に関しては、下記の定義の通り算出しております。
ROEやROICの算定に際しては、ネット有利子負債及び親会社所有者に帰属する持分合計は前期末と当期末の平均で算出しております。
・ネットD/Eレシオ
期末のネット有利子負債 ÷ 期末の親会社の所有者に帰属する持分合計
・ネット有利子負債
借入金 + 日本基準におけるファイナンスリース負債 - 現金及び現金同等物
・ROE
過去一年間の親会社の所有者に帰属する当期 (四半期または中間) 利益 ÷ 親会社の所有者に帰属する持分合計
・ROIC
(過去一年間の営業利益 - 法人所得税 - 非支配株主持分に帰属する当期 (四半期または中間) 利益) ÷(ネット有利子負債 + 親会社の所有者に帰属する持分合計)
なお、次期中期経営計画「VISION-W」においては、IFRS第16号に伴うリース負債を含めたネット有利子負債を用いる予定です。このため、ネット有利子負債を用いるネットD/EレシオやROICについては、「VISION-W」で定めた目標値と併せて、次連結会計年度から新たな算定式に基づいた実績値をレビューいたします。
③キャッシュ・フローの状況及び分析
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
309億84百万円の収入(前年同期比10億8百万円 収入減)となりました。
この主な要因は、税引前当期利益が約12億円減少したことによるものです。なお、当連結会計年度では、㈱ライトオンの連結加入にかかる運転資本の増加が約36億円でした。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
41億32百万円の支出(前年同期比61億30百万円 支出減)となりました。
この主な要因は、前連結会計年度に計上した子会社の取得による支出がなくなったことによるものです。なお、当連結会計年度では、今後の金利上昇などを見据えて、店舗の出店・改装に係る投資をリースから自社取得に切り替えたほか、本社ビルを売却しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
309億37百万円の支出(前年同期比101億82百万円 支出増)となりました。
この主な要因は、借入金の返済が大きく進んだことであり、その他に増配による配当金の支出額約9億円や金利上昇による利息の支払額増加約7億円が加わったことによるものです。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より36億38百万円減少して、181億9百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
b. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2 IFRS調整は、為替予約における調整金額を記載しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
販路別売上状況
なお、「受注実績」につきましては、該当事項はありません。
(参考)
当社グループのEC化率は以下のとおりであります。
(注)EC化率とは商品の取扱高を分母にし、そのうちECの取扱高を分子にしたものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当社は、前記「3 事業等のリスク」に記載のとおり、経済情勢の変化、消費者の嗜好の変化、在庫管理、出店・閉店、仕入価格その他費用の増加等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場環境等に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、消費者や市場のニーズに適時適切に対応していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、前記「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは金融機関からの借入金のほか、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フロー及びリース負債の返済を差し引いた実質的なフリー・キャッシュ・フローを資金の源泉と考えております。当連結会計年度における資金使途について、主に出店・改装に伴う店舗設備やシステムへの投資に係るものであります。資金調達に係る借入金の残高については後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 20.借入金」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
①経営成績の状況及び分析
当連結会計年度(2025年3月1日~2026年2月28日)の経営成績は、売上収益が2,840億14百万円(前期比25.9%増)、コア営業利益が164億7百万円(同3.6%減)、営業利益が160億28百万円(同4.2%減)、税引前当期利益が142億3百万円(同8.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は120億13百万円(同8.8%増)とトップラインとボトムラインで増収増益を確保したものの、その間の段階損益であるコア営業利益や営業利益などが第4四半期連結会計期間の失速で前年減益に転じました。
当連結会計年度は、2023年5月8日に公表した中期経営計画「PLAN-W」の最終年度3年目の総仕上げとなると同時に、「次なる挑戦」となる次期中期経営計画「VISION-W」に向け準備を進めてまいりました。この度の決算は、当社が推進する事業ポートフォリオ改革の成果と、次なる成長に向けた課題が顕在化した期間であったと総括しております。
具体的には、ブランド事業において、上期より苦戦が継続していたアパレルブランドについては、次期中期経営計画に備えた収益構造改革の断行が必須と判断し、徹底した生産性改善と他の成長事業への人材再配置を進めつつ、冬物仕入を戦略的に抑制してプロパー消化率の向上と在庫の適正化を最優先する戦略へと方針転換しました。この取り組みにより、キャッシュ・フローや粗利益率の改善といった来期に向けた成果を得たものの、第4四半期連結会計期間の年末年始セール商戦も含んだ繁忙期における売上高の未達を補うには至らず、通期のコア営業利益が前年を下回る主因となりました。
一方で、プラットフォーム事業が2025年2月末に連結加入したエムシーファッション㈱の貢献等で大幅な増益を達成しました。ブランド事業の中でも健闘したライフスタイルブランドなどと併せて、特定の事業環境の変化に左右されにくい、収益構造への転換がさらに進んだ証左と認識しております。
また、2025年12月に連結子会社化した㈱ライトオンについて、オプション価値の評価益及び段階取得差益を一時収益として計上したほか、株式交換の手法で㈱ナルミヤ・インターナショナルを2025年10月1日付で完全子会社化した効果が非支配持分への利益流出の停止を通じて、親会社の所有者に帰属する当期利益と資本(親会社持分)の増加に寄与しました。
反面、神戸本社の土地・建物を譲渡したことに伴う売却損失や、持分法適用関連会社であるラクサス・テクノロジーズ㈱の投資損失を計上したことから、第3四半期連結累計期間までの営業利益の計画超過分を取り崩す結果となりました。これらの会計処理は、将来の不確実性を早期に排除し、次期中期経営計画「VISION-W」でのROIC経営本格始動に向けたアセットの再配分と財務基盤の健全化を企図したものです。
セグメント別の状況は次のとおりです。
a. ブランド事業
ブランド事業においては、あるべきブランドポートフォリオ戦略の完遂にむけて、ブランド事業セグメント全体最適の視点で成長性と収益性のバランスが取れた持続的成長を追求しております。
百貨店を中心に展開するミドルアッパーブランドは、ブランドらしく差別化された高付加価値な商品開発を行うほか、世界的な物価上昇や急激な為替変動に左右されないよう、自社工場体制を垂直統合して国内生産回帰を進めております。また、お客様との強いつながりを構築するため、マルチチャネル化やOMO (Online Merges with Offline) 戦略を進め、様々なプロトタイプ開発・出店を通じて新たな成長の創造に取り組んでおります。
ショッピングセンターを中心に展開するミドルロワーブランドにおいては、前連結会計年度の期首に商品調達部隊の垂直統合を行い、更なる直貿化の推進や型数の適正化などによる原価率低減や価格競争力の強化に努めております。また、ミドルロワーブランド事業子会社のスケール活用やノウハウ共有によって、店舗運営の改良や店舗開発などの強化にも取り組んでおります。
ライフスタイルブランドでは、暮らしに寄り添った衣・食・住を生活雑貨や服飾雑貨で提案し、引き続きお客様の支持拡大に努めております。前連結会計年度の期首に行ったミドルロワー系のライフスタイルブランド事業の一社統合によるリソースの融通、ノウハウの共有等での収益構造の抜本的な改革効果も発現しております。
なお、2026年3月1日に、㈱阪急スタイルレーベルズが運営するコスメセレクトショップ「カラーフィールド」事業及び家具・インテリア雑貨「ダブルデイ」事業を承継し、ライフスタイル領域における事業基盤の更なる拡充も進めております。
一方、投資サブセグメントにおいては、プラットフォーム導入によるシナジー追求や収益構造の向上・確立をテーマに掲げております。投資会社の㈱W&Dインベストメントデザインが再生投資事業の大型案件として取り組む㈱ライトオンの事業再生については、収益の抜本的な構造改革が当初想定通りの進捗となっていることから、抜本再生の総仕上げとして2026年3月1日付で完全子会社化しました。
また、海外事業の開発・拡張も積極的に進めております。タイでは2025年1月にサハ・グループと合弁で設立したWorld Saha (Thailand) Co.,Ltd.がバンコクに「RAGTAG」の海外1号店と同2号店を2025年7月と同年9月に出店しました。台湾では㈱ナルミヤ・インターナショナルと共に「プティマイン」の海外1号店を2025年3月に出店したほか、同年11月には「RAGTAG」の海外3号店も出店しました。また香港においては、代理商を通じて、「プティマイン」の海外2号店を2025年9月、同3号店を同年11月に相次ぎ出店いたしました。
当連結会計年度では、春夏商戦において一部のアパレルブランドのMD設計が量・質の両面で顧客ニーズを充分に捉えきれなかったことに加えて、夏から秋への商品切り替えの遅れ等により年間を通じて苦戦を強いられ、ライフスタイルブランドの好調による増益を相殺する結果となりました。この課題解決と収益構造の抜本的改革に向け、来期よりB2C事業を統括する㈱ワールド・ブランズへ経営管理実務やブランド運営機能を再編・集約し、資本と機能を一体化させることで意思決定の迅速化を図り、アパレルのMD改善活動などを推進してまいります。
この結果、ブランド事業の経営成績は、売上収益が2,000億91百万円(前年同期比0.6%増(うち外部収益は1,939億27百万円(同1.7%増)))、コア営業利益(セグメント利益)が88億54百万円(同19.9%減)と増収減益になりました。
b. デジタル事業
デジタル事業は「B2Bソリューション」と「B2Cネオエコノミー」から成り立っており、B2Bはこれまでの積極投資を外販収益で回収できるよう、B2Cは「サーキュラー」を成長加速できるよう目指しております。
B2Bソリューションでは、ECの運営受託サービスにおいて、自社ブランドを中心に販売する直営ファッション通販サイト「ワールド オンラインストア (WOS)」をはじめ、他社公式ECの開発・運営を受託しております。自社サイト運営においては、アプリの機能改善やOMO活動に対する投資を進め、直営店舗とのシームレスなサービス改善をブランド事業と一体で推進しております。また、他社ブランドの取り扱い拡大による「WOS」のモール化にかかる先行投資を推進しております。一方、ソリューションサービスでは、自社グループの物流コスト抑制の取り組みや基幹システムの更新に留まらず、他社への在庫コントロールシステムの導入・運用サービスの提供を進めており、売上拡大に向けた営業活動を継続して強化しております。
B2Cネオエコノミーにおいては、様々なテーマで実験した事業の「選択と集中」を行った結果、「サーキュラー」に焦点を当てて成長戦略を追求しております。ユーズドセレクトショップ「RAGTAG」を運営する㈱ティンパンアレイは店舗とECの相互活用による仕入・販売両面のOMO戦略で成長を追求しつつ、今後の成長に向けてカジュアル業態「usebowl」の実験を継続するほか、海外展開においては現地でのPOP-UP出店からの学びを活かしてタイと台湾での店舗展開に挑戦するなど、将来の成長に向けた先行投資を重点的に実施しております。また、オフプライスストア「& Bridge」を運営する㈱アンドブリッジにおいては、㈱ティンパンアレイとの事業連携を推進しており、店舗収支の改善やEC売上の伸長といったシナジー効果も出ております。
当連結会計年度のセグメント利益は、上場に伴いラクサス・テクノロジーズ㈱を連結子会社から持分法適用関連会社へ連結範囲を変更したことによるマイナスの影響を除くと、B2BとB2Cの合計では先行投資の負担増を吸収する格好でほぼ前年並みでした。ただ、B2CはB2Bに比べて成長投資の負担が相対的に大きいこともあり、B2Cサーキュラーは既存店売上の伸長や粗利率の改善にもう一段注力する必要があると考えております。
この結果、デジタル事業の経営成績は、売上収益は313億39百万円(前年同期比3.7%減(うち外部収益は118億58百万円(同18.0%減)))、コア営業利益(セグメント利益)が22億77百万円(同13.1%減)と減収減益になりました。
c. プラットフォーム事業
プラットフォーム事業では、ワールドグループが培ってきた様々なノウハウと仕組みを活用したプラットフォームの外部企業へのオープン化を推進し、業界の枠組みを超えた新たな事業領域の拡大に取り組んでおります。
中間持株会社の㈱ワールドプラットフォームサービスは、プラットフォーム事業の収益モデルを整える事業マネジメント機能と外部顧客の法人企業へのマーケティング機能を有します。各プラットフォームのノウハウ・仕組みを横断的に組み合わせ、顧客のニーズに最適なサービスをワンストップで提案・提供しております。
生産プラットフォームの㈱ワールドプロダクションパートナーズは、自らの商社機能を発揮して直接貿易スキームの構築や、製造子会社群の生産性改善の指導・支援をするほか、外販主体の専門商社である㈱イディオムや縫製工場の㈱ラ・モードでは、他社アパレルの商品開発及び製造 (OEM・ODM事業) を受託しております。
販売プラットフォームの㈱ワールドストアパートナーズでは、商品在庫の最終的な換金に不可欠なアウトレット「NEXT DOOR」や他社ブランドの出店も年々増やしてきたファミリーセール等の催事を運営するほか、様々な販売代行業務といった外販サービスも着実に成長してきております。
こうしたアパレル起点の生産・販売プラットフォーム以外では、㈱アスプルンドに代表される子会社群が、空間創造や什器・備品の製造販売(建装)、家具や雑貨の卸からコントラクトに至るライフスタイル領域も手掛けており、プラットフォーム事業のサービスラインやクライアント層の幅を拡張することに寄与しております。
このほか、M&Aも活用しながらプラットフォーム機能の強化を図ることでB2B事業基盤の拡充を進めてきており、ファッションの多様性と永続性の実現への貢献を目指した「ワールド・ファッション・エコシステム」の構築に向けて更なる事業基盤の拡充を図っております。
具体的な事例としては、2025年2月28日付で子会社化したエムシーファッション㈱、2025年3月1日付で子会社化した㈱ワールドソーイングの連結加入により、生産プラットフォームのリソースは大きく拡充されており、当社グループを挙げてシナジー効果も追求しながら一層の事業拡大を推進しております。
当連結会計年度においては、未だ受注パイプラインの拡充に課題を残したものの、取引条件の変更による粗利確保や案件単位の採算性も吟味した外販受注などを継続的に進めており、為替変動に対する抵抗力を増すことや複数サービスを顧客に提供するクロスセルなどで着実に成果を得つつあります。また、前期との比較では、エムシーファッション㈱の連結加入に伴うB2B外販の収益拡大がセグメント利益の増加へ大きく寄与しました。
この結果、プラットフォーム事業の経営成績は、売上収益は1,304億22百万円(前年同期比75.2%増(うち外部収益は779億91百万円(同281.9%増)))、コア営業利益(セグメント利益)が41億71百万円(同128.0%増)と増収増益になりました。
d. 共通部門
事業セグメントに属さない共通部門においては、子会社からの配当や経営指導料等を収入として計上し、当社(ホールディングス)のコーポレートスタッフ等の費用を賄うことを基本的な収益構造としておりますが、子会社からの配当は予めセグメント利益から除いております。
共通部門は、コーポレートスタッフの「グループ経営本部」に加えて、グループの商品鮮度向上とソフト開発を監修する「クリエイティブ・マネジメント・センター」、次世代OMOストアの開発・運営やDCXを推進する「デジタルリテール推進室」を束ねる「ブランド事業本部」、グループの情報・物流システムを開発・運用する「デジタルソリューション事業本部」などで成り立っております。
そして、2025年9月には「企業戦略室」を新設したほか、2026年1月に㈱ワールドインベストメントネットワークを前身とする「企業投資室」も設置しており、次期中期経営計画「VISION-W」に向けて、グループ共通の重要戦略の実現に向けた活動を開始いたしました。
ホールディングスは重点分野への集中投資という自らの役割を果たすため、子会社からホールディングスのスタッフ等の実費を上回る経営指導料等で回収することを原則としております。新規事業や海外事業の開発といった実験費用の一部を負担する反面、コーポレートはAI活用のDX化や重複機能の集約化などを不断に進めて自らの生産性の改善に努めております。
当連結会計年度においては、業績連動に伴うコストコントロールを行った一方で、前連結会計年度より本格稼働した海外事業開発室の活動費のほか、会社・部署横断で取り組む新規事業等に対する戦略的投資や成長投資にかかる先行費用の増加、従業員処遇の改善に伴う人件費の増加などの影響を受けました。
この結果、共通部門の経営成績は、売上収益は75億94百万円(前年同期比24.4%減(うち外部収益は2億38百万円(同64.1%増)))、コア営業利益(セグメント利益)が11億19百万円(同24.7%減)と減収減益になりました。
②財政状態の状況及び分析
当社グループの財政状態の状況及びその要因につき、次のとおり分析しております。
(資産)
資産合計は2,800億59百万円と前連結会計年度末に比べて62億33百万円増加しました。
この主な要因は、㈱ライトオンを連結子会社化したことで資産合計が約226億円増加した一方、現金及び現金同等物が約10億円、売上債権及びその他の債権が約53億円、使用権資産が約21億円、神戸本社ビル売却により有形固定資産が約28億円、持分法適用関連会社である㈱ラクサス・テクノロジーズにおいて株式評価損を計上したことで持分法で会計処理されている投資が約35億円それぞれ減少したことによるものです。
(負債)
負債合計は1,837億77百万円と前連結会計年度末に比べて36億11百万円減少しました。
この主な要因は、㈱ライトオンを連結子会社化したことで負債合計が約175億円増加した一方、仕入債務及びその他の債務が約83億円、借入金が約80億円、リース負債が約46億円、それぞれ減少したことによるものです。
(資本合計)
資本合計は962億82百万円と前連結会計年度末に比べて98億43百万円増加しました。
この主な要因は、主に親会社の所有者に帰属する当期利益を約120億円計上した一方、配当金を約31億円支出したことで、利益剰余金が約89億円増加したことによるものです。
(在庫)
当社グループではブランド事業が売上収益の大半を占めておりますが、ブランド事業におけるアパレルブランドの事業特性から、売上債権と棚卸資産の合計から仕入債務を差し引いた運転資本のコントロール、とりわけ棚卸資産(在庫)の抑制を重視しております。
当連結会計年度末の運転資本は406億42百万円と前連結会計年度末に比べて約36億円の増加となりました。運転資本が増加した主因は、㈱ライトオンの連結加入に伴うものです。当該影響を除いた既存事業における運転資本の増加は約13億円となりますが、これは主に、期末休日に伴うエムシーファッション㈱の売上債権未回収(約19億円)に起因するものです。
(ネットD/Eレシオ)
当社グループでは、債務返済の能力及び事業の収益性・成長性を持続的に向上できるよう、有利子負債と株主資本の最適な資本構成を検討する目的から、ネットD/Eレシオを財務体質の健全化指標としております。中期経営計画「PLAN-W」策定時において、中長期的にネットD/Eレシオ0.5倍を目標といたしました。
当連結会計年度のネット有利子負債は677億57百万円と前連結会計年度末より約22億円減少した一方、親会社所有者に帰属する持分合計についてはナルミヤ・インターナショナル㈱の完全子会社化による非支配持分から親会社持分合計への組替もあり約134億円増加しました。その結果、当連結会計年度のネットD/Eレシオは0.72倍となりました。
(ROE)
当社グループでは、株主資本コスト(COE)を超過する株主資本当期利益率(ROE)として、中期経営計画「PLAN-W」策定時において10%としていた目標を上方修正し、それまでの業績等の進捗状況も踏まえて12.0%以上となるよう努めてまいりました。
当連結会計年度のROEは、前連結会計年度の13.5%から0.2ポイント増加の13.7%となりました。
(ROIC)
当社グループでは、中期経営計画「PLAN-W」において、最適資本構成の下でROEがCOEを超過する状態や、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る状態といった、価値創造的な状態を創り上げることを念頭に、最終年度である当連結会計年度末には8.5%を超える水準を目指しました。
また、格付けがA格でWACCが最も低位の状態を最適資本構成と定義したうえで、WACCを目標値5.0%以下でコントロールできるよう努めます。
当連結会計年度のROICは、前連結会計年度の8.5%から0.3ポイント増加の8.8%でした。
各指標に関しては、下記の定義の通り算出しております。
ROEやROICの算定に際しては、ネット有利子負債及び親会社所有者に帰属する持分合計は前期末と当期末の平均で算出しております。
・ネットD/Eレシオ
期末のネット有利子負債 ÷ 期末の親会社の所有者に帰属する持分合計
・ネット有利子負債
借入金 + 日本基準におけるファイナンスリース負債 - 現金及び現金同等物
・ROE
過去一年間の親会社の所有者に帰属する当期 (四半期または中間) 利益 ÷ 親会社の所有者に帰属する持分合計
・ROIC
(過去一年間の営業利益 - 法人所得税 - 非支配株主持分に帰属する当期 (四半期または中間) 利益) ÷(ネット有利子負債 + 親会社の所有者に帰属する持分合計)
なお、次期中期経営計画「VISION-W」においては、IFRS第16号に伴うリース負債を含めたネット有利子負債を用いる予定です。このため、ネット有利子負債を用いるネットD/EレシオやROICについては、「VISION-W」で定めた目標値と併せて、次連結会計年度から新たな算定式に基づいた実績値をレビューいたします。
③キャッシュ・フローの状況及び分析
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
309億84百万円の収入(前年同期比10億8百万円 収入減)となりました。
この主な要因は、税引前当期利益が約12億円減少したことによるものです。なお、当連結会計年度では、㈱ライトオンの連結加入にかかる運転資本の増加が約36億円でした。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
41億32百万円の支出(前年同期比61億30百万円 支出減)となりました。
この主な要因は、前連結会計年度に計上した子会社の取得による支出がなくなったことによるものです。なお、当連結会計年度では、今後の金利上昇などを見据えて、店舗の出店・改装に係る投資をリースから自社取得に切り替えたほか、本社ビルを売却しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
309億37百万円の支出(前年同期比101億82百万円 支出増)となりました。
この主な要因は、借入金の返済が大きく進んだことであり、その他に増配による配当金の支出額約9億円や金利上昇による利息の支払額増加約7億円が加わったことによるものです。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より36億38百万円減少して、181億9百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ブランド事業 | 3,580 | △32.7 |
| プラットフォーム事業 | 1,261 | 199.3 |
| 合計 | 4,841 | △15.7 |
(注) 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
b. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ブランド事業 | 81,791 | 1.3 |
| デジタル事業 | 4,571 | 10.2 |
| プラットフォーム事業 | 111,472 | 77.0 |
| 小計 | 197,833 | 33.8 |
| IFRS調整(注)2 | 358 | 113.4 |
| 合計 | 198,191 | 33.9 |
(注)1 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2 IFRS調整は、為替予約における調整金額を記載しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
販路別売上状況
| セグメント | 区分 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
| ブランド事業 | ミドルアッパー | 52,552 | △4.6 | |
| ミドルロワー | 96,416 | 0.4 | ||
| 国内アパレルブランド | 148,968 | △1.4 | ||
| 国内ライフスタイルブランド | 27,293 | 3.4 | ||
| 海外 | 1,886 | 11.9 | ||
| 投資 | 15,779 | 37.3 | ||
| 小計 | 193,927 | 1.7 | ||
| デジタル事業 | B2Bソリューション | 2,463 | △30.3 | |
| B2Cネオエコノミー | 9,395 | △14.0 | ||
| 小計 | 11,858 | △18.0 | ||
| プラット フォーム事業 | 生産プラットフォーム | 61,162 | 1,925.7 | |
| 販売プラットフォーム | 7,174 | 7.5 | ||
| シェアードサービスプラットフォーム | 204 | 0.4 | ||
| ライフスタイルプラットフォーム | 9,451 | △10.2 | ||
| 小計 | 77,991 | 281.9 | ||
| 共通部門 | 238 | 64.1 | ||
| 売上収益 | 284,014 | 25.9 | ||
なお、「受注実績」につきましては、該当事項はありません。
(参考)
当社グループのEC化率は以下のとおりであります。
| EC化率 | 金額(百万円) | % | 前年同期差 | ||||
|
| 17.10 | △5.15 |
(注)EC化率とは商品の取扱高を分母にし、そのうちECの取扱高を分子にしたものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当社は、前記「3 事業等のリスク」に記載のとおり、経済情勢の変化、消費者の嗜好の変化、在庫管理、出店・閉店、仕入価格その他費用の増加等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場環境等に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、消費者や市場のニーズに適時適切に対応していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、前記「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは金融機関からの借入金のほか、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フロー及びリース負債の返済を差し引いた実質的なフリー・キャッシュ・フローを資金の源泉と考えております。当連結会計年度における資金使途について、主に出店・改装に伴う店舗設備やシステムへの投資に係るものであります。資金調達に係る借入金の残高については後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 20.借入金」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。