有価証券報告書-第23期(2025/04/01-2026/03/31)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要については次のとおりであります。なお、経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容については、各項目に含めて記載しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)におけるわが国経済は、緩やかに回復しているものの中東情勢の影響を注視する必要があり、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるものの金融資本市場の変動の影響や米国の通商政策をめぐる動向などに注意する必要がある状況となっております。
当社グループでは、2023年5月に発表した2032年度までの中長期的な事業戦略および財務・資本戦略「アルフレッサグループ中長期ビジョン」に掲げた目標達成に向けて、今年度新たに「25-27 中期経営計画 Vision2032 Stage2 ~総合力で未来を切り拓く~(以下「25-27中計」という。)」を策定し、以下のグループ経営方針に取り組んでおります。
・TSCS※1進化拡大のためのグループ総合力発揮
・成長事業・新規事業への戦略的投資
・基盤事業のさらなる競争力強化
・コストコントロールの徹底
・サステナビリティ経営の推進
2025年6月、当社は第22回定時株主総会での承認決議を経て監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行いたしました。これを機に、業務執行の決定権限を取締役会から取締役へ大幅に委任することで監督と執行の分離と権限委譲を通じた迅速な経営の意思決定を行うとともに、監査等委員である取締役を置くことで取締役会のモニタリング機能の強化を図り、コーポレートガバナンスを一層充実させ、さらなる企業価値の向上を図ってまいります。
2025年11月、当社、キッズウェル・バイオ株式会社(本社:東京都中央区)、株式会社カイオム・バイオサイエンス(本社:東京都渋谷区)およびMycenax Biotech Inc.(本社:台湾新竹県)の4社は、バイオ後続品※2(以下「バイオシミラー」という。)の原薬・製剤製造を行う合弁会社の設立に関する契約を締結することを取締役会において決議いたしました。本契約締結により、バイオシミラーを含むバイオ医薬品の国内製造施設を整備し、4社の強みを活かした合弁会社によるバイオシミラー等のCDMO※3事業等を進めるとともに、当社グループの流通機能を組み合わせることでバイオシミラー等のトータルバリューチェーンを構築し、バイオシミラーの国内自給率の向上と安定供給体制の確立、製造したバイオシミラー原薬や製剤の海外輸出および日本におけるバイオ医薬品開発・製造に係る人材育成に取り組み、バイオ医薬品産業の発展に貢献してまいります。
2026年1月、当社グループは、「ドラッグ・ラグ/ロス」の解消へ向けて、海外の新興バイオ医薬品企業等の日本参入を包括的に支援するプラットフォーム「PATH-Solution」のサービス提供を開始いたしました。本サービスを通じてTSCS構想の下、当社グループ内の事業を活用し、参入にあたっての市場分析から開発・薬事・製造・販売、市販後調査まで一気通貫で伴走支援してまいります。
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高3兆1,040億64百万円(前期比4.8%増)、営業利益361億64百万円(同5.0%減)、経常利益386億34百万円(同4.6%減)となりました。また、特別利益に政策保有株式縮減による投資有価証券売却益253億31百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益417億46百万円(同52.4%増)となりました。
なお、販売費及び一般管理費には、再生医療関連事業およびバイオシミラー施設整備関連等の事業投資費21億73百万円が含まれており、これを除外した場合の営業利益は383億37百万円(同0.7%増)であります。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
① セグメント別の業績
(A) 医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等卸売事業におきましては、「TSCS実現に向けた事業機会の拡大」を目指し、「25-27中計」に掲げた以下の重点施策に取り組んでおります。
・「MS力の最大化」
・「全国ネットワークの強化」
・「ソリューション事業の推進による収益基盤の構築」
・「ステークホルダーが求めるロジスティクス体制構築」
・「グループ一体となった人的資本の戦略強化」
「MS力の最大化」の取り組みとして、業界№1のMS数でネオプライマリー戦略※4を遂行し、プロダクトサービス活用による業務改善を進めながら積極的な営業展開を図ることで、特に処方元医師への営業活動に注力し診療所販路で高い売上成長を実現しております。
あわせて、「グループ一体となった人的資本の戦略強化」として、グループ会社間での積極的な人財交流を進めております。これにより、より一層の連携強化を図り、高機能・高品質なサービスを全国一律で提供する体制を構築し、地域の生活者の皆様の健康およびお得意様・お取引先の発展により一層貢献してまいります。
「ステークホルダーが求めるロジスティクス体制構築」への取り組みでは、流通品質強化の一環として品質マネジメントシステムに関する国際規格ISO9001の認証取得を当社グループ全体で推進しているなか、当年度中に連結子会社8社※5において新たに「ISO9001」の認証を取得いたしました。当社グループは、引き続きグループ全体でISO認証取得の取り組みを進め、お得意様・お取引先の満足度の向上に取り組んでまいります。
2025年9月、「全国ネットワークの強化」として、ティーエスアルフレッサ株式会社が医療機器専門商社である株式会社ミヤノメディックス(本社:広島県福山市)の全株式を取得し子会社化するとともに、東北アルフレッサ株式会社が医療機器専門商社である東日本メディカルシステム株式会社(本社:仙台市青葉区)の全株式を取得する株式譲渡契約を締結いたしました(10月31日取得完了)。TSCSにおけるメディカル品の流通機能の強化に繋げ、地域医療へのさらなる貢献を目指します。
また、2026年3月、当社は、株式会社温仙堂(本社:長崎県諫早市)との間で、同社の完全子会社で、臨床・研究用診断薬および医療機器等の専門商社である株式会社テクノ・スズタ(本社:長崎県長崎市)の全株式を取得し完全子会社化いたしました。これにより、同社が有する医療・研究・福祉領域における卸売事業の拡大を図るとともに、九州エリアにおけるメディカル品の流通ネットワーク強化を図り、地域医療へのさらなる貢献を目指してまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、2025年4月に実施された薬価の中間年改定によるマイナス影響および人件費を含む物流費高騰等厳しい経営環境であったものの、ネオプライマリー戦略の推進やスペシャリティ医薬品等限定流通品の取扱い増加など市場伸長を上回る売上伸長による増収効果等により、売上高2兆7,825億84百万円(前期比5.4%増)、営業利益332億97百万円(同0.7%増)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高195億2百万円(同2.7%増)を含んでおります。
(B) セルフメディケーション卸売事業
セルフメディケーション卸売事業におきましては、連結子会社のアルフレッサ ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区)が、「『健康』×つなぐ×しあわせ」をテーマに、「25-27中計」の重点施策として掲げた「外部環境の変動に強い販売戦略の展開」「自社主体的な新たなソリューションの展開」に取り組んでおります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、販路拡大による増収効果に加えて、物流費の上昇はあるもののコストコントロールに注力したこと等により、売上高2,670億74百万円(前期比0.5%増)、営業利益30億12百万円(同2.1%増)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高4億47百万円(同5.3%減)を含んでおります。
(C) 医薬品等製造事業
医薬品等製造事業におきましては、「事業ポートフォリオの再構築による安定的な経営基盤の確立」を目指し、「25-27中計」の重点施策として掲げた「利益率・効率性のさらなる向上」「受託製造拡大と製品パイプライン拡充」「API(原薬)製造部門の新規事業開発」に取り組んでおります。
2026年2月、連結子会社のアルフレッサ ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区)がアナフィラキシー補助治療剤「ネフィー®点鼻液1mg/2mg」(一般名:アドレナリン)を日本国内において発売いたしました。本製品はアドレナリンを有効成分とする点鼻液で、蜂毒、食物および薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療剤として、点鼻により簡便な投与が可能です。
アルフレッサ ファーマ株式会社は、アナフィラキシー補助治療剤の新たな選択肢として、患者様や保護者等の治療時の負担軽減が期待できる本製品を提供することで、アンメット・メディカル・ニーズに貢献してまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、原薬の売上伸長や販管費抑制への取り組みの一方で、薬価改定および2024年10月から導入された長期収載品の選定療養制度の影響による医薬品の販売減少ならびに診断薬の需要落ち込み等による減収の影響により、売上高521億79百万円(前期比3.5%減)、営業利益12億3百万円(同7.1%減)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高149億98百万円(同8.4%減)を含んでおります。
(D) 調剤薬局等事業
調剤薬局等事業におきましては、連結子会社のアポクリート株式会社(本社:東京都豊島区)が、「地域に求められる『かかりつけ薬局』を目指す」をテーマに、「25-27中計」の重点施策として掲げた「対患者様業務の充実・処方箋確保」「門前医療機関以外からの処方箋獲得強化」「新たな薬局機能の拡充」「介護事業への参入」に取り組んでおります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、対患者様業務の充実や薬剤師の生産性向上に努めたものの、薬価改定によるマイナス影響および仕入原価上昇等の影響により、売上高371億74百万円(前期比0.4%増)、営業利益4億99百万円(同16.3%減)となりました。
(E) その他(事業)
当連結会計年度の期首より再生医療関連事業を営む当社の完全子会社のセルリソーシズ株式会社(本社:東京都千代田区)を新たに連結子会社といたしました。マスターセルの製造と保管、CMO※6・CDMO事業の開発を重点的に進め、各案件を早期にローンチすべく体制整備に取り組んでおります。
その他(事業)の当連結会計年度の業績は、案件受注に向けた人件費や研究開発費等の事業投資費を販売費及び一般管理費に計上したことにより、売上高-百万円、営業損失10億99百万円となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
(A) 生産実績及び受注実績
当社グループの生産実績および受注実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(B) 仕入実績
(注)1.金額は実際の仕入額によっております。
2.セグメント間の内部仕入高は344億16百万円(前期比97.2%)であり、上記金額に含めております。
(C) 販売実績
(注)1.セグメント間の内部売上高は349億49百万円(前期比97.5%)であり、上記金額に含めております。
2.主要な相手先別の販売実績および当該総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前期末比671億31百万円増加し、1兆5,070億16百万円となりました。
流動資産は、648億17百万円増加し、1兆1,593億14百万円となりました。これは主として、「現金及び預金」が159億81百万円、売上債権が369億29百万円および「未収入金」が91億75百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、23億13百万円増加し、3,477億1百万円となりました。これは主として、物流センターや医薬品製造棟等の設備投資などに伴い有形固定資産が91億73百万円増加およびソフトウエア等の無形固定資産が16億63百万円増加した一方で、政策保有株式の縮減に伴い「投資有価証券」が89億51百万円減少したことによるものであります。
セグメント別の総資産は、以下のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業のセグメント資産は、前期末比730億60百万円増加し、1兆3,111億51百万円となりました。これは主として、売上債権等の流動資産が増加したことによるものであります。
セルフメディケーション卸売事業のセグメント資産は、11億58百万円減少し、918億70百万円となりました。これは主として、棚卸資産等の流動資産が増加した一方で、投資有価証券等の固定資産が減少したことによるものであります。
医薬品等製造事業のセグメント資産は、71億21百万円増加し、801億28百万円となりました。これは主として、棚卸資産等の流動資産が増加および医薬品製造棟等の設備投資に伴い有形固定資産が増加したことによるものであります。
調剤薬局等事業のセグメント資産は、5億38百万円増加し、170億39百万円となりました。これは主として、関係会社長期貸付金等の固定資産が増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における当社グループの負債は、前期末比414億76百万円増加し、9,991億13百万円となりました。
流動負債は、435億12百万円増加し、9,384億74百万円となりました。これは主として、「支払手形及び買掛金」が471億円増加および「未払法人税等」が59億69百万円増加した一方で、「独占禁止法関連損失引当金」が49億37百万円減少したことによるものであります。
固定負債は、20億36百万円減少し、606億39百万円となりました。これは主として、「繰延税金負債」が13億94百万円減少および「退職給付に係る負債」が13億7百万円減少したことによるものであります。
結果として、当連結会計年度末における当社グループの純資産は、256億55百万円増加し、5,079億3百万円となりました。これは主として、「利益剰余金」が283億17百万円増加および「退職給付に係る調整累計額」が17億25百万円増加した一方で、保有株式の売却に伴い「その他有価証券評価差額金」が43億48百万円減少したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物は、前期末比158億71百万円増加し、1,906億84百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、「税金等調整前当期純利益」が620億7百万円と前期と比べ226億47百万円の増益となったことに加えて、運転資本増減の影響等により、385億66百万円の増加(前期は56億39百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、物流センターの建設等の設備投資に伴う支出が増加した一方で、保有株式の縮減を目的とした投資有価証券の売却による収入が増加したこと等により、87億21百万円の減少(前期は249億17百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いがあったものの前期は「自己株式の取得による支出」があったこと等により、140億47百万円の減少(前期は235億34百万円の減少)となりました。
〈資本の財源および資金の流動性〉
アルフレッサグループは、日本の社会インフラである医薬品サプライチェーンを製造、卸売、調剤薬局等の各事業領域で支え、必要な時に、必要な医薬品を、必要な場所へ、安定的に供給することに貢献しております。
社会的責任の遂行と持続的な企業価値の向上には、財務の健全性、資本効率の向上、安定的・継続的な株主還元の最適バランスを追求し、さらなる企業価値を追求することが当社グループの財務・資本戦略の基本となっております。
当連結会計年度末における純資産のうち当社の持分は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上がり、配当金の支払いやその他の包括利益の増減により、5,073億57百万円(前期末比255億69百万円増加)となり、この結果、自己資本比率は33.7%となりました。
また、株式会社格付投資情報センターの発行体格付は「A+」(2025年8月格付)を2026年5月末時点で維持しております。
財務健全性のさらなる向上には財務基盤・収益基盤の強化が不可欠であるため、当社グループの資本配分計画に基づき、事業拡大投資・事業強化投資を実行してまいります。
株主還元を含むこれら資本配分の財源(資金の調達方法)は、主に営業活動により得られるキャッシュ・フローを源泉とした自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入、社債の発行によっております。なお、当連結会計年度における主要な使途等については前記「(3) キャッシュ・フロー」を、翌連結会計年度以降については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当連結会計年度末における「現金及び預金」残高は1,930億66百万円であり、連結ベースの流動比率は123.5%、総資産に対する流動資産の比率は76.9%、流動負債の比率は62.3%であることから、十分な流動性を確保しているものと認識しております。また、当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により、グループ内の資金需要と運用の最適化および資金の効率的な活用を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定について検討いたしましたが、当該見積り等に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)におけるわが国経済は、緩やかに回復しているものの中東情勢の影響を注視する必要があり、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるものの金融資本市場の変動の影響や米国の通商政策をめぐる動向などに注意する必要がある状況となっております。
当社グループでは、2023年5月に発表した2032年度までの中長期的な事業戦略および財務・資本戦略「アルフレッサグループ中長期ビジョン」に掲げた目標達成に向けて、今年度新たに「25-27 中期経営計画 Vision2032 Stage2 ~総合力で未来を切り拓く~(以下「25-27中計」という。)」を策定し、以下のグループ経営方針に取り組んでおります。
・TSCS※1進化拡大のためのグループ総合力発揮
・成長事業・新規事業への戦略的投資
・基盤事業のさらなる競争力強化
・コストコントロールの徹底
・サステナビリティ経営の推進
2025年6月、当社は第22回定時株主総会での承認決議を経て監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行いたしました。これを機に、業務執行の決定権限を取締役会から取締役へ大幅に委任することで監督と執行の分離と権限委譲を通じた迅速な経営の意思決定を行うとともに、監査等委員である取締役を置くことで取締役会のモニタリング機能の強化を図り、コーポレートガバナンスを一層充実させ、さらなる企業価値の向上を図ってまいります。
2025年11月、当社、キッズウェル・バイオ株式会社(本社:東京都中央区)、株式会社カイオム・バイオサイエンス(本社:東京都渋谷区)およびMycenax Biotech Inc.(本社:台湾新竹県)の4社は、バイオ後続品※2(以下「バイオシミラー」という。)の原薬・製剤製造を行う合弁会社の設立に関する契約を締結することを取締役会において決議いたしました。本契約締結により、バイオシミラーを含むバイオ医薬品の国内製造施設を整備し、4社の強みを活かした合弁会社によるバイオシミラー等のCDMO※3事業等を進めるとともに、当社グループの流通機能を組み合わせることでバイオシミラー等のトータルバリューチェーンを構築し、バイオシミラーの国内自給率の向上と安定供給体制の確立、製造したバイオシミラー原薬や製剤の海外輸出および日本におけるバイオ医薬品開発・製造に係る人材育成に取り組み、バイオ医薬品産業の発展に貢献してまいります。
2026年1月、当社グループは、「ドラッグ・ラグ/ロス」の解消へ向けて、海外の新興バイオ医薬品企業等の日本参入を包括的に支援するプラットフォーム「PATH-Solution」のサービス提供を開始いたしました。本サービスを通じてTSCS構想の下、当社グループ内の事業を活用し、参入にあたっての市場分析から開発・薬事・製造・販売、市販後調査まで一気通貫で伴走支援してまいります。
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高3兆1,040億64百万円(前期比4.8%増)、営業利益361億64百万円(同5.0%減)、経常利益386億34百万円(同4.6%減)となりました。また、特別利益に政策保有株式縮減による投資有価証券売却益253億31百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益417億46百万円(同52.4%増)となりました。
なお、販売費及び一般管理費には、再生医療関連事業およびバイオシミラー施設整備関連等の事業投資費21億73百万円が含まれており、これを除外した場合の営業利益は383億37百万円(同0.7%増)であります。
| ※1 | TSCS(Total Supply Chain Service) | : | トータルサプライチェーンサービス |
| ※2 | バイオ後続品 | : | 国内で既に承認・販売されているバイオ医薬品(先行バイオ医薬品)の特許期間・再審査期間満了後に、異なる製薬企業から販売される先行バイオ医薬品と同等・同質の製品 |
| ※3 | CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization) | : | 医薬品の製造工程の開発から、治験薬や商用製造までを受託するサービス |
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
① セグメント別の業績
(A) 医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等卸売事業におきましては、「TSCS実現に向けた事業機会の拡大」を目指し、「25-27中計」に掲げた以下の重点施策に取り組んでおります。
・「MS力の最大化」
・「全国ネットワークの強化」
・「ソリューション事業の推進による収益基盤の構築」
・「ステークホルダーが求めるロジスティクス体制構築」
・「グループ一体となった人的資本の戦略強化」
「MS力の最大化」の取り組みとして、業界№1のMS数でネオプライマリー戦略※4を遂行し、プロダクトサービス活用による業務改善を進めながら積極的な営業展開を図ることで、特に処方元医師への営業活動に注力し診療所販路で高い売上成長を実現しております。
あわせて、「グループ一体となった人的資本の戦略強化」として、グループ会社間での積極的な人財交流を進めております。これにより、より一層の連携強化を図り、高機能・高品質なサービスを全国一律で提供する体制を構築し、地域の生活者の皆様の健康およびお得意様・お取引先の発展により一層貢献してまいります。
「ステークホルダーが求めるロジスティクス体制構築」への取り組みでは、流通品質強化の一環として品質マネジメントシステムに関する国際規格ISO9001の認証取得を当社グループ全体で推進しているなか、当年度中に連結子会社8社※5において新たに「ISO9001」の認証を取得いたしました。当社グループは、引き続きグループ全体でISO認証取得の取り組みを進め、お得意様・お取引先の満足度の向上に取り組んでまいります。
2025年9月、「全国ネットワークの強化」として、ティーエスアルフレッサ株式会社が医療機器専門商社である株式会社ミヤノメディックス(本社:広島県福山市)の全株式を取得し子会社化するとともに、東北アルフレッサ株式会社が医療機器専門商社である東日本メディカルシステム株式会社(本社:仙台市青葉区)の全株式を取得する株式譲渡契約を締結いたしました(10月31日取得完了)。TSCSにおけるメディカル品の流通機能の強化に繋げ、地域医療へのさらなる貢献を目指します。
また、2026年3月、当社は、株式会社温仙堂(本社:長崎県諫早市)との間で、同社の完全子会社で、臨床・研究用診断薬および医療機器等の専門商社である株式会社テクノ・スズタ(本社:長崎県長崎市)の全株式を取得し完全子会社化いたしました。これにより、同社が有する医療・研究・福祉領域における卸売事業の拡大を図るとともに、九州エリアにおけるメディカル品の流通ネットワーク強化を図り、地域医療へのさらなる貢献を目指してまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、2025年4月に実施された薬価の中間年改定によるマイナス影響および人件費を含む物流費高騰等厳しい経営環境であったものの、ネオプライマリー戦略の推進やスペシャリティ医薬品等限定流通品の取扱い増加など市場伸長を上回る売上伸長による増収効果等により、売上高2兆7,825億84百万円(前期比5.4%増)、営業利益332億97百万円(同0.7%増)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高195億2百万円(同2.7%増)を含んでおります。
| ※4 | ネオプライマリー戦略 | : | 限定された適応症を有する等の特徴があるスペシャリティ医薬品でありながら、対象患者が比較的多く、専門病院に限らずプライマリー領域でも処方される製品のプロモーション活動に注力する営業戦略。製薬企業MR数の減少・適正化が進むなか、処方医へ広く情報提供が求められることから当社グループMSの人的リソースを最大限活用し差別化を図る。 |
| ※5 | ティーエスアルフレッサ株式会社(本社:広島市西区)…ロジスティクス本部品質管理部および尾道物流センター |
| 株式会社琉薬(本社:沖縄県浦添市)…管理本部ロジスティクス部 | |
| 明祥株式会社(本社:石川県金沢市)…管理本部物流部(現コーポレートサポートユニット流通戦略部) | |
| 東北アルフレッサ株式会社(本社:仙台市若林区・福島県郡山市)…ロジスティクス本部および郡山物流センター | |
| 四国アルフレッサ株式会社(本社:香川県高松市)…ロジスティクス業務部四国物流センター | |
| アルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区)…ロジスティクス業務部つくば物流センター、神奈川物流センター、静岡物流センター、福岡物流センター(当期認証取得4拠点追加) | |
| エーエル プラス株式会社(本社:東京都千代田区)…ロジスティクス企画業務部およびつくば事業所 | |
| エス・エム・ディ株式会社(本社:東京都千代田区)…スペシャリティ医薬品(医薬品と再生医療等製品を含む)の流通管理および医療機器レンタル管理業務 |
(B) セルフメディケーション卸売事業
セルフメディケーション卸売事業におきましては、連結子会社のアルフレッサ ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区)が、「『健康』×つなぐ×しあわせ」をテーマに、「25-27中計」の重点施策として掲げた「外部環境の変動に強い販売戦略の展開」「自社主体的な新たなソリューションの展開」に取り組んでおります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、販路拡大による増収効果に加えて、物流費の上昇はあるもののコストコントロールに注力したこと等により、売上高2,670億74百万円(前期比0.5%増)、営業利益30億12百万円(同2.1%増)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高4億47百万円(同5.3%減)を含んでおります。
(C) 医薬品等製造事業
医薬品等製造事業におきましては、「事業ポートフォリオの再構築による安定的な経営基盤の確立」を目指し、「25-27中計」の重点施策として掲げた「利益率・効率性のさらなる向上」「受託製造拡大と製品パイプライン拡充」「API(原薬)製造部門の新規事業開発」に取り組んでおります。
2026年2月、連結子会社のアルフレッサ ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区)がアナフィラキシー補助治療剤「ネフィー®点鼻液1mg/2mg」(一般名:アドレナリン)を日本国内において発売いたしました。本製品はアドレナリンを有効成分とする点鼻液で、蜂毒、食物および薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療剤として、点鼻により簡便な投与が可能です。
アルフレッサ ファーマ株式会社は、アナフィラキシー補助治療剤の新たな選択肢として、患者様や保護者等の治療時の負担軽減が期待できる本製品を提供することで、アンメット・メディカル・ニーズに貢献してまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、原薬の売上伸長や販管費抑制への取り組みの一方で、薬価改定および2024年10月から導入された長期収載品の選定療養制度の影響による医薬品の販売減少ならびに診断薬の需要落ち込み等による減収の影響により、売上高521億79百万円(前期比3.5%減)、営業利益12億3百万円(同7.1%減)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高149億98百万円(同8.4%減)を含んでおります。
(D) 調剤薬局等事業
調剤薬局等事業におきましては、連結子会社のアポクリート株式会社(本社:東京都豊島区)が、「地域に求められる『かかりつけ薬局』を目指す」をテーマに、「25-27中計」の重点施策として掲げた「対患者様業務の充実・処方箋確保」「門前医療機関以外からの処方箋獲得強化」「新たな薬局機能の拡充」「介護事業への参入」に取り組んでおります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、対患者様業務の充実や薬剤師の生産性向上に努めたものの、薬価改定によるマイナス影響および仕入原価上昇等の影響により、売上高371億74百万円(前期比0.4%増)、営業利益4億99百万円(同16.3%減)となりました。
(E) その他(事業)
当連結会計年度の期首より再生医療関連事業を営む当社の完全子会社のセルリソーシズ株式会社(本社:東京都千代田区)を新たに連結子会社といたしました。マスターセルの製造と保管、CMO※6・CDMO事業の開発を重点的に進め、各案件を早期にローンチすべく体制整備に取り組んでおります。
その他(事業)の当連結会計年度の業績は、案件受注に向けた人件費や研究開発費等の事業投資費を販売費及び一般管理費に計上したことにより、売上高-百万円、営業損失10億99百万円となりました。
| ※6 | CMO(Contract Manufacturing Organization) | : | 製薬企業などからの医薬品製造の受託・代行 |
② 生産、受注及び販売の実績
(A) 生産実績及び受注実績
当社グループの生産実績および受注実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(B) 仕入実績
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 医療用医薬品等卸売事業 | 2,620,685 | 105.2 |
| セルフメディケーション卸売事業 | 240,682 | 101.1 |
| 医薬品等製造事業 | 15,200 | 73.6 |
| 調剤薬局等事業 | 23,533 | 100.6 |
| 合計 | 2,900,101 | 104.6 |
(注)1.金額は実際の仕入額によっております。
2.セグメント間の内部仕入高は344億16百万円(前期比97.2%)であり、上記金額に含めております。
(C) 販売実績
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 医療用医薬品等卸売事業 | 2,782,584 | 105.4 |
| セルフメディケーション卸売事業 | 267,074 | 100.5 |
| 医薬品等製造事業 | 52,179 | 96.5 |
| 調剤薬局等事業 | 37,174 | 100.4 |
| 合計 | 3,139,013 | 104.7 |
(注)1.セグメント間の内部売上高は349億49百万円(前期比97.5%)であり、上記金額に含めております。
2.主要な相手先別の販売実績および当該総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前期末比671億31百万円増加し、1兆5,070億16百万円となりました。
流動資産は、648億17百万円増加し、1兆1,593億14百万円となりました。これは主として、「現金及び預金」が159億81百万円、売上債権が369億29百万円および「未収入金」が91億75百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、23億13百万円増加し、3,477億1百万円となりました。これは主として、物流センターや医薬品製造棟等の設備投資などに伴い有形固定資産が91億73百万円増加およびソフトウエア等の無形固定資産が16億63百万円増加した一方で、政策保有株式の縮減に伴い「投資有価証券」が89億51百万円減少したことによるものであります。
セグメント別の総資産は、以下のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業のセグメント資産は、前期末比730億60百万円増加し、1兆3,111億51百万円となりました。これは主として、売上債権等の流動資産が増加したことによるものであります。
セルフメディケーション卸売事業のセグメント資産は、11億58百万円減少し、918億70百万円となりました。これは主として、棚卸資産等の流動資産が増加した一方で、投資有価証券等の固定資産が減少したことによるものであります。
医薬品等製造事業のセグメント資産は、71億21百万円増加し、801億28百万円となりました。これは主として、棚卸資産等の流動資産が増加および医薬品製造棟等の設備投資に伴い有形固定資産が増加したことによるものであります。
調剤薬局等事業のセグメント資産は、5億38百万円増加し、170億39百万円となりました。これは主として、関係会社長期貸付金等の固定資産が増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における当社グループの負債は、前期末比414億76百万円増加し、9,991億13百万円となりました。
流動負債は、435億12百万円増加し、9,384億74百万円となりました。これは主として、「支払手形及び買掛金」が471億円増加および「未払法人税等」が59億69百万円増加した一方で、「独占禁止法関連損失引当金」が49億37百万円減少したことによるものであります。
固定負債は、20億36百万円減少し、606億39百万円となりました。これは主として、「繰延税金負債」が13億94百万円減少および「退職給付に係る負債」が13億7百万円減少したことによるものであります。
結果として、当連結会計年度末における当社グループの純資産は、256億55百万円増加し、5,079億3百万円となりました。これは主として、「利益剰余金」が283億17百万円増加および「退職給付に係る調整累計額」が17億25百万円増加した一方で、保有株式の売却に伴い「その他有価証券評価差額金」が43億48百万円減少したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物は、前期末比158億71百万円増加し、1,906億84百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、「税金等調整前当期純利益」が620億7百万円と前期と比べ226億47百万円の増益となったことに加えて、運転資本増減の影響等により、385億66百万円の増加(前期は56億39百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、物流センターの建設等の設備投資に伴う支出が増加した一方で、保有株式の縮減を目的とした投資有価証券の売却による収入が増加したこと等により、87億21百万円の減少(前期は249億17百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いがあったものの前期は「自己株式の取得による支出」があったこと等により、140億47百万円の減少(前期は235億34百万円の減少)となりました。
〈資本の財源および資金の流動性〉
アルフレッサグループは、日本の社会インフラである医薬品サプライチェーンを製造、卸売、調剤薬局等の各事業領域で支え、必要な時に、必要な医薬品を、必要な場所へ、安定的に供給することに貢献しております。
社会的責任の遂行と持続的な企業価値の向上には、財務の健全性、資本効率の向上、安定的・継続的な株主還元の最適バランスを追求し、さらなる企業価値を追求することが当社グループの財務・資本戦略の基本となっております。
当連結会計年度末における純資産のうち当社の持分は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上がり、配当金の支払いやその他の包括利益の増減により、5,073億57百万円(前期末比255億69百万円増加)となり、この結果、自己資本比率は33.7%となりました。
また、株式会社格付投資情報センターの発行体格付は「A+」(2025年8月格付)を2026年5月末時点で維持しております。
財務健全性のさらなる向上には財務基盤・収益基盤の強化が不可欠であるため、当社グループの資本配分計画に基づき、事業拡大投資・事業強化投資を実行してまいります。
株主還元を含むこれら資本配分の財源(資金の調達方法)は、主に営業活動により得られるキャッシュ・フローを源泉とした自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入、社債の発行によっております。なお、当連結会計年度における主要な使途等については前記「(3) キャッシュ・フロー」を、翌連結会計年度以降については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当連結会計年度末における「現金及び預金」残高は1,930億66百万円であり、連結ベースの流動比率は123.5%、総資産に対する流動資産の比率は76.9%、流動負債の比率は62.3%であることから、十分な流動性を確保しているものと認識しております。また、当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により、グループ内の資金需要と運用の最適化および資金の効率的な活用を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定について検討いたしましたが、当該見積り等に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。