四半期報告書-第59期第3四半期(令和2年3月1日-令和2年5月31日)

【提出】
2020/07/10 9:14
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【項目】
19項目
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第3四半期連結累計期間(2019年9月1日~2020年5月31日)の連結業績は、売上収益が1兆5,449億円(前年同期比15.2%減)、営業利益が1,323億円(同46.6%減)と、大幅な減収減益となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症などの影響で、店舗の臨時休業や時間短縮営業を行ったことにより、各セグメントで大幅な減収減益になったことに加え、業績が悪化したことに伴い赤字店舗の固定資産や使用権資産の減損損失を152億円計上したことによります。また、外貨建資産などの換算による為替差益を76億円計上したことから、金融損益はネットで100億円のプラスとなりました。この結果、税引前四半期利益は1,424億円(同42.4%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は906億円(同42.9%減)となりました。
当社グループは、「情報製造小売業」として世界No.1のアパレル小売企業となることを中期ビジョンに掲げ、なかでも海外ユニクロ事業、ジーユー事業、Eコマースの拡大に注力しています。各国・各エリアでユニクロの出店を継続すると同時に、世界主要都市にグローバル旗艦店、大型店を出店し、ユニクロが提案するLifeWearのコンセプトの浸透を図っています。海外ユニクロ事業では、グレーターチャイナ、東南アジアが事業の柱として成長ステージにあります。ジーユー事業は、国内市場を中心に事業を拡大すると同時に、ファッションと低価格のブランドとしてのポジションを確立しています。
[国内ユニクロ事業]
国内ユニクロ事業の当第3四半期連結累計期間の売上収益は5,988億円(前年同期比14.6%減)、営業利益は791億円(同18.1%減)と、大幅な減収減益となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により当第3四半期連結会計期間の3ヶ月間の売上収益が同35.5%減、営業利益が同74.0%減と大幅に悪化したことによります。
3ヶ月間の既存店売上高(Eコマース含む)は、3月下旬から5月上旬にかけて最大で全813店舗のうち311店舗が臨時休業したことにより、同34.0%減となりました。ただし、5月中旬以降は、営業の再開に伴い売上が回復、6月の売上も大幅に回復しています。なお、Eコマース売上高は、デジタル広告やTVCMでのオンラインストアへの誘導を強化したことより、同47.7%の大幅な増収と好調でした。売上総利益率は、同3.3ポイント改善しました。これは集客のための過度な値引きを抑制したことで値引率が改善したこと、商品仕入為替レートの円高傾向が続いているため原価率が改善したことによります。売上販管費比率は、大幅に減収となったことで同9.5ポイント上昇しましたが、金額ベースでは前年同期比で削減しました。
なお、LifeWearのコンセプトや商品を体験できる新しい店舗として、2020年4月にUNIQLO PARK 横浜ベイサイド店、同年6月にユニクロ 原宿店、また同月、日本最大級のグローバル旗艦店として銀座マロニエゲートにUNIQLO TOKYOを出店、好調な滑り出しとなっています。
[海外ユニクロ事業]
海外ユニクロ事業の当第3四半期連結累計期間の売上収益は6,735億円(前年同期比17.9%減)、営業利益は518億円(同58.5%減)と、大幅な減収減益となりました。
当第3四半期連結会計期間の3ヶ月間では、新型コロナウイルス感染症の影響によりすべてのエリアで大幅な減収減益となりましたが、各国・各エリアで、デジタルマーケティングの強化や無料配送の拡大などの取り組みを行ったことで、Eコマース売上高は増収と好調でした。地域別では、グレーターチャイナは大幅な減収減益となりましたが、5月単月では前年同期比で増収増益を達成し、順調なペースで回復しています。韓国は、日韓関係の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による客数の減少で既存店売上高が大幅な減収となり、営業利益は赤字となりました。その他アジア・オセアニア地区(東南アジア・オーストラリア・インド)は、新型コロナウイルス感染症により3月中旬から臨時休業した影響や、これによる観光客の減少により、大幅な減収、営業利益は赤字となりました。ただし、ロックダウンの解除が比較的早かったベトナムは順調に業績が回復し計画を上回りました。また、北米は、3月中旬から5月末までほとんどの店舗で営業再開ができず、大幅な減収、赤字が拡大しました。また、欧州も、英国、フランス、ロシアなどで臨時休業が3月中旬から5月末まで続いたことから、大幅な減収、赤字幅は拡大しました。
[ジーユー事業]
ジーユー事業の当第3四半期連結累計期間の売上収益は1,874億円(前年同期比1.1%増)、営業利益は204億円(同22.2%減)と増収、営業利益は大幅な減益となりました。上期は2桁の増収増益と好調な業績を維持していたものの、新型コロナウイルス感染症の影響で、当第3四半期連結会計期間の3ヶ月間の売上収益は同19.0%減、営業利益は同61.8%減となりました。
3ヶ月間の既存店売上高は、3月下旬から5月上旬にかけて最大で192店舗が臨時休業したことで、同27.0%の大幅な減収となりました。特に休業店舗が多かった4月は業績が大きく落ち込みましたが、5月は店舗の営業再開に伴い、既存店売上高はほぼ前年並みまで回復しました。なお、Eコマース売上高は前年同期比で倍増と好調でした。売上総利益率は、前年のハードルが高いことに加え、春夏商品の値引きを強化したことにより同3.3ポイント低下しました。売上販管費比率は、売上収益が大幅に減収したことで同5.8ポイント上昇しましたが、金額ベースでは、前年同期比で削減できています。
[グローバルブランド事業]
グローバルブランド事業の当第3四半期連結累計期間の売上収益は833億円(前年同期比26.7%減)、営業利益は60億円の赤字(前年同期は46億円の黒字)と、大幅な減収減益となりました。
当第3四半期連結会計期間の3ヶ月間の売上収益は前年同期比63.2%減、営業利益は67億円の赤字(前年同期は14億円の黒字)となりました。セオリー事業は、日本で4月下旬から5月中旬までほぼ全店舗を臨時休業していたこと、米国では3月中旬から5月末まで全店舗を臨時休業していたことにより、減収、営業利益は赤字となりました。プラステ事業も、4月に104店舗中最大102店舗を臨時休業したことで、減収、営業利益は赤字となりました。コントワー・デ・コトニエ事業は、3月中旬から5月中旬まで欧州でほぼ全店舗を臨時休業していたことにより赤字が拡大しました。
[サステナビリティ(持続可能性)]
ファーストリテイリングでは、「服のチカラを社会のチカラに。」というステートメントのもと、サステナビリティ活動を推進しています。当第3四半期では、新型コロナウイルス感性症に対応したサステナビリティ活動を実施し、お客様、従業員、生産パートナー、そしてコミュニティの人々の健康と暮らしを守るための取り組みを進めています。主な活動は以下のとおりです。
■コミュニティへの支援:2020年3月より、新型コロナウイルス感染症と闘っている世界各地の医療機関等に対して、1,000万点規模でのマスクの寄付を進めています。また、4月以降の追加の支援として、日本の医療機関等に対して、医療現場で使用できる防護具の一種であるアイソレーションガウン120万点、マスク400万点、ならびにユニクロの機能性肌着「エアリズム」を必要とする方々に届けています。さらに、事業を展開する26の国と地域で、現地法人を通じて、医療機関や、ホームレス等の社会的に脆弱な立場にある方々を支援する団体に「エアリズム」や「ヒートテック」、ダウンジャケット等のユニクロ商品約23万着(5月末現在)を寄贈しました。これらの寄贈に関しては、今後も継続的に実施する方針です。
■店舗・従業員における対応:各国・地域の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、臨時休業や時間を短縮しての営業を行ってきましたが、営業を再開した店舗においては、お客様とスタッフの健康を守ることを最優先とし、スタッフの勤務前の検温、マスク着用や手洗い、うがい、手指消毒などの対策を実施しています。また、お客様には、マスク着用、レジやフィッティングルームなどでのソーシャルディスタンスの確保へのご協力をお願いしています。従業員が安心、安全に働ける職場環境づくりのため、マスクや消毒液の提供、勤務場所や職務内容に応じた在宅勤務の推進等を行っています。
■生産パートナーおよび工場従業員への支援:生産パートナーおよび工場従業員の安心と安全を守るための施策を実施しています。工場従業員の感染リスクを低減するため、工場内での手洗いや検温、マスクの着用の徹底をお願いしています。一部工場には、当社グループより赤外線検温器を無償で提供し、感染リスクの抑制に役立てて頂いています。また、工場従業員のために、工場休業による賃金補償や雇用等に関する問い合わせ窓口を設置することで、従業員が適正な待遇と補償を受けられるよう支援を行っています。さらに、通年商品を中心とした生産スケジュールの柔軟な調整等、発注量の減少による工場の財務リスクを軽減するための対策も講じています。
②財政状態
(当第3四半期連結会計期間末における資産、負債、資本の状況)
資産は、前連結会計年度末に比べ3,271億円増加し、2兆3,377億円となりました。これは主として、使用権資産の増加3,731億円、現金及び現金同等物の減少407億円、棚卸資産の減少298億円等によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ3,011億円増加し、1兆3,281億円となりました。これは主として、リース負債の増加4,362億円、その他の短期金融負債の増加856億円、長期金融負債の減少1,291億円、買掛金及びその他の短期債務の減少403億円、その他の流動負債の減少249億円等によるものです。
なお、使用権資産及びリース負債の増加は、「要約四半期連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載されているIFRS第16号「リース」の適用によるものです。
資本は、前連結会計年度末に比べ260億円増加し、1兆95億円となりました。これは主として、利益剰余金の増加73億円、その他の資本の構成要素の増加198億円等によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ407億円減少し、1兆457億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による収入は、前第3四半期連結累計期間に比べ1,130億円減少し、1,731億円(前年同期比39.5%減)となりました。これは主として、税引前四半期利益1,424億円(前年同期比1,047億円減)、棚卸資産の減少額313億円(前年同期比1,133億円減)、減価償却費及びその他の償却費1,311億円(前年同期比945億円増)、仕入債務の減少額394億円(前年同期比331億円増)、その他の負債の減少額362億円(前年同期比295億円減)、売上債権の増加額149億円(前年同期比151億円増)、為替差益76億円(前年同期比134億円減)等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、前第3四半期連結累計期間に比べ34億円減少し、700億円(前年同期比4.7%減)となりました。これは主として、定期預金の純増額146億円(前年同期比74億円減)、有形固定資産の取得による支出359億円(前年同期比41億円増)、敷金及び保証金の回収による収入48億円(前年同期比18億円減)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、前第3四半期連結累計期間に比べ547億円増加し、1,494億円(前年同期比57.8%増)となりました。これは主として、リース負債の返済による支出1,033億円(前年同期比1,033億円増)、前第3四半期連結累計期間における社債の償還による支出300億円(前年同期比300億円減)、短期借入金の返済による支出9億円(前年同期比106億円減)等によるものです。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間に完成したものは次のとおりであります。
① 国内子会社
該当事項はありません。
② 在外子会社
会社名設備内容事業所名所在地完成年月
UNIQLO EUROPE LIMITED海外ユニクロ店舗UNIQLO Piazza Cordusioイタリア ミラノ2019年9月
UNIQLO INDIA PRIVATE
LIMITED
海外ユニクロ店舗UNIQLO Ambience Mall
Vasant Kunj store
インド ニューデリー2019年10月

また、当第3四半期連結会計期間末における重要な設備の新設等の計画は次のとおりであります。
① 国内子会社
会社名設備
内容
事業所名所在地投資予定金額着工年月完成予定年月予定売場
面積(㎡)
備考
総額
(百万円)
既支
払額
(百万円)
株式会社ユニクロ国内ユニクロ店舗ユニクロ 原宿店東京都渋谷区1,0289882018年11月2020年6月2,039貸借
株式会社ユニクロ国内ユニクロ店舗UNIQLO TOKYO東京都中央区2,5771,3582019年10月2020年6月4,415貸借

(注) 1 今後の所要資金につきましては、自己資金でまかなう予定であります。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
② 在外子会社
会社名設備
内容
事業所名所在地投資予定金額着工年月完成予定年月予定売場
面積(㎡)
備考
総額
(百万円)
既支
払額
(百万円)
UNIQLO EUROPE LIMITED海外ユニクロ店舗UNIQLO Westfield Mall of Scandinaviaスウェーデン
ストックホルム
6952632020年3月2020年8月1,841貸借

(注) 1 今後の所要資金につきましては、自己資金でまかなう予定であります。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。