四半期報告書-第63期第1四半期(2023/09/01-2023/11/30)
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第1四半期連結累計期間(2023年9月1日~2023年11月30日)の連結業績は、売上収益が8,108億円(前年同期比13.2%増)、営業利益が1,466億円(同25.3%増)と、大幅な増収増益となりました。これは主に、北米、欧州を中心に販売が好調だったことで、海外ユニクロ事業が大幅な増収増益となったことによります。また、国内ユニクロ事業は増収、大幅な増益、ジーユー事業も大幅な増収増益となりました。売上総利益率は前年同期比で1.5ポイント改善し、54.6%となりました。売上高販管費比率は、同0.2ポイント上昇し、37.2%となりましたが、これは当連結会計年度より、決算賞与の支給を実態に沿う形で、運用方針を明確化したことに伴い、前連結会計年度まで8月に一括計上していた決算賞与を、当連結会計年度から毎月の分割計上に変更しているため、この影響を除くと、売上高販管費比率は同0.3ポイントの改善となります。また、金融収益・費用は、ネットで157億円のプラスとなりました。これは主に、利息がネットで127億円のプラス、外貨建資産などの換算による為替差益が30億円発生したことによります。この結果、税引前四半期利益は1,624億円(同28.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,078億円(同26.7%増)となりました。
当社グループは、世界中のあらゆるお客様から信頼され、生活に必要不可欠な「グローバルNo.1ブランドになる」ことをめざしています。そのために、1)情報製造小売業のさらなる進化、2)グローバルでの収益の柱の多様化、3)事業の発展が、サステナビリティに寄与するビジネスモデルの追求、4)ジーユー事業、セオリー事業などグループブランドの拡大、5)人的資本の強化、に注力しています。特に、海外ユニクロ事業はグループの成長の柱として、商品開発やブランディングの強化、質の高い出店の加速を図っています。また、サステナブルな社会を構築するために、LifeWear(究極の普段着)のコンセプトを大切にした服づくりを行っていきます。高品質で長く着ていただける服、地球への負荷を低減し、健康で安全な労働環境でつくられた服、販売された後もリサイクル、リユースなどで循環される服を追求していきます。
[国内ユニクロ事業]
国内ユニクロ事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は2,444億円(前年同期比1.5%増)、営業利益は465億円(同18.0%増)と、増収、大幅な増益となりました。既存店売上高は同0.2%の増収となりました。9月、10月は、例年よりも気温が高く推移したことで、秋冬商品の需要が伸び悩み、減収となりましたが、11月は、気温が低下したことで、ヒートテックインナーやフリースなどの冬物防寒衣料、コラボレーション商品などの販売が好調だったことに加え、感謝祭が盛況だったことにより、大幅な増収となりました。売上総利益率は、原価率が改善したことで同2.7ポイント改善しました。原価率は、昨年は追加生産分に使用するスポット為替レートが急激な円安になった影響で大幅に悪化しましたが、今年は発注コントロールを強化したことで、追加生産が減り、スポット為替レートの影響が減少したことで、大幅に改善しました。売上高販管費比率は、同0.2ポイント上昇しました。これは、減価償却費比率や人件費比率が若干上昇したことによります。人件費比率は、決算賞与の計上タイミングを変更したことで上昇しましたが、その影響を除くと人件費比率は若干の改善となり、売上高販管費比率も同0.1ポイントの改善となります。
[海外ユニクロ事業]
海外ユニクロ事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は4,413億円(前年同期比23.3%増)、営業利益は778億円(同35.8%増)と、大幅な増収増益となりました。すべての地域で大幅な増収増益となりました。特に、北米、欧州は、グローバルのお客様のニーズを反映した商品開発が進捗し、顧客層がさらに拡大したことに加え、暖冬により冬物需要が弱い中でも、機動的に発注や経費のコントロールを徹底したことで、売上総利益率、売上高販管費比率ともに改善し、好調な業績を達成しました。
地域別では、中国大陸は、大幅な増収増益となりました。気温が高かった影響を受け、秋冬商品の立ち上がりにやや苦戦しましたが、11月に気温が低下し、冬物コア商品のマーケティングを強化したことで、大変好調な販売となりました。香港と台湾はともに大幅な増収増益となりました。韓国は、特に11月の販売が好調で、増収増益となりました。東南アジア・インド・豪州地区は大幅な増収増益となりました。冬物コア商品やKAWSなどのコラボレーション商品の販売が好調だったことに加え、前年同期末比で店舗数が45店舗増加したことで大幅な増収となりました。ただし、業績予想に対しては若干下回る結果となりました。常夏の気候にマッチした商品構成への対応や、人材育成の強化など、商売への課題が明確になったことで、今後は経営基盤の強化をしていく計画です。北米と欧州はともに大幅な増収増益となりました。新規顧客層がさらに拡大していることに加え、カシミヤセーター、ヒートテックインナーなどの冬物コア商品の販売が好調でした。
[ジーユー事業]
ジーユー事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は878億円(前年同期比10.7%増)、営業利益は123億円(同16.4%増)と、大幅な増収増益となりました。9月、10月は気温が高く推移し、秋冬商品の販売が伸び悩みましたが、気温が低下した11月は、冬物の売れ筋商品の在庫を十分に準備したことが奏功し、好調な販売となりました。特に、ヘビーウェイトスウェットやヒートパデッドアウター、パラシュートカーゴパンツなど、マストレンドを捉えた商品の販売が好調でした。また、生産効率の改善などにより原価率が改善し、売上総利益率が改善したことで、営業利益率は同0.7ポイント改善しました。
[グローバルブランド事業]
グローバルブランド事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は366億円(前年同期比2.4%減)、営業利益は3億円(同43.9%減)と、減収減益となりました。セオリー事業は、売上収益は前年並み、営業利益は減益となりました。暖冬の影響で販売に苦戦したことに加え、米国事業を中心に人件費が増加したことで売上高販管費比率が悪化し、減益となりました。プラステ事業は、店舗数が前年同期末比で35店舗減少したことで減収、営業利益は若干の赤字となりました。コントワー・デ・コトニエ事業は、欧州市場での消費意欲の低下や暖冬の影響で減収でしたが、売上総利益率と売上高販管費比率の改善により赤字幅は縮小しました。
[サステナビリティ(持続可能性)]
ファーストリテイリングは、あらゆる人の生活を豊かにする「究極の普段着」というLifeWearの考え方を基に、品質・デザイン・価格だけでなく、環境・人・社会への貢献を含む、服づくりを進めています。
当社は、2023年11月、第3回目となる「LifeWear=新しい産業」説明会を開催しました。投資家やメディアの方々に、サステナビリティの主要領域における2030年度目標に向けた取り組みの進捗と、循環型ビジネスモデルへの挑戦、サプライチェーン改革について紹介しました。お客様が必要とされるものだけをつくり、服の生産から輸送、販売までのプロセスにおいて環境や人権が守られ、商品の販売後もリユースやリサイクルなどを通して、循環型の社会を実現することを目指しています。
当社は、World Benchmarking Allianceが2023年11月に公表した「Corporate Human Rights Benchmark」では、バリューチェーン全体における人権尊重の活動が評価され、世界の主力アパレル企業55社中4位の高評価となりました。特に、人権方針のコミットメントに関して、全従業員及びサプライヤーを含めたトレーニングの実施方法を開示していること、お取引先工場の従業員から当社に直接コンタクトできるホットラインについて、利用者である工場従業員の声を改善に反映していることなどが評価されています。
当社のサステナビリティ活動は、6つの重点領域(マテリアリティ)の活動を主軸としています。当第1四半期連結累計期間における主な活動内容は、以下のとおりです。
■「商品と販売を通じた新たな価値創造」:ユニクロは、全商品をリサイクル、リユースする取り組み「RE.UNIQLO」を推進しています。服のリペアやリメイクを提供する「RE.UNIQLO STUDIO」は、2023年11月末時点で18の国と地域40店舗で展開しており、2024年にはグローバルで50店舗以上に拡大する予定です。また、新たに「UNIQLO古着プロジェクト」を始動し、トライアルとして2023年10月に、ユニクロ原宿店において古着を販売するポップアップストアを期間限定で開催し、多くのお客様から好評を得ました。また、「服から服へのリサイクル」の取り組みとしては、2020年11月より開始した「リサイクルダウンジャケット」に続き、新たにコットン、カシミヤ、ウールを再利用した商品の開発を進めています。
■「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」:当社は、持続可能なサプライチェーンを実現するために、生産の全工程で品質、調達、生産体制、環境・人権対応の自社基準を適用し、自社でサプライチェーン全体を管理することを目指しています。これを実現するため、最終商品から原材料レベルまでサプライチェーン全体を可視化し、生産パートナーへの取引集約化、主要原材料を自社指定農場・牧場・工場から調達することでトレーサビリティへの取り組みを強化しています。ユニクロでは、2023年春夏シーズンから、全商品で原材料レベルまでの商流を把握すると同時に、長期的な取引が可能な綿紡績サプライヤーへの集約を進めています。また、サプライチェーン全体の人権・労働環境の尊重への取り組みも継続的に強化しています。2023年8月末までに、縫製工場や主要素材工場だけではなく、ユニクロ綿商品の主要紡績工場とも「生産パートナー コードオブコンダクト」を締結し、労働環境モニタリングを行っています。
■「環境への配慮」:当社は、「生物多様性保全方針」を策定し、2023年11月に公表しました。長期的にバリューチェーン全体で生物多様性に対するネットポジティブインパクトをめざすことを目標に掲げ、取り組みを加速していきます。まずは、ウール、カシミヤ、コットン生産による土地利用の影響が大きいことを特定しました。カシミヤについては、琉球大学と連携し、当社が調達しているカシミヤの全牧場の植物の状況を衛星データ解析するとともに現地訪問による調査を実施し、その調査結果に基づき、今後、改善のためのアクションを実行する予定です。同様にウールやコットンについても、評価・改善などを進めていきます。
ファーストリテイリングでは2030年度までに自社店舗・オフィスでの温室効果ガス排出量を2019年度比90%削減、サプライチェーンでは同20%削減すること、全使用素材の50%をリサイクル素材など温室効果ガス排出量の少ない素材に切り替えることを目標としています。2023年企画商品では、リサイクル素材などの使用割合は全体で8.5%まで上昇し、またポリエステルについては30%でリサイクルポリエステルを採用しました。
■「コミュニティとの共存・共栄」:当社と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、2023年11月、世界の難民問題への対応を強化するため、4年間にわたる新たなグローバルパートナーシップの合意書を締結しました。グローバルパートナーシップの下、当社は、4年間で総額600万USドル(約9億円)を拠出し、衣料支援、緊急支援、自立支援、コミュニケーション活動など多岐にわたる活動を支援するとともに、現在、世界の難民キャンプなどに届けている年間約700万着の衣料支援を最大1,000万着に拡大していきます。
■「従業員の幸せ」:「ジェンダー」「Global One Team」「障がい」「LGBTQ+」の4つを重点領域として、当事者サポートのための制度導入や研修の実施など、多様性推進のための様々な取り組みを実施しています。2023年10月には女性役職者とのキャリアセッションを実施した他、日本の本部で働く外国籍従業員を対象としたメンターシッププログラムを開始しました。また、人権委員会では、ジェンダー平等の状況を分析し、今後の女性管理職比率の向上、男女賃金差異の縮小に向けた施策について討議しました。委員会での議論を踏まえ、引き続き、管理職候補となる女性従業員向けの育成計画や中長期のキャリアプランの強化、スキル向上などに向けたサポートを行っていきます。
■「正しい経営(ガバナンス)」:迅速で透明性のある経営を実現するために、各委員会ではオープンで活発な議論を行っています。リスクマネジメント委員会では、情報セキュリティの強化や、Eコマース不正対策チームの立ち上げ、内部統制強化のための様々な施策について議論を重ねています。また、人権委員会では、従業員ホットラインのグローバルの相談件数・内容や、工場の労働環境モニタリングの結果、ファーストリテイリングによる工場従業員向けのホットラインの相談内容の現状と課題を報告し、体制強化に向けた活発な討議を行いました。
②財政状態
資産は、前連結会計年度末に比べ1,312億円増加し、3兆4,349億円となりました。これは主として、現金及び現金同等物の減少159億円、売掛金及びその他の短期債権の増加760億円、その他の短期金融資産の増加407億円、棚卸資産の増加364億円、デリバティブ金融資産の減少97億円、有形固定資産の増加109億円、使用権資産の増加60億円、長期金融資産の減少165億円等によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ681億円増加し、1兆4,985億円となりました。これは主として、買掛金及びその他の短期債務の増加686億円、その他の短期金融負債の増加158億円、デリバティブ金融負債の増加14億円、未払法人所得税の減少169億円、繰延税金負債の減少87億円等によるものです。
資本は、前連結会計年度末に比べ630億円増加し、1兆9,364億円となりました。これは主として、利益剰余金の増加572億円、その他の資本の構成要素の増加33億円、非支配持分の増加22億円等によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、159億円減少し、8,873億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、1,071億円(前年同期は13億円の資金の使用)となりました。これは主として、税引前四半期利益1,624億円、減価償却費及びその他の償却費493億円、仕入債務の増加額610億円等の資金増加要因、売上債権の増加額739億円、法人税等の支払額689億円等の資金減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、444億円(前年同期は3,763億円の資金の使用)となりました。これは主として、定期預金の純増額146億円、有形固定資産の取得による支出207億円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、889億円(前年同期は691億円の資金の使用)となりました。これは主として、配当金の支払額505億円、リース負債の返済による支出380億円等によるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの会計上の見積り及び見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)主要な設備
当第1四半期連結累計期間に完了した主要な設備の新設は次のとおりであります。
① 国内子会社
該当事項はありません。
② 在外子会社
該当事項はありません。
また、当第1四半期連結会計期間末における重要な設備の新設等の計画は次のとおりであります。
① 国内子会社
該当事項はありません。
② 在外子会社
該当事項はありません。
①経営成績
当第1四半期連結累計期間(2023年9月1日~2023年11月30日)の連結業績は、売上収益が8,108億円(前年同期比13.2%増)、営業利益が1,466億円(同25.3%増)と、大幅な増収増益となりました。これは主に、北米、欧州を中心に販売が好調だったことで、海外ユニクロ事業が大幅な増収増益となったことによります。また、国内ユニクロ事業は増収、大幅な増益、ジーユー事業も大幅な増収増益となりました。売上総利益率は前年同期比で1.5ポイント改善し、54.6%となりました。売上高販管費比率は、同0.2ポイント上昇し、37.2%となりましたが、これは当連結会計年度より、決算賞与の支給を実態に沿う形で、運用方針を明確化したことに伴い、前連結会計年度まで8月に一括計上していた決算賞与を、当連結会計年度から毎月の分割計上に変更しているため、この影響を除くと、売上高販管費比率は同0.3ポイントの改善となります。また、金融収益・費用は、ネットで157億円のプラスとなりました。これは主に、利息がネットで127億円のプラス、外貨建資産などの換算による為替差益が30億円発生したことによります。この結果、税引前四半期利益は1,624億円(同28.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,078億円(同26.7%増)となりました。
当社グループは、世界中のあらゆるお客様から信頼され、生活に必要不可欠な「グローバルNo.1ブランドになる」ことをめざしています。そのために、1)情報製造小売業のさらなる進化、2)グローバルでの収益の柱の多様化、3)事業の発展が、サステナビリティに寄与するビジネスモデルの追求、4)ジーユー事業、セオリー事業などグループブランドの拡大、5)人的資本の強化、に注力しています。特に、海外ユニクロ事業はグループの成長の柱として、商品開発やブランディングの強化、質の高い出店の加速を図っています。また、サステナブルな社会を構築するために、LifeWear(究極の普段着)のコンセプトを大切にした服づくりを行っていきます。高品質で長く着ていただける服、地球への負荷を低減し、健康で安全な労働環境でつくられた服、販売された後もリサイクル、リユースなどで循環される服を追求していきます。
[国内ユニクロ事業]
国内ユニクロ事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は2,444億円(前年同期比1.5%増)、営業利益は465億円(同18.0%増)と、増収、大幅な増益となりました。既存店売上高は同0.2%の増収となりました。9月、10月は、例年よりも気温が高く推移したことで、秋冬商品の需要が伸び悩み、減収となりましたが、11月は、気温が低下したことで、ヒートテックインナーやフリースなどの冬物防寒衣料、コラボレーション商品などの販売が好調だったことに加え、感謝祭が盛況だったことにより、大幅な増収となりました。売上総利益率は、原価率が改善したことで同2.7ポイント改善しました。原価率は、昨年は追加生産分に使用するスポット為替レートが急激な円安になった影響で大幅に悪化しましたが、今年は発注コントロールを強化したことで、追加生産が減り、スポット為替レートの影響が減少したことで、大幅に改善しました。売上高販管費比率は、同0.2ポイント上昇しました。これは、減価償却費比率や人件費比率が若干上昇したことによります。人件費比率は、決算賞与の計上タイミングを変更したことで上昇しましたが、その影響を除くと人件費比率は若干の改善となり、売上高販管費比率も同0.1ポイントの改善となります。
[海外ユニクロ事業]
海外ユニクロ事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は4,413億円(前年同期比23.3%増)、営業利益は778億円(同35.8%増)と、大幅な増収増益となりました。すべての地域で大幅な増収増益となりました。特に、北米、欧州は、グローバルのお客様のニーズを反映した商品開発が進捗し、顧客層がさらに拡大したことに加え、暖冬により冬物需要が弱い中でも、機動的に発注や経費のコントロールを徹底したことで、売上総利益率、売上高販管費比率ともに改善し、好調な業績を達成しました。
地域別では、中国大陸は、大幅な増収増益となりました。気温が高かった影響を受け、秋冬商品の立ち上がりにやや苦戦しましたが、11月に気温が低下し、冬物コア商品のマーケティングを強化したことで、大変好調な販売となりました。香港と台湾はともに大幅な増収増益となりました。韓国は、特に11月の販売が好調で、増収増益となりました。東南アジア・インド・豪州地区は大幅な増収増益となりました。冬物コア商品やKAWSなどのコラボレーション商品の販売が好調だったことに加え、前年同期末比で店舗数が45店舗増加したことで大幅な増収となりました。ただし、業績予想に対しては若干下回る結果となりました。常夏の気候にマッチした商品構成への対応や、人材育成の強化など、商売への課題が明確になったことで、今後は経営基盤の強化をしていく計画です。北米と欧州はともに大幅な増収増益となりました。新規顧客層がさらに拡大していることに加え、カシミヤセーター、ヒートテックインナーなどの冬物コア商品の販売が好調でした。
[ジーユー事業]
ジーユー事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は878億円(前年同期比10.7%増)、営業利益は123億円(同16.4%増)と、大幅な増収増益となりました。9月、10月は気温が高く推移し、秋冬商品の販売が伸び悩みましたが、気温が低下した11月は、冬物の売れ筋商品の在庫を十分に準備したことが奏功し、好調な販売となりました。特に、ヘビーウェイトスウェットやヒートパデッドアウター、パラシュートカーゴパンツなど、マストレンドを捉えた商品の販売が好調でした。また、生産効率の改善などにより原価率が改善し、売上総利益率が改善したことで、営業利益率は同0.7ポイント改善しました。
[グローバルブランド事業]
グローバルブランド事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は366億円(前年同期比2.4%減)、営業利益は3億円(同43.9%減)と、減収減益となりました。セオリー事業は、売上収益は前年並み、営業利益は減益となりました。暖冬の影響で販売に苦戦したことに加え、米国事業を中心に人件費が増加したことで売上高販管費比率が悪化し、減益となりました。プラステ事業は、店舗数が前年同期末比で35店舗減少したことで減収、営業利益は若干の赤字となりました。コントワー・デ・コトニエ事業は、欧州市場での消費意欲の低下や暖冬の影響で減収でしたが、売上総利益率と売上高販管費比率の改善により赤字幅は縮小しました。
[サステナビリティ(持続可能性)]
ファーストリテイリングは、あらゆる人の生活を豊かにする「究極の普段着」というLifeWearの考え方を基に、品質・デザイン・価格だけでなく、環境・人・社会への貢献を含む、服づくりを進めています。
当社は、2023年11月、第3回目となる「LifeWear=新しい産業」説明会を開催しました。投資家やメディアの方々に、サステナビリティの主要領域における2030年度目標に向けた取り組みの進捗と、循環型ビジネスモデルへの挑戦、サプライチェーン改革について紹介しました。お客様が必要とされるものだけをつくり、服の生産から輸送、販売までのプロセスにおいて環境や人権が守られ、商品の販売後もリユースやリサイクルなどを通して、循環型の社会を実現することを目指しています。
当社は、World Benchmarking Allianceが2023年11月に公表した「Corporate Human Rights Benchmark」では、バリューチェーン全体における人権尊重の活動が評価され、世界の主力アパレル企業55社中4位の高評価となりました。特に、人権方針のコミットメントに関して、全従業員及びサプライヤーを含めたトレーニングの実施方法を開示していること、お取引先工場の従業員から当社に直接コンタクトできるホットラインについて、利用者である工場従業員の声を改善に反映していることなどが評価されています。
当社のサステナビリティ活動は、6つの重点領域(マテリアリティ)の活動を主軸としています。当第1四半期連結累計期間における主な活動内容は、以下のとおりです。
■「商品と販売を通じた新たな価値創造」:ユニクロは、全商品をリサイクル、リユースする取り組み「RE.UNIQLO」を推進しています。服のリペアやリメイクを提供する「RE.UNIQLO STUDIO」は、2023年11月末時点で18の国と地域40店舗で展開しており、2024年にはグローバルで50店舗以上に拡大する予定です。また、新たに「UNIQLO古着プロジェクト」を始動し、トライアルとして2023年10月に、ユニクロ原宿店において古着を販売するポップアップストアを期間限定で開催し、多くのお客様から好評を得ました。また、「服から服へのリサイクル」の取り組みとしては、2020年11月より開始した「リサイクルダウンジャケット」に続き、新たにコットン、カシミヤ、ウールを再利用した商品の開発を進めています。
■「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」:当社は、持続可能なサプライチェーンを実現するために、生産の全工程で品質、調達、生産体制、環境・人権対応の自社基準を適用し、自社でサプライチェーン全体を管理することを目指しています。これを実現するため、最終商品から原材料レベルまでサプライチェーン全体を可視化し、生産パートナーへの取引集約化、主要原材料を自社指定農場・牧場・工場から調達することでトレーサビリティへの取り組みを強化しています。ユニクロでは、2023年春夏シーズンから、全商品で原材料レベルまでの商流を把握すると同時に、長期的な取引が可能な綿紡績サプライヤーへの集約を進めています。また、サプライチェーン全体の人権・労働環境の尊重への取り組みも継続的に強化しています。2023年8月末までに、縫製工場や主要素材工場だけではなく、ユニクロ綿商品の主要紡績工場とも「生産パートナー コードオブコンダクト」を締結し、労働環境モニタリングを行っています。
■「環境への配慮」:当社は、「生物多様性保全方針」を策定し、2023年11月に公表しました。長期的にバリューチェーン全体で生物多様性に対するネットポジティブインパクトをめざすことを目標に掲げ、取り組みを加速していきます。まずは、ウール、カシミヤ、コットン生産による土地利用の影響が大きいことを特定しました。カシミヤについては、琉球大学と連携し、当社が調達しているカシミヤの全牧場の植物の状況を衛星データ解析するとともに現地訪問による調査を実施し、その調査結果に基づき、今後、改善のためのアクションを実行する予定です。同様にウールやコットンについても、評価・改善などを進めていきます。
ファーストリテイリングでは2030年度までに自社店舗・オフィスでの温室効果ガス排出量を2019年度比90%削減、サプライチェーンでは同20%削減すること、全使用素材の50%をリサイクル素材など温室効果ガス排出量の少ない素材に切り替えることを目標としています。2023年企画商品では、リサイクル素材などの使用割合は全体で8.5%まで上昇し、またポリエステルについては30%でリサイクルポリエステルを採用しました。
■「コミュニティとの共存・共栄」:当社と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、2023年11月、世界の難民問題への対応を強化するため、4年間にわたる新たなグローバルパートナーシップの合意書を締結しました。グローバルパートナーシップの下、当社は、4年間で総額600万USドル(約9億円)を拠出し、衣料支援、緊急支援、自立支援、コミュニケーション活動など多岐にわたる活動を支援するとともに、現在、世界の難民キャンプなどに届けている年間約700万着の衣料支援を最大1,000万着に拡大していきます。
■「従業員の幸せ」:「ジェンダー」「Global One Team」「障がい」「LGBTQ+」の4つを重点領域として、当事者サポートのための制度導入や研修の実施など、多様性推進のための様々な取り組みを実施しています。2023年10月には女性役職者とのキャリアセッションを実施した他、日本の本部で働く外国籍従業員を対象としたメンターシッププログラムを開始しました。また、人権委員会では、ジェンダー平等の状況を分析し、今後の女性管理職比率の向上、男女賃金差異の縮小に向けた施策について討議しました。委員会での議論を踏まえ、引き続き、管理職候補となる女性従業員向けの育成計画や中長期のキャリアプランの強化、スキル向上などに向けたサポートを行っていきます。
■「正しい経営(ガバナンス)」:迅速で透明性のある経営を実現するために、各委員会ではオープンで活発な議論を行っています。リスクマネジメント委員会では、情報セキュリティの強化や、Eコマース不正対策チームの立ち上げ、内部統制強化のための様々な施策について議論を重ねています。また、人権委員会では、従業員ホットラインのグローバルの相談件数・内容や、工場の労働環境モニタリングの結果、ファーストリテイリングによる工場従業員向けのホットラインの相談内容の現状と課題を報告し、体制強化に向けた活発な討議を行いました。
②財政状態
資産は、前連結会計年度末に比べ1,312億円増加し、3兆4,349億円となりました。これは主として、現金及び現金同等物の減少159億円、売掛金及びその他の短期債権の増加760億円、その他の短期金融資産の増加407億円、棚卸資産の増加364億円、デリバティブ金融資産の減少97億円、有形固定資産の増加109億円、使用権資産の増加60億円、長期金融資産の減少165億円等によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ681億円増加し、1兆4,985億円となりました。これは主として、買掛金及びその他の短期債務の増加686億円、その他の短期金融負債の増加158億円、デリバティブ金融負債の増加14億円、未払法人所得税の減少169億円、繰延税金負債の減少87億円等によるものです。
資本は、前連結会計年度末に比べ630億円増加し、1兆9,364億円となりました。これは主として、利益剰余金の増加572億円、その他の資本の構成要素の増加33億円、非支配持分の増加22億円等によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、159億円減少し、8,873億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、1,071億円(前年同期は13億円の資金の使用)となりました。これは主として、税引前四半期利益1,624億円、減価償却費及びその他の償却費493億円、仕入債務の増加額610億円等の資金増加要因、売上債権の増加額739億円、法人税等の支払額689億円等の資金減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、444億円(前年同期は3,763億円の資金の使用)となりました。これは主として、定期預金の純増額146億円、有形固定資産の取得による支出207億円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、889億円(前年同期は691億円の資金の使用)となりました。これは主として、配当金の支払額505億円、リース負債の返済による支出380億円等によるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの会計上の見積り及び見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)主要な設備
当第1四半期連結累計期間に完了した主要な設備の新設は次のとおりであります。
① 国内子会社
該当事項はありません。
② 在外子会社
該当事項はありません。
また、当第1四半期連結会計期間末における重要な設備の新設等の計画は次のとおりであります。
① 国内子会社
該当事項はありません。
② 在外子会社
該当事項はありません。