四半期報告書-第61期第1四半期(令和3年9月1日-令和3年11月30日)

【提出】
2022/01/14 13:00
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【項目】
40項目
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第1四半期連結累計期間(2021年9月1日~2021年11月30日)の連結業績は、売上収益が6,273億円(前年同期比1.2%増)、営業利益が1,194億円(同5.6%増)と、増収増益となりました。これは主に、その他アジア・オセアニア地区(東南アジア、オーストラリア、インド)、北米、欧州のユニクロ事業が大幅な増収増益と好調な業績となったためです。国内、グレーターチャイナのユニクロ事業、ジーユー事業は減収減益となりました。売上総利益率は前年同期比で1.6ポイント改善し、54.0%となりました。売上高販管費率は同1.1ポイント上昇し、35.5%となりました。また、期初に比べ円安となったことで、金融収益・費用は、外貨建金融資産などの換算による為替差益など、ネットで148億円のプラスを計上しました。この結果、税引前四半期利益は1,342億円(同25.2%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は935億円(同33.0%増)となりました。グローバルで収益の柱が多様化したことで、第1四半期連結累計期間では過去最高の業績となりました。
当社グループは、グローバルNo.1ブランドになることをめざし、事業の拡大とサステナビリティの取り組みを一体で強化しています。地球への負荷が低減され、健康で安全な労働環境の中で、LifeWear(究極の普段着)を生産・販売することに取り組んでいることに加え、さまざまな社会的課題の解決に努めています。また、事業の成長の柱として、Eコマース事業、海外ユニクロ事業、ジーユー事業の拡大に注力しています。Eコマース事業は、店舗と一体で本業と捉え、お客様がほしい商品や情報を、ほしいときに、ほしいだけ、ご提供する、仕組みづくりを加速しています。すでに店舗とEコマースが融合したサービスや、在庫の一元管理などの改革が進んでいます。海外ユニクロ事業では、各国・各エリアで出店を加速すると同時に、世界主要都市にグローバル旗艦店、大型店を出店することで、LifeWearのコンセプトの浸透を図っています。ジーユー事業は、「ファッションと低価格」のポジションを強化し、国内市場を中心に事業の拡大をめざします。
[国内ユニクロ事業]
国内ユニクロ事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は2,264億円(前年同期比10.8%減)、営業利益は487億円(同18.8%減)と、大幅な減収減益となりました。既存店売上高は7.7%減となりました。これは、前年同期は在宅需要やエアリズムマスクの販売が盛り上がったことで、ハードルが高かったことに加え、9月から10月中旬まで気温が高い日が続き秋冬商品の販売に苦戦したことによります。10月中旬からは、気温が低下したことで、アウターやインナーなどの防寒衣料の販売が好調、11月の感謝祭期間中の売上も前年を上回りましたが、第1四半期連結累計期間では減収となりました。Eコマース売上高は366億円(同0.2%減)と、若干の減収となりましたが、2年前比では約5割増収と順調に拡大しています。売上総利益率は、過度な値引き販売を抑制し値引率が改善したことなどにより、同0.5ポイント改善しました。売上高販管費率は、減収に伴い同2.6ポイント上昇しました。
[海外ユニクロ事業]
海外ユニクロ事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は2,997億円(前年同期比15.0%増)、営業利益は599億円(同44.6%増)と、大幅な増収増益となりました。これは主に、その他アジア・オセアニア地区、北米、欧州での販売が好調で大幅な増収増益となったことによります。グレーターチャイナは若干の減収、大幅な減益となりましたが、収益の柱が多様化したことで、海外ユニクロ事業全体では、第1四半期連結累計期間では過去最高の業績となりました。
地域別では、中国大陸は減収、大幅な減益となりました。これは、新型コロナウイルス感染症に伴う厳しい規制が継続的に実施されたことで、アパレルへの購買意欲が低下した影響や、前年の売上が好調でハードルが高かったためです。香港、台湾は大幅な増収増益、韓国は増収増益となりました。その他アジア・オセアニア地区は、大幅な増収増益となり、2年前の水準まで回復しました。米国は、大幅な増収、黒字へ転換しました。旅行需要が一部回復したことや、ブランディング強化のための情報発信や商品のニュース発信を継続したことで、販売が好調に推移しました。欧州は、気温の低下や購買意欲の高まりにより商売環境が良好だったことに加え、Eコマースのアプリ会員の獲得などを通じてお客様からの支持を高められたことで、大幅な増収増益を達成することができました。
[ジーユー事業]
ジーユー事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は698億円(前年同期比8.7%減)、営業利益は89億円(同34.5%減)と、減収、大幅な減益となりました。気温が高く推移したことで秋冬商品の販売に苦戦したことに加え、生産や物流の遅延の影響により冬物商品の立ち上げが遅れたことで、既存店売上高は減収となりました。売上総利益率は、秋物商品の在庫消化を進めるため値引き販売を強化したこと、素材高や輸送費の高騰の影響を受け原価率が若干上昇したことで、同1.7ポイント低下しました。売上高販管費率は同3.2ポイント上昇しましたが、これは主に、Eコマースの拡大に向けて西日本に自動化倉庫を稼働したことで一時的に物流費が増加したこと、ブランディングのためにマーケティングを強化したことによります。
[グローバルブランド事業]
グローバルブランド事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は307億円(前年同期比9.5%増)、営業利益は25億円の黒字(前年同期は2億円の赤字)と、増収、黒字に転換しました。セオリー事業は、大幅な増収増益となりました。これは主に米国事業の業績が回復し、黒字に転換したことによります。プラステ事業は、緊急事態宣言の影響を受けたことで集客に苦戦し、減収減益となりました。コントワー・デ・コトニエ事業は、増収、黒字に転換しました。これは主に、フランスにおいて新型コロナウイルス感染症による臨時休業がなかったことに加え、不採算店舗の閉店を中心とした事業構造改革を進めたことで経費効率が改善したことによります。
[サステナビリティ(持続可能性)]
ファーストリテイリングは、服のビジネスを通じたサステナビリティ活動を推進しています。2021年12月に行った「LifeWear=サステナビリティ」説明会では、2030年に向けた持続可能な社会と事業の成長を両立させることをめざした当社の取り組みを発表しました。「あらゆる人々の生活をより豊かにするLifeWear(究極の普段着)の考え方に、環境・人権・社会への取り組みを加えた新しいビジネスモデルへの転換」を加速していきます。
サステナビリティ活動が注力する6つの重点領域(マテリアリティ)は、「商品と販売を通じた新たな価値創造」「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」「環境への配慮」「コミュニティとの共存・共栄」「従業員の幸せ」「正しい経営」です。これらの重点領域での今期の主な活動内容は以下の通りです。
■「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」: 2021年9月、「繊維・縫製産業における健康と安全のための国際協定(International Accord for Health and Safety in the Textile and Garment Industry)」に署名しました。これは、当社が2013年に署名した「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(Accord on Fire and Building Safety in Bangladesh)」を引き継ぐ枠組みで、協定に基づき、今後もバングラデシュの労働者の健康と安全を確保するための取り組みを継続していきます。また、サプライチェーン全体の人権・労働問題への取り組みを継続的に強化しています。原材料調達の最上流までトレーサビリティを追求し、自社従業員による訪問や第三者機関による監査、第三者認証等を通じて労働環境の確認を進めていきます。
■「環境への配慮」:2021年9月、「2030年度までに、店舗や主要オフィスなどの自社運営施設でのエネルギー使用に由来する温室効果ガス排出量を2019年度比で90%削減、ユニクロ・ジーユー商品の原材料生産・素材生産・縫製に関しては20%削減、自社の使用電力における再生可能エネルギーの割合を100%とすること」を目標として発表しました。すでに欧州9ヵ国ではユニクロの全67店舗で再生可能エネルギーへの切り替えが完了し(2021年11月末現在)、北米や東南アジアの一部の国でも、今年度中の切り替え完了を目指しています。また、素材については、2030年度までに全使用素材の約50%をリサイクル素材などの温室効果ガス排出量の非常に少ない素材に切り替えていく方針を掲げています。また、2021年9月には、マイクロファイバーによる自然環境への影響を最小化する国際的取り組み「Microfibre 2030 Commitment」に署名し、マイクロファイバーによる環境影響ゼロに向けた取り組みを強化しています。素材試験を2023年までの毎年実施し、自社製品およびその製造過程でマイクロファイバーの低減措置を行っていきます。この領域での、繊維・アパレル業界におけるベストプラクティスの展開に努めます。
■「コミュニティとの共存・共栄」: アフガニスタン難民をはじめ、世界の難民・国内避難民の越冬を支援するため、ユニクロの「ヒートテック」やアウターなど合計約100万点(約10億円相当分)の冬物衣料を、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に寄贈します。また、UNHCRからの支援要請を受け、アフガニスタン難民などへの越冬支援として、80万米ドル(約9,200万円)をUNHCRに寄付します。
■「従業員の幸せ」:従業員の多様性を尊重し、能力を最大限発揮できる職場環境、キャリア開発を促進するため、2030年度末までに、全管理職における女性比率50%の達成を目標として定めました。この目標達成に向けて、管理職候補となる女性従業員向けの育成計画と中長期のキャリアプランを強化していきます。また、ロールモデルとなる女性管理職とのキャリアセッションや研修(コンフィデンス研修、スキル研修など)に加え、メンター制度を整えるなどのサポートも行っています。
②財政状態
資産は、前連結会計年度末に比べ1,487億円増加し、2兆6,587億円となりました。これは主として、現金及び現金同等物の増加264億円、売掛金及びその他の短期債権の増加740億円、棚卸資産の増加102億円、その他の流動資産の増加65億円、有形固定資産の増加65億円、繰延税金資産の減少56億円、デリバティブ金融資産の増加218億円等によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ461億円増加し、1兆3,938億円となりました。これは主として、買掛金及びその他の短期債務の増加363億円、その他の短期金融負債の増加68億円、デリバティブ金融負債の減少17億円、未払法人所得税の減少93億円、その他の流動負債の増加62億円、リース負債の増加35億円、引当金の増加17億円、繰延税金負債の増加25億円等によるものです。
資本は、前連結会計年度末に比べ1,025億円増加し、1兆2,648億円となりました。これは主として、利益剰余金の増加691億円、その他の資本の構成要素の増加298億円等によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ264億円増加し、1兆2,041億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による収入は、前第1四半期連結累計期間に比べ559億円減少し、844億円(前年同期比39.8%減)となりました。これは主として、税引前四半期利益1,342億円(前年同期比270億円収入増)、減価償却費およびその他の償却費439億円(前年同期比6億円収入減)、為替差益152億円(前年同期比204億円収入減)、売上債権の増加額702億円(前年同期比177億円収入減)、棚卸資産の増加額41億円(前年同期比192億円収入減)、仕入債務の増加額304億円(前年同期比99億円収入増)、その他の資産の増加額95億円(前年同期比5億円収入増)、その他の負債の増加額171億円(前年同期比94億円収入減)、法人税等の支払額424億円(前年同期比205億円収入減)等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、前第1四半期連結累計期間に比べ25億円増加し、218億円(前年同期比13.2%増)となりました。これは主として、定期預金の純増額18億円(前年同期比31億円支出増)、無形資産の取得による支出58億円(前年同期比25億円支出増)、持分法で会計処理されている投資の取得による支出なし(前第1四半期連結累計期間は支出42億円のため前年同期比42億円支出減)、その他投資活動による支出0億円(前年同期比14億円支出増)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、前第1四半期連結累計期間に比べ65億円増加し、651億円(前年同期比11.1%増)となりました。これは主として短期借入金の純減額64億円(前年同期比73億円支出増)等によるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの会計上の見積り及び見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設について、当第1四半期連結累計期間に完成したものは次のとおりであります。
① 国内子会社
会社名設備内容事業所名所在地完成年月
株式会社ユニクロ国内ユニクロ倉庫神戸DC倉庫日本
兵庫
2021年9月
株式会社ユニクロ国内ユニクロ倉庫茨木DC倉庫日本
大阪
2021年11月

② 在外子会社
会社名設備内容事業所名所在地完成年月
UNIQLO EUROPE LIMITED海外ユニクロ店舗UNIQLO Rivoliフランス
パリ
2021年9月
UNIQLO TAIWAN LTD.海外ユニクロ店舗UNIQLO Taipei台湾
台北
2021年10月
迅銷(中国)商貿有限公司海外ユニクロ店舗UNIQLO 北京三里屯中国
北京
2021年11月

また、当第1四半期連結会計期間末における重要な設備の新設等の計画は次のとおりであります。
① 国内子会社
該当事項はありません。
② 在外子会社
会社名設備内容事業所名所在地完成年月
LLC UNIQLO (RUS)海外ユニクロ店舗UNIQLO Moscowロシア
モスクワ
2021年12月