有価証券報告書-第60期(令和2年9月1日-令和3年8月31日)

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2021/11/26 9:00
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125項目
(1)業績等の概要
① 業績
当連結会計年度(2020年9月1日~2021年8月31日)の連結業績は、売上収益が2兆1,329億円(前期比6.2%増)、営業利益が2,490億円(同66.7%増)と、増収、大幅な増益となりました。新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、業績が大幅に低下した前期に対し、当期はユニクロ事業を中心に業績が回復しました。その他収益・費用は、海外ユニクロ事業を中心に減損損失を169億円、J Brand法人の清算益を87億円計上した結果、ネットで65億円のマイナスとなりました。J Brand法人は2021年8月に清算したことに伴い、買収時の為替レートに対し、買収以降、為替レートが円安に進んだことで、為替変動による清算益を計上しました。また、金融収益・費用はネットで168億円のプラスとなりました。これは主に、外貨建資産などの換算による為替差益を192億円計上したことによります。この結果、税引前利益は2,658億円(同73.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,698億円(同88.0%増)となりました。
当連結会計年度の設備投資は1,006億円、前期比179億円増となりました。内訳としては、国内ユニクロ事業が157億円、海外ユニクロ事業が385億円、ジーユー事業が38億円、グローバルブランド事業が18億円、システム他が407億円となっています。旗艦店や大型店の出店が多かった前年に比べて当期は出店投資が減少しましたが、国内外とも、有明プロジェクトに関わる自動化倉庫投資が増加しました。
当社グループは、グローバルNo.1ブランドになることをめざし、事業の拡大とサステナビリティの取り組みを一体で強化しています。地球への負荷が低減され、健康で安全な労働環境の中で、LifeWear(究極の普段着)を生産・販売することに取り組んでいることに加え、さまざまな社会的課題の解決に努めています。また、事業の成長の柱として、Eコマース事業、海外ユニクロ事業、ジーユー事業の拡大に注力しています。Eコマース事業は、店舗と一体で本業と捉え、お客様がほしい商品や情報を、ほしいときに、ほしいだけ、ご提供する、仕組みづくりを加速しています。すでに店舗とEコマースが融合したサービスや、在庫の一元管理などの改革が進んでいます。海外ユニクロ事業では、各国・各エリアで出店を加速すると同時に、世界主要都市にグローバル旗艦店、大型店を出店することで、LifeWearのコンセプトの浸透を図っています。ジーユー事業は、「ファッションと低価格」のポジションを強化し、国内市場を中心に事業の拡大をめざします。
[国内ユニクロ事業]
国内ユニクロ事業の当連結会計年度の売上収益は8,426億円(前期比4.4%増)、営業利益は1,232億円(同17.7%増)と、大幅な増益となりました。既存店売上高(Eコマースを含む)は、同3.6%の増収となりました。上期は、在宅需要にマッチした商品や秋冬コア商品の販売が好調で、前年同期比5.6%増収となりました。下期は、緊急事態宣言や天候不順の影響を受け、同0.9%増収にとどまりました。通期のEコマース売上高は1,269億円、前期比17.9%増、売上構成比は15.1%と、順調に拡大しております。
売上総利益率は前期比1.4ポイント改善しました。これは、主に値引き販売を抑制したこと、原価改善の取り組みを進めたことによります。当社では3月12日から消費税の総額表示対応として、これまでの販売価格をそのまま消費税込みの価格とし、お客様のお求めやすい価格で販売しています。素材の共通化、品番数のコントロール、生地のロス率の最小化など、パートナー工場と一体で進めた原価改善の施策の成果により、原価率はほぼ例年の水準を維持しています。売上高販管費率は、物流費や広告宣伝費の効率化により、同0.4ポイント改善しました。
[海外ユニクロ事業]
海外ユニクロ事業の当連結会計年度の売上収益は9,301億円(前期比10.2%増)、営業利益は1,112億円(同121.4%増)と、大幅な増収増益となりました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が引き続き業績に対して大きな影響を与えましたが、感染が抑えられた地域や期間に関しては、業績が大幅に回復しました。
地域別では、新型コロナウイルス感染症の影響が少なかったグレーターチャイナは大幅増益と好調でした。グレーターチャイナは、売上収益が5,322億円(同16.7%増)、営業利益が1,002億円(同52.7%増) と、過去最高の業績を達成しました。売上総利益率、売上高販管費率とも改善したことで、営業利益率は18.8%と大幅に改善しています。韓国は通期で若干の減収も、黒字化しました。一方で、その他アジア・オセアニア地区(東南アジア・オーストラリア・インド)は期を通して新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたことで、営業利益は約15%の減益となりました。国別では、新型コロナウイルス感染症の影響が最も大きかったマレーシア、タイ、フィリピンは減収減益となりました。シンガポール、インドネシア、インド、オーストラリアは増収増益となりました。ベトナムは通期で大幅な増収、黒字を達成しました。その他アジア・オセアニア地区の各国は新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、店舗営業を再開した期間は好調な販売となりました。北米は、5月以降は規制が緩和されたことで売上が急回復し、下期は黒字化、通期で赤字幅が半減しました。欧州は、Eコマース事業とロシアの業績が好調だったことで、大幅な増収、黒字を達成しました。北米と欧州は、コロナ禍で、売上総利益率の改善、不採算店舗の閉店、固定費の削減や在庫水準の適正化など収益構造の改革を進めたことで、売上の回復に伴い収益性を大きく改善させることができました。
[ジーユー事業]
ジーユー事業の当連結会計年度の売上収益は2,494億円(前期比1.4%増)、営業利益は201億円(同7.6%減)と増収減益となりました。上期はシェフパンツ、スウェットライクセーターなどの販売が好調だった一方で、下期は緊急事態宣言の影響を受けたことに加え、売れ筋商品の欠品による機会ロスが生じたこと、一部の商品がトレンドを捉え切れず想定ほどの売上にならなかったため、通期の既存店売上高は若干の減収となりました。売上総利益率は、シーズン末に在庫処分を強化した結果、同0.9ポイント低下しました。なお、Eコマース売上高は、情報発信の強化により増収、2年前比で約5割増収、売上構成比は約11%となりました。
[グローバルブランド事業]
グローバルブランド事業の当連結会計年度の売上収益は1,082億円(前期比1.3%減)、営業利益は16億円の赤字(前期は127億円の赤字)となりました。J Brand法人の清算益に加え、セオリー事業の業績が改善したことにより大幅に赤字が縮小しました。セオリー事業は、増収、黒字に転換しました。これは、米国の赤字幅が縮小したことに加え、アジア(中国大陸、香港)が大幅な増収増益と好調な業績となったことによります。プラステ事業は、減収、前年並みの赤字となりました。コントワー・デ・コトニエ事業は、減収、赤字幅は拡大しました。これは主に、5月までフランスを中心に新型コロナウイルス感染症の影響で断続的に店舗を臨時休業したためです。なお、J Brand法人は清算しましたが、J Brandのブランドは引き続きファーストリテイリンググループで所有し、グループブランドを通して、商品を提供していきます。
[サステナビリティ(持続可能性)活動]
「服のチカラを、社会のチカラに。」というステートメントのもと、服のビジネスを通じたサステナビリティ活動を推進しています。6つの重点領域(マテリアリティ)は、「商品と販売を通じた新たな価値創造」「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」「環境への配慮」「コミュニティとの共存・共栄」「従業員の幸せ」「正しい経営」から構成されています。今期の主な活動内容は以下のとおりです。
■「商品と販売を通じた新たな価値創造」: 新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、ユニクロではエアリズムマスク、ジーユーでは高機能フィルター入りマスクを引き続き販売しています。また、ユニクロでは、入院されている方や障がい者の方からの「かぶりのインナーが脱ぎ着しづらい」というお声を受け、Tシャツやブラジャーなどの「前あきインナー」を開発し、2020年9月から販売しています。
■「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」: 新型コロナウイルス感染症から生産パートナー及び生産工場の従業員の安心と安全を守るため、工場操業時の感染症対策と工場の休業による賃金補償や雇用等の状況確認と改善指導に取り組んでいます。その他、サプライチェーンの人権・労働問題への取り組みを継続的に強化しており、国・地域を問わず、原材料レベルに至るトレーサビリティの確立や、労働環境監査の対象範囲拡大を通じ、自社でサプライチェーン全体に人権の問題がないことを確認できるよう準備を進めています。
■「環境への配慮」:従来の『全商品リサイクル活動』を拡充し、2020年9月、「RE.UNIQLO」の活動を開始しました。同年11月にお客様から回収したダウンとフェザーを100%使用した新商品「リサイクルダウンジャケット」の販売を開始しました。同年12月には、水の汚染防止や水使用量の削減、水害などの水リスクへの対策といった取り組みが評価され、環境情報開示のプラットフォームを提供する非営利団体CDPにより、水資源対策で最高評価となる「水セキュリティAリスト」に選定されました。また、2021年9月、温室効果ガス排出量削減の新たな目標として、2030年度までに、店舗や主要オフィスなどの自社に関わる排出量を90%、ユニクロ・ジーユー商品の原材料生産・素材生産・縫製に関わる排出量を20%削減すること(2019年度比、絶対量)、ならびに、自社の使用電力における再生可能エネルギーの割合を100%とすることを発表しました。この目標は、国際機関SBTイニシアティブより、パリ協定の目標に基づいた温室効果ガス排出量の削減目標であるSBT(Science-Based Targets)として承認されました。
■「コミュニティとの共存・共栄」: 新型コロナウイルス感染症対策支援として、昨年度同様、世界中の医療機関や介護施設等にマスクやアイソレーションガウンなどを寄贈しています。特に当該感染症の影響が深刻化したインドに対して、ユニクロの「エアリズムマスク」60万枚超など、総額2億2,000万ルピー(約3億3,000万円)相当の緊急支援を行いました。さらに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とともに、アルゼンチン、イラク、アフガニスタン、ミャンマーなど計10カ国の難民・避難民に、ユニクロのエアリズムマスク計約300万枚を寄贈しています。
■「従業員の幸せ」:新型コロナウイルス感染拡大防止のため、店舗では、お客様とスタッフの健康を守ることを最優先とし、スタッフの体調確認、マスク着用や手指消毒などの対策を継続して実施しています。従業員が安心、安全に働ける職場環境づくりのため、マスクや消毒液の提供、換気の強化、職務内容に応じた在宅勤務を推進しています。また、国内及び海外の一部の国において、コロナワクチンの職域接種も積極的に推進実施しています。その他、多様な人材がそれぞれの能力を発揮できる職場環境を実現するために、ダイバーシティ推進チームが女性従業員のキャリア形成や女性管理職比率の向上に取り組んでおり、女性管理職候補者を対象とした育成プログラム、女性管理職とのキャリアセッションなどを実施しました。
■「正しい経営(ガバナンス)」: 迅速で透明性のある経営を実現するために、各委員会ではオープンで活発な議論を行っています。指名報酬アドバイザリー委員会では、役員の報酬体系のあり方、取締役候補者の選任要件について討議しました。リスクマネジメント委員会では、新型コロナウイルス感染症の防疫対策やワクチン接種の対応策、首都直下型地震などの大規模災害リスク、情報セキュリティリスクへの対応策、国際情勢に関わるリスクの対応策について議論を重ね、事業活動のリスク管理を強化しています。また、人権委員会では、ハラスメント、差別を中心とした従業員向けの人権調査の実施や改善に向けたサポート、取引先工場における移住労働者の人権リスクへの対応など人権尊重の取り組みに対する監督・助言を積極的に行っています。助言を受けて、主管部署であるサステナビリティ部では、監査での移住労働者の労働条件の確認強化やホットライン窓口の案内を徹底しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ842億円増加し、1兆1,777億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による収入は、前連結会計年度末に比べ1,641億円増加し、4,289億円(前期比62.0%増)となりました。これは主として、税引前利益2,658億円(前期比1,130億円収入増)、減損損失169億円(前期比61億円収入減)、為替差益192億円(前期比177億円収入減)、売上債権の減少額153億円(前期比194億円収入増)、棚卸資産の減少額367億円(前期比394億円収入増)、仕入債務の増加額3億円(前期比182億円収入減)、その他の資産の減少額34億円(前期比71億円収入減)、その他の負債の増加額93億円(前期比538億円収入増)、法人税等の支払額805億円(前期比50億円収入減)等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、前連結会計年度末に比べ66億円増加し、825億円(前期比8.7%増)となりました。これは主として、定期預金の純増額23億円(前期比28億円支出減)、有形固定資産の取得による支出565億円(前期比100億円支出増)、無形資産の取得による支出196億円(前期比13億円支出減)、使用権資産の取得による支出8億円(前期比9億円支出減)、敷金及び保証金の増加による支出39億円(前期比31億円支出減)、敷金及び保証金の回収による収入45億円(前期比18億円支出増)、持分法で会計処理されている投資の取得による支出42億円(前期比42億円支出増)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、前連結会計年度末に比べ1,197億円増加し、3,029億円(前期比 65.3%増)となりました。これは主として短期借入金の純減額35億円(前期比170億円支出増)、社債の償還による支出1,000億円(前期比1,000億円支出増)等によるものです。
(2)販売及び仕入の状況
① 部門別売上状況
部門前連結会計年度
(自 2019年9月1日
至 2020年8月31日)
当連結会計年度
(自 2020年9月1日
至 2021年8月31日)
売上収益
(百万円)
構成比
(%)
売上収益
(百万円)
構成比
(%)
メンズ319,98515.9339,39915.9
ウィメンズ359,75317.9353,77416.6
キッズ・ベビー60,8043.067,7903.2
グッズ・その他35,3911.851,8582.4
国内ユニクロ商品売上合計775,93438.6812,82238.1
FC関連収入・補正費売上高30,9521.529,8061.4
国内ユニクロ事業合計806,88740.2842,62839.5
海外ユニクロ事業843,93742.0930,15143.6
ユニクロ事業合計1,650,82582.21,772,78083.1
ジーユー事業246,09112.3249,43811.7
グローバルブランド事業109,6335.5108,2045.1
その他事業2,2950.12,5690.1
合計2,008,846100.02,132,992100.0

(注) 1.FC関連収入とは、フランチャイズ店に対する商品売上高、フランチャイズ店からのロイヤリティ収入であり、補正費売上高とは、パンツの裾上げ(補正)の加工賃及び刺繍プリントによる収入等であります。
2.ユニクロ事業とは、「ユニクロ」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。
3.ジーユー事業とは、「ジーユー」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。
4.グローバルブランド事業は、セオリー事業(「Theory(セオリー)」ブランド等の衣料品販売事業)、プラステ事業(「PLST(プラステ)」ブランド等の衣料品販売事業)、コントワー・デ・コトニエ事業(「COMPTOIR DES COTONNIERS(コントワー・デ・コトニエ)」ブランドの衣料品販売事業)、プリンセス タム・タム事業(「PRINCESSE TAM.TAM(プリンセス タム・タム)」ブランドの衣料品販売事業)及びJ Brand事業(「J BRAND(ジェイブランド)」ブランドの衣料品販売事業)で構成されております。なお、2021年8月5日付でJ Brand Inc の会社清算が結了したことにより、J Brand Incは当社グループの連結範囲から除外しております。
5.その他事業とは、不動産賃貸業等であります。
6.国内ユニクロ事業に含まれるEコマース売上高
前連結会計年度 107,616百万円、当連結会計年度 126,921百万円
7.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
② 単位当たりの売上状況
摘要当連結会計年度
(自 2020年9月1日
至 2021年8月31日)
前期比(%)
売上収益1,616,053百万円106.9
1㎡当たり売上収益売場面積(平均)2,598,683㎡103.1
1㎡当たり期間売上収益621千円100.6
1人当たり売上収益従業員数(平均)98,010人96.4
1人当たり期間売上収益16,488千円115.9

(注)1.国内・海外ユニクロ事業についてのみ記載しております。
2.売上収益は店舗商品売上高であり、国内ユニクロ事業のEコマース事業・FCに対する商品供給高・経営管理料及び補正費売上高は含まれておりません。
3.売場面積(平均)は、直営店売場の昨年度期末面積数と今年度期末面積数を平均算出しております。
4.従業員数(平均)は、準社員、アルバイト社員、委託社員及び受入出向社員を含み、執行役員を除いております。なお、準社員、アルバイト社員は在籍する年間の平均人員により記載しております。
5.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 仕入実績
商品部門別当連結会計年度
(自 2020年9月1日
至 2021年8月31日)
仕入高(百万円)前期比(%)構成比(%)
メンズ176,12196.917.0
ウィメンズ183,62793.217.7
キッズ・ベビー37,032114.33.6
グッズ・その他29,890136.52.9
国内ユニクロ事業合計426,67298.641.2
海外ユニクロ事業437,605100.942.2
ユニクロ事業合計864,27799.783.4
ジーユー事業134,092105.112.9
グローバルブランド事業38,00483.23.7
合計1,036,37599.7100.0

(注)1.ユニクロ事業とは、「ユニクロ」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。
2.ジーユー事業とは、「ジーユー」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。
3.グローバルブランド事業は、セオリー事業(「Theory(セオリー)」ブランド等の衣料品販売事業)、プラステ事業(「PLST(プラステ)」ブランド等の衣料品販売事業)、コントワー・デ・コトニエ事業(「COMPTOIR DES COTONNIERS(コントワー・デ・コトニエ)」ブランドの衣料品販売事業)、プリンセス タム・タム事業(「PRINCESSE TAM.TAM(プリンセス タム・タム)」ブランドの衣料品販売事業)及びJ Brand事業(「J BRAND(ジェイブランド)」ブランドの衣料品販売事業)で構成されております。なお、2021年8月5日付でJ Brand Inc の会社清算が結了したことにより、J Brand Incは当社グループの連結範囲から除外しております。
4.上記以外に、その他事業(不動産賃貸業等)がありますが、事業の性格上、仕入は発生しません。
5.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、非金融資産の減損、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績又は各状況下で合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。
採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の分析
経営成績等の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)業績等の概要」をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
Ⅰ 財務戦略の基本的な考え方
当社グループでは、強固な財務体質を維持しながら、事業活動によりフリー・キャッシュ・フローを最大化し、毎期一定程度の株主還元を維持しつつ、成長投資資金と手許流動性も確保していくことを財務戦略の基本方針としています。
強固な財務体質の維持に関しては、営業キャッシュ・フローにより投資資金を賄うことを原則としつつ、天候不順や新型コロナウイルス感染症といった不測の事態に耐えうる手許流動性を確保していきます。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上に努めていきます。
Ⅱ 資金のキャッシュ・フロー及び流動性の状況
当社グループでは、アパレル小売業としての特性上、運転資金と天候不順などの不測の事態に備えて月商3~5ヶ月分の手許流動性を確保するよう努めています。当連結会計年度の売上収益2兆1,329億円に対し、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1兆1,777億円となっていますが、将来的に当社グループ事業全体で売上収益3兆円を超える計画に対し、月商4ヶ月分の手許流動性は1兆円であるため、足もとの手許流動性は適正水準であると考えております。
Ⅲ 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、仕入、物流費、広告宣伝費、地代家賃(店舗に係る賃貸料など)、人件費などがあります。
また、投資活動に係る資金支出では、店舗関連投資(新規店舗の出店や既存店舗の改装)のほか、有明プロジェクト推進における物流倉庫投資やIT投資(店舗のセルフレジ、Eコマース、サプライチェーン関連のシステム投資)があります。2022年8月期は、当社グループ全体で、新規店舗の出店投資に343億円、倉庫やITなどその他投資に617億円の設備投資を計画しております(「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載しております。)。
Ⅳ 資金調達
当社グループ事業の維持拡大のために必要な資金を安定的且つ機動的に確保するため、事業活動によるフリー・キャッシュ・フローの最大化に努めるとともに、内部資金及び外部資金を有効に活用しています。
強固な財務体質を維持すべく、投資資金は、営業キャッシュ・フローにより賄うことを原則としていますが、資金調達の多様化と資本効率の向上を企図し、一部社債調達も活用しています。2018年6月には計2,500億円の社債調達を行い、社債償還資金に充当するとともに、海外事業の拡大や有明プロジェクト推進における投資資金として活用しています。
当社グループでは、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、スタンダード&プアーズ(S&P)及び日本格付研究所(JCR)から格付を取得しています。本報告書提出時点において、S&Pの格付は「シングルA(安定的)」、JCRの格付は「ダブルA(安定的)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しております。
当連結会計年度は増収増益となりました。新型コロナウイルス感染症拡大による影響を大きく受けた前年度に比べて業績は改善しています。お取引先様の多大なるご協力を得ながら感染対策を強化したうえでの営業活動の継続、経費削減や在庫消化に努めることにより、追加の外部調達を行うことなく、十分な手許流動性を確保できています。
今後も新型コロナウイルス感染症による環境変化を注視しながら、強固な財務体質を維持するとともに、安定的な外部資金調達能力の維持向上に努めていきます。