半期報告書-第64期(2024/09/01-2025/08/31)

【提出】
2025/04/11 13:00
【資料】
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【項目】
39項目
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当中間連結会計期間(2024年9月1日~2025年2月28日)の連結業績は、売上収益が1兆7,901億円(前年同期比12.0%増)、営業利益が3,042億円(同18.3%増)と、大幅な増収増益となりました。上期は、国内ユニクロ事業や、東南アジア・インド・豪州地区、北米、欧州のユニクロ事業が大幅な増収増益と、大変好調な業績となったことで、グループ全体で過去最高の業績を達成しました。売上総利益率は、前年同期比で0.4ポイント改善し、53.3%となりました。売上高販管費比率は、同0.7ポイント改善し、36.5%となりました。金融収益・費用は、ネットで595億円のプラスとなりました。これは、外貨建資産の換算などによる為替差益が319億円発生したことに加え、利息がネットで275億円のプラスとなったことによります。この結果、税引前中間利益は3,637億円(同21.5%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は2,335億円(同19.2%増)となりました。
当社グループは、世界中のあらゆるお客様から信頼され、生活に必要不可欠な「グローバルNo.1ブランドになる」ことをめざしています。そのために、1)人的資本への投資、経営人材の育成を強化、2)事業とサステナビリティが一体となった事業モデルの追求、3)情報製造小売業のさらなる進化、4)グローバルでの収益の柱の多様化、5)ジーユー事業、セオリー事業などグループブランドの拡大、に注力しています。特に、海外ユニクロ事業はグループの成長の柱として、質の高い出店を継続していくことに加え、商品開発やブランディングの強化を図っています。また、サステナブルな社会を構築するために、LifeWear(究極の普段着)のコンセプトを大切にした服づくりを行っていきます。高品質で長く着ていただける服、地球への負荷を低減し、健康で安全な労働環境でつくられた服、販売された後もリサイクル、リユースなどで循環される服を追求していきます。
[国内ユニクロ事業]
国内ユニクロ事業の当中間連結会計期間の売上収益は5,415億円(前年同期比11.6%増)、営業利益は976億円(同26.4%増)と、大幅な増収増益となりました。気温に合わせて戦略的に商品とマーケティングを展開したことで、通年商品や防寒衣料を中心に販売が好調だったことに加え、インバウンド販売も拡大したことで、既存店売上高(Eコマースを含む)は同9.8%の増収となりました。売上総利益率は、値引率が改善したことで、同0.8ポイント改善しました。売上高販管費率は、人件費比率や賃借料比率が低下したことで、同1.4ポイント改善しました。
[海外ユニクロ事業]
海外ユニクロ事業の当中間連結会計期間の売上収益は1兆141億円(前年同期比14.7%増)、営業利益は1,685億円(同11.7%増)と、大幅な増収増益となりました。東南アジア・インド・豪州地区、北米、欧州は、大幅な増収増益と、グローバルでユニクロのコア商品に対する支持が高まり、業績の拡大が継続しています。
地域別の業績(現地通貨ベース)については、中国大陸は、前年同期比約4%の減収、営業利益は同約11%の減益となりました。これは主に、市場全体で消費意欲が低下していることに加え、過去に比べて地域間の気温差が激しいなかで、各地のニーズに合った商品構成への対応が不十分だったことによります。香港は減収、大幅な減益、台湾、韓国は増収増益となりました。東南アジア・インド・豪州地区は、大幅な増収増益となりました。ブラトップやイージーボトムス、ジーンズといった夏物商品、年間定番商品に加えて、ヒートテックやパフテックなどの冬物商品の販売も好調で、既存店売上高は増収となりました。北米と欧州は大幅な増収増益と、大変好調な業績となりました。冬物コア商品の販売が好調だったことに加え、新規出店した店舗も大成功を収めました。店舗の販売好調に伴い、現地でのユニクロの認知度が高まったことで、Eコマース販売もさらに拡大しました。「店舗がメディア」となることで顧客層が拡大する好循環が生まれています。
[ジーユー事業]
ジーユー事業の当中間連結会計期間の売上収益は1,658億円(前年同期比3.9%増)、営業利益は139億円(同9.3%減)と、増収減益となりました。バレルレッグパンツ、ヒートパデッドアウター、コージーメルトンアウターが好調な販売となりましたが、気温に左右されにくいマストレンドのヒット商品の不足や、売れ筋商品の欠品により、既存店売上高は若干の増収にとどまりました。営業利益は減益となりましたが、これは、米国に旗艦店を出店したことに伴い、賃借料、本部費が増加したことに加え、日本で戦略的にテレビCⅯを増やしたことで広告宣伝費が増加したことによります。
[グローバルブランド事業]
グローバルブランド事業の当中間連結会計期間の売上収益は677億円(前年同期比2.3%減)と減収となりましたが、営業利益は9億円(前年同期は17億円の赤字)と黒字化しました。これは主に、セオリー事業が販売に苦戦し減収となった一方で、すべての事業で売上総利益率と売上高販管費比率が改善したことによります。
セオリー事業は、減収増益となりました。アジア事業が消費意欲の低迷の影響を受けたことに加え、今のライフスタイルに合ったカジュアルウェアの提供が不十分だったことで、減収となりました。営業利益は、売上総利益率と売上高販管費比率が改善したことで増益となりました。プラステ事業は、増収、営業利益は黒字化しました。売れ筋商品の在庫を戦略的に準備したことや、店舗オペレーション、売り場づくりの改革を進めたことで、好調な販売となりました。コントワー・デ・コトニエ事業は、店舗数が約3割減少したことで減収となりましたが、お買い求めやすい価格帯へ見直した商品の販売が好調で、既存店売上高は大幅な増収、赤字幅は縮小しました。
[サステナビリティ(持続可能性)]
ファーストリテイリングは、あらゆる人々の生活を豊かにする「究極の普段着」というLifeWearの考え方をもとに、品質・デザイン・価格だけでなく、環境配慮・人権保護・社会貢献を重視した服づくりを進めています。当社のサステナビリティ活動は、6つの重点領域(マテリアリティ)を主軸としています。当中間連結会計期間における主な活動内容は、以下のとおりです。
■商品と販売を通じた新たな価値創造:ユニクロでは、服を活かし続けることで、循環型社会への移行に貢献するための取り組み「RE.UNIQLO」を推進しています。ユニクロ店舗内にある「RE.UNIQLO STUDIO」では、お客様が長く着用できるよう服のリペア・リメイク・アップサイクルのサービスを提供しています。2025年2月末時点で22の国・地域、57店舗まで拡大しました。また、ユニクロでは、お客様が安心・安全にお買い物いただけるように、オンラインストアの個別商品ページ上でサステナビリティに関する情報を掲載しています。2025年1月から、欧州では素材生産国を、欧州・米国・日本・韓国ではリサイクル素材使用に関する掲載を新しく開始しました。
■サプライチェーンの人権・労働環境の尊重:当社は人権・労働環境の尊重に関する取り組みを継続的に強化しています。取引先工場に「生産パートナー コードオブコンダクト(COC)」の遵守を要請、定期的に労働環境モニタリングを実施し、課題があれば、工場に改善を求めるとともに、改善のための支援を行っています。また、生産パートナーリストとして、継続取引予定の全縫製工場、縫製工場が一部の加工工程(洗いやプリントなど)を委託している工場、当社商品の素材を継続的に生産している素材工場、当社グループブランドのロゴなどが入ったアイテムを生産している副資材工場を公開しています。最新の生産パートナーリストでは、工場名だけでなく、所在地のほか、女性比率、移民労働者比率、親会社に関する情報なども掲載することで、サプライチェーンの透明性を高めています。
■環境への配慮:当社は、2030年8月期までに、自社店舗・オフィスの温室効果ガス排出量を2019年8月期比90% 削減、サプライチェーンは同20%削減することを目標に掲げ、自社における再生可能エネルギー導入に加え、ユニクロ・ジーユーの主要取引先工場とともに温室効果ガス削減に向けた取り組みを強化しています。2024年8月期の温室効果ガス排出量は、2019年8月期比で、自社は83.3%削減(前期実績は69.4%削減)、サプライチェーンは18.6%削減(同10.0%削減)しました。また、自社の再生可能エネルギー導入割合は84.7%(同67.6%)に達しました。こうした気候変動に関する取り組みや開示が評価され、当社は、国際的な非営利団体CDPにより、2024年は気候変動領域において、3年連続で「Aリスト」企業に認定されています。
■コミュニティとの共存・共栄:米国カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で発生した山火事を受け、2025年1月に、当社全体で最大100万米ドル規模の衣料と、100万米ドルの支援金の寄付を決定しました。既に、現地で被災者支援を行っているNGOなどを通じ、ユニクロ、Theory、ジーユーの商品約56万米ドル相当の衣料を被害に遭われた方々に寄付しています(2025年3月時点)。また、ユニクロでは戦略パートナーである東レグループ、国連機関や世界各地の支援団体の協力のもと、全世界にヒートテックなどを寄贈する活動「The Heart of LifeWear」を実施しています。この活動の一環として、2025年1月に、ロサンゼルスにあるユニクロ店舗で、ヒートテックやスウェットシャツ、ソックスなどを含む、約7万米ドル相当の衣料の無料配布を行いました。他地域においても「The Heart of LifeWear」を推進し、100万点を超える衣料を寄贈しています。(東南アジア・インド・豪州:11万点、欧州:10万点、グレーターチャイナ:12万点、日本:7万点、韓国:5万点、北米:8万点、UNHCR:53万点)
■従業員の幸せ:ジェンダー、Global One Team、障がい、LGBTQ+の4つを重点領域として、当事者サポートのための制度導入や研修実施など、多様性推進に向けた様々な取り組みをグローバルで実施しています。2025年1月には、当社がグローバルのリーディングカンパニーになるために、グループ全体の多様性促進の取組みおよびガバナンス/推進体制を強化することを目的に「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)課題解決会議」を開催しました。この会議には経営者や担当役員が参加し、LifeWearの考え方に基づいた服づくりの基盤として、多様性促進の意義を議論し、グローバルでのD&I調査や各事業における実効性あるD&I推進・ガバナンス体制のあり方について検討しました。
■正しい経営(ガバナンス):迅速で透明性のある経営を実現するために、各委員会ではオープンで活発な議論を行っています。人権委員会では、ホットライン(当社従業員向け、取引先工場従業員向け)の相談内容や課題の共有と、各事業のホットライン対応体制の強化に向けた討議をしました。また、人権委員会から取締役会への定期的な報告として、従業員を対象とした人権調査やコミュニケーションに関する調査の結果と課題を報告し、今後の取り組みの方向性を確認しました。リスクマネジメント委員会では、当社の情報システムへの第三者による不正アクセス事案の報告とともに、再発防止策と管理体制の強化について、討議を行いました。
②財政状態
資産は、前連結会計年度末に比べ1,415億円増加し、3兆7,291億円となりました。これは主として、現金及び現金同等物の減少2,162億円、売掛金及びその他の短期債権の減少122億円、その他の短期金融資産の増加2,210億円、棚卸資産の減少150億円、デリバティブ金融資産の増加216億円、有形固定資産の増加500億円、使用権資産の増加271億円、長期金融資産の増加566億円、持分法で会計処理されている投資の増加158億円等によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ488億円減少し、1兆4,704億円となりました。これは主として、買掛金及びその他の短期債務の減少450億円、その他の短期金融負債の増加880億円、未払法人所得税の増加140億円、その他の流動負債の減少216億円、長期金融負債の減少700億円、デリバティブ金融負債の減少177億円等によるものです。
資本は、前連結会計年度末に比べ1,904億円増加し、2兆2,587億円となりました。これは主として、利益剰余金の増加1,645億円、その他の資本の構成要素の増加145億円、非支配持分の増加106億円等によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、2,162億円減少し、9,773億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、2,982億円(前年同期は3,223億円の資金の獲得)となりました。これは主として税引前中間利益3,637億円、減価償却費及びその他の償却費1,079億円等の資金増加要因、法人税等の支払額1,083億円等の資金減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、3,821億円(前年同期は541億円の資金の使用)となりました。これは主として定期預金の純増額1,858億円、有形固定資産の取得による支出796億円、投資有価証券の取得、売却及び償還による純支払額773億円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,502億円(前年同期は1,314億円の資金の使用)となりました。これは主として、配当金の支払額690億円、リース負債の返済による支出720億円等によるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当中間連結会計期間において、当社グループの会計上の見積り及び見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)主要な設備
当中間連結会計期間に完了した主要な設備の新設は次のとおりであります。
① 国内子会社
会社名設備内容事業所名所在地完成年月
株式会社ユニクロ国内ユニクロ店舗ユニクロ新宿本店日本
東京
2024年10月

② 在外子会社
該当事項はありません。
また、当中間連結会計期間末における重要な設備の新設等の計画は次のとおりであります。
① 国内子会社
該当事項はありません。
② 在外子会社
会社名設備内容事業所名所在地完成年月
UNIQLO EUROPE LTD海外ユニクロ倉庫ロッテルダムDC倉庫オランダ
ロッテルダム
2025年3月