半期報告書-第47期(2024/09/01-2025/08/31)

【提出】
2025/04/14 9:15
【資料】
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【項目】
42項目
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間におきましては、国内経済は雇用や所得の改善を背景に、緩やかな回復基調をたどっています。一方、中国大陸の不動産市場の停滞や、アメリカの政策動向、金融資本市場の変動などが、国内外の景気を押し下げる可能性もあり、依然として先行き不透明な状況が続いています。さらに、小売業においては賃金上昇や原材料費の高騰により経費が増加し、厳しい経営環境が続いています。
このような状況の中、当社グループは、「人と自然とモノの望ましい関係と心豊かな人間社会」を考えた商品、サービス、店舗、活動を通じて「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献するという企業理念のもと、国内外における店舗展開や商品供給体制の強化を進めています。
当中間連結会計期間末における当社グループの総資産は5,405億31百万円となり、前連結会計年度末に比べ309億80百万円増加しました。これは主に、商品の増加177億23百万円および有形固定資産の増加87億46百万円によるものです。
負債は2,171億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ、45億57百万円増加しました。これは主に、買掛金の減少163億97百万円、短期借入金の増加156億90百万円および繰延税金負債の増加41億84百万円によるものです。
純資産は3,234億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ、264億23百万円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加199億56百万円および繰延ヘッジ損益の増加52億83百万円によるものです。
この結果、連結ベースの自己資本比率は、前連結会計年度末の57.5%から59.0%となりました。
当中間連結会計期間における当社グループの経営成績は、次のとおりであります。
営業収益 3,820億23百万円(前年同期比 19.4%増)
営業利益 361億5百万円(前年同期比 49.8%増)
経常利益 345億87百万円(前年同期比 43.1%増)
親会社株主に帰属する中間純利益 254億82百万円(前年同期比 61.6%増)
営業収益および各段階利益は大幅な増収増益となり、中間期ベースでいずれも過去最高を更新しました。営業収益は、国内外での新規出店に伴う店舗数の増加に加え、売上が順調に推移したことで増収となりました。
生産体制の内製化による原価低減、海外における値下げ率の改善、為替影響により営業総利益率の改善が進んだほか、販管費率も低下したことで、営業利益率は9.5%となりました。
また、当中間期末における無印良品(ライセンスドストアを含む)の店舗数は、国内外計1,368店舗となりました。国内では、郊外の生活圏を中心に33店舗を出店、5店舗閉鎖し、当中間期末店舗数は651店舗になりました。海外においては、中国大陸、台湾、タイ、ベトナム、マレーシア等に45店舗を出店、10店舗閉鎖し、717店舗となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
① 国内事業
国内事業における当中間連結会計期間の営業収益は2,259億86百万円(前年同期比22.2%増)、セグメント利益は240億80百万円(同42.2%増)と、増収増益となりました。
営業収益は、スキンケアや日用消耗品をはじめとする商品力の強化を軸に、SNSや自社アプリMUJI passport等を通じた継続的なマーケティング活動、さらに店舗運営や在庫管理などのオペレーション力向上が寄与したことで、増収となりました。既存店の売上高は、2024年2月以降、1年以上にわたってプラス基調が継続しています。また、売上の伸長に伴い、人件費や借地借家料、運搬・配送費をはじめとする経費率の改善が進み、営業利益は増益となりました。
② 東アジア事業
東アジア事業における当中間連結会計期間の営業収益は1,103億41百万円(前年同期比15.1%増)、セグメント利益は213億66百万円(同31.7%増)と、為替影響も加わり、増収増益となりました。
中国大陸は、景況感の下げ止まりの兆しが見られる中、中国最大のECイベントであるダブルイレブン商戦や春節を中心にオンライン販売が牽引したほか、店舗の売上も堅調に推移し、増収増益となりました。日本で売上が伸長しているスキンケア商品の一部を2025年1月から発売を開始し、好調な出足を見せています。そのほか、台湾、香港も増収増益となりました。韓国は、既存店売上が伸長した一方、物流センター移管に伴う経費増および為替影響により増収減益となりました。
③ 東南アジア・オセアニア事業
東南アジア・オセアニア事業における当中間連結会計期間の営業収益は244億67百万円(前年同期比28.8%増)、セグメント利益は33億1百万円(同33.5%増)と、増収増益となりました。
タイ、ベトナム、マレーシアなどへの出店を強化したことにより、売上が伸長するとともに、出店経費や人員強化に伴う経費増を吸収し、増収増益となりました。さらに、為替による押し上げ影響も加わりました。
④ 欧米事業
欧米事業における当中間連結会計期間の営業収益は212億28百万円(前年同期比5.7%増)、セグメント利益は36億34百万円(同55.1%増)と、為替影響も加わり、増収増益となりました。
北米においては、十分な在庫確保により冬物衣服を中心に売上が伸長したことで増収増益となりました。また、カナダの不採算店舗の閉鎖も利益改善に貢献しました。欧州においても、前期に事業再編を実施し不採算店舗の整理を進めたほか、オペレーションも改善したことで、増収増益となりました。
[ESGの取り組み]
創業時から変わらない「社会や人の役に立つ」という根本方針のもと、ESG経営のトップランナーを目指し、提供する商品やサービス、地域に根差す店舗を軸とした活動を通じて、資源循環型・自然共生型の社会、持続可能な社会の実現に貢献する取り組みを進めています。
・CO2排出量削減に向けた発電事業の本格検討を開始
2030年までに自社のスコープ1、2の温室効果ガス排出量を2021年比で50%削減を目指し、再生可能エネルギー発電設備への投資および発電事業化の本格検討を開始しました。良品計画グループの電力使用に伴うCO2排出量は、出店や事業拡大に伴い増加しており、目標達成のためには、これまでの取り組みに加え、さらなる削減施策が必要となります。当社は、太陽光発電設備の設置による追加性のある電力・環境価値を創出することによりCO2排出量を削減するだけではなく、耕作放棄地等を活用した発電所の建設や営農型太陽光発電などによる地域社会への貢献を目指しており、事業開始に向けて検討を進めています。
発電設備の開発、運用に関しては、発電事業者として多くの経験・実績を有する株式会社JERA、およびその子会社である株式会社JERA Crossと、再生可能エネルギー事業を行う特別目的会社(SPC)新設を含む共同事業を検討するための基本合意書を締結し、2025年1月に公表しました。
・羽毛布団の店頭回収を全国46店舗で開始
無印良品で販売した羽毛布団の店頭回収を2024年12月より全国46店舗で開始しました。無印良品で使用する羽毛は、食肉用に飼育された水鳥の副産物のため、その供給量は世界的な食肉市場の変化や、鳥インフルエンザなどの影響により大きく左右されます。今後も羽毛を安定的に供給し続けていくために、羽毛を回収・リサイクルすることで限りある資源の有効活用を進めていきます。2025年春夏シーズンでは、回収した羽毛を一部使用した商品の発売を目指します。
・生産者と環境に配慮し栽培されたカカオを使用したチョコレートの発売
2025年1月、インドネシアのスラウェシ島で栽培されたカカオ豆を、現地のライムと一緒に発酵させて作ったチョコレート菓子3種を季節限定で発売しました。発酵の工程でライムを入れることで、カカオ自体の自然な柑橘の酸味とさわやかな風味が感じられます。このチョコレートは、生産者の手取り収入を増やす仕組みづくりや、品質や収穫量を向上させる栽培指導、カカオをバナナなどの他の作物とともに栽培し生物多様性を育む「アグロフォレストリー」など、持続的なカカオの生産を目指して生産地に根ざした活動を行っている原料メーカー「dari K」との協業により開発しました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,176億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ78億63百万円減少しました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果増加した資金は、78億6百万円となりました。
これは主に、税金等調整前中間純利益340億73百万円、減価償却費120億65百万円、売上債権の減少額48億37百万円、棚卸資産の増加額177億52百万円、仕入債務の減少額164億1百万円および法人税等の支払額101億87百万円によるものです。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果支出した資金は、224億81百万円となりました。
これは主に、直営店の出店及び改装に伴う有形固定資産の取得による支出112億98百万円および無形固定資産の取得による支出83億47百万円によるものです。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果増加した資金は、67億56百万円となりました。
これは主に、短期借入金の純増加額160億6百万円、リース債務の返済による支出64億82百万円および配当金の支払額55億28百万円によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループの経営方針、経営戦略等に重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、10億92百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因
当中間連結会計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について、重要な変更はありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に新規出店および既存店舗の改装といった設備投資、情報システム投資によるものであります。
これらの運転資金や投資資金は、自己資金により充当することを基本方針としていますが、必要に応じて資金調達を行っていきます。