有価証券報告書-第43期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)

【提出】
2021/05/26 13:09
【資料】
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【項目】
113項目
業績等の概要
(1)業績
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年4月に緊急事態宣言が発令されましたが、政府や自治体による各種施策の効果もあり、宣言解除後は経済活動に回復の兆しがみられました。しかし、感染の再拡大により2021年1月に再度緊急事態宣言が発令されるなど、先行きは依然として不透明な状態が続いております。
外食産業におきましても、緊急事態宣言に伴う外出自粛や営業時間短縮・酒類の提供自粛、イベント等の中止等により消費活動は急速に減退し、過去と比較できないほどの大きな影響を受けました。当社においては、お客様や店舗スタッフに対する感染防止策を徹底するため、アルコール消毒液の店内設置、店舗スタッフのマスク着用、客席への仕切板設置等の対策を行い、お客様と店舗スタッフの安全を第一に営業を行っております。
このような環境のもとで、当社は首都圏600店舗体制に向けて安定的な新規出店、サービス水準の向上に向けた取組みや季節メニューの投入などを行い、業容拡大を図ってまいりました。
店舗展開については、14店舗出店(東京都6店舗、埼玉県4店舗、神奈川県1店舗、千葉県3店舗)、退店は24店舗、FC転換が1店舗となりましたので、2月末の直営店舗数は432店舗となりました。業態別の店舗数は「日高屋」(来来軒含む)が393店舗(FC5店舗は含まず)、「焼鳥日高」(大衆酒場日高含む)が29店舗、その他の業態が10店舗となりました。ラーメン専門の「中華そば神寄」、本格中華の「中華食堂真心」の出店も進め、従来の日高屋から業態変更した店舗も順調に推移しております。新規出店につきましては、従来からの駅前立地への出店を進める一方、ショッピングモール内や駅商業施設内への出店、ロードサイドへも出店を行いました。
商品展開としては、毎年ご好評を頂いている定番季節メニューを投入したほか、ホーリーバジルと国産鶏肉を使用し、レモン汁でさっぱりとお召し上がりいただける「バジル餃子」を投入しました。従来の餃子と食べ比べて頂いたり、どちらかをお選び頂いたりと、外食ならではの「選ぶ愉しさ」に訴求しました。また、従来の餃子と両方ともお楽しみいただけるW餃子定食もご用意し、ご好評を得ております。
また、新しい生活様式に基づく消費スタイルの変化に伴うテイクアウト・デリバリーのニーズ増に対応し、事前予約システム対象店舗の増加に努めました。キャッシュレス決済については、各種還元キャンペーンに参加しPR活動を行いました。クレジットカード決済についても順次取扱いを拡大し、お客様の利便性向上に取組みました。
売上高につきましては、営業時間の短縮・酒類の提供自粛等により既存店売上高前年比率は69.7%となりました。生産、原価面につきましては、無洗米等の仕入れ見直しによる購入単価の改善もありましたが、工場の生産高減少に伴う稼働率の低下により、原価率は28.3%(前期は27.4%)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、人気季節メニューの「チゲ味噌ラーメン」と各種SNSとを連携した販売促進活動を行った他、TVCMを活用したブランドイメージの周知・向上に努めたことによる広告宣伝費の増加、キャッシュレス決済の取扱額の増加による支払手数料等の増加があった一方で、フレンド社員(当社におけるパート・アルバイト社員の呼称)の雇用を維持しつつも適切に人員をコントロールすることで人件費の抑制に努めました。しかし、売上高減少の影響が大きく販管費対売上高比率は81.2%(前期は62.9%)となりました。この結果、当期の売上高は295億63百万円(前期比30.0%減)、営業損失は27億99百万円(前期営業利益40億96百万円)、経常損失は27億78百万円(前期経常利益41億12百万円)となりました。
特別利益には受取補償金50百万円を計上しましたが、特別損失として、スクラップアンドビルドに伴う閉鎖店舗及び新型コロナウイルス感染症拡大により収益性の低下がみられる店舗について減損損失7億11百万円を計上したこと等により、当期純損失は29億46百万円(前期当期純利益25億78百万円)となりました。
なお、飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
(2)財政状態の状況
当期末の総資産は、257億26百万円となり前期末に比べて67億71百万円減少しました。これは主に現金及び預金の減少59億3百万円と新規出店が退店を下回ったことにより有形固定資産が7億93百万円、敷金及び保証金が2億7百万円減少したことによるものです。
負債合計は38億9百万円となり前期末に比べて24億53百万円減少しました。これは未払法人税等6億98百万円と未払消費税等4億68百万円の減少のほか、当期末時点での緊急事態宣言期間中の営業時間短縮による買掛金4億67百万円、未払費用3億38百万円、未払金2億33百万円等の減少によるものです。
純資産合計は、219億16百万円となり前期末に比べ43億18百万円減少し、自己資本比率は85.2%(前期末80.7%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は44億72百万円(前期は36億57百万円の収入)となり、前期に比べて81億30百万円の減少となりました。これは、税引前当期純損失34億39百万円の計上及び法人税等の支払額11億80百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は27百万円(前期は13億86百万円)となりました。これは、新規出店や改装等に伴う有形固定資産の取得による支出11億10百万円(前期は9億48百万円)、敷金及び保証金の差入による支出1億93百万円(前期は2億53百万円)などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は13億75百万円(前期は13億26百万円)となりました。これは、配当金の支払額13億68百万円(前期は13億3百万円)などによるものであります。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ58億75百万円減少し、69億25百万円となりました。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当期における生産実績を品目別に示すと次のとおりであります。
品目生産高(千円)前年同期比(%)
麺類598,18174.9
餃子784,21582.5
調味類630,07470.3
加工品類805,66283.8
合計2,818,13478.1

(注)1 金額は製造原価によって表示しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3 飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
(2)受注実績
当社は飲食業であり、見込生産によっておりますので、受注高並びに受注残高については記載すべき事項はありません。
(3)販売実績
業態期末店舗数金額(千円)前年同期比(%)
日高屋39327,856,57969.9
焼鳥日高291,381,24762.9
その他業態等10326,082161.3
合計43229,563,90970.0

(注)1 当社では販売品目が多岐にわたるため、品目別の販売実績を記載することは困難でありますので、業態別の販売実績を記載しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「日高屋」には、「中華食堂日高屋」「来来軒」を含めております。
4 「焼鳥日高」には「焼鳥日高」「大衆酒場日高」を含めております。
5 「その他業態等」は、「中華一番」「とんかつ日高」「大衆食堂日高」「中華そば神寄」「中華食堂真心」、FC向けの売上高等を含めております。
6 飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、業態別に記載しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態)
当事業年度の財政状態の状況につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)財政状態の状況」に記載した通りであります。
(経営成績)
売上高は、前期比126億45百万円減少の295億63百万円となりました。この減少要因は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出による一部店舗の休業及び時短営業によるものであります。
売上原価は無洗米等の仕入れ価格改善もありましたが、工場の生産高減少に伴う稼働率の低下により、原価率は28.3%となりました。
この結果、売上総利益は前期比94億38百万円減少の212億1百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比25億42百万円減少の240億円となりました。これは主に人件費の減少によるものです。この結果、営業損失は、27億99百万円(前期営業利益40億96百万円)となりました。
営業外損益は、営業外収益が前期比50百万円増加し1億22百万円、営業外費用は、前期比45百万円増加し1億1百万円となりました。この結果、経常損失は、27億78百万円(前期経常利益41億12百万円)となりました。
特別損失には、減損損失の計上など合計で7億11百万円を計上しました。
以上により、税引前当期純損失は34億39百万円、当期純損失は29億46百万円となりました。
なお、飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フローの状況」に記載した通りであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、主として自己資金によって充当しております。
投資資金需要の主なものは、店舗の出店・改装投資及び情報関連投資であります。
営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内における投資を原則としておりますが、戦略的な出店等による資金需要に対しては、必要に応じて主として金融機関からの借入金等により対処することにしております。
中長期的な目標として首都圏600店舗体制を実現するべく新規出店の投資を継続中であり、詳細は「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載の通りであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しておりますが、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来キャッシュ・フローの見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる場合があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に重要な影響を与える可能性があります。