有価証券報告書-第47期(2024/03/01-2025/02/28)
業績等の概要
(1)業績
当事業年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善がみられること、インバウンド需要の拡大、企業のデジタル化の進展、設備投資の増加などにより、緩やかに回復してきました。一方で、物価上昇による消費マインドの下振れ、通商政策などアメリカの政策動向による影響など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
外食産業におきましては、人流の回復に加え、インバウンド消費が追い風となり外食需要は堅調に推移しております。一方で、慢性的な労働力不足による人件費・採用関連費用の増加、食材価格、運送費、水道光熱費等の店舗運営コストが増大傾向にあることから、経営環境は依然として厳しい状況が続いております。
このような環境の中ではありますが、当社は「美味しい料理を真心込めて提供します」を経営理念とし、「お客様に美味しい料理を低価格で提供し、ハッピーな一日(ハイデイ)を過ごしていただく」、このことを基本姿勢とし、より多くのお客様に美味しい料理を提供させていただくことに注力いたしました。引き続き、首都圏600店舗体制に向けて安定的な新規出店、サービス水準のさらなる向上、新商品の投入、積極的な販売施策などを推進し、業容拡大を図ってまいります。
当事業年度における主な取り組みについて、2026年2月期を中間目標とする5か年計画「Hiday 500ローリングプラン2024」の7つの重点施策、①店舗戦略、②海外マーケット進出、アライアンス・M&A、③採用の強化・人財育成、④DX推進戦略、⑤事業拡大・新商品開発・販路戦略、⑥ブランディングの強化、⑦サステナビリティの取組推進を説明いたします。
〈中期経営計画「Hiday 500ローリングプラン2024」の重点施策〉
①店舗戦略
新規出店を進めるとともに利益の確保が困難な不採算店を退店して、スクラップアンドビルドを推進することで収益の拡大・収益率の向上を図っております。
新規出店は14店舗(東京都5店舗、埼玉県2店舗、千葉県2店舗、栃木県3店舗、群馬県2店舗)、退店が7店舗、FC移行が1店舗となりましたので、当事業年度末の直営店舗数は455店舗となりました。既存店の改装・リニューアルも27店舗で実施しています。業態別店舗数は、「日高屋」(来来軒含む)が424店舗、「焼鳥日高」(大衆酒場日高含む)が26店舗、その他業態が5店舗となりました。これまで店舗の少なかった栃木、群馬両県への出店を計5店舗行い、北関東エリアへ積極的に展開しております。主力の東京圏駅前への出店も継続し、より多くのお客様にご来店いただくために出店地域を開拓しております。
②海外マーケット進出、アライアンス・M&A
海外マーケット進出については、外国人フレンド社員の多くがベトナム出身のため、ベトナムへの出店を計画し、現地情報の収集調査などに着手し、現地情勢や市場性の分析を慎重に行っております。また、オーガニックな成長に加えてアライアンスやM&Aによる企業価値の向上についても検討を行っております。
③採用の強化・人財育成
採用面では、会社の魅力を発信する採用公式インスタグラムの公開、店舗フレンド社員の正社員登用や特定技能に関する情報を掲載する採用社内報「Hiday Press」を発信するなど、新卒・中途・特定技能外国人の採用活動を意欲的に継続し、2025年春の新卒採用は過去最高の107人、当事業年度の中途採用は101人となりました。特定技能外国人については、採用後の教育研修、在留資格申請等事務手続きサポートなどの支援体制を充実させた結果、特定技能2号資格に2名合格いたしました。
2024年4月には4%強のベースアップを実施、新卒初任給15千円引き上げ、2025年2月に正社員等への成長分配金1億85百万円を支給するなどの処遇改善に取り組みました。
人財育成では、調理・接客のみならず店舗を取り巻く様々な分野で研修委員会が設立され、テーマごとに事例の共有、情報交換が活発に行われ、常に問題意識と改善意識を高める取り組みを行っております。
④DX推進戦略
4月に新POS切り替えを全店舗で完了したことで、キャッシュレス決済やポイント付与に係わる処理能力・スピードが改善したことから利便性が向上するとともに、店舗の業務効率化が図れました。また、焼鳥日高では初のポイントサービスとして「dポイント」を導入しました。8月には共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」が全業態で利用可能になり、dポイントを含めたポイント付与に伴うキャッシュレス化がさらに進展し、経済産業省が目標に掲げる40%を達成後も増加しており、2025年2月のキャッシュレス比率は約56%となりました。キャッシュレス化・ポイント付与とともにご来店客数の増加に寄与しております。
お客様の利便性向上、店舗オペレーションの効率化・生産性向上に向けてタッチパネル式オーダーシステムの導入・切り替えを推進、焼鳥日高業態においては全店舗で導入完了し、2月末で320店に拡充しました。同システム導入は外国人の従業員がより働きやすい環境を構築できる側面を持つため、多様な人財の活躍を後押しするものです。今後はセルフレジの導入も検討しており、お客様の利便性と店舗運営の効率化を進めてまいります。
店舗運営においては、シフト管理ツールを導入することでシフト作成を効率化するとともに、勤務状況の可視化、円滑な情報共有を実現し事務負担軽減につながりました。
配膳ロボットは大型のロードサイド店を中心に51店舗で52台が稼働しており、店舗運営の効率化に寄与しております。
⑤事業拡大・新商品開発・販路戦略
商品面では、3月にグランドメニューをリニューアルして、おつまみメニューとして好評だった「ドラゴンチキン」を増量して定食メニューとしたほか、チャーシューメンのアイテムやおつまみメニューを拡充しました。ドリンクではハイボールのウイスキーをホワイトホースから陸に変更してグレードアップいたしました。5月31日より主力メニューの一つである「餃子」を約4年半ぶりにリニューアルしました。「餃子」の皮には北海道産小麦粉を使用し、具材の餡も旨味と肉汁感を向上することで、食事やお酒との相性を高めています。
期間限定メニューとしては、4月に「日高ちゃんぽん」、10月に復刻メニューとして4年ぶりとなる「モツ野菜ラーメン」、11月に「チゲ味噌ラーメン」などを投入しました。7月には「生ビール祭」9月には「秋のサワー祭」を実施して多くのお客様にご来店いただきました。11月からは「冷凍生餃子キャンペーン」を実施しテイクアウトのお客様にご好評をいただきました。
ご家族連れのお客様の多いロードサイド店ではドリンクバーを設置し、杏仁豆腐を販売するなど差別化を図っております。
グランドメニューについても常にブラッシュアップを行っており、美味しい料理を提供する努力を継続してまいります。
⑥ブランディングの強化
各種SNS、動画サイト、ホームページなど、多様なコンテンツを活用して、新商品やお得なキャンペーンなどを継続的に紹介・発信し、お客様に楽しい食事を想起していただけるよう活動しております。4月に「日高屋」新橋日比谷口店のオープンに先駆け、メディア関係者向けに「日高屋」の「ちょい飲み」を堪能いただく体験会を開催、おすすめのちょい飲みの組み合わせを紹介しました。9月には「日高屋」上野駅入谷口店オープン記念として、期間限定復刻メニュー「モツ野菜ラーメン」のメディア先行試食会、ちょい飲み体験会を開催しました。
SNSでは人気の期間限定メニュー「チゲ味噌ラーメン」発売等で大きな反響を呼び、フォロワー数・閲覧数とも順調に増加しております。
店舗以外で「日高屋」ブランドを訴求する取り組みとして、「日高屋」監修の商品が発売されました。食品メーカーからは「日高屋」の人気メニュー「チゲ味噌ラーメン」、「野菜たっぷりタンメン」、「中華そば」、「バクダン炒め」などをイメージしたカップ麺や生麺・冷凍のラーメン、チゲ味噌鍋スープが発売されたほか、コンビニエンスストアのオリジナル商品として「日高屋」監修商品が発売されました。加えて、「日高屋」メニューを再現したカプセルトイの玩具も発売され人気を博しました。
⑦サステナビリティの取組推進
環境面の取り組みについては、温室効果ガスの排出量(Scope1、2)を2030年度に2018年対比30%削減する目標を掲げています。排出量削減の対策として、非化石証書付き電力の利用に加えて20店舗分の年間電力使用量に相当するFIT非化石証書を購入いたしました。Scope3の算定にも取り組み、サプライチェーン全体での排出量を把握しました。今後は2050年に向けた長期的な排出量削減目標についても策定してまいります。また、ESGに関する外部評価として、CDP2024気候変動質問書に回答して気候変動の分野で前年度より1ノッチ高い「B」の評価となりました。ESG経営にもとづいた課題の抽出と施策の実施につなげます。
上記施策の推進に加えて、5月および12月に実施した価格改定後もご来店客数が伸長しご利用単価も上昇したこと、期間限定の各種販促キャンペーン、コロナ禍で短縮した営業時間の延長に取り組んだことなどが奏功し、通期累計の売上高は過去最高の556億29百万円(前期比14.1%増)となりました。12月度の売上高、ご来店客数は単月として過去最高となり、各月の売上高、ご来店客数はそれぞれ24か月連続、17か月連続で同月対比最高を記録、通期累計期間としても過去最高となりました。
生産、原価面につきましては、天候不順による米、キャベツ等の生産・流通量減少に伴う価格高騰、豚肉などの食材購入価格の高止まりもあり、原価率は29.7%(前期は28.1%)となりました。
販売費及び一般管理費は、増収により、正社員・フレンド社員の増員・ベースアップに伴う人件費の増加、店舗消耗品費、荷造運送費などのコスト上昇分を吸収し、対売上高比が60.4%(前期は62.4%)に低下しました。
この結果、利益面では各段階で過去最高額を更新し、営業利益は55億14百万円(前期比18.9%増)、経常利益は56億52百万円(前期比18.8%増)、当期純利益は40億92百万円(前期比26.6%増)となりました。
なお、飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
(2)財政状態の概況
当期末の総資産は、344億39百万円となり、前期末に比べて11億74百万円増加しました。これは主に有価証券の増加14億96百万円、売掛金の増加4億40百万円、繰延税金資産の増加3億58百万円、有形固定資産の増加2億6百万円、現金及び預金の減少14億73百万円等によるものです。
負債合計は85億77百万円となり前期末に比べて4億27百万円増加しました。これは主に未払法人税等の増加4億36百万円、買掛金の増加2億22百万円、固定負債の資産除去債務の増加48百万円、未払金の減少2億70百万円等によるものです。
純資産合計は258億61百万円となり、前期末に比べ7億47百万円増加しましたが、総資産も増加したことから、自己資本比率は75.1%(前期末75.5%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの概況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は53億64百万円(前期は59億60百万円)となり、前期に比べて5億95百万円の減少となりました。これは、法人税等の支払額の10億65百万円の増加等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は14億72百万円(前期は23億9百万円)となり、前期に比べて8億37百万円の減少となりました。これは、定期預金の払戻による収入20億円の増加、定期預金の預入による支出5億円の増加、保険積立金の解約による収入3億1百万円の増加、有価証券及び投資有価証券の取得による支出4億96百万円の増加、有形固定資産の取得による支出2億35百万円等の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は33億67百万円(前期は11億8百万円)となり、前期に比べて22億58百万円の増加となりました。これは、自己株式の取得による支出19億95百万円の増加等によるものであります。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、5億25百万円増加し、134億77百万円となりました。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当期における生産実績を品目別に示すと次のとおりであります。
(注)1 金額は製造原価によって表示しております。
2 飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
(2)受注実績
当社は飲食業であり、見込生産によっておりますので、受注高並びに受注残高については記載すべき事項はありません。
(3)販売実績
(注)1 当社では販売品目が多岐にわたるため、品目別の販売実績を記載することは困難でありますので、業態別の販売実績を記載しております。
2 「日高屋」には、「中華食堂日高屋」「来来軒」を含めております。
3 「焼鳥日高」には「焼鳥日高」「大衆酒場日高」を含めております。
4 「その他業態等」は、「中華一番」「大衆食堂日高」「屋台料理 台南」「らーめん日高」、FC向けの売上高等を含めております。
5 飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、業態別に記載しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態)
当事業年度の財政状態の状況につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)財政状態の概況」に記載した通りであります。
(経営成績)
当事業年度の経営成績につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績」に記載した通りであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フローの概況」に記載した通りであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、主として自己資金によって充当しております。
投資資金需要の主なものは、店舗の出店・改装投資及び情報関連投資であります。
営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内における投資を原則としておりますが、戦略的な出店等による資金需要に対しては、必要に応じて主として金融機関からの借入金等により対処することにしております。
中期経営計画の2030年2月期の経営指標として550店舗体制を実現するべく新規出店の投資を継続中であり、詳細は「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載の通りであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1)業績
当事業年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善がみられること、インバウンド需要の拡大、企業のデジタル化の進展、設備投資の増加などにより、緩やかに回復してきました。一方で、物価上昇による消費マインドの下振れ、通商政策などアメリカの政策動向による影響など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
外食産業におきましては、人流の回復に加え、インバウンド消費が追い風となり外食需要は堅調に推移しております。一方で、慢性的な労働力不足による人件費・採用関連費用の増加、食材価格、運送費、水道光熱費等の店舗運営コストが増大傾向にあることから、経営環境は依然として厳しい状況が続いております。
このような環境の中ではありますが、当社は「美味しい料理を真心込めて提供します」を経営理念とし、「お客様に美味しい料理を低価格で提供し、ハッピーな一日(ハイデイ)を過ごしていただく」、このことを基本姿勢とし、より多くのお客様に美味しい料理を提供させていただくことに注力いたしました。引き続き、首都圏600店舗体制に向けて安定的な新規出店、サービス水準のさらなる向上、新商品の投入、積極的な販売施策などを推進し、業容拡大を図ってまいります。
当事業年度における主な取り組みについて、2026年2月期を中間目標とする5か年計画「Hiday 500ローリングプラン2024」の7つの重点施策、①店舗戦略、②海外マーケット進出、アライアンス・M&A、③採用の強化・人財育成、④DX推進戦略、⑤事業拡大・新商品開発・販路戦略、⑥ブランディングの強化、⑦サステナビリティの取組推進を説明いたします。
〈中期経営計画「Hiday 500ローリングプラン2024」の重点施策〉
①店舗戦略
新規出店を進めるとともに利益の確保が困難な不採算店を退店して、スクラップアンドビルドを推進することで収益の拡大・収益率の向上を図っております。
新規出店は14店舗(東京都5店舗、埼玉県2店舗、千葉県2店舗、栃木県3店舗、群馬県2店舗)、退店が7店舗、FC移行が1店舗となりましたので、当事業年度末の直営店舗数は455店舗となりました。既存店の改装・リニューアルも27店舗で実施しています。業態別店舗数は、「日高屋」(来来軒含む)が424店舗、「焼鳥日高」(大衆酒場日高含む)が26店舗、その他業態が5店舗となりました。これまで店舗の少なかった栃木、群馬両県への出店を計5店舗行い、北関東エリアへ積極的に展開しております。主力の東京圏駅前への出店も継続し、より多くのお客様にご来店いただくために出店地域を開拓しております。
②海外マーケット進出、アライアンス・M&A
海外マーケット進出については、外国人フレンド社員の多くがベトナム出身のため、ベトナムへの出店を計画し、現地情報の収集調査などに着手し、現地情勢や市場性の分析を慎重に行っております。また、オーガニックな成長に加えてアライアンスやM&Aによる企業価値の向上についても検討を行っております。
③採用の強化・人財育成
採用面では、会社の魅力を発信する採用公式インスタグラムの公開、店舗フレンド社員の正社員登用や特定技能に関する情報を掲載する採用社内報「Hiday Press」を発信するなど、新卒・中途・特定技能外国人の採用活動を意欲的に継続し、2025年春の新卒採用は過去最高の107人、当事業年度の中途採用は101人となりました。特定技能外国人については、採用後の教育研修、在留資格申請等事務手続きサポートなどの支援体制を充実させた結果、特定技能2号資格に2名合格いたしました。
2024年4月には4%強のベースアップを実施、新卒初任給15千円引き上げ、2025年2月に正社員等への成長分配金1億85百万円を支給するなどの処遇改善に取り組みました。
人財育成では、調理・接客のみならず店舗を取り巻く様々な分野で研修委員会が設立され、テーマごとに事例の共有、情報交換が活発に行われ、常に問題意識と改善意識を高める取り組みを行っております。
④DX推進戦略
4月に新POS切り替えを全店舗で完了したことで、キャッシュレス決済やポイント付与に係わる処理能力・スピードが改善したことから利便性が向上するとともに、店舗の業務効率化が図れました。また、焼鳥日高では初のポイントサービスとして「dポイント」を導入しました。8月には共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」が全業態で利用可能になり、dポイントを含めたポイント付与に伴うキャッシュレス化がさらに進展し、経済産業省が目標に掲げる40%を達成後も増加しており、2025年2月のキャッシュレス比率は約56%となりました。キャッシュレス化・ポイント付与とともにご来店客数の増加に寄与しております。
お客様の利便性向上、店舗オペレーションの効率化・生産性向上に向けてタッチパネル式オーダーシステムの導入・切り替えを推進、焼鳥日高業態においては全店舗で導入完了し、2月末で320店に拡充しました。同システム導入は外国人の従業員がより働きやすい環境を構築できる側面を持つため、多様な人財の活躍を後押しするものです。今後はセルフレジの導入も検討しており、お客様の利便性と店舗運営の効率化を進めてまいります。
店舗運営においては、シフト管理ツールを導入することでシフト作成を効率化するとともに、勤務状況の可視化、円滑な情報共有を実現し事務負担軽減につながりました。
配膳ロボットは大型のロードサイド店を中心に51店舗で52台が稼働しており、店舗運営の効率化に寄与しております。
⑤事業拡大・新商品開発・販路戦略
商品面では、3月にグランドメニューをリニューアルして、おつまみメニューとして好評だった「ドラゴンチキン」を増量して定食メニューとしたほか、チャーシューメンのアイテムやおつまみメニューを拡充しました。ドリンクではハイボールのウイスキーをホワイトホースから陸に変更してグレードアップいたしました。5月31日より主力メニューの一つである「餃子」を約4年半ぶりにリニューアルしました。「餃子」の皮には北海道産小麦粉を使用し、具材の餡も旨味と肉汁感を向上することで、食事やお酒との相性を高めています。
期間限定メニューとしては、4月に「日高ちゃんぽん」、10月に復刻メニューとして4年ぶりとなる「モツ野菜ラーメン」、11月に「チゲ味噌ラーメン」などを投入しました。7月には「生ビール祭」9月には「秋のサワー祭」を実施して多くのお客様にご来店いただきました。11月からは「冷凍生餃子キャンペーン」を実施しテイクアウトのお客様にご好評をいただきました。
ご家族連れのお客様の多いロードサイド店ではドリンクバーを設置し、杏仁豆腐を販売するなど差別化を図っております。
グランドメニューについても常にブラッシュアップを行っており、美味しい料理を提供する努力を継続してまいります。
⑥ブランディングの強化
各種SNS、動画サイト、ホームページなど、多様なコンテンツを活用して、新商品やお得なキャンペーンなどを継続的に紹介・発信し、お客様に楽しい食事を想起していただけるよう活動しております。4月に「日高屋」新橋日比谷口店のオープンに先駆け、メディア関係者向けに「日高屋」の「ちょい飲み」を堪能いただく体験会を開催、おすすめのちょい飲みの組み合わせを紹介しました。9月には「日高屋」上野駅入谷口店オープン記念として、期間限定復刻メニュー「モツ野菜ラーメン」のメディア先行試食会、ちょい飲み体験会を開催しました。
SNSでは人気の期間限定メニュー「チゲ味噌ラーメン」発売等で大きな反響を呼び、フォロワー数・閲覧数とも順調に増加しております。
店舗以外で「日高屋」ブランドを訴求する取り組みとして、「日高屋」監修の商品が発売されました。食品メーカーからは「日高屋」の人気メニュー「チゲ味噌ラーメン」、「野菜たっぷりタンメン」、「中華そば」、「バクダン炒め」などをイメージしたカップ麺や生麺・冷凍のラーメン、チゲ味噌鍋スープが発売されたほか、コンビニエンスストアのオリジナル商品として「日高屋」監修商品が発売されました。加えて、「日高屋」メニューを再現したカプセルトイの玩具も発売され人気を博しました。
⑦サステナビリティの取組推進
環境面の取り組みについては、温室効果ガスの排出量(Scope1、2)を2030年度に2018年対比30%削減する目標を掲げています。排出量削減の対策として、非化石証書付き電力の利用に加えて20店舗分の年間電力使用量に相当するFIT非化石証書を購入いたしました。Scope3の算定にも取り組み、サプライチェーン全体での排出量を把握しました。今後は2050年に向けた長期的な排出量削減目標についても策定してまいります。また、ESGに関する外部評価として、CDP2024気候変動質問書に回答して気候変動の分野で前年度より1ノッチ高い「B」の評価となりました。ESG経営にもとづいた課題の抽出と施策の実施につなげます。
上記施策の推進に加えて、5月および12月に実施した価格改定後もご来店客数が伸長しご利用単価も上昇したこと、期間限定の各種販促キャンペーン、コロナ禍で短縮した営業時間の延長に取り組んだことなどが奏功し、通期累計の売上高は過去最高の556億29百万円(前期比14.1%増)となりました。12月度の売上高、ご来店客数は単月として過去最高となり、各月の売上高、ご来店客数はそれぞれ24か月連続、17か月連続で同月対比最高を記録、通期累計期間としても過去最高となりました。
生産、原価面につきましては、天候不順による米、キャベツ等の生産・流通量減少に伴う価格高騰、豚肉などの食材購入価格の高止まりもあり、原価率は29.7%(前期は28.1%)となりました。
販売費及び一般管理費は、増収により、正社員・フレンド社員の増員・ベースアップに伴う人件費の増加、店舗消耗品費、荷造運送費などのコスト上昇分を吸収し、対売上高比が60.4%(前期は62.4%)に低下しました。
この結果、利益面では各段階で過去最高額を更新し、営業利益は55億14百万円(前期比18.9%増)、経常利益は56億52百万円(前期比18.8%増)、当期純利益は40億92百万円(前期比26.6%増)となりました。
なお、飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
(2)財政状態の概況
当期末の総資産は、344億39百万円となり、前期末に比べて11億74百万円増加しました。これは主に有価証券の増加14億96百万円、売掛金の増加4億40百万円、繰延税金資産の増加3億58百万円、有形固定資産の増加2億6百万円、現金及び預金の減少14億73百万円等によるものです。
負債合計は85億77百万円となり前期末に比べて4億27百万円増加しました。これは主に未払法人税等の増加4億36百万円、買掛金の増加2億22百万円、固定負債の資産除去債務の増加48百万円、未払金の減少2億70百万円等によるものです。
純資産合計は258億61百万円となり、前期末に比べ7億47百万円増加しましたが、総資産も増加したことから、自己資本比率は75.1%(前期末75.5%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの概況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は53億64百万円(前期は59億60百万円)となり、前期に比べて5億95百万円の減少となりました。これは、法人税等の支払額の10億65百万円の増加等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は14億72百万円(前期は23億9百万円)となり、前期に比べて8億37百万円の減少となりました。これは、定期預金の払戻による収入20億円の増加、定期預金の預入による支出5億円の増加、保険積立金の解約による収入3億1百万円の増加、有価証券及び投資有価証券の取得による支出4億96百万円の増加、有形固定資産の取得による支出2億35百万円等の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は33億67百万円(前期は11億8百万円)となり、前期に比べて22億58百万円の増加となりました。これは、自己株式の取得による支出19億95百万円の増加等によるものであります。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、5億25百万円増加し、134億77百万円となりました。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当期における生産実績を品目別に示すと次のとおりであります。
品目 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
麺類 | 1,062,142 | 108.7 |
餃子 | 1,088,732 | 107.3 |
調味類 | 1,056,567 | 102.1 |
加工品類 | 1,552,232 | 120.6 |
合計 | 4,759,674 | 110.4 |
(注)1 金額は製造原価によって表示しております。
2 飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
(2)受注実績
当社は飲食業であり、見込生産によっておりますので、受注高並びに受注残高については記載すべき事項はありません。
(3)販売実績
業態 | 期末店舗数 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
日高屋 | 424 | 52,872,574 | 114.9 |
焼鳥日高 | 26 | 2,180,876 | 102.7 |
その他業態等 | 5 | 576,260 | 88.8 |
合計 | 455 | 55,629,711 | 114.1 |
(注)1 当社では販売品目が多岐にわたるため、品目別の販売実績を記載することは困難でありますので、業態別の販売実績を記載しております。
2 「日高屋」には、「中華食堂日高屋」「来来軒」を含めております。
3 「焼鳥日高」には「焼鳥日高」「大衆酒場日高」を含めております。
4 「その他業態等」は、「中華一番」「大衆食堂日高」「屋台料理 台南」「らーめん日高」、FC向けの売上高等を含めております。
5 飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、業態別に記載しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態)
当事業年度の財政状態の状況につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)財政状態の概況」に記載した通りであります。
(経営成績)
当事業年度の経営成績につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績」に記載した通りであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フローの概況」に記載した通りであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、主として自己資金によって充当しております。
投資資金需要の主なものは、店舗の出店・改装投資及び情報関連投資であります。
営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内における投資を原則としておりますが、戦略的な出店等による資金需要に対しては、必要に応じて主として金融機関からの借入金等により対処することにしております。
中期経営計画の2030年2月期の経営指標として550店舗体制を実現するべく新規出店の投資を継続中であり、詳細は「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載の通りであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。