有価証券報告書-第59期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 財政状態
当連結会計年度末における資産合計につきましては、前連結会計年度末に比べ151億61百万円増加し、2,639億93百万円となりました。これは主にのれんが92億32百万円、現金及び現金同等物が62億7百万円増加したことによるものです。
負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ162億39百万円増加し、2,261億82百万円となりました。これは主に営業債務及びその他の債務が62億77百万円減少したものの、社債及び借入金が224億69百万円増加したことによるものです。
資本合計につきましては、前連結会計年度末に比べ10億78百万円減少し、378億10百万円となりました。これは主に資本金が45億円、資本剰余金が124億26百万円増加したものの、利益剰余金が103億6百万円、非支配持分が75億62百万円、その他の資本の構成要素が1億35百万円減少したことによるものです。
② 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって経済活動が大きく停滞を強いられました。それでも製造業は主として中国における需要回復に牽引され多くの業種で回復傾向がみられるようになりましたが、非製造業の方はIT(情報技術)サービスや不動産を除くと外出自粛やテレワーク(在宅勤務)の継続、雇用環境の悪化による節約志向の高まり、インバウンド需要の消滅などから回復が遅々として進んでおりません。そして新型コロナウイルス禍の終息時期が見通せないことから、全体としては先行き不透明な状況が続いております。
外食産業におきましては2020年4月に発出された緊急事態宣言が解除されて以降、「Go To キャンペーン」効果もあって徐々に低迷状態から脱却しておりました。しかしながら11月下旬になって新型コロナウイルス感染症への警戒感が再燃し、更に2021年1月に緊急事態宣言が再度発出されるに至り、自治体から店舗の臨時休業或いは時短営業、酒類の提供制限等の要請を受け、宴会需要も消滅するなど、居酒屋業態中心に非常に厳しい状況に見舞われております。
このような状況の中、当社グループでは引き続き「すべてはお客様の為に」をモットーにQSCAを高め、家庭ではなかなか体験できない様々な料理や高レベルのサービスをお客様に提供することによって、「楽しかった、美味しかった」とお客様に喜んで頂けるよう心掛けております。また新型コロナウイルス感染症の感染拡大抑止のため、従業員の健康管理の強化や頻繁な手洗い・消毒の徹底、ソーシャルディスタンス確保のための客席数削減、客席間に飛沫防止用のアクリル板設置、お客様に対して入店時の検温と手のアルコール消毒、マスク会食依頼、店舗内の小まめな清掃・換気などを積極的に実施しております。更に中食を上回る上質でお値打ち感のあるランチメニューやテイクアウト商品の拡充・強化、デリバリーサービスの推進、インターネット上に実店舗では扱っていない様々なメニューを登録し提供する「バーチャルレストラン」も開業しております。
コスト面では費用対効果の精査に努め、損益分岐点の引き下げを鋭意図っております。即ち新規の出店投資の抑制、従業員の適正な配置転換による人材の活性化及び人件費の削減、賃借物件の家賃契約に代表される各種契約の見直しによる費用圧縮、業態集約並びに不採算店舗の大量閉鎖、提供メニューの工夫に基づく使用食材の歩留まり向上、需要予測の精緻化による食品廃棄ロスの低減、物流拠点の集約などに取り組んでおります。
店舗政策につきましては、直営レストラン業態を25店舗、直営居酒屋業態を1店舗、合計26店舗を新規出店致し、FCレストラン業態28店舗とFC居酒屋業態の22店舗を直営化しました。一方、不採算や賃借契約の終了などにより直営レストラン業態を85店舗、直営居酒屋業態を133店舗、合計218店舗を閉店し、直営レストラン業態3店舗をFC化しました。その結果、当連結会計年度末の直営店舗数1,470店舗となりました。尚、FC店舗を含めた総店舗数は2,843店舗となっております。
以上のような施策を進めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大抑止を図る必要から、営業店舗の休業や時短営業を大量に実施した負の影響を大きく受けました。また新型コロナウイルス禍の第2波・第3波の影響で、消費者の外出自粛やテレワーク(在宅勤務)の継続、グループ利用による会食の敬遠、更には忘年会・新年会・歓送迎会等の需要の消滅などから、都心部の居酒屋業態はもとより比較的堅調に推移していた焼肉業態やグルメ寿司業態においても、従来なら繁忙期のはずの時期に客数及び売上収益が前年同期または前々年同期を大幅に下回ることになりました。これらのことから当連結会計年度の連結業績につきましては、売上収益1,681億81百万円、事業損失(注)が81億46百万円、営業損失が131億63百万円、当期損失が107億69百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失が97億28百万円となりました。
(注)事業利益 = 「売上収益 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費」により計算しております。
事業利益は、IFRSで定義されている指標ではありません。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
尚、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
a.㈱コロワイドMD
㈱コロワイドMDは、各種食料品の商品開発・調達・製造・物流・マーチャンダイジングを行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は617億55百万円(前年同期840億71百万円)、事業利益は9億97百万円(前年同期17億97百万円)、営業利益は2億39百万円(前年同期9億18百万円)となりました。
尚、当連結会計年度末の店舗数は1店舗となっております。
b.㈱アトム
㈱アトムは、主に「にぎりの徳兵衛」・「ステーキ宮」などのレストラン業態の直営飲食店チェーン及びFC事業の多店舗展開を行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は322億18百万円(前年同期454億91百万円)、事業損失10億3百万円(前年同期事業利益15億4百万円)、営業損失は19億97百万円(前年同期30億77百万円)となりました。
尚、店舗政策につきましては1店舗(直営1店舗)の新規出店、40店舗(直営38店舗・FC2店舗)の閉鎖を行い、当連結会計年度末の店舗数は367店舗(直営356店舗・FC11店舗)となっております。
c.㈱レインズインターナショナル
㈱レインズインターナショナルは、主に「牛角」・「温野菜」・「土間土間」・「かまどか」・「手作り居酒屋 甘太郎」・「北の味紀行と地酒 北海道」・「FRESHNESS BURGER」などのレストラン及び居酒屋業態の直営店舗の運営の他、フランチャイズ加盟店の募集、加盟店の経営指導、商品の企画販売及び食材等の供給を行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は601億95百万円(前年同期1,125億39百万円)、事業損失は41億96百万円(前年同期事業利益37億45百万円)、営業損失は77億68百万円(前年同期50億10百万円)となりました。
尚、店舗政策につきましては61店舗(FC44店舗・直営17店舗)を新規出店し、FCレストラン業態27店舗とFC居酒屋業態22店舗を直営化しました。一方、264店舗(FC106店舗・直営158店舗)の閉鎖を行い、直営レストラン業態3店舗をFC化しました。その結果、当連結会計年度末の店舗数は1,687店舗(FC1,082店舗・直営605店舗)となっております。
d.カッパ・クリエイト㈱
カッパ・クリエイト㈱は、主に「かっぱ寿司」などの回転寿司の直営店の運営の他、寿司・調理パンなどのデリカ事業を行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は648億81百万円(前年同期748億15百万円)、事業損失3億54百万円(前年同期事業利益7億61百万円)、営業損失は11億93百万円(前年同期営業利益4億14百万円)となりました。
尚、店舗政策につきましては3店舗の新規出店、13店舗の閉鎖を行い、当連結会計年度末の直営店舗数は318店舗となっております。
e.㈱大戸屋ホールディングス
㈱大戸屋ホールディングスは、定食店「大戸屋ごはん処」などのレストラン業態のフランチャイズ加盟店の募集、加盟店の経営指導、商品の企画販売・食材等の供給及び直営店舗の運営を行っております。尚、当社は、当第2四半期連結会計期間末より同社を連結子会社化しております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は88億10百万円、事業損失61百万円、営業損失1億71百万円となりました。
尚、店舗政策につきましては5店舗(直営2店舗・FC3店舗)を新規出店し、FCレストラン業態1店舗を直営化しました。一方、12店舗(直営5店舗、7店舗)の閉鎖を行い、当連結会計年度末の直営店舗数は431店舗(直営151店舗、280店舗)となっております。
f.その他
その他は、ワールドピーコム㈱における外食事業向けセルフ・オーダー・トータル・システムの開発・販売、無線通信技術の開発・運用、㈱バンノウ水産における鮪類並びに水産物の卸売、加工販売及び飲食店運営、㈱シルスマリアにおける生菓子、焼き菓子、チョコレート(生チョコ他)の製造・販売、㈱ココットにおける事務処理業務、㈱WORITS、㈱ダブリューピィージャパン、㈱ダイニング・クリエイションにおける飲食店運営、㈱ダイニングエールにおける給食事業運営及び㈱フューチャーリンクにおけるFC事業運営となっております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は212億12百万円(前年同期267億56百万円)、事業利益は3億65百万円(前年同期4億86百万円)、営業損失は12百万円(前年同期3億8百万円)となっております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローが34億20百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが△129億24百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが158億90百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額が△1億80百万円となりました結果、前連結会計年度末に比べ62億7百万円増加し、384億22百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に減価償却費及び償却費によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出、連結子会社の取得による支出、営業譲受による支出によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース負債の返済による支出はあるものの、主に子会社株式一部売却、借入金の増加によるものであります。
(3)生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
(注)金額は、製造原価によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。
② 受注実績
当社グループは、店舗の販売予測に基づき見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
a.販売実績状況
(注)金額は、販売価額によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。
b.主要顧客別売上状況
主要顧客(総販売実績に対する割合が10%以上)に該当するものはありません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容、資本の財源及び資金の流動性に関する状況は以下のとおりです。
尚、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化ある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。尚、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表[連結財務諸表注記]3.重要な会計方針」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績等の状況
(注)基本的1株当たり当期損失は、期中平均株式数にもとづいて算出しております。
a.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況につきましては、「3.[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
b.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「3.[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
② 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの売上は、経済情勢、消費者の嗜好の変化、他社との競合、天候不順、出店計画等による影響を受け、また当社の費用は、原材料価格、人件費、不動産賃料、光熱費等による影響を受けます。したがって、これらの変動要因が発生し、当社グループによる対応策の効果が十分に発現しなかった場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要は主として原材料等の購入費用の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、主に新規出店、既存店舗の改修及び業態変換工事といった設備投資によるものであります。
当社グループは、短期運転資金に関しましては自己資金及び短期の借入により、設備投資や長期運転資金に関しましては自己資金及び長期の借入、又はリース・割賦等により、各々調達することを基本としております。
3.経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(1)のれんの償却
日本基準ではのれんを一定期間にわたり償却しておりましたが、IFRSではのれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が4,413百万円減少しております。
(2)表示組替
① その他の営業収益、その他の営業費用、金融収益及び金融費用
日本基準では「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」及び「特別損失」に表示していた項目のうち、IFRSでは財務関係損益については「金融収益」及び「金融費用」として計上し、それ以外の項目については、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」に表示しております。
② 法人所得税費用
日本基準では「法人税、住民税及び事業税」、「法人税等調整額」を区分掲記しておりましたが、IFRSでは「法人所得税費用」として一括して表示しております。また日本基準では「法人税、住民税及び事業税」に計上されている住民税均等割を、IFRSでは「販売費及び一般管理費」に組替表示しております。
(3)リースに関する事項
第58期よりIFRS第16号「リース」を適用しています。日本基準においてオペレーティングリースとして費用処理している取引については、国際会計基準では使用権資産とリース負債を計上し、見積ったリース期間にわたり規則的に償却を行っております。また支払リース料は実効金利法に基づき支払利息とリース負債の返済額に配分しております。
この影響により、当連結会計年度において、国際会計基準では日本基準に比べて、有形固定資産残高(使用権資産相当額)が23,248百万円増加し、その他の金融負債残高(リース負債相当額)が33,180百万円増加し、販売費及び一般管理費(減価償却費の増加とリース料の減少の純額相当額)が1,053百万円減少し、その他の費用(支払利息相当額)が949百万円増加しております。また営業活動によるキャッシュ・フローで得られた資金が16,298百万円増加し、財務活動によるキャッシュ・フローで使用した資金が同額増加しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 財政状態
当連結会計年度末における資産合計につきましては、前連結会計年度末に比べ151億61百万円増加し、2,639億93百万円となりました。これは主にのれんが92億32百万円、現金及び現金同等物が62億7百万円増加したことによるものです。
負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ162億39百万円増加し、2,261億82百万円となりました。これは主に営業債務及びその他の債務が62億77百万円減少したものの、社債及び借入金が224億69百万円増加したことによるものです。
資本合計につきましては、前連結会計年度末に比べ10億78百万円減少し、378億10百万円となりました。これは主に資本金が45億円、資本剰余金が124億26百万円増加したものの、利益剰余金が103億6百万円、非支配持分が75億62百万円、その他の資本の構成要素が1億35百万円減少したことによるものです。
② 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって経済活動が大きく停滞を強いられました。それでも製造業は主として中国における需要回復に牽引され多くの業種で回復傾向がみられるようになりましたが、非製造業の方はIT(情報技術)サービスや不動産を除くと外出自粛やテレワーク(在宅勤務)の継続、雇用環境の悪化による節約志向の高まり、インバウンド需要の消滅などから回復が遅々として進んでおりません。そして新型コロナウイルス禍の終息時期が見通せないことから、全体としては先行き不透明な状況が続いております。
外食産業におきましては2020年4月に発出された緊急事態宣言が解除されて以降、「Go To キャンペーン」効果もあって徐々に低迷状態から脱却しておりました。しかしながら11月下旬になって新型コロナウイルス感染症への警戒感が再燃し、更に2021年1月に緊急事態宣言が再度発出されるに至り、自治体から店舗の臨時休業或いは時短営業、酒類の提供制限等の要請を受け、宴会需要も消滅するなど、居酒屋業態中心に非常に厳しい状況に見舞われております。
このような状況の中、当社グループでは引き続き「すべてはお客様の為に」をモットーにQSCAを高め、家庭ではなかなか体験できない様々な料理や高レベルのサービスをお客様に提供することによって、「楽しかった、美味しかった」とお客様に喜んで頂けるよう心掛けております。また新型コロナウイルス感染症の感染拡大抑止のため、従業員の健康管理の強化や頻繁な手洗い・消毒の徹底、ソーシャルディスタンス確保のための客席数削減、客席間に飛沫防止用のアクリル板設置、お客様に対して入店時の検温と手のアルコール消毒、マスク会食依頼、店舗内の小まめな清掃・換気などを積極的に実施しております。更に中食を上回る上質でお値打ち感のあるランチメニューやテイクアウト商品の拡充・強化、デリバリーサービスの推進、インターネット上に実店舗では扱っていない様々なメニューを登録し提供する「バーチャルレストラン」も開業しております。
コスト面では費用対効果の精査に努め、損益分岐点の引き下げを鋭意図っております。即ち新規の出店投資の抑制、従業員の適正な配置転換による人材の活性化及び人件費の削減、賃借物件の家賃契約に代表される各種契約の見直しによる費用圧縮、業態集約並びに不採算店舗の大量閉鎖、提供メニューの工夫に基づく使用食材の歩留まり向上、需要予測の精緻化による食品廃棄ロスの低減、物流拠点の集約などに取り組んでおります。
店舗政策につきましては、直営レストラン業態を25店舗、直営居酒屋業態を1店舗、合計26店舗を新規出店致し、FCレストラン業態28店舗とFC居酒屋業態の22店舗を直営化しました。一方、不採算や賃借契約の終了などにより直営レストラン業態を85店舗、直営居酒屋業態を133店舗、合計218店舗を閉店し、直営レストラン業態3店舗をFC化しました。その結果、当連結会計年度末の直営店舗数1,470店舗となりました。尚、FC店舗を含めた総店舗数は2,843店舗となっております。
以上のような施策を進めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大抑止を図る必要から、営業店舗の休業や時短営業を大量に実施した負の影響を大きく受けました。また新型コロナウイルス禍の第2波・第3波の影響で、消費者の外出自粛やテレワーク(在宅勤務)の継続、グループ利用による会食の敬遠、更には忘年会・新年会・歓送迎会等の需要の消滅などから、都心部の居酒屋業態はもとより比較的堅調に推移していた焼肉業態やグルメ寿司業態においても、従来なら繁忙期のはずの時期に客数及び売上収益が前年同期または前々年同期を大幅に下回ることになりました。これらのことから当連結会計年度の連結業績につきましては、売上収益1,681億81百万円、事業損失(注)が81億46百万円、営業損失が131億63百万円、当期損失が107億69百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失が97億28百万円となりました。
(注)事業利益 = 「売上収益 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費」により計算しております。
事業利益は、IFRSで定義されている指標ではありません。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
尚、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
a.㈱コロワイドMD
㈱コロワイドMDは、各種食料品の商品開発・調達・製造・物流・マーチャンダイジングを行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は617億55百万円(前年同期840億71百万円)、事業利益は9億97百万円(前年同期17億97百万円)、営業利益は2億39百万円(前年同期9億18百万円)となりました。
尚、当連結会計年度末の店舗数は1店舗となっております。
b.㈱アトム
㈱アトムは、主に「にぎりの徳兵衛」・「ステーキ宮」などのレストラン業態の直営飲食店チェーン及びFC事業の多店舗展開を行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は322億18百万円(前年同期454億91百万円)、事業損失10億3百万円(前年同期事業利益15億4百万円)、営業損失は19億97百万円(前年同期30億77百万円)となりました。
尚、店舗政策につきましては1店舗(直営1店舗)の新規出店、40店舗(直営38店舗・FC2店舗)の閉鎖を行い、当連結会計年度末の店舗数は367店舗(直営356店舗・FC11店舗)となっております。
c.㈱レインズインターナショナル
㈱レインズインターナショナルは、主に「牛角」・「温野菜」・「土間土間」・「かまどか」・「手作り居酒屋 甘太郎」・「北の味紀行と地酒 北海道」・「FRESHNESS BURGER」などのレストラン及び居酒屋業態の直営店舗の運営の他、フランチャイズ加盟店の募集、加盟店の経営指導、商品の企画販売及び食材等の供給を行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は601億95百万円(前年同期1,125億39百万円)、事業損失は41億96百万円(前年同期事業利益37億45百万円)、営業損失は77億68百万円(前年同期50億10百万円)となりました。
尚、店舗政策につきましては61店舗(FC44店舗・直営17店舗)を新規出店し、FCレストラン業態27店舗とFC居酒屋業態22店舗を直営化しました。一方、264店舗(FC106店舗・直営158店舗)の閉鎖を行い、直営レストラン業態3店舗をFC化しました。その結果、当連結会計年度末の店舗数は1,687店舗(FC1,082店舗・直営605店舗)となっております。
d.カッパ・クリエイト㈱
カッパ・クリエイト㈱は、主に「かっぱ寿司」などの回転寿司の直営店の運営の他、寿司・調理パンなどのデリカ事業を行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は648億81百万円(前年同期748億15百万円)、事業損失3億54百万円(前年同期事業利益7億61百万円)、営業損失は11億93百万円(前年同期営業利益4億14百万円)となりました。
尚、店舗政策につきましては3店舗の新規出店、13店舗の閉鎖を行い、当連結会計年度末の直営店舗数は318店舗となっております。
e.㈱大戸屋ホールディングス
㈱大戸屋ホールディングスは、定食店「大戸屋ごはん処」などのレストラン業態のフランチャイズ加盟店の募集、加盟店の経営指導、商品の企画販売・食材等の供給及び直営店舗の運営を行っております。尚、当社は、当第2四半期連結会計期間末より同社を連結子会社化しております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は88億10百万円、事業損失61百万円、営業損失1億71百万円となりました。
尚、店舗政策につきましては5店舗(直営2店舗・FC3店舗)を新規出店し、FCレストラン業態1店舗を直営化しました。一方、12店舗(直営5店舗、7店舗)の閉鎖を行い、当連結会計年度末の直営店舗数は431店舗(直営151店舗、280店舗)となっております。
f.その他
その他は、ワールドピーコム㈱における外食事業向けセルフ・オーダー・トータル・システムの開発・販売、無線通信技術の開発・運用、㈱バンノウ水産における鮪類並びに水産物の卸売、加工販売及び飲食店運営、㈱シルスマリアにおける生菓子、焼き菓子、チョコレート(生チョコ他)の製造・販売、㈱ココットにおける事務処理業務、㈱WORITS、㈱ダブリューピィージャパン、㈱ダイニング・クリエイションにおける飲食店運営、㈱ダイニングエールにおける給食事業運営及び㈱フューチャーリンクにおけるFC事業運営となっております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は212億12百万円(前年同期267億56百万円)、事業利益は3億65百万円(前年同期4億86百万円)、営業損失は12百万円(前年同期3億8百万円)となっております。
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー | 34億20百万円(前連結会計年度比86.9%減) | |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △129億24百万円(前連結会計年度比15.8%増) | |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 158億90百万円(前連結会計年度比 - ) | |
現金及び現金同等物期末残高 | 384億22百万円(前連結会計年度比19.3%増) |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローが34億20百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが△129億24百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが158億90百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額が△1億80百万円となりました結果、前連結会計年度末に比べ62億7百万円増加し、384億22百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に減価償却費及び償却費によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出、連結子会社の取得による支出、営業譲受による支出によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース負債の返済による支出はあるものの、主に子会社株式一部売却、借入金の増加によるものであります。
(3)生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
㈱コロワイドMD(百万円) | 5,944 | 73.5 |
㈱アトム(子会社1社含む)(百万円) | 351 | 106.8 |
㈱レインズインターナショナル (子会社22社含む)(百万円) | - | - |
カッパ・クリエイト㈱ (子会社2社含む)(百万円) | 10,774 | 101.0 |
㈱大戸屋ホールディングス (子会社8社含む)(百万円) | - | - |
その他(百万円) | 2,739 | 113.4 |
合計(百万円) | 19,808 | 92.1 |
(注)金額は、製造原価によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。
② 受注実績
当社グループは、店舗の販売予測に基づき見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
a.販売実績状況
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
㈱コロワイドMD(百万円) | 61,755 | 73.5 |
㈱アトム(子会社1社含む)(百万円) | 32,218 | 70.8 |
㈱レインズインターナショナル (子会社22社含む)(百万円) | 60,195 | 53.5 |
カッパ・クリエイト㈱ (子会社2社含む)(百万円) | 64,881 | 86.7 |
㈱大戸屋ホールディングス (子会社8社含む)(百万円) | 8,810 | - |
その他(百万円) | 21,212 | 79.3 |
合計(百万円) | 249,071 | 72.5 |
(注)金額は、販売価額によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。
b.主要顧客別売上状況
主要顧客(総販売実績に対する割合が10%以上)に該当するものはありません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容、資本の財源及び資金の流動性に関する状況は以下のとおりです。
尚、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化ある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。尚、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表[連結財務諸表注記]3.重要な会計方針」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績等の状況
区分 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
売上収益(百万円) | 235,334 | 168,181 |
当期損失(百万円) | △6,798 | △10,769 |
基本的1株当たり当期損失(円)(注) | △88.62 | △136.55 |
資産(百万円) | 248,832 | 263,993 |
資本(百万円) | 38,889 | 37,810 |
(注)基本的1株当たり当期損失は、期中平均株式数にもとづいて算出しております。
a.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況につきましては、「3.[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
b.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「3.[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
② 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの売上は、経済情勢、消費者の嗜好の変化、他社との競合、天候不順、出店計画等による影響を受け、また当社の費用は、原材料価格、人件費、不動産賃料、光熱費等による影響を受けます。したがって、これらの変動要因が発生し、当社グループによる対応策の効果が十分に発現しなかった場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要は主として原材料等の購入費用の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、主に新規出店、既存店舗の改修及び業態変換工事といった設備投資によるものであります。
当社グループは、短期運転資金に関しましては自己資金及び短期の借入により、設備投資や長期運転資金に関しましては自己資金及び長期の借入、又はリース・割賦等により、各々調達することを基本としております。
3.経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(1)のれんの償却
日本基準ではのれんを一定期間にわたり償却しておりましたが、IFRSではのれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が4,413百万円減少しております。
(2)表示組替
① その他の営業収益、その他の営業費用、金融収益及び金融費用
日本基準では「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」及び「特別損失」に表示していた項目のうち、IFRSでは財務関係損益については「金融収益」及び「金融費用」として計上し、それ以外の項目については、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」に表示しております。
② 法人所得税費用
日本基準では「法人税、住民税及び事業税」、「法人税等調整額」を区分掲記しておりましたが、IFRSでは「法人所得税費用」として一括して表示しております。また日本基準では「法人税、住民税及び事業税」に計上されている住民税均等割を、IFRSでは「販売費及び一般管理費」に組替表示しております。
(3)リースに関する事項
第58期よりIFRS第16号「リース」を適用しています。日本基準においてオペレーティングリースとして費用処理している取引については、国際会計基準では使用権資産とリース負債を計上し、見積ったリース期間にわたり規則的に償却を行っております。また支払リース料は実効金利法に基づき支払利息とリース負債の返済額に配分しております。
この影響により、当連結会計年度において、国際会計基準では日本基準に比べて、有形固定資産残高(使用権資産相当額)が23,248百万円増加し、その他の金融負債残高(リース負債相当額)が33,180百万円増加し、販売費及び一般管理費(減価償却費の増加とリース料の減少の純額相当額)が1,053百万円減少し、その他の費用(支払利息相当額)が949百万円増加しております。また営業活動によるキャッシュ・フローで得られた資金が16,298百万円増加し、財務活動によるキャッシュ・フローで使用した資金が同額増加しております。