有価証券報告書-第58期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 財政状態
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ265億31百万円増加し、2,488億32百万円となりました。これは主に、後記(第5 経理の状況 1 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針(19)会計方針の変更)にも記載の通り当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」の適用により、使用権資産が285億66百万円増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ382億87百万円増加し、2,099億43百万円となりました。これは、主に流動負債の社債及び借入金が100億50百万円減少したものの、非流動負債の社債及び借入金が176億79百万円、IFRS第16号「リース」の適用により、流動負債のリース負債が113億36百万円、非流動負債のリース負債が197億44百万円増加したことによるものです。
資本は、前連結会計年度末に比べ117億57百万円減少し、388億89百万円となりました。これはIFRS第16号「リース」の適用、店舗閉店を含む「フューチャーバリューの獲得」を進めたことによる減損損失(追加分)、閉店損失引当金繰入(追加分)の増加101億94百万円を主な要因として、利益剰余金が98億53百万円、非支配持分が18億80百万円減少したことによるものです。
② 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易戦争の長期化や海外経済の減速によって製造業の生産活動が落ち込んだことに加え、比較的堅調だった非製造業においても相次ぐ自然災害や消費税増税の影響が徐々に顕在化してきたため、年度後半からは力強さを欠いたものになりました。更に本年1月以降、中国の武漢に端を発して世界的に拡散した新型コロナウイルスの影響で、インバウンド需要が急速に減少しております。その上、2月初頭の「ダイヤモンド・プリンセス号」問題を通じてわが国でも新型コロナウイルスの感染が確認され、サービス消費を中心に個人消費も抑制されだしたことから、景気後退色が鮮明となりました。
外食産業におきましては、人件費や物流費の上昇、食材価格の高騰、消費者のニーズの多様化とコストパフォーマンス意識の高まり、消費税増税などによって厳しい経営環境が続いている中、新型コロナウイルスの感染拡大が明らかになったため臨時休業や営業時間の短縮を余儀なくされております。このような事態の軽減策としてテイクアウト専用メニューやランチの拡充を図る動きが広がっているものの、中食との競合が一層激化することになり、今後も予断を許さない状況にあります。
上述のような状況の中、当社グループでは「すべてはお客様のために」をモットーにQSCAを高め、家庭ではなかなか体験できない様々な料理や高レベルのサービスをお客様に提供することで、「楽しかった、美味しかった」とお客様に喜んで頂けるよう引き続き心掛けております。そのため、お客様のニーズの分析や主要業態の一層のブラッシュアップ、新業態の開発などのほか、利便性や訴求力を高めた様々なサービスの提供、ホスピタリティの高度化、従業員のモチベーションの向上などに積極的に取り組んでおります。
コスト面では以前から、SNSの積極的な活用やテレビ番組とのタイアップの推進による広告宣伝費の効率的な投入、提供メニューの工夫による使用食材の歩留まり向上、食材廃棄ロスの低減などに取り組んでまいりました。更に仕入先との中期的な契約によって食材価格上昇の影響を抑制するとともに、各種加工製品の内製化を進めております。またグループ各社が使用する調味料の規格の統一化、原材料・製品・資材の在庫回転率の一層の改善、物流機能の集約なども成果を挙げております。新型コロナウイルスの国内における感染が拡大してからは、営業店舗の臨時休業や時短営業を実施致しておりますが、「今は我慢の時期」ととらえ、固定費圧縮等の強化を図っております。
店舗政策につきましては、直営レストラン業態を32店舗、直営居酒屋業態を8店舗、合計40店舗を新規出店致しました。一方、主に不採算を要因として直営レストラン業態を55店舗、直営居酒屋業態を37店舗、合計92店舗を閉店致しました。その結果、当連結会計年度末の直営店舗数は1,462店舗となりました。尚、FC店舗を含めた総店舗数は2,665店舗となっております。
以上のような施策を進めてまいりました結果、第3四半期までは宴会の減少等に伴い居酒屋業態は苦戦を強いられたものの、レストラン業態が堅調に推移したことから連結業績は順調に進捗しておりました。しかしながら新型コロナウイルスの感染が深刻化してきた2月下旬から3月になると、北海道を皮切りに大都市圏で週末の外出自粛要請が出され、来店客数の急激な減少に見舞われました。また新型コロナウイルスの感染拡大の抑止を目的とした臨時休業や時短営業を実施したことから、宴会需要の低迷で苦戦していた居酒屋業態の状況が更に悪化しただけでなく、堅調に推移していたレストラン業態においても3月の既存店売上高が前年を大幅に下回る結果となりました。このため当連結会計年度の連結業績につきましては、売上収益が2,353億34百万円、事業利益(注)は56億32百万円となりました。また新型コロナウイルス関連の影響を踏まえ、居酒屋業態を中心とした店舗閉店を含む「フューチャーバリューの獲得」を進める方針に基づき、追加的に減損損失99億54百万円、閉店損失引当金繰入2億40百万円を計上したことや、投資有価証券評価損14億66百万円の発生もあり、営業損失が46億6百万円、当期損失が67億98百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失は64億47百万円となりました。
(注)事業利益 = 「売上収益 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費」により計算しております。
事業利益は、IFRSで定義されている指標ではありません。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
a.㈱コロワイドMD
㈱コロワイドMDは、各種食料品の商品開発・調達・製造・物流・マーチャンダイジングを行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は840億71百万円(前年同期860億5百万円)、事業利益は17億97百万円(前年同期21億78百万円)、営業利益は9億18百万円(前年同期22億92百万円)となりました。
b.㈱アトム
㈱アトムは、主に「にぎりの徳兵衛」・「ステーキ宮」などのレストラン業態の直営飲食店チェーン及びFC事業の多店舗展開を行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は497億28百万円(前年同期519億98百万円)、事業利益14億円(前年同期17億53百万円)、営業損失は14億90百万円(前年同期営業利益6億9百万円)となりました。
尚、店舗政策につきましては5店舗(直営5店舗)の新規出店、22店舗(直営20店舗・FC2店舗)の閉鎖を行い、また当期末において㈱アトム北海道を㈱レインズインターナショナルへ株式譲渡したことから、当連結会計年度末の店舗数は405店舗(直営392店舗・FC13店舗)となっております。
c.㈱レインズインターナショナル
㈱レインズインターナショナルは、主に「牛角」・「温野菜」・「土間土間」・「かまどか」・「手作り居酒屋 甘太郎」・「北の味紀行と地酒 北海道」・「遊食三昧 NIJYU-MARU」・「FRESHNESS BURGER」などのレストラン及び居酒屋業態のフランチャイズ加盟店の募集、加盟店の経営指導、商品の企画販売及び食材等の供給の他、直営店舗の運営を行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は1,078億25百万円(前年同期1,133億82百万円)、事業利益は40億54百万円(前年同期47億96百万円) 営業損失は34億20百万円(前年同期営業利益20億13百万円)となりました。
尚、店舗政策につきましては88店舗(FC57店舗・直営31店舗)の新規出店、114店舗(FC47店舗・直営67店舗)の閉鎖を行い、また当期末において㈱アトムから㈱アトム北海道を株式譲受したことから、当連結会計年度末の店舗数は1,904店舗(FC1,190店舗・直営714店舗)となっております。
d.カッパ・クリエイト㈱
カッパ・クリエイト㈱は、主に「かっぱ寿司」などの回転寿司の直営店の運営の他、寿司・調理パンなどのデリカ事業を行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は748億15百万円(前年同期761億58百万円)、事業利益7億61百万円(前年同期3億25百万円)、営業利益は4億14百万円(前年同期営業損失2億65百万円)となりました。
尚、店舗政策につきましては2店舗の新規出店、5店舗の閉鎖を行い、当連結会計年度末の直営店舗数は328店舗となっております。
e.その他
その他は、ワールドピーコム㈱における外食事業向けセルフ・オーダー・トータル・システムの開発・販売、無線通信技術の開発・運用、㈱バンノウ水産における鮪類並びに水産物の卸売及び加工販売、㈱シルスマリアにおける生菓子、焼き菓子、チョコレート(生チョコ他)の製造・販売、㈱ココットにおける事務処理業務、㈱ダブリューピィージャパン、㈱ダイニング・クリエイション及びCOLOWIDE VIETNAM.,JSC.における飲食店運営、㈱ダイニングエールにおける給食事業運営となっております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は272億27百万円(前年同期297億9百万円)、事業利益は3億13百万円(前年同期17億32百万円)、営業利益は27百万円(前年同期17億16百万円)となっております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローが260億72百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが△153億48百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが△123億38百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額が△25百万円となりました結果、前連結会計年度末に比べ16億39百万円減少し、322億15百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に減価償却費及び償却費、減損損失の計上によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出、事業譲受によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入、社債の発行による収入はあるものの、長期借入金の返済による支出、社債の償還による支出、リース負債の返済による支出によるものであります。
(3)生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
(注)金額は、製造原価によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。
② 受注実績
当社グループは、店舗の販売予測に基づき見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
a.販売実績状況
(注)金額は、販売価額によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。
b.主要顧客別売上状況
主要顧客(総販売実績に対する割合が10%以上)に該当するものはありません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容、資本の財源及び資金の流動性に関する状況は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化ある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表[連結財務諸表注記]3.重要な会計方針」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績等の状況
(注)基本的1株当たり当期利益又は当期損失は、期中平均株式数にもとづいて算出しております。
a.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況につきましては、「3. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
b.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「3. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
② 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの売上は、経済情勢、消費者の嗜好の変化、他社との競合、天候不順、出店計画等による影響を受け、また当社の費用は、原材料価格、人件費、不動産賃料、光熱費等による影響を受けます。したがって、これらの変動要因が発生し、当社グループによる対応策の効果が十分に発現しなかった場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要は主として原材料等の購入費用の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、主に新規出店、既存店舗の改修及び業態変換工事といった設備投資によるものであります。
当社グループは、短期運転資金に関しましては自己資金及び短期の借入により、設備投資や長期運転資金に関しましては自己資金及び長期の借入、又はリース・割賦等により、各々調達することを基本としております。
3.経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(1)のれんの償却
日本基準ではのれんを一定期間にわたり償却しておりましたが、IFRSではのれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が4,007百万円減少しております。
(2)表示組替
① その他の営業収益、その他の営業費用、金融収益及び金融費用
日本基準では「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」及び「特別損失」に表示していた項目のうち、IFRSでは財務関係損益については「金融収益」及び「金融費用」として計上し、それ以外の項目については、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」に表示しております。
② 法人所得税費用
日本基準では「法人税、住民税及び事業税」、「法人税等調整額」を区分掲記しておりましたが、IFRSでは「法人所得税費用」として一括して表示しております。また、日本基準では「法人税、住民税及び事業税」に計上されている住民税均等割を、IFRSでは「販売費及び一般管理費」に組替表示しております。
(3)リースに関する事項
当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」を適用しています。日本基準においてオペレーティングリースとして費用処理している取引については、国際会計基準では使用権資産とリース負債を計上し、見積ったリース期間にわたり規則的に償却を行っております。また、支払リース料は実効金利法に基づき支払利息とリース負債の返済額に配分しております。
この影響により、当連結会計年度において、国際会計基準では日本基準に比べて、有形固定資産残高(使用権資産相当額)が25,119百万円増加し、その他の金融負債残高(リース負債相当額)が36,160百万円増加し、販売費及び一般管理費(減価償却費の増加とリース料の減少の純額相当額)が1,037百万円減少し、その他の費用(支払利息相当額)が918百万円増加しております。また、営業活動によるキャッシュ・フローで得られた資金が17,927百万円増加し、財務活動によるキャッシュ・フローで使用した資金が同額増加しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 財政状態
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ265億31百万円増加し、2,488億32百万円となりました。これは主に、後記(第5 経理の状況 1 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針(19)会計方針の変更)にも記載の通り当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」の適用により、使用権資産が285億66百万円増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ382億87百万円増加し、2,099億43百万円となりました。これは、主に流動負債の社債及び借入金が100億50百万円減少したものの、非流動負債の社債及び借入金が176億79百万円、IFRS第16号「リース」の適用により、流動負債のリース負債が113億36百万円、非流動負債のリース負債が197億44百万円増加したことによるものです。
資本は、前連結会計年度末に比べ117億57百万円減少し、388億89百万円となりました。これはIFRS第16号「リース」の適用、店舗閉店を含む「フューチャーバリューの獲得」を進めたことによる減損損失(追加分)、閉店損失引当金繰入(追加分)の増加101億94百万円を主な要因として、利益剰余金が98億53百万円、非支配持分が18億80百万円減少したことによるものです。
② 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易戦争の長期化や海外経済の減速によって製造業の生産活動が落ち込んだことに加え、比較的堅調だった非製造業においても相次ぐ自然災害や消費税増税の影響が徐々に顕在化してきたため、年度後半からは力強さを欠いたものになりました。更に本年1月以降、中国の武漢に端を発して世界的に拡散した新型コロナウイルスの影響で、インバウンド需要が急速に減少しております。その上、2月初頭の「ダイヤモンド・プリンセス号」問題を通じてわが国でも新型コロナウイルスの感染が確認され、サービス消費を中心に個人消費も抑制されだしたことから、景気後退色が鮮明となりました。
外食産業におきましては、人件費や物流費の上昇、食材価格の高騰、消費者のニーズの多様化とコストパフォーマンス意識の高まり、消費税増税などによって厳しい経営環境が続いている中、新型コロナウイルスの感染拡大が明らかになったため臨時休業や営業時間の短縮を余儀なくされております。このような事態の軽減策としてテイクアウト専用メニューやランチの拡充を図る動きが広がっているものの、中食との競合が一層激化することになり、今後も予断を許さない状況にあります。
上述のような状況の中、当社グループでは「すべてはお客様のために」をモットーにQSCAを高め、家庭ではなかなか体験できない様々な料理や高レベルのサービスをお客様に提供することで、「楽しかった、美味しかった」とお客様に喜んで頂けるよう引き続き心掛けております。そのため、お客様のニーズの分析や主要業態の一層のブラッシュアップ、新業態の開発などのほか、利便性や訴求力を高めた様々なサービスの提供、ホスピタリティの高度化、従業員のモチベーションの向上などに積極的に取り組んでおります。
コスト面では以前から、SNSの積極的な活用やテレビ番組とのタイアップの推進による広告宣伝費の効率的な投入、提供メニューの工夫による使用食材の歩留まり向上、食材廃棄ロスの低減などに取り組んでまいりました。更に仕入先との中期的な契約によって食材価格上昇の影響を抑制するとともに、各種加工製品の内製化を進めております。またグループ各社が使用する調味料の規格の統一化、原材料・製品・資材の在庫回転率の一層の改善、物流機能の集約なども成果を挙げております。新型コロナウイルスの国内における感染が拡大してからは、営業店舗の臨時休業や時短営業を実施致しておりますが、「今は我慢の時期」ととらえ、固定費圧縮等の強化を図っております。
店舗政策につきましては、直営レストラン業態を32店舗、直営居酒屋業態を8店舗、合計40店舗を新規出店致しました。一方、主に不採算を要因として直営レストラン業態を55店舗、直営居酒屋業態を37店舗、合計92店舗を閉店致しました。その結果、当連結会計年度末の直営店舗数は1,462店舗となりました。尚、FC店舗を含めた総店舗数は2,665店舗となっております。
以上のような施策を進めてまいりました結果、第3四半期までは宴会の減少等に伴い居酒屋業態は苦戦を強いられたものの、レストラン業態が堅調に推移したことから連結業績は順調に進捗しておりました。しかしながら新型コロナウイルスの感染が深刻化してきた2月下旬から3月になると、北海道を皮切りに大都市圏で週末の外出自粛要請が出され、来店客数の急激な減少に見舞われました。また新型コロナウイルスの感染拡大の抑止を目的とした臨時休業や時短営業を実施したことから、宴会需要の低迷で苦戦していた居酒屋業態の状況が更に悪化しただけでなく、堅調に推移していたレストラン業態においても3月の既存店売上高が前年を大幅に下回る結果となりました。このため当連結会計年度の連結業績につきましては、売上収益が2,353億34百万円、事業利益(注)は56億32百万円となりました。また新型コロナウイルス関連の影響を踏まえ、居酒屋業態を中心とした店舗閉店を含む「フューチャーバリューの獲得」を進める方針に基づき、追加的に減損損失99億54百万円、閉店損失引当金繰入2億40百万円を計上したことや、投資有価証券評価損14億66百万円の発生もあり、営業損失が46億6百万円、当期損失が67億98百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失は64億47百万円となりました。
(注)事業利益 = 「売上収益 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費」により計算しております。
事業利益は、IFRSで定義されている指標ではありません。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
a.㈱コロワイドMD
㈱コロワイドMDは、各種食料品の商品開発・調達・製造・物流・マーチャンダイジングを行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は840億71百万円(前年同期860億5百万円)、事業利益は17億97百万円(前年同期21億78百万円)、営業利益は9億18百万円(前年同期22億92百万円)となりました。
b.㈱アトム
㈱アトムは、主に「にぎりの徳兵衛」・「ステーキ宮」などのレストラン業態の直営飲食店チェーン及びFC事業の多店舗展開を行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は497億28百万円(前年同期519億98百万円)、事業利益14億円(前年同期17億53百万円)、営業損失は14億90百万円(前年同期営業利益6億9百万円)となりました。
尚、店舗政策につきましては5店舗(直営5店舗)の新規出店、22店舗(直営20店舗・FC2店舗)の閉鎖を行い、また当期末において㈱アトム北海道を㈱レインズインターナショナルへ株式譲渡したことから、当連結会計年度末の店舗数は405店舗(直営392店舗・FC13店舗)となっております。
c.㈱レインズインターナショナル
㈱レインズインターナショナルは、主に「牛角」・「温野菜」・「土間土間」・「かまどか」・「手作り居酒屋 甘太郎」・「北の味紀行と地酒 北海道」・「遊食三昧 NIJYU-MARU」・「FRESHNESS BURGER」などのレストラン及び居酒屋業態のフランチャイズ加盟店の募集、加盟店の経営指導、商品の企画販売及び食材等の供給の他、直営店舗の運営を行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は1,078億25百万円(前年同期1,133億82百万円)、事業利益は40億54百万円(前年同期47億96百万円) 営業損失は34億20百万円(前年同期営業利益20億13百万円)となりました。
尚、店舗政策につきましては88店舗(FC57店舗・直営31店舗)の新規出店、114店舗(FC47店舗・直営67店舗)の閉鎖を行い、また当期末において㈱アトムから㈱アトム北海道を株式譲受したことから、当連結会計年度末の店舗数は1,904店舗(FC1,190店舗・直営714店舗)となっております。
d.カッパ・クリエイト㈱
カッパ・クリエイト㈱は、主に「かっぱ寿司」などの回転寿司の直営店の運営の他、寿司・調理パンなどのデリカ事業を行っております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は748億15百万円(前年同期761億58百万円)、事業利益7億61百万円(前年同期3億25百万円)、営業利益は4億14百万円(前年同期営業損失2億65百万円)となりました。
尚、店舗政策につきましては2店舗の新規出店、5店舗の閉鎖を行い、当連結会計年度末の直営店舗数は328店舗となっております。
e.その他
その他は、ワールドピーコム㈱における外食事業向けセルフ・オーダー・トータル・システムの開発・販売、無線通信技術の開発・運用、㈱バンノウ水産における鮪類並びに水産物の卸売及び加工販売、㈱シルスマリアにおける生菓子、焼き菓子、チョコレート(生チョコ他)の製造・販売、㈱ココットにおける事務処理業務、㈱ダブリューピィージャパン、㈱ダイニング・クリエイション及びCOLOWIDE VIETNAM.,JSC.における飲食店運営、㈱ダイニングエールにおける給食事業運営となっております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上収益は272億27百万円(前年同期297億9百万円)、事業利益は3億13百万円(前年同期17億32百万円)、営業利益は27百万円(前年同期17億16百万円)となっております。
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー | 260億72百万円(前連結会計年度比 63.2%増) | |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △153億48百万円(前連結会計年度比 - ) | |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △123億38百万円(前連結会計年度比 - ) | |
現金及び現金同等物期末残高 | 322億15百万円(前連結会計年度比 4.8%減) |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローが260億72百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが△153億48百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが△123億38百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額が△25百万円となりました結果、前連結会計年度末に比べ16億39百万円減少し、322億15百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に減価償却費及び償却費、減損損失の計上によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出、事業譲受によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入、社債の発行による収入はあるものの、長期借入金の返済による支出、社債の償還による支出、リース負債の返済による支出によるものであります。
(3)生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
㈱コロワイドMD(百万円) | 8,090 | 96.7 |
㈱アトム(子会社1社含む)(百万円) | 328 | 80.3 |
㈱レインズインターナショナル (子会社21社含む)(百万円) | - | - |
カッパ・クリエイト㈱ (子会社2社含む)(百万円) | 10,671 | 96.1 |
その他(百万円) | 2,416 | 90.1 |
合計(百万円) | 21,505 | 95.3 |
(注)金額は、製造原価によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。
② 受注実績
当社グループは、店舗の販売予測に基づき見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
a.販売実績状況
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
㈱コロワイドMD(百万円) | 84,071 | 97.8 |
㈱アトム(子会社1社含む)(百万円) | 49,728 | 95.6 |
㈱レインズインターナショナル (子会社21社含む)(百万円) | 107,825 | 95.1 |
カッパ・クリエイト㈱ (子会社2社含む)(百万円) | 74,815 | 98.2 |
その他(百万円) | 27,227 | 91.6 |
合計(百万円) | 343,666 | 96.2 |
(注)金額は、販売価額によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。
b.主要顧客別売上状況
主要顧客(総販売実績に対する割合が10%以上)に該当するものはありません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容、資本の財源及び資金の流動性に関する状況は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化ある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表[連結財務諸表注記]3.重要な会計方針」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績等の状況
区分 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
売上収益(百万円) | 244,360 | 235,334 |
当期利益(△は損失)(百万円) | 1,150 | △6,798 |
基本的1株当たり当期利益(△は損失)(円)(注) | 5.72 | △88.62 |
資産(百万円) | 222,301 | 248,832 |
資本(百万円) | 50,645 | 38,889 |
(注)基本的1株当たり当期利益又は当期損失は、期中平均株式数にもとづいて算出しております。
a.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況につきましては、「3. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
b.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「3. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
② 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの売上は、経済情勢、消費者の嗜好の変化、他社との競合、天候不順、出店計画等による影響を受け、また当社の費用は、原材料価格、人件費、不動産賃料、光熱費等による影響を受けます。したがって、これらの変動要因が発生し、当社グループによる対応策の効果が十分に発現しなかった場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要は主として原材料等の購入費用の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、主に新規出店、既存店舗の改修及び業態変換工事といった設備投資によるものであります。
当社グループは、短期運転資金に関しましては自己資金及び短期の借入により、設備投資や長期運転資金に関しましては自己資金及び長期の借入、又はリース・割賦等により、各々調達することを基本としております。
3.経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(1)のれんの償却
日本基準ではのれんを一定期間にわたり償却しておりましたが、IFRSではのれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が4,007百万円減少しております。
(2)表示組替
① その他の営業収益、その他の営業費用、金融収益及び金融費用
日本基準では「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」及び「特別損失」に表示していた項目のうち、IFRSでは財務関係損益については「金融収益」及び「金融費用」として計上し、それ以外の項目については、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」に表示しております。
② 法人所得税費用
日本基準では「法人税、住民税及び事業税」、「法人税等調整額」を区分掲記しておりましたが、IFRSでは「法人所得税費用」として一括して表示しております。また、日本基準では「法人税、住民税及び事業税」に計上されている住民税均等割を、IFRSでは「販売費及び一般管理費」に組替表示しております。
(3)リースに関する事項
当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」を適用しています。日本基準においてオペレーティングリースとして費用処理している取引については、国際会計基準では使用権資産とリース負債を計上し、見積ったリース期間にわたり規則的に償却を行っております。また、支払リース料は実効金利法に基づき支払利息とリース負債の返済額に配分しております。
この影響により、当連結会計年度において、国際会計基準では日本基準に比べて、有形固定資産残高(使用権資産相当額)が25,119百万円増加し、その他の金融負債残高(リース負債相当額)が36,160百万円増加し、販売費及び一般管理費(減価償却費の増加とリース料の減少の純額相当額)が1,037百万円減少し、その他の費用(支払利息相当額)が918百万円増加しております。また、営業活動によるキャッシュ・フローで得られた資金が17,927百万円増加し、財務活動によるキャッシュ・フローで使用した資金が同額増加しております。