有価証券報告書-第26期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)における我が国の経済は、政府の景気対策等を背景に、企業収益や雇用市場の改善により、緩やかに回復が続いておりましたが、足下は新型コロナウイルス感染症拡大により大幅に下押しされ、厳しい状況にあります。次連結会計年度についても、感染症の影響により経済活動の停滞と金融市場の混乱は続くとみられ、依然として先行き不透明な状況であります。国内コンピューター販売は、2019年10月消費増税前のいわゆる「駆け込み需要」、2020年1月14日のWindows7サポート終了による「買い替え需要」が顕在化いたしました。加えて個人向け需要は、eスポーツ人気の高まりによるゲーミングパソコンや周辺機器の需要、小中学校の新学習指導要領への移行に伴うプログラミング学習の普及に伴う需要に加え、感染症拡大予防のため、自宅でのテレワークや在宅オンライン学習、オンラインでの人と人との交流が推奨されているなどインターネットデバイス、周辺機器、通信回線の整備、使い方のサポート需要が増加し、その傾向は継続しております。
このような状況下、当社グループは販売、修理、インターネットなどの「デジタルライフ」を全てワンストップでサポートする「スマートライフパートナー化」を継続しております。これまでの「困ったを解決」に加え、「プレミアムメンバーの未来のデジタルライフを任せていただく計画的提案」による需要創造を提供するデジタルライフコンサルティング化を推進し、それに相応しい呼称として「デジタルライフプランナー」の商標を2019年6月に取得いたしました。
店頭販売において「未来のデジタルライフ」をお任せいただけるよう、プレミアムメンバーに対して3名から5名程度のスタッフが専任チームで担当する「プレミアムメンバー専任担当制」を2018年10月より開始しております。専任担当制は、各々のプレミアムメンバー一家族ごとに専任の担当者を決め、ご家族の未来のデジタルライフプランのご提案をすることなど、今後の需要とサポートを継続的に行なうものです。また、家庭内の「休眠資産(使われずに眠っているデバイス等)」である古いコンピューターやその他スマートデバイスの再活用などを提案することをはじめ、デジタルデバイスを総合的に活用していく提案を行うなど、プレミアムメンバーの持続的なデジタルライフの活性化に取り組みました。販売促進活動においては、前年度に引き続き、広告宣伝活動を計画的に行なっております。また、短期雇用を目的とした採用を積極的に行わず、既存スタッフの教育、育成の強化を推進し、時間と費用の多くを振り向けました。具体的には、計画的提案のコンサルティング能力向上、AI・ロボット共生社会における学び方と働き方などの一体思考訓練のために、空間や時間を共有するFACE to FACEでの対話に重きを置き、理念共有に一丸となり得るよう、育成の取り組みを引き続き強化いたしました。
店舗展開においては、当第3四半期連結累計期間の5店舗の改装に加え、当第4四半期連結会計期間に千葉県富里市、岩手県盛岡市の2店舗を「ピーシーデポスマートライフ店」に改装し、同業態の店舗数は2020年3月末時点で52店舗となりました。また、家電量販店にインショップする「PC DEPOT パソコンクリニック(修理・サポート専門店)」を当第3四半期連結累計期間の2店舗の開店に加え、当第4四半期連結会計期間に3店舗開店し同業態の店舗数は3月末時点で63店舗となりました。加えて一部の既存店では、プレミアムメンバー専用ラウンジのリニューアルなど、プレミアムメンバー専用空間の改善を進めております。
以上の結果、当社グループ売上高は391億37百万円(前年比3.2%減)、営業利益は29億41百万円(同14.0%増)、経常利益は30億18百万円(同12.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億18百万円(同10.7%増)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
Ⅰ.パソコン等販売事業
コンピューター販売において、2019年10月消費増税前のいわゆる「駆け込み需要」、2020年1月14日のWindows7のサポート終了を見据えた買い替え・駆け込み需要がありました。また、働き方の変化に伴うコンピューターの買い替え、eスポーツ人気の高まりなどにより、高機能・高性能かつ高価格帯のパソコンや周辺機器の需要が見受けられます。また、当第4四半期連結会計期間には新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、自宅でのテレワークや在宅オンライン学習、オンラインでの人と人とのコミュニケーションが推奨されたことから、インターネットデバイス、周辺機器、通信回線などの環境の整備に加え、使い方のサポート需要が増加いたしました。一方で、スマホ関連のマーケットの縮小は依然として続いており、デバイスの高品質化に伴い、買い替えサイクルも長期化傾向にあります。
このような状況下、当社はデジタルライフのサポート・計画的提案・需要創造への移行を継続しました。ソリューションサービスにおいては、新聞折込広告に他店にて購入したコンピューターの持ち込みを促す案内を掲載することを開始し、単に「物・商品」「価格」を訴求するだけではなく、「コト・需要・要望」「価値創出」を提案する「需要創出型広告」を継続して、プレミアムメンバーや一般のお客様の利用機会増加に努めました。プレミアムメンバー優先対応をはじめ、プレミアムメンバーとご家族の「過去の困ったを解決」から「未来のデジタルライフの計画的提案」をお任せいただけるよう、体制を整えております。具体的には、プレミアムメンバー一家族ごとにそれぞれ専任担当チームがFACE to FACEのコミュニケーションを通して提案を行っております。また、プレミアムメンバーの新規募集に関しては、2019年12月までは、既存プレミアムメンバーからの紹介とパソコン購入などの来店時に加入促進をしておりましたが、メンバーシップの受け入れキャパシティの体制が整いつつあることから、2020年1月より広告などによる「新規プレミアムメンバー募集」を開始しております。プレミアムメンバー専用商品面では「コト」と「商品」を組み合わせた「体験型商品」の提供を開始いたしました。例えば「PC部品の選択+自作PCの組立」を専任スタッフと親子が一緒に行い、その時間や空間を体験するという「商品と体験をセット」した、プレミアムメンバー専用商品を提供するなどコト需要の創出を推進いたしました。
店舗展開においては、大型フラグシップ店の位置付けにある千葉県富里市「富里インター店」、岩手県盛岡市「盛岡本店」の2店舗を「PC DEPOT」から、店舗フォーマット最大規模の「ピーシーデポスマートライフ店」に改装いたしました。両店舗は店舗設備や装飾を変更することに加え、専任担当者のチームがメンバーベネフィットを生み出すために必要な空間を創るため、現場企画を大幅に取り入れた地域密着のリニューアルを現場主導で行っております。両店舗は継続的な地域連携を目的として、その価値を生み出す現場主導型の改装を今後も引き続き実施してまいります。当社の大型店における地域連携を目指す新しい取り組みとなるものであります。
当連結会計年度末における「ピーシーデポスマートライフ店」「PC DEPOT」「PC DEPOTパソコンクリニック」の総店舗数は130店舗となりました。内訳は、当第4四半期連結会計期間に2店舗をPC DEPOTからピーシーデポスマートライフ店へ改装し、PC DEPOTパソコンクリニックを3店舗インショップ出店しております。その他に、近畿・中国・四国地区においてフランチャイズ運営する「PC DEPOT」が3店舗あります。
以上の結果、パソコン等販売事業の外部顧客への売上高は379億10百万円(前年比3.4%減)、セグメント利益は28億25百万円(同15.0%増)となりました。
Ⅱ.インターネット関連事業
インターネット関連事業においては、外部顧客に対するソリューション販売が増加したことにより売上高は増加いたしました。また、当社グループが提供するプレミアムメンバーシップ関連におけるグループ内業務受託の強化を継続し、プレミアムメンバーベネフィットの向上に、引き続きグループを挙げて取り組んでおります。
以上の結果、インターネット関連事業の外部顧客への売上高は12億27百万円(前年比0.9%増)、セグメント利益は4億2百万円(同8.9%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は83億83百万円と前年度末に比べ11億59百万円減少(前年度は10億55百万円の減少)しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額7億79百万円及び売上債権の増加額3億81百万円がありましたが、税金等調整前当期純利益26億85百万円、減価償却費7億52百万円などにより20億29百万円の増加(前年度は25億63百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金及び保証金の回収による収入1億91百万円がありましたが、有形固定資産の取得による支出7億32百万円などにより9億49百万円の減少(前年度は7億21百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出15億94百万円及び配当金の支払額6億44百万円などにより22億38百万円の減少(前年度は28億97百万円の減少)となりました。
③仕入及び販売の実績
Ⅰ.仕入実績
セグメントごとの仕入実績(商品別)は、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.上記の金額には、ソリューションサービス売上高内のサービス一体型商品に含まれる商品仕入高も計上しております。
Ⅱ.販売実績
イ セグメントごとの販売実績(商品別)は、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.ロイヤリティー他収入の対象となるフランチャイズ店売上高は1,196,432千円であります。
4.ソリューションサービス売上高には、サービス一体型商品に含まれる商品売上高を計上しております。
ロ 商品売上高の地域別実績は、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.「その他地区」は、連結子会社である(株)ピーシーデポストアーズにて運営しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
Ⅰ.当連結会計年度の財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は238億23百万円(前連結会計年度末は245億89百万円)となり、前連結会計年度に比べて7億65百万円の減少となりました。主な要因は、月額会員制サービス一体型の商品に伴う売掛金は増加したものの、現金及び預金が減少したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は92億20百万円(前連結会計年度末は90億31百万円)となり、前連結会計年度に比べて1億88百万円の増加となりました。主な要因は、新規出店やスマートライフ店への業態転換に伴う店舗改装等の設備投資によるものです。なお、当連結会計年度において実施した設備投資の総額は12億87百万円であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は50億59百万円(前連結会計年度末は54億99百万円)となり、前連結会計年度に比べて4億39百万円の減少となりました。主な要因は、1年以内返済長期借入金の減少によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は27億25百万円(前連結会計年度末は39億62百万円)となり、前連結会計年度に比べて12億36百万円の減少となりました。主な要因は、長期借入金の減少によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は252億59百万円(前連結会計年度末は241億59百万円)となり、前連結会計年度に比べて10億99百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金の増加によるものです。
(自己資本比率)
当連結会計年度末における自己資本比率は、主に利益剰余金の増加により、前連結会計年度末と比較して4.6ポイント増加の76.3%となりました。
Ⅱ.当連結会計年度の経営成績の分析
(売上高)
当社グループの連結売上高は、前連結会計年度と比較して3.2%減少の391億37百万円となりました。
パソコン等販売事業の外部顧客への売上高は、前連結会計年度と比較して3.4%減少の379億10百万円となりました。商品売上高は増加したもののソリューションサービス売上高が減少しました。
インターネット関連事業の外部顧客への売上高は、前連結会計年度と比較して0.9%増加の12億27百万円となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度と比較して1.1%減少の184億53百万円となりました。
(営業利益)
営業利益は、人材配置の最適化を行った結果、販売費及び一般管理費が減少し、前連結会計年度と比較して14.0%増加の29億41百万円となりました。
(営業外収益)
営業外収益は、前連結会計年度と比較して24.3%増加の3億60百万円となりました。主な要因は、受取賃貸料の増加によるものです。
(営業外費用)
営業外費用は、前連結会計年度と比較して54.4%増加の2億83百万円となりました。主な要因は、賃貸費用の増加によるものです。
(経常利益)
経常利益は、前連結会計年度と比較して12.4%増加の30億18百万円となりました。
(特別利益)
特別利益は、24百万円となりました。
(特別損失)
特別損失は、3億57百万円となりました。主な要因は、和解金及び固定資産除却損の計上によるものです。
(総資産経常利益率)
総資産経常利益率は、前連結会計年度と比較して1.2ポイント増加の9.1%となりました。
(自己資本利益率)
自己資本利益率は、前連結会計年度と比較して0.4ポイント増加の7.0%となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」にて記載したとおりであります。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の95億42百万円に対して11億59百万円減少し、83億83百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、自己資金又は借入等により資金調達することとしております。当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、商品保証引当金、税効果会計、減損会計であり、継続して評価を行っております。
④次期見通し
今後の見通しにつきましては、当社の事業領域であるインターネットを中心にしたデバイスやその環境整備の需要は今後も高まると思われます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響は長期化することが予想され、社会の生活様式は過去の延長線ではなく大きく変化する可能性があります。その変化の重要な要素として、デジタルライフを含んだ「スマートライフ」の必要性が高まることは想像に難くないと考えられます。感染症拡大防止という観点だけではなく、新しいスマート時代の価値観として「自宅でのテレワーク」という働き方や「在宅オンライン学習」という学び方など、場所や方法にとらわれない価値の創出があると見込まれ、パソコンやタブレットなどの需要が高まり、それらデバイスは生活に必要不可欠なものとなっていくと予想されます。その社会構造の変化と相まって、パソコンなどのIoT環境は確実に進化していくと予想されます。一方、顧客の需要は、自宅でのテレワーク、在宅オンライン学習という需要と同時に生活に密着した需要が増加すると思われます。これらのパソコンをはじめとしたソリューション事業は当社が従来から推進してきた得意領域であり、当社に追い風になると考えております。引き続き、当社グループは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために安全を確保することを前提に、従来同様パソコンをはじめとしたインターネットデバイス・ネットワーク・コンテンツを「総合的かつ永続的にサポート」するサブスクリプションモデルである「プレミアムメンバーシップ」の推進を強化いたします。
新型コロナウイルスの当社グループへの影響につきましては、スマートライフの必要性の高まりによる商品やソリューション需要が見込まれますが、先行き不透明な経済環境並びに雇用環境が長期化した場合、消費の減退などを起因としたプレミアムメンバー退会による売上の減少の可能性やサプライチェーンの毀損が発生した場合の顧客への商品供給が滞ることによる売上の減少の可能性があります。これらの影響については、2020年4月時点で入手可能な情報をもとに判断をしておりますが、新型コロナウイルスに起因する重大な影響は顕在化しておりません。引き続き、当社グループへの影響を慎重に見極め、今後、2021年3月期連結業績予想に修正の必要が生じた場合は速やかに公表いたします。
社会全般がより一層デジタル環境への構造変化を加速させていることからも、当社事業の必要性を認識していただけるようあらゆる対策を講じてまいります。
以上から2021年3月期の通期連結業績見通しは、以下のように見込んでおります。
[2021年3月期連結業績予想]
また、当社グループは、中期目標として売上高経常利益率10%、ROE15%以上を掲げ、企業価値向上を図ってまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)における我が国の経済は、政府の景気対策等を背景に、企業収益や雇用市場の改善により、緩やかに回復が続いておりましたが、足下は新型コロナウイルス感染症拡大により大幅に下押しされ、厳しい状況にあります。次連結会計年度についても、感染症の影響により経済活動の停滞と金融市場の混乱は続くとみられ、依然として先行き不透明な状況であります。国内コンピューター販売は、2019年10月消費増税前のいわゆる「駆け込み需要」、2020年1月14日のWindows7サポート終了による「買い替え需要」が顕在化いたしました。加えて個人向け需要は、eスポーツ人気の高まりによるゲーミングパソコンや周辺機器の需要、小中学校の新学習指導要領への移行に伴うプログラミング学習の普及に伴う需要に加え、感染症拡大予防のため、自宅でのテレワークや在宅オンライン学習、オンラインでの人と人との交流が推奨されているなどインターネットデバイス、周辺機器、通信回線の整備、使い方のサポート需要が増加し、その傾向は継続しております。
このような状況下、当社グループは販売、修理、インターネットなどの「デジタルライフ」を全てワンストップでサポートする「スマートライフパートナー化」を継続しております。これまでの「困ったを解決」に加え、「プレミアムメンバーの未来のデジタルライフを任せていただく計画的提案」による需要創造を提供するデジタルライフコンサルティング化を推進し、それに相応しい呼称として「デジタルライフプランナー」の商標を2019年6月に取得いたしました。
店頭販売において「未来のデジタルライフ」をお任せいただけるよう、プレミアムメンバーに対して3名から5名程度のスタッフが専任チームで担当する「プレミアムメンバー専任担当制」を2018年10月より開始しております。専任担当制は、各々のプレミアムメンバー一家族ごとに専任の担当者を決め、ご家族の未来のデジタルライフプランのご提案をすることなど、今後の需要とサポートを継続的に行なうものです。また、家庭内の「休眠資産(使われずに眠っているデバイス等)」である古いコンピューターやその他スマートデバイスの再活用などを提案することをはじめ、デジタルデバイスを総合的に活用していく提案を行うなど、プレミアムメンバーの持続的なデジタルライフの活性化に取り組みました。販売促進活動においては、前年度に引き続き、広告宣伝活動を計画的に行なっております。また、短期雇用を目的とした採用を積極的に行わず、既存スタッフの教育、育成の強化を推進し、時間と費用の多くを振り向けました。具体的には、計画的提案のコンサルティング能力向上、AI・ロボット共生社会における学び方と働き方などの一体思考訓練のために、空間や時間を共有するFACE to FACEでの対話に重きを置き、理念共有に一丸となり得るよう、育成の取り組みを引き続き強化いたしました。
店舗展開においては、当第3四半期連結累計期間の5店舗の改装に加え、当第4四半期連結会計期間に千葉県富里市、岩手県盛岡市の2店舗を「ピーシーデポスマートライフ店」に改装し、同業態の店舗数は2020年3月末時点で52店舗となりました。また、家電量販店にインショップする「PC DEPOT パソコンクリニック(修理・サポート専門店)」を当第3四半期連結累計期間の2店舗の開店に加え、当第4四半期連結会計期間に3店舗開店し同業態の店舗数は3月末時点で63店舗となりました。加えて一部の既存店では、プレミアムメンバー専用ラウンジのリニューアルなど、プレミアムメンバー専用空間の改善を進めております。
以上の結果、当社グループ売上高は391億37百万円(前年比3.2%減)、営業利益は29億41百万円(同14.0%増)、経常利益は30億18百万円(同12.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億18百万円(同10.7%増)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
Ⅰ.パソコン等販売事業
コンピューター販売において、2019年10月消費増税前のいわゆる「駆け込み需要」、2020年1月14日のWindows7のサポート終了を見据えた買い替え・駆け込み需要がありました。また、働き方の変化に伴うコンピューターの買い替え、eスポーツ人気の高まりなどにより、高機能・高性能かつ高価格帯のパソコンや周辺機器の需要が見受けられます。また、当第4四半期連結会計期間には新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、自宅でのテレワークや在宅オンライン学習、オンラインでの人と人とのコミュニケーションが推奨されたことから、インターネットデバイス、周辺機器、通信回線などの環境の整備に加え、使い方のサポート需要が増加いたしました。一方で、スマホ関連のマーケットの縮小は依然として続いており、デバイスの高品質化に伴い、買い替えサイクルも長期化傾向にあります。
このような状況下、当社はデジタルライフのサポート・計画的提案・需要創造への移行を継続しました。ソリューションサービスにおいては、新聞折込広告に他店にて購入したコンピューターの持ち込みを促す案内を掲載することを開始し、単に「物・商品」「価格」を訴求するだけではなく、「コト・需要・要望」「価値創出」を提案する「需要創出型広告」を継続して、プレミアムメンバーや一般のお客様の利用機会増加に努めました。プレミアムメンバー優先対応をはじめ、プレミアムメンバーとご家族の「過去の困ったを解決」から「未来のデジタルライフの計画的提案」をお任せいただけるよう、体制を整えております。具体的には、プレミアムメンバー一家族ごとにそれぞれ専任担当チームがFACE to FACEのコミュニケーションを通して提案を行っております。また、プレミアムメンバーの新規募集に関しては、2019年12月までは、既存プレミアムメンバーからの紹介とパソコン購入などの来店時に加入促進をしておりましたが、メンバーシップの受け入れキャパシティの体制が整いつつあることから、2020年1月より広告などによる「新規プレミアムメンバー募集」を開始しております。プレミアムメンバー専用商品面では「コト」と「商品」を組み合わせた「体験型商品」の提供を開始いたしました。例えば「PC部品の選択+自作PCの組立」を専任スタッフと親子が一緒に行い、その時間や空間を体験するという「商品と体験をセット」した、プレミアムメンバー専用商品を提供するなどコト需要の創出を推進いたしました。
店舗展開においては、大型フラグシップ店の位置付けにある千葉県富里市「富里インター店」、岩手県盛岡市「盛岡本店」の2店舗を「PC DEPOT」から、店舗フォーマット最大規模の「ピーシーデポスマートライフ店」に改装いたしました。両店舗は店舗設備や装飾を変更することに加え、専任担当者のチームがメンバーベネフィットを生み出すために必要な空間を創るため、現場企画を大幅に取り入れた地域密着のリニューアルを現場主導で行っております。両店舗は継続的な地域連携を目的として、その価値を生み出す現場主導型の改装を今後も引き続き実施してまいります。当社の大型店における地域連携を目指す新しい取り組みとなるものであります。
当連結会計年度末における「ピーシーデポスマートライフ店」「PC DEPOT」「PC DEPOTパソコンクリニック」の総店舗数は130店舗となりました。内訳は、当第4四半期連結会計期間に2店舗をPC DEPOTからピーシーデポスマートライフ店へ改装し、PC DEPOTパソコンクリニックを3店舗インショップ出店しております。その他に、近畿・中国・四国地区においてフランチャイズ運営する「PC DEPOT」が3店舗あります。
以上の結果、パソコン等販売事業の外部顧客への売上高は379億10百万円(前年比3.4%減)、セグメント利益は28億25百万円(同15.0%増)となりました。
Ⅱ.インターネット関連事業
インターネット関連事業においては、外部顧客に対するソリューション販売が増加したことにより売上高は増加いたしました。また、当社グループが提供するプレミアムメンバーシップ関連におけるグループ内業務受託の強化を継続し、プレミアムメンバーベネフィットの向上に、引き続きグループを挙げて取り組んでおります。
以上の結果、インターネット関連事業の外部顧客への売上高は12億27百万円(前年比0.9%増)、セグメント利益は4億2百万円(同8.9%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は83億83百万円と前年度末に比べ11億59百万円減少(前年度は10億55百万円の減少)しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額7億79百万円及び売上債権の増加額3億81百万円がありましたが、税金等調整前当期純利益26億85百万円、減価償却費7億52百万円などにより20億29百万円の増加(前年度は25億63百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金及び保証金の回収による収入1億91百万円がありましたが、有形固定資産の取得による支出7億32百万円などにより9億49百万円の減少(前年度は7億21百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出15億94百万円及び配当金の支払額6億44百万円などにより22億38百万円の減少(前年度は28億97百万円の減少)となりました。
③仕入及び販売の実績
Ⅰ.仕入実績
セグメントごとの仕入実績(商品別)は、次のとおりであります。
[セグメントの名称] 品目 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
[パソコン等販売事業] | |||
パソコン本体等(千円) | 6,054,222 | 106.6 | |
周辺機器(千円) | 3,379,094 | 109.4 | |
アクセサリ・サプライ(千円) | 1,070,424 | 98.4 | |
ソフト(千円) | 431,423 | 110.2 | |
中古品・その他(千円) | 8,356,627 | 87.8 | |
合計(千円) | 19,291,793 | 97.6 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.上記の金額には、ソリューションサービス売上高内のサービス一体型商品に含まれる商品仕入高も計上しております。
Ⅱ.販売実績
イ セグメントごとの販売実績(商品別)は、次のとおりであります。
[セグメントの名称] 品目 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
[パソコン等販売事業] | |||
パソコン本体等(千円) | 4,286,549 | 109.1 | |
周辺機器(千円) | 3,886,496 | 103.7 | |
アクセサリ・サプライ(千円) | 1,659,086 | 91.9 | |
ソフト(千円) | 525,519 | 104.5 | |
中古品・その他(千円) | 4,614,863 | 118.1 | |
商品売上高計(千円) | 14,972,516 | 107.8 | |
ロイヤリティー他収入(千円) (注3) | 59,642 | 92.3 | |
ソリューションサービス売上高(千円) (注4) | 22,878,135 | 90.5 | |
計(千円) | 37,910,294 | 96.6 | |
[インターネット関連事業] | 1,227,579 | 100.9 | |
合計(千円) | 39,137,874 | 96.8 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.ロイヤリティー他収入の対象となるフランチャイズ店売上高は1,196,432千円であります。
4.ソリューションサービス売上高には、サービス一体型商品に含まれる商品売上高を計上しております。
ロ 商品売上高の地域別実績は、次のとおりであります。
[セグメントの名称] 品目 | 期末 店舗数 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
[パソコン等販売事業] | ||||
神奈川県・静岡県(千円) | 14 | 3,491,930 | 112.6 | |
東京都・千葉県(千円) | 23 | 4,544,424 | 104.9 | |
埼玉県・群馬県(千円) | 10 | 2,176,221 | 107.2 | |
茨城県・栃木県(千円) | 7 | 1,545,627 | 107.0 | |
その他地区(千円) (注2) | 13 | 3,214,313 | 107.7 | |
商品売上高計(千円) | 67 | 14,972,516 | 107.8 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.「その他地区」は、連結子会社である(株)ピーシーデポストアーズにて運営しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
Ⅰ.当連結会計年度の財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は238億23百万円(前連結会計年度末は245億89百万円)となり、前連結会計年度に比べて7億65百万円の減少となりました。主な要因は、月額会員制サービス一体型の商品に伴う売掛金は増加したものの、現金及び預金が減少したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は92億20百万円(前連結会計年度末は90億31百万円)となり、前連結会計年度に比べて1億88百万円の増加となりました。主な要因は、新規出店やスマートライフ店への業態転換に伴う店舗改装等の設備投資によるものです。なお、当連結会計年度において実施した設備投資の総額は12億87百万円であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は50億59百万円(前連結会計年度末は54億99百万円)となり、前連結会計年度に比べて4億39百万円の減少となりました。主な要因は、1年以内返済長期借入金の減少によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は27億25百万円(前連結会計年度末は39億62百万円)となり、前連結会計年度に比べて12億36百万円の減少となりました。主な要因は、長期借入金の減少によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は252億59百万円(前連結会計年度末は241億59百万円)となり、前連結会計年度に比べて10億99百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金の増加によるものです。
(自己資本比率)
当連結会計年度末における自己資本比率は、主に利益剰余金の増加により、前連結会計年度末と比較して4.6ポイント増加の76.3%となりました。
Ⅱ.当連結会計年度の経営成績の分析
(売上高)
当社グループの連結売上高は、前連結会計年度と比較して3.2%減少の391億37百万円となりました。
パソコン等販売事業の外部顧客への売上高は、前連結会計年度と比較して3.4%減少の379億10百万円となりました。商品売上高は増加したもののソリューションサービス売上高が減少しました。
インターネット関連事業の外部顧客への売上高は、前連結会計年度と比較して0.9%増加の12億27百万円となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度と比較して1.1%減少の184億53百万円となりました。
(営業利益)
営業利益は、人材配置の最適化を行った結果、販売費及び一般管理費が減少し、前連結会計年度と比較して14.0%増加の29億41百万円となりました。
(営業外収益)
営業外収益は、前連結会計年度と比較して24.3%増加の3億60百万円となりました。主な要因は、受取賃貸料の増加によるものです。
(営業外費用)
営業外費用は、前連結会計年度と比較して54.4%増加の2億83百万円となりました。主な要因は、賃貸費用の増加によるものです。
(経常利益)
経常利益は、前連結会計年度と比較して12.4%増加の30億18百万円となりました。
(特別利益)
特別利益は、24百万円となりました。
(特別損失)
特別損失は、3億57百万円となりました。主な要因は、和解金及び固定資産除却損の計上によるものです。
(総資産経常利益率)
総資産経常利益率は、前連結会計年度と比較して1.2ポイント増加の9.1%となりました。
(自己資本利益率)
自己資本利益率は、前連結会計年度と比較して0.4ポイント増加の7.0%となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」にて記載したとおりであります。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の95億42百万円に対して11億59百万円減少し、83億83百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、自己資金又は借入等により資金調達することとしております。当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、商品保証引当金、税効果会計、減損会計であり、継続して評価を行っております。
④次期見通し
今後の見通しにつきましては、当社の事業領域であるインターネットを中心にしたデバイスやその環境整備の需要は今後も高まると思われます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響は長期化することが予想され、社会の生活様式は過去の延長線ではなく大きく変化する可能性があります。その変化の重要な要素として、デジタルライフを含んだ「スマートライフ」の必要性が高まることは想像に難くないと考えられます。感染症拡大防止という観点だけではなく、新しいスマート時代の価値観として「自宅でのテレワーク」という働き方や「在宅オンライン学習」という学び方など、場所や方法にとらわれない価値の創出があると見込まれ、パソコンやタブレットなどの需要が高まり、それらデバイスは生活に必要不可欠なものとなっていくと予想されます。その社会構造の変化と相まって、パソコンなどのIoT環境は確実に進化していくと予想されます。一方、顧客の需要は、自宅でのテレワーク、在宅オンライン学習という需要と同時に生活に密着した需要が増加すると思われます。これらのパソコンをはじめとしたソリューション事業は当社が従来から推進してきた得意領域であり、当社に追い風になると考えております。引き続き、当社グループは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために安全を確保することを前提に、従来同様パソコンをはじめとしたインターネットデバイス・ネットワーク・コンテンツを「総合的かつ永続的にサポート」するサブスクリプションモデルである「プレミアムメンバーシップ」の推進を強化いたします。
新型コロナウイルスの当社グループへの影響につきましては、スマートライフの必要性の高まりによる商品やソリューション需要が見込まれますが、先行き不透明な経済環境並びに雇用環境が長期化した場合、消費の減退などを起因としたプレミアムメンバー退会による売上の減少の可能性やサプライチェーンの毀損が発生した場合の顧客への商品供給が滞ることによる売上の減少の可能性があります。これらの影響については、2020年4月時点で入手可能な情報をもとに判断をしておりますが、新型コロナウイルスに起因する重大な影響は顕在化しておりません。引き続き、当社グループへの影響を慎重に見極め、今後、2021年3月期連結業績予想に修正の必要が生じた場合は速やかに公表いたします。
社会全般がより一層デジタル環境への構造変化を加速させていることからも、当社事業の必要性を認識していただけるようあらゆる対策を講じてまいります。
以上から2021年3月期の通期連結業績見通しは、以下のように見込んでおります。
[2021年3月期連結業績予想]
2020年3月期 | 2021年3月期 | 前年比 | 前年差 | |
億円 | 億円 | % | 億円 | |
売上高 | 391.37 | 375.00 | 95.8 | △16.37 |
営業利益 | 29.41 | 29.00 | 98.6 | △0.41 |
経常利益 | 30.18 | 30.00 | 99.4 | △0.18 |
当期純利益 | 17.18 | 20.00 | 116.4 | +2.81 |
1株当たり 当期純利益(円) | 34.18 | 39.73 | 116.3 | +5.55 |
また、当社グループは、中期目標として売上高経常利益率10%、ROE15%以上を掲げ、企業価値向上を図ってまいります。