有価証券報告書-第39期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2021年3月31日)現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当事業年度の我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するための対策が優先された結果、経済活動が停滞する状況のなか推移してまいりました。当該感染症の感染拡大も秋季には一旦は収束の兆しが見えておりましたが、冬季に入り再拡大の様相を示し、緊急事態宣言の発令を受けた感染拡大防止措置のなかにあっても感染者数は下げ止まりから増加へと転じ、今後の経済活動への影響が強く懸念される状況にあります。
外食産業におきましては、緊急事態宣言の発令を受け感染防止に対する社会的な要請への協力が強く求められるなか、店舗休業や時間短縮営業等の対応を行ってまいりました。秋季には感染者数も一旦は減少傾向を示し、国及び地方自治体による景気刺激策も功を奏し、一時的に飲食需要の回復が見られました。
しかしながら、冬季に入り当該感染症の感染拡大が再燃し、営業活動の抑制をあらためて求められる状況となり、非常に厳しい経営環境の中にあります。
当社におきましても、社会的要請に従い店舗休業や時間短縮営業を行ってまいりましたことに加え、飲食需要自体が低迷する非常に厳しい状況にあります。
このような状況のなか、当社は営業再開後も感染拡大防止措置として、従業員の出勤前の検温、マスク着用、手指の消毒等を徹底する対策を講じております。なお、当社の店舗は個室型の店舗が大半を占めており、不特定多数のお客様が同席する状況を排除しやすく、比較的安心してご飲食いただける店内環境を利した営業を行ってまいりました。
また、外出自粛が強く意識される社会情勢のなか、中食への需要増加に対応するためテイクアウト及びデリバリーの強化を進めてまいりました。今後は、メニューの充実を進め、当該販売の強化を更に進める予定でおります。
なお、新型コロナウイルス感染症に対する予防及び治療の確立には時間を要する状況にありますので、生活様式の変化に伴う飲食需要の低迷から脱するには時間を要すると考えられます。当社におきましては、上記の施策に加え様々な対応を検討実施し、営業状況の改善を進めてまいります。
また、当面は外食産業の市場規模は縮小が先行するものと予想され、厳しい競争のなか店舗の淘汰が進むものと思われますので、不動産市場においては優良物件の増加が予想されます。これにより、新規出店に際しては選択の自由度はむしろ向上するものと考えております。当社におきましては、店舗閉鎖の先行による企業規模の過剰な縮小を防止し、将来の収益源の確保及び雇用の維持を目的として、慎重な判断を要するものではありますが、新規出店は今後も進める方針であります。
なお、店舗の状況につきましては、次の新規出店、業態変更及び店舗閉鎖を実施いたしました。
○新規出店店舗2店舗
大釜もつ煮五右衛門業態(新業態)2店舗
○業態変更店舗3店舗
しゃぶ将軍田なべ業態1店舗・うま囲業態1店舗・たんとんたん業態1店舗
○店舗閉鎖11店舗
忍家業態8店舗・巴業態1店舗・味斗業態1店舗・うま囲業態1店舗
以上により、当事業年度末の店舗数は88店舗となり、前事業年度末に比べ9店舗減少いたしました。
なお、当社はEBITDA及び店舗におけるFLA売上対比率(F値:食材及び飲料原価・L値:人件費・A値:広告宣伝及び販売促進費用)を重要な経営指標として採用し、FLA率については60.0%以下を管理目標としております。
当事業年度におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い甚大な営業被害を被り、売上高が大幅に減少し、当該数値はそれぞれEBITDAは△913,179千円(前事業年度276,680千円)と前事業年度を下回り推移し、FLA率は74.0%(前事業年度62.2%)と目標値及び前事業年度を下回り推移いたしました。
また、現状において新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた社会的要請により、当社においても店舗休業及び時間短縮営業を実施しております。今後においても、当該感染症の収束時期が不透明な状況のなか、営業活動に極めて大きな影響を受けるものと想定し、当事業年度において減損損失を計上いたしました。
業績につきましては、売上高は2,767,435千円となり前事業年度に比べ3,380,783千円(55.0%)減少と非常に厳しい状況にあります。
また、販売費及び一般管理費につきましては、店舗休業に伴う変動費の減少及び不動産賃料の引き下げ等の固定費削減等により3,008,415千円と前事業年度に比べ1,396,096千円(31.7%)減少しました。しかしながら、売上高の減少により営業損失989,721千円となり、新型コロナウイルス感染症対策への協力に対する公的な補助金により損失は圧縮されましたが、経常損失775,462千円と大幅な損失となりました。
なお、店舗休業に伴い発生しました休業手当267,495千円を特別損失に計上し、当該損失への補填として申請しました雇用調整助成金205,591千円を特別利益に計上いたしました。
また、業績不振店及び閉鎖を決定した店舗にかかる減損損失174,498千円を計上し、店舗閉鎖に伴い発生した店舗閉鎖損失を32,419千円計上いたしました。
以上の結果、当期純損失は1,054,926千円となりました。
当事業年度の経営成績は次のとおりであります。
前事業年度 | 当事業年度 | 増減対比 | ||||
金額 | 構成比 | 金額 | 構成比 | 金額 | 増減率 | |
売上高 | 6,148,219千円 | 2,767,435千円 | △3,380,783千円 | △55.0% | ||
販売費及び一般管理費 | 4,404,512千円 | 71.6% | 3,008,415千円 | 108.7% | △1,396,096千円 | △31.7% |
営業利益又は 営業損失(△) | 143,733千円 | 2.3% | △989,721千円 | △35.8% | △1,133,454千円 | ― |
経常利益又は 経常損失(△) | 151,207千円 | 2.5% | △775,462千円 | △28.0% | △926,670千円 | ― |
当期純損失(△) | △565,485千円 | △9.2% | △1,054,926千円 | △38.1% | △489,441千円 | ― |
セグメント別の業績は次のとおりであります。
売上高 | 営業損失(△) | |||
金額 | 前年同期増減対比 | 金額 | 前年同期増減対比 | |
北関東エリア | 1,265,106千円 | △1,270,534千円 | △158,402千円 | △482,171千円 |
(△50.1%) | (―) | |||
首都圏エリア | 931,949千円 | △1,646,288千円 | △303,375千円 | △541,099千円 |
(△63.9%) | (―) | |||
東北エリア | 569,669千円 | △464,671千円 | △82,200千円 | △170,113千円 |
(△44.9%) | (―) | |||
その他 | 710千円 | 710千円 | △445,742千円 | 59,929千円 |
(―) | (―) |
① 北関東エリア
当セグメントは、茨城県・栃木県・群馬県に設置する店舗で構成しております。当セグメントを構成する店舗は、過半数が郊外に立地する店舗であり、それらの店舗は比較的長期保有の店舗となっております。
当社の保有する店舗は、全般的に酒類販売に依存の高い店舗となっており、酒類消費が減退傾向を強める社会情勢のなか、特に郊外型の店舗はその影響を強く受けているものと考えております。
また、当セグメントは新型コロナウイルス感染者数が比較的多い地域であり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い発令された緊急事態宣言を受け、4月初旬から5月中旬にかけて全店舗の休業を実施し、その後順次全店舗の営業を再開いたしました。秋季の当該感染症の沈静化及び国及び地方公共団体の景気対策により一時的な回復はありましたが、冬季に入り新型コロナウイルス感染症の感染拡大が強まるなか、社会的な感染拡大防止の要請に応えるため、店舗休業や時間短縮営業を余儀なくされる状況にあり、売上高は大幅に減少いたしました。
店舗の状況につきましては、次の業態変更及び店舗閉鎖を実施いたしました。
○業態変更店舗2店舗
忍家神立店→しゃぶ将軍田なべ土浦神立店(茨城県土浦市)
忍家宇都宮池上店→うま囲宇都宮池上オリオン通り店(栃木県宇都宮市)
○店舗閉鎖
味斗つくばエビスタウン店(茨城県つくば市)
以上により、当事業年度末の店舗数は39店舗と、前事業年度末に比べ1店舗減少いたしました。
② 首都圏エリア
当セグメントは、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県に設置する店舗で構成しております。当セグメントを構成する店舗は、駅前に立地する店舗が大半を占めており、当該地域は集散人口が比較的多く広告宣伝に対する感度が高い地域と考えております。
また、当セグメントは新型コロナウイルス感染者が最も多い地域であり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い発令された緊急事態宣言を受け、4月初旬から5月下旬にかけて全店舗の休業を実施し、その後順次営業を再開いたしました。
しかしながら、当該感染症の影響を最も大きく受ける地域であり、緊急事態宣言解除後においても外出自粛等の感染予防策が強く求められた地域であります。
更に、冬季に入り新型コロナウイルス感染症の感染拡大が強まるなか、社会的な感染拡大防止の要請に応えるため、店舗休業や時間短縮営業を余儀なくされる状況にあり、売上高は大幅に減少いたしました。
以上のとおり、当セグメントは当社が出店する地域において最も厳しい営業環境を強いられており、回復の足取りは最も鈍いエリアであり、売上高及び営業利益は前事業年度に比べ大幅に下回り推移しております。
店舗の状況につきましては、次の新規出店、業態変更及び店舗閉鎖を実施いたしました。
○新規出店
大釜もつ煮五右衛門相模原駅前店(神奈川県相模原市中央区)
○業態変更店舗
忍家新鎌ヶ谷店→たんとんたん新鎌ヶ谷店(千葉県鎌ケ谷市)
○店舗閉鎖8店舗
忍家ふじみ野駅前店(埼玉県富士見市)
忍家志木駅東口店(埼玉県新座市)
忍家本川越駅前店(埼玉県川越市)
忍家越谷レイクタウン駅南口店(埼玉県越谷市)
忍家ユーカリが丘駅前店(千葉県佐倉市)
忍家国立店(東京都国立市)
忍家東村山駅前店(東京都東村山市)
うま囲巣鴨駅前店(東京都豊島区)
以上により、当事業年度末の店舗数は33店舗となり、前事業年度末に比べ7店舗減少いたしました。
③ 東北エリア
当セグメントは、宮城県・福島県・山形県に設置する店舗で構成しております。当セグメントを構成する店舗は、北関東エリアと同様に郊外に立地する店舗が多数を占めており、北関東エリアと同様の状況にあるものと考えております。
また、当セグメントは新型コロナウイルス感染者が比較的少ない地域ではありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い発令された緊急事態宣言を受け、4月初旬から5月中旬にかけて全店舗の休業を実施し、その後順次全店舗の営業を再開いたしました。当エリアにおきましても新型コロナウイルス感染症の感染拡大に収束が見込めない状況のなか、極めて厳しい営業環境を強いられておりますが、一部地域においては急激に回復してまいりました。しかしながら、冬季に入り新型コロナウイルス感染症の感染拡大が強まるなか、社会的な感染拡大防止の要請に応えるため、店舗休業や時間短縮営業を余儀なくされる状況にあり、売上高は大幅に減少いたしました。
店舗の状況につきましては、次の新規出店、業態変更及び店舗閉鎖を実施いたしました。
○新規出店
大釜もつ煮五右衛門古川駅前店(宮城県大崎市)
○店舗閉鎖2店舗
忍家長町店(宮城県仙台市太白区)
巴仙台西口店(宮城県仙台市青葉区)
以上により、当事業年度末の店舗数は16店舗と、前事業年度末に比べ1店舗減少いたしました。
④ その他
当セグメントは、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、各報告セグメントに配分されていない全社費用を管理しております。
本部における管理費用は、店舗休業や店舗閉鎖等により減少いたしました。
仕入及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 仕入実績
当事業年度における仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
茨城県 | 260,866 | 51.6 |
栃木県 | 80,129 | 56.8 |
群馬県 | 10,508 | 39.2 |
北関東エリア | 351,504 | 52.2 |
東京都 | 55,424 | 29.7 |
埼玉県 | 90,623 | 37.6 |
千葉県 | 57,655 | 37.1 |
神奈川県 | 30,786 | 43.8 |
首都圏エリア | 234,490 | 35.9 |
福島県 | 92,825 | 62.3 |
宮城県 | 52,450 | 49.2 |
山形県 | 12,911 | 78.2 |
東北エリア | 158,187 | 58.2 |
合計 | 744,182 | 46.6 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
茨城県 | 927,290 | 49.5 |
栃木県 | 291,535 | 53.3 |
群馬県 | 46,280 | 39.6 |
北関東エリア | 1,265,106 | 49.9 |
東京都 | 224,164 | 31.1 |
埼玉県 | 368,852 | 38.2 |
千葉県 | 219,364 | 35.9 |
神奈川県 | 119,567 | 42.8 |
首都圏エリア | 931,949 | 36.1 |
福島県 | 327,332 | 58.6 |
宮城県 | 198,958 | 47.4 |
山形県 | 43,377 | 77.8 |
東北エリア | 569,669 | 55.1 |
その他 | 710 | - |
合計 | 2,767,435 | 45.0 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他は、本部における売上高であります。
(2) 財政状態
総資産は、2,458,892千円となり前事業年度末に比べ428,398千円(14.8%)減少しました。当事業年度における各項目別の状況は次のとおりであります。
① 流動資産
流動資産は、1,560,296千円となり前事業年度末に比べ182,542千円(10.5%)減少しました。
当社の事業形態においては、販売代金の決済は大半が現金による決済であります。クレジットによる決済は漸増傾向にありますが、全体的には依然として現金決済が主体であり、流動資産の構成においても「現金及び預金」が大半(75.0%)を占めております。従いまして、事業活動が正常に遂行されている限りにおいては比較的潤沢な資金の確保が可能であります。しかしながら、当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う営業被害により、売上高が大幅に減少し、当座比率は111.1%(前事業年度255.5%)と減少いたしました。
今後においても新型コロナウイルス感染症拡大防止に向け、臨時休業及び時間短縮営業といった対応を余儀なくされる可能性が高く、一時的な現金資産の減少が見込まれますが、コミットメントライン契約の締結により機動的かつ潤沢な資金供給を可能とする体制を整えております。
なお、主要な項目別の増減は次のとおりであります。
新型コロナウイルス感染症拡大防止のための協力要請への対応に伴い収受見込の給付金増加による「未収入金」が195,561千円の増加に対し、「現金及び預金」は354,907千円の減少、売上高の減少に伴い「売掛金」は17,228千円の減少となりました。
② 固定資産
固定資産は、898,595千円となり前事業年度末に比べ245,855千円(21.5%)減少しました。
当社の事業形態は、店舗への投資による利益獲得を図る装置産業としての側面を持っております。よって、固定資産の構成は、大半が店舗に係るもの(有形固定資産・敷金及び保証金等)であります。また、投資姿勢においては店舗出店への投資が最大の効果を発揮すると考え、その他の金融資産等への投資は積極的には行っておりません。
また、固定資産投資は他人資本に過剰に依存することなく行うものとしておりますが、当事業年度においては新型コロナウイルス感染症の感染拡大による営業被害により、固定比率は118.1%(前事業年度62.3%)と増加する結果となりました。
なお、既存店舗の業況改善と並行し、業績不振店の閉鎖による損失の切り離しも継続して実施してまいりました。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による営業被害が当社の将来の業績に与える影響は当面は継続することが予想されており、減損損失の判定及び測定にあたり当該影響を加味した結果、多額の減損損失を計上いたしました。
従いまして、上記の減損損失の計上、店舗閉鎖に伴う「有形固定資産」の廃棄及び「敷金及び保証金」の回収による減少等により固定資産は大幅に減少いたしました。
主要な項目別の増減は次のとおりであります。
期末評価額の増加による「投資有価証券」の22,576千円増加に対し、減価償却の進捗及び減損損失の計上に伴い「有形固定資産」が168,528千円の減少、店舗閉鎖に伴い「敷金及び保証金」が68,323千円の減少、返戻の進捗に伴い「長期貸付金」が12,798千円の減少、「長期前払費用」が22,149千円の減少等であります。
③ 流動負債及び固定負債
流動負債は、1,294,115千円となり前事業年度末に比べ667,536千円(106.5%)増加しました。
固定負債は、387,456千円となり、前事業年度に比べ40,208千円(9.4%)減少しました。
負債の構成は、大半が金融負債であります。
当事業年度末における負債比率は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う営業被害により繰越利益剰余金が大幅に減少し、221.0%と(前事業年度57.4%)と大幅に増加しました。
今後においても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う営業被害が見込まれておりますので、コミットメントライン契約を締結し、機動的かつ潤沢な資金確保に当たる方針であります。
なお、主要な項目別の増減は次のとおりであります。
流動負債においては、「短期借入金」が500,000千円増加し、社会保険料及び法人税等の納付の延長等により「未払金」が237,912千円の増加及び「未払法人税等」が28,351千円の増加に対し、仕入高の減少に伴い「買掛金」が41,417千円減少、水道光熱費の減少等により「未払費用」が10,383千円の減少、販売協力金の受領見込額減少による「前受収益」が19,725千円の減少、「未払消費税等」が9,155千円の減少等であります。
固定負債においては、閉鎖店舗にかかる原状回復義務の履行及び消滅に伴い「資産除去債務」が62,244千円減少に対し、主に長期前受収益の増加等により「その他」が23,973千円の増加であります。
④ 純資産の部
純資産合計は、777,320千円となり前事業年度末に比べ1,055,726千円(57.6%)減少しました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う営業被害により「当期純損失」が1,054,926千円となり、「剰余金の配当」が19,843千円に対し、「その他有価証券評価差額金」が19,043千円の増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、500,516千円となり、前事業年度に比べ164,908千円(24.8%)減少いたしました。
当社は、運転資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」を原資としており、納税等の臨時的かつ多額な支出に対しては短期借入金により対応するものとしております。また、投資活動に要する資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」の範囲内に留め、過剰な投資による財政状態の悪化を未然に防止しつつ、毎期安定的な成長を確保するものとしております。しかしながら、当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により甚大な営業被害を被る状況のなか、「営業活動によるキャッシュ・フロー」は大幅なマイナスとなりました。
また、今後においても新型コロナウイルス感染症の感染拡大は当面は解消が困難な状況と思われます。よって、今後も同様の営業被害の発生が見込まれる状況にありますので、コミットメントライン契約を締結し機動的かつ潤沢な運転資金を確保できる体制を図っております。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは△747,235千円となり前事業年度に比べ868,032千円減少いたしました。
当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経済活動の停滞により、極めて大きな営業被害を被っております。なお、営業時間の短縮による経費削減、社会保険料及び消費税等の納付猶予や、雇用調整助成金の利用等により現金支出の抑制に努めてはおりますが、厳しい営業環境のなか多額の税引前当期純損失を計上するに至り、営業活動によるキャッシュ・フローは大幅に減少いたしました。
主要な資金の増減は次のとおりであります。なお、( )内は前事業年度との資金の増減比較であります。
○主な現金増加要因
・非資金損益項目として計上した「減価償却費」76,541千円(56,405千円減少)
・非資金損益項目として計上した「減損損失」174,498千円(83,718千円減少)
・「売上債権の増減額」17,228千円(5,427千円減少)
・「前払費用の増減額」18,248千円(23,621千円増加)
・「未払金の増減額」228,998千円(280,081千円増加)
・「その他の負債の増減額」23,973千円(23,735千円増加)
・「雇用調整助成金の受取額」143,781千円(143,781千円増加)
○主な現金減少要因
・「税引前当期純損失」△1,045,374千円(882,820千円減少)
・「未収入金の増減額」△105,655千円(124,041千円減少)
・「仕入債務の増減額」△41,417千円(13,469千円増加)
・「前受収益の増減額」△19,725千円(21,965千円減少)
・「休業手当の支払額」△267,495千円(267,495千円減少)
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは107,589千円となり前事業年度に比べ189,572千円増加いたしました。
当事業年度において、主な設備投資としまして、2店舗の新規出店及び既存店舗の収益改善を目的とした3店舗の業態変更等を実施いたしました。なお、厳しい営業状況のなか不足する現金への対応として、定期預金の一部を解約いたしました。
主要な資金の増減は次のとおりであります。なお、( )内は前事業年度との資金の増減比較であります。
○主な現金増加要因
・「定期預金の払戻による収入」310,000千円(111,700千円減少)
・「建設協力金の回収による収入」14,132千円(424千円減少)
・店舗閉鎖に伴う「敷金及び保証金の回収による収入」40,825千円(26,019千円減少)
○主な現金減少要因
・「定期預金の預入による支出」△126,000千円(280,850千円増加)
・「有形固定資産の取得による支出」△61,191千円(90,413千円増加)
・店舗閉鎖に伴う「資産除去債務の履行による支出」△68,648千円(36,814千円減少)
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは474,737千円となり前事業年度に比べ525,641千円増加いたしました。
当事業年度において、厳しい営業状況のなか不足する資金への対応として、コミットメントライン契約を活用した資金調達を実施いたしました。
主要な資金の増減は次のとおりであります。なお、( )内は前事業年度との資金の増減比較であります。
○主な現金増加要因
・「短期借入金の純増減額」500,000千円(500,000千円増加)
○主な現金減少要因
・「ファイナンス・リース債務の返済による支出」△5,492千円(5,856千円増加)
・「配当金の支払額」△19,769千円(19,784千円増加)
(資本の財源及び資金の流動性)
当社の運転資金需要の主なものは、食材等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
投資に対する資金需要は、主に店舗の出店若しくは業態変更に要する設備投資及び預託保証金の支出によるものであります。また、株主の皆様への還元については、投資余力及び財務の健全性を確保しつつ、配当政策に基づき実施するものとしております。
上記のそれぞれの資金需要に対しては、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローにより蓄積した内部留保により賄うことを原則としております。また、臨時的かつ多額な資金需要に対しては、コミットメントライン契約又は当座借越契約を利用した短期資金により対応するものとしております。
なお、回収期間が長期に及ぶ投資支出につきましては、投資を実施する事業年度に見込まれる営業活動によるキャッシュ・フローにより得られる資金の範囲内に抑えることとし、外部資金に過剰に依存する投資は行わないものとしております。
社会情勢としましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動の停滞が今後も一定期間継続するものと思われ、当社におきましても店舗休業や時間短縮営業等の感染防止への対応を要するものであり、厳しい経営環境を強いられるものと考えております。運転資金を含む臨時的な資金需要の増大に対しては、コミットメントライン契約の締結により機動的な資金供給を可能とする体制を整えております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成に当たり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。