四半期報告書-第12期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/02/04 10:00
【資料】
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【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間(2019年4月1日~2019年12月31日)における我が国経済は、通商問題をめぐる動向、中国経済の先行き、英国のEU離脱問題、金融資本市場の変動等の海外経済の不透明さもあり、輸出の低迷や製造業の生産活動が伸び悩みました。また、10月には消費税率の引き上げがあり、消費者マインドの動向が個人消費・景気に大きく影響する結果となりました。消費増税は、軽減税率の導入や教育・保育の無償化等の消費増税対策のほか、良好な雇用環境もあり、前回2014年増税時と比べ増税後の反動が限定的となると想定されている中、マインドの悪影響の長期化も懸念されています。
小売業においては、キャッシュレス決済時に利用客向けポイント還元策が導入され、コンビニエンスストア等反動減が大きくない業種がある一方で、百貨店業界は消費税率の引き上げに加えて、韓国をはじめ訪日外国人の伸び率鈍化によるインバウンド需要の伸び悩み、相次ぐ台風の上陸による臨時休業、暖冬による冬物商戦の苦戦等の影響もあり、厳しい環境に置かれています。
このような厳しい状況において、当社グループは「人と時代をつなぐ三越伊勢丹グループ」の実現に向けてお客さまの生活の中のさまざまなシーンでお役に立てるよう「変化」「変革」し、新しい価値の創出に努めております。そのために、将来に向けた先行投資を継続し、長年培ってきた人や店舗を通じたノウハウ・リソースに加えて、デジタル等の新しい力も取り入れた「ビジネスモデル改革」を進めております。あわせて、この環境の中、今まで当たり前としてきた常識、ノウハウ、仕組み、業務すべての項目を聖域なく見直し、ビジネスモデル改革と連動した抜本的な構造改革にも着手しております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は875,260百万円(前年同四半期比2.9%減)、営業利益は21,098百万円(前年同四半期比17.1%減)、経常利益は23,099百万円(前年同四半期比14.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は7,862百万円(前年同四半期比31.3%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
①百貨店業
百貨店業におきましては、ビジネスモデルの再構築を進めております。
基幹店につきましては、今までのマーチャンダイジング中心の店舗作りから、お客さまを快適な環境でお迎えするとともに、「人」と「デジタル」を活用し収益力の向上のための活性化施策として店舗リモデルを進めており、順次、オープンさせています。三越日本橋本店では、「世界最高のおもてなし百貨店」をコンセプトに、デジタルを活用した新しいおもてなしの仕組みを導入し2018年10月に第一期リモデルオープンいたしました。2019年春より第二期リモデルに着手し、時計、宝飾、美術等のカテゴリーを対象とし2020年春の完成を目指しておりますが、リモデル工事中につき一部閉鎖中のフロアがありお客さまにご不便をおかけしております。2019年11月には、宝石サロンが「ジュエリーギャラリー」として、美術館やギャラリーでアート作品を鑑賞するように、自由で特別な空間の中で特別なジュエリーに出会える場所として生まれ変わりました。伊勢丹新宿本店では、2019年春より本館を段階的にリフレッシュオープンしております。その中、ここ数年売上規模が急激に拡大していた化粧品フロアを拡大させ、11月20日に1階と2階の2フロアがグランドオープンいたしました。化粧品オンラインストア「meeco(ミーコ)」とも連動し、新しいお客さまの獲得にも繋げてまいります。三越銀座店につきましては、消費増税後の反動や訪日外国人の減少が響き、化粧品や時計・宝飾等で苦戦しました。
支店、地域百貨店、海外店につきましては、収益性に課題のあった店舗を中心に構造改革を進めてまいりました。今後も、マーケティングを通じた地域毎のお客さまのニーズや各店の置かれた状況にあわせ、業態転換やリサイジングを含めたビジネスモデル改革を進めることで、エリア毎のお客さまのニーズに応えられるよう取り組んでまいります。
EC事業につきましては、基幹3店と連動した企画や展開商品の拡大、デジタルを活用した新たなサービスの導入によりお客さまの利便性向上に取り組んでおります。2020年4月には、現在複数存在し統一化できていない三越と伊勢丹のサイトとアプリを統合し、暖簾を越えてお買物と店舗イベント情報を一つのプラットフォームに集約し顧客接点を統合することで、シームレス推進に向けた準備を進めております。
このセグメントにおける売上高は811,977百万円(前年同四半期比3.3%減)、営業利益は9,775百万円(前年同四半期比34.9%減)となりました。
②クレジット・金融・友の会業
クレジット・金融・友の会業におきましては、当社の持つシステムインフラや優良顧客を基盤に拡大を目指しております。株式会社エムアイカードは、グループ百貨店の店舗数の減少により、会員数やグループ百貨店取扱高が減少する中、収入面では、外部加盟店手数料が前年を上回ったものの、百貨店手数料の計画未達が響き、全体では計画を下回りました。一方で、ゴールドカード会員獲得に注力したことにより、ロイヤリティの高い会員獲得が進みました。百貨店以外の外部加盟店契約の拡大や大手企業との提携やプロパーカードの発行等、百貨店に依存しないビジネスモデル改革に継続的に取り組んでおります。
このセグメントにおける売上高は29,912百万円(前年同四半期比0.9%増)、営業利益は4,732百万円(前年同四半期比15.1%減)となりました。
③不動産業
不動産業におきましては、グループの保有する国内外の優良不動産を活用した収益性のある事業機会の創出に向けた検討を進めております。保有不動産の資産価値最大化に向け、伊勢丹新宿本店周辺の不動産を取得する一方で、保有するノンコア物件の売却を決定し、資産の組替えを進めてまいりました。
株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザインは、2019年4月にビルマネジメント事業を株式会社三越伊勢丹アイムファシリティーズへ事業継承し、テナントマネジメント事業、建装・デザイン事業等に集中して事業を進めております。建装・デザイン事業の建装分野においては、東京オリンピック・パラリンピックを控え大型案件受注が増え順調に推移しています。テナントマネジメント事業においては、「アルタ」「ミーツ国分寺」「FOOD&TIME ISETAN YOKOHAMA」においてブランド力の向上に努め、これらのノウハウを活用できる新たな商業施設運営について検討を進めております。
株式会社三越伊勢丹不動産は、賃貸物件が高稼働率にて推移し、安定的な収益を確保しております。
このセグメントにおける売上高は25,596百万円(前年同四半期比23.8%減)、営業利益は4,594百万円(前年同四半期比12.5%減)となりました。
④その他
その他の事業におきましては、お客さまのニーズにお応えする新たな価値提供を目指しております。
旅行事業におきましては、2019年4月にシニアマーケットに強みを有する株式会社ニッコウトラベルと、株式会社三越伊勢丹旅行が企業統合し、両社顧客やグループ百貨店顧客への相互拡販、共同仕入れによるコスト削減等の取り組みを進めております。今年度前半はゴールデンウィーク10連休特需などもあり好調に推移していましたが、当第3四半期連結会計期間において、主力の海外事業は自社企画の欧州リバークルーズは引き続き好調に推移しましたが、欧州・北米・アジアともにツアーの集客に苦戦し、厳しい結果となりました。国内事業は自社保有バスの減車等により同事業の効率化を進めております。
美容事業の株式会社ソシエ・ワールドにつきましては、主力であるエステティック事業が、競合環境激化に加えて、多様化する顧客ニーズへの対応が遅れ、厳しい結果となりました。10月には一部店舗の営業を終了するなど、不採算店舗のスクラップや経費抑制によるコスト削減を進める一方で、顧客ニーズの変化に合わせた抜本的なビジネスモデルの変革を進めております。
このセグメントにおける売上高は64,335百万円(前年同四半期比5.7%減)、営業利益は1,805百万円(前年同四半期は営業損失369百万円)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は1,297,622百万円となり、前連結会計年度末に比べ50,195百万円増加しました。これは主に、季節要因により受取手形及び売掛金が増加したことと、第1四半期連結会計期間より、国際財務報告基準(IFRS)に準拠した財務諸表を連結している在外連結子会社についてIFRS第16号「リース」を適用したことにより、有形固定資産のその他(純額)が増加したことなどによるものです。
負債合計では721,239百万円となり、前連結会計年度末から59,527百万円増加しました。これは主に、季節要因により支払手形及び買掛金が増加したこと、有利子負債が増加したこと及び、前述のIFRS第16号「リース」を適用したことにより、固定負債のその他が増加したことなどによるものです。
また、純資産は576,382百万円となり、前連結会計年度末から9,332百万円減少しました。これは主に、自己株式を取得したことと、一部通貨が円高に推移したこと等により為替換算調整勘定が減少したことなどによるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
該当事項はありません。
(5) 従業員数
該当事項はありません。