有価証券報告書-第11期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善傾向がみられたものの、自然災害に伴う訪日外国人の減少や供給の制約などにより、消費マインドにおいてマイナス影響を及ぼしました。また、年度後半は世界経済の不確実性が高まる中で推移いたしました。
このような中にあって、当社グループは2018年4月に「私たちの考え方」を制定し、企業の方向性を明確に定めました。同年11月には「私たちの考え方」をベースとした「三越伊勢丹グループ中期経営計画」を策定いたしました。同計画においては、「人と時代をつなぐ三越伊勢丹グループ」の確立に向け、当社の強みを活かし、お客さまとモノ・コト・情報を「オフライン(店舗)とオンライン(EC)でマッチング」することで新たな価値を創造していくことをめざす姿として描きました。
中期経営計画の一環として、2017年度より不採算店舗の閉鎖、不採算事業の整理を進めてきた結果、大規模構造改革は一定の目途がたちました。コスト構造改革は継続してまいりますが、2018年度は、ビジネスモデル転換に向けた事業基盤の整備、店舗の投資や店舗事業改革等の取り組みに加えて、次の成長に向けた新しい事業へのチャレンジにも着手いたしました。あわせて、コーポレート・ガバナンス体制の強化にも取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の連結決算につきましては、売上高は1,196,803百万円(前連結会計年度比4.7%減)、営業利益は29,229百万円(前連結会計年度比19.7%増)、経常利益は31,995百万円(前連結会計年度比17.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は13,480百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失960百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
百貨店業
百貨店業におきましては、高価格帯の雑貨や衣料品、化粧品の品揃えを強化した結果、国内百貨店を中心に売上を牽引し、既存店ベースで前年実績を上回りました。また、各社でコスト構造改革を進めてきた結果、販売管理費を大きく削減いたしました。
お客さまの価値観、買い方、生活スタイル、加えて、市場環境も大きく変化しています。そのような中、当社グループではデジタルを活用し、最高レベルでのサービスを提供するための新たな百貨店モデルの確立をめざし、人・店舗・IT相互の力を活用したモデル転換について、先ずは基幹店において具体的取り組みに着手いたしました。
三越日本橋本店においては、おもてなしを中心とし、パーソナルショッピングを強化した百貨店へと変化する大規模改装(第1期リモデル)を2018年10月に約30年ぶりに実施いたしました。本館1階を中心に、お客さまのご要望やご相談にお応えするカテゴリースペシャリストが常駐するデスクや特別なお客さまのラウンジを設けるなどお客さまをおもてなしする環境を整えました。カテゴリースペシャリストと案内役のガイドがIT技術を活用のうえ、情報連携し、ブランドやカテゴリーの垣根を超えた日本橋本店全体での商品提案を行える体制を整えました。
伊勢丹新宿本店では、世界NO.1のメンズファッションストアの実現に向け、「商品」「サービス」「空間」の磨き上げを行いメンズ館のリモデルを15年ぶりに実施いたしました。世界最先端・最高峰のファッションの追求やカスタマイズできる商品の拡充、アナログとデジタルを融合したパーソナルな購買体験の提供等、お客さま一人ひとりのご要望に寄り添える環境を整え、あわせて伊勢丹の包装紙を22年ぶりに刷新いたしました。
お客さまとの接点拡大に向け新たなオンラインビジネスにも取り組んでおります。2018年6月には定期宅配事業「ISETAN DOOR」をスタートいたしました。2019年2月には伊勢丹新宿本店の強みを活かした化粧品オンラインストア「meeco(ミーコ)」を、3月にはSNS等を活用し、お客さまと双方向で商品開発・モノづくりを行うオンライン専業の「アームインアーム」を立ち上げました。
なお、限られた経営資源を新たな成長分野へ再配分するため、収益性に課題のあった伊勢丹相模原店、伊勢丹府中店、新潟三越、岩田屋久留米店新館の営業終了を決定いたしました。(岩田屋久留米店新館につきましては2019年3月に閉店いたしました。)営業終了に伴うご不便について深くお詫び申し上げるとともに、今までのご支援やご愛顧に御礼申しあげます。
このセグメントにおける、売上高は1,111,202百万円(前連結会計年度比1.8%減)、営業利益は15,313百万円(前連結会計年度比5.7%増)となりました。
クレジット・金融・友の会業
クレジット・金融・友の会業につきましては、株式会社エムアイカードは、グループ外企業との連携による会員規模の拡大やエムアイポイントの魅力度向上、既存カードの収益力強化等に重点的に取り組みました。
2018年10月に「福岡ソフトバンクホークス エムアイカード」、同年11月には「レクサス東京 エムアイカードプラス プラチナ」等の新規カードを発行する等、お客さまのニーズに合わせたカードのラインナップを揃えることで、会員数の拡大を図りました。また、グループのポイントプログラムである「エムアイポイント」は、活用範囲をグループ外に拡大しております。当年度は新たに35社とのポイント交換を開始することで、お客さまの百貨店以外でのご利用を促進し、収益力向上に取り組みました。
このセグメントにおける、売上高は39,116百万円(前連結会計年度比0.5%増)、営業利益は6,422百万円(前連結会計年度比19.7%増)となりました。
不動産業
不動産業におきましては、商業不動産事業として2018年3月に横浜のジョイナスに食特化型ストアの新たな商業施設「FOOD&TIME ISETAN YOKOHAMA」、同年4月には国分寺駅北口に地域密着型の商業施設「ミーツ国分寺」を開業し、商業施設運営を推進しております。
海外においては、野村不動産株式会社とフィリピン大手不動産会社のFederal Land Incorporatedとの共同事業で、フィリピンでのレジデンスおよび商業施設の複合不動産開発プロジェクトに継続して取り組み、2018年11月にレジデンス第1期の販売を開始いたしました。また、商業施設部分において、百貨店とは異なる新しい複合商業施設の名称を「MITSUKOSHI」とし、「食」を中心としたショップや業態の誘致・展開をめざしていくことを発表いたしました。
また、株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザインは、業務運営の効率化、生産性向上を図るため、2019年4月1日付でビルマネジメント事業を株式会社三越伊勢丹アイムファシリティーズ(旧社名「株式会社アイム環境ビル管理」)へ事業承継いたしました。
このセグメントにおける、売上高は48,303百万円(前連結会計年度比7.2%増)、営業利益は7,786百万円(前連結会計年度比17.7%増)となりました。
その他
その他の事業におきましては、構造改革の一環として、不採算であった通信販売事業やファッションブランド事業を終了いたしました。不採算事業の整理により売上高は減少しましたが、経費構造への取り組みによりセグメント収益が改善しました。
また、今後の成長が見込める旅行事業においては、株式会社三越伊勢丹旅行と株式会社ニッコウトラベルを2019年4月に企業統合し、効率化を図るとともに統合効果の追求を通じお客さまへの提供価値を高めてまいります。
美容事業に関しては、株式会社ソシエ・ワールドが当社グループ内店舗への出店をいたしましたが、美容に対するお客さまのニーズの多様化や競争激化により売上高の減少が続いており、今後も早急な業績の回復が見込めないことから、当連結会計年度において特別損失としてのれん等の減損損失を126億円計上いたしました。
このセグメントにおける、売上高は88,970百万円(前連結会計年度比38.8%減)、営業損失は302百万円(前連結会計年度は営業損失2,252百万円)となりました。
当連結会計年度末の総資産は1,247,427百万円となり、前連結会計年度末に比べ28,108百万円減少しました。これは主に、無形固定資産が減少したことと、現金及び預金が減少したことなどによるものです。
負債合計では661,711百万円となり、前連結会計年度末から25,732百万円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金が減少したことと、繰延税金負債が減少したことなどによるものです。
また、純資産は585,715百万円となり、前連結会計年度末から2,376百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が増加した一方で、為替換算調整勘定及び、その他有価証券評価差額金が減少したことなどによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて3,822百万円減少し、50,147百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、28,286百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が44,685百万円減少しました。これは主に、売上債権が増加(前期は減少)したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、22,450百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が4,530百万円減少しました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が発生した一方で、有形及び無形固定資産の売却によるよる収入が発生したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、9,063百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が43,689百万円減少しました。これは主に、有利負債の返済による支出が減少したことなどによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績及び受注実績
当社及び当社の関係会社においては、その他事業の一部に実績がありますが、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
1)概要
当社グループの当連結会計年度の経営成績の概要として、連結売上高は1,196,803百万円(前連結会計年度比4.7%減)、連結営業利益は29,229百万円(前連結会計年度比19.7%増)、連結経常利益は31,995百万円(前連結会計年度比17.1%増)を計上しました。特別損益及び税金費用等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は13,480百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失960百万円)となりました。以下、連結財務諸表に重要な影響を与えた要因について分析します。
2)売上高
連結売上高は、1,196,803百万円となりました。中核の百貨店業では、我が国経済において雇用・所得環境の改善傾向がみられたものの、自然災害に伴う訪日外国人の減少や供給の制約などにより、消費マインドにおいてマイナス影響が及びました。また、年度後半は世界経済の不確実性が高まりました。
このような中にあって、当社グループは2018年4月に「私たちの考え方」を制定し、企業の方向性を明確に定めました。同年11月には「私たちの考え方」をベースとした「三越伊勢丹グループ中期経営計画」を策定いたしました。同計画においては、「人と時代をつなぐ三越伊勢丹グループ」の確立に向け、当社の強みを活かし、お客さまとモノ・コト・情報を「オフライン(店舗)とオンライン(EC)でマッチング」することで新たな価値を創造していくことをめざす姿として描きました。
3)販売費及び一般管理費
連結の販売費及び一般管理費は319,052百万円(前連結会計年度比6.9%減)となりました。各社でコスト構造改革を進めてきた結果、販売管理費を大きく削減いたしました。
4)営業外損益
営業外損益は2,766百万円の利益となりました。営業外収益には未回収商品券受入益5,747百万円などを計上しました。また、営業外費用には商品券回収損引当金繰入額5,744百万円などを計上しました。
5)特別損益
特別利益として30,015百万円を計上いたしました。主な内容は固定資産売却益29,961百万円などです。また特別損失として46,766百万円を計上いたしました。主な内容は減損損失32,447百万円、事業構造改善費用5,828百万円、店舗閉鎖損失4,166百万円などです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの運転資金需要の主なものは、商品、原材料等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また投資資金需要の主なものは、店舗のリモデル・設備の修繕・新規開発等の設備投資等であります。
運転資金と投資資金については、営業キャッシュ・フローでの充当を基本とし必要に応じて資金調達を実施しております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善傾向がみられたものの、自然災害に伴う訪日外国人の減少や供給の制約などにより、消費マインドにおいてマイナス影響を及ぼしました。また、年度後半は世界経済の不確実性が高まる中で推移いたしました。
このような中にあって、当社グループは2018年4月に「私たちの考え方」を制定し、企業の方向性を明確に定めました。同年11月には「私たちの考え方」をベースとした「三越伊勢丹グループ中期経営計画」を策定いたしました。同計画においては、「人と時代をつなぐ三越伊勢丹グループ」の確立に向け、当社の強みを活かし、お客さまとモノ・コト・情報を「オフライン(店舗)とオンライン(EC)でマッチング」することで新たな価値を創造していくことをめざす姿として描きました。
中期経営計画の一環として、2017年度より不採算店舗の閉鎖、不採算事業の整理を進めてきた結果、大規模構造改革は一定の目途がたちました。コスト構造改革は継続してまいりますが、2018年度は、ビジネスモデル転換に向けた事業基盤の整備、店舗の投資や店舗事業改革等の取り組みに加えて、次の成長に向けた新しい事業へのチャレンジにも着手いたしました。あわせて、コーポレート・ガバナンス体制の強化にも取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の連結決算につきましては、売上高は1,196,803百万円(前連結会計年度比4.7%減)、営業利益は29,229百万円(前連結会計年度比19.7%増)、経常利益は31,995百万円(前連結会計年度比17.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は13,480百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失960百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
百貨店業
百貨店業におきましては、高価格帯の雑貨や衣料品、化粧品の品揃えを強化した結果、国内百貨店を中心に売上を牽引し、既存店ベースで前年実績を上回りました。また、各社でコスト構造改革を進めてきた結果、販売管理費を大きく削減いたしました。
お客さまの価値観、買い方、生活スタイル、加えて、市場環境も大きく変化しています。そのような中、当社グループではデジタルを活用し、最高レベルでのサービスを提供するための新たな百貨店モデルの確立をめざし、人・店舗・IT相互の力を活用したモデル転換について、先ずは基幹店において具体的取り組みに着手いたしました。
三越日本橋本店においては、おもてなしを中心とし、パーソナルショッピングを強化した百貨店へと変化する大規模改装(第1期リモデル)を2018年10月に約30年ぶりに実施いたしました。本館1階を中心に、お客さまのご要望やご相談にお応えするカテゴリースペシャリストが常駐するデスクや特別なお客さまのラウンジを設けるなどお客さまをおもてなしする環境を整えました。カテゴリースペシャリストと案内役のガイドがIT技術を活用のうえ、情報連携し、ブランドやカテゴリーの垣根を超えた日本橋本店全体での商品提案を行える体制を整えました。
伊勢丹新宿本店では、世界NO.1のメンズファッションストアの実現に向け、「商品」「サービス」「空間」の磨き上げを行いメンズ館のリモデルを15年ぶりに実施いたしました。世界最先端・最高峰のファッションの追求やカスタマイズできる商品の拡充、アナログとデジタルを融合したパーソナルな購買体験の提供等、お客さま一人ひとりのご要望に寄り添える環境を整え、あわせて伊勢丹の包装紙を22年ぶりに刷新いたしました。
お客さまとの接点拡大に向け新たなオンラインビジネスにも取り組んでおります。2018年6月には定期宅配事業「ISETAN DOOR」をスタートいたしました。2019年2月には伊勢丹新宿本店の強みを活かした化粧品オンラインストア「meeco(ミーコ)」を、3月にはSNS等を活用し、お客さまと双方向で商品開発・モノづくりを行うオンライン専業の「アームインアーム」を立ち上げました。
なお、限られた経営資源を新たな成長分野へ再配分するため、収益性に課題のあった伊勢丹相模原店、伊勢丹府中店、新潟三越、岩田屋久留米店新館の営業終了を決定いたしました。(岩田屋久留米店新館につきましては2019年3月に閉店いたしました。)営業終了に伴うご不便について深くお詫び申し上げるとともに、今までのご支援やご愛顧に御礼申しあげます。
このセグメントにおける、売上高は1,111,202百万円(前連結会計年度比1.8%減)、営業利益は15,313百万円(前連結会計年度比5.7%増)となりました。
クレジット・金融・友の会業
クレジット・金融・友の会業につきましては、株式会社エムアイカードは、グループ外企業との連携による会員規模の拡大やエムアイポイントの魅力度向上、既存カードの収益力強化等に重点的に取り組みました。
2018年10月に「福岡ソフトバンクホークス エムアイカード」、同年11月には「レクサス東京 エムアイカードプラス プラチナ」等の新規カードを発行する等、お客さまのニーズに合わせたカードのラインナップを揃えることで、会員数の拡大を図りました。また、グループのポイントプログラムである「エムアイポイント」は、活用範囲をグループ外に拡大しております。当年度は新たに35社とのポイント交換を開始することで、お客さまの百貨店以外でのご利用を促進し、収益力向上に取り組みました。
このセグメントにおける、売上高は39,116百万円(前連結会計年度比0.5%増)、営業利益は6,422百万円(前連結会計年度比19.7%増)となりました。
不動産業
不動産業におきましては、商業不動産事業として2018年3月に横浜のジョイナスに食特化型ストアの新たな商業施設「FOOD&TIME ISETAN YOKOHAMA」、同年4月には国分寺駅北口に地域密着型の商業施設「ミーツ国分寺」を開業し、商業施設運営を推進しております。
海外においては、野村不動産株式会社とフィリピン大手不動産会社のFederal Land Incorporatedとの共同事業で、フィリピンでのレジデンスおよび商業施設の複合不動産開発プロジェクトに継続して取り組み、2018年11月にレジデンス第1期の販売を開始いたしました。また、商業施設部分において、百貨店とは異なる新しい複合商業施設の名称を「MITSUKOSHI」とし、「食」を中心としたショップや業態の誘致・展開をめざしていくことを発表いたしました。
また、株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザインは、業務運営の効率化、生産性向上を図るため、2019年4月1日付でビルマネジメント事業を株式会社三越伊勢丹アイムファシリティーズ(旧社名「株式会社アイム環境ビル管理」)へ事業承継いたしました。
このセグメントにおける、売上高は48,303百万円(前連結会計年度比7.2%増)、営業利益は7,786百万円(前連結会計年度比17.7%増)となりました。
その他
その他の事業におきましては、構造改革の一環として、不採算であった通信販売事業やファッションブランド事業を終了いたしました。不採算事業の整理により売上高は減少しましたが、経費構造への取り組みによりセグメント収益が改善しました。
また、今後の成長が見込める旅行事業においては、株式会社三越伊勢丹旅行と株式会社ニッコウトラベルを2019年4月に企業統合し、効率化を図るとともに統合効果の追求を通じお客さまへの提供価値を高めてまいります。
美容事業に関しては、株式会社ソシエ・ワールドが当社グループ内店舗への出店をいたしましたが、美容に対するお客さまのニーズの多様化や競争激化により売上高の減少が続いており、今後も早急な業績の回復が見込めないことから、当連結会計年度において特別損失としてのれん等の減損損失を126億円計上いたしました。
このセグメントにおける、売上高は88,970百万円(前連結会計年度比38.8%減)、営業損失は302百万円(前連結会計年度は営業損失2,252百万円)となりました。
当連結会計年度末の総資産は1,247,427百万円となり、前連結会計年度末に比べ28,108百万円減少しました。これは主に、無形固定資産が減少したことと、現金及び預金が減少したことなどによるものです。
負債合計では661,711百万円となり、前連結会計年度末から25,732百万円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金が減少したことと、繰延税金負債が減少したことなどによるものです。
また、純資産は585,715百万円となり、前連結会計年度末から2,376百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が増加した一方で、為替換算調整勘定及び、その他有価証券評価差額金が減少したことなどによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて3,822百万円減少し、50,147百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、28,286百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が44,685百万円減少しました。これは主に、売上債権が増加(前期は減少)したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、22,450百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が4,530百万円減少しました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が発生した一方で、有形及び無形固定資産の売却によるよる収入が発生したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、9,063百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が43,689百万円減少しました。これは主に、有利負債の返済による支出が減少したことなどによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績及び受注実績
当社及び当社の関係会社においては、その他事業の一部に実績がありますが、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前連結会計年度比 (%) |
百貨店業 | 1,108,536 | △1.9 |
クレジット・金融・友の会業 | 22,458 | 3.7 |
不動産業 | 31,258 | 12.8 |
その他 | 34,550 | △55.4 |
合計 | 1,196,803 | △4.7 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
1)概要
当社グループの当連結会計年度の経営成績の概要として、連結売上高は1,196,803百万円(前連結会計年度比4.7%減)、連結営業利益は29,229百万円(前連結会計年度比19.7%増)、連結経常利益は31,995百万円(前連結会計年度比17.1%増)を計上しました。特別損益及び税金費用等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は13,480百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失960百万円)となりました。以下、連結財務諸表に重要な影響を与えた要因について分析します。
2)売上高
連結売上高は、1,196,803百万円となりました。中核の百貨店業では、我が国経済において雇用・所得環境の改善傾向がみられたものの、自然災害に伴う訪日外国人の減少や供給の制約などにより、消費マインドにおいてマイナス影響が及びました。また、年度後半は世界経済の不確実性が高まりました。
このような中にあって、当社グループは2018年4月に「私たちの考え方」を制定し、企業の方向性を明確に定めました。同年11月には「私たちの考え方」をベースとした「三越伊勢丹グループ中期経営計画」を策定いたしました。同計画においては、「人と時代をつなぐ三越伊勢丹グループ」の確立に向け、当社の強みを活かし、お客さまとモノ・コト・情報を「オフライン(店舗)とオンライン(EC)でマッチング」することで新たな価値を創造していくことをめざす姿として描きました。
3)販売費及び一般管理費
連結の販売費及び一般管理費は319,052百万円(前連結会計年度比6.9%減)となりました。各社でコスト構造改革を進めてきた結果、販売管理費を大きく削減いたしました。
4)営業外損益
営業外損益は2,766百万円の利益となりました。営業外収益には未回収商品券受入益5,747百万円などを計上しました。また、営業外費用には商品券回収損引当金繰入額5,744百万円などを計上しました。
5)特別損益
特別利益として30,015百万円を計上いたしました。主な内容は固定資産売却益29,961百万円などです。また特別損失として46,766百万円を計上いたしました。主な内容は減損損失32,447百万円、事業構造改善費用5,828百万円、店舗閉鎖損失4,166百万円などです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの運転資金需要の主なものは、商品、原材料等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また投資資金需要の主なものは、店舗のリモデル・設備の修繕・新規開発等の設備投資等であります。
運転資金と投資資金については、営業キャッシュ・フローでの充当を基本とし必要に応じて資金調達を実施しております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。