当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。また、当社グループは「投資・金融サービス業」の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は緩やかに回復しました。価格転嫁の進展等により、企業収益は高水準で推移したほか、設備投資は総じて底堅い動きとなりました。また、賃上げの流れが継続していることが窺われた一方で、コメ価格等の上昇を主因として全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、コアCPI)が前年比+2%を上回って推移し、物価高によって家計の消費マインドが下押しされ、個人消費は幾分弱めの状況が続きました。
こうした環境のなか、日経平均株価は7月半ばに一時42,000円台まで上昇し、史上最高値を更新しました。しかし、日米要人による円安牽制発言や米国経済への懸念の強まりを受けた急速な円高進行が嫌気され、8月上旬には31,000円台まで急落する場面がありました。その後は、国内主要企業の好決算などが相場の下支えとなった一方、米国経済に対する先行き不安から変動率の高い値動きとなりました。1月以降は、トランプ政権の政策に対する不透明感や円高進行、AI投資の減速懸念が嫌気され、軟調に推移しました。年度末にかけては、米国による自動車への追加関税発動や相互関税に関する発表などを背景に下落幅を拡大する展開となり、日経平均株価は35,617円56銭で当年度の取引を終えました。
債券市場では、4月初旬に0.75%程度だった日本の10年物国債利回りは、日銀の利上げ観測を背景に上昇し、6月から7月にかけて1.0%前後で推移しました。その後は、米国経済の減速懸念が強まったことから8月には一時0.8%を下回ったものの、10月以降は再び上昇に転じ、1月の追加利上げや決算期末に向けた持ち高調整の売りなどを受けて、10年物国債利回りは1.485%で当年度の取引を終えました。為替市場では、4月から6月にかけて米国の堅調な経済指標を背景に利下げ期待が後退し、1ドル=160円台まで円安が進行しました。7月以降は、米景気の先行き懸念から、一時1ドル=140円を割り込みました。その後は、トランプ氏の大統領選勝利を受けてインフレ再燃不安が高まり、円安ドル高基調で推移しましたが、1月の日銀による利上げ実施や米景気後退懸念により、円高が進行しました。この結果、4月初めに1ドル=151円台だったドル円相場は、1ドル=149円台後半で当年度の取引を終えました。
このような状況のもと当社グループでは、5ヵ年の中期経営計画に基づき、持続的な成長を実現するための経営基盤の確立に取り組みました。引き続きソリューション営業を推進したほか、中核子会社の岡三証券株式会社を軸として証券会社の金融商品仲介業者転換を支援する証券プラットフォーム事業を開始し、当社グループ内外の証券会社に対して取り組みを進めました。また、岡三証券においては、銀行サービス「岡三BANK」及びファンドラップサービス「岡三UBSファンドラップ」の提供を開始し、コア資産(中長期で安定運用する資産)へのアプローチによる資産管理型ビジネスの拡大を図ったほか、菊陽町サテライトプレイス(熊本県)の設置、新たな投資情報サイトの開設など事業基盤の拡充とサービス強化を推進しました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ1,719億58百万円増加し1兆3,797億38百万円、負債合計は前連結会計年度末に比べ1,778億82百万円増加し1兆1,715億5百万円、純資産合計は前連結会計年度末に比べ59億23百万円減少し2,082億32百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における当社グループの営業収益は819億36百万円(前年度比3.0%減)、純営業収益は798億49百万円(同3.3%減)となりました。販売費・一般管理費は670億10百万円(同0.9%増)となり、経常利益は155億77百万円(同13.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は116億52百万円(同11.5%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ330億26百万円減少し、447億45百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、206億88百万円となりました。これは主に、有価証券担保貸付金及び有価証
券担保借入金の増減1,207億54百万円、信用取引資産及び信用取引負債の増減200億13百万円による資金の獲得
と、トレーディング商品の増減1,573億80百万円、預り金の増減113億34百万円による資金の使用の差し引きによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、61億80百万円となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入77
億37百万円、事業譲受による収入25億14百万円による資金の獲得と、無形固定資産の取得による支出21億38百万
円による資金の使用の差し引きによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、185億2百万円となりました。これは主に、子会社の自己株式の取得による
支出71億9百万円、配当金の支払額60億70百万円による資金の使用によるものであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,719億58百万円増加し1兆3,797億38百万円となりました。これは主に、トレーディング商品が2,364億62百万円、有価証券担保貸付金が422億73百万円増加した一方、現金・預金が332億14百万円、約定見返勘定が314億54百万円、信用取引資産が280億20百万円減少したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,778億82百万円増加し1兆1,715億5百万円となりました。これは主に、有価証券担保借入金が1,630億27百万円、トレーディング商品が241億81百万円、約定見返勘定が234億47百万円増加したことによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ59億23百万円減少し2,082億32百万円となりました。これは主に、非支配株主持分が149億90百万円減少したことによるものであります。
(トレーディング業務の概要)
当連結会計年度の年度末日時点のトレーディング商品の残高は以下のとおりであります。
種類 | 2024年3月31日現在 (百万円) | 2025年3月31日現在 (百万円) | ||
資産の部のトレーディング商品 | 284,513 | 520,976 | ||
商品有価証券等 | 284,461 | 520,934 | ||
株式・ワラント | 35,036 | 5,858 | ||
債券 | 244,506 | 515,015 | ||
受益証券等 | 4,919 | 59 | ||
デリバティブ取引 | 51 | 42 | ||
オプション取引 | 10 | 1 | ||
先物取引 | 41 | 40 | ||
負債の部のトレーディング商品 | 438,673 | 462,855 | ||
商品有価証券等 | 438,204 | 462,855 | ||
株式・ワラント | 920 | 3,498 | ||
債券 | 437,283 | 459,356 | ||
受益証券等 | - | - | ||
デリバティブ取引 | 469 | - | ||
オプション取引 | - | - | ||
先物取引 | 469 | - |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) (百万円) | ||
受入手数料 | 49,948 | 50,201 | |
委託手数料 | 24,173 | 22,911 | |
引受け・売出し・特定投資家向け 売付け勧誘等の手数料 | 1,459 | 1,442 | |
募集・売出し・特定投資家向け 売付け勧誘等の取扱手数料 | 14,419 | 13,534 | |
その他の受入手数料 | 9,896 | 12,313 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) (百万円) | ||
トレーディング損益 | 29,139 | 24,572 | |
株券等トレーディング損益 | 22,808 | 20,323 | |
債券等トレーディング損益 | 6,496 | 3,658 | |
その他のトレーディング損益 | △164 | 590 |