有価証券報告書-第111期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績の状況の概要は、以下のとおりです。
①財政状態および経営成績の状況
a.財政状態
◆資産
当期末の総資産は、8兆8,413億円となり、前期末比で6,333億円増加しました。
主な増減としては、販売用不動産(仕掛販売用不動産、開発用土地、前渡金を含む)が1,119億円増加、新規投資等により有形・無形固定資産が3,789億円増加し、また、投資有価証券が時価評価等により411億円増加しました。
なお、当期の設備投資額は3,865億円、減価償却費は1,252億円でした。
◆負債
当期末の有利子負債(短期借入金、ノンリコース短期借入金、コマーシャル・ペーパー、1年内償還予定の社債、ノンリコース1年内償還予定の社債、社債、ノンリコース社債、長期借入金、ノンリコース長期借入金の合計額)は、4兆485億円となり、前期末比で3,812億円増加しました。
なお、資金調達の流動性補完を目的として、コミットメントラインを複数の金融機関との間で設定しており、未使用のコミットメントラインが4,000億円あります。
また、当期末の流動比率(流動資産/流動負債)は、前期末の201%から低下し183%となりました。
◆純資産
当期末の純資産合計は、3兆312億円となり、前期末比で1,174億円の増加となりました。これは、利益剰余金が1,090億円、為替換算調整勘定が572億円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が448億円減少したこと等によります。
当期末の自己資本比率は32.8%と前期末の34.1%から低下し、D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は1.40倍と前期末の1.31倍から上昇しました。なお、1株当たり純資産額は、3,107.37円(前期末は2,942.11円)となりました。
b.経営成績
当社グループの連結業績につきましては、売上高は2兆2,691億円(前期比1,682億円増、8.0%増)、営業利益3,054億円(前期比604億円増、24.7%増)、経常利益2,653億円(前期比404億円増、18.0%増)となりました。これに特別利益として投資有価証券売却益440億円を計上し、特別損失として固定資産除却損81億円や投資有価証券評価損31億円等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,969億円(前期比200億円増、11.3%増)となりました。
報告セグメント別の業績は、次のとおりです。
各セグメントの売上高は、外部顧客に対する売上高を記載しており、特に記載のない場合、単位は百万円となっております。
◆ 賃貸
「50ハドソンヤード(米国・オフィス)」の収益・利益の拡大に加え、既存商業施設の前期比での回復、「ららぽーと福岡(商業)」「ららぽーと堺(商業)」の新規開業効果等により、セグメント全体では、861億円の増収、191億円の増益となり、売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました。
なお、当期末における当社の首都圏オフィス空室率(単体)は3.8%(当第3四半期末の6.4%から2.6pt改善)となりました。
<売上高の内訳>
・貸付面積の状況(単位:千㎡)
・期末空室率推移(%)
<当期における主要な新規・通期稼働物件>・新規稼働物件(当期稼働物件)
・通期稼働物件(前期稼働物件)
<単体の賃貸事業内訳>・全体
・オフィス・商業施設
◆ 分譲
国内住宅分譲は、「パークコート千代田四番町」等の引渡しの進捗等により増収増益となりました。投資家向け・海外住宅分譲等は、資産回転の継続により、投資家等への国内・海外の物件売却を推進し、前期と同様、1,000億円を超える営業利益を計上しました。セグメント全体では、31億円の減収、73億円の増益となり、営業利益は過去最高を更新しました。
なお、国内の新築マンション分譲の次期計上予定戸数3,350戸に対する契約達成率は77.5%となりました。
<売上高・営業利益の内訳>
<国内住宅分譲内訳>・売上高等の内訳
・契約状況
(注)契約済み戸数、新規発売戸数には、次期以降に計上が予定されている戸数も含まれております。
・期末完成在庫推移(戸)
・当期における主要な計上物件(国内住宅分譲)
・当期における主要な計上物件(投資家向け分譲・海外住宅分譲)
◆ マネジメント
プロパティマネジメントは、リパーク(貸し駐車場)における前期比での稼働向上や費用削減効果等により増収増益となりました。仲介・アセットマネジメント等は、プロジェクトマネジメントフィーが増加した一方で、リハウス事業(個人向け仲介事業)における経費の増加等により増収微減益となりました。
セグメント全体では、165億円の増収、61億円の増益となり、売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました。
<売上高・営業利益の内訳>
※1 当期末のリパーク(貸し駐車場)管理台数の状況
リパーク管理台数:250,515台(前期末:251,506台)
・三井不動産リアルティの仲介事業の状況(仲介・アセットマネジメント等に含む)
・三井不動産レジデンシャルの販売受託事業の状況(仲介・アセットマネジメント等に含む)
◆ その他
ホテル・リゾートのRevPARが大幅に改善したことや、東京ドームにおいて稼働日数・来場者数が増加したこと等により、セグメント全体では、687億円の増収、254億円の営業損失の改善となり、売上高は過去最高を更新しました。
<売上高の内訳>
・受注工事高内訳
②キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末比で103億円減少し、1,323億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りです。
◆営業活動によるキャッシュ・フロー
当期は、営業活動により2,977億円の増加となりました。これは、税金等調整前当期純利益2,959億円や減価償却費1,252億円等によるものです。一方で、法人税等の支払額又は還付額1,098億円等による減少がありました。
◆投資活動によるキャッシュ・フロー
当期は、投資活動により4,220億円の減少となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出3,627億円、投資有価証券の取得による支出948億円等によるものです。一方で、預り敷金保証金の受入による収入517億円、投資有価証券の売却による収入505億円等による増加がありました。
◆財務活動によるキャッシュ・フロー
当期は、財務活動により1,114億円の増加となりました。これは、借入金の調達等によるものです。
③生産、受注および販売の状況
生産、受注および販売の状況については、「①財政状態および経営成績の状況」における報告セグメント別の業績に関連付けて示しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの連結業績につきましては、売上高は2兆2,691億円(前期比1,682億円増、8.0%増)、営業利益3,054億円(前期比604億円増、24.7%増)、経常利益2,653億円(前期比404億円増、18.0%増)となりました。これに特別利益として投資有価証券売却益440億円を計上し、特別損失として固定資産除却損81億円や投資有価証券評価損31億円等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,969億円(前期比200億円増、11.3%増)となりました。また、当連結会計年度末の総資産は8兆8,413億円となり、有利子負債残高は4兆485億円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進み、緩やかな持ち直しの動きが続きました。一方、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、米中関係の緊張、台湾・中国間の両岸問題といった地政学的リスク、エネルギー価格および原材料価格の上昇、世界的な金融引き締め等により、先行きの不透明感が一層高まりました。
当不動産業界では、オフィス賃貸事業については、働き方の変化に伴うオフィスの集約や縮小の動きが一部でみられたものの、リアルなコミュニケーションの重要性を意識した館内増床や拡張移転の動きもあり、都心の好立地物件を中心として堅調に推移しました。商業施設賃貸事業については、上半期を中心に新型コロナウイルス感染症の影響を受け、売上・客数が伸び悩んだものの、秋以降は、新型コロナウイルス感染症に対する人々の意識が変化したことによる来館者の増加等を受け、回復基調で推移しました。ホテル施設運営事業については、宿泊主体型ホテルやリゾートホテルにおいて、上半期は入国制限等の影響により、引き続き厳しい状況となりましたが、秋以降は入国制限の緩和や円安によるインバウンドニーズの戻りに加え、「全国旅行支援」による国内旅行の活性化を追い風に、首都圏を中心に急速に回復しました。物流施設賃貸事業については、EC事業拡大等による物流施設への需要の高まりから、新規供給面積が増えるなど、市場規模の拡大が継続しました。住宅分譲事業については、住環境に対する関心の高まりやニーズの多様化、低金利の継続等により、顧客の購入意欲は高い状況が続き、マーケットは好調に推移しました。
このような事業環境のもと、当社グループにおきましては、六本木、日比谷に続く3施設目の東京ミッドタウンとして、「JAPAN VALUEを世界に発信しつづける街」という理念のもと、「東京ミッドタウン八重洲」(東京都中央区)を開業させました。新型コロナウイルス感染症による働き方の不可逆的な変化を捉え、多様なニーズに合わせた最適な働き方や、快適でプレミアムなビジネスライフの実現を支援する、ポストコロナ時代の「行きたくなるオフィス」を提案することで、テナント企業から高い評価を受けました。当社グループの海外事業における旗艦物件に位置づけられる「50ハドソンヤード」(米国・ニューヨーク)については、オフィスを「対面によるコラボレーションを通じた新たな価値創造を促す場」として戦略的に捉える企業から高く評価され、順調なリーシング状況の中で竣工を迎えました。また、新たに開業させた「三井ショッピングパーク ららぽーと堺」(大阪府堺市)では、スポーツやエンターテインメントを主軸とした施設づくりにより、多くのお客様にご来館いただき、好調なスタートを切りました。さらに「フォーシーズンズホテル東京大手町」(東京都千代田区)等のラグジュアリーホテルを中心に、的確なマーケティングにより、秋以降のインバウンドの戻りに伴う高額宿泊ニーズを捉え、競合施設との差別化を実現いたしました。
また、様々な社会課題の解決を通して、持続可能な社会の構築に貢献することが、「&マーク」の理念を掲げる当社グループの社会的使命であると認識しており、特に「脱炭素社会の実現」と「ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み」を最重要課題と位置づけ、積極的に取り組んでおります。
「脱炭素社会の実現」については、2021年11月に策定した、「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」に基づき、新築物件におけるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準の環境性能実現、国内全施設における電力グリーン化等の再生可能エネルギーの積極活用、メガソーラー事業の拡大など、様々な施策を着実に推進してまいりました。また、国内不動産会社では過去最高額のグリーンボンドを「東京ミッドタウン八重洲」の開発資金に充当するなど、サステナブルファイナンスによる資金調達も行ってまいりました。このような取り組みの結果、当社は、国際的な環境調査・情報開示を行う非営利団体であるCDPより、気候変動部門において最高評価にあたる「CDP2022 気候変動Aリスト」に2年連続で選定されました。
また、「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」については、「ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言」とその取り組み方針に基づき、特に女性活躍推進を重要なテーマと定め、社外のロールモデルによる座談会を実施するなど、多様なマネジメント像について学ぶ機会の提供、各本部・各部門がそれぞれ女性活躍推進施策を議論・策定したうえで主体的に実行する仕組みづくり、当社グループ各社における女性活躍推進に向けたロードマップ策定とその実行など、当社グループ全体での取り組みを進めてまいりました。このような取り組みの結果、経済産業省と東京証券取引所が女性活躍推進の分野で、業種ごとに最も優れた企業を選定する「なでしこ銘柄」に選ばれました。
さらに、「サステナブル調達基準」の当社グループ内および取引先への周知徹底や、人権デューデリジェンスの対象拡大等、「ビジネスと人権」の取り組みを進めたほか、当社グループ全体で生物多様性に配慮した事業活動を行うとともに、サプライチェーンにおける生物多様性への影響に配慮するとした「三井不動産グループ生物多様性方針」を策定するなど、重要なESG課題についても当社グループ全体で取り組んでまいりました。
これらの様々な施策を通じて、営業収益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてにおいて、期中に公表した連結業績予想を上回る結果となりました。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2018年5月にグループ長期経営方針「VISION 2025」を策定し、2025年度前後に向けて、連結営業利益は3,500億円程度、うち海外事業利益(※)は30%程度、ROAは5%程度を達成することを目標指標といたしました。
当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、営業利益は3,054億円、うち海外事業利益は18.9%、ROAは3.9%となりました。グループ長期経営方針公表からの5年間で、目標指標の達成に向けて着実に推移していると判断しております。
※海外事業利益=海外営業利益+海外持分法換算営業利益(海外所在持分法適用会社について、各社の営業利益または営業利益相当額(当期純利益から税負担分を考慮して簡便的に算出した利益)に当社持分割合を乗じて算出した金額と海外所在持分法適用会社に係る関係会社株式売却益(不動産分譲を目的とした事業に係るものに限る)の合計額)
当社グループの連結業績につきましては、売上高は2兆2,691億円となり、通期業績予想2兆2,000億円に比べて691億円上回り(3.1%増)、営業利益は3,054億円となり、通期業績予想3,000億円に比べて54億円上回り(1.8%増)、経常利益は2,653億円となり、通期業績予想2,600億円に比べて53億円上回り(2.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,969億円となり、通期業績予想1,900億円に比べて69億円上回り(3.7%増)ました。
報告セグメントごとの連結業績に関する通期業績予想比については次のとおりです。
賃貸セグメントにおいては、商業施設が上期に新型コロナウイルスの影響を受け、売上・客足が伸び悩んだこと等により営業利益は1,491億円となり、通期業績予想1,520億円よりも28億の減益となりました。
分譲セグメントにおいては、国内住宅分譲では利益率の改善等により営業利益は想定を上回りました。投資家向け・海外住宅分譲等の営業利益は概ね想定通りとなりました。セグメント全体では営業利益は1,457億円となり、通期業績予想1,450億円よりも7億円の増益となりました。
マネジメントセグメントにおいては、主にリパーク(貸し駐車場)の稼働改善や費用削減効果等により、営業利益は633億円となり、通期業績予想620億円よりも13億円の増益となりました。
その他セグメントにおいては、ホテル・リゾートの需要が回復したこと等により営業損失は△42億円となり、通期業績予想△70億円より27億円の損失の改善となりました。
<連結セグメント別業績(通期予想比)>
(注)2022年11月9日公表時の通期業績予想となります。
当連結会計年度の当社グループの経営資源の配分・投入につきましては、有形・無形固定資産について、設備投資3,865億円、減価償却費1,252億円となり、販売用不動産について、新規投資4,697億円、原価回収4,405億円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主要な資金需要は、国内のビル賃貸事業や商業施設賃貸事業等における新規投資や、販売用不動産の取得、および海外事業の拡大に伴う開発資金等であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債およびコマーシャル・ペーパーの発行による資金調達等にて対応していくこととしております。また、手元の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入することにより、資金効率の向上を図っております。
当連結会計年度においては、「東京ミッドタウン八重洲」、「ららぽーと福岡」、「50ハドソンヤード」等への投資等により、投資活動によるキャッシュ・フローが4,220億円減少しましたが、営業活動によるキャッシュ・フロー2,977億円と財務活動によるキャッシュ・フロー1,114億円で充当し、現金及び現金同等物の期末残高が1,323億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要/②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
来期においては、新規・既存物件への投資等が計画されておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、借入金の調達等の財務活動によるキャッシュ・フローで対応していく予定です。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績の状況の概要は、以下のとおりです。
①財政状態および経営成績の状況
a.財政状態
◆資産
当期末の総資産は、8兆8,413億円となり、前期末比で6,333億円増加しました。
主な増減としては、販売用不動産(仕掛販売用不動産、開発用土地、前渡金を含む)が1,119億円増加、新規投資等により有形・無形固定資産が3,789億円増加し、また、投資有価証券が時価評価等により411億円増加しました。
なお、当期の設備投資額は3,865億円、減価償却費は1,252億円でした。
◆負債
当期末の有利子負債(短期借入金、ノンリコース短期借入金、コマーシャル・ペーパー、1年内償還予定の社債、ノンリコース1年内償還予定の社債、社債、ノンリコース社債、長期借入金、ノンリコース長期借入金の合計額)は、4兆485億円となり、前期末比で3,812億円増加しました。
なお、資金調達の流動性補完を目的として、コミットメントラインを複数の金融機関との間で設定しており、未使用のコミットメントラインが4,000億円あります。
また、当期末の流動比率(流動資産/流動負債)は、前期末の201%から低下し183%となりました。
◆純資産
当期末の純資産合計は、3兆312億円となり、前期末比で1,174億円の増加となりました。これは、利益剰余金が1,090億円、為替換算調整勘定が572億円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が448億円減少したこと等によります。
当期末の自己資本比率は32.8%と前期末の34.1%から低下し、D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は1.40倍と前期末の1.31倍から上昇しました。なお、1株当たり純資産額は、3,107.37円(前期末は2,942.11円)となりました。
b.経営成績
当社グループの連結業績につきましては、売上高は2兆2,691億円(前期比1,682億円増、8.0%増)、営業利益3,054億円(前期比604億円増、24.7%増)、経常利益2,653億円(前期比404億円増、18.0%増)となりました。これに特別利益として投資有価証券売却益440億円を計上し、特別損失として固定資産除却損81億円や投資有価証券評価損31億円等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,969億円(前期比200億円増、11.3%増)となりました。
報告セグメント別の業績は、次のとおりです。
各セグメントの売上高は、外部顧客に対する売上高を記載しており、特に記載のない場合、単位は百万円となっております。
◆ 賃貸
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | 増減 | |
売上高 | 754,306 | 668,167 | 86,138 |
営業利益 | 149,153 | 129,983 | 19,169 |
「50ハドソンヤード(米国・オフィス)」の収益・利益の拡大に加え、既存商業施設の前期比での回復、「ららぽーと福岡(商業)」「ららぽーと堺(商業)」の新規開業効果等により、セグメント全体では、861億円の増収、191億円の増益となり、売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました。
なお、当期末における当社の首都圏オフィス空室率(単体)は3.8%(当第3四半期末の6.4%から2.6pt改善)となりました。
<売上高の内訳>
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | 増減 | |
オフィス | 426,928 | 389,811 | 37,116 |
商業施設 | 261,394 | 226,218 | 35,176 |
その他 | 65,984 | 52,137 | 13,846 |
合計 | 754,306 | 668,167 | 86,138 |
・貸付面積の状況(単位:千㎡)
当期 (2023.3.31) | 前期 (2022.3.31) | 増減 | |
オフィス 所有 | 1,960 | 1,894 | 66 |
転貸 | 1,491 | 1,502 | △11 |
商業施設 所有 | 1,873 | 1,758 | 115 |
転貸 | 651 | 634 | 17 |
・期末空室率推移(%)
2023/3 | 2022/3 | 2021/3 | 2020/3 | 2019/3 | 2018/3 | 2017/3 | 2016/3 | |
オフィス・商業施設(連結) | 4.3 | 3.0 | 2.9 | 2.3 | 1.8 | 2.4 | 3.1 | 2.2 |
首都圏オフィス(単体) | 3.8 | 3.2 | 3.1 | 1.9 | 1.7 | 2.2 | 3.4 | 2.6 |
地方オフィス(単体) | 2.8 | 3.7 | 3.5 | 1.3 | 1.8 | 2.3 | 2.3 | 3.1 |
<当期における主要な新規・通期稼働物件>・新規稼働物件(当期稼働物件)
ららぽーとブキッ・ビンタン シティ センター | マレーシア クアラルンプール | 2022年1月開業 | 商業施設 |
三井アウトレットパーク台南 | 台湾台南市 | 2022年2月開業 | 商業施設 |
ららぽーと福岡 | 福岡県福岡市 | 2022年4月開業 | 商業施設 |
50ハドソンヤード | 米国ニューヨーク市 | 2022年6月竣工 | オフィス |
東京ミッドタウン八重洲 | 東京都中央区 | 2022年8月竣工 | オフィス・ホテル・商業施設 |
ららぽーと堺 | 大阪府堺市 | 2022年11月開業 | 商業施設 |
・通期稼働物件(前期稼働物件)
ららぽーと上海金橋 | 中国上海市 | 2021年4月開業 | 商業施設 |
大宮門街 SQUARE | 埼玉県さいたま市 | 2021年10月竣工 | オフィス |
イノベーション スクエア PhaseⅡ | 米国ボストン市 | 2021年11月竣工 | オフィス |
ららステーション上海蓮花路 | 中国上海市 | 2021年12月開業 | 商業施設 |
<単体の賃貸事業内訳>・全体
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | |
売上高 | 650,667 | 579,326 |
粗利益 | 94,703 | 76,227 |
粗利益率(%) | 14.6 | 13.2 |
・オフィス・商業施設
オフィス | 商業施設 | |||||
首都圏 | 地方 | 合計 | 首都圏 | 地方 | 合計 | |
売上高 | 314,687 | 24,123 | 338,811 | 160,403 | 82,959 | 243,363 |
貸付面積(千㎡) | 2,550 | 284 | 2,835 | 1,423 | 832 | 2,255 |
棟数(棟) | 96 | 23 | 119 | 71 | 26 | 97 |
空室率(%) | 3.8 | 2.8 | 3.7 | 2.0 | 2.5 | 2.2 |
◆ 分譲
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | 増減 | |
売上高 | 640,662 | 643,851 | △3,189 |
営業利益 | 145,711 | 138,343 | 7,367 |
国内住宅分譲は、「パークコート千代田四番町」等の引渡しの進捗等により増収増益となりました。投資家向け・海外住宅分譲等は、資産回転の継続により、投資家等への国内・海外の物件売却を推進し、前期と同様、1,000億円を超える営業利益を計上しました。セグメント全体では、31億円の減収、73億円の増益となり、営業利益は過去最高を更新しました。
なお、国内の新築マンション分譲の次期計上予定戸数3,350戸に対する契約達成率は77.5%となりました。
<売上高・営業利益の内訳>
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | 増減 | |
国内住宅分譲 | |||
売上高 | 270,530 | 245,155 | 25,374 |
営業利益 | 39,368 | 24,028 | 15,340 |
投資家向け・海外住宅分譲等 | |||
売上高 | 370,132 | 398,696 | △28,564 |
営業利益 | 106,342 | 114,315 | △7,972 |
売上高合計 | 640,662 | 643,851 | △3,189 |
営業利益合計 | 145,711 | 138,343 | 7,367 |
<国内住宅分譲内訳>・売上高等の内訳
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | 増減 | ||||
マンション | 235,638 | (3,196戸) | 206,669 | (3,208戸) | 28,968 | (△12戸) |
首都圏 | 196,655 | (2,324戸) | 180,674 | (2,539戸) | 15,980 | (△215戸) |
その他 | 38,983 | (872戸) | 25,995 | (669戸) | 12,987 | (203戸) |
戸建 | 34,892 | (420戸) | 38,485 | (507戸) | △3,593 | (△87戸) |
首都圏 | 34,787 | (418戸) | 36,149 | (467戸) | △1,362 | (△49戸) |
その他 | 104 | (2戸) | 2,335 | (40戸) | △2,231 | (△38戸) |
売上高合計 | 270,530 | (3,616戸) | 245,155 | (3,715戸) | 25,374 | (△99戸) |
・契約状況
マンション | 戸建 | 合計 | ||
期首契約済み | (戸) (A) | 4,002 | 155 | 4,157 |
期中契約 | (戸) (B) | 3,450 | 383 | 3,833 |
計上戸数 | (戸) (C) | 3,196 | 420 | 3,616 |
期末契約済み | (戸) (A)+(B)-(C) | 4,256 | 118 | 4,374 |
完成在庫 | (戸) | 55 | 0 | 55 |
新規発売 | (戸) | 3,340 | 377 | 3,717 |
(注)契約済み戸数、新規発売戸数には、次期以降に計上が予定されている戸数も含まれております。
・期末完成在庫推移(戸)
2023/3 | 2022/3 | 2021/3 | 2020/3 | 2019/3 | 2018/3 | 2017/3 | 2016/3 | |
マンション | 55 | 82 | 150 | 128 | 141 | 108 | 321 | 88 |
戸建 | 0 | 7 | 17 | 58 | 30 | 40 | 69 | 127 |
合計 | 55 | 89 | 167 | 186 | 171 | 148 | 390 | 215 |
・当期における主要な計上物件(国内住宅分譲)
パークコート千代田四番町 | 東京都千代田区 | マンション |
パークシティ柏の葉キャンパスサウスマークタワー | 千葉県柏市 | マンション |
SHIROKANE The SKY | 東京都港区 | マンション |
パークホームズ日本橋時の鐘通り | 東京都中央区 | マンション |
ファインコート稲城南山 | 東京都稲城市 | 戸建 |
・当期における主要な計上物件(投資家向け分譲・海外住宅分譲)
200アムステルダム | 米国ニューヨーク市 | マンション |
ウェストエッジタワー | 米国シアトル市 | 賃貸住宅 |
豊洲ベイサイドクロスタワー | 東京都江東区 | オフィス |
コートランド | 米国ニューヨーク市 | マンション |
飯田橋グラン・ブルーム | 東京都千代田区 | オフィス |
ザ・ゲージ | 米国デンバー市 | 賃貸住宅 |
◆ マネジメント
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | 増減 | |
売上高 | 445,924 | 429,350 | 16,573 |
営業利益 | 63,383 | 57,205 | 6,178 |
プロパティマネジメントは、リパーク(貸し駐車場)における前期比での稼働向上や費用削減効果等により増収増益となりました。仲介・アセットマネジメント等は、プロジェクトマネジメントフィーが増加した一方で、リハウス事業(個人向け仲介事業)における経費の増加等により増収微減益となりました。
セグメント全体では、165億円の増収、61億円の増益となり、売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました。
<売上高・営業利益の内訳>
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | 増減 | |
プロパティマネジメント | |||
売上高(※1) | 334,973 | 321,572 | 13,400 |
営業利益 | 37,547 | 31,296 | 6,251 |
仲介・アセットマネジメント等 | |||
売上高 | 110,950 | 107,777 | 3,172 |
営業利益 | 25,836 | 25,909 | △72 |
売上高合計 | 445,924 | 429,350 | 16,573 |
営業利益合計 | 63,383 | 57,205 | 6,178 |
※1 当期末のリパーク(貸し駐車場)管理台数の状況
リパーク管理台数:250,515台(前期末:251,506台)
・三井不動産リアルティの仲介事業の状況(仲介・アセットマネジメント等に含む)
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | 増減 | ||||
取扱高 | 件数 | 取扱高 | 件数 | 取扱高 | 件数 | |
仲介 | 1,918,415 | (39,106件) | 1,892,665 | (41,183件) | 25,749 | (△2,077件) |
・三井不動産レジデンシャルの販売受託事業の状況(仲介・アセットマネジメント等に含む)
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | 増減 | ||||
取扱高 | 件数 | 取扱高 | 件数 | 取扱高 | 件数 | |
販売受託 | 57,180 | (702件) | 55,484 | (765件) | 1,695 | (△63件) |
◆ その他
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | 増減 | |
売上高 | 428,209 | 359,499 | 68,709 |
営業利益 | △4,239 | △29,641 | 25,402 |
ホテル・リゾートのRevPARが大幅に改善したことや、東京ドームにおいて稼働日数・来場者数が増加したこと等により、セグメント全体では、687億円の増収、254億円の営業損失の改善となり、売上高は過去最高を更新しました。
<売上高の内訳>
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | 増減 | |
新築請負 | 150,741 | 158,307 | △7,565 |
施設営業 | 93,930 | 46,803 | 47,127 |
東京ドーム | 73,142 | 59,388 | 13,754 |
その他 | 110,394 | 95,000 | 15,393 |
合計 | 428,209 | 359,499 | 68,709 |
・受注工事高内訳
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 前期 (2021.4.1~2022.3.31) | 増減 | |
新築請負 | 137,806 | 139,797 | △1,991 |
②キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末比で103億円減少し、1,323億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りです。
◆営業活動によるキャッシュ・フロー
当期は、営業活動により2,977億円の増加となりました。これは、税金等調整前当期純利益2,959億円や減価償却費1,252億円等によるものです。一方で、法人税等の支払額又は還付額1,098億円等による減少がありました。
◆投資活動によるキャッシュ・フロー
当期は、投資活動により4,220億円の減少となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出3,627億円、投資有価証券の取得による支出948億円等によるものです。一方で、預り敷金保証金の受入による収入517億円、投資有価証券の売却による収入505億円等による増加がありました。
◆財務活動によるキャッシュ・フロー
当期は、財務活動により1,114億円の増加となりました。これは、借入金の調達等によるものです。
③生産、受注および販売の状況
生産、受注および販売の状況については、「①財政状態および経営成績の状況」における報告セグメント別の業績に関連付けて示しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの連結業績につきましては、売上高は2兆2,691億円(前期比1,682億円増、8.0%増)、営業利益3,054億円(前期比604億円増、24.7%増)、経常利益2,653億円(前期比404億円増、18.0%増)となりました。これに特別利益として投資有価証券売却益440億円を計上し、特別損失として固定資産除却損81億円や投資有価証券評価損31億円等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,969億円(前期比200億円増、11.3%増)となりました。また、当連結会計年度末の総資産は8兆8,413億円となり、有利子負債残高は4兆485億円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進み、緩やかな持ち直しの動きが続きました。一方、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、米中関係の緊張、台湾・中国間の両岸問題といった地政学的リスク、エネルギー価格および原材料価格の上昇、世界的な金融引き締め等により、先行きの不透明感が一層高まりました。
当不動産業界では、オフィス賃貸事業については、働き方の変化に伴うオフィスの集約や縮小の動きが一部でみられたものの、リアルなコミュニケーションの重要性を意識した館内増床や拡張移転の動きもあり、都心の好立地物件を中心として堅調に推移しました。商業施設賃貸事業については、上半期を中心に新型コロナウイルス感染症の影響を受け、売上・客数が伸び悩んだものの、秋以降は、新型コロナウイルス感染症に対する人々の意識が変化したことによる来館者の増加等を受け、回復基調で推移しました。ホテル施設運営事業については、宿泊主体型ホテルやリゾートホテルにおいて、上半期は入国制限等の影響により、引き続き厳しい状況となりましたが、秋以降は入国制限の緩和や円安によるインバウンドニーズの戻りに加え、「全国旅行支援」による国内旅行の活性化を追い風に、首都圏を中心に急速に回復しました。物流施設賃貸事業については、EC事業拡大等による物流施設への需要の高まりから、新規供給面積が増えるなど、市場規模の拡大が継続しました。住宅分譲事業については、住環境に対する関心の高まりやニーズの多様化、低金利の継続等により、顧客の購入意欲は高い状況が続き、マーケットは好調に推移しました。
このような事業環境のもと、当社グループにおきましては、六本木、日比谷に続く3施設目の東京ミッドタウンとして、「JAPAN VALUEを世界に発信しつづける街」という理念のもと、「東京ミッドタウン八重洲」(東京都中央区)を開業させました。新型コロナウイルス感染症による働き方の不可逆的な変化を捉え、多様なニーズに合わせた最適な働き方や、快適でプレミアムなビジネスライフの実現を支援する、ポストコロナ時代の「行きたくなるオフィス」を提案することで、テナント企業から高い評価を受けました。当社グループの海外事業における旗艦物件に位置づけられる「50ハドソンヤード」(米国・ニューヨーク)については、オフィスを「対面によるコラボレーションを通じた新たな価値創造を促す場」として戦略的に捉える企業から高く評価され、順調なリーシング状況の中で竣工を迎えました。また、新たに開業させた「三井ショッピングパーク ららぽーと堺」(大阪府堺市)では、スポーツやエンターテインメントを主軸とした施設づくりにより、多くのお客様にご来館いただき、好調なスタートを切りました。さらに「フォーシーズンズホテル東京大手町」(東京都千代田区)等のラグジュアリーホテルを中心に、的確なマーケティングにより、秋以降のインバウンドの戻りに伴う高額宿泊ニーズを捉え、競合施設との差別化を実現いたしました。
また、様々な社会課題の解決を通して、持続可能な社会の構築に貢献することが、「&マーク」の理念を掲げる当社グループの社会的使命であると認識しており、特に「脱炭素社会の実現」と「ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み」を最重要課題と位置づけ、積極的に取り組んでおります。
「脱炭素社会の実現」については、2021年11月に策定した、「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」に基づき、新築物件におけるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準の環境性能実現、国内全施設における電力グリーン化等の再生可能エネルギーの積極活用、メガソーラー事業の拡大など、様々な施策を着実に推進してまいりました。また、国内不動産会社では過去最高額のグリーンボンドを「東京ミッドタウン八重洲」の開発資金に充当するなど、サステナブルファイナンスによる資金調達も行ってまいりました。このような取り組みの結果、当社は、国際的な環境調査・情報開示を行う非営利団体であるCDPより、気候変動部門において最高評価にあたる「CDP2022 気候変動Aリスト」に2年連続で選定されました。
また、「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」については、「ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言」とその取り組み方針に基づき、特に女性活躍推進を重要なテーマと定め、社外のロールモデルによる座談会を実施するなど、多様なマネジメント像について学ぶ機会の提供、各本部・各部門がそれぞれ女性活躍推進施策を議論・策定したうえで主体的に実行する仕組みづくり、当社グループ各社における女性活躍推進に向けたロードマップ策定とその実行など、当社グループ全体での取り組みを進めてまいりました。このような取り組みの結果、経済産業省と東京証券取引所が女性活躍推進の分野で、業種ごとに最も優れた企業を選定する「なでしこ銘柄」に選ばれました。
さらに、「サステナブル調達基準」の当社グループ内および取引先への周知徹底や、人権デューデリジェンスの対象拡大等、「ビジネスと人権」の取り組みを進めたほか、当社グループ全体で生物多様性に配慮した事業活動を行うとともに、サプライチェーンにおける生物多様性への影響に配慮するとした「三井不動産グループ生物多様性方針」を策定するなど、重要なESG課題についても当社グループ全体で取り組んでまいりました。
これらの様々な施策を通じて、営業収益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてにおいて、期中に公表した連結業績予想を上回る結果となりました。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2018年5月にグループ長期経営方針「VISION 2025」を策定し、2025年度前後に向けて、連結営業利益は3,500億円程度、うち海外事業利益(※)は30%程度、ROAは5%程度を達成することを目標指標といたしました。
当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、営業利益は3,054億円、うち海外事業利益は18.9%、ROAは3.9%となりました。グループ長期経営方針公表からの5年間で、目標指標の達成に向けて着実に推移していると判断しております。
※海外事業利益=海外営業利益+海外持分法換算営業利益(海外所在持分法適用会社について、各社の営業利益または営業利益相当額(当期純利益から税負担分を考慮して簡便的に算出した利益)に当社持分割合を乗じて算出した金額と海外所在持分法適用会社に係る関係会社株式売却益(不動産分譲を目的とした事業に係るものに限る)の合計額)
当社グループの連結業績につきましては、売上高は2兆2,691億円となり、通期業績予想2兆2,000億円に比べて691億円上回り(3.1%増)、営業利益は3,054億円となり、通期業績予想3,000億円に比べて54億円上回り(1.8%増)、経常利益は2,653億円となり、通期業績予想2,600億円に比べて53億円上回り(2.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,969億円となり、通期業績予想1,900億円に比べて69億円上回り(3.7%増)ました。
報告セグメントごとの連結業績に関する通期業績予想比については次のとおりです。
賃貸セグメントにおいては、商業施設が上期に新型コロナウイルスの影響を受け、売上・客足が伸び悩んだこと等により営業利益は1,491億円となり、通期業績予想1,520億円よりも28億の減益となりました。
分譲セグメントにおいては、国内住宅分譲では利益率の改善等により営業利益は想定を上回りました。投資家向け・海外住宅分譲等の営業利益は概ね想定通りとなりました。セグメント全体では営業利益は1,457億円となり、通期業績予想1,450億円よりも7億円の増益となりました。
マネジメントセグメントにおいては、主にリパーク(貸し駐車場)の稼働改善や費用削減効果等により、営業利益は633億円となり、通期業績予想620億円よりも13億円の増益となりました。
その他セグメントにおいては、ホテル・リゾートの需要が回復したこと等により営業損失は△42億円となり、通期業績予想△70億円より27億円の損失の改善となりました。
<連結セグメント別業績(通期予想比)>
当期 (2022.4.1~2023.3.31) | 2023年3月期通期業績予想 (2022.4.1~2023.3.31) | 増減 | ||||
売上高 | 営業利益 | 売上高 | 営業利益 | 売上高 | 営業利益 | |
賃貸 | 754,306 | 149,153 | 720,000 | 152,000 | 34,306 | △2,846 |
分譲 | 640,662 | 145,711 | 650,000 | 145,000 | △9,337 | 711 |
マネジメント | 445,924 | 63,383 | 420,000 | 62,000 | 25,924 | 1,383 |
その他 | 428,209 | △4,239 | 410,000 | △7,000 | 18,209 | 2,760 |
消去又は全社 | - | △48,603 | - | △52,000 | - | 3,396 |
合計 | 2,269,103 | 305,405 | 2,200,000 | 300,000 | 69,103 | 5,405 |
(注)2022年11月9日公表時の通期業績予想となります。
当連結会計年度の当社グループの経営資源の配分・投入につきましては、有形・無形固定資産について、設備投資3,865億円、減価償却費1,252億円となり、販売用不動産について、新規投資4,697億円、原価回収4,405億円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主要な資金需要は、国内のビル賃貸事業や商業施設賃貸事業等における新規投資や、販売用不動産の取得、および海外事業の拡大に伴う開発資金等であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債およびコマーシャル・ペーパーの発行による資金調達等にて対応していくこととしております。また、手元の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入することにより、資金効率の向上を図っております。
当連結会計年度においては、「東京ミッドタウン八重洲」、「ららぽーと福岡」、「50ハドソンヤード」等への投資等により、投資活動によるキャッシュ・フローが4,220億円減少しましたが、営業活動によるキャッシュ・フロー2,977億円と財務活動によるキャッシュ・フロー1,114億円で充当し、現金及び現金同等物の期末残高が1,323億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要/②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
来期においては、新規・既存物件への投資等が計画されておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、借入金の調達等の財務活動によるキャッシュ・フローで対応していく予定です。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。