四半期報告書-第199期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

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2018/08/14 10:16
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文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間のわが国経済は、雇用・所得環境の改善が見られ、景気は緩やかな回復基調にありましたが、住宅建設に力強さが見られないなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような情勢下にありまして、当社グループでは、グループの新たな成長へ向けて、長期的な視点から「経営の基本的な方向性」等を示した「長期経営構想」と、これにもとづく4か年の具体的な取組みを示した「中期経営計画」を策定いたしました。本計画にもとづき、当社グループの持続的な成長に向けた投資を積極的に推進するとともに、財務健全性を堅持しつつ、株主還元の一層の充実をはかってまいりました。
当第1四半期連結累計期間の連結業績は、営業収益は139,510百万円(前年同期比2.0%減)、営業利益は17,264百万円(前年同期比2.8%減)、経常利益は16,775百万円(前年同期比2.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は9,586百万円(前年同期比14.7%減)となりました。
セグメント情報の業績を示すと、次のとおりであります。
(運輸事業)
鉄道業におきまして、当社では、より安全で便利な、そして快適で使いやすい鉄道を目指して、様々な取組みを進めております。
安全面では、竹ノ塚駅付近、清水公園~梅郷間およびとうきょうスカイツリー駅付近の高架化工事を推進したほか、池袋駅1番線においてホームドアの使用を開始いたしました。また、鉄道輸送の安全のための取組みをご理解いただくため、6月に「2018安全報告書」を当社ホームページで公開いたしました。
営業面では、訪日外国人観光客が多い9駅において、緊急時の駅構内放送を4言語で開始したほか、会員登録をすることなく、スマートフォンやパソコンからクレジットカード決済により特急券を購入でき、英語表示も可能とした、「特急券インターネット購入・予約サービス」を開始するなど利便性向上をはかりました。また、座席定員制列車「TJライナー」が運行開始から10周年を迎えることを記念し、記念乗車券の発売、記念ヘッドマーク掲出列車の運行および出発式を実施いたしました。
バス・タクシー業におきまして、東武バスセントラル㈱、東武バスウエスト㈱および東武バスイースト㈱の3社において、購入した片道運賃金額以内の区間であれば一部区間を除き、3社の路線バスが乗り降り自由となる金額式IC定期券を導入し、さらなるサービス向上と利用者増に努めました。
運輸事業全体としては、営業収益は54,556百万円(前年同期比0.8%減)、営業利益は12,058百万円(前年同期比0.5%増)となりました。
(レジャー事業)
スカイツリー業におきまして、「東京スカイツリー®」では、華やかな舞台で多くの人々を魅了してきた「宝塚歌劇」とのタイアップ企画の開催や、結成10周年を迎える「ももいろクローバーZ」特別ライティングの点灯、日本の建物内では一番高い場所への郵便ポスト「スカイツリー®ポスト」の設置、展望台から見える眺望をガイドするスマートフォンアプリ「TOKYO SKYTREE® PANORAMA GUIDE」の配信開始等により、話題性の向上による幅広い層へ向けた誘客をはかりました。
ホテル業におきまして、国内外オンライン旅行会社への営業を強化し、個人旅行客の取り込みをはかりました。また、「コートヤード・マリオット銀座東武ホテル」では、客室を全面禁煙化するため、4階客室の改修工事を実施いたしました。
遊園地・観光業におきまして、「東武動物公園」では、新サル舎「モンキーワールド」をオープンしたほか、人気アニメ「けものフレンズ」とのコラボレーション企画第3弾を開催し、オリジナルコラボグッズの販売をするなど、増収に努めました。「東武ワールドスクウェア」では、開園25周年を記念した「入園無料Day」を実施したほか、新展示物「富貴角燈台(台湾)」の展示を開始し、集客に努めました。
レジャー事業全体としては、営業収益は18,224百万円(前年同期比4.2%減)、営業利益は371百万円(前年同期比70.4%減)となりました。
(不動産事業)
スカイツリータウン業におきまして、テレビCMを中心とした広告宣伝を展開し、「東京ソラマチ®」では、開業6周年記念イベントや季節に応じたイベントによる集客施策など、各種販売促進策を実施し、誘客および収益確保をはかりました。
不動産賃貸業におきまして、当社では、保有資産を有効活用し安定的な収益確保および沿線価値の向上をはかるため、「東武トレインビジョン」(日比谷線直通車両)や「東武サイネージピラー」(北千住駅)等の新規広告媒体の稼働を開始させるなど、駅および周辺施設・設備の充実と増収に努めました。また、子育て世代のご家族が住みやすい環境を整備するため、保育所・学童保育室を開設しており、4月には新たに曳舟駅近くに認可保育所を開設いたしました。この開設により当社の駅チカ保育所は合計12か所に、学童保育室は2か所になりました。
不動産分譲業におきまして、当社では、沿線価値向上と沿線定住人口増加を目的として、「ソライエ船橋塚田」(船橋市北本町)等のマンションおよび東松山市あずま町等の土地を販売いたしました。
不動産事業全体としては、営業収益は13,038百万円(前年同期比3.9%増)、営業利益は3,580百万円(前年同期比8.7%増)となりました。
(流通事業)
流通業におきまして、㈱東武百貨店では、池袋店において、インバウンドサービス強化のためスマートフォン決済「ウィーチャットペイ」を全館に新規導入するとともに、「アリペイ」対応売場を全館に拡大するなど、決済手段を拡充いたしました。また、「海明け 雪どけ 食の大北海道展」や「大福岡展」を開催し、集客に努めました。㈱東武宇都宮百貨店では、宇都宮店において、レストラン街「スパイス」のオープン5周年記念として「SPICE LOVE とちぎ」を実施し、栃木の「食」の魅力を発信したほか、「よーじや 美粧品コレクション」を開催し、集客に努めました。
流通事業全体としては、営業収益は46,882百万円(前年同期比1.9%減)、営業利益は713百万円(前年同期比60.3%増)となりました。
(その他事業)
建設業におきまして、東武建設㈱では、みなかみ町においてホテルのリニューアル工事を、東武谷内田建設㈱では、豊島区において大学の設備改修工事を、東武緑地㈱では、船橋市において大型物流施設の植栽工事をそれぞれ受注するなど、増収に努めました。
その他事業全体としては、営業収益は21,336百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益は613百万円(前年同期比14.6%減)となりました。
(2)財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、投資有価証券の時価が上昇したこと等により1,619,686百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,412百万円(前期比0.1%増)の増加となりました。
負債は、有利子負債が増加したものの、未払金(流動負債の「その他」)が減少したこと等により1,149,169百万円となり、前連結会計年度末と比べ8,522百万円(前期比0.7%減)の減少となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上や、その他有価証券評価差額金が増加したこと等により470,517百万円となり、前連結会計年度末と比べ9,934百万円(前期比2.2%増)の増加となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社は、企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに運輸事業の安全性、公共性および利用者の利益の確保・向上に向けた取り組みを一層推進してまいりますが、昨今、わが国の株式市場等においては、買付の対象となる会社の経営陣の賛同を得ることなく、一方的に大量の株式の買付を強行するといった事例も散見されております。
もとより、当社は、株式の大量買付であっても、当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに運輸事業の安全性、公共性および利用者の利益の確保・向上に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。
しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに運輸事業の安全性、公共性および利用者の利益の確保・向上に対する明白な侵害をもたらすもの、株主様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主様が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの等、対象会社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに運輸事業の安全性、公共性および利用者の利益の確保・向上に資さない場合も想定されます。
当社では、継続的な企業価値および株主共同の利益の確保・向上のためには、経営の根底にある「安全・安心」を提供し続けることや運輸事業を営む者としての公共的使命に関する基本的な考え方を、今後も引き続き維持・推進していくとともに、中長期的な視点に立った経営を推進していくことが、不可欠であると考えます。
このような経営が、当社株式の大量買付を行う者により短期的な利益のみを追求するような経営に変わるようなことがあれば、当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに運輸事業の安全性、公共性および利用者の利益の確保・向上は損なわれることになります。
こうした事情に鑑み、当社取締役会は、当社株式に対する不適切な買付により企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに運輸事業の安全性、公共性および利用者の利益の確保・向上が毀損されることを防止するためには、買付に応じるべきか否かを株主様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、および株主様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とするための体制を、平時において整えておくことが必要不可欠と考えております。
② 具体的な取り組み
(ⅰ)会社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取り組み
当社グループは、お客様の暮らしに密着した事業を通じて沿線地域の発展に貢献する企業グループとして、「運輸」、「レジャー」、「不動産」、「流通」等の事業を多角的、複合的に展開しており、この事業活動の根幹にあるものが「安全・安心」の提供であり、さらに、事業を通じて安定的に利益を創出しながら、環境にも配慮した経営を進め、お客様の生活を担う企業グループとして地域社会とともに持続的に発展することにより、企業の社会的責任を果たすことが重要であると認識しております。すべての事業における信頼の基礎である「安全・安心」を提供し続けるとともに、運輸事業を営む者としての公共的使命に関する基本的な考え方を今後も維持し続けることが、当社グループ全体の根幹をなすものと考えております。
さらに、活力に富んだ暮らしやすく訪れたい東武沿線の実現を目指す「東武グループ経営方針」のもと、将来に向けた持続的な成長を目指すべく、長期的な視点から「経営の基本的な方向性」等を示した「長期経営構想」と、これに基づく4か年の具体的な取組みを示した「中期経営計画」を策定いたしました。当社グループでは、中長期的な視点に立ったロードマップを描き、持続的な成長に向けた投資を積極的に推進するとともに、財務健全性を堅持しつつ、株主還元の一層の充実をはかることで、引き続き企業価値および株主共同の利益の確保・向上をはかってまいる所存であります。
(ⅱ)基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、2018年6月22日開催の定時株主総会において「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)の導入について承認を得ております。
本プランは、当社株式等の大量買付行為が行われる場合に、株主様が適切な判断をするために必要・十分な情報と時間を確保するとともに、買収者との交渉の機会を確保することなどにより、企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに運輸事業の安全性、公共性および利用者の利益の確保・向上を目的としています。
本プランは、当社が発行者である株券等について、保有者およびその共同保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付、または当社が発行者である株券等について、公開買付に係る株券等の株券等所有割合およびその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付(以下「買付等」と総称し、買付等を行おうとする者を「買付者等」といいます。)を対象とします。
当社の株券等について買付等が行われる場合、当該買付等に係る買付者等には、買付内容等の検討に必要な情報および本プランに定める手続を遵守する旨の誓約文言等を記載した書面の提出を求めます。その後、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員のみから構成される独立委員会が買付者等から提出された情報や、当社取締役会が必要に応じて提出する買付者等の買付等の内容に対する意見およびその根拠資料、当該買付等に対する代替案について、評価・検討するものとします。独立委員会は、必要に応じて、独立した第三者の助言を得たうえ、買付等の内容の検討、当社取締役会の提示した代替案等の検討、買付者等との協議・交渉、当社取締役会等を通じた株主に対する情報開示等を行います。
独立委員会は、買付者等が本プランに定められた手続を遵守しなかった場合、または買付等の内容の検討等の結果、買付者等による買付等が企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに運輸事業の安全性、公共性および利用者の利益の確保・向上に対する明白な侵害をもたらす恐れのある買付等であるなど、本プランに定める要件のいずれかに該当し、新株予約権の無償割当てを実施することが相当であると判断した場合には、当社取締役会に対して、新株予約権の無償割当てを実施すべき旨の勧告を行います。なお、独立委員会は、新株予約権の無償割当てを実施することが相当であると判断した場合でも、新株予約権の無償割当てを実施することについて株主総会の決議を経ることが相当であると判断した場合には、当社取締役会に対して、株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を諮ることの勧告を行います。この新株予約権は、1円を下限とし当社株式1株の時価の2分の1の金額を上限とする金額の範囲内で、当社取締役会が新株予約権無償割当て決議において定める金額を払い込むことにより、原則として当社株式1株を取得することができるものですが、買付者等による権利行使が認められないという行使条件が付されています。また、当社が買付者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得することができる旨の取得条項が付されており、当社がかかる条項に基づく取得をする場合、新株予約権1個と引換えに、対象株式数に相当する数の当社株式を交付することができるものとします。当社取締役会は、独立委員会の上記勧告を最大限に尊重して新株予約権無償割当ての実施または不実施等の決議をするものとします。ただし、当社取締役会は、独立委員会から、株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を諮ることの勧告を受けた場合には、実務面を含め株主総会の開催が著しく困難な場合を除き、速やかに株主総会を招集し、新株予約権による無償割当ての実施に関する議案を付議する旨決議するものとします。当社取締役会は、上記決定を行った場合には速やかに、当該決議の概要その他当社取締役会が適切と判断する事項について情報開示を行います。
本プランの有効期間は2018年6月22日開催の定時株主総会終了後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。ただし、有効期間の満了前であっても、当社の株主総会において本プランに係る新株予約権の無償割当てに関する事項の決定についての取締役会への上記委任を撤回する旨の決議が行われた場合、または、当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとします。
本プラン導入後であっても、新株予約権無償割当てが実施されていない場合、株主の皆様に直接具体的な影響が生じることはありません。他方、新株予約権無償割当てが実施された場合、株主の皆様が新株予約権行使の手続を行わないとその保有する株式の価値は希釈化される場合があります(ただし、当社が当社株式を対価として新株予約権の取得を行った場合、その保有する株式の希釈化は生じません。)。
(ⅲ)具体的取り組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
前記②(ⅰ)に記載した取り組みは、いずれも当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに運輸事業の安全性、公共性および利用者の利益の確保・向上に資する具体的方策として策定されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。
また、本プランは前記②(ⅱ)記載のとおり、企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに運輸事業の安全性、公共性および利用者の利益の確保・向上させる目的をもって導入されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。とくに、本プランは当社の株主総会において決議がなされ導入しているため、株主意思を重視するものであること、その内容として合理的な客観的発動要件が設定されていること、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員のみから構成される独立委員会を設置し、本プランの発動に際しては必ず独立委員会の判断を得ることが必要とされていること、独立委員会は当社の費用で独立した第三者の助言を得ることができるとされていること、独立委員会から、株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を諮ることの勧告を受けた場合には、実務面を含め株主総会の開催が著しく困難な場合を除き、速やかに株主総会を招集し、新株予約権による無償割当ての実施に関する議案を付議するとされていること、本プランは有効期間を約3年間と定め、有効期間の満了前であっても当社の株主総会または取締役会によりいつでも廃止できるとされていることなどにより、その公正性・客観性が担保されており、合理性を有し、企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに運輸事業の安全性、公共性および利用者の利益の確保・向上に資するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。