有価証券報告書-第14期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな景気回復基調が続きました。先行きについては、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
このような状況下で、当社グループは、中期経営計画「東京メトロプラン2018 ~『安心の提供』と『成長への挑戦』~」に基づき、各種施策を積極的に展開しました。
当連結会計年度の業績は、沿線の再開発や雇用環境の改善が続き、オフィスビル需要が堅調に推移したことに加え、訪日外国人の利用増加等により、旅客運輸収入が堅調に推移したことから、営業収益が4,258億2千1百万円(前期比2.5%増)となりました。しかしながら、当社の経費及び減価償却費が増加したこと等により、営業利益が971億8千7百万円(前期比3.8%減)、経常利益が877億1千9百万円(前期比1.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が603億7千万円(前期比3.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
[運輸業]
運輸業においては、安全の確保・安全性向上のための施策に取り組むとともに、お客様視点に立ったサービスの充実を図り、新たな需要の創出に向け、各種取組を実施しました。
安全の確保・安全性向上の取組については、自然災害対策や鉄道の安全・安定運行に向けた取組などを推進しました。
自然災害対策のうち、施設等の耐震性向上に向けた取組として、東日本大震災を踏まえ、阪神・淡路大震災後の耐震補強において補強対象とされていなかった高架橋柱や、地上部の石積み擁壁の耐震補強工事を進めています。
大規模浸水対策としては、駅出入口において、想定浸水の高さに応じた改良や、防水扉・止水板等の設置を進めており、有楽町線新富町駅など3駅8箇所に防水扉を、有楽町線新富町駅など3駅5箇所に止水板等を設置したほか、日比谷線上野駅1箇所に止水シートを、有楽町線要町駅など3駅6箇所に防水型シャッターを設置しました。さらに、坑口(トンネルの入口部分)等においても浸水対策工事を進めています。
異常時の体制の確立への取組としては、平成29年9月に事故・災害などの発生を想定した対策本部運営訓練を実施したほか、同年11月に総合研修訓練センターにおいて、お客様モニターの皆様及び東京消防庁の方々にご参加いただき、走行中の車両の床下から発煙し、火災が発生したとの想定の下、異常時総合想定訓練を実施しました。
鉄道の安全・安定運行に向けた取組としては、ホームでの安全対策(お客様の転落事故、接触事故の防止等)として、平成37年度までに全路線全駅へのホームドア設置を目指しており、銀座線など4路線において、設置工事を進めています。
また、ホームドア未整備駅においては、混雑箇所や曲線箇所、目の不自由なお客様が多く利用される箇所等に警備員を配置したほか、お客様のご利用状況やホームの形状等を踏まえ、ホーム縁端部への「注意喚起シート(スレッドライン)」の設置を完了するなど、ホームの安全性向上施策を実施しています。さらに、駅構内の「見守る目」を強化するため、平成29年6月から飯田橋駅構内において、学校法人法政大学と連携し、在学生のボランティア活動による介助を必要とするお客様へのサポートを実施しています。このほか、同年9月から11月まで鉄道各社局等と連携し、鉄道をご利用になるお客様が安心して駅等の施設をご利用いただけるよう、お困りのお客様に対して社員や周囲のお客様から積極的にお声かけを行う「『声かけ・サポート』運動強化キャンペーン」を実施しました。
新型車両の導入・既存車両のリニューアルとしては、安全性及び車両内の快適性を向上させ、環境にも配慮した車両の導入を進めました。新型車両については、日比谷線において、東武鉄道株式会社と相互直通運転車両の仕様を共通化した13000系車両を新たに98両(14編成)導入し、合計112両(16編成)となりました。東西線においては、15000系車両を新たに10両(1編成)導入し、合計160両(16編成)となりました。千代田線においては、16000系車両を新たに40両(4編成)導入し、合計370両(37編成)となりました。これにより、16000系車両全編成の導入が完了しました。既存車両については、南北線において、9000系車両12両(2編成)のリニューアル工事が完了しました。
トンネルの長寿命化への取組としては、全路線を対象に、タブレット端末を用いたトンネル内面の近接目視及び打音検査を順次実施しています。本検査は1路線あたり1年をかけて行うものであり、今年度は有楽町線の検査を行いました。また、日常的な補修を確実に実施するとともに、塩害防止対策等も順次実施しています。
お客様視点に立ったサービスの充実に向けた取組については、輸送サービスの改善、バリアフリー設備整備、銀座線のリニューアルなどを進めました。
輸送サービス改善の取組としては、駅や線路その他の設備の改良や、ダイヤ改正などを実施しました。東西線において、混雑に伴う遅延の解消を目指し、飯田橋駅~九段下駅間の折返し線整備、茅場町駅のホーム延伸工事、南砂町駅のホーム及び線路増設工事、木場駅のホーム及びコンコース拡幅並びに昇降設備増設の改良工事を進めています。また、丸ノ内線において、池袋駅~方南町駅間の6両編成列車の直通運行開始を目指し、方南町駅のホーム延伸工事を進めています。さらに、千代田線において、代々木上原駅~北綾瀬駅間の10両編成列車の直通運行開始を目指し、北綾瀬駅のホーム延伸工事を進めています。ダイヤ改正としては、全線で一部区間での列車増発や停車時間の見直し等を実施しました。
このほか、平成29年7月に東京都が実施した「快適通勤ムーブメント『時差B i z』」期間に合わせて、東西線及び半蔵門線において平日早朝時間帯に臨時列車を運行したほか、東西線において混雑する列車をホームページやポスター等に掲載し、混雑状況の「見える化」を実施しました。さらに、「オフピーク通勤(通学)」を推奨するため、これまで冬季及び春季の期間に実施してきた「東西線早起きキャンペーン」を、平成29年9月から通年で実施しています。
バリアフリー設備整備としては、エレベーターを銀座線京橋駅など11駅13基、エスカレーターを丸ノ内線四ツ谷駅など3駅9基設置しました。また、お身体の不自由なお客様をはじめとした全てのお客様にご利用いただける多機能トイレを丸ノ内線方南町駅に1箇所設置し、多機能トイレの整備率は、98.5%となりました。このほか、既に多機能トイレが設置されている銀座線浅草駅など2駅にも2箇所増設しました。
さらに、新型車両の導入や既存車両のリニューアル工事に合わせて、車椅子・ベビーカーをご利用のお客様や旅行等で大きな荷物をお持ちのお客様に配慮した、車両内フリースペースの導入を進めています。
銀座線のリニューアルとしては、これまで実施した「東京メトロ銀座線・駅デザインコンペ」の結果を踏まえ、「下町エリア」として区分した浅草駅~神田駅の駅改装工事が一部の箇所を除き完了しました。また、「商業エリア」として区分した日本橋駅、京橋駅の駅改装工事を進めているほか、「銀座エリア」として区分した銀座駅の駅改装工事を進めています。さらに、渋谷駅街区基盤整備の一環として、銀座線渋谷駅の移設・改良工事を進めています。
地下鉄をわかりやすく快適にご利用いただくための取組としては、訪日外国人のお客様へ様々な情報提供を行うことを目的として設置した「ウェルカムボード」に、当社及び都営地下鉄のルートを検索できるディスプレイ「T o k y o S u b w a y N a v i g a t i o n f o r T o u r i s t s P l u s 」を上野駅など10駅に導入し、平成30年3月末現在、合計7言語(日・英・中・韓・タイ・仏・西)でのご利用が可能となりました。また、訪日外国人のお客様への利便性向上を目的として、平成29年6月に、千代田線明治神宮前〈原宿〉駅に、手軽に外貨を円に両替できる「外貨自動両替機」を設置し、サービスを開始するとともに、訪日外国人のお客様をはじめ、当社線に不慣れなお客様がわかりやすく安心してご利用いただけるよう、東京都交通局と共同で開発した旅行者向け券売機を平成30年3月に銀座線上野駅に導入しました。今後は、浅草駅や銀座駅等、旅行者のご利用が多い69駅に順次設置していきます。さらに、平成30年3月に、千代田線二重橋前駅に副駅名称として〈丸の内〉を導入したほか、日比谷線築地駅と有楽町線新富町駅を乗換駅として設定し、お客様の利便性・快適性の向上に努めています。
このほか、あらかじめ登録したPASMOで当社線にご乗車いただくとポイントを獲得できるサービス「メトロポイントクラブ(メトポ)」の提供を開始したほか、車両内無料W i - F i サービスを、既に稼働している銀座線1000系車両と日比谷線13000系車両に加え、平成29年10月からは東西線車両、同年11月からは千代田線車両へ順次導入し、平成32年度までに全車両への導入を目指しています。
東京の地下鉄サービスの一体化に向けた取組としては、平成29年4月に、日比谷線・都営浅草線人形町駅における改札通過サービスを開始し、平成30年3月には、日比谷線・都営浅草線人形町駅と半蔵門線水天宮前駅を乗換駅として設定しました。また、「東京メトロ・都営地下鉄共通一日乗車券」の価格を1,000円から900円へ変更するとともに、従来の磁気乗車券に加え、平成29年4月からは記名PASMOでの発売を、平成30年3月からは無記名PASMOでの発売を開始しています。さらに、浅草駅や大手町駅等の都営地下鉄との乗換駅における乗継ルートのエレベーター整備工事を進めています。
新たな需要の創出に向けた取組については、お客様ニーズをとらえたサービス・商品の提供、沿線地域や東京の魅力の発掘・発信などに努めました。
お客様ニーズをとらえたサービス・商品の提供への取組としては、国内外の旅行者向けの当社・都営地下鉄共通乗車券「Tokyo Subway T i c k e t」について、平成29年7月から、羽田空港到着の全日本空輸株式会社(ANA)国内線ご利用の方を対象に、羽田空港国内線第2ターミナルにおいて発売を開始しました。また、同年10月からは、同乗車券を訪日外国人のお客様向けに、上野駅など14駅15箇所の定期券うりばでも発売を開始し、平成30年3月からは、定期券うりばでクレジットカードでの購入が可能となりました。さらに、イベントに優先的に参加できる会員組織「東京メトロイベントT o u c h」を発足するなど、各種施策を実施しました。
お客様誘致施策については、平成29年10月に、24時間券と謎解きキットを使用した「ナゾトキ街歩きゲーム『地下謎への招待状2017』」を実施し、また、平成30年2月には、乗車特典のついた臨時特急ロマンスカー「メトロおさんぽ号」を小田急線小田原駅~千代田線北千住駅間で運行しました。このほか、同年3月に、「TOHOシネマズ日比谷オープン記念 東京メトロICタッチキャンペーン」を実施するなど、各種施策に取り組みました。
沿線地域や東京の魅力の発掘・発信への取組としては、駅周辺地域の施設・店舗と連携して当社沿線の街の魅力を発信する散策型スタンプラリー「新発見!駅から始まるさんぽ道 2 n d S e a s o n」を平成28年度に引き続き、通年で実施しました。また、当社沿線と熊本県内にあるスポットを巡り、熊本県の新たな魅力を知っていただくとともに、熊本の復興を応援することを目的として、平成28年11月から実施した第1弾に引き続き、当社、全日本空輸株式会社(ANA)、熊本県の交通事業者5社局との合同企画「きなっせ熊本第2弾『東京×熊本スタンプラリー』」を平成29年12月から実施しています。さらに、熊本県産品の販売と観光PRのため、平成30年3月に銀座線三越前駅コンコースにて「熊本産直市」を開催し、また、同線において、熊本県PRキャラクターである「くまモン」をラッピングした電車を同年3月から期間限定で運行しています。
このほか、事前応募制による車両基地イベント「メトロファミリーパーク i n AYASE」、当社沿線の特色あるエリアを散策していただく「東京まちさんぽ」、ゆったりと散策していただく「より道さんぽ」など、各種イベントを実施しました。
まちづくりとの連携としては、バリアフリー施設の整備を検討している日比谷線茅場町駅など16駅において、駅との接続を前提とした駅周辺での建物の建替えや開発の計画を募集する「駅周辺開発における公募型連携プロジェクト」を進めています。また、大規模な都市開発による駅周辺のまちづくりと一体となった鉄道施設整備として、日比谷線虎ノ門新駅(仮称)の整備、銀座線虎ノ門駅及び日本橋駅の駅改良に引き続き取り組んでいきます。
新たな事業領域への挑戦としては、当社が保有する経営資源と社外の経営資源やアイデアを組み合わせることによる新しい価値の創造を目指し、「Tokyo M e t r o ACCELERATOR 2017」として、企業アクセラレータープログラムを2年連続で実施し、東京のさらなる発展に寄与するサービスやアイデアの提案を募集しました。審査を通過した企業との実証実験等を通して、事業展開を検討していきます。
環境保全活動への取組としては、環境負荷の低減につながる様々な施策を長期的かつ戦略的に実施するため、平成32年度に向けた長期環境戦略「みんなでECO.」に基づき、各種施策に取り組んでいます。
その一環として、電車がブレーキをかけたときに発生する回生電力を駅施設に供給する駅補助電源装置の導入や車内照明、駅構内照明及び駅出入口のシンボルマーク(ハートM)サインのLED化など、平成28年発効のパリ協定を意識し、省エネルギー施策に引き続き取り組んでいきます。
さらに、東京2020大会に向け、オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)である当社及び東日本旅客鉄道株式会社は、車両内のビジョン等で各競技の見どころ・観戦ポイントを紹介するプロジェクト「TOKYO SPORTS STATION」を共同で実施しています。今後も、東京2020大会の成功に貢献するため、東京2020大会組織委員会をはじめ、国や東京都、沿線地域の皆様、他の交通事業者などと連携し、各種施策に取り組んでいきます。
海外への展開については、当社の運営ノウハウを提供し、設立を支援した「ハノイ・メトロ・カンパニー」(ベトナム・ハノイ市都市鉄道の運営・維持管理会社)に対する支援等を継続して実施するとともに、現地法人「ベトナム東京メトロ」(VIETNAM TOKYO METRO ONE MENBER LIMITED LIABILITY COMPANY)と連携し、ベトナム国における都市鉄道の運営・維持に対する支援等を強化しています。また、平成29年12月には、独立行政法人国際協力機構(JICA)から「ベトナム国ホーチミン市都市鉄道規制機関及び運営会社能力強化プロジェクト」を株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル、株式会社アルメックVPI、日本コンサルタンツ株式会社及び社会システム株式会社と共同で受注し、業務を開始しました。
新技術の開発・導入としては、AR(拡張現実)技術の活用として、総合研修訓練センター内の模擬トンネル等において土木構造物の実際の検査方法、手順等を確認できる維持管理教育用アプリを開発し、平成29年5月から使用を開始しました。
このほか、平成29年12月30日には、東洋初の地下鉄が、上野駅~浅草駅間に開通してから90周年を迎えました。これを記念し、90年間の歴史とお客様への感謝をお伝えするため「地下は、未来だ。これからも。」をキャッチコピーに、地下鉄開通90周年感謝祭「TOKYO METRO 90 D a y s FES!」をはじめ、様々なイベントを実施しました。
このほか、沿線の再開発や雇用環境の改善が続き、オフィスビル需要が堅調に推移したことに加え、訪日外国人の利用増加等により、運輸業の当連結会計年度の業績は、輸送人員は27億9百万人(前期比2.5%増)、旅客運輸収入は3,415億5千万円(前期比2.4%増)となり、営業収益が3,791億8千4百万円(前期比2.2%増)となりました。しかしながら、当社の経費及び減価償却費が増加したこと等により、営業利益が853億1千8百万円(前期比5.3%減)となりました。
(運輸成績表)
(注1) 記載数値は、千キロ未満、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。
(注2) 乗車効率の算出方法:人キロ÷(客車走行キロ×客車平均定員)×100
[不動産事業]
不動産事業においては、鉄道事業とのシナジー効果の発揮を基本とした上で、収益力向上を図り、各種開発を推進しました。
渋谷駅街区開発については、東京急行電鉄株式会社、東日本旅客鉄道株式会社及び当社の3社にて、渋谷駅街区開発計画Ⅰ期(東棟)工事を進めています。また、駅直結のエレベーター・エスカレーターと一体となった建物を整備していくことを目指しており、平成29年6月に半蔵門線半蔵門駅において、オフィスビル「PMO半蔵門」を開業しました。さらに、丸ノ内線新宿御苑前駅、日比谷線六本木駅においても同様の不動産開発を進めています。
以上のほか、不動産賃貸収入の増加等により、不動産事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が129億8千9百万円(前期比6.2%増)、営業利益が42億1千8百万円(前期比0.4%増)となりました。
[流通・広告事業]
流通・広告事業においては、より一層の収益拡大を図るとともに、駅をご利用されるお客様の利便性を高めるため、グループ各社との連携を図りながら各種施策を推進しました。
流通事業については、平成29年7月に丸ノ内線中野坂上駅において、「中野坂上Metro pia(メトロピア)」として4店舗、同年11月に南北線飯田橋駅において、「飯田橋Metro pia(メトロピア)」の新規区画として2店舗、さらに同年12月に銀座線上野駅において、「E c h i k a f i t(エチカフィット)上野」として5店舗をそれぞれ開業しました。また、「Esola(エソラ)池袋」をはじめとした商業ビルや「Metro pia(メトロピア)」等の駅構内店舗において、セール等各種フェアや店舗の入替えを実施し、収益性の向上を図りました。
提携クレジットカード「Tokyo Metro To Me CARD」については、「ANA To Me CARD PASMO JCB(愛称:ソラチカカード)」及び「Tokyo Metro To Me CARD Prime」の新規入会キャンペーンをはじめとした各種キャンペーンを実施するとともに、日本初の地下鉄車両1001号車をデザインした「Tokyo Metro To Me CARD Prime 地下鉄開通90周年限定カード」での募集を平成29年12月から期間限定で開始するなど、新規会員の獲得とカード利用の促進に努めました。
広告事業については、車内デジタル広告「Tokyo Metro Vision」を新たに30編成に導入し、合計227編成で販売し、駅コンコースデジタル広告「Metro Concourse Vision」等と合わせて、収益拡大に努めました。
情報通信事業については、参画企業と共同構築した訪日外国人向け観光情報サイト「LIVE JAPAN
PERFECT GUIDE TOKYO」にて、訪日外国人のお客様の視点で厳選した観光情報の発信に取り組んでいます。
以上により、流通・広告事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が399億2千6百万円(前期比5.4%増)、営業利益が73億2千4百万円(前期比12.6%増)となりました。
当社グループの財政状態については、当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ982億3千万円増の1兆5,501億3千2百万円、負債合計は501億4千1百万円増の9,152億2百万円、純資産合計は480億8千9百万円増の6,349億3千万円となりました。
資産の部の増加については、設備投資に伴う固定資産の増加等によるものです。
負債の部の増加については、設備投資に伴う長期債務の増加等によるものです。
純資産の部の増加については、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、41.0%(対前連結会計年度末0.6ポイント上昇)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ28億4千2百万円減少し、当連結会計年度末には393億3千3百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,386億8千3百万円(前期比103億2千7百万円収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益878億4千2百万円、非資金科目である減価償却費750億5千1百万円を計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,564億7千3百万円(前期比256億5千万円支出増)となりました。これは、補助金受入れによる収入が45億6千4百万円あった一方で、有形及び無形固定資産の取得による支出が1,625億9千1百万円あったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、149億4千6百万円(前期比111億1千1百万円収入増)となりました。これは、社債の償還による支出が550億円、長期借入金の返済による支出が213億8千9百万円あった一方で、社債の発行による収入596億6千4百万円、長期借入れによる収入470億円があったこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績を記載することとしています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
ⅰ有価証券の評価
当社グループが保有する有価証券のうち、市場価額のある有価証券は時価の著しい下落が生じた場合に、市場価額のない有価証券は、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく下落した場合等に、損失の計上が必要となる場合があります。
ⅱ固定資産の減損
当社グループは多くの固定資産を保有しており、回収可能価額を将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しています。そのため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、又は算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。
ⅲ繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
ⅳ退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等の前提条件に基づいて算出しています。
実際の結果が、前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析は次のとおりです。
(単位:百万円)
[営業収益及び営業利益]
当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ104億7百万円増の4,258億2千1百万円となりました。これは、沿線の再開発や雇用環境の改善が続き、オフィスビル需要が堅調に推移したことに加え、訪日外国人の利用増加等により、旅客運輸収入が堅調に推移したことによるものです。
営業費は、前連結会計年度に比べ142億9千7百万円増の3,286億3千4百万円となりました。これは、当社の経費及び減価償却費の増加等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ38億8千9百万円減の971億8千7百万円となりました。なお、各セグメントの営業収益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[営業外損益及び経常利益]
当連結会計年度の営業外収益は、受取受託工事事務費の増加等により、前連結会計年度に比べ13億3千1百万円増の25億3千7百万円となりました。
営業外費用は、支払利息の減少等により、前連結会計年度に比べ11億5千9百万円減の120億5百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ13億9千8百万円減の877億1千9百万円となりました。
[特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度の特別利益は、鉄道施設受贈財産評価額の増加等により、前連結会計年度に比べ10億5百万円増の81億5千4百万円となりました。
特別損失は、固定資産の圧縮損の増加等により、前連結会計年度に比べ26億1千7百万円増の80億3千1百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は878億4千2百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ18億8千6百万円減の603億7千万円となりました。
財政状態の分析は次のとおりです。
当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析は次のとおりです。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動により得られた資金並びに社債及び借入金を設備投資などに充当しています。
当社グループの今後の資金需要において、主なものは運輸業のうち鉄道事業に係る設備投資であり、「第3 設備の状況」の「3 設備の新設、除却等の計画」に記載しています。当社グループでは、設備投資については、投資効率等により選別し、効率的かつ戦略的な投資を行っていきます。
以上のように、中期経営計画「東京メトロプラン 2018 ~『安心の提供』と『成長への挑戦』~」の中間年度である当連結会計年度については、定期利用での沿線オフィス需要の堅調さや再開発及び定期外利用での休日のお出かけ需要や訪日外国人のご利用増により、一定の成果を収めることができました。
一方で、東京2020大会とその後も見据え、各種施策の計画前倒し・追加、工事完成時期を優先するための工程促進等により、現中期経営計画3か年の設備投資額を当初計画4,200億円から5,100億円に増額変更しました。これに伴い、減価償却費や経費をはじめとした営業費が増加したことにより、営業利益は前連結会計年度に比べ減益となりました。今後は、増収やコスト削減等の経営努力により、さらなる効率的な事業運営に努めていく必要があると認識しています。
平成30年度は、中期経営計画「東京メトロプラン 2018 ~『安心の提供』と『成長への挑戦』~」の最終年度として、各種施策の推進や、これらの取組を通じ、持続的な企業価値の向上を図っていきます。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな景気回復基調が続きました。先行きについては、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
このような状況下で、当社グループは、中期経営計画「東京メトロプラン2018 ~『安心の提供』と『成長への挑戦』~」に基づき、各種施策を積極的に展開しました。
当連結会計年度の業績は、沿線の再開発や雇用環境の改善が続き、オフィスビル需要が堅調に推移したことに加え、訪日外国人の利用増加等により、旅客運輸収入が堅調に推移したことから、営業収益が4,258億2千1百万円(前期比2.5%増)となりました。しかしながら、当社の経費及び減価償却費が増加したこと等により、営業利益が971億8千7百万円(前期比3.8%減)、経常利益が877億1千9百万円(前期比1.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が603億7千万円(前期比3.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
[運輸業]
運輸業においては、安全の確保・安全性向上のための施策に取り組むとともに、お客様視点に立ったサービスの充実を図り、新たな需要の創出に向け、各種取組を実施しました。
安全の確保・安全性向上の取組については、自然災害対策や鉄道の安全・安定運行に向けた取組などを推進しました。
自然災害対策のうち、施設等の耐震性向上に向けた取組として、東日本大震災を踏まえ、阪神・淡路大震災後の耐震補強において補強対象とされていなかった高架橋柱や、地上部の石積み擁壁の耐震補強工事を進めています。
大規模浸水対策としては、駅出入口において、想定浸水の高さに応じた改良や、防水扉・止水板等の設置を進めており、有楽町線新富町駅など3駅8箇所に防水扉を、有楽町線新富町駅など3駅5箇所に止水板等を設置したほか、日比谷線上野駅1箇所に止水シートを、有楽町線要町駅など3駅6箇所に防水型シャッターを設置しました。さらに、坑口(トンネルの入口部分)等においても浸水対策工事を進めています。
異常時の体制の確立への取組としては、平成29年9月に事故・災害などの発生を想定した対策本部運営訓練を実施したほか、同年11月に総合研修訓練センターにおいて、お客様モニターの皆様及び東京消防庁の方々にご参加いただき、走行中の車両の床下から発煙し、火災が発生したとの想定の下、異常時総合想定訓練を実施しました。
鉄道の安全・安定運行に向けた取組としては、ホームでの安全対策(お客様の転落事故、接触事故の防止等)として、平成37年度までに全路線全駅へのホームドア設置を目指しており、銀座線など4路線において、設置工事を進めています。
また、ホームドア未整備駅においては、混雑箇所や曲線箇所、目の不自由なお客様が多く利用される箇所等に警備員を配置したほか、お客様のご利用状況やホームの形状等を踏まえ、ホーム縁端部への「注意喚起シート(スレッドライン)」の設置を完了するなど、ホームの安全性向上施策を実施しています。さらに、駅構内の「見守る目」を強化するため、平成29年6月から飯田橋駅構内において、学校法人法政大学と連携し、在学生のボランティア活動による介助を必要とするお客様へのサポートを実施しています。このほか、同年9月から11月まで鉄道各社局等と連携し、鉄道をご利用になるお客様が安心して駅等の施設をご利用いただけるよう、お困りのお客様に対して社員や周囲のお客様から積極的にお声かけを行う「『声かけ・サポート』運動強化キャンペーン」を実施しました。
新型車両の導入・既存車両のリニューアルとしては、安全性及び車両内の快適性を向上させ、環境にも配慮した車両の導入を進めました。新型車両については、日比谷線において、東武鉄道株式会社と相互直通運転車両の仕様を共通化した13000系車両を新たに98両(14編成)導入し、合計112両(16編成)となりました。東西線においては、15000系車両を新たに10両(1編成)導入し、合計160両(16編成)となりました。千代田線においては、16000系車両を新たに40両(4編成)導入し、合計370両(37編成)となりました。これにより、16000系車両全編成の導入が完了しました。既存車両については、南北線において、9000系車両12両(2編成)のリニューアル工事が完了しました。
トンネルの長寿命化への取組としては、全路線を対象に、タブレット端末を用いたトンネル内面の近接目視及び打音検査を順次実施しています。本検査は1路線あたり1年をかけて行うものであり、今年度は有楽町線の検査を行いました。また、日常的な補修を確実に実施するとともに、塩害防止対策等も順次実施しています。
お客様視点に立ったサービスの充実に向けた取組については、輸送サービスの改善、バリアフリー設備整備、銀座線のリニューアルなどを進めました。
輸送サービス改善の取組としては、駅や線路その他の設備の改良や、ダイヤ改正などを実施しました。東西線において、混雑に伴う遅延の解消を目指し、飯田橋駅~九段下駅間の折返し線整備、茅場町駅のホーム延伸工事、南砂町駅のホーム及び線路増設工事、木場駅のホーム及びコンコース拡幅並びに昇降設備増設の改良工事を進めています。また、丸ノ内線において、池袋駅~方南町駅間の6両編成列車の直通運行開始を目指し、方南町駅のホーム延伸工事を進めています。さらに、千代田線において、代々木上原駅~北綾瀬駅間の10両編成列車の直通運行開始を目指し、北綾瀬駅のホーム延伸工事を進めています。ダイヤ改正としては、全線で一部区間での列車増発や停車時間の見直し等を実施しました。
このほか、平成29年7月に東京都が実施した「快適通勤ムーブメント『時差B i z』」期間に合わせて、東西線及び半蔵門線において平日早朝時間帯に臨時列車を運行したほか、東西線において混雑する列車をホームページやポスター等に掲載し、混雑状況の「見える化」を実施しました。さらに、「オフピーク通勤(通学)」を推奨するため、これまで冬季及び春季の期間に実施してきた「東西線早起きキャンペーン」を、平成29年9月から通年で実施しています。
バリアフリー設備整備としては、エレベーターを銀座線京橋駅など11駅13基、エスカレーターを丸ノ内線四ツ谷駅など3駅9基設置しました。また、お身体の不自由なお客様をはじめとした全てのお客様にご利用いただける多機能トイレを丸ノ内線方南町駅に1箇所設置し、多機能トイレの整備率は、98.5%となりました。このほか、既に多機能トイレが設置されている銀座線浅草駅など2駅にも2箇所増設しました。
さらに、新型車両の導入や既存車両のリニューアル工事に合わせて、車椅子・ベビーカーをご利用のお客様や旅行等で大きな荷物をお持ちのお客様に配慮した、車両内フリースペースの導入を進めています。
銀座線のリニューアルとしては、これまで実施した「東京メトロ銀座線・駅デザインコンペ」の結果を踏まえ、「下町エリア」として区分した浅草駅~神田駅の駅改装工事が一部の箇所を除き完了しました。また、「商業エリア」として区分した日本橋駅、京橋駅の駅改装工事を進めているほか、「銀座エリア」として区分した銀座駅の駅改装工事を進めています。さらに、渋谷駅街区基盤整備の一環として、銀座線渋谷駅の移設・改良工事を進めています。
地下鉄をわかりやすく快適にご利用いただくための取組としては、訪日外国人のお客様へ様々な情報提供を行うことを目的として設置した「ウェルカムボード」に、当社及び都営地下鉄のルートを検索できるディスプレイ「T o k y o S u b w a y N a v i g a t i o n f o r T o u r i s t s P l u s 」を上野駅など10駅に導入し、平成30年3月末現在、合計7言語(日・英・中・韓・タイ・仏・西)でのご利用が可能となりました。また、訪日外国人のお客様への利便性向上を目的として、平成29年6月に、千代田線明治神宮前〈原宿〉駅に、手軽に外貨を円に両替できる「外貨自動両替機」を設置し、サービスを開始するとともに、訪日外国人のお客様をはじめ、当社線に不慣れなお客様がわかりやすく安心してご利用いただけるよう、東京都交通局と共同で開発した旅行者向け券売機を平成30年3月に銀座線上野駅に導入しました。今後は、浅草駅や銀座駅等、旅行者のご利用が多い69駅に順次設置していきます。さらに、平成30年3月に、千代田線二重橋前駅に副駅名称として〈丸の内〉を導入したほか、日比谷線築地駅と有楽町線新富町駅を乗換駅として設定し、お客様の利便性・快適性の向上に努めています。
このほか、あらかじめ登録したPASMOで当社線にご乗車いただくとポイントを獲得できるサービス「メトロポイントクラブ(メトポ)」の提供を開始したほか、車両内無料W i - F i サービスを、既に稼働している銀座線1000系車両と日比谷線13000系車両に加え、平成29年10月からは東西線車両、同年11月からは千代田線車両へ順次導入し、平成32年度までに全車両への導入を目指しています。
東京の地下鉄サービスの一体化に向けた取組としては、平成29年4月に、日比谷線・都営浅草線人形町駅における改札通過サービスを開始し、平成30年3月には、日比谷線・都営浅草線人形町駅と半蔵門線水天宮前駅を乗換駅として設定しました。また、「東京メトロ・都営地下鉄共通一日乗車券」の価格を1,000円から900円へ変更するとともに、従来の磁気乗車券に加え、平成29年4月からは記名PASMOでの発売を、平成30年3月からは無記名PASMOでの発売を開始しています。さらに、浅草駅や大手町駅等の都営地下鉄との乗換駅における乗継ルートのエレベーター整備工事を進めています。
新たな需要の創出に向けた取組については、お客様ニーズをとらえたサービス・商品の提供、沿線地域や東京の魅力の発掘・発信などに努めました。
お客様ニーズをとらえたサービス・商品の提供への取組としては、国内外の旅行者向けの当社・都営地下鉄共通乗車券「Tokyo Subway T i c k e t」について、平成29年7月から、羽田空港到着の全日本空輸株式会社(ANA)国内線ご利用の方を対象に、羽田空港国内線第2ターミナルにおいて発売を開始しました。また、同年10月からは、同乗車券を訪日外国人のお客様向けに、上野駅など14駅15箇所の定期券うりばでも発売を開始し、平成30年3月からは、定期券うりばでクレジットカードでの購入が可能となりました。さらに、イベントに優先的に参加できる会員組織「東京メトロイベントT o u c h」を発足するなど、各種施策を実施しました。
お客様誘致施策については、平成29年10月に、24時間券と謎解きキットを使用した「ナゾトキ街歩きゲーム『地下謎への招待状2017』」を実施し、また、平成30年2月には、乗車特典のついた臨時特急ロマンスカー「メトロおさんぽ号」を小田急線小田原駅~千代田線北千住駅間で運行しました。このほか、同年3月に、「TOHOシネマズ日比谷オープン記念 東京メトロICタッチキャンペーン」を実施するなど、各種施策に取り組みました。
沿線地域や東京の魅力の発掘・発信への取組としては、駅周辺地域の施設・店舗と連携して当社沿線の街の魅力を発信する散策型スタンプラリー「新発見!駅から始まるさんぽ道 2 n d S e a s o n」を平成28年度に引き続き、通年で実施しました。また、当社沿線と熊本県内にあるスポットを巡り、熊本県の新たな魅力を知っていただくとともに、熊本の復興を応援することを目的として、平成28年11月から実施した第1弾に引き続き、当社、全日本空輸株式会社(ANA)、熊本県の交通事業者5社局との合同企画「きなっせ熊本第2弾『東京×熊本スタンプラリー』」を平成29年12月から実施しています。さらに、熊本県産品の販売と観光PRのため、平成30年3月に銀座線三越前駅コンコースにて「熊本産直市」を開催し、また、同線において、熊本県PRキャラクターである「くまモン」をラッピングした電車を同年3月から期間限定で運行しています。
このほか、事前応募制による車両基地イベント「メトロファミリーパーク i n AYASE」、当社沿線の特色あるエリアを散策していただく「東京まちさんぽ」、ゆったりと散策していただく「より道さんぽ」など、各種イベントを実施しました。
まちづくりとの連携としては、バリアフリー施設の整備を検討している日比谷線茅場町駅など16駅において、駅との接続を前提とした駅周辺での建物の建替えや開発の計画を募集する「駅周辺開発における公募型連携プロジェクト」を進めています。また、大規模な都市開発による駅周辺のまちづくりと一体となった鉄道施設整備として、日比谷線虎ノ門新駅(仮称)の整備、銀座線虎ノ門駅及び日本橋駅の駅改良に引き続き取り組んでいきます。
新たな事業領域への挑戦としては、当社が保有する経営資源と社外の経営資源やアイデアを組み合わせることによる新しい価値の創造を目指し、「Tokyo M e t r o ACCELERATOR 2017」として、企業アクセラレータープログラムを2年連続で実施し、東京のさらなる発展に寄与するサービスやアイデアの提案を募集しました。審査を通過した企業との実証実験等を通して、事業展開を検討していきます。
環境保全活動への取組としては、環境負荷の低減につながる様々な施策を長期的かつ戦略的に実施するため、平成32年度に向けた長期環境戦略「みんなでECO.」に基づき、各種施策に取り組んでいます。
その一環として、電車がブレーキをかけたときに発生する回生電力を駅施設に供給する駅補助電源装置の導入や車内照明、駅構内照明及び駅出入口のシンボルマーク(ハートM)サインのLED化など、平成28年発効のパリ協定を意識し、省エネルギー施策に引き続き取り組んでいきます。
さらに、東京2020大会に向け、オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)である当社及び東日本旅客鉄道株式会社は、車両内のビジョン等で各競技の見どころ・観戦ポイントを紹介するプロジェクト「TOKYO SPORTS STATION」を共同で実施しています。今後も、東京2020大会の成功に貢献するため、東京2020大会組織委員会をはじめ、国や東京都、沿線地域の皆様、他の交通事業者などと連携し、各種施策に取り組んでいきます。
海外への展開については、当社の運営ノウハウを提供し、設立を支援した「ハノイ・メトロ・カンパニー」(ベトナム・ハノイ市都市鉄道の運営・維持管理会社)に対する支援等を継続して実施するとともに、現地法人「ベトナム東京メトロ」(VIETNAM TOKYO METRO ONE MENBER LIMITED LIABILITY COMPANY)と連携し、ベトナム国における都市鉄道の運営・維持に対する支援等を強化しています。また、平成29年12月には、独立行政法人国際協力機構(JICA)から「ベトナム国ホーチミン市都市鉄道規制機関及び運営会社能力強化プロジェクト」を株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル、株式会社アルメックVPI、日本コンサルタンツ株式会社及び社会システム株式会社と共同で受注し、業務を開始しました。
新技術の開発・導入としては、AR(拡張現実)技術の活用として、総合研修訓練センター内の模擬トンネル等において土木構造物の実際の検査方法、手順等を確認できる維持管理教育用アプリを開発し、平成29年5月から使用を開始しました。
このほか、平成29年12月30日には、東洋初の地下鉄が、上野駅~浅草駅間に開通してから90周年を迎えました。これを記念し、90年間の歴史とお客様への感謝をお伝えするため「地下は、未来だ。これからも。」をキャッチコピーに、地下鉄開通90周年感謝祭「TOKYO METRO 90 D a y s FES!」をはじめ、様々なイベントを実施しました。
このほか、沿線の再開発や雇用環境の改善が続き、オフィスビル需要が堅調に推移したことに加え、訪日外国人の利用増加等により、運輸業の当連結会計年度の業績は、輸送人員は27億9百万人(前期比2.5%増)、旅客運輸収入は3,415億5千万円(前期比2.4%増)となり、営業収益が3,791億8千4百万円(前期比2.2%増)となりました。しかしながら、当社の経費及び減価償却費が増加したこと等により、営業利益が853億1千8百万円(前期比5.3%減)となりました。
(運輸成績表)
| 種別 | 単位 | 前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | |
| 営業日数 | 日 | 365 | 365 | |
| 旅客営業キロ | キロ | 195.1 | 195.1 | |
| 客車走行キロ | 千キロ | 289,345 | 290,407 | |
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 1,511,080 | 1,551,898 |
| 定期外 | 〃 | 1,131,035 | 1,157,166 | |
| 計 | 〃 | 2,642,116 | 2,709,064 | |
| 旅客運輸収入 | 定期 | 百万円 | 145,732 | 149,875 |
| 定期外 | 〃 | 187,759 | 191,675 | |
| 計 | 〃 | 333,492 | 341,550 | |
| 乗車効率 | % | 52 | 53 | |
(注1) 記載数値は、千キロ未満、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。
(注2) 乗車効率の算出方法:人キロ÷(客車走行キロ×客車平均定員)×100
[不動産事業]
不動産事業においては、鉄道事業とのシナジー効果の発揮を基本とした上で、収益力向上を図り、各種開発を推進しました。
渋谷駅街区開発については、東京急行電鉄株式会社、東日本旅客鉄道株式会社及び当社の3社にて、渋谷駅街区開発計画Ⅰ期(東棟)工事を進めています。また、駅直結のエレベーター・エスカレーターと一体となった建物を整備していくことを目指しており、平成29年6月に半蔵門線半蔵門駅において、オフィスビル「PMO半蔵門」を開業しました。さらに、丸ノ内線新宿御苑前駅、日比谷線六本木駅においても同様の不動産開発を進めています。
以上のほか、不動産賃貸収入の増加等により、不動産事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が129億8千9百万円(前期比6.2%増)、営業利益が42億1千8百万円(前期比0.4%増)となりました。
[流通・広告事業]
流通・広告事業においては、より一層の収益拡大を図るとともに、駅をご利用されるお客様の利便性を高めるため、グループ各社との連携を図りながら各種施策を推進しました。
流通事業については、平成29年7月に丸ノ内線中野坂上駅において、「中野坂上Metro pia(メトロピア)」として4店舗、同年11月に南北線飯田橋駅において、「飯田橋Metro pia(メトロピア)」の新規区画として2店舗、さらに同年12月に銀座線上野駅において、「E c h i k a f i t(エチカフィット)上野」として5店舗をそれぞれ開業しました。また、「Esola(エソラ)池袋」をはじめとした商業ビルや「Metro pia(メトロピア)」等の駅構内店舗において、セール等各種フェアや店舗の入替えを実施し、収益性の向上を図りました。
提携クレジットカード「Tokyo Metro To Me CARD」については、「ANA To Me CARD PASMO JCB(愛称:ソラチカカード)」及び「Tokyo Metro To Me CARD Prime」の新規入会キャンペーンをはじめとした各種キャンペーンを実施するとともに、日本初の地下鉄車両1001号車をデザインした「Tokyo Metro To Me CARD Prime 地下鉄開通90周年限定カード」での募集を平成29年12月から期間限定で開始するなど、新規会員の獲得とカード利用の促進に努めました。
広告事業については、車内デジタル広告「Tokyo Metro Vision」を新たに30編成に導入し、合計227編成で販売し、駅コンコースデジタル広告「Metro Concourse Vision」等と合わせて、収益拡大に努めました。
情報通信事業については、参画企業と共同構築した訪日外国人向け観光情報サイト「LIVE JAPAN
PERFECT GUIDE TOKYO」にて、訪日外国人のお客様の視点で厳選した観光情報の発信に取り組んでいます。
以上により、流通・広告事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が399億2千6百万円(前期比5.4%増)、営業利益が73億2千4百万円(前期比12.6%増)となりました。
当社グループの財政状態については、当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ982億3千万円増の1兆5,501億3千2百万円、負債合計は501億4千1百万円増の9,152億2百万円、純資産合計は480億8千9百万円増の6,349億3千万円となりました。
資産の部の増加については、設備投資に伴う固定資産の増加等によるものです。
負債の部の増加については、設備投資に伴う長期債務の増加等によるものです。
純資産の部の増加については、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、41.0%(対前連結会計年度末0.6ポイント上昇)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ28億4千2百万円減少し、当連結会計年度末には393億3千3百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,386億8千3百万円(前期比103億2千7百万円収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益878億4千2百万円、非資金科目である減価償却費750億5千1百万円を計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,564億7千3百万円(前期比256億5千万円支出増)となりました。これは、補助金受入れによる収入が45億6千4百万円あった一方で、有形及び無形固定資産の取得による支出が1,625億9千1百万円あったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、149億4千6百万円(前期比111億1千1百万円収入増)となりました。これは、社債の償還による支出が550億円、長期借入金の返済による支出が213億8千9百万円あった一方で、社債の発行による収入596億6千4百万円、長期借入れによる収入470億円があったこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績を記載することとしています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
ⅰ有価証券の評価
当社グループが保有する有価証券のうち、市場価額のある有価証券は時価の著しい下落が生じた場合に、市場価額のない有価証券は、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく下落した場合等に、損失の計上が必要となる場合があります。
ⅱ固定資産の減損
当社グループは多くの固定資産を保有しており、回収可能価額を将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しています。そのため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、又は算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。
ⅲ繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
ⅳ退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等の前提条件に基づいて算出しています。
実際の結果が、前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析は次のとおりです。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 増減額 | 増減率 | |
| % | ||||
| 営業収益 | 415,413 | 425,821 | 10,407 | 2.5 |
| 営業費 | 314,336 | 328,634 | 14,297 | 4.5 |
| 営業利益 | 101,077 | 97,187 | △3,889 | △3.8 |
| 営業外収益 | 1,205 | 2,537 | 1,331 | 110.5 |
| 営業外費用 | 13,165 | 12,005 | △1,159 | △8.8 |
| 経常利益 | 89,117 | 87,719 | △1,398 | △1.6 |
| 特別利益 | 7,148 | 8,154 | 1,005 | 14.1 |
| 特別損失 | 5,414 | 8,031 | 2,617 | 48.3 |
| 税金等調整前当期純利益 | 90,851 | 87,842 | △3,009 | △3.3 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 62,256 | 60,370 | △1,886 | △3.0 |
[営業収益及び営業利益]
当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ104億7百万円増の4,258億2千1百万円となりました。これは、沿線の再開発や雇用環境の改善が続き、オフィスビル需要が堅調に推移したことに加え、訪日外国人の利用増加等により、旅客運輸収入が堅調に推移したことによるものです。
営業費は、前連結会計年度に比べ142億9千7百万円増の3,286億3千4百万円となりました。これは、当社の経費及び減価償却費の増加等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ38億8千9百万円減の971億8千7百万円となりました。なお、各セグメントの営業収益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[営業外損益及び経常利益]
当連結会計年度の営業外収益は、受取受託工事事務費の増加等により、前連結会計年度に比べ13億3千1百万円増の25億3千7百万円となりました。
営業外費用は、支払利息の減少等により、前連結会計年度に比べ11億5千9百万円減の120億5百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ13億9千8百万円減の877億1千9百万円となりました。
[特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度の特別利益は、鉄道施設受贈財産評価額の増加等により、前連結会計年度に比べ10億5百万円増の81億5千4百万円となりました。
特別損失は、固定資産の圧縮損の増加等により、前連結会計年度に比べ26億1千7百万円増の80億3千1百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は878億4千2百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ18億8千6百万円減の603億7千万円となりました。
財政状態の分析は次のとおりです。
当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析は次のとおりです。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動により得られた資金並びに社債及び借入金を設備投資などに充当しています。
当社グループの今後の資金需要において、主なものは運輸業のうち鉄道事業に係る設備投資であり、「第3 設備の状況」の「3 設備の新設、除却等の計画」に記載しています。当社グループでは、設備投資については、投資効率等により選別し、効率的かつ戦略的な投資を行っていきます。
以上のように、中期経営計画「東京メトロプラン 2018 ~『安心の提供』と『成長への挑戦』~」の中間年度である当連結会計年度については、定期利用での沿線オフィス需要の堅調さや再開発及び定期外利用での休日のお出かけ需要や訪日外国人のご利用増により、一定の成果を収めることができました。
一方で、東京2020大会とその後も見据え、各種施策の計画前倒し・追加、工事完成時期を優先するための工程促進等により、現中期経営計画3か年の設備投資額を当初計画4,200億円から5,100億円に増額変更しました。これに伴い、減価償却費や経費をはじめとした営業費が増加したことにより、営業利益は前連結会計年度に比べ減益となりました。今後は、増収やコスト削減等の経営努力により、さらなる効率的な事業運営に努めていく必要があると認識しています。
平成30年度は、中期経営計画「東京メトロプラン 2018 ~『安心の提供』と『成長への挑戦』~」の最終年度として、各種施策の推進や、これらの取組を通じ、持続的な企業価値の向上を図っていきます。