有価証券報告書-第16期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな景気回復基調が続いていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、足下は厳しい状況にあり、先行きの不透明感も増しています。
このような状況下で、当社グループは、中期経営計画「東京メトロプラン2021」に基づき、「安心の提供」、「持続的な成長の実現」、「東京の魅力・活力の共創」の3つのキーワードを柱に、その全てに対し「挑戦」とそれを支える「志」を持って、各種施策を積極的に推進しました。
当連結会計年度の業績は、沿線の再開発等によるオフィスビル面積・需要の増加による増要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により旅客運輸収入等が減少したことから、営業収益が4,331億4千7百万円(前期比0.4%減)となりました。加えて、安全対策や旅客サービス向上等の各種施策に伴う経費、減価償却費等の営業費が増加したことにより、営業利益が839億1千7百万円(前期比14.9%減)、経常利益が749億1千万円(前期比16.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が513億9千1百万円(前期比15.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
[運輸業]
<安心の提供>「安心=安全+サービス」の考えのもと、優れた技術力と創造力により、安全で快適な世界トップレベルの輸送サービスを提供するため、各種取組を実施しました。
(自然災害対策の推進)
震災対策として、震災時に早期運行再開を目的に高架橋柱の耐震補強工事を進めています。また、2020年3月に石積み擁壁の耐震補強工事を完了しました。
大規模浸水対策として、駅出入口において、想定浸水の高さに応じた改良や防水扉・止水板等の設置を進めており、千代田線二重橋駅等9駅14箇所に防水扉を、有楽町線銀座一丁目駅等3駅10箇所に止水板等を設置しました。
(駅ホームの安全性向上)
ホームドアの整備として、2025年度までに全路線全駅への設置の完了を目指しており、現在、4路線においてホームドア設置工事を進めています。2019年4月から2020年3月までに設置が完了した駅は以下のとおりです。
(新型車両の導入)
安全性及び車内での快適性を向上させ、環境にも配慮した新型車両の導入を進めました。丸ノ内線において、2000系車両90両(15編成)を導入し、合計114両(19編成)となりました。また、日比谷線において、13000系車両を91両(13編成)導入し、合計294両(42編成)となりました。なお、既存車両については、東西線において、05系車両20両(2編成)、07系車両20両(2編成)、南北線において、9000系車両6両(1編成)のリニューアル工事が完了しました。
(セキュリティの強化)
駅構内・車内のテロ行為や犯罪に備え、駅構内のセキュリティカメラの更新及び増設を進めるとともに、車内セキュリティカメラの導入を進めています。
(安全・安定性向上に資する施策)
トンネルの長寿命化に向けた取組として、全路線を対象に、トンネル内面の近接目視及び打音検査を順次実施しており、半蔵門線及び副都心線の検査を完了しました。
(輸送サービスの改善)
東西線における混雑に伴う遅延の解消を目指し、飯田橋駅~九段下駅間の折返し線整備、茅場町駅のホーム延伸工事、南砂町駅のホーム及び線路増設工事、木場駅のホーム及びコンコース拡幅並びに昇降設備増設の改良工事を進めています。また、各路線での取組として、銀座線においては、遅延防止等、輸送の安定性の向上を図るため、浅草駅構内の折返し線整備を実施しています。丸ノ内線においては、方南町駅のホーム延伸工事が完了しました。合わせて2019年7月にダイヤ改正を実施し、池袋駅~方南町駅間の6両編成列車の直通運行を開始しました。
オフピーク通勤・通学に向けた取組として、「メトロポイントクラブ(愛称:メトポ)」を活用した「東西線オフピークプロジェクト」及び「豊洲オフピークプロジェクト」を通年で実施しています。
(バリアフリー設備の整備)
お身体の不自由なお客様をはじめとした全てのお客様に安心してご利用いただけるよう、エレベーター及びエスカレーターの整備を進めており、エレベーターを日比谷線築地駅等14駅に19基、エスカレーターを日比谷線広尾駅等5駅に11基設置しました。また、多機能トイレの全駅整備を完了しました。
(利便性・快適性の向上)
銀座線リニューアルとして、「商業エリア」として区分した日本橋駅及び京橋駅、「銀座エリア」として区分した銀座駅、「トレンドエリア」として区分した外苑前駅及び青山一丁目駅の駅改装工事を進めています。また、渋谷駅街区基盤整備に合わせて、銀座線渋谷駅移設工事を進め、2020年1月に新駅舎の供用を開始しました。
東京の地下鉄のサービス一体化として、九段下駅における東西線、半蔵門線及び都営新宿線の3線共通改札口の設置や乗換エレベーターの整備等の工事を進めており、2020年3月に3線共通改札口の供用を開始しました。また、浅草駅等において都営地下鉄との乗換エレベーター整備工事を進めるとともに、両地下鉄共同で開発した旅行者向け券売機の導入を進めています。
<持続的な成長の実現>積極的な事業展開や新技術の開発・導入によって収益基盤を強化し、将来にわたる持続的な成長を実現するため、各種取組を実施しました。
(お客様ニーズをとらえた取組)
銀座線渋谷駅新駅舎の供用開始を記念して、オリジナルデザインの24時間券を2020年1月に発売しました。また、東京メトロ24時間券・Tokyo Subway Ticket・東京フリーきっぷがICカード乗車券「PASMO」でもご利用いただけるようになったほか、一部地域のコンビニエンスストアでTokyo Subway Ticketの販売を開始するなど、各種施策を実施しました。さらに、2020年3月に「モバイルPASMO」のサービスを開始しました。
(海外での事業展開)
ベトナムにおいては、2020年2月にホーチミン市都市鉄道管理局及びホーチミン市都市鉄道1号線運営会社と友好・協力に関する覚書を締結し、ホーチミン市の都市鉄道の更なる発展に貢献する取組を進めています。また、フィリピンにおいて、都市鉄道人材育成体制の構築に向け、独立行政法人国際協力機構から受注した「フィリピン国フィリピン鉄道訓練センター設立・運営能力強化支援プロジェクト」を推進しています。
(新規事業の創出・推進)
2019年4月に東西線妙典駅高架下スペースを活用したアウトドアフィットネスクラブ「greener(グリーナー)」を開業したほか、2020年2月に溜池山王駅等において、個室型ワークスペース「CocoDesk(ココデスク)」の提供を開始しました。また、新規事業創出を推進するための社内提案制度「メトロのたまご」を活用し、エレベータールートの有無等の駅情報を表示するWebサービス「ベビーメトロ」の正式提供を2019年8月に開始しました。
<東京の魅力・活力の共創>地域や外部との積極的な連携を通じて、東京2020大会の成功につなげるとともに、その先の東京の発展も見据え、都市としての魅力・活力の創出と東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献するため、各種取組を実施しました。
(沿線地域と連携したにぎわいの創出)
当社路線における東京2020大会会場への交通アクセスの利便性をお客様に体感していただくことを目的とした「東京2020オリンピック・パラリンピックを巡る東京メトロスタンプラリー」等、各種イベントを実施しました。
(まちづくりとの連携)
2020年6月の日比谷線虎ノ門ヒルズ駅開業に向けた整備を進めました。また、駅周辺開発を計画・検討する都市開発事業者等と連携した「えき・まち連携プロジェクト」として、銀座線神田駅等6駅について公募を行う等、バリアフリー設備整備を含め各駅の抱える様々な課題を都市開発事業者等と協議しながら、都市開発と一体となった地下鉄駅空間の検討を進めています。
(オープンイノベーションの推進)
企業アクセラレータープログラム「Tokyo Metro ACCELERATOR 2019」を実施し、共創を通じて新しい事業や価値を創出する取組を進めています。
(新たなモビリティサービスの実現に向けた取組)
東京に集う一人ひとりにとっての「移動のしやすさ」や「わたし好みの東京」の実現を目指して、大都市型MaaS「my! 東京MaaS」による様々な取組を実施します。具体的な取組として、2020年7月に東京メトロアプリをリニューアルし、マルチモーダルな経路検索機能を実装します。これにより、鉄道に加え、シェアサイクルやタクシー、コミュニティバスを含む経路検索が可能になります。
<経営基盤の強化>環境保全活動については、長期環境戦略「みんなでECO.」に基づき、環境負荷の低減につながる様々な施策を実施しています。その一環として、環境配慮型車両の導入や、車内及び駅構内照明のLED化を進めています。
社会課題解決への取組としては、研修、講演会や、SDGsの達成への貢献を意図したイベント等の開催を通じて、社会課題解決の意義等について社員の理解を深めました。
このほか、東京2020大会に向けた取組として、東京2020大会のオフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)である当社は、車両内のビジョン等で各競技の見どころ・観戦ポイントを紹介するプロジェクト「TOKYO SPORTS STATION」を東日本旅客鉄道株式会社と共同で公開しています。また、東京2020大会期間中の混雑分散を目的とした混雑予想箇所・時間を2020年3月から東京都交通局と共同で公表するなど、円滑な大会輸送に貢献する取組を進めています。
運輸業の当連結会計年度の業績は、沿線の再開発等によるオフィスビル面積・需要の増加による増要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により旅客運輸収入が減少したことから、営業収益が3,838億8千9百万円(前期比0.7%減)となりました。加えて、安全対策や旅客サービス向上等の各種施策に伴う経費、減価償却費等の営業費が増加したことにより、営業利益が709億9千9百万円(前期比17.4%減)となりました。また、消費税率引上げに伴う旅客運賃改定を2019年10月1日に実施しました。
(運輸成績表)
(注)1 記載数値は、千キロ未満、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。
2 乗車効率の算出方法:人キロ÷(客車走行キロ×客車平均定員)×100
[不動産事業]
不動産事業においては、鉄道事業とのシナジー効果を発揮しつつ、収益力向上を図り、各種開発を推進しました。
渋谷駅街区開発については、東急株式会社、東日本旅客鉄道株式会社及び当社の3社で2019年11月に「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」を開業しました。また、駅直結のエレベーター・エスカレーターと一体となった建物を整備していくことを目指しており、同年6月に丸ノ内線新宿御苑前駅において、オフィスビル「PMO新宿御苑前」を開業しました。そのほか、日比谷線六本木駅においても同様の不動産開発を推進しました。
不動産事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が139億1千3百万円(前期比2.1%増)、営業利益が46億6千7百万円(前期比0.9%増)となりました。
[流通・広告事業]
流通・広告事業においては、より一層の収益拡大を図るとともに、駅をご利用されるお客様の利便性を高めるため、グループ各社等との連携を図りながら各種施策を推進しました。
流通事業については、2019年7月に「明治神宮前メトロピア」の新規区画として1店舗を、2020年3月に「大手町メトロピア」の新規区画として2店舗を開業しました。また、「メトロ・エム後楽園」等の商業ビルや「Echika fit上野」等の駅構内店舗において、店舗の入替やリニューアルを実施し、収益性の向上を図りました。
提携クレジットカード「Tokyo Metro To Me CARD」については、各種キャンペーンを実施し、新規会員の獲得とカード利用の促進に努めるとともに、全日本空輸株式会社、株式会社ジェーシービー及び当社の3社で、「ANA To Me CARD PASMO JCB Series(愛称:ソラチカカード)」のゴールド券種の新規会員募集を開始しました。
広告事業については、車内デジタル広告「Tokyo Metro Vision」を合計281編成で販売し、駅コンコースデジタル広告「Metro Concourse Vision」等と合わせて、収益拡大に努めました。
情報通信事業については、参画企業と共同構築した訪日外国人向け観光情報サイト「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE TOKYO」にて、訪日外国人のお客様の視点で厳選した観光情報の発信に取り組んでいます。
流通・広告事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が417億5千万円(前期比1.8%増)、営業利益が83億2千7百万円(前期比7.5%増)となりました。
当社グループの財政状態については、当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ587億6百万円増の1兆7,347億8千8百万円、負債合計は275億7千9百万円増の1兆246億8千2百万円、純資産合計は311億2千7百万円増の7,101億6百万円となりました。
資産の部の増加については、主に設備投資に伴う固定資産の増加等によるものです。
負債の部の増加については、社債の発行及び長期借入れ等によるものです。
純資産の部の増加については、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、40.9%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ38億7千万円減少し、当連結会計年度末には655億4千2百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,366億2千6百万円(前期比34億7千8百万円収入減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益750億6千6百万円、非資金科目である減価償却費826億6千2百万円を計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,658億2千2百万円(前期比59億7百万円支出増)となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が1,707億9千2百万円あったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、253億2千6百万円(前期比245億6千2百万円収入減)となりました。これは、社債の償還による支出が400億円、長期借入金の返済による支出が187億6千万円あった一方で、社債の発行による収入が595億9千1百万円、長期借入れによるが収入400億円あったこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績を記載することとしています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。
当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
(単位:百万円)
[営業収益及び営業利益]
当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ17億4千6百万円減の4,331億4千7百万円となりました。
これは、沿線の再開発等によるオフィスビル面積・需要の増加による増要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により旅客運輸収入等が減少したことによるものです。
営業費は、前連結会計年度に比べ129億1百万円増の3,492億2千9百万円となりました。これは、安全対策や旅客サービス向上等の各種施策に伴う経費、減価償却費等の増加によるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ146億4千8百万円減の839億1千7百万円となりました。なお、各セグメントの営業収益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[営業外損益及び経常利益]
当連結会計年度の営業外収益は、受取受託工事事務費の計上等により、前連結会計年度に比べ2億1千8百万円増の21億3千4百万円となりました。
営業外費用は、支払利息の減少等により、前連結会計年度に比べ1億4千8百万円減の111億4千2百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ142億8千1百万円減の749億1千万円となりました。
[特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度の特別利益は、工事負担金等受入額の増加や補助金及び鉄道施設受贈財産評価額の計上等により、前連結会計年度に比べ98億6千9百万円増の205億9千4百万円となりました。
特別損失は、固定資産圧縮損の増加等により、前連結会計年度に比べ87億8千8百万円増の204億3千8百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は750億6千6百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ93億1千8百万円減の513億9千1百万円となりました。
当社グループは、中期経営計画「東京メトロプラン2021」に基づき、東京2020大会の開催とその先を見据え、各種施策を展開しました。収益面においては、沿線の再開発等によるオフィスビル面積・需要の増加による増要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、旅客運輸収入等が減少し、減収となりました。
今後の見通しについても不透明でありますが、状況を注視しつつ、2020年度以降も、中期経営計画「東京メトロプラン2021」に基づき、様々な取組を進めることで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動により得られた資金並びに社債及び借入金を設備投資などに充当しています。
当社グループの主な資金需要は、営業活動に係る資金支出では、鉄道事業に係る修繕費や管理委託費等の経費、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金支出では、車両更新やホームドア整備などの安全対策、バリアフリー整備などの旅客サービス等の運輸業への投資のほか、持続的な成長を実現する不動産事業及び流通・広告事業への投資等があります。
資金調達の方法は、償却前営業利益を基本に、不足する資金を金融市場動向等に鑑み、社債の募集及び金融機関からの借入により長期資金を調達しています。また、運転資金として短期的に資金を必要とする場合は、国内金融機関との当座貸越契約により短期資金を調達することで、緊急時の流動性を確保しています。これらにより、当社グループの事業運営に必要な運転資金、設備投資資金の調達は問題なく対応可能と認識しています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
ⅰ有価証券の評価
当社グループが保有する有価証券のうち、市場価額のある有価証券は時価の著しい下落が生じた場合に、市場価額のない有価証券は、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく下落した場合等に、損失の計上が必要となる場合があります。
ⅱ固定資産の減損
当社グループは多くの固定資産を保有しており、回収可能価額を将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しています。そのため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、又は算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。
ⅲ繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
ⅳ退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等の前提条件に基づいて算出しています。
実際の結果が、前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな景気回復基調が続いていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、足下は厳しい状況にあり、先行きの不透明感も増しています。
このような状況下で、当社グループは、中期経営計画「東京メトロプラン2021」に基づき、「安心の提供」、「持続的な成長の実現」、「東京の魅力・活力の共創」の3つのキーワードを柱に、その全てに対し「挑戦」とそれを支える「志」を持って、各種施策を積極的に推進しました。
当連結会計年度の業績は、沿線の再開発等によるオフィスビル面積・需要の増加による増要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により旅客運輸収入等が減少したことから、営業収益が4,331億4千7百万円(前期比0.4%減)となりました。加えて、安全対策や旅客サービス向上等の各種施策に伴う経費、減価償却費等の営業費が増加したことにより、営業利益が839億1千7百万円(前期比14.9%減)、経常利益が749億1千万円(前期比16.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が513億9千1百万円(前期比15.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
[運輸業]
<安心の提供>「安心=安全+サービス」の考えのもと、優れた技術力と創造力により、安全で快適な世界トップレベルの輸送サービスを提供するため、各種取組を実施しました。
(自然災害対策の推進)
震災対策として、震災時に早期運行再開を目的に高架橋柱の耐震補強工事を進めています。また、2020年3月に石積み擁壁の耐震補強工事を完了しました。
大規模浸水対策として、駅出入口において、想定浸水の高さに応じた改良や防水扉・止水板等の設置を進めており、千代田線二重橋駅等9駅14箇所に防水扉を、有楽町線銀座一丁目駅等3駅10箇所に止水板等を設置しました。
(駅ホームの安全性向上)
ホームドアの整備として、2025年度までに全路線全駅への設置の完了を目指しており、現在、4路線においてホームドア設置工事を進めています。2019年4月から2020年3月までに設置が完了した駅は以下のとおりです。
| 設置時期 | 設置駅 |
| 2019年4月~12月 | 東西線竹橋駅、東西線日本橋駅、千代田線赤坂駅、千代田線明治神宮前〈原宿〉駅、千代田線北千住駅、千代田線新御茶ノ水駅、千代田線西日暮里駅、千代田線国会議事堂前駅、千代田線代々木上原駅、千代田線根津駅、千代田線乃木坂駅、半蔵門線押上〈スカイツリー前〉駅 |
| 2020年2月 | 半蔵門線大手町駅、千代田線町屋駅 |
| 2020年3月 | 東西線門前仲町駅、千代田線霞ケ関駅 |
(新型車両の導入)
安全性及び車内での快適性を向上させ、環境にも配慮した新型車両の導入を進めました。丸ノ内線において、2000系車両90両(15編成)を導入し、合計114両(19編成)となりました。また、日比谷線において、13000系車両を91両(13編成)導入し、合計294両(42編成)となりました。なお、既存車両については、東西線において、05系車両20両(2編成)、07系車両20両(2編成)、南北線において、9000系車両6両(1編成)のリニューアル工事が完了しました。
(セキュリティの強化)
駅構内・車内のテロ行為や犯罪に備え、駅構内のセキュリティカメラの更新及び増設を進めるとともに、車内セキュリティカメラの導入を進めています。
(安全・安定性向上に資する施策)
トンネルの長寿命化に向けた取組として、全路線を対象に、トンネル内面の近接目視及び打音検査を順次実施しており、半蔵門線及び副都心線の検査を完了しました。
(輸送サービスの改善)
東西線における混雑に伴う遅延の解消を目指し、飯田橋駅~九段下駅間の折返し線整備、茅場町駅のホーム延伸工事、南砂町駅のホーム及び線路増設工事、木場駅のホーム及びコンコース拡幅並びに昇降設備増設の改良工事を進めています。また、各路線での取組として、銀座線においては、遅延防止等、輸送の安定性の向上を図るため、浅草駅構内の折返し線整備を実施しています。丸ノ内線においては、方南町駅のホーム延伸工事が完了しました。合わせて2019年7月にダイヤ改正を実施し、池袋駅~方南町駅間の6両編成列車の直通運行を開始しました。
オフピーク通勤・通学に向けた取組として、「メトロポイントクラブ(愛称:メトポ)」を活用した「東西線オフピークプロジェクト」及び「豊洲オフピークプロジェクト」を通年で実施しています。
(バリアフリー設備の整備)
お身体の不自由なお客様をはじめとした全てのお客様に安心してご利用いただけるよう、エレベーター及びエスカレーターの整備を進めており、エレベーターを日比谷線築地駅等14駅に19基、エスカレーターを日比谷線広尾駅等5駅に11基設置しました。また、多機能トイレの全駅整備を完了しました。
(利便性・快適性の向上)
銀座線リニューアルとして、「商業エリア」として区分した日本橋駅及び京橋駅、「銀座エリア」として区分した銀座駅、「トレンドエリア」として区分した外苑前駅及び青山一丁目駅の駅改装工事を進めています。また、渋谷駅街区基盤整備に合わせて、銀座線渋谷駅移設工事を進め、2020年1月に新駅舎の供用を開始しました。
東京の地下鉄のサービス一体化として、九段下駅における東西線、半蔵門線及び都営新宿線の3線共通改札口の設置や乗換エレベーターの整備等の工事を進めており、2020年3月に3線共通改札口の供用を開始しました。また、浅草駅等において都営地下鉄との乗換エレベーター整備工事を進めるとともに、両地下鉄共同で開発した旅行者向け券売機の導入を進めています。
<持続的な成長の実現>積極的な事業展開や新技術の開発・導入によって収益基盤を強化し、将来にわたる持続的な成長を実現するため、各種取組を実施しました。
(お客様ニーズをとらえた取組)
銀座線渋谷駅新駅舎の供用開始を記念して、オリジナルデザインの24時間券を2020年1月に発売しました。また、東京メトロ24時間券・Tokyo Subway Ticket・東京フリーきっぷがICカード乗車券「PASMO」でもご利用いただけるようになったほか、一部地域のコンビニエンスストアでTokyo Subway Ticketの販売を開始するなど、各種施策を実施しました。さらに、2020年3月に「モバイルPASMO」のサービスを開始しました。
(海外での事業展開)
ベトナムにおいては、2020年2月にホーチミン市都市鉄道管理局及びホーチミン市都市鉄道1号線運営会社と友好・協力に関する覚書を締結し、ホーチミン市の都市鉄道の更なる発展に貢献する取組を進めています。また、フィリピンにおいて、都市鉄道人材育成体制の構築に向け、独立行政法人国際協力機構から受注した「フィリピン国フィリピン鉄道訓練センター設立・運営能力強化支援プロジェクト」を推進しています。
(新規事業の創出・推進)
2019年4月に東西線妙典駅高架下スペースを活用したアウトドアフィットネスクラブ「greener(グリーナー)」を開業したほか、2020年2月に溜池山王駅等において、個室型ワークスペース「CocoDesk(ココデスク)」の提供を開始しました。また、新規事業創出を推進するための社内提案制度「メトロのたまご」を活用し、エレベータールートの有無等の駅情報を表示するWebサービス「ベビーメトロ」の正式提供を2019年8月に開始しました。
<東京の魅力・活力の共創>地域や外部との積極的な連携を通じて、東京2020大会の成功につなげるとともに、その先の東京の発展も見据え、都市としての魅力・活力の創出と東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献するため、各種取組を実施しました。
(沿線地域と連携したにぎわいの創出)
当社路線における東京2020大会会場への交通アクセスの利便性をお客様に体感していただくことを目的とした「東京2020オリンピック・パラリンピックを巡る東京メトロスタンプラリー」等、各種イベントを実施しました。
(まちづくりとの連携)
2020年6月の日比谷線虎ノ門ヒルズ駅開業に向けた整備を進めました。また、駅周辺開発を計画・検討する都市開発事業者等と連携した「えき・まち連携プロジェクト」として、銀座線神田駅等6駅について公募を行う等、バリアフリー設備整備を含め各駅の抱える様々な課題を都市開発事業者等と協議しながら、都市開発と一体となった地下鉄駅空間の検討を進めています。
(オープンイノベーションの推進)
企業アクセラレータープログラム「Tokyo Metro ACCELERATOR 2019」を実施し、共創を通じて新しい事業や価値を創出する取組を進めています。
(新たなモビリティサービスの実現に向けた取組)
東京に集う一人ひとりにとっての「移動のしやすさ」や「わたし好みの東京」の実現を目指して、大都市型MaaS「my! 東京MaaS」による様々な取組を実施します。具体的な取組として、2020年7月に東京メトロアプリをリニューアルし、マルチモーダルな経路検索機能を実装します。これにより、鉄道に加え、シェアサイクルやタクシー、コミュニティバスを含む経路検索が可能になります。
<経営基盤の強化>環境保全活動については、長期環境戦略「みんなでECO.」に基づき、環境負荷の低減につながる様々な施策を実施しています。その一環として、環境配慮型車両の導入や、車内及び駅構内照明のLED化を進めています。
社会課題解決への取組としては、研修、講演会や、SDGsの達成への貢献を意図したイベント等の開催を通じて、社会課題解決の意義等について社員の理解を深めました。
このほか、東京2020大会に向けた取組として、東京2020大会のオフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)である当社は、車両内のビジョン等で各競技の見どころ・観戦ポイントを紹介するプロジェクト「TOKYO SPORTS STATION」を東日本旅客鉄道株式会社と共同で公開しています。また、東京2020大会期間中の混雑分散を目的とした混雑予想箇所・時間を2020年3月から東京都交通局と共同で公表するなど、円滑な大会輸送に貢献する取組を進めています。
運輸業の当連結会計年度の業績は、沿線の再開発等によるオフィスビル面積・需要の増加による増要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により旅客運輸収入が減少したことから、営業収益が3,838億8千9百万円(前期比0.7%減)となりました。加えて、安全対策や旅客サービス向上等の各種施策に伴う経費、減価償却費等の営業費が増加したことにより、営業利益が709億9千9百万円(前期比17.4%減)となりました。また、消費税率引上げに伴う旅客運賃改定を2019年10月1日に実施しました。
(運輸成績表)
| 種別 | 単位 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
| 営業日数 | 日 | 365 | 366 | |
| 旅客営業キロ | キロ | 195.1 | 195.0 | |
| 客車走行キロ | 千キロ | 290,685 | 292,574 | |
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 1,586,054 | 1,608,003 |
| 定期外 | 〃 | 1,180,113 | 1,156,999 | |
| 計 | 〃 | 2,766,167 | 2,765,003 | |
| 旅客運輸収入 | 定期 | 百万円 | 153,242 | 155,188 |
| 定期外 | 〃 | 195,266 | 191,354 | |
| 計 | 〃 | 348,509 | 346,542 | |
| 乗車効率 | % | 54 | 53 | |
(注)1 記載数値は、千キロ未満、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。
2 乗車効率の算出方法:人キロ÷(客車走行キロ×客車平均定員)×100
[不動産事業]
不動産事業においては、鉄道事業とのシナジー効果を発揮しつつ、収益力向上を図り、各種開発を推進しました。
渋谷駅街区開発については、東急株式会社、東日本旅客鉄道株式会社及び当社の3社で2019年11月に「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」を開業しました。また、駅直結のエレベーター・エスカレーターと一体となった建物を整備していくことを目指しており、同年6月に丸ノ内線新宿御苑前駅において、オフィスビル「PMO新宿御苑前」を開業しました。そのほか、日比谷線六本木駅においても同様の不動産開発を推進しました。
不動産事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が139億1千3百万円(前期比2.1%増)、営業利益が46億6千7百万円(前期比0.9%増)となりました。
[流通・広告事業]
流通・広告事業においては、より一層の収益拡大を図るとともに、駅をご利用されるお客様の利便性を高めるため、グループ各社等との連携を図りながら各種施策を推進しました。
流通事業については、2019年7月に「明治神宮前メトロピア」の新規区画として1店舗を、2020年3月に「大手町メトロピア」の新規区画として2店舗を開業しました。また、「メトロ・エム後楽園」等の商業ビルや「Echika fit上野」等の駅構内店舗において、店舗の入替やリニューアルを実施し、収益性の向上を図りました。
提携クレジットカード「Tokyo Metro To Me CARD」については、各種キャンペーンを実施し、新規会員の獲得とカード利用の促進に努めるとともに、全日本空輸株式会社、株式会社ジェーシービー及び当社の3社で、「ANA To Me CARD PASMO JCB Series(愛称:ソラチカカード)」のゴールド券種の新規会員募集を開始しました。
広告事業については、車内デジタル広告「Tokyo Metro Vision」を合計281編成で販売し、駅コンコースデジタル広告「Metro Concourse Vision」等と合わせて、収益拡大に努めました。
情報通信事業については、参画企業と共同構築した訪日外国人向け観光情報サイト「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE TOKYO」にて、訪日外国人のお客様の視点で厳選した観光情報の発信に取り組んでいます。
流通・広告事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が417億5千万円(前期比1.8%増)、営業利益が83億2千7百万円(前期比7.5%増)となりました。
当社グループの財政状態については、当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ587億6百万円増の1兆7,347億8千8百万円、負債合計は275億7千9百万円増の1兆246億8千2百万円、純資産合計は311億2千7百万円増の7,101億6百万円となりました。
資産の部の増加については、主に設備投資に伴う固定資産の増加等によるものです。
負債の部の増加については、社債の発行及び長期借入れ等によるものです。
純資産の部の増加については、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、40.9%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ38億7千万円減少し、当連結会計年度末には655億4千2百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,366億2千6百万円(前期比34億7千8百万円収入減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益750億6千6百万円、非資金科目である減価償却費826億6千2百万円を計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,658億2千2百万円(前期比59億7百万円支出増)となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が1,707億9千2百万円あったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、253億2千6百万円(前期比245億6千2百万円収入減)となりました。これは、社債の償還による支出が400億円、長期借入金の返済による支出が187億6千万円あった一方で、社債の発行による収入が595億9千1百万円、長期借入れによるが収入400億円あったこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績を記載することとしています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。
当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 増減額 | 増減率 | |
| % | ||||
| 営業収益 | 434,894 | 433,147 | △1,746 | △0.4 |
| 営業費 | 336,327 | 349,229 | 12,901 | 3.8 |
| 営業利益 | 98,566 | 83,917 | △14,648 | △14.9 |
| 営業外収益 | 1,916 | 2,134 | 218 | 11.4 |
| 営業外費用 | 11,291 | 11,142 | △148 | △1.3 |
| 経常利益 | 89,191 | 74,910 | △14,281 | △16.0 |
| 特別利益 | 10,724 | 20,594 | 9,869 | 92.0 |
| 特別損失 | 11,650 | 20,438 | 8,788 | 75.4 |
| 税金等調整前当期純利益 | 88,265 | 75,066 | △13,199 | △15.0 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 60,709 | 51,391 | △9,318 | △15.3 |
[営業収益及び営業利益]
当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ17億4千6百万円減の4,331億4千7百万円となりました。
これは、沿線の再開発等によるオフィスビル面積・需要の増加による増要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により旅客運輸収入等が減少したことによるものです。
営業費は、前連結会計年度に比べ129億1百万円増の3,492億2千9百万円となりました。これは、安全対策や旅客サービス向上等の各種施策に伴う経費、減価償却費等の増加によるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ146億4千8百万円減の839億1千7百万円となりました。なお、各セグメントの営業収益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[営業外損益及び経常利益]
当連結会計年度の営業外収益は、受取受託工事事務費の計上等により、前連結会計年度に比べ2億1千8百万円増の21億3千4百万円となりました。
営業外費用は、支払利息の減少等により、前連結会計年度に比べ1億4千8百万円減の111億4千2百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ142億8千1百万円減の749億1千万円となりました。
[特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度の特別利益は、工事負担金等受入額の増加や補助金及び鉄道施設受贈財産評価額の計上等により、前連結会計年度に比べ98億6千9百万円増の205億9千4百万円となりました。
特別損失は、固定資産圧縮損の増加等により、前連結会計年度に比べ87億8千8百万円増の204億3千8百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は750億6千6百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ93億1千8百万円減の513億9千1百万円となりました。
当社グループは、中期経営計画「東京メトロプラン2021」に基づき、東京2020大会の開催とその先を見据え、各種施策を展開しました。収益面においては、沿線の再開発等によるオフィスビル面積・需要の増加による増要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、旅客運輸収入等が減少し、減収となりました。
今後の見通しについても不透明でありますが、状況を注視しつつ、2020年度以降も、中期経営計画「東京メトロプラン2021」に基づき、様々な取組を進めることで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動により得られた資金並びに社債及び借入金を設備投資などに充当しています。
当社グループの主な資金需要は、営業活動に係る資金支出では、鉄道事業に係る修繕費や管理委託費等の経費、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金支出では、車両更新やホームドア整備などの安全対策、バリアフリー整備などの旅客サービス等の運輸業への投資のほか、持続的な成長を実現する不動産事業及び流通・広告事業への投資等があります。
資金調達の方法は、償却前営業利益を基本に、不足する資金を金融市場動向等に鑑み、社債の募集及び金融機関からの借入により長期資金を調達しています。また、運転資金として短期的に資金を必要とする場合は、国内金融機関との当座貸越契約により短期資金を調達することで、緊急時の流動性を確保しています。これらにより、当社グループの事業運営に必要な運転資金、設備投資資金の調達は問題なく対応可能と認識しています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
ⅰ有価証券の評価
当社グループが保有する有価証券のうち、市場価額のある有価証券は時価の著しい下落が生じた場合に、市場価額のない有価証券は、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく下落した場合等に、損失の計上が必要となる場合があります。
ⅱ固定資産の減損
当社グループは多くの固定資産を保有しており、回収可能価額を将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しています。そのため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、又は算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。
ⅲ繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
ⅳ退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等の前提条件に基づいて算出しています。
実際の結果が、前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。