訂正有価証券届出書(新規公開時)
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況
第20期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、緩やかに回復しているものの、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇等による金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
このような状況下で、当社グループは、2022年4月に公表した中期経営計画「東京メトロプラン2024」(2022年度~2024年度)に基づき、各種施策を積極的に推進しており、2023年3月には、「東京メトロプラン2024」を変更し、設備投資計画の見直しやポストコロナを見据えた経営目標値の上方修正等を行いました。本計画期間において、鉄道事業の持続可能性の向上を図るべく、安全の確保を前提に、次世代に向けたコスト構造や業務の抜本的な見直し等、『構造変革』に取り組むとともに、新線建設、お出かけ機会の創出、都市・生活創造事業の強化等、『新たな飛躍』を目指した取組を推進しました。
当連結会計年度の業績は、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加し、営業収益が3,892億6千7百万円(前期比12.7%増)となり、営業利益が763億5千9百万円(前期比174.9%増)、経常利益が658億6千6百万円(前期比234.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が462億6千2百万円(前期比66.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
[運輸業]
ⅰ 安全性・利便性の向上
(セキュリティ強化)
テロ行為や犯罪に備え、車内セキュリティカメラの導入を進めています。また、「車内非常用設備等の表示に関するガイドライン」を踏まえ、全車両を対象にピクトグラムを活用したステッカーの貼り付けを進めており、分かりやすい表示の共通化にも取り組んでいます。
(自然災害対策)
東日本大震災の対策は完了し、現在、熊本地震後の通達に基づき震災対策として、震災時の早期運行再開を目的にトンネル中柱の耐震補強工事を進めています。
大規模浸水対策として、駅出入口において浸水深に応じた改良や防水扉・止水板等の設置、トンネル坑口への防水ゲートの設置を進めており、現在60.4%の進捗となっています。また、大規模停電対策として、停電等により駅間に停止した列車を最寄駅まで走行可能とするため、丸ノ内線2000系車両に非常用バッテリーを搭載しました。
(お客様の円滑な移動の実現)
安全性及び車内での快適性を向上させ、環境にも配慮した新型車両として、丸ノ内線に2000系車両の導入が完了しました。また、混雑緩和を目的として南北線9000系車両の一部において、8両編成化を実施し、2023年12月から運行を開始しました。
お身体の不自由なお客様をはじめとした全てのお客様に安心してご利用いただけるよう、エレベーター、エスカレーター及びバリアフリートイレの整備を進めており、日比谷線神谷町駅にエレベーターを設置したほか、銀座線浅草駅にバリアフリートイレを増設しました。また、ホームと車両床面の段差・隙間縮小のため、日比谷線においてホームの嵩上げ、くし状ゴムの設置を進めています。
※銀座線・丸ノ内線・千代田線は設置完了
ホームドアの整備については、2025年度までの全路線全駅への設置完了を目指しており、3路線において設置工事を進めてきましたが、2024年3月に日比谷線全駅の設置を完了しました。なお、2024年3月31日現在の全線及び設置工事中2路線の整備率は、以下のとおりです。
※他路線は全駅設置完了
(その他)
2021年6月に発生した日比谷線八丁堀駅における多機能トイレの機能不備によるお客様の発見遅れについては、公表した再発防止対策報告書に基づく取組を確実に推進し、当社施設の確実な施工、保守・点検及び適切な取扱いを徹底しています。
ⅱ 有楽町線延伸・南北線延伸等によるネットワーク発展・充実
(有楽町線・南北線の延伸)
有楽町線延伸・南北線延伸に向けては、各種手続き等について関係各所との協議・調整に加え、地質及び埋設物の調査並びに設計を行っています。
ⅲ 鉄道事業の成長に向けたアクションプラン
(目的地と連動した移動価値)
沿線施設と連動したお出かけ機会の創出に向けて、企業や自治体とタイアップしたスタンプラリーや商業施設で使用可能なクーポンと東京メトロ24時間券をセットにして発売しました。また、東京メトロ沿線での街歩きを楽しんでいただくため、株式会社レッツエンジョイ東京と共同で、2023年4月にフリーマガジン「Alku Tokyo(アルクトーキョー)」を創刊するとともに、WEBサイト「Alku Tokyo.Web」を開設しました。
(他サービスと連携した移動価値)
地下鉄から一歩先に踏み出した東京観光を提供するために、東京都交通局と共同で、両社局の公式アプリ(「東京メトロmy!アプリ」及び「都営交通アプリ」)を介した観光遊覧船(シンフォニークルーズ)の利用予約を2023年4月から開始しました。
(頻度に応じた移動価値)
休日のお出かけ機会の創出に向けて、メトポ会員を対象に、事前に登録料を支払うと土日祝日にPASMOで当社線を利用した金額分が全額ポイントで還元されるサービス「休日メトロ放題」を2023年11月から開始しました。
(その他)
2024年3月に交通・観光プラットフォーム事業会社であるリンクティビティ株式会社と資本業務提携契約を締結しました。また、既存の旅行者向け企画乗車券の販売強化のほか、東京ならではの魅力ある複数の観光施設や体験を凝縮したインバウンド向けフリーパス(企画乗車券付き)を開発するなど、新たなインバウンド戦略を推進していきます。
ⅳ 新技術の導入とDXによる鉄道オペレーションの進化
(技術開発ビジョン)
新技術の導入・開発やDXの推進等により、持続的な企業価値向上を図り、将来にわたる安心の提供を実現するため、状態基準保全(CBM)の一環として、車両・設備の状態監視を進めています。また、故障予知技術・劣化予測技術の促進の検討を進めています。
ⅴ 不動産事業の拡大とまちづくりとの連携
(まちづくりとの連携)
駅周辺開発を計画・検討する都市開発事業者等と連携した「えき・まち連携プロジェクト」として、11駅において開発提案を募集しています。
また、虎ノ門ヒルズ駅において2023年7月に虎ノ門ヒルズステーションタワー及びグラスロックと接続し、「駅まち一体」となった駅を整備しました。
ⅵ 海外鉄道ビジネスの拡大・新規ビジネスの開発推進
(海外鉄道ビジネス)
海外鉄道ビジネスについては、ベトナム、フィリピン等において鉄道整備、技術支援に係る各プロジェクトを推進しています。また、世界の鉄道関係者向けオンライン講座・訪日研修「Tokyo Metro Academy」を開催しました。
(新規ビジネスの開発)
2024年3月に外部企業との共創を目的としたオープンイノベーションプログラム「Tokyo Metro ACCELERATOR 2023」の最終審査会を実施し、株式会社なんでもドラフトを採択企業として決定しました。また、2024年1月から3月に、個室型ワークスペース「CocoDesk」を16台増設しました。
ⅶ 脱炭素・循環型社会への貢献
(脱炭素社会への取組)
脱炭素社会の実現に向けた取組として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、当社の気候関連リスク、機会等を開示するとともに、2024年3月、当社初となる「グリーンボンド」を発行しました。また、長期環境目標「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」達成に向けたロードマップを策定、2022年度における東京メトログループのCO₂排出量(Scope1、2、3)を算出し、「サステナビリティレポート2023」にて開示したほか、2024年3月に東京電力エナジーパートナー株式会社と「アクアプレミアム(水力発電由来の電力を供給する再生可能エネルギーメニュー)」を丸ノ内線及び南北線に導入する契約を締結しました。今後も再生可能エネルギーの活用や、車両・設備の省エネルギー化に取り組んでいきます。さらに2024年3月、当社の鉄道運行を通じて生まれた、社会における環境面でのポジティブインパクト(削減貢献量)を算定、公表しました。これを活用し、鉄道事業の成長を環境課題の解決につなげていきます。
(循環型社会の実現に向けた取組)
2023年12月、当社グループが運営する一部の飲食店から排出される廃食用油をSAF(Sustainable Aviation Fuel:化石燃料以外を原料とする持続可能な航空燃料)の原料に再利用する取組に関する合意書を締結しました。鉄道事業者初となる「Fry to Fly Project」(国内資源循環による脱炭素実現に向けたプロジェクト)にも参加し、SAFの重要性や当該プロジェクトを発信していきます。
ⅷ 経営基盤の強化
(安全文化の醸成)
お客様の安全を第一とし、事故の未然防止、再発防止に取り組むため、グループ全役員・社員を対象にした安全研修を実施したほか、安全推進発表会、ヒューマンファクター分析等を実施しました。社員一人ひとりが自ら考え行動を起こすことができる安全文化の醸成に努めています。
(豊かな社会のためのパートナーシップ)
女子駅伝部や車いすフェンシング選手である安直樹選手の活動支援のほか、東京マラソンへの参画を通じて、スポーツ選手が活躍できる環境づくりに貢献するとともに地域・社会の活性化に取り組んでおり、2023年6月及び11月に沿線地域住民等を対象としたスポーツ体験会を他企業と共催しました。
また、2024年3月に総合研修訓練センターにおいて沿線の特別支援学校の生徒等を対象に鉄道施設体験会を実施したほか、地域振興・文化支援を目的として、銀座駅にて地方自治体が開催する「ふるさとPRイベント」、公益財団法人メトロ文化財団の地下鉄博物館特別展等を支援しました。加えて、2024年3月に沿線地域のさらなる活性化を目的として、台東区と包括連携に関する協定を締結しました。
このほか、銀座線浅草駅4番出入口上屋等の4か所が2023年11月付けで文化庁から登録有形文化財に登録されました。
運輸業の当連結会計年度の業績は、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加し、営業収益が3,564億6千7百万円(前期比14.2%増)、営業利益が637億8千5百万円(前期比336.8%増)となりました。
(運輸成績表)
(注)1 記載数値は、千キロ未満、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。
2 乗車効率の算出方法:人キロ÷(客車走行キロ×客車平均定員)×100
3 第16期から第18期の各連結会計年度における、旅客運輸収入は下表のとおりです。
[不動産事業]
不動産事業においては、収益性の向上を図るべく、駅周辺の都市開発と一体となった建物の整備や、神宮前六丁目用地再開発建物の竣工、東上野四丁目A―1地区再開発準備組合への事業協力者としての参画、新宿駅西口地区開発計画の新築工事に着手しました。また、不動産事業の成長を目的とした不動産アセットマネジメント事業への参入に向け、「東京メトロアセットマネジメント株式会社」設立の準備を進めました。
不動産事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が136億5千4百万円(前期比0.6%減)、営業利益が45億6千3百万円(前期比14.7%減)となりました。
[流通・広告事業]
流通・広告事業においては、収益性の向上を図るとともに、お客様の「新たな日常」を支え、ニーズに迅速に対応するため、各種開発を推進しました。
流通事業については、2023年6月に、東西線行徳駅高架下において「M’av行徳」、2024年3月に、「小伝馬町メトロピア」を開業したほか、駅構内店舗、商業ビル等において、空き区画の解消や店舗入替を行うとともに、駅構内の空きスペースを有効活用しました。
広告事業については、昨年度新設した駅構内デジタルサイネージの販売促進や各施策を実施しました。
流通・広告事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が239億2千万円(前期比1.1%増)、営業利益が79億6千9百万円(前期比3.7%増)となりました。
当社グループの財政状態については、当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ197億2百万円増の2兆225億2千4百万円、負債合計は153億4千8百万円減の1兆3,541億2千8百万円、純資産合計は350億5千1百万円増の6,683億9千5百万円となりました。
資産の部の増加については、流動資産において旅客運輸収入増加に伴う未収運賃の増加、固定資産において設備投資に伴う固定資産の増加等によるものです。
負債の部の減少については、流動負債において旅客運輸収入等の増加に伴う未払法人税等が増加したものの、固定負債において、長期債務の償還等があったことにより減少したものです。
純資産の部の増加については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等によるものです。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、33.0%となりました。
第21期第1四半期連結累計期間(自 2024年4月1日 至 2024年6月30日)
当第1四半期連結累計期間における我が国経済は、緩やかに回復しているものの、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇等による金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
このような状況下で、当社グループは、2022年4月に公表し、2023年3月に設備投資計画の見直しやポストコロナを見据えた経営目標値の上方修正等を行った中期経営計画「東京メトロプラン2024」(2022年度~2024年度)に基づき、各種施策を積極的に推進しています。本計画期間において、鉄道事業の持続可能性の向上を図るべく、安全の確保を前提に、次世代に向けたコスト構造や業務の抜本的な見直し等、『構造変革』に取り組むとともに、新線建設、お出かけ機会の創出、都市・生活創造事業の強化等、『新たな飛躍』を目指した各種施策に取り組んでいます。
当第1四半期連結累計期間の業績は、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加し、営業収益が1,019億5千万円(前年同期比6.4%増)となり、営業利益が290億9千7百万円(前年同期比33.7%増)、経常利益が262億9千万円(前年同期比38.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が180億6千4百万円(前年同期比37.8%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
[運輸業]
ⅰ 安全性・利便性の向上
(セキュリティ強化)
テロ行為や犯罪に備え、車内セキュリティカメラの導入を進めており、2024年度中に全路線設置完了予定です。
(自然災害対策)
阪神・淡路大震災及び東日本大震災後の通達に基づく耐震補強(高架橋、石積み擁壁)は完了しています。また、熊本地震後の通達に基づく震災対策として、早期運行再開を目的としたロッキング橋脚、こ線道路橋・人道橋の補強は完了し、現在はトンネル中柱の耐震補強工事を進めています。
大規模浸水対策として、浸水深に応じた駅出入口の止水板の改良、防水扉の設置、上屋建て替えによる完全防水型出入口への改良、換気口浸水防止機の改良、換気塔の嵩上げ、地上駅・地上設備の外壁の鉄筋コンクリート化、トンネル坑口への防水ゲートの設置等を進めており、現在60.4%の進捗となっています。
(お客様の円滑な移動の実現)
お身体の不自由なお客様をはじめとした全てのお客様に安心してご利用いただけるよう、エレベーター、エスカレーター及びバリアフリートイレの整備を進めており、東西線南砂町駅にエレベーターを設置しました。また、ホームと車両床面の段差・隙間縮小のため、日比谷線、東西線、半蔵門線、南北線及び副都心線においてホームの嵩上げ、くし状ゴムの設置を進めています。
※銀座線・丸ノ内線・千代田線は設置完了
ホームドアの整備については、2025年度までの全路線全駅への設置完了を目指しており、2路線において設置工事を進めています。現在の全線及び設置工事中2路線の整備率は、以下のとおりです。
※他路線は設置完了
また、東西線南砂町駅においては、2024年5月に第1回線路切替工事を行い、新設したホーム、出入口、改札等の供用を開始しました。
(その他)
2021年6月に発生した日比谷線八丁堀駅における多機能トイレの機能不備によるお客様の発見遅れについては、公表した再発防止対策報告書に基づく取組を確実に推進し、当社施設の確実な施工、保守・点検及び適切な取扱いを徹底しています。
ⅱ 有楽町線延伸・南北線延伸等によるネットワーク展開・充実
(有楽町線・南北線の延伸)
有楽町線延伸・南北線延伸に向けては、2024年6月に都市計画決定が告示されたことを踏まえ、地質及び埋設物の調査並びに設計、今年度内の着工に向けた各種協議・手続きを行っています。
ⅲ 鉄道事業の成長に向けたアクションプラン
(目的地と連動した移動価値)
沿線施設と連動したお出かけ機会の創出に向けて、企業や自治体とタイアップしたスタンプラリーを実施しました。
(頻度に応じた移動価値)
より分かりやすくお得に多くのお客様にご利用いただけるよう、2024年4月に、PASMOをお持ちの方を対象とした「メトロポイントクラブ」とTo Me CARDをお持ちの方を対象とした「メトロポイント」の2つのポイントサービスを統合しました。また、同年5月に、モバイルのPASMOをご利用のお客様において、モバイルPASMOアプリ上でメトロポイントクラブの登録手続き及びポイントからのチャージを可能にしました。
ⅳ 新技術の導入とDXによる鉄道オペレーションの進化
(技術開発ビジョン)
新技術の導入・開発やDXの推進等により、持続的な企業価値向上を図り、将来にわたる安心の提供を実現するため、状態基準保全(CBM)の一環として、車両・設備の状態監視を進めています。また、故障予知技術・劣化予測技術の促進の検討を進めています。
ⅴ 不動産事業の拡大とまちづくりとの連携
(まちづくりとの連携)
駅周辺開発を計画・検討する都市開発事業者等と連携した「えき・まち連携プロジェクト」として、11駅において開発提案を募集しています。
ⅵ 海外鉄道ビジネスの拡大・新規ビジネスの開発推進
(海外鉄道ビジネス)
海外鉄道ビジネスについては、ベトナム、フィリピン等において鉄道整備、技術支援に係る各プロジェクトを推進しています。「ベトナム国鉄道学校における都市鉄道研修能力強化プロジェクト」においては、ベトナムの鉄道関係者を対象に訪日研修を実施しました。また、世界の鉄道関係者向けオンライン講座・訪日研修の「Tokyo Metro Academy」においては、プロモーションとして無料オンライン講座を実施しました。
(新規ビジネスの開発)
新規事業の創出を目的とした社内事業開発プログラム「メトロのたまご」を通じて社員が提案したスケートボードパーク&スクール事業「RAMP ZERO」を、日比谷線南千住駅高架下において2024年4月に営業開始しました。また、「Tokyo Metro ACCELERATOR 2022」で最終審査を通過したSTUDIO BUKI株式会社との協業施策として、子どもが作中で東京メトロの運転士になれるパーソナライズド絵本「僕は私は運転士!」を同年4月に販売開始しました。同様に、最終審査を通過した株式会社休日ハックとの協業施策として、漫画・謎解き・街歩きを掛け合わせたオリジナル体験型エンターテイメント「メトロタイムゲート」を同年5月から8月までの期間限定で実施しています。
加えて、「東京メトロ×プログラボ」15校目となるプログラボ晴海を、東京2020大会選手村の跡地に開発された「HARUMI FⅬAG(晴海フラッグ)」内にオープンしました。
ⅶ 脱炭素・循環型社会への貢献
(脱炭素社会への取組)
脱炭素社会の実現に向けた取組として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、当社の気候関連リスク、機会等を特定し、開示しています。指標、目標として掲げている長期環境目標「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」の達成に向け、2024年4月から丸ノ内線・南北線で使用する全ての電力を水力発電由来の再生可能エネルギーに置き換えてCO₂排出量ゼロで運行を開始しました。それに合わせ、当社の環境負荷低減の取組に触れていただきたいという想いから、同年4月から5月に「乗ってエコ」スタンプラリーを実施しました。また、東西線では、家庭用太陽光発電の余剰電力の環境価値を調達し、使用する電力の一部を実質再生可能エネルギー化して運行を開始しました。今後も再生可能エネルギーの活用や、車両・設備の省エネルギー化に取り組んでいきます。
加えて、当社の鉄道運行を通じて生まれた、社会における環境面でのポジティブインパクト(削減貢献量)を活用し、同年6月、東京都交通局と共同で、環境負荷の少ない移動手段の利用促進を目的として「エコボーナスWキャンペーン」を実施しました。引き続き他者と連携した施策の実施等を通じて、鉄道事業の成長を環境課題の解決につなげていきます。
(循環型社会の実現に向けた取組)
当社グループが運営する一部の飲食店、社員食堂等から排出される使用済み油をSAF(Sustainable Aviation Fuel:化石燃料以外を原料とする持続可能な航空燃料)の原料に再利用する取組として、「Fry to Fly Project」(国内資源循環による脱炭素実現に向けたプロジェクト)に参加し、2024年6月には、東西線浦安駅で使用済み油回収イベントを実施しました。今後も、お客様に楽しく体感いただけるイベントを企画・実施し、SAFの重要性や当該プロジェクトを発信していきます。
ⅷ 経営基盤の強化
(安全文化の醸成)
お客様の安全を第一とし、事故の未然防止、再発防止に取り組むため、グループ全役員・社員を対象にした安全研修を実施したほか、事故防止オープンセミナー、ヒューマンファクター分析等を実施しました。社員一人ひとりが自ら考え行動を起こすことができる安全文化の醸成に努めています。
(豊かな社会のためのパートナーシップ)
女子駅伝部や車いすフェンシング選手である安直樹選手の活動支援のほか、東京マラソンへの参画を通じて、スポーツ選手が活躍できる環境づくりに貢献するとともに地域・社会の活性化に取り組んでいます。
運輸業の当第1四半期連結累計期間の業績は、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加し、営業収益が934億4千5百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益が256億4千1百万円(前年同期比39.8%増)となりました。
(注) 記載数値は、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。
[不動産事業]
不動産事業においては、収益性の向上を図るべく、駅周辺の都市開発と一体となった建物の整備を進めています。2024年4月には神宮前六丁目用地再開発建物が東急プラザ原宿「ハラカド」として開業しました。また、新宿駅西口地区開発計画においては新築工事を推進し、東上野地区においては東上野四丁目A―1地区再開発準備組合へ事業協力者として参画しています。加えて、遊休資産の有効活用として同年5月には北馬込一丁目用地(旧家族寮)に介護付有料老人ホームのチャームスイート旗の台が竣工しました。そのほか、同年4月に「東京メトロアセットマネジメント株式会社」を設立し、不動産事業の成長を目的とした不動産アセットマネジメント事業への参入に向け、準備を進めています。
不動産事業の当第1四半期連結累計期間の業績は、営業収益が35億2千万円(前年同期比4.7%増)、営業利益が13億6千9百万円(前年同期比5.0%減)となりました。
[流通・広告事業]
流通・広告事業においては、収益性の向上を図るとともに、お客様の「新たな日常」を支え、ニーズに迅速に対応するため、各種開発を推進しました。
流通事業については、駅構内店舗等において店舗入替を行うとともに、駅構内の空きスペースにおいて自動販売機、コインロッカー等の増設を行ったほか、日本橋駅及び錦糸町駅において新規店舗の開発を進めました。
広告事業については、デジタルサイネージの販売促進に加え、中づりやまど上、駅ばりポスターの貸切商品等、クライアントニーズに応じたインパクトのある商品の展開により、収益拡大に努めました
流通・広告事業の当第1四半期連結累計期間の業績は、営業収益が60億4千4百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益が20億3千9百万円(前年同期比4.3%増)となりました。
当社グループの財政状態については、当第1四半期連結会計期間末における資産合計は前連結会計年度末に比べ240億5千1百万円減の1兆9,984億7千2百万円、負債合計は231億5千4百万円減の1兆3,309億7千3百万円、純資産合計は8億9千6百万円減の6,674億9千8百万円となりました。
資産の部の減少については、固定資産において設備投資に伴う固定資産の増加等があったものの、流動資産において有価証券(譲渡性預金)の減少等により減少したものです。
負債の部の減少については、流動負債において工事代金等の未払金の支払、固定負債において長期借入金の償還等によるものです。
純資産の部の減少については、配当の支払等によるものです。
この結果、当第1四半期連結会計期間末における自己資本比率は、33.4%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
第20期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ16億8千2百万円増加し、当連結会計年度末には906億6千5百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,350億6千6百万円(前期比468億8千8百万円の収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益655億4千1百万円(前期比455億7千9百万円の収入増)と非資金科目である減価償却費737億4千7百万円(前期比33億7千万円の収入増)を計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,002億3千万円(前期比1,694億4千3百万円の支出減)となりました。これは主に、設備投資等を中心に有形及び無形固定資産の取得による支出が1,041億3千2百万円(前期比224億1千7百万円の支出増)あったものの、前期発生した新線建設推進資金信託の設定による支出が発生しなかったこと(前期比1,921億2千万円の支出減)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、331億5千3百万円(前連結会計年度は1,588億1千4百万円の資金の増加)となりました。これは、社債の発行による収入が99億4千3百万円(前期比198億4千8百万円の資金の減少)、長期借入れによる収入が100億円(前期比50億円の資金の減少)あった一方で、社債の償還による支出が300億円(前期比250億円の資金の増加)、長期借入れの返済による支出が110億8千9百万円(前期比23億3千7百万円の資金の増加)があったことに加え、前期発生した新線建設推進長期借入金が発生しなかった(前期比1,921億2千万円の資金の減少)こと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績を記載することとしています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
第20期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。
当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
(単位:百万円)
[営業収益、営業費及び営業利益]
当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ438億9千7百万円増の3,892億6千7百万円となりました。
これは、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加したこと等によるものです。
営業費は、前連結会計年度に比べ46億8千4百万円減の3,129億8百万円となりました。これは、車両更新に伴う減価償却費の増等があったものの、電気料が減少したこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ485億8千1百万円増の763億5千9百万円となりました。なお、各セグメントの営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[営業外損益及び経常利益]
当連結会計年度の営業外収益は、持分法投資利益の減等により、前連結会計年度に比べ4億2千4百万円減の20億5千5百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ19億8千5百万円増の125億4千8百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ461億7千1百万円増の658億6千6百万円となりました。
[特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度の特別利益は、鉄道施設受贈財産評価額等の計上により、前連結会計年度に比べ78億3千8百万円増の130億7千4百万円となりました。
特別損失は、固定資産圧縮損等の計上により、前連結会計年度に比べ84億3千万円増の133億9千8百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は655億4千1百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ184億9千1百万円増の462億6千2百万円となりました。
第21期第1四半期連結累計期間(自 2024年4月1日 至 2024年6月30日)
財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。
当第1四半期連結累計期間の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
(単位:百万円)
[営業収益、営業費及び営業利益]
当第1四半期連結累計期間の営業収益は、前第1四半期連結累計期間に比べ61億2千3百万円増の1,019億5千万円となりました。
これは、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加したこと等によるものです。
営業費は、前第1四半期連結累計期間に比べ12億9百万円減の728億5千2百万円となりました。これは、修繕費の増等があったものの、固定資産除却費が減少したこと等によるものです。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の営業利益は、前第1四半期連結累計期間に比べ73億3千3万円増の290億9千7百万円となりました。なお、各セグメントの営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[営業外損益及び経常利益]
当第1四半期連結累計期間の営業外収益は、前第1四半期連結累計期間に比べ1億4千1百万円減の2億6千万円となりました。
営業外費用は、前第1四半期連結累計期間に比べ1億4千万円減の30億6千7百万円となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の経常利益は、前第1四半期連結累計期間に比べ73億3千2百万円増の262億9千万円となりました。
[特別損益及び親会社株主に帰属する四半期純利益]
当第1四半期連結累計期間の特別利益は、固定資産売却益等の計上により、前第1四半期連結累計期間に比べ7億6千7百万円増の11億3千2百万円となりました。
特別損失は、固定資産圧縮損等の計上により、前第1四半期連結累計期間に比べ7億7千2百万円増の11億1千9百万円となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の税金等調整前四半期純利益は263億3百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する四半期純利益は前第1四半期連結累計期間に比べ49億5千7百万円増の180億6千4百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
第20期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動により得られた資金並びに社債及び借入金を設備投資等に充当しています。
当社グループの主な資金需要は、営業活動に係る資金支出では、鉄道事業に係る修繕費や管理委託費等の経費、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金支出では、車両更新やホームドア整備などの安全対策、バリアフリー整備などの旅客サービス等の運輸業への投資、持続的な成長を実現する不動産事業及び流通・広告事業への投資のほか、有楽町線、南北線延伸事業等に係る投資があります。
資金調達の方法は、償却前営業利益を基本に、不足する資金を金融市場動向等に鑑み、社債の募集及び金融機関からの借入により長期資金を調達しています。また、運転資金として短期的に資金を必要とする場合は、国内金融機関との当座貸越契約により短期資金を調達することで、緊急時の流動性を確保しています。これらにより、当社グループの事業運営に必要な運転資金、設備投資資金の調達は問題なく対応可能と認識しています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
ⅰ固定資産の減損
当社グループは多くの固定資産を保有しており、回収可能価額を将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しています。そのため、景気低迷、他事業者との競合、市場価格の下落、感染症の発生等により当初見込んだ収益が得られなかった場合、又は算出の前提条件に変更があった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失を認識する可能性があります。
ⅱ繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
ⅲ退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等の前提条件に基づいて算出しています。
実際の結果が、前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の推移につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。なお、第17期及び第18期において、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、旅客人員の減少等により営業損益がマイナスとなったため、EBITDAが減少しましたが、その後は回復傾向にあり、足元の状況は堅調に推移しているものと判断しています。また、連結純有利子負債/EBITDA倍率につきましても、第20期において6.9倍となっており、堅調に推移しているものと判断しています。
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況
第20期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、緩やかに回復しているものの、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇等による金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
このような状況下で、当社グループは、2022年4月に公表した中期経営計画「東京メトロプラン2024」(2022年度~2024年度)に基づき、各種施策を積極的に推進しており、2023年3月には、「東京メトロプラン2024」を変更し、設備投資計画の見直しやポストコロナを見据えた経営目標値の上方修正等を行いました。本計画期間において、鉄道事業の持続可能性の向上を図るべく、安全の確保を前提に、次世代に向けたコスト構造や業務の抜本的な見直し等、『構造変革』に取り組むとともに、新線建設、お出かけ機会の創出、都市・生活創造事業の強化等、『新たな飛躍』を目指した取組を推進しました。
当連結会計年度の業績は、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加し、営業収益が3,892億6千7百万円(前期比12.7%増)となり、営業利益が763億5千9百万円(前期比174.9%増)、経常利益が658億6千6百万円(前期比234.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が462億6千2百万円(前期比66.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
[運輸業]
ⅰ 安全性・利便性の向上
(セキュリティ強化)
テロ行為や犯罪に備え、車内セキュリティカメラの導入を進めています。また、「車内非常用設備等の表示に関するガイドライン」を踏まえ、全車両を対象にピクトグラムを活用したステッカーの貼り付けを進めており、分かりやすい表示の共通化にも取り組んでいます。
(自然災害対策)
東日本大震災の対策は完了し、現在、熊本地震後の通達に基づき震災対策として、震災時の早期運行再開を目的にトンネル中柱の耐震補強工事を進めています。
大規模浸水対策として、駅出入口において浸水深に応じた改良や防水扉・止水板等の設置、トンネル坑口への防水ゲートの設置を進めており、現在60.4%の進捗となっています。また、大規模停電対策として、停電等により駅間に停止した列車を最寄駅まで走行可能とするため、丸ノ内線2000系車両に非常用バッテリーを搭載しました。
(お客様の円滑な移動の実現)
安全性及び車内での快適性を向上させ、環境にも配慮した新型車両として、丸ノ内線に2000系車両の導入が完了しました。また、混雑緩和を目的として南北線9000系車両の一部において、8両編成化を実施し、2023年12月から運行を開始しました。
お身体の不自由なお客様をはじめとした全てのお客様に安心してご利用いただけるよう、エレベーター、エスカレーター及びバリアフリートイレの整備を進めており、日比谷線神谷町駅にエレベーターを設置したほか、銀座線浅草駅にバリアフリートイレを増設しました。また、ホームと車両床面の段差・隙間縮小のため、日比谷線においてホームの嵩上げ、くし状ゴムの設置を進めています。
※銀座線・丸ノ内線・千代田線は設置完了
ホームドアの整備については、2025年度までの全路線全駅への設置完了を目指しており、3路線において設置工事を進めてきましたが、2024年3月に日比谷線全駅の設置を完了しました。なお、2024年3月31日現在の全線及び設置工事中2路線の整備率は、以下のとおりです。
| 全線 | 東西線 | 半蔵門線 | |
| 整備率 | 92% | 52% | 79% |
※他路線は全駅設置完了
(その他)
2021年6月に発生した日比谷線八丁堀駅における多機能トイレの機能不備によるお客様の発見遅れについては、公表した再発防止対策報告書に基づく取組を確実に推進し、当社施設の確実な施工、保守・点検及び適切な取扱いを徹底しています。
ⅱ 有楽町線延伸・南北線延伸等によるネットワーク発展・充実
(有楽町線・南北線の延伸)
有楽町線延伸・南北線延伸に向けては、各種手続き等について関係各所との協議・調整に加え、地質及び埋設物の調査並びに設計を行っています。
ⅲ 鉄道事業の成長に向けたアクションプラン
(目的地と連動した移動価値)
沿線施設と連動したお出かけ機会の創出に向けて、企業や自治体とタイアップしたスタンプラリーや商業施設で使用可能なクーポンと東京メトロ24時間券をセットにして発売しました。また、東京メトロ沿線での街歩きを楽しんでいただくため、株式会社レッツエンジョイ東京と共同で、2023年4月にフリーマガジン「Alku Tokyo(アルクトーキョー)」を創刊するとともに、WEBサイト「Alku Tokyo.Web」を開設しました。
(他サービスと連携した移動価値)
地下鉄から一歩先に踏み出した東京観光を提供するために、東京都交通局と共同で、両社局の公式アプリ(「東京メトロmy!アプリ」及び「都営交通アプリ」)を介した観光遊覧船(シンフォニークルーズ)の利用予約を2023年4月から開始しました。
(頻度に応じた移動価値)
休日のお出かけ機会の創出に向けて、メトポ会員を対象に、事前に登録料を支払うと土日祝日にPASMOで当社線を利用した金額分が全額ポイントで還元されるサービス「休日メトロ放題」を2023年11月から開始しました。
(その他)
2024年3月に交通・観光プラットフォーム事業会社であるリンクティビティ株式会社と資本業務提携契約を締結しました。また、既存の旅行者向け企画乗車券の販売強化のほか、東京ならではの魅力ある複数の観光施設や体験を凝縮したインバウンド向けフリーパス(企画乗車券付き)を開発するなど、新たなインバウンド戦略を推進していきます。
ⅳ 新技術の導入とDXによる鉄道オペレーションの進化
(技術開発ビジョン)
新技術の導入・開発やDXの推進等により、持続的な企業価値向上を図り、将来にわたる安心の提供を実現するため、状態基準保全(CBM)の一環として、車両・設備の状態監視を進めています。また、故障予知技術・劣化予測技術の促進の検討を進めています。
ⅴ 不動産事業の拡大とまちづくりとの連携
(まちづくりとの連携)
駅周辺開発を計画・検討する都市開発事業者等と連携した「えき・まち連携プロジェクト」として、11駅において開発提案を募集しています。
また、虎ノ門ヒルズ駅において2023年7月に虎ノ門ヒルズステーションタワー及びグラスロックと接続し、「駅まち一体」となった駅を整備しました。
ⅵ 海外鉄道ビジネスの拡大・新規ビジネスの開発推進
(海外鉄道ビジネス)
海外鉄道ビジネスについては、ベトナム、フィリピン等において鉄道整備、技術支援に係る各プロジェクトを推進しています。また、世界の鉄道関係者向けオンライン講座・訪日研修「Tokyo Metro Academy」を開催しました。
(新規ビジネスの開発)
2024年3月に外部企業との共創を目的としたオープンイノベーションプログラム「Tokyo Metro ACCELERATOR 2023」の最終審査会を実施し、株式会社なんでもドラフトを採択企業として決定しました。また、2024年1月から3月に、個室型ワークスペース「CocoDesk」を16台増設しました。
ⅶ 脱炭素・循環型社会への貢献
(脱炭素社会への取組)
脱炭素社会の実現に向けた取組として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、当社の気候関連リスク、機会等を開示するとともに、2024年3月、当社初となる「グリーンボンド」を発行しました。また、長期環境目標「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」達成に向けたロードマップを策定、2022年度における東京メトログループのCO₂排出量(Scope1、2、3)を算出し、「サステナビリティレポート2023」にて開示したほか、2024年3月に東京電力エナジーパートナー株式会社と「アクアプレミアム(水力発電由来の電力を供給する再生可能エネルギーメニュー)」を丸ノ内線及び南北線に導入する契約を締結しました。今後も再生可能エネルギーの活用や、車両・設備の省エネルギー化に取り組んでいきます。さらに2024年3月、当社の鉄道運行を通じて生まれた、社会における環境面でのポジティブインパクト(削減貢献量)を算定、公表しました。これを活用し、鉄道事業の成長を環境課題の解決につなげていきます。
(循環型社会の実現に向けた取組)
2023年12月、当社グループが運営する一部の飲食店から排出される廃食用油をSAF(Sustainable Aviation Fuel:化石燃料以外を原料とする持続可能な航空燃料)の原料に再利用する取組に関する合意書を締結しました。鉄道事業者初となる「Fry to Fly Project」(国内資源循環による脱炭素実現に向けたプロジェクト)にも参加し、SAFの重要性や当該プロジェクトを発信していきます。
ⅷ 経営基盤の強化
(安全文化の醸成)
お客様の安全を第一とし、事故の未然防止、再発防止に取り組むため、グループ全役員・社員を対象にした安全研修を実施したほか、安全推進発表会、ヒューマンファクター分析等を実施しました。社員一人ひとりが自ら考え行動を起こすことができる安全文化の醸成に努めています。
(豊かな社会のためのパートナーシップ)
女子駅伝部や車いすフェンシング選手である安直樹選手の活動支援のほか、東京マラソンへの参画を通じて、スポーツ選手が活躍できる環境づくりに貢献するとともに地域・社会の活性化に取り組んでおり、2023年6月及び11月に沿線地域住民等を対象としたスポーツ体験会を他企業と共催しました。
また、2024年3月に総合研修訓練センターにおいて沿線の特別支援学校の生徒等を対象に鉄道施設体験会を実施したほか、地域振興・文化支援を目的として、銀座駅にて地方自治体が開催する「ふるさとPRイベント」、公益財団法人メトロ文化財団の地下鉄博物館特別展等を支援しました。加えて、2024年3月に沿線地域のさらなる活性化を目的として、台東区と包括連携に関する協定を締結しました。
このほか、銀座線浅草駅4番出入口上屋等の4か所が2023年11月付けで文化庁から登録有形文化財に登録されました。
運輸業の当連結会計年度の業績は、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加し、営業収益が3,564億6千7百万円(前期比14.2%増)、営業利益が637億8千5百万円(前期比336.8%増)となりました。
(運輸成績表)
| 種別 | 単位 | 第19期連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 第20期連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | |
| 営業日数 | 日 | 365 | 366 | |
| 旅客営業キロ | キロ | 195.0 | 195.0 | |
| 客車走行キロ | 千キロ | 290,315 | 289,825 | |
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 1,166,475 | 1,248,078 |
| 定期外 | 〃 | 1,005,435 | 1,136,653 | |
| 計 | 〃 | 2,171,910 | 2,384,731 | |
| 旅客運輸収入 | 定期 | 百万円 | 111,990 | 124,581 |
| 定期外 | 〃 | 169,374 | 199,427 | |
| 計 | 〃 | 281,364 | 324,009 | |
| 乗車効率 | % | 42 | 46 | |
(注)1 記載数値は、千キロ未満、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。
2 乗車効率の算出方法:人キロ÷(客車走行キロ×客車平均定員)×100
3 第16期から第18期の各連結会計年度における、旅客運輸収入は下表のとおりです。
| 種別 | 単位 | 第16期 | 第17期 | 第18期 | |
| 決算年月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 | ||
| 旅客運輸収入 | 定期 | 百万円 | 155,188 | 107,587 | 105,483 |
| 定期外 | 〃 | 191,354 | 116,341 | 139,609 | |
| 計 | 〃 | 346,542 | 223,928 | 245,092 | |
[不動産事業]
不動産事業においては、収益性の向上を図るべく、駅周辺の都市開発と一体となった建物の整備や、神宮前六丁目用地再開発建物の竣工、東上野四丁目A―1地区再開発準備組合への事業協力者としての参画、新宿駅西口地区開発計画の新築工事に着手しました。また、不動産事業の成長を目的とした不動産アセットマネジメント事業への参入に向け、「東京メトロアセットマネジメント株式会社」設立の準備を進めました。
不動産事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が136億5千4百万円(前期比0.6%減)、営業利益が45億6千3百万円(前期比14.7%減)となりました。
[流通・広告事業]
流通・広告事業においては、収益性の向上を図るとともに、お客様の「新たな日常」を支え、ニーズに迅速に対応するため、各種開発を推進しました。
流通事業については、2023年6月に、東西線行徳駅高架下において「M’av行徳」、2024年3月に、「小伝馬町メトロピア」を開業したほか、駅構内店舗、商業ビル等において、空き区画の解消や店舗入替を行うとともに、駅構内の空きスペースを有効活用しました。
広告事業については、昨年度新設した駅構内デジタルサイネージの販売促進や各施策を実施しました。
流通・広告事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が239億2千万円(前期比1.1%増)、営業利益が79億6千9百万円(前期比3.7%増)となりました。
当社グループの財政状態については、当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ197億2百万円増の2兆225億2千4百万円、負債合計は153億4千8百万円減の1兆3,541億2千8百万円、純資産合計は350億5千1百万円増の6,683億9千5百万円となりました。
資産の部の増加については、流動資産において旅客運輸収入増加に伴う未収運賃の増加、固定資産において設備投資に伴う固定資産の増加等によるものです。
負債の部の減少については、流動負債において旅客運輸収入等の増加に伴う未払法人税等が増加したものの、固定負債において、長期債務の償還等があったことにより減少したものです。
純資産の部の増加については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等によるものです。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、33.0%となりました。
第21期第1四半期連結累計期間(自 2024年4月1日 至 2024年6月30日)
当第1四半期連結累計期間における我が国経済は、緩やかに回復しているものの、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇等による金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
このような状況下で、当社グループは、2022年4月に公表し、2023年3月に設備投資計画の見直しやポストコロナを見据えた経営目標値の上方修正等を行った中期経営計画「東京メトロプラン2024」(2022年度~2024年度)に基づき、各種施策を積極的に推進しています。本計画期間において、鉄道事業の持続可能性の向上を図るべく、安全の確保を前提に、次世代に向けたコスト構造や業務の抜本的な見直し等、『構造変革』に取り組むとともに、新線建設、お出かけ機会の創出、都市・生活創造事業の強化等、『新たな飛躍』を目指した各種施策に取り組んでいます。
当第1四半期連結累計期間の業績は、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加し、営業収益が1,019億5千万円(前年同期比6.4%増)となり、営業利益が290億9千7百万円(前年同期比33.7%増)、経常利益が262億9千万円(前年同期比38.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が180億6千4百万円(前年同期比37.8%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
[運輸業]
ⅰ 安全性・利便性の向上
(セキュリティ強化)
テロ行為や犯罪に備え、車内セキュリティカメラの導入を進めており、2024年度中に全路線設置完了予定です。
(自然災害対策)
阪神・淡路大震災及び東日本大震災後の通達に基づく耐震補強(高架橋、石積み擁壁)は完了しています。また、熊本地震後の通達に基づく震災対策として、早期運行再開を目的としたロッキング橋脚、こ線道路橋・人道橋の補強は完了し、現在はトンネル中柱の耐震補強工事を進めています。
大規模浸水対策として、浸水深に応じた駅出入口の止水板の改良、防水扉の設置、上屋建て替えによる完全防水型出入口への改良、換気口浸水防止機の改良、換気塔の嵩上げ、地上駅・地上設備の外壁の鉄筋コンクリート化、トンネル坑口への防水ゲートの設置等を進めており、現在60.4%の進捗となっています。
(お客様の円滑な移動の実現)
お身体の不自由なお客様をはじめとした全てのお客様に安心してご利用いただけるよう、エレベーター、エスカレーター及びバリアフリートイレの整備を進めており、東西線南砂町駅にエレベーターを設置しました。また、ホームと車両床面の段差・隙間縮小のため、日比谷線、東西線、半蔵門線、南北線及び副都心線においてホームの嵩上げ、くし状ゴムの設置を進めています。
※銀座線・丸ノ内線・千代田線は設置完了
ホームドアの整備については、2025年度までの全路線全駅への設置完了を目指しており、2路線において設置工事を進めています。現在の全線及び設置工事中2路線の整備率は、以下のとおりです。
| 全線 | 東西線 | 半蔵門線 | |
| 整備率 | 92% | 52% | 79% |
※他路線は設置完了
また、東西線南砂町駅においては、2024年5月に第1回線路切替工事を行い、新設したホーム、出入口、改札等の供用を開始しました。
(その他)
2021年6月に発生した日比谷線八丁堀駅における多機能トイレの機能不備によるお客様の発見遅れについては、公表した再発防止対策報告書に基づく取組を確実に推進し、当社施設の確実な施工、保守・点検及び適切な取扱いを徹底しています。
ⅱ 有楽町線延伸・南北線延伸等によるネットワーク展開・充実
(有楽町線・南北線の延伸)
有楽町線延伸・南北線延伸に向けては、2024年6月に都市計画決定が告示されたことを踏まえ、地質及び埋設物の調査並びに設計、今年度内の着工に向けた各種協議・手続きを行っています。
ⅲ 鉄道事業の成長に向けたアクションプラン
(目的地と連動した移動価値)
沿線施設と連動したお出かけ機会の創出に向けて、企業や自治体とタイアップしたスタンプラリーを実施しました。
(頻度に応じた移動価値)
より分かりやすくお得に多くのお客様にご利用いただけるよう、2024年4月に、PASMOをお持ちの方を対象とした「メトロポイントクラブ」とTo Me CARDをお持ちの方を対象とした「メトロポイント」の2つのポイントサービスを統合しました。また、同年5月に、モバイルのPASMOをご利用のお客様において、モバイルPASMOアプリ上でメトロポイントクラブの登録手続き及びポイントからのチャージを可能にしました。
ⅳ 新技術の導入とDXによる鉄道オペレーションの進化
(技術開発ビジョン)
新技術の導入・開発やDXの推進等により、持続的な企業価値向上を図り、将来にわたる安心の提供を実現するため、状態基準保全(CBM)の一環として、車両・設備の状態監視を進めています。また、故障予知技術・劣化予測技術の促進の検討を進めています。
ⅴ 不動産事業の拡大とまちづくりとの連携
(まちづくりとの連携)
駅周辺開発を計画・検討する都市開発事業者等と連携した「えき・まち連携プロジェクト」として、11駅において開発提案を募集しています。
ⅵ 海外鉄道ビジネスの拡大・新規ビジネスの開発推進
(海外鉄道ビジネス)
海外鉄道ビジネスについては、ベトナム、フィリピン等において鉄道整備、技術支援に係る各プロジェクトを推進しています。「ベトナム国鉄道学校における都市鉄道研修能力強化プロジェクト」においては、ベトナムの鉄道関係者を対象に訪日研修を実施しました。また、世界の鉄道関係者向けオンライン講座・訪日研修の「Tokyo Metro Academy」においては、プロモーションとして無料オンライン講座を実施しました。
(新規ビジネスの開発)
新規事業の創出を目的とした社内事業開発プログラム「メトロのたまご」を通じて社員が提案したスケートボードパーク&スクール事業「RAMP ZERO」を、日比谷線南千住駅高架下において2024年4月に営業開始しました。また、「Tokyo Metro ACCELERATOR 2022」で最終審査を通過したSTUDIO BUKI株式会社との協業施策として、子どもが作中で東京メトロの運転士になれるパーソナライズド絵本「僕は私は運転士!」を同年4月に販売開始しました。同様に、最終審査を通過した株式会社休日ハックとの協業施策として、漫画・謎解き・街歩きを掛け合わせたオリジナル体験型エンターテイメント「メトロタイムゲート」を同年5月から8月までの期間限定で実施しています。
加えて、「東京メトロ×プログラボ」15校目となるプログラボ晴海を、東京2020大会選手村の跡地に開発された「HARUMI FⅬAG(晴海フラッグ)」内にオープンしました。
ⅶ 脱炭素・循環型社会への貢献
(脱炭素社会への取組)
脱炭素社会の実現に向けた取組として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、当社の気候関連リスク、機会等を特定し、開示しています。指標、目標として掲げている長期環境目標「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」の達成に向け、2024年4月から丸ノ内線・南北線で使用する全ての電力を水力発電由来の再生可能エネルギーに置き換えてCO₂排出量ゼロで運行を開始しました。それに合わせ、当社の環境負荷低減の取組に触れていただきたいという想いから、同年4月から5月に「乗ってエコ」スタンプラリーを実施しました。また、東西線では、家庭用太陽光発電の余剰電力の環境価値を調達し、使用する電力の一部を実質再生可能エネルギー化して運行を開始しました。今後も再生可能エネルギーの活用や、車両・設備の省エネルギー化に取り組んでいきます。
加えて、当社の鉄道運行を通じて生まれた、社会における環境面でのポジティブインパクト(削減貢献量)を活用し、同年6月、東京都交通局と共同で、環境負荷の少ない移動手段の利用促進を目的として「エコボーナスWキャンペーン」を実施しました。引き続き他者と連携した施策の実施等を通じて、鉄道事業の成長を環境課題の解決につなげていきます。
(循環型社会の実現に向けた取組)
当社グループが運営する一部の飲食店、社員食堂等から排出される使用済み油をSAF(Sustainable Aviation Fuel:化石燃料以外を原料とする持続可能な航空燃料)の原料に再利用する取組として、「Fry to Fly Project」(国内資源循環による脱炭素実現に向けたプロジェクト)に参加し、2024年6月には、東西線浦安駅で使用済み油回収イベントを実施しました。今後も、お客様に楽しく体感いただけるイベントを企画・実施し、SAFの重要性や当該プロジェクトを発信していきます。
ⅷ 経営基盤の強化
(安全文化の醸成)
お客様の安全を第一とし、事故の未然防止、再発防止に取り組むため、グループ全役員・社員を対象にした安全研修を実施したほか、事故防止オープンセミナー、ヒューマンファクター分析等を実施しました。社員一人ひとりが自ら考え行動を起こすことができる安全文化の醸成に努めています。
(豊かな社会のためのパートナーシップ)
女子駅伝部や車いすフェンシング選手である安直樹選手の活動支援のほか、東京マラソンへの参画を通じて、スポーツ選手が活躍できる環境づくりに貢献するとともに地域・社会の活性化に取り組んでいます。
運輸業の当第1四半期連結累計期間の業績は、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加し、営業収益が934億4千5百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益が256億4千1百万円(前年同期比39.8%増)となりました。
| (運輸成績表) | ||||
| 種別 | 単位 | 前第1四半期連結累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年6月30日) | 当第1四半期連結累計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年6月30日) | |
| 営業日数 | 日 | 91 | 91 | |
| 旅客営業キロ | キロ | 195.0 | 195.0 | |
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 319,502 | 333,105 |
| 定期外 | 〃 | 278,600 | 300,306 | |
| 計 | 〃 | 598,102 | 633,412 | |
| 旅客運輸収入 | 定期 | 百万円 | 31,383 | 33,122 |
| 定期外 | 〃 | 48,995 | 52,503 | |
| 計 | 〃 | 80,379 | 85,626 | |
(注) 記載数値は、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。
[不動産事業]
不動産事業においては、収益性の向上を図るべく、駅周辺の都市開発と一体となった建物の整備を進めています。2024年4月には神宮前六丁目用地再開発建物が東急プラザ原宿「ハラカド」として開業しました。また、新宿駅西口地区開発計画においては新築工事を推進し、東上野地区においては東上野四丁目A―1地区再開発準備組合へ事業協力者として参画しています。加えて、遊休資産の有効活用として同年5月には北馬込一丁目用地(旧家族寮)に介護付有料老人ホームのチャームスイート旗の台が竣工しました。そのほか、同年4月に「東京メトロアセットマネジメント株式会社」を設立し、不動産事業の成長を目的とした不動産アセットマネジメント事業への参入に向け、準備を進めています。
不動産事業の当第1四半期連結累計期間の業績は、営業収益が35億2千万円(前年同期比4.7%増)、営業利益が13億6千9百万円(前年同期比5.0%減)となりました。
[流通・広告事業]
流通・広告事業においては、収益性の向上を図るとともに、お客様の「新たな日常」を支え、ニーズに迅速に対応するため、各種開発を推進しました。
流通事業については、駅構内店舗等において店舗入替を行うとともに、駅構内の空きスペースにおいて自動販売機、コインロッカー等の増設を行ったほか、日本橋駅及び錦糸町駅において新規店舗の開発を進めました。
広告事業については、デジタルサイネージの販売促進に加え、中づりやまど上、駅ばりポスターの貸切商品等、クライアントニーズに応じたインパクトのある商品の展開により、収益拡大に努めました
流通・広告事業の当第1四半期連結累計期間の業績は、営業収益が60億4千4百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益が20億3千9百万円(前年同期比4.3%増)となりました。
当社グループの財政状態については、当第1四半期連結会計期間末における資産合計は前連結会計年度末に比べ240億5千1百万円減の1兆9,984億7千2百万円、負債合計は231億5千4百万円減の1兆3,309億7千3百万円、純資産合計は8億9千6百万円減の6,674億9千8百万円となりました。
資産の部の減少については、固定資産において設備投資に伴う固定資産の増加等があったものの、流動資産において有価証券(譲渡性預金)の減少等により減少したものです。
負債の部の減少については、流動負債において工事代金等の未払金の支払、固定負債において長期借入金の償還等によるものです。
純資産の部の減少については、配当の支払等によるものです。
この結果、当第1四半期連結会計期間末における自己資本比率は、33.4%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
第20期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ16億8千2百万円増加し、当連結会計年度末には906億6千5百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,350億6千6百万円(前期比468億8千8百万円の収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益655億4千1百万円(前期比455億7千9百万円の収入増)と非資金科目である減価償却費737億4千7百万円(前期比33億7千万円の収入増)を計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,002億3千万円(前期比1,694億4千3百万円の支出減)となりました。これは主に、設備投資等を中心に有形及び無形固定資産の取得による支出が1,041億3千2百万円(前期比224億1千7百万円の支出増)あったものの、前期発生した新線建設推進資金信託の設定による支出が発生しなかったこと(前期比1,921億2千万円の支出減)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、331億5千3百万円(前連結会計年度は1,588億1千4百万円の資金の増加)となりました。これは、社債の発行による収入が99億4千3百万円(前期比198億4千8百万円の資金の減少)、長期借入れによる収入が100億円(前期比50億円の資金の減少)あった一方で、社債の償還による支出が300億円(前期比250億円の資金の増加)、長期借入れの返済による支出が110億8千9百万円(前期比23億3千7百万円の資金の増加)があったことに加え、前期発生した新線建設推進長期借入金が発生しなかった(前期比1,921億2千万円の資金の減少)こと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績を記載することとしています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
第20期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。
当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 増減額 | 増減率 | |
| % | ||||
| 営業収益 | 345,370 | 389,267 | 43,897 | 12.7 |
| 営業費 | 317,592 | 312,908 | △4,684 | △1.5 |
| 営業利益 | 27,777 | 76,359 | 48,581 | 174.9 |
| 営業外収益 | 2,480 | 2,055 | △424 | △17.1 |
| 営業外費用 | 10,563 | 12,548 | 1,985 | 18.8 |
| 経常利益 | 19,694 | 65,866 | 46,171 | 234.4 |
| 特別利益 | 5,236 | 13,074 | 7,838 | 149.7 |
| 特別損失 | 4,968 | 13,398 | 8,430 | 169.7 |
| 税金等調整前当期純利益 | 19,962 | 65,541 | 45,579 | 228.3 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | 27,771 | 46,262 | 18,491 | 66.6 |
[営業収益、営業費及び営業利益]
当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ438億9千7百万円増の3,892億6千7百万円となりました。
これは、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加したこと等によるものです。
営業費は、前連結会計年度に比べ46億8千4百万円減の3,129億8百万円となりました。これは、車両更新に伴う減価償却費の増等があったものの、電気料が減少したこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ485億8千1百万円増の763億5千9百万円となりました。なお、各セグメントの営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[営業外損益及び経常利益]
当連結会計年度の営業外収益は、持分法投資利益の減等により、前連結会計年度に比べ4億2千4百万円減の20億5千5百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ19億8千5百万円増の125億4千8百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ461億7千1百万円増の658億6千6百万円となりました。
[特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度の特別利益は、鉄道施設受贈財産評価額等の計上により、前連結会計年度に比べ78億3千8百万円増の130億7千4百万円となりました。
特別損失は、固定資産圧縮損等の計上により、前連結会計年度に比べ84億3千万円増の133億9千8百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は655億4千1百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ184億9千1百万円増の462億6千2百万円となりました。
第21期第1四半期連結累計期間(自 2024年4月1日 至 2024年6月30日)
財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。
当第1四半期連結累計期間の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
(単位:百万円)
| 前第1四半期 連結累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年6月30日) | 当第1四半期 連結累計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年6月30日) | 増減額 | 増減率 | |
| % | ||||
| 営業収益 | 95,827 | 101,950 | 6,123 | 6.4 |
| 営業費 | 74,062 | 72,852 | △1,209 | △1.6 |
| 営業利益 | 21,764 | 29,097 | 7,333 | 33.7 |
| 営業外収益 | 402 | 260 | △141 | △35.2 |
| 営業外費用 | 3,208 | 3,067 | △140 | △4.4 |
| 経常利益 | 18,958 | 26,290 | 7,332 | 38.7 |
| 特別利益 | 365 | 1,132 | 767 | 210.1 |
| 特別損失 | 346 | 1,119 | 772 | 223.0 |
| 税金等調整前四半期純利益 | 18,977 | 26,303 | 7,326 | 38.6 |
| 親会社株主に帰属する 四半期純利益 | 13,106 | 18,064 | 4,957 | 37.8 |
[営業収益、営業費及び営業利益]
当第1四半期連結累計期間の営業収益は、前第1四半期連結累計期間に比べ61億2千3百万円増の1,019億5千万円となりました。
これは、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加したこと等によるものです。
営業費は、前第1四半期連結累計期間に比べ12億9百万円減の728億5千2百万円となりました。これは、修繕費の増等があったものの、固定資産除却費が減少したこと等によるものです。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の営業利益は、前第1四半期連結累計期間に比べ73億3千3万円増の290億9千7百万円となりました。なお、各セグメントの営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[営業外損益及び経常利益]
当第1四半期連結累計期間の営業外収益は、前第1四半期連結累計期間に比べ1億4千1百万円減の2億6千万円となりました。
営業外費用は、前第1四半期連結累計期間に比べ1億4千万円減の30億6千7百万円となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の経常利益は、前第1四半期連結累計期間に比べ73億3千2百万円増の262億9千万円となりました。
[特別損益及び親会社株主に帰属する四半期純利益]
当第1四半期連結累計期間の特別利益は、固定資産売却益等の計上により、前第1四半期連結累計期間に比べ7億6千7百万円増の11億3千2百万円となりました。
特別損失は、固定資産圧縮損等の計上により、前第1四半期連結累計期間に比べ7億7千2百万円増の11億1千9百万円となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の税金等調整前四半期純利益は263億3百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する四半期純利益は前第1四半期連結累計期間に比べ49億5千7百万円増の180億6千4百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
第20期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動により得られた資金並びに社債及び借入金を設備投資等に充当しています。
当社グループの主な資金需要は、営業活動に係る資金支出では、鉄道事業に係る修繕費や管理委託費等の経費、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金支出では、車両更新やホームドア整備などの安全対策、バリアフリー整備などの旅客サービス等の運輸業への投資、持続的な成長を実現する不動産事業及び流通・広告事業への投資のほか、有楽町線、南北線延伸事業等に係る投資があります。
資金調達の方法は、償却前営業利益を基本に、不足する資金を金融市場動向等に鑑み、社債の募集及び金融機関からの借入により長期資金を調達しています。また、運転資金として短期的に資金を必要とする場合は、国内金融機関との当座貸越契約により短期資金を調達することで、緊急時の流動性を確保しています。これらにより、当社グループの事業運営に必要な運転資金、設備投資資金の調達は問題なく対応可能と認識しています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
ⅰ固定資産の減損
当社グループは多くの固定資産を保有しており、回収可能価額を将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しています。そのため、景気低迷、他事業者との競合、市場価格の下落、感染症の発生等により当初見込んだ収益が得られなかった場合、又は算出の前提条件に変更があった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失を認識する可能性があります。
ⅱ繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
ⅲ退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等の前提条件に基づいて算出しています。
実際の結果が、前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の推移につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。なお、第17期及び第18期において、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、旅客人員の減少等により営業損益がマイナスとなったため、EBITDAが減少しましたが、その後は回復傾向にあり、足元の状況は堅調に推移しているものと判断しています。また、連結純有利子負債/EBITDA倍率につきましても、第20期において6.9倍となっており、堅調に推移しているものと判断しています。