有価証券報告書-第17期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により個人消費が弱含んでいるなど、厳しい状況が続いています。
このような状況下で、当社グループは、中期経営計画「東京メトロプラン2021」に基づき、「安心の提供」、「持続的な成長の実現」、「東京の魅力・活力の共創」の全てに対し「挑戦」とそれを支える「志」を持って、各種施策を積極的に推進しました。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、経営は厳しい状況が続いており、今後の経営の見通しが不透明である中で、当社は、社長をトップとした経営改革会議を立ち上げ、設備投資・経費の削減をはじめとした抜本的な経営改善に向け、「選ばれる鉄道会社」を目指すべく新たに設定した3つのキーワードに基づき、各種施策に取り組みました。
新型コロナウイルス感染症への取組については、緊急事態宣言を受けた終電時刻の繰上げや、窓開けによる車内換気、駅設備の消毒及び駅構内への消毒液設置、車両内及び駅構内の抗ウイルス・抗菌処置等を実施しました。一部駅のインフォメーションカウンターにおいては、飛沫感染防止用ビニールシートを設置しました。また、「東京メトロmy!アプリ」を公開し、改札口及び列車内の混雑状況の見える化に資する情報を提供しました。さらに、一部商業施設等については、緊急事態宣言を踏まえ、休業及び営業時間の短縮を実施しました。今後も、より一層お客様に安心してご利用いただけるよう努めていきます。
当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、輸送人員の減による旅客運輸収入等の減少及び流通事業の売上の減少等により、営業収益が2,957億2千9百万円(前期比31.7%減)となり、営業損失が402億9千9百万円(前期は営業利益839億1千7百万円)、経常損失が476億8千9百万円(前期は経常利益749億1千万円)、親会社株主に帰属する当期純損失が529億2千7百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益513億9千1百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
[運輸業]
<安心の提供>「安心=安全+サービス」の考えのもと、優れた技術力と創造力により、安全で快適な世界トップレベルの輸送サービスを提供するため、各種取組を実施しました。
(自然災害対策の推進)
震災対策として、震災時の早期運行再開を目的にトンネル中柱等の耐震補強工事を進めています。また、2020年12月に高架橋柱の耐震補強工事が完了しました。
大規模浸水対策として、駅出入口において想定浸水の高さに応じた改良や防水扉・止水板等の設置を進めるとともに、トンネル坑口への防水ゲートの設置を進めています。2020年度は、日比谷線三ノ輪駅等5駅8箇所に防水扉を、丸ノ内線銀座駅等4駅5箇所に止水板等を設置しました。
(駅ホームの安全性向上)
ホームドアの整備として、2025年度までの全路線全駅への設置完了を目指しており、現在3路線において設置工事を進めています。2020年度に設置が完了した駅は以下のとおりです。
※銀座線、丸ノ内線、千代田線、有楽町線、南北線、副都心線は設置完了
また、2020年11月に東西線東陽町駅で発生した白杖をご利用のお客様の転落事故を踏まえ、ホームドア稼働前の安全性向上のため、警備員の増配置や音声案内装置の設置等により「見守る目」の強化に取り組みました。さらに、当初の予定よりも工事期間を短縮し、当該駅においては2021年1月にホームドアの設置が完了しました。
(新型車両の導入)
安全性及び車内での快適性を向上させ、環境にも配慮した新型車両の導入を進めており、有楽町線・副都心線に導入した17000系車両については、2020年度グッドデザイン賞を受賞しました。なお、2020年度に導入した車両は以下のとおりです。
※日比谷線13000系車両は導入完了
(セキュリティの強化)
駅構内・車内でのテロ行為や犯罪に備え、駅構内のセキュリティカメラの更新及び増設を実施しました。また、車内セキュリティカメラの導入を進めています。
(輸送サービスの改善)
東西線における遅延・混雑対策として、南砂町駅における線路・ホーム増設等の各種工事を進めています。また、日比谷線においては、2020年6月に東武鉄道70090型車両を使用した座席指定制直通列車「THライナー」の運行開始及び利便性向上を目的としたダイヤ改正を実施しました。さらに、2021年3月に全路線でダイヤ改正を行い、夜間保守・作業時間の確保を目的に終電時刻を繰り上げるとともに、お客様のご利用状況に合わせ、運転本数の見直しを実施しました。
オフピーク通勤・通学に向けた取組として、「メトロポイントクラブ(愛称:メトポ)」を活用した「東西線オフピークプロジェクト」及び「豊洲オフピークプロジェクト」を通年で実施しました。
(バリアフリー設備の整備)
お身体の不自由なお客様をはじめとした全てのお客様に安心してご利用いただけるよう、エレベーター及びエスカレーターの整備を進めており、エレベーターを日比谷線仲御徒町駅等14駅に22基、エスカレーターを銀座線外苑前駅等7駅に14基設置しました。
(利便性・快適性の向上)
2020年6月に日比谷線虎ノ門ヒルズ駅を開業しました。また、同駅と銀座線虎ノ門駅、銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅と有楽町線銀座一丁目駅を新たな乗換駅として設定するとともに、一度改札を出場する場合の乗換時間を30分から60分へ拡大しました。また、駅構内のバリアフリー移動経路やホームと車両床面の段差・隙間等に関する情報を分かりやすくお届けするWebサービス「スムーズメトロ」の提供を2020年7月に開始しました。さらに、2020年10月に旅行者や地下鉄に不慣れなお客様へのご案内のため、有楽町線池袋駅に旅客案内所を新設したほか、銀座線リニューアルとして日本橋駅等5駅の改装工事が完了しました。
東京の地下鉄のサービス一体化として、九段下駅等3駅で乗換エレベーターを整備しました。また、大手町駅においても乗換エレベーター設置工事を進めています。
<持続的な成長の実現>積極的な事業展開や新技術の開発・導入によって収益基盤を強化し、将来にわたる持続的な成長を実現するため、各種取組を実施しました。
(お客様ニーズをとらえた取組)
「東京メトロ24時間券」等の企画乗車券について、2020年6月からクレジットカードでのキャッシュレス購入が可能となりました。また、2020年10月からApple PayTMのPASMOがご利用できるようになりました。
(海外での事業展開)
ベトナム及びフィリピンにおいて、独立行政法人国際協力機構から受注したプロジェクトを推進しています。また、インドネシアにおいて、ジャカルタMRT南北線の運営維持管理支援として実施される「インドネシア ジャカルタMRT南北線 運営維持管理コンサルティングサービス 2nd Stage」に協力会社として参画しています。
(新規事業の創出・推進)
個室型ワークスペース「CocoDesk」については、設置拠点を拡大し、渋谷駅等24駅に43台を設置しています。
<東京の魅力・活力の共創>地域や外部との積極的な連携を通じて、東京2020大会の成功につなげるとともに、その先の東京の発展も見据え、都市としての魅力・活力の創出と東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献するため、各種取組を実施しました。
(沿線地域と連携したにぎわいの創出)
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、例年開催していた車両基地イベントを中止し、「おうちで車両基地見学 in AYASE」を2020年12月からホームページ上で公開しています。
(まちづくりとの連携)
駅周辺開発を計画・検討する都市開発事業者等と連携した「えき・まち連携プロジェクト」として、2021年3月に日比谷線東銀座駅等5駅について新たに公募を行っています。
(オープンイノベーションの推進)
新規事業の創出、鉄道事業の進化等を目的に、「Tokyo Metro ACCELERATOR 2020」の実施を通じて、外部連携により新たな知見や技術を導入する取組を進めています。また、視覚障がいのあるお客様に駅を安心してご利用いただくことを目的としたナビゲーションシステム「shikAI」の提供を2021年1月から開始し、3月までに副都心線西早稲田駅等9駅に拡大しました。
(新たなモビリティサービスの実現に向けた取組)
鉄道、シェアサイクル、タクシー、コミュニティバス等の多様なモビリティやサービスと連携し、東京における大都市型MaaSとして「my! 東京MaaS」を開始しました。
2020年8月に「my! 東京MaaS」の取組の一環として、MaaS機能を搭載した新アプリ「東京メトロmy!アプリ」を公開しました。また、2021年3月に東京都交通局と連携し、東京都心部における大都市型MaaSの実現を目指して、駅構内ナビゲーション機能を共同で提供しました。
<経営基盤の強化>ESGの視点も踏まえ、中期経営計画に掲げる3つの柱の実現を確かなものとするため、経営基盤の強化を図っていきます。また、事業を通じて社会的課題の解決に取り組み、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献していきます。
SDGsを踏まえた取組としては、環境問題・社会課題双方の解決に資する施策に充当する資金の調達手段として、当社初となる「サステナビリティボンド」を2020年6月に発行したほか、事業を通じて社会課題の解決を図るべく「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」を特定し、2020年9月に公表しました。さらに、地方と東京の交流人口増加による双方の持続的な発展に貢献するため、銀座駅にて地方自治体が開催する観光PR・物産展等を支援する取組を行ったほか、社会課題解決の意義等について社員の理解を深めるため、SDGsに関する社内研修を継続的に行っています。
環境保全活動への取組としては、本年度までの長期環境戦略「みんなでECO.」に基づき、長期的かつ戦略的に環境負荷の低減につながる様々な施策に取り組んでいます。その一環として、新型車両(環境配慮型車両)の導入や車内及び駅構内照明のLED化を実施したほか、丸ノ内線四ツ谷駅に太陽光パネルを設置しました。
社会貢献活動への取組としては、東京メトロ女子駅伝部「東京メトロ マーキュリー」の活動を通じてスポーツ選手が活躍できる環境づくりや社会・地域の活性化に貢献していきます。
このほか、東京2020大会への取組として、東京2020大会のオフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)である当社は、車両内のビジョン等で各競技の見どころ・観戦ポイントを紹介するプロジェクト「TOKYO SPORTS STATION」を東日本旅客鉄道株式会社と共同で公開しています。
運輸業の当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、輸送人員の減により旅客運輸収入が減少し、営業収益が2,557億8千4百万円(前期比33.4%減)、営業損失が507億9千1百万円(前期は営業利益709億9千9百万円)となりました。
(運輸成績表)
(注)1 記載数値は、千キロ未満、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。
2 乗車効率の算出方法:人キロ÷(客車走行キロ×客車平均定員)×100
[不動産事業]
不動産事業においては、鉄道事業とのシナジー効果を発揮しつつ、収益力向上を図るべく、各種開発を推進しました。
駅直結のエレベーター・エスカレーターと一体となった建物の整備を推進しており、2020年5月に日比谷線六本木駅において、「メトロシティ六本木」を開業しました。
不動産事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が134億7千4百万円(前期比3.2%減)、営業利益が44億9千9百万円(前期比3.6%減)となりました。
[流通・広告事業]
流通・広告事業においては、収益確保を図るとともに、駅をご利用されるお客様の利便性を高めるため、グループ各社等との連携を図りながら各種施策を推進しました。
流通事業については、2020年7月に「有楽町メトロピア」を新規開業したほか、銀座駅改装工事に伴い閉店していた「Echika fit銀座」の営業を再開しました。また、「Esola池袋」や「Echika fit東京」等において店舗の入替を実施し、収益性の向上を図りました。
広告事業については、車内デジタル広告「Tokyo Metro Vision」を合計295編成で販売し、駅コンコースデジタル広告「Metro Concourse Vision」等と合わせて、収益確保に努めました。
情報通信事業については、車両内Wi-Fiサービスを全路線へ拡大しました。
流通・広告事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が310億8千6百万円(前期比25.5%減)、営業利益が53億4千4百万円(前期比35.8%減)となりました。
当社グループの財政状態については、当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ276億7千3百万円増の1兆7,624億6千1百万円、負債合計は933億6千7百万円増の1兆1,180億4千9百万円、純資産合計は656億9千3百万円減の6,444億1千2百万円となりました。
資産の部の増加については、主に設備投資に伴う固定資産の増加等によるものです。
負債の部の増加については、社債の発行及び長期借入れ等によるものです。
純資産の部の減少については、主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上によるものです。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、36.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ52億7千7百万円増加し、当連結会計年度末には708億2千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、116億2千2百万円(前期比1,250億3百万円収入減)となりました。これは、非資金科目である減価償却費867億7千5百万円を計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,378億3千1百万円(前期比279億9千1百万円支出減)となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が1,398億5千8百万円あったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、1,314億8千6百万円(前期比1,061億6千万円収入増)となりました。これは、長期借入金の返済による支出が271億7千8百万円、社債の償還による支出が250億円あった一方で、社債の発行による収入が1,092億2千万円、長期借入れによる収入が900億円あったこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績を記載することとしています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。
当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
(単位:百万円)
[営業収益及び営業損失]
当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ1,374億1千7百万円減の2,957億2千9百万円となりました。
これは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、輸送人員の減による旅客運輸収入等の減少及び流通事業の売上が減少したことによるものです。
営業費は、前連結会計年度に比べ131億9千9百万円減の3,360億2千9百万円となりました。これは、コスト削減の取組み及び流通事業の売上の減に伴う売上原価の減少等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業損失は、前連結会計年度に比べ1,242億1千7百万円減の402億9千9百万円となりました。なお、各セグメントの営業損失の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[営業外損益及び経常損失]
当連結会計年度の営業外収益は、受取受託工事事務費等の計上により、前連結会計年度に比べ16億5千5百万円増の37億8千9百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ3千6百万円増の111億7千9百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常損失は、前連結会計年度に比べ1,225億9千9百万円減の476億8千9百万円となりました。
[特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損失]
当連結会計年度の特別利益は、鉄道施設受贈財産評価額等の計上により、前連結会計年度に比べ72億8千7百万円増の278億8千1百万円となりました。
特別損失は、固定資産圧縮損及び減損損失等の計上により、前連結会計年度に比べ91億4千9百万円増の295億8千7百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は493億9千5百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純損失は前連結会計年度に比べ1,043億1千8百万円減の529億2千7百万円となりました。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、厳しい経営状況にある中で、設備投資・経費・人件費の削減を継続的に進めることにより経営の効率性を高め、業績の回復に努めました。今後は、ポストコロナも見据え「選ばれる鉄道会社」を目指すべく新たに設定した3つのキーワードを念頭に、中期経営計画「東京メトロプラン2021」に基づく各種施策を進めることで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。
なお、詳細につきましては、「(2)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動により得られた資金並びに社債及び借入金を設備投資などに充当しています。
当社グループの主な資金需要は、営業活動に係る資金支出では、鉄道事業に係る修繕費や管理委託費等の経費、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金支出では、車両更新やホームドア整備などの安全対策、バリアフリー設備の整備などの旅客サービス等の運輸業への投資のほか、持続的な成長を実現する不動産事業及び流通・広告事業への投資等があります。
資金調達の方法は、償却前営業利益を基本に、不足する資金を金融市場動向等に鑑み、社債の募集及び金融機関からの借入により長期資金を調達しています。なお、社債の募集にあたっては、株式会社格付投資情報センターよりAA、株式会社日本格付研究所よりAAAの信用格付を取得しています。また、運転資金として短期的に資金を必要とする場合は、国内金融機関との当座貸越契約により短期資金を調達することで、緊急時の流動性を確保しています。これらにより、当社グループの事業運営に必要な運転資金、設備投資資金の調達は問題なく対応可能と認識しています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「重要な会計上の見積り」に記載しています。
ⅰ有価証券の評価
当社グループが保有する有価証券のうち、市場価額のある有価証券は時価の著しい下落が生じた場合に、市場価額のない有価証券は、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく下落した場合等に、損失の計上が必要となる場合があります。
ⅱ固定資産の減損
当社グループは多くの固定資産を保有しており、回収可能価額を将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しています。そのため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、又は算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。
ⅲ繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
ⅳ退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等の前提条件に基づいて算出しています。
実際の結果が、前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により個人消費が弱含んでいるなど、厳しい状況が続いています。
このような状況下で、当社グループは、中期経営計画「東京メトロプラン2021」に基づき、「安心の提供」、「持続的な成長の実現」、「東京の魅力・活力の共創」の全てに対し「挑戦」とそれを支える「志」を持って、各種施策を積極的に推進しました。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、経営は厳しい状況が続いており、今後の経営の見通しが不透明である中で、当社は、社長をトップとした経営改革会議を立ち上げ、設備投資・経費の削減をはじめとした抜本的な経営改善に向け、「選ばれる鉄道会社」を目指すべく新たに設定した3つのキーワードに基づき、各種施策に取り組みました。
新型コロナウイルス感染症への取組については、緊急事態宣言を受けた終電時刻の繰上げや、窓開けによる車内換気、駅設備の消毒及び駅構内への消毒液設置、車両内及び駅構内の抗ウイルス・抗菌処置等を実施しました。一部駅のインフォメーションカウンターにおいては、飛沫感染防止用ビニールシートを設置しました。また、「東京メトロmy!アプリ」を公開し、改札口及び列車内の混雑状況の見える化に資する情報を提供しました。さらに、一部商業施設等については、緊急事態宣言を踏まえ、休業及び営業時間の短縮を実施しました。今後も、より一層お客様に安心してご利用いただけるよう努めていきます。
当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、輸送人員の減による旅客運輸収入等の減少及び流通事業の売上の減少等により、営業収益が2,957億2千9百万円(前期比31.7%減)となり、営業損失が402億9千9百万円(前期は営業利益839億1千7百万円)、経常損失が476億8千9百万円(前期は経常利益749億1千万円)、親会社株主に帰属する当期純損失が529億2千7百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益513億9千1百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
[運輸業]
<安心の提供>「安心=安全+サービス」の考えのもと、優れた技術力と創造力により、安全で快適な世界トップレベルの輸送サービスを提供するため、各種取組を実施しました。
(自然災害対策の推進)
震災対策として、震災時の早期運行再開を目的にトンネル中柱等の耐震補強工事を進めています。また、2020年12月に高架橋柱の耐震補強工事が完了しました。
大規模浸水対策として、駅出入口において想定浸水の高さに応じた改良や防水扉・止水板等の設置を進めるとともに、トンネル坑口への防水ゲートの設置を進めています。2020年度は、日比谷線三ノ輪駅等5駅8箇所に防水扉を、丸ノ内線銀座駅等4駅5箇所に止水板等を設置しました。
(駅ホームの安全性向上)
ホームドアの整備として、2025年度までの全路線全駅への設置完了を目指しており、現在3路線において設置工事を進めています。2020年度に設置が完了した駅は以下のとおりです。
| 設置時期 | 設置駅 |
| 2020年4月~12月 | 銀座線渋谷駅、日比谷線虎ノ門ヒルズ駅、日比谷線秋葉原駅、日比谷線中目黒駅、東西線大手町駅、半蔵門線三越前駅、半蔵門線錦糸町駅 |
| 2021年1月 | 東西線東陽町駅 |
| 2021年2月 | 日比谷線上野駅 |
| 2021年3月 | 日比谷線北千住駅、半蔵門線神保町駅 |
※銀座線、丸ノ内線、千代田線、有楽町線、南北線、副都心線は設置完了
また、2020年11月に東西線東陽町駅で発生した白杖をご利用のお客様の転落事故を踏まえ、ホームドア稼働前の安全性向上のため、警備員の増配置や音声案内装置の設置等により「見守る目」の強化に取り組みました。さらに、当初の予定よりも工事期間を短縮し、当該駅においては2021年1月にホームドアの設置が完了しました。
(新型車両の導入)
安全性及び車内での快適性を向上させ、環境にも配慮した新型車両の導入を進めており、有楽町線・副都心線に導入した17000系車両については、2020年度グッドデザイン賞を受賞しました。なお、2020年度に導入した車両は以下のとおりです。
| 路線名 | 車両名 | 今期導入数 | 導入数合計 |
| 有楽町線・副都心線 | 17000系車両 | 40両(4編成) | 40両(4編成) |
| 丸ノ内線 | 2000系車両 | 78両(13編成) | 192両(32編成) |
| 日比谷線 | 13000系車両 | 14両(2編成) | 308両(44編成) |
※日比谷線13000系車両は導入完了
(セキュリティの強化)
駅構内・車内でのテロ行為や犯罪に備え、駅構内のセキュリティカメラの更新及び増設を実施しました。また、車内セキュリティカメラの導入を進めています。
(輸送サービスの改善)
東西線における遅延・混雑対策として、南砂町駅における線路・ホーム増設等の各種工事を進めています。また、日比谷線においては、2020年6月に東武鉄道70090型車両を使用した座席指定制直通列車「THライナー」の運行開始及び利便性向上を目的としたダイヤ改正を実施しました。さらに、2021年3月に全路線でダイヤ改正を行い、夜間保守・作業時間の確保を目的に終電時刻を繰り上げるとともに、お客様のご利用状況に合わせ、運転本数の見直しを実施しました。
オフピーク通勤・通学に向けた取組として、「メトロポイントクラブ(愛称:メトポ)」を活用した「東西線オフピークプロジェクト」及び「豊洲オフピークプロジェクト」を通年で実施しました。
(バリアフリー設備の整備)
お身体の不自由なお客様をはじめとした全てのお客様に安心してご利用いただけるよう、エレベーター及びエスカレーターの整備を進めており、エレベーターを日比谷線仲御徒町駅等14駅に22基、エスカレーターを銀座線外苑前駅等7駅に14基設置しました。
(利便性・快適性の向上)
2020年6月に日比谷線虎ノ門ヒルズ駅を開業しました。また、同駅と銀座線虎ノ門駅、銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅と有楽町線銀座一丁目駅を新たな乗換駅として設定するとともに、一度改札を出場する場合の乗換時間を30分から60分へ拡大しました。また、駅構内のバリアフリー移動経路やホームと車両床面の段差・隙間等に関する情報を分かりやすくお届けするWebサービス「スムーズメトロ」の提供を2020年7月に開始しました。さらに、2020年10月に旅行者や地下鉄に不慣れなお客様へのご案内のため、有楽町線池袋駅に旅客案内所を新設したほか、銀座線リニューアルとして日本橋駅等5駅の改装工事が完了しました。
東京の地下鉄のサービス一体化として、九段下駅等3駅で乗換エレベーターを整備しました。また、大手町駅においても乗換エレベーター設置工事を進めています。
<持続的な成長の実現>積極的な事業展開や新技術の開発・導入によって収益基盤を強化し、将来にわたる持続的な成長を実現するため、各種取組を実施しました。
(お客様ニーズをとらえた取組)
「東京メトロ24時間券」等の企画乗車券について、2020年6月からクレジットカードでのキャッシュレス購入が可能となりました。また、2020年10月からApple PayTMのPASMOがご利用できるようになりました。
(海外での事業展開)
ベトナム及びフィリピンにおいて、独立行政法人国際協力機構から受注したプロジェクトを推進しています。また、インドネシアにおいて、ジャカルタMRT南北線の運営維持管理支援として実施される「インドネシア ジャカルタMRT南北線 運営維持管理コンサルティングサービス 2nd Stage」に協力会社として参画しています。
(新規事業の創出・推進)
個室型ワークスペース「CocoDesk」については、設置拠点を拡大し、渋谷駅等24駅に43台を設置しています。
<東京の魅力・活力の共創>地域や外部との積極的な連携を通じて、東京2020大会の成功につなげるとともに、その先の東京の発展も見据え、都市としての魅力・活力の創出と東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献するため、各種取組を実施しました。
(沿線地域と連携したにぎわいの創出)
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、例年開催していた車両基地イベントを中止し、「おうちで車両基地見学 in AYASE」を2020年12月からホームページ上で公開しています。
(まちづくりとの連携)
駅周辺開発を計画・検討する都市開発事業者等と連携した「えき・まち連携プロジェクト」として、2021年3月に日比谷線東銀座駅等5駅について新たに公募を行っています。
(オープンイノベーションの推進)
新規事業の創出、鉄道事業の進化等を目的に、「Tokyo Metro ACCELERATOR 2020」の実施を通じて、外部連携により新たな知見や技術を導入する取組を進めています。また、視覚障がいのあるお客様に駅を安心してご利用いただくことを目的としたナビゲーションシステム「shikAI」の提供を2021年1月から開始し、3月までに副都心線西早稲田駅等9駅に拡大しました。
(新たなモビリティサービスの実現に向けた取組)
鉄道、シェアサイクル、タクシー、コミュニティバス等の多様なモビリティやサービスと連携し、東京における大都市型MaaSとして「my! 東京MaaS」を開始しました。
2020年8月に「my! 東京MaaS」の取組の一環として、MaaS機能を搭載した新アプリ「東京メトロmy!アプリ」を公開しました。また、2021年3月に東京都交通局と連携し、東京都心部における大都市型MaaSの実現を目指して、駅構内ナビゲーション機能を共同で提供しました。
<経営基盤の強化>ESGの視点も踏まえ、中期経営計画に掲げる3つの柱の実現を確かなものとするため、経営基盤の強化を図っていきます。また、事業を通じて社会的課題の解決に取り組み、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献していきます。
SDGsを踏まえた取組としては、環境問題・社会課題双方の解決に資する施策に充当する資金の調達手段として、当社初となる「サステナビリティボンド」を2020年6月に発行したほか、事業を通じて社会課題の解決を図るべく「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」を特定し、2020年9月に公表しました。さらに、地方と東京の交流人口増加による双方の持続的な発展に貢献するため、銀座駅にて地方自治体が開催する観光PR・物産展等を支援する取組を行ったほか、社会課題解決の意義等について社員の理解を深めるため、SDGsに関する社内研修を継続的に行っています。
環境保全活動への取組としては、本年度までの長期環境戦略「みんなでECO.」に基づき、長期的かつ戦略的に環境負荷の低減につながる様々な施策に取り組んでいます。その一環として、新型車両(環境配慮型車両)の導入や車内及び駅構内照明のLED化を実施したほか、丸ノ内線四ツ谷駅に太陽光パネルを設置しました。
社会貢献活動への取組としては、東京メトロ女子駅伝部「東京メトロ マーキュリー」の活動を通じてスポーツ選手が活躍できる環境づくりや社会・地域の活性化に貢献していきます。
このほか、東京2020大会への取組として、東京2020大会のオフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)である当社は、車両内のビジョン等で各競技の見どころ・観戦ポイントを紹介するプロジェクト「TOKYO SPORTS STATION」を東日本旅客鉄道株式会社と共同で公開しています。
運輸業の当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、輸送人員の減により旅客運輸収入が減少し、営業収益が2,557億8千4百万円(前期比33.4%減)、営業損失が507億9千1百万円(前期は営業利益709億9千9百万円)となりました。
(運輸成績表)
| 種別 | 単位 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 営業日数 | 日 | 366 | 365 | |
| 旅客営業キロ | キロ | 195.0 | 195.0 | |
| 客車走行キロ | 千キロ | 292,574 | 296,597 | |
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 1,608,003 | 1,129,132 |
| 定期外 | 〃 | 1,156,999 | 690,355 | |
| 計 | 〃 | 2,765,003 | 1,819,487 | |
| 旅客運輸収入 | 定期 | 百万円 | 155,188 | 107,587 |
| 定期外 | 〃 | 191,354 | 116,341 | |
| 計 | 〃 | 346,542 | 223,928 | |
| 乗車効率 | % | 53 | 35 | |
(注)1 記載数値は、千キロ未満、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。
2 乗車効率の算出方法:人キロ÷(客車走行キロ×客車平均定員)×100
[不動産事業]
不動産事業においては、鉄道事業とのシナジー効果を発揮しつつ、収益力向上を図るべく、各種開発を推進しました。
駅直結のエレベーター・エスカレーターと一体となった建物の整備を推進しており、2020年5月に日比谷線六本木駅において、「メトロシティ六本木」を開業しました。
不動産事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が134億7千4百万円(前期比3.2%減)、営業利益が44億9千9百万円(前期比3.6%減)となりました。
[流通・広告事業]
流通・広告事業においては、収益確保を図るとともに、駅をご利用されるお客様の利便性を高めるため、グループ各社等との連携を図りながら各種施策を推進しました。
流通事業については、2020年7月に「有楽町メトロピア」を新規開業したほか、銀座駅改装工事に伴い閉店していた「Echika fit銀座」の営業を再開しました。また、「Esola池袋」や「Echika fit東京」等において店舗の入替を実施し、収益性の向上を図りました。
広告事業については、車内デジタル広告「Tokyo Metro Vision」を合計295編成で販売し、駅コンコースデジタル広告「Metro Concourse Vision」等と合わせて、収益確保に努めました。
情報通信事業については、車両内Wi-Fiサービスを全路線へ拡大しました。
流通・広告事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が310億8千6百万円(前期比25.5%減)、営業利益が53億4千4百万円(前期比35.8%減)となりました。
当社グループの財政状態については、当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ276億7千3百万円増の1兆7,624億6千1百万円、負債合計は933億6千7百万円増の1兆1,180億4千9百万円、純資産合計は656億9千3百万円減の6,444億1千2百万円となりました。
資産の部の増加については、主に設備投資に伴う固定資産の増加等によるものです。
負債の部の増加については、社債の発行及び長期借入れ等によるものです。
純資産の部の減少については、主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上によるものです。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、36.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ52億7千7百万円増加し、当連結会計年度末には708億2千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、116億2千2百万円(前期比1,250億3百万円収入減)となりました。これは、非資金科目である減価償却費867億7千5百万円を計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,378億3千1百万円(前期比279億9千1百万円支出減)となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が1,398億5千8百万円あったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、1,314億8千6百万円(前期比1,061億6千万円収入増)となりました。これは、長期借入金の返済による支出が271億7千8百万円、社債の償還による支出が250億円あった一方で、社債の発行による収入が1,092億2千万円、長期借入れによる収入が900億円あったこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績を記載することとしています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。
当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減額 | 増減率 | |
| % | ||||
| 営業収益 | 433,147 | 295,729 | △137,417 | △31.7 |
| 営業費 | 349,229 | 336,029 | △13,199 | △3.8 |
| 営業利益又は営業損失(△) | 83,917 | △40,299 | △124,217 | - |
| 営業外収益 | 2,134 | 3,789 | 1,655 | 77.5 |
| 営業外費用 | 11,142 | 11,179 | 36 | 0.3 |
| 経常利益又は経常損失(△) | 74,910 | △47,689 | △122,599 | - |
| 特別利益 | 20,594 | 27,881 | 7,287 | 35.4 |
| 特別損失 | 20,438 | 29,587 | 9,149 | 44.8 |
| 税金等調整前当期純利益又は 税金等調整前当期純損失(△) | 75,066 | △49,395 | △124,461 | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 又は親会社株主に帰属する当期 純損失(△) | 51,391 | △52,927 | △104,318 | - |
[営業収益及び営業損失]
当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ1,374億1千7百万円減の2,957億2千9百万円となりました。
これは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、輸送人員の減による旅客運輸収入等の減少及び流通事業の売上が減少したことによるものです。
営業費は、前連結会計年度に比べ131億9千9百万円減の3,360億2千9百万円となりました。これは、コスト削減の取組み及び流通事業の売上の減に伴う売上原価の減少等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業損失は、前連結会計年度に比べ1,242億1千7百万円減の402億9千9百万円となりました。なお、各セグメントの営業損失の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[営業外損益及び経常損失]
当連結会計年度の営業外収益は、受取受託工事事務費等の計上により、前連結会計年度に比べ16億5千5百万円増の37億8千9百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ3千6百万円増の111億7千9百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常損失は、前連結会計年度に比べ1,225億9千9百万円減の476億8千9百万円となりました。
[特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損失]
当連結会計年度の特別利益は、鉄道施設受贈財産評価額等の計上により、前連結会計年度に比べ72億8千7百万円増の278億8千1百万円となりました。
特別損失は、固定資産圧縮損及び減損損失等の計上により、前連結会計年度に比べ91億4千9百万円増の295億8千7百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は493億9千5百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純損失は前連結会計年度に比べ1,043億1千8百万円減の529億2千7百万円となりました。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、厳しい経営状況にある中で、設備投資・経費・人件費の削減を継続的に進めることにより経営の効率性を高め、業績の回復に努めました。今後は、ポストコロナも見据え「選ばれる鉄道会社」を目指すべく新たに設定した3つのキーワードを念頭に、中期経営計画「東京メトロプラン2021」に基づく各種施策を進めることで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。
なお、詳細につきましては、「(2)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動により得られた資金並びに社債及び借入金を設備投資などに充当しています。
当社グループの主な資金需要は、営業活動に係る資金支出では、鉄道事業に係る修繕費や管理委託費等の経費、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金支出では、車両更新やホームドア整備などの安全対策、バリアフリー設備の整備などの旅客サービス等の運輸業への投資のほか、持続的な成長を実現する不動産事業及び流通・広告事業への投資等があります。
資金調達の方法は、償却前営業利益を基本に、不足する資金を金融市場動向等に鑑み、社債の募集及び金融機関からの借入により長期資金を調達しています。なお、社債の募集にあたっては、株式会社格付投資情報センターよりAA、株式会社日本格付研究所よりAAAの信用格付を取得しています。また、運転資金として短期的に資金を必要とする場合は、国内金融機関との当座貸越契約により短期資金を調達することで、緊急時の流動性を確保しています。これらにより、当社グループの事業運営に必要な運転資金、設備投資資金の調達は問題なく対応可能と認識しています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「重要な会計上の見積り」に記載しています。
ⅰ有価証券の評価
当社グループが保有する有価証券のうち、市場価額のある有価証券は時価の著しい下落が生じた場合に、市場価額のない有価証券は、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく下落した場合等に、損失の計上が必要となる場合があります。
ⅱ固定資産の減損
当社グループは多くの固定資産を保有しており、回収可能価額を将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しています。そのため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、又は算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。
ⅲ繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
ⅳ退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等の前提条件に基づいて算出しています。
実際の結果が、前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。