有価証券報告書-第60期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中で緩やかに回復し、企業の設備投資においても持ち直しの動きがみられました。しかしながら、中東情勢が資源価格等に与える影響や金融資本市場の変動など、景気の下振れリスクには注意が必要であり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの事業領域である情報サービス産業におきましては、経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」を背景に、古い基幹業務システムを刷新する動きが本格化しております。加えて、企業におけるデジタル化やIT活用の拡大を背景に、生産性向上や新たなビジネスモデル構築を目的としたデジタル投資が拡大しております。特にクラウドサービスや生成AIの活用が進んでおり、IT投資は引き続き堅調に推移するものと考えられます。
このような環境のもと、当社グループは「真に世の中から必要とされる会社」を目指して、成長に向けた積極的な投資として主力ソリューションの強化と「社内スタートアップ制度」(研究開発を通して新しい事業の芽を創出する活動)による事業創出活動を積極的に推進しております。
企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に寄与するために、マイグレーションサービスにおいて共通するタスクの集約化を行う「マイグレーションセンター」化を進めております。この取り組みにより、同時並行するプロジェクト数が順調に増加いたしました。また、新しい技術への挑戦として「社内スタートアップ制度」にて生成AIについての研究を行い、この研究の一環として、2025年4月にシステム可視化ソリューション「ReverseNeo(リバースネオ)」の新バージョンをリリースいたしました。本バージョンでは、生成AI技術との融合により、処理フローや処理概要の自動生成機能を新たに搭載しております。2026年2月には、プログラムコードから技術ドキュメントの自動生成を実現する「DocHelper(ドックヘルパー)」をリリースいたしました。さらに、当社グループは継続してお客様からのニーズを自社のソリューションに反映するよう取り組んでおります。ホテル・レストラン向けオーダーエントリーシステム「E.M.O(エモ)」はルームサービスやテナント店舗に関する機能強化を行い、導入件数を堅調に増やしました。また、自治体向け給付金システム「The給付」は、2026年1月より株式会社セブン・ペイメントサービス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柏熊 俊克)が提供する口座不要のBtoC送金サービス「ATM受取」との機能連携を開始いたしました。
従業員に対しては、「生き生きと活躍できる環境の構築」を継続して進めており、その一環として育児・介護休職取得者のサポートを行った組織や社会貢献活動を行った従業員に対して表彰を行う制度を新たに設けました。また、前年度に引き続き2025年6月より平均5%の給与水準の引き上げを実施し、加えて、2025年10月に「物価高対策特別手当」を全従業員に支給いたしました。女性特有の健康課題の軽減を支援するフェムテックサービスの利用、介護と仕事の両立を支援する介護相談窓口の設置や説明会の開催など、多様な人材活躍に向けた取り組みも継続しております。
当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は前期に比べ19億92百万円増収の224億85百万円となりました。利益面につきましては、利益率の高い自社製品によるソリューションおよび高収益案件への注力を続けることにより営業利益は前期に比べ7億20百万円増加の27億14百万円、経常利益は前期に比べ7億61百万円増加の28億70百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期において繰延税金資産を計上したことによる法人税等調整額(益)の計上の反動もあり、前期に比べ41百万円減少の20億67百万円となりました。
当社グループは、ITサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの経営成績の記載を省略しております。なお、売上分類別の概況は次のとおりです。
<自社製品によるソリューション>マイグレーションサービスの保険会社向け大型案件が順調に推移いたしました。また、自治体向け給付金システム「The給付」においては、アライアンス先との協業が拡大したことにより導入自治体数が伸長いたしました。その結果、自社製品によるソリューションの売上高は前期に比べ14億28百万円増収の68億35百万円となりました。
<システムインテグレーション>生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場」の導入・カスタマイズ案件や、ホテル業向けシステム開発などの売上が堅調に推移いたしました。しかしながら、開発から保守フェーズへ移行する案件が重なったことにより、システムインテグレーションの売上高は前期に比べ4億42百万円減収の79億96百万円となりました。
<機器・パッケージ>コンピュータ機器および周辺機器、パッケージソフトウエア等の売上のうち、他の開発・サービスを伴わない機器・パッケージ単体の販売による売上高は前期に比べ3億12百万円増収の24億39百万円となりました。
<受託開発>大手SIerからの受託開発につきましては、当社の得意分野にリソースを集中させることにより収益性の向上に取り組んでおります。その結果、受託開発の売上高は前期に比べ6億95百万円増収の52億14百万円となりました。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は213億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ70百万円増加いたしました。流動資産は167億53百万円となり、4億96百万円減少いたしました。主な要因は、契約資産の減少(2億69百万円)、商品の減少(1億42百万円)、現金及び預金の減少(1億39百万円)であります。固定資産は46億37百万円となり、5億67百万円増加いたしました。主な要因は、無形固定資産の増加(1億76百万円)、繰延税金資産の増加(1億60百万円)、その他に含まれる長期前払費用の増加(1億6百万円)、投資有価証券の増加(96百万円)であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は75億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億31百万円増加いたしました。流動負債は53億73百万円となり、5億27百万円増加いたしました。主な要因は、賞与引当金の増加(3億94百万円)、契約負債の増加(2億49百万円)、未払金の増加(1億51百万円)、未払法人税等の増加(69百万円)、支払手形及び買掛金の減少(3億96百万円)であります。固定負債は21億51百万円となり、96百万円減少いたしました。主な要因は、退職給付に係る負債の減少(87百万円)、リース債務の減少(8百万円)であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は138億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億60百万円減少いたしました。主な要因は、利益剰余金の増加(10億33百万円)、その他有価証券評価差額金の増加(68百万円)、自己株式の増加(14億88百万円)であります。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末の66.7%から64.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億39百万円減少し、109億99百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は29億76百万円(前連結会計年度は22億13百万円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上(28億70百万円)、減価償却費の計上(3億48百万円)、賞与引当金の増加(3億94百万円)、売上債権の減少(3億71百万円)による収入に対して、法人税等の支払(9億27百万円)、仕入債務の減少(4億48百万円)の支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6億14百万円(前連結会計年度は4億15百万円の支出)となりました。主な要因は、無形固定資産の取得(4億91百万円)、有形固定資産の取得(1億25百万円)の支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は25億6百万円(前連結会計年度は5億7百万円の支出)となりました。主な要因は、自己株式の取得(14億99百万円)、配当金の支払(9億86百万円)の支出によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績を品分類別に示すと、次のとおりであります。
| 品分類 | 生産高(千円) | 前期比(%) | |
| システム開発 | 9,170,641 | 0.5 | |
| サービス | サービス | 8,656,930 | 16.7 |
| ハード保守 | 736,718 | 4.9 | |
| 小計 | 9,393,648 | 15.7 | |
| 合計 | 18,564,290 | 7.7 | |
(注) 金額は、販売価格によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績を品分類別に示すと、次のとおりであります。
| 品分類 | 受注高 (千円) | 前期比 (%) | 受注残高 (千円) | 前期比 (%) | |
| システム開発 | 8,354,740 | △8.9 | 1,506,569 | △33.9 | |
| サービス | サービス | 9,079,821 | 21.3 | 1,970,961 | 28.9 |
| ハード保守 | 741,993 | 6.4 | 7,141 | 282.5 | |
| 小計 | 9,821,814 | 20.1 | 1,978,102 | 29.2 | |
| システム機器等販売 | 3,730,907 | 3.6 | 1,301,733 | △16.2 | |
| 合計 | 21,907,462 | 4.5 | 4,786,405 | △10.8 | |
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績を品分類別に示すと、次のとおりであります。
| 品分類 | 販売高(千円) | 前期比(%) | |
| システム開発 | 9,128,593 | 0.0 | |
| サービス | サービス | 8,637,956 | 16.5 |
| ハード保守 | 736,718 | 4.9 | |
| 小計 | 9,374,675 | 15.5 | |
| システム機器等販売 | 3,982,722 | 22.5 | |
| 合計 | 22,485,991 | 9.7 | |
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| 日本電気株式会社 | 2,916,185 | 14.2 | 3,738,619 | 16.6 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度における当社グループの売上高は、前期比19億92百万円増収の224億85百万円、営業利益は前期比7億20百万円増益の27億14百万円となり、「増収増益」となりました。
この営業利益につきまして前期からの変動要因を分析しますと、売上高増加に伴う利益増が6億7百万円、売上総利益改善に伴う利益増が3億16百万円、販売費及び一般管理費の増加による利益減が2億3百万円であります。
売上高につきましては、自社製品によるソリューションにおいてマイグレーションサービスの保険会社向け大型案件の影響や、自治体向け給付金システム「The給付」におけるアライアンス先との協業が拡大し導入自治体数が伸長したことなどにより、前期に比べ増収となりました。
売上総利益率につきましては、自主ビジネスへのシフトが順調に進んでいることに加え、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)によるプロジェクト損失を最小限に抑えるための様々な活動が効果を発揮したことにより、前期に比べ1.4ポイント改善の31.9%となりました。
また、販管費率は前期に比べ0.9ポイント減少の19.8%となりました。
上記の結果、売上高営業利益率は前期に比べ2.3ポイント改善の12.1%となりました。今後も、持続的な成長を実現するため、自社ビジネスの強化と主力ソリューションへの投資拡大に注力してまいります。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益につきましては、前期比40百万円増加の1億62百万円となりました。また、営業外費用につきましては、前期比0百万円増加の6百万円となりました。
その結果、経常利益は前期比7億61百万円増加の28億70百万円となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益につきましては、前期はゴルフ会員権売却益0百万円が発生いたしましたが、当連結会計年度の発生はありませんでした。また、特別損失につきましては、前期に引き続き、当連結会計年度の発生はありませんでした。
法人税等合計は、前期比8億1百万円増加の8億2百万円となりました。
これは、法人税、住民税及び事業税が増益に伴い前期比1億83百万円増加した一方、前期において繰延税金資産の計上に伴い法人税等調整額(益)を計上したことによる反動もあり、法人税等調整額において前期比6億18百万円増加の△1億94百万円(△は益)を計上したことによるものであります。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比41百万円減少の20億67百万円となりました。
ROE(自己資本利益率)は前期に比べ1.2ポイント減少の14.7%となりました。
(財政状態)
当連結会計年度末における当社グループの財政状態の分析につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主要な資金需要は、ソフトウエア開発及びサービス提供のための労務費、外注費、経費、販売用ハードウエア等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用、並びに市場販売目的ソフトウエアの改良・強化にかかる投資であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金で賄うことを基本方針としております。今後も棚卸資産の削減、受注の増大及び売掛金の早期回収等により営業活動によるキャッシュ・フローの拡大を図ってまいります。
当連結会計年度におきましては、堅調な業績により営業活動によるキャッシュ・フローがプラスとなった一方、無形固定資産及び有形固定資産の取得による支出により投資活動によるキャッシュ・フローはマイナスが増加、さらに、自己株式の取得による支出により財務活動によるキャッシュ・フローもマイナスが増加し、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は前期末比1億39百万円減少の109億99百万円となりました。
資金の流動性につきましては、海外景気の下振れリスクや物価動向に関する不確実性により引き続き不透明な状況が続いているものの、この十分な現金及び現金同等物により、事業環境リスク等を考慮した上で、通年にわたり流動性を確保しているものと認識しております。
なお、キャッシュ・フローの状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
キャッシュ・フロー指標のトレンドは次のとおりであります。
| 第56期2022年3月期 | 第57期2023年3月期 | 第58期2024年3月期 | 第59期2025年3月期 | 第60期2026年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 57.2 | 57.2 | 63.8 | 66.7 | 64.8 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 45.7 | 56.5 | 65.5 | 70.1 | 107.2 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍) | 0.1 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 1,613.6 | 1,211.7 | 2,136.4 | 4,964.1 | 14,077.9 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に影響を与える見積りが必要となります。これらの見積り及び判断につきましては、過去の実績及び状況等から合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。