四半期報告書-第25期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

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2019/08/13 15:36
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19項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
当社を取り巻く経営環境は、電子決済市場において、消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模が前年比9.0%増の17兆9,845億円と拡大を続けているほか(注1)、内閣府主導の下、国内のキャッシュレス決済比率を現状の21.3%(注2)から2025年に40%を目指すことが打ち出されており(注3)、キャッシュレス社会の進展による市場の拡大が期待されます。また、インターネット広告市場においては、広告費の約7割を占める運用型広告が引き続き市場の伸びを牽引し、前年比16.5%増となる1兆7,589億円と高い成長を継続するなど(注4)、当社が展開する電子決済市場、インターネット広告市場ともに今後も持続的な拡大が見込まれております。
出所 (注1)経済産業省「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」
(注2)一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2019」
(注3)経済産業省「キャッシュレス・ビジョン(2018年4月)」
(注4)株式会社電通「2018年日本の広告費」
このような事業環境の下、当社は2018年3月期より「Open Incubation toward 2020」をスローガンに掲げた中期経営計画をスタート致しました。「IT/MT/FT×Open Innovation」をスローガンとして掲げた前中期経営計画の基本方針は変えず、様々な企業と協力しながら技術革新を進める「Open Innovation」をさらに一歩進め、将来性のある事業の萌芽をグループ会社や他社との連携によるオープンなエコシステムのなかで育成するという意味を「Open Incubation」という言葉に込めております。スタートアップから大企業まで先進的取り組みを行う様々な企業と連携しながら、技術革新がもたらす新しいビジネスをコンテクストで結び、新しい日本をインキュベートしていきます。
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年6月30日)
当第1四半期
連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年6月30日)
前年同期比
増減額増減率
(%)
収益8,5488,217△331△3.9
税引前四半期利益3,3942,218△1,176△34.6
四半期利益3,1351,617△1,518△48.4
親会社の所有者に帰属する
四半期利益
3,1131,624△1,488△47.8
四半期包括利益3,6844,58990424.5

当第1四半期連結累計期間の収益は8,217百万円(前年同期比331百万円減、同3.9%減)、税引前四半期利益は2,218百万円(前年同期比1,176百万円減、同34.6%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,624百万円(前年同期比1,488百万円減、同47.8%減)、四半期包括利益は4,589百万円(前年同期比904百万円増、同24.5%増)となりました。当第1四半期連結累計期間は円高が進行したことにより、連結業績に与える為替変動の影響額が前年同期比で約12億円となったことが、減収減益の要因となりました。
一方で、リカーリング事業であるフィナンシャルテクノロジー事業及びマーケティングテクノロジー事業は、安定した増収に加え収益性が改善したことから、両事業ともに前年同期比20%を超える増益となりました。ロングタームインキュベーション事業においては、持分法適用会社である㈱カカクコムの業績が貢献し、持分法による投資利益863百万円(前年同期比20.1%増)を計上致しました。加えて、インキュベーションテクノロジー事業においては、営業投資有価証券の残高が堅調に増加し、前連結会計年度末と比べ1,117百万円増となる27,812百万円となりました。また、中長期的な企業価値向上を目的とした業務資本提携先である㈱Welbyが公開市場へ上場したことに伴い、四半期包括利益が大きく伸長致しました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年6月30日)
当第1四半期
連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年6月30日)
前年同期比
増減額増減率
(%)
フィナンシャル
テクノロジー事業
収益1,5771,88931219.8
税引前四半期利益8091,00319424.0
マーケティング
テクノロジー事業
収益3,2393,57033010.2
税引前四半期利益3073867925.8
インキュベーション
テクノロジー事業
収益1,898507△1,391△73.3
税引前四半期利益1,634146△1,487△91.0
ロングタームインキュベーション事業収益1,7402,23249228.3
税引前四半期利益1,0501,49344342.2
調整額収益9419△74△79.4
税引前四半期利益△405△810△406-
合計収益8,5488,217△331△3.9
税引前四半期利益3,3942,218△1,176△34.6

[フィナンシャルテクノロジー事業]
フィナンシャルテクノロジー事業では、Eコマース(EC)をはじめとするBtoCの商取引に必要不可欠なクレジットカード決済やコンビニ決済等の電子決済ソリューションの提供を行っております。
当第1四半期連結累計期間は、決済事業を展開するベリトランス㈱及び㈱イーコンテクストが、多様な決済ソリューションを提供しEC市場で高成長を遂げていることに加え、訪日外国人のインバウンド消費に対応した対面決済や公金領域等の決済が増加した結果、決済取扱高は前年同期比20%増の5,788億円、決済取扱件数は同17%増の1億件まで伸長致しました。
これらの結果、収益は1,889百万円(前年同期比312百万円増、同19.8%増)、税引前四半期利益は1,003百万円(前年同期比194百万円増、同24.0%増)となりました。
[マーケティングテクノロジー事業]
マーケティングテクノロジー事業では、ウェブとリアルを融合した総合プロモーション及びインターネット広告等のウェブマーケティングやビッグデータを活用したデータマネジメントビジネスを行っております。
当第1四半期連結累計期間は、インターネット広告を主に手掛ける当社マーケティングテクノロジーカンパニーが、前期からフィナンシャルテクノロジー事業と連動した決済アプリの開発等に先行投資しており、その結果としてアプリ開発事業・モール事業等が好調に推移致しました。
これらの結果、収益は3,570百万円(前年同期比330百万円増、同10.2%増)、税引前四半期利益は386百万円(前年同期比79百万円増、同25.8%増)となりました。
[インキュベーションテクノロジー事業]
インキュベーションテクノロジー事業では、国内外のスタートアップ企業等への投資及び当社グループ内の事業との連携による投資先の育成等を行っております。
当第1四半期連結累計期間は、為替相場において円高が進行したことから、為替変動が海外投資先の公正価値評価等に与える影響が、前年同期と比べ約11億円の減収要因となったほか、営業投資有価証券の売却に際して再評価される公正価値の評価差額が前年同期を下回り、減収減益となりました。一方で、投資資産価値を表す営業投資有価証券の残高は、国内外における新規投資が進んだほか、為替変動による影響を除いた公正価値評価額が堅調に増加したことから、前連結会計年度末と比べて1,117百万円増加の27,812百万円となりました。
これらの結果、収益は507百万円(前年同期比1,391百万円減、同73.3%減)、税引前四半期利益は146百万円(前年同期比1,487百万円減、同91.0%減)となりました。
[ロングタームインキュベーション事業]
ロングタームインキュベーション事業では、当社グループがこれまで培ってきた投資育成や事業開発のノウハウを活かし、中長期的かつ継続的な事業利益の創出に取り組んでおります。そのなかで、東京短資㈱との合弁会社である連結子会社㈱Crypto Garageを中心にブロックチェーン技術に関わるアプリケーション開発を推進しており、ブロックチェーン金融サービスの社会実装実現を目指しております。
当第1四半期連結累計期間は、持分法適用会社である㈱カカクコムの業績が順調であったこと等により、収益は2,232百万円(前年同期比492百万円増、同28.3%増)、税引前四半期利益は1,493百万円(前年同期比443百万円増、同42.2%増)となりました。
② 財政状態
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて363百万円増加し、147,253百万円となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が6,605百万円減少した一方、投資有価証券等のその他の金融資産(非流動資産)が5,222百万円、営業投資有価証券が1,117百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて2,968百万円減少し、96,576百万円となりました。この主な要因は、決済事業における短期の資金需要等により社債及び借入金が3,325百万円増加した一方、営業債務及びその他の債務が7,005百万円減少したことによるものであります。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて3,331百万円増加し、50,677百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が配当金により1,287百万円減少した一方、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上により1,624百万円増加したほか、その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動が3,082百万円増加したことによるものであります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて6,605百万円減少(前期比13.7%減)し、41,549百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における営業活動の結果、使用した資金は6,540百万円となりました。収入の主な内訳は、税引前四半期利益2,218百万円に加え、営業債権及びその他の債権の減少額865百万円であり、支出の主な内訳は、営業債務及びその他の債務の減少額7,083百万円、営業投資有価証券の増加額1,148百万円、法人所得税の支払額957百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における投資活動の結果、使用した資金は1,858百万円となりました。支出の主な内訳は、敷金及び保証金の差入による支出776百万円、持分法で会計処理されている投資の取得による支出500百万円、無形資産の取得による支出386百万円、子会社の取得による支出350百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における財務活動の結果、獲得した資金は1,858百万円となりました。収入の主な内訳は、短期借入金の純増額3,554百万円であり、支出の主な内訳は、配当金の支払額1,255百万円であります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は、次のとおりであります。
会社の支配に関する基本方針について
① 会社の支配に関する基本方針
当社は、上場会社として当社の株主は市場における自由な取引を通じて決定されるものと考えており、大量買付者により当社株式の大量買付行為が行われる場合であっても、これを受け入れて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する株主の皆様の判断によるものと考えております。また、大量買付者による経営への関与は、必ずしも企業価値を毀損するものではなく、それが当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上につながるものであれば、何ら否定するものではありません。しかしながら、対象会社との十分な協議や合意のプロセスを経ることなく、一方的に行われる大量買付行為の中には、株主の皆様に対してその目的や買収後の経営方針等についての十分な情報開示がなされていないもの、対象会社の取締役会が大量買付行為の内容を検討した上で代替案を提供するための十分な時間を提供しないものなど、不適切と考えられる事例も少なくありません。
当社の財務及び事業方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の掲げる企業理念を理解し、様々なステークホルダーとの間で、円滑な関係を構築することにより、社会に貢献し、当社の企業価値の最大化を図るとともに、株主の共同の利益を確保するものでなければならないと考えております。したがって、当社の企業価値が不用意に毀損され、株主にとって不利益を生じさせる大量買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切ではないと考えます。
② 会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組み
当社では、当社グループ全体としての事業の拡大と収益性の向上を目指し、また、将来のグループの収益の柱となる事業の創造を積極的に行うことにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を目指し、多数の投資家の皆様に当社株式を長期継続して保有していただくため、以下の施策を実施しております。
イ.当社の経営の基本方針
当社グループでは、「コンテクスト(文脈)」の提供で社会貢献することをミッション(使命)としております。企業と人、そして情報を有機的に結びつける「コンテクストカンパニー」であることが、業務を行う上での基本コンセプトであります。インターネット業界の黎明期からの実績に基づくソリューションノウハウと、最新のネットワーク技術を有効に活用することにより、種々複雑な情報を有機的に結びつけ、企業と人と情報、これら三者の存在価値を相互に、より高め得る機能を開発することを、業務の目的として参りました。常に時代の数歩先に視点を合わせ、コンテクストの対象を冷静かつ的確に選別し、人と環境とデジタル情報化社会が共存できる、快適な社会に貢献し得るサービスを構築することが、当社の経営における基本方針であります。
ロ.中長期的な企業価値向上のための取組み
当社は、「異なるフィールドにある複数の事象をインターネットを使って結びつけ、コンテクスト(文脈)を作ることにより、新しい価値を創造し社会に貢献する」ことを企業理念として掲げ、最先端のインターネット技術と、世の中の動きの一歩先を読んだマーケティング技術、信頼性の高いファイナンス技術を核とし、リアルスペース(現実空間)とサイバースペース(仮想空間)の接点で新たなコンテクストを編み出すことが、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させることにつながると考えております。
こうした考えのもと、当社の企業価値を中長期的に向上させる取り組みとして、2018年3月期を初年度とする中期経営計画を策定し、実施しております。
ハ.不適切な者によって当該株式会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、当社株券等に対して大量買付行為が行われた際には、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保するために、積極的な情報収集と適時適切な情報開示に努めるとともに、金融商品取引法、会社法、その他関係法令及び当社定款の許す範囲内において適切な処置を講じて参ります。
③ 上記取組みについての取締役会の判断
上記の各取組みは、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではなく、いずれも①の基本方針に沿うものであります。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、61百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。