訂正有価証券報告書-第26期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
当連結会計年度末におきましては、主に有形固定資産が減少した一方、営業投資有価証券や現金及び現金同等物が増加した結果、資産合計は178,301百万円となり、借入金や金融資産の公正価値の増加等により繰延税金負債が増加した結果、負債合計は115,220百万円となりました。
また、主に配当金による減少と親会社の所有者に帰属する当期利益の計上で利益剰余金が増加した結果、資本合計は63,082百万円となりました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度におきましては、マーケティングテクノロジー事業及びロングタームインキュベーション事業を中心に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響を受け減収減益となった一方、フィナンシャルテクノロジー事業及びインキュベーションテクノロジー事業は増収増益となった結果、収益は40,478百万円、税引前利益は14,317百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は9,786百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におきましては、主に営業投資有価証券の増加の一方、税引前利益に加え、利息及び配当金の受取り、未払消費税等の増加の結果、営業活動によるキャッシュ・フローは7,047百万円の獲得となりました。
投資活動としましては、主に投資有価証券の売却による収入があった一方、有形固定資産や無形資産の取得による支出の結果、投資活動によるキャッシュ・フローは864百万円の使用となりました。
財務活動としましては、主に借入れによる収入があった一方、借入金やリース負債の返済による支出、配当金の支払の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは914百万円の使用となりました。
これらにより当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、37,989百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ.生産実績
当社グループの事業は、提供する主要なサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから、記載を省略しております。
ⅱ.受注実績
当社グループの提供する主要なサービスは、受注から売上までの期間が短期間であり、期中の受注高と販売実績がほぼ対応するため、記載を省略しております。
ⅲ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
※1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
※2 金額には消費税等は含まれておりません。
※3 調整額は、セグメントに配分していない主に本社機能から生ずる金融収益等の全社収益であります。
※4 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
(単位:百万円)
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて16,006百万円増加し、178,301百万円となりました。この主な要因は、減価償却等により有形固定資産が1,890百万円減少した一方、営業投資有価証券が10,624百万円、現金及び現金同等物が5,286百万円、その他の金融資産(非流動資産)が1,559百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて5,719百万円増加し、115,220百万円となりました。この主な要因は、金融資産の公正価値の増加等により繰延税金負債が3,089百万円、社債及び借入金(流動負債及び非流動負債)が2,443百万円増加したことによるものであります。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて10,287百万円増加し、63,082百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が配当金により1,749百万円減少した一方、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により9,786百万円増加したほか、その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動が1,651百万円増加したことによるものであります。
なお、セグメント資産及び負債については、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象とはなっておりません。
ⅱ.経営成績
(単位:百万円)
当連結会計年度の経営成績につきましては、収益は40,478百万円(前年同期比3,542百万円増、同9.6%増)、税引前利益は14,317百万円(前年同期比4,309百万円増、同43.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は9,786百万円(前年同期比2,365百万円増、同31.9%増)となりました。ロングタームインキュベーション事業を中心に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外食・娯楽関連等の消費自粛や事業者の休業等による収益減少の影響を受けたほか、マーケティングテクノロジー事業においては拠点集約等の事業構造最適化施策による費用が発生しました。一方、インキュベーションテクノロジー事業において、営業投資有価証券の公正価値が好調に増加し、フィナンシャルテクノロジー事業においてはECの市場規模拡大に加え、主力事業が堅調に推移したことで、増収増益となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
[フィナンシャルテクノロジー事業]
フィナンシャルテクノロジー事業では、Eコマース(EC)をはじめとするBtoCの商取引に必要不可欠なクレジットカード決済やコンビニ決済等の電子決済ソリューションの提供を行っております。
2021年4月1日付で、ベリトランス㈱は㈱DGフィナンシャルテクノロジーに商号変更し、㈱イーコンテクストとの経営統合を実施致しました。今後は㈱DGフィナンシャルテクノロジーが中心となり、グループ戦略「DGフィンテックシフト」を加速、牽引して参ります。
当連結会計年度は、決済事業を展開するベリトランス㈱及び㈱イーコンテクストが、多様な決済ソリューションを提供し高成長を継続致しました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、訪日外国人のインバウンド消費に対応した対面決済や旅行関連の取扱いが減少したものの、EC市場拡大による取扱い増加に加え、モバイルオーダー事前オンライン決済等の新規決済手段による取扱いも好調に推移し、決済取扱高は前年同期比18%増の約3.1兆円、決済取扱件数は同35%増の約6.6億件まで伸長致しました。
これらの結果、当連結会計年度における収益は9,666百万円(前年同期比1,056百万円増、同12.3%増)、税引前利益は4,118百万円(前年同期比69百万円増、同1.7%増)となりました。
[マーケティングテクノロジー事業]
マーケティングテクノロジー事業では、インターネットとリアルを融合した総合的なデジタルマーケティングや様々なデータを活用したデータマーケティングビジネスを行っております。
当連結会計年度は、インターネット広告を手掛ける当社マーケティングテクノロジーカンパニーにおいて、主力のデジタルアド事業の取扱いが堅調に推移致しました。一方、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、不動産業・小売業等のプロモーションが延期・中止したこと等により取扱いが減少致しました。また、拠点集約等の事業構造最適化施策を推進したこと等により費用が発生致しました。
これらの結果、当連結会計年度における収益は13,049百万円(前年同期比2,327百万円減、同15.1%減)、税引前利益は735百万円(前年同期比1,118百万円減、同60.3%減)となりました。
[インキュベーションテクノロジー事業]
インキュベーションテクノロジー事業では、国内外のスタートアップ企業等への投資及び当社グループ内の事業との連携による投資先の育成等を行っております。
当連結会計年度は、投資先のファイナンスによる公正価値の増加や国内IPO銘柄3社及び海外上場銘柄を中心に売却したこと等により営業投資有価証券に関する収益は11,031百万円(前年同期比7,011百万円増、同174.4%増)となりました。また、営業投資有価証券の残高は47,170百万円(前年同期比10,624百万円増)となりました。
これらの結果、当連結会計年度における収益は11,482百万円(前年同期比6,614百万円増、同135.9%増)、税引前利益は10,264百万円(前年同期比6,701百万円増、同188.1%増)となりました。
[ロングタームインキュベーション事業]
ロングタームインキュベーション事業では、当社グループがこれまで培ってきた投資育成や事業開発のノウハウを活かし、中長期的かつ継続的な事業利益の創出に取り組んでおります。そのなかで、㈱ブレインスキャンテクノロジーズでは、運転事業者向け脳MRI事業を基盤に、脳MRI等のヘルスケアデータとAIの活用で新規事業の創出を目指しております。
当連結会計年度は、持分法適用会社である㈱カカクコムが、新型コロナウイルス感染症拡大により食べログ事業中心に影響を受けたこと等により、収益は5,931百万円(前年同期比1,998百万円減、同25.2%減)、税引前利益は2,653百万円(前年同期比2,048百万円減、同43.6%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(単位:百万円)
ⅰ.キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、37,989百万円(前年同期比5,286百万円増、同16.2%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は7,047百万円となりました。収入の主な内訳は、税引前利益14,317百万円、利息及び配当金の受取額1,450百万円、未払消費税等の増加額1,422百万円であり、支出の主な内訳は、営業投資有価証券の増加額10,527百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は864百万円となりました。収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入1,865百万円であり、支出の主な内訳は、無形資産の取得による支出1,706百万円、有形固定資産の取得による支出1,501百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は914百万円となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入3,526百万円、短期借入金の純増額2,002百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出3,270百万円、リース負債の返済による支出1,861百万円、配当金の支払額1,748百万円であります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金調達)
当社グループは、事業の維持拡大に必要なレベルの流動性確保と財務の健全性・安全性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達手段の多様化と資本効率の向上を企図し、金融機関からの借入や転換社債型新株予約権付社債の発行等、一部有利子負債を活用しております。また、複数の金融機関との間で総額70億円のコミットメントライン契約を締結することで、十分な資金の流動性を確保しております。
当連結会計年度末における有利子負債(リース負債除く)の残高は、45,617百万円であります。
当社グループでは、年度事業計画に基づく資金調達計画を策定するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・管理しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、主要な取引先金融機関と良好な取引関係を維持し、加えて財務体質の強化にも努めております。
なお、当社グループでは、長期かつ安定的な資金調達を行うべく、短期借入金に依存した資金調達は実施しておりません。その結果として、当連結会計年度末における有利子負債(リース負債除く)に占める短期借入金(1年以内返済予定の長期借入金は除く)の比率は8.4%となりました。
(資金需要の主な内容)
当社グループの事業資金需要の主なものは、各事業セグメントにおける事業資金及び販売費及び一般管理費等の営業費用等のほか、フィナンシャルテクノロジー事業における収納代行業務の一時的な立替資金によるものであります。また、投資資金需要の主なものは、フィナンシャルテクノロジー事業のシステム機能拡充・強化等によるものに加え、インキュベーションテクノロジー事業を中心とした株式等の投資によるものであります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら対応していく方針であります。
なお、当連結会計年度においては、フィナンシャルテクノロジー事業における中期計画達成に向けたインフラ・設備強化のため、金融機関から設備資金を15億円調達しております。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、2021年3月期を初年度とし「Designing our New Normal Context」をスローガンに掲げた中期経営計画(2021年3月期から2025年3月期までの5ヵ年)を策定しております。
フィナンシャルテクノロジー事業では、訪日外国人のインバウンド消費に対応した対面決済や旅行関連の取扱いにおいて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた一方、ECの市場規模の拡大に加え、国内新規決済手段の充実を図り固定費の増加を吸収し増収増益を達成致しました。㈱DGフィナンシャルテクノロジーと㈱イーコンテクストとの経営統合によるシステム投資や運営費用の削減等によるコストシナジーや業務効率化により、年平均成長率20%以上を目指して参ります。
マーケティングテクノロジー事業では、特に通信キャリア決済・カード等の金融向けのキャッシュレスプロモーションにおいては、広告取扱高が前年同期比30%増と好調に推移致しました。一方、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、不動産業・小売業等のプロモーションが延期・中止したこと等により取扱いが減少致しました。また、拠点集約等の事業構造最適化施策を推進したこと等により費用が発生し減収減益となりましたが、2021年3月期第2四半期を底に利益回復基調となっております。
ロングタームインキュベーション事業では、持分法適用会社である㈱カカクコムが新型コロナウイルス感染症拡大により外食・旅行系中心に影響を受け減益も、価格.com事業のショッピング事業、新興メディア・ソリューション事業の求人ボックス事業、及びファイナンス事業は引き続き好調に推移しました。今後も様々な生活シーンにおいて役に立つサービスを創出し、新たな価値提供を継続して参ります。
また、インキュベーションテクノロジー事業においては、国内IPO銘柄3社及び海外上場銘柄等を中心に売却する等、投資ハードルレート(ROI)2.5倍を意識した国内外における投資・回収を着実に遂行致しました。特に米国の投資先に関してはナスダック上場を果たす等、DX/FinTech先進企業への戦略出資が奏功しております。更に、近年注力してきているアジア地域、特にインドにおける投資活動も着実に成果を上げております。引き続き日本、アジア、米国におけるDX/FinTech/社会課題解決ベンチャーを中心に投資インキュベーションを実行し、ESG分野への投資も積極的に展開していく予定です。
定量目標に対する実績は以下のとおりであります。
中期経営計画の財務目標に対する当連結会計年度における実績
※ 投資ハードルレートは、日本基準をベースとした利益実績を基に算出しております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
当連結会計年度末におきましては、主に有形固定資産が減少した一方、営業投資有価証券や現金及び現金同等物が増加した結果、資産合計は178,301百万円となり、借入金や金融資産の公正価値の増加等により繰延税金負債が増加した結果、負債合計は115,220百万円となりました。
また、主に配当金による減少と親会社の所有者に帰属する当期利益の計上で利益剰余金が増加した結果、資本合計は63,082百万円となりました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度におきましては、マーケティングテクノロジー事業及びロングタームインキュベーション事業を中心に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響を受け減収減益となった一方、フィナンシャルテクノロジー事業及びインキュベーションテクノロジー事業は増収増益となった結果、収益は40,478百万円、税引前利益は14,317百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は9,786百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におきましては、主に営業投資有価証券の増加の一方、税引前利益に加え、利息及び配当金の受取り、未払消費税等の増加の結果、営業活動によるキャッシュ・フローは7,047百万円の獲得となりました。
投資活動としましては、主に投資有価証券の売却による収入があった一方、有形固定資産や無形資産の取得による支出の結果、投資活動によるキャッシュ・フローは864百万円の使用となりました。
財務活動としましては、主に借入れによる収入があった一方、借入金やリース負債の返済による支出、配当金の支払の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは914百万円の使用となりました。
これらにより当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、37,989百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ.生産実績
当社グループの事業は、提供する主要なサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから、記載を省略しております。
ⅱ.受注実績
当社グループの提供する主要なサービスは、受注から売上までの期間が短期間であり、期中の受注高と販売実績がほぼ対応するため、記載を省略しております。
ⅲ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) | |
フィナンシャルテクノロジー事業 | (百万円) | 9,666 | 112.3 |
マーケティングテクノロジー事業 | (百万円) | 13,049 | 84.9 |
インキュベーションテクノロジー事業 | (百万円) | 11,482 | 235.9 |
ロングタームインキュベーション事業 | (百万円) | 5,931 | 74.8 |
調整額 | (百万円) | 351 | 226.6 |
合計 | (百万円) | 40,478 | 109.6 |
※1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
※2 金額には消費税等は含まれておりません。
※3 調整額は、セグメントに配分していない主に本社機能から生ずる金融収益等の全社収益であります。
※4 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
(単位:百万円)
前連結会計年度 (2020年3月31日) | 当連結会計年度 (2021年3月31日) | 前年同期比 | |||
増減額 | 増減率 (%) | ||||
流動資産 | 98,852 | 113,548 | 14,696 | 14.9 | |
非流動資産 | 63,444 | 64,753 | 1,310 | 2.1 | |
資産合計 | 162,296 | 178,301 | 16,006 | 9.9 | |
流動負債 | 50,838 | 56,865 | 6,027 | 11.9 | |
非流動負債 | 58,663 | 58,355 | △308 | △0.5 | |
負債合計 | 109,501 | 115,220 | 5,719 | 5.2 | |
資本合計 | 52,795 | 63,082 | 10,287 | 19.5 |
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて16,006百万円増加し、178,301百万円となりました。この主な要因は、減価償却等により有形固定資産が1,890百万円減少した一方、営業投資有価証券が10,624百万円、現金及び現金同等物が5,286百万円、その他の金融資産(非流動資産)が1,559百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて5,719百万円増加し、115,220百万円となりました。この主な要因は、金融資産の公正価値の増加等により繰延税金負債が3,089百万円、社債及び借入金(流動負債及び非流動負債)が2,443百万円増加したことによるものであります。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて10,287百万円増加し、63,082百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が配当金により1,749百万円減少した一方、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により9,786百万円増加したほか、その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動が1,651百万円増加したことによるものであります。
なお、セグメント資産及び負債については、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象とはなっておりません。
ⅱ.経営成績
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比 | |||
増減額 | 増減率 (%) | ||||
収益 | 36,936 | 40,478 | 3,542 | 9.6 | |
税引前利益 | 10,008 | 14,317 | 4,309 | 43.1 | |
当期利益 | 7,331 | 9,518 | 2,188 | 29.8 | |
親会社の所有者に帰属する 当期利益 | 7,420 | 9,786 | 2,365 | 31.9 | |
当期包括利益 | 6,345 | 11,284 | 4,939 | 77.8 |
当連結会計年度の経営成績につきましては、収益は40,478百万円(前年同期比3,542百万円増、同9.6%増)、税引前利益は14,317百万円(前年同期比4,309百万円増、同43.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は9,786百万円(前年同期比2,365百万円増、同31.9%増)となりました。ロングタームインキュベーション事業を中心に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外食・娯楽関連等の消費自粛や事業者の休業等による収益減少の影響を受けたほか、マーケティングテクノロジー事業においては拠点集約等の事業構造最適化施策による費用が発生しました。一方、インキュベーションテクノロジー事業において、営業投資有価証券の公正価値が好調に増加し、フィナンシャルテクノロジー事業においてはECの市場規模拡大に加え、主力事業が堅調に推移したことで、増収増益となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比 | |||
増減額 | 増減率 (%) | ||||
フィナンシャル テクノロジー事業 | 収益 | 8,609 | 9,666 | 1,056 | 12.3 |
税引前利益 | 4,049 | 4,118 | 69 | 1.7 | |
マーケティング テクノロジー事業 | 収益 | 15,375 | 13,049 | △2,327 | △15.1 |
税引前利益 | 1,853 | 735 | △1,118 | △60.3 | |
インキュベーション テクノロジー事業 | 収益 | 4,868 | 11,482 | 6,614 | 135.9 |
税引前利益 | 3,563 | 10,264 | 6,701 | 188.1 | |
ロングタームインキュベーション事業 | 収益 | 7,929 | 5,931 | △1,998 | △25.2 |
税引前利益 | 4,701 | 2,653 | △2,048 | △43.6 | |
調整額 | 収益 | 155 | 351 | 196 | 126.6 |
税引前利益 | △4,158 | △3,452 | 705 | - | |
合計 | 収益 | 36,936 | 40,478 | 3,542 | 9.6 |
税引前利益 | 10,008 | 14,317 | 4,309 | 43.1 |
[フィナンシャルテクノロジー事業]
フィナンシャルテクノロジー事業では、Eコマース(EC)をはじめとするBtoCの商取引に必要不可欠なクレジットカード決済やコンビニ決済等の電子決済ソリューションの提供を行っております。
2021年4月1日付で、ベリトランス㈱は㈱DGフィナンシャルテクノロジーに商号変更し、㈱イーコンテクストとの経営統合を実施致しました。今後は㈱DGフィナンシャルテクノロジーが中心となり、グループ戦略「DGフィンテックシフト」を加速、牽引して参ります。
当連結会計年度は、決済事業を展開するベリトランス㈱及び㈱イーコンテクストが、多様な決済ソリューションを提供し高成長を継続致しました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、訪日外国人のインバウンド消費に対応した対面決済や旅行関連の取扱いが減少したものの、EC市場拡大による取扱い増加に加え、モバイルオーダー事前オンライン決済等の新規決済手段による取扱いも好調に推移し、決済取扱高は前年同期比18%増の約3.1兆円、決済取扱件数は同35%増の約6.6億件まで伸長致しました。
これらの結果、当連結会計年度における収益は9,666百万円(前年同期比1,056百万円増、同12.3%増)、税引前利益は4,118百万円(前年同期比69百万円増、同1.7%増)となりました。
[マーケティングテクノロジー事業]
マーケティングテクノロジー事業では、インターネットとリアルを融合した総合的なデジタルマーケティングや様々なデータを活用したデータマーケティングビジネスを行っております。
当連結会計年度は、インターネット広告を手掛ける当社マーケティングテクノロジーカンパニーにおいて、主力のデジタルアド事業の取扱いが堅調に推移致しました。一方、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、不動産業・小売業等のプロモーションが延期・中止したこと等により取扱いが減少致しました。また、拠点集約等の事業構造最適化施策を推進したこと等により費用が発生致しました。
これらの結果、当連結会計年度における収益は13,049百万円(前年同期比2,327百万円減、同15.1%減)、税引前利益は735百万円(前年同期比1,118百万円減、同60.3%減)となりました。
[インキュベーションテクノロジー事業]
インキュベーションテクノロジー事業では、国内外のスタートアップ企業等への投資及び当社グループ内の事業との連携による投資先の育成等を行っております。
当連結会計年度は、投資先のファイナンスによる公正価値の増加や国内IPO銘柄3社及び海外上場銘柄を中心に売却したこと等により営業投資有価証券に関する収益は11,031百万円(前年同期比7,011百万円増、同174.4%増)となりました。また、営業投資有価証券の残高は47,170百万円(前年同期比10,624百万円増)となりました。
これらの結果、当連結会計年度における収益は11,482百万円(前年同期比6,614百万円増、同135.9%増)、税引前利益は10,264百万円(前年同期比6,701百万円増、同188.1%増)となりました。
[ロングタームインキュベーション事業]
ロングタームインキュベーション事業では、当社グループがこれまで培ってきた投資育成や事業開発のノウハウを活かし、中長期的かつ継続的な事業利益の創出に取り組んでおります。そのなかで、㈱ブレインスキャンテクノロジーズでは、運転事業者向け脳MRI事業を基盤に、脳MRI等のヘルスケアデータとAIの活用で新規事業の創出を目指しております。
当連結会計年度は、持分法適用会社である㈱カカクコムが、新型コロナウイルス感染症拡大により食べログ事業中心に影響を受けたこと等により、収益は5,931百万円(前年同期比1,998百万円減、同25.2%減)、税引前利益は2,653百万円(前年同期比2,048百万円減、同43.6%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比 増減額 | ||
営業活動によるキャッシュ・フロー | △12,322 | 7,047 | 19,369 | |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △5,473 | △864 | 4,609 | |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 2,363 | △914 | △3,277 | |
現金及び現金同等物の期末残高 | 32,702 | 37,989 | 5,286 | |
有利子負債(リース負債除く) | 43,174 | 45,617 | 2,443 | |
短期 (1年以内返済予定の長期有利子負債は除く) | 1,848 | 3,850 | 2,002 | |
長期 | 41,327 | 41,767 | 440 |
ⅰ.キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、37,989百万円(前年同期比5,286百万円増、同16.2%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は7,047百万円となりました。収入の主な内訳は、税引前利益14,317百万円、利息及び配当金の受取額1,450百万円、未払消費税等の増加額1,422百万円であり、支出の主な内訳は、営業投資有価証券の増加額10,527百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は864百万円となりました。収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入1,865百万円であり、支出の主な内訳は、無形資産の取得による支出1,706百万円、有形固定資産の取得による支出1,501百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は914百万円となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入3,526百万円、短期借入金の純増額2,002百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出3,270百万円、リース負債の返済による支出1,861百万円、配当金の支払額1,748百万円であります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金調達)
当社グループは、事業の維持拡大に必要なレベルの流動性確保と財務の健全性・安全性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達手段の多様化と資本効率の向上を企図し、金融機関からの借入や転換社債型新株予約権付社債の発行等、一部有利子負債を活用しております。また、複数の金融機関との間で総額70億円のコミットメントライン契約を締結することで、十分な資金の流動性を確保しております。
当連結会計年度末における有利子負債(リース負債除く)の残高は、45,617百万円であります。
当社グループでは、年度事業計画に基づく資金調達計画を策定するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・管理しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、主要な取引先金融機関と良好な取引関係を維持し、加えて財務体質の強化にも努めております。
なお、当社グループでは、長期かつ安定的な資金調達を行うべく、短期借入金に依存した資金調達は実施しておりません。その結果として、当連結会計年度末における有利子負債(リース負債除く)に占める短期借入金(1年以内返済予定の長期借入金は除く)の比率は8.4%となりました。
(資金需要の主な内容)
当社グループの事業資金需要の主なものは、各事業セグメントにおける事業資金及び販売費及び一般管理費等の営業費用等のほか、フィナンシャルテクノロジー事業における収納代行業務の一時的な立替資金によるものであります。また、投資資金需要の主なものは、フィナンシャルテクノロジー事業のシステム機能拡充・強化等によるものに加え、インキュベーションテクノロジー事業を中心とした株式等の投資によるものであります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら対応していく方針であります。
なお、当連結会計年度においては、フィナンシャルテクノロジー事業における中期計画達成に向けたインフラ・設備強化のため、金融機関から設備資金を15億円調達しております。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、2021年3月期を初年度とし「Designing our New Normal Context」をスローガンに掲げた中期経営計画(2021年3月期から2025年3月期までの5ヵ年)を策定しております。
フィナンシャルテクノロジー事業では、訪日外国人のインバウンド消費に対応した対面決済や旅行関連の取扱いにおいて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた一方、ECの市場規模の拡大に加え、国内新規決済手段の充実を図り固定費の増加を吸収し増収増益を達成致しました。㈱DGフィナンシャルテクノロジーと㈱イーコンテクストとの経営統合によるシステム投資や運営費用の削減等によるコストシナジーや業務効率化により、年平均成長率20%以上を目指して参ります。
マーケティングテクノロジー事業では、特に通信キャリア決済・カード等の金融向けのキャッシュレスプロモーションにおいては、広告取扱高が前年同期比30%増と好調に推移致しました。一方、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、不動産業・小売業等のプロモーションが延期・中止したこと等により取扱いが減少致しました。また、拠点集約等の事業構造最適化施策を推進したこと等により費用が発生し減収減益となりましたが、2021年3月期第2四半期を底に利益回復基調となっております。
ロングタームインキュベーション事業では、持分法適用会社である㈱カカクコムが新型コロナウイルス感染症拡大により外食・旅行系中心に影響を受け減益も、価格.com事業のショッピング事業、新興メディア・ソリューション事業の求人ボックス事業、及びファイナンス事業は引き続き好調に推移しました。今後も様々な生活シーンにおいて役に立つサービスを創出し、新たな価値提供を継続して参ります。
また、インキュベーションテクノロジー事業においては、国内IPO銘柄3社及び海外上場銘柄等を中心に売却する等、投資ハードルレート(ROI)2.5倍を意識した国内外における投資・回収を着実に遂行致しました。特に米国の投資先に関してはナスダック上場を果たす等、DX/FinTech先進企業への戦略出資が奏功しております。更に、近年注力してきているアジア地域、特にインドにおける投資活動も着実に成果を上げております。引き続き日本、アジア、米国におけるDX/FinTech/社会課題解決ベンチャーを中心に投資インキュベーションを実行し、ESG分野への投資も積極的に展開していく予定です。
定量目標に対する実績は以下のとおりであります。
中期経営計画の財務目標に対する当連結会計年度における実績
成長性指標(税引前利益 年平均成長率) | 目標値 | 実績 | |
フィナンシャルテクノロジー事業 | 20%以上 | +1.7% | |
マーケティングテクノロジー事業 | 20%以上 | △60.3% | |
ロングタームインキュベーション事業 | 15%以上 | △43.6% | |
投資ハードルレート(ROI) | 目標値 | 実績 | |
インキュベーションテクノロジー事業 | 2.5倍 | 3.5倍 | |
資本収益性指標 | 目標値 | 実績 | |
ROE | 20%以上 | 17.1% | |
株主還元指標 | 目標値 | 実績 | |
税引前事業キャッシュフローに対する配当性向 | 20%以上 | 20.6% |
※ 投資ハードルレートは、日本基準をベースとした利益実績を基に算出しております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。