有価証券報告書-第28期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
当連結会計年度末におきましては、主に現金及び現金同等物が増加した一方、営業投資有価証券やその他の金融資産(非流動資産)が減少した結果、資産合計は216,270百万円となり、営業債務及びその他の債務が増加した一方、金融資産の公正価値の減少等により繰延税金負債が減少した結果、負債合計は134,185百万円となりました。
また、主に親会社の所有者に帰属する当期損失の計上と配当金により利益剰余金が減少した結果、資本合計は82,085百万円となりました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度におきましては、フィナンシャルテクノロジー事業、マーケティングテクノロジー事業及びロングタームインキュベーション事業の業績が好調に推移した一方、インキュベーションテクノロジー事業及び事業セグメントに属していない全社共通の金融資産(投資有価証券)において公正価値測定による評価損を計上した結果、収益は30,070百万円、税引前損失は13,881百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失は9,058百万円と減収減益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におきましては、主に税引前損失を計上した一方、営業投資有価証券が減少し、投資有価証券に関する損失を計上した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは13,473百万円の獲得となりました。
投資活動としましては、主に無形資産の取得による支出があった一方、持分法で会計処理されている投資の売却による収入の結果、投資活動によるキャッシュ・フローは1,628百万円の獲得となりました。
財務活動としましては、主に短期借入金の純増による収入があった一方、自己株式の取得、長期借入金の返済による支出の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは5,214百万円の使用となりました。
これらにより当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、53,335百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ.生産実績
当社グループの事業は、提供する主要なサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから、記載を省略しております。
ⅱ.受注実績
当社グループの提供する主要なサービスは、受注から売上までの期間が短期間であり、期中の受注高と販売実績がほぼ対応するため、記載を省略しております。
ⅲ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
※1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
※2 調整額は、セグメントに配分していない主に本社機能から生ずる金融収益等の全社収益であります。
※3 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
(単位:百万円)
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて15,338百万円減少し、216,270百万円となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が9,919百万円増加した一方、営業投資有価証券が10,273百万円、投資有価証券等のその他の金融資産(非流動資産)が9,072百万円、決済事業等に係る営業債権及びその他の債権が3,697百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて206百万円減少し、134,185百万円となりました。この主な要因は、決済事業等に係る営業債務及びその他の債務が4,976百万円、社債及び借入金(流動負債及び非流動負債)が2,770百万円増加した一方、金融資産の公正価値の減少等により繰延税金負債が7,402百万円、リース負債の返済等によりその他の金融負債(非流動負債)が1,555百万円減少したことによるものであります。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて15,132百万円減少し、82,085百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が親会社の所有者に帰属する当期損失の計上により9,058百万円、配当金により1,648百万円減少したほか、自己株式が取得により5,000百万円増加したことによるものであります。
なお、セグメント資産及び負債については、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象とはなっておりません。
ⅱ.経営成績
(単位:百万円)
当連結会計年度の経営成績につきましては、収益は30,070百万円(前期比42,884百万円減、同58.8%減)、税引前損失は13,881百万円(前期は45,393百万円の利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は9,058百万円(前期は30,330百万円の利益)となりました。
当連結会計年度は、Blockstream Corporation Inc.の公正価値測定による評価額が大幅に減少したことにより、インキュベーションテクノロジー事業の「営業投資有価証券に関する損失」及び事業セグメントに属していない全社共通の「金融費用」として評価損を計上し、減収減益となりました。一方で、フィナンシャルテクノロジー事業では、決済代行事業において非対面領域・対面領域ともに決済取扱高が増加したほか、マーケティングテクノロジー事業では、主力のデジタル広告において金融領域のマーケティングが牽引し広告取扱高が前期を上回りました。ロングタームインキュベーション事業では、経済社会活動の正常化に伴い外食需要が着実に回復に向かったこと等を受け、㈱カカクコムの持分法による投資利益が前期比で増加したことに加えて、関係会社株式を売却したことによる売却益を計上しました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、不動産業界のDX化を推進する「Musubell事業」をマーケティングテクノロジー事業からロングタームインキュベーション事業へセグメント変更をしております。前連結会計年度は、当セグメント変更後のセグメント区分に基づき作成したものを開示しております。また、当セグメント変更による影響額は軽微であります。
(単位:百万円)
[フィナンシャルテクノロジー事業]
フィナンシャルテクノロジー事業では、Eコマース(EC)をはじめとするBtoCの商取引に必要不可欠なクレジットカード決済やコンビニ決済等の電子決済ソリューション及び決済周辺サービス等の提供を行っております。
当連結会計年度は、非対面領域において、電子商取引市場の成長率を上回るペースで取扱高が増加したほか、対面領域においてはアライアンスパートナーとの戦略提携が奏功し、当社が決済を取り扱う拠点数が着実に増加したこと等から、決済取扱高は前期比約19%増の5兆2,774億円、決済取扱件数は同約22%増の9.8億件となりました。
これらの結果、当連結会計年度における収益は11,791百万円(前期比1,029百万円増、同9.6%増)、税引前利益は5,122百万円(前期比574百万円増、同12.6%増)となりました。
[マーケティングテクノロジー事業]
マーケティングテクノロジー事業では、総合的なデジタルマーケティングや様々なデータを活用したデータマーケティングビジネス等を行っております。
当連結会計年度は、不動産広告領域における取扱高及びスマートフォン向けアプリケーション等におけるデジタル広告の取扱高が前期を下回ったことにより減収となったものの、当社の注力分野であるクレジットカード等のマーケティングを手掛ける金融領域において取扱高が堅調に推移しました。
これらの結果、収益は12,027百万円(前期比992百万円減、同7.6%減)、税引前利益は1,151百万円(前期比128百万円増、同12.5%増)となりました。
[インキュベーションテクノロジー事業]
インキュベーションテクノロジー事業では、国内外のスタートアップ企業等への投資及び当社グループ内の事業との連携による投資先の育成等を行っております。
当連結会計年度は、Blockstream Corporation Inc.における公正価値測定による評価額が大幅に減少したことにより評価損を計上した結果、収益は△1,947百万円(前期比34,734百万円減)、税引前損失は12,022百万円(前期は31,215百万円の利益)、当連結会計年度末における営業投資有価証券の残高は67,676百万円(前連結会計年度末比10,273百万円減)となりました。
[ロングタームインキュベーション事業]
ロングタームインキュベーション事業では、当社グループがこれまで培ってきた投資育成や事業開発のノウハウを活かし、中長期的かつ継続的な事業利益の創出に取り組んでおります。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けながらも、経済社会活動の正常化が進むなかで外食需要が回復に向かったこと等により、持分法適用会社である㈱カカクコムの業績が前期を上回りました。また、関係会社株式の売却に伴い売却益を計上しました。
これらの結果、収益は7,603百万円(前期比3,023百万円増、同66.0%増)、税引前利益は4,635百万円(前期比3,384百万円増、同270.3%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(単位:百万円)
ⅰ.キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、53,335百万円(前期比9,919百万円増、同22.8%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は13,473百万円となりました。収入の主な内訳は、営業投資有価証券の減少額10,365百万円、投資有価証券に関する損失8,275百万円、営業債務及びその他の債務の増加額4,383百万円、営業債権及びその他の債権の減少額3,735百万円であり、支出の主な内訳は、税引前損失13,881百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、獲得した資金は1,628百万円となりました。収入の主な内訳は、持分法で会計処理されている投資の売却による収入3,522百万円であり、支出の主な内訳は、無形資産の取得による支出1,838百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は5,214百万円となりました。支出の主な内訳は、自己株式の取得による支出5,068百万円、長期借入金の返済による支出2,901百万円、リース負債の返済による支出1,727百万円であり、収入の主な内訳は、短期借入金の純増額4,130百万円であります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金調達)
当社グループは、事業の維持拡大に必要なレベルの流動性確保と財務の健全性・安全性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達手段の多様化と資本効率の向上を企図し、金融機関からの借入や転換社債型新株予約権付社債の発行等、一部有利子負債を活用しております。また、複数の金融機関との間で総額150億円のコミットメントライン契約を締結することで、十分な資金の流動性を確保しております。
当連結会計年度末における有利子負債(リース負債除く)の残高は、52,703百万円であります。
当社グループでは、年度事業計画に基づく資金調達計画を策定するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・管理しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、主要な取引先金融機関と良好な取引関係を維持し、加えて財務体質の強化にも努めております。
(資金需要の主な内容)
当社グループの事業資金需要の主なものは、各事業セグメントにおける事業資金及び販売費及び一般管理費等の営業費用等のほか、フィナンシャルテクノロジー事業における収納代行業務の一時的な立替資金によるものであります。また、投資資金需要の主なものは、フィナンシャルテクノロジー事業のシステム機能拡充・強化等によるもののほか、新たなフィンテック関連事業に係るシステム開発、インキュベーションテクノロジー事業を中心とした株式等の投資によるものであります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら対応していく方針であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
当連結会計年度末におきましては、主に現金及び現金同等物が増加した一方、営業投資有価証券やその他の金融資産(非流動資産)が減少した結果、資産合計は216,270百万円となり、営業債務及びその他の債務が増加した一方、金融資産の公正価値の減少等により繰延税金負債が減少した結果、負債合計は134,185百万円となりました。
また、主に親会社の所有者に帰属する当期損失の計上と配当金により利益剰余金が減少した結果、資本合計は82,085百万円となりました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度におきましては、フィナンシャルテクノロジー事業、マーケティングテクノロジー事業及びロングタームインキュベーション事業の業績が好調に推移した一方、インキュベーションテクノロジー事業及び事業セグメントに属していない全社共通の金融資産(投資有価証券)において公正価値測定による評価損を計上した結果、収益は30,070百万円、税引前損失は13,881百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失は9,058百万円と減収減益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におきましては、主に税引前損失を計上した一方、営業投資有価証券が減少し、投資有価証券に関する損失を計上した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは13,473百万円の獲得となりました。
投資活動としましては、主に無形資産の取得による支出があった一方、持分法で会計処理されている投資の売却による収入の結果、投資活動によるキャッシュ・フローは1,628百万円の獲得となりました。
財務活動としましては、主に短期借入金の純増による収入があった一方、自己株式の取得、長期借入金の返済による支出の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは5,214百万円の使用となりました。
これらにより当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、53,335百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ.生産実績
当社グループの事業は、提供する主要なサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから、記載を省略しております。
ⅱ.受注実績
当社グループの提供する主要なサービスは、受注から売上までの期間が短期間であり、期中の受注高と販売実績がほぼ対応するため、記載を省略しております。
ⅲ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 前期比(%) | |
フィナンシャルテクノロジー事業 | (百万円) | 11,791 | 109.6 |
マーケティングテクノロジー事業 | (百万円) | 12,027 | 92.4 |
インキュベーションテクノロジー事業 | (百万円) | △1,947 | - |
ロングタームインキュベーション事業 | (百万円) | 7,603 | 166.0 |
調整額 | (百万円) | 597 | 5.1 |
合計 | (百万円) | 30,070 | 41.2 |
※1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
※2 調整額は、セグメントに配分していない主に本社機能から生ずる金融収益等の全社収益であります。
※3 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
(単位:百万円)
前連結会計年度 (2022年3月31日) | 当連結会計年度 (2023年3月31日) | 前期比 | |||
増減額 | 増減率 (%) | ||||
流動資産 | 147,642 | 144,776 | △2,866 | △1.9 | |
非流動資産 | 83,965 | 71,493 | △12,472 | △14.9 | |
資産合計 | 231,607 | 216,270 | △15,338 | △6.6 | |
流動負債 | 59,242 | 94,780 | 35,539 | 60.0 | |
非流動負債 | 75,149 | 39,404 | △35,744 | △47.6 | |
負債合計 | 134,390 | 134,185 | △206 | △0.2 | |
資本合計 | 97,217 | 82,085 | △15,132 | △15.6 |
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて15,338百万円減少し、216,270百万円となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が9,919百万円増加した一方、営業投資有価証券が10,273百万円、投資有価証券等のその他の金融資産(非流動資産)が9,072百万円、決済事業等に係る営業債権及びその他の債権が3,697百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて206百万円減少し、134,185百万円となりました。この主な要因は、決済事業等に係る営業債務及びその他の債務が4,976百万円、社債及び借入金(流動負債及び非流動負債)が2,770百万円増加した一方、金融資産の公正価値の減少等により繰延税金負債が7,402百万円、リース負債の返済等によりその他の金融負債(非流動負債)が1,555百万円減少したことによるものであります。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて15,132百万円減少し、82,085百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が親会社の所有者に帰属する当期損失の計上により9,058百万円、配当金により1,648百万円減少したほか、自己株式が取得により5,000百万円増加したことによるものであります。
なお、セグメント資産及び負債については、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象とはなっておりません。
ⅱ.経営成績
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 前期比 | ||
増減額 | 増減率 (%) | |||
収益 | 72,955 | 30,070 | △42,884 | △58.8 |
税引前利益(△損失) | 45,393 | △13,881 | △59,274 | - |
当期利益(△損失) | 30,149 | △9,322 | △39,471 | - |
親会社の所有者に帰属する 当期利益(△損失) | 30,330 | △9,058 | △39,388 | - |
当期包括利益 | 29,733 | △9,545 | △39,278 | - |
当連結会計年度の経営成績につきましては、収益は30,070百万円(前期比42,884百万円減、同58.8%減)、税引前損失は13,881百万円(前期は45,393百万円の利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は9,058百万円(前期は30,330百万円の利益)となりました。
当連結会計年度は、Blockstream Corporation Inc.の公正価値測定による評価額が大幅に減少したことにより、インキュベーションテクノロジー事業の「営業投資有価証券に関する損失」及び事業セグメントに属していない全社共通の「金融費用」として評価損を計上し、減収減益となりました。一方で、フィナンシャルテクノロジー事業では、決済代行事業において非対面領域・対面領域ともに決済取扱高が増加したほか、マーケティングテクノロジー事業では、主力のデジタル広告において金融領域のマーケティングが牽引し広告取扱高が前期を上回りました。ロングタームインキュベーション事業では、経済社会活動の正常化に伴い外食需要が着実に回復に向かったこと等を受け、㈱カカクコムの持分法による投資利益が前期比で増加したことに加えて、関係会社株式を売却したことによる売却益を計上しました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、不動産業界のDX化を推進する「Musubell事業」をマーケティングテクノロジー事業からロングタームインキュベーション事業へセグメント変更をしております。前連結会計年度は、当セグメント変更後のセグメント区分に基づき作成したものを開示しております。また、当セグメント変更による影響額は軽微であります。
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 前期比 | |||
増減額 | 増減率 (%) | ||||
フィナンシャル テクノロジー事業 | 収益 | 10,762 | 11,791 | 1,029 | 9.6 |
税引前利益 | 4,548 | 5,122 | 574 | 12.6 | |
マーケティング テクノロジー事業 | 収益 | 13,019 | 12,027 | △992 | △7.6 |
税引前利益 | 1,023 | 1,151 | 128 | 12.5 | |
インキュベーション テクノロジー事業 | 収益 | 32,787 | △1,947 | △34,734 | - |
税引前利益 | 31,215 | △12,022 | △43,237 | - | |
ロングタームインキュベーション事業 | 収益 | 4,580 | 7,603 | 3,023 | 66.0 |
税引前利益 | 1,252 | 4,635 | 3,384 | 270.3 | |
調整額 | 収益 | 11,808 | 597 | △11,210 | △94.9 |
税引前利益 | 7,355 | △12,768 | △20,123 | - | |
合計 | 収益 | 72,955 | 30,070 | △42,884 | △58.8 |
税引前利益 | 45,393 | △13,881 | △59,274 | - |
[フィナンシャルテクノロジー事業]
フィナンシャルテクノロジー事業では、Eコマース(EC)をはじめとするBtoCの商取引に必要不可欠なクレジットカード決済やコンビニ決済等の電子決済ソリューション及び決済周辺サービス等の提供を行っております。
当連結会計年度は、非対面領域において、電子商取引市場の成長率を上回るペースで取扱高が増加したほか、対面領域においてはアライアンスパートナーとの戦略提携が奏功し、当社が決済を取り扱う拠点数が着実に増加したこと等から、決済取扱高は前期比約19%増の5兆2,774億円、決済取扱件数は同約22%増の9.8億件となりました。
これらの結果、当連結会計年度における収益は11,791百万円(前期比1,029百万円増、同9.6%増)、税引前利益は5,122百万円(前期比574百万円増、同12.6%増)となりました。
[マーケティングテクノロジー事業]
マーケティングテクノロジー事業では、総合的なデジタルマーケティングや様々なデータを活用したデータマーケティングビジネス等を行っております。
当連結会計年度は、不動産広告領域における取扱高及びスマートフォン向けアプリケーション等におけるデジタル広告の取扱高が前期を下回ったことにより減収となったものの、当社の注力分野であるクレジットカード等のマーケティングを手掛ける金融領域において取扱高が堅調に推移しました。
これらの結果、収益は12,027百万円(前期比992百万円減、同7.6%減)、税引前利益は1,151百万円(前期比128百万円増、同12.5%増)となりました。
[インキュベーションテクノロジー事業]
インキュベーションテクノロジー事業では、国内外のスタートアップ企業等への投資及び当社グループ内の事業との連携による投資先の育成等を行っております。
当連結会計年度は、Blockstream Corporation Inc.における公正価値測定による評価額が大幅に減少したことにより評価損を計上した結果、収益は△1,947百万円(前期比34,734百万円減)、税引前損失は12,022百万円(前期は31,215百万円の利益)、当連結会計年度末における営業投資有価証券の残高は67,676百万円(前連結会計年度末比10,273百万円減)となりました。
[ロングタームインキュベーション事業]
ロングタームインキュベーション事業では、当社グループがこれまで培ってきた投資育成や事業開発のノウハウを活かし、中長期的かつ継続的な事業利益の創出に取り組んでおります。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けながらも、経済社会活動の正常化が進むなかで外食需要が回復に向かったこと等により、持分法適用会社である㈱カカクコムの業績が前期を上回りました。また、関係会社株式の売却に伴い売却益を計上しました。
これらの結果、収益は7,603百万円(前期比3,023百万円増、同66.0%増)、税引前利益は4,635百万円(前期比3,384百万円増、同270.3%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 前期比 増減額 | ||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 7,059 | 13,473 | 6,414 | |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △7,978 | 1,628 | 9,606 | |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 6,244 | △5,214 | △11,458 | |
現金及び現金同等物の期末残高 | 43,415 | 53,335 | 9,919 | |
有利子負債(リース負債除く) | 49,932 | 52,703 | 2,770 | |
短期 (1年内に償還または返済予定の 長期有利子負債は除く) | 6,500 | 10,630 | 4,130 | |
長期 | 43,432 | 42,073 | △1,360 |
ⅰ.キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、53,335百万円(前期比9,919百万円増、同22.8%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は13,473百万円となりました。収入の主な内訳は、営業投資有価証券の減少額10,365百万円、投資有価証券に関する損失8,275百万円、営業債務及びその他の債務の増加額4,383百万円、営業債権及びその他の債権の減少額3,735百万円であり、支出の主な内訳は、税引前損失13,881百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、獲得した資金は1,628百万円となりました。収入の主な内訳は、持分法で会計処理されている投資の売却による収入3,522百万円であり、支出の主な内訳は、無形資産の取得による支出1,838百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は5,214百万円となりました。支出の主な内訳は、自己株式の取得による支出5,068百万円、長期借入金の返済による支出2,901百万円、リース負債の返済による支出1,727百万円であり、収入の主な内訳は、短期借入金の純増額4,130百万円であります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金調達)
当社グループは、事業の維持拡大に必要なレベルの流動性確保と財務の健全性・安全性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達手段の多様化と資本効率の向上を企図し、金融機関からの借入や転換社債型新株予約権付社債の発行等、一部有利子負債を活用しております。また、複数の金融機関との間で総額150億円のコミットメントライン契約を締結することで、十分な資金の流動性を確保しております。
当連結会計年度末における有利子負債(リース負債除く)の残高は、52,703百万円であります。
当社グループでは、年度事業計画に基づく資金調達計画を策定するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・管理しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、主要な取引先金融機関と良好な取引関係を維持し、加えて財務体質の強化にも努めております。
(資金需要の主な内容)
当社グループの事業資金需要の主なものは、各事業セグメントにおける事業資金及び販売費及び一般管理費等の営業費用等のほか、フィナンシャルテクノロジー事業における収納代行業務の一時的な立替資金によるものであります。また、投資資金需要の主なものは、フィナンシャルテクノロジー事業のシステム機能拡充・強化等によるもののほか、新たなフィンテック関連事業に係るシステム開発、インキュベーションテクノロジー事業を中心とした株式等の投資によるものであります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら対応していく方針であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。