有価証券報告書-第27期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
当連結会計年度末におきましては、主に営業債権及びその他の債権が減少した一方、営業投資有価証券やその他の金融資産(非流動資産)が増加した結果、資産合計は231,607百万円となり、借入金や金融資産の公正価値の増加等により繰延税金負債が増加した結果、負債合計は134,390百万円となりました。
また、主に配当金による減少と親会社の所有者に帰属する当期利益の計上で利益剰余金が増加した結果、資本合計は97,217百万円となりました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度におきましては、インキュベーションテクノロジー事業及びフィナンシャルテクノロジー事業は好調に推移し、事業セグメントに属していない全社共通の金融資産(投資有価証券)において公正価値測定による評価益を計上したことから増収増益となった結果、収益は72,955百万円、税引前利益は45,393百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は30,330百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におきましては、主に営業投資有価証券の増加の一方、税引前利益に加え、営業債務及びその他の債務が増加し、営業債権及びその他の債権が減少した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは7,059百万円の獲得となりました。
投資活動としましては、主に有形固定資産や無形資産の取得、投資有価証券の取得による支出の結果、投資活動によるキャッシュ・フローは7,978百万円の使用となりました。
財務活動としましては、主に借入れやリースの返済による支出があった一方、長期借入金や自己株式の処分による収入の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは6,244百万円の獲得となりました。
これらにより当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、43,415百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ.生産実績
当社グループの事業は、提供する主要なサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから、記載を省略しております。
ⅱ.受注実績
当社グループの提供する主要なサービスは、受注から売上までの期間が短期間であり、期中の受注高と販売実績がほぼ対応するため、記載を省略しております。
ⅲ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
※1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
※2 調整額は、セグメントに配分していない主に本社機能から生ずる金融収益等の全社収益であります。
※3 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
(単位:百万円)
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて53,306百万円増加し、231,607百万円となりました。この主な要因は、決済事業等に係る営業債権及びその他の債権が2,112百万円減少した一方、営業投資有価証券が30,780百万円、その他の金融資産(非流動資産)が15,439百万円、現金及び現金同等物が5,427百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて19,171百万円増加し、134,390百万円となりました。この主な要因は、金融資産の公正価値の増加等により繰延税金負債が13,486百万円、社債及び借入金(流動負債及び非流動負債)が4,315百万円、決済事業等に係る営業債務及びその他の債務が3,989百万円増加したことによるものであります。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて34,136百万円増加し、97,217百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が配当金により1,475百万円減少した一方、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により30,330百万円増加したほか、自己株式の処分により資本剰余金が1,206百万円増加し、自己株式が3,422百万円減少したことによるものであります。
なお、セグメント資産及び負債については、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象とはなっておりません。
ⅱ.経営成績
(単位:百万円)
当連結会計年度の経営成績につきましては、収益は72,955百万円(前年同期比32,476百万円増、同80.2%増)、税引前利益は45,393百万円(前年同期比31,077百万円増、同217.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は30,330百万円(前年同期比20,545百万円増、同209.9%増)となりました。インキュベーションテクノロジー事業において、営業投資有価証券の公正価値が大幅に伸長し、フィナンシャルテクノロジー事業においては主力の決済事業が堅調に推移しました。また、事業セグメントに属していない全社共通の金融資産(投資有価証券)の公正価値測定による評価益も計上し、これらの結果、増収増益となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
[フィナンシャルテクノロジー事業]
フィナンシャルテクノロジー事業では、Eコマース(EC)をはじめとするBtoCの商取引に必要不可欠なクレジットカード決済やコンビニ決済等の電子決済ソリューションの提供を行っております。
当連結会計年度は、決済事業を展開する㈱DGフィナンシャルテクノロジーが、多様な決済ソリューションを提供し高成長を継続致しました。新型コロナウイルス感染症拡大による特需の一部反動あるも、EC市場拡大による取扱い増加や旅行関連決済の回復に加え、モバイルオーダー事前オンライン決済等の新規決済手段による取扱いや国内中心に対面決済の取扱いが好調に増加し、決済取扱高は前年同期比約18%増の約3兆5,978億円、決済取扱件数は同約10%増の約7.2億件まで伸長致しました。
これらの結果、当連結会計年度における収益は10,762百万円(前年同期比1,096百万円増、同11.3%増)、税引前利益は4,548百万円(前年同期比431百万円増、同10.5%増)となりました。
[マーケティングテクノロジー事業]
マーケティングテクノロジー事業では、インターネットとリアルを融合した総合的なデジタルマーケティングや様々なデータを活用したデータマーケティングビジネスを行っております。
当連結会計年度は、インターネット広告を手掛ける当社マーケティングテクノロジーカンパニーにおいて、主力のデジタルアド事業が堅調に推移致しました。特に、通信キャリア決済・クレジットカード等の金融向けのフィンテック関連プロモーションにおいては、広告取扱高が前年同期比約11%増の約177億円と堅調に増加致しました。一方、受託開発案件の減少やデジタルアド事業において注力業種の見直しを実施したこと等により、収益は13,031百万円(前年同期比17百万円減、同0.1%減)、税引前利益は883百万円(前年同期比149百万円増、同20.2%増)となりました。
[インキュベーションテクノロジー事業]
インキュベーションテクノロジー事業では、国内外のスタートアップ企業等への投資及び当社グループ内の事業との連携による投資先の育成等を行っております。
当連結会計年度は、投資先のIPO、ファイナンスによる公正価値の大幅増加及び海外上場銘柄を中心に売却したこと、また外国為替相場が円安傾向で推移したこと等により、収益は32,787百万円(前年同期比21,305百万円増、同185.6%増)、税引前利益は31,215百万円(前年同期比20,951百万円増、同204.1%増)となりました。
また、営業投資有価証券の残高は77,950百万円(前連結会計年度末比30,780百万円増)となりました。
[ロングタームインキュベーション事業]
ロングタームインキュベーション事業では、当社グループがこれまで培ってきた投資育成や事業開発のノウハウを活かし、中長期的かつ継続的な事業利益の創出に取り組んでおります。
当連結会計年度は、持分法適用会社である㈱カカクコムの業績が新型コロナウイルス感染症拡大の影響から回復しました。一方、前連結会計年度において連結子会社の事業譲渡を実施したことや当連結会計年度において連結子会社におけるのれんの減損損失を計上したこと等により、収益は4,567百万円(前年同期比1,364百万円減、同23.0%減)、税引前利益は1,380百万円(前年同期比1,272百万円減、同48.0%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(単位:百万円)
ⅰ.キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、43,415百万円(前年同期比5,427百万円増、同14.3%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は7,059百万円となりました。収入の主な内訳は、税引前利益45,393百万円、営業債務及びその他の債務の増加額4,170百万円、営業債権及びその他の債権の減少額2,383百万円であり、支出の主な内訳は、営業投資有価証券の増加額30,444百万円、投資有価証券に関する利益12,581百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は7,978百万円となりました。支出の主な内訳は、投資有価証券の取得による支出4,794百万円、有形固定資産の取得による支出1,501百万円、無形資産の取得による支出1,354百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、獲得した資金は6,244百万円となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入11,700百万円、自己株式の処分による収入4,629百万円、短期借入金の純増額2,650百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出10,330百万円、リース負債の返済による支出1,738百万円、配当金の支払額1,474百万円であります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金調達)
当社グループは、事業の維持拡大に必要なレベルの流動性確保と財務の健全性・安全性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達手段の多様化と資本効率の向上を企図し、金融機関からの借入や転換社債型新株予約権付社債の発行等、一部有利子負債を活用しております。また、複数の金融機関との間で総額100億円のコミットメントライン契約を締結することで、十分な資金の流動性を確保しております。
当連結会計年度末における有利子負債(リース負債除く)の残高は、49,932百万円であります。
当社グループでは、年度事業計画に基づく資金調達計画を策定するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・管理しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、主要な取引先金融機関と良好な取引関係を維持し、加えて財務体質の強化にも努めております。
なお、当社グループでは、長期かつ安定的な資金調達を行うべく、短期借入金に依存した資金調達は実施しておりません。その結果として、当連結会計年度末における有利子負債(リース負債除く)に占める短期借入金(1年以内返済予定の長期借入金は除く)の比率は13.0%となりました。
(資金需要の主な内容)
当社グループの事業資金需要の主なものは、各事業セグメントにおける事業資金及び販売費及び一般管理費等の営業費用等のほか、フィナンシャルテクノロジー事業における収納代行業務の一時的な立替資金によるものであります。また、投資資金需要の主なものは、フィナンシャルテクノロジー事業のシステム機能拡充・強化等によるものに加え、インキュベーションテクノロジー事業を中心とした株式等の投資によるものであります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら対応していく方針であります。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、2021年3月期を初年度とし「Designing our New Normal Context」をスローガンに掲げた中期経営計画(2021年3月期から2025年3月期までの5ヵ年)を策定しております。
中期経営計画の2年目である2022年3月期は、フィナンシャルテクノロジー事業では、新型コロナウイルス感染症拡大による特需の一部反動があったものの、EC市場の拡大による取扱い増加や旅行系の決済の回復に加え、国内対面決済の取扱い増加等により、増収増益を達成致しました。
マーケティングテクノロジー事業では、主力の金融クライアント向けの広告取扱高が前期比11%増と増加した一方で、CRM等の受託開発案件が減少したことやデジタルアド事業において注力業種の見直しを実施したこと等により、減収増益となりました。
ロングタームインキュベーション事業では、持分法適用会社である㈱カカクコムが新型コロナウイルス感染症拡大の影響から回復し、ECや求人サイトも堅調に推移した一方で、連結子会社におけるのれんの減損損失を計上したこと等により減収減益となりました。
インキュベーションテクノロジー事業では、海外上場銘柄を中心に売却したことにより、投資ハードルレート(ROI)は5.1倍と、目標の2.5倍を上回る結果となりました。米国の投資先がナスダック上場を果たすなど、FinTech/DX先進企業への戦略出資が奏功しております。また、インドネシア投資先の上場やインド投資先が上場申請をするなど、北米・アジア・日本等の各エリアの投資が順調に進捗しております。
また、ROEは38.4%、税引前事業キャッシュフローに対する配当性向は23.7%とそれぞれ目標を上回る結果となり、資本効率の向上と安定した株主還元の実現を図ることができました。
定量目標に対する実績は以下のとおりであります。
中期経営計画の定量目標に対する実績(2021年3月期~2022年3月期)
※ 投資ハードルレートは、日本基準をベースとした利益実績を基に算出しております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
当連結会計年度末におきましては、主に営業債権及びその他の債権が減少した一方、営業投資有価証券やその他の金融資産(非流動資産)が増加した結果、資産合計は231,607百万円となり、借入金や金融資産の公正価値の増加等により繰延税金負債が増加した結果、負債合計は134,390百万円となりました。
また、主に配当金による減少と親会社の所有者に帰属する当期利益の計上で利益剰余金が増加した結果、資本合計は97,217百万円となりました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度におきましては、インキュベーションテクノロジー事業及びフィナンシャルテクノロジー事業は好調に推移し、事業セグメントに属していない全社共通の金融資産(投資有価証券)において公正価値測定による評価益を計上したことから増収増益となった結果、収益は72,955百万円、税引前利益は45,393百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は30,330百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におきましては、主に営業投資有価証券の増加の一方、税引前利益に加え、営業債務及びその他の債務が増加し、営業債権及びその他の債権が減少した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは7,059百万円の獲得となりました。
投資活動としましては、主に有形固定資産や無形資産の取得、投資有価証券の取得による支出の結果、投資活動によるキャッシュ・フローは7,978百万円の使用となりました。
財務活動としましては、主に借入れやリースの返済による支出があった一方、長期借入金や自己株式の処分による収入の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは6,244百万円の獲得となりました。
これらにより当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、43,415百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ.生産実績
当社グループの事業は、提供する主要なサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから、記載を省略しております。
ⅱ.受注実績
当社グループの提供する主要なサービスは、受注から売上までの期間が短期間であり、期中の受注高と販売実績がほぼ対応するため、記載を省略しております。
ⅲ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 前年同期比(%) | |
フィナンシャルテクノロジー事業 | (百万円) | 10,762 | 111.3 |
マーケティングテクノロジー事業 | (百万円) | 13,031 | 99.9 |
インキュベーションテクノロジー事業 | (百万円) | 32,787 | 285.6 |
ロングタームインキュベーション事業 | (百万円) | 4,567 | 77.0 |
調整額 | (百万円) | 11,808 | - |
合計 | (百万円) | 72,955 | 180.2 |
※1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
※2 調整額は、セグメントに配分していない主に本社機能から生ずる金融収益等の全社収益であります。
※3 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
(単位:百万円)
前連結会計年度 (2021年3月31日) | 当連結会計年度 (2022年3月31日) | 前年同期比 | |||
増減額 | 増減率 (%) | ||||
流動資産 | 113,548 | 147,642 | 34,094 | 30.0 | |
非流動資産 | 64,753 | 83,965 | 19,212 | 29.7 | |
資産合計 | 178,301 | 231,607 | 53,306 | 29.9 | |
流動負債 | 56,865 | 59,242 | 2,377 | 4.2 | |
非流動負債 | 58,355 | 75,149 | 16,794 | 28.8 | |
負債合計 | 115,220 | 134,390 | 19,171 | 16.6 | |
資本合計 | 63,082 | 97,217 | 34,136 | 54.1 |
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて53,306百万円増加し、231,607百万円となりました。この主な要因は、決済事業等に係る営業債権及びその他の債権が2,112百万円減少した一方、営業投資有価証券が30,780百万円、その他の金融資産(非流動資産)が15,439百万円、現金及び現金同等物が5,427百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて19,171百万円増加し、134,390百万円となりました。この主な要因は、金融資産の公正価値の増加等により繰延税金負債が13,486百万円、社債及び借入金(流動負債及び非流動負債)が4,315百万円、決済事業等に係る営業債務及びその他の債務が3,989百万円増加したことによるものであります。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて34,136百万円増加し、97,217百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が配当金により1,475百万円減少した一方、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により30,330百万円増加したほか、自己株式の処分により資本剰余金が1,206百万円増加し、自己株式が3,422百万円減少したことによるものであります。
なお、セグメント資産及び負債については、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象とはなっておりません。
ⅱ.経営成績
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 前年同期比 | ||
増減額 | 増減率 (%) | |||
収益 | 40,478 | 72,955 | 32,476 | 80.2 |
税引前利益 | 14,317 | 45,393 | 31,077 | 217.1 |
当期利益 | 9,518 | 30,149 | 20,631 | 216.7 |
親会社の所有者に帰属する 当期利益 | 9,786 | 30,330 | 20,545 | 209.9 |
当期包括利益 | 11,284 | 29,733 | 18,449 | 163.5 |
当連結会計年度の経営成績につきましては、収益は72,955百万円(前年同期比32,476百万円増、同80.2%増)、税引前利益は45,393百万円(前年同期比31,077百万円増、同217.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は30,330百万円(前年同期比20,545百万円増、同209.9%増)となりました。インキュベーションテクノロジー事業において、営業投資有価証券の公正価値が大幅に伸長し、フィナンシャルテクノロジー事業においては主力の決済事業が堅調に推移しました。また、事業セグメントに属していない全社共通の金融資産(投資有価証券)の公正価値測定による評価益も計上し、これらの結果、増収増益となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 前年同期比 | |||
増減額 | 増減率 (%) | ||||
フィナンシャル テクノロジー事業 | 収益 | 9,666 | 10,762 | 1,096 | 11.3 |
税引前利益 | 4,118 | 4,548 | 431 | 10.5 | |
マーケティング テクノロジー事業 | 収益 | 13,049 | 13,031 | △17 | △0.1 |
税引前利益 | 735 | 883 | 149 | 20.2 | |
インキュベーション テクノロジー事業 | 収益 | 11,482 | 32,787 | 21,305 | 185.6 |
税引前利益 | 10,264 | 31,215 | 20,951 | 204.1 | |
ロングタームインキュベーション事業 | 収益 | 5,931 | 4,567 | △1,364 | △23.0 |
税引前利益 | 2,653 | 1,380 | △1,272 | △48.0 | |
調整額 | 収益 | 351 | 11,808 | 11,456 | - |
税引前利益 | △3,452 | 7,366 | 10,818 | - | |
合計 | 収益 | 40,478 | 72,955 | 32,476 | 80.2 |
税引前利益 | 14,317 | 45,393 | 31,077 | 217.1 |
[フィナンシャルテクノロジー事業]
フィナンシャルテクノロジー事業では、Eコマース(EC)をはじめとするBtoCの商取引に必要不可欠なクレジットカード決済やコンビニ決済等の電子決済ソリューションの提供を行っております。
当連結会計年度は、決済事業を展開する㈱DGフィナンシャルテクノロジーが、多様な決済ソリューションを提供し高成長を継続致しました。新型コロナウイルス感染症拡大による特需の一部反動あるも、EC市場拡大による取扱い増加や旅行関連決済の回復に加え、モバイルオーダー事前オンライン決済等の新規決済手段による取扱いや国内中心に対面決済の取扱いが好調に増加し、決済取扱高は前年同期比約18%増の約3兆5,978億円、決済取扱件数は同約10%増の約7.2億件まで伸長致しました。
これらの結果、当連結会計年度における収益は10,762百万円(前年同期比1,096百万円増、同11.3%増)、税引前利益は4,548百万円(前年同期比431百万円増、同10.5%増)となりました。
[マーケティングテクノロジー事業]
マーケティングテクノロジー事業では、インターネットとリアルを融合した総合的なデジタルマーケティングや様々なデータを活用したデータマーケティングビジネスを行っております。
当連結会計年度は、インターネット広告を手掛ける当社マーケティングテクノロジーカンパニーにおいて、主力のデジタルアド事業が堅調に推移致しました。特に、通信キャリア決済・クレジットカード等の金融向けのフィンテック関連プロモーションにおいては、広告取扱高が前年同期比約11%増の約177億円と堅調に増加致しました。一方、受託開発案件の減少やデジタルアド事業において注力業種の見直しを実施したこと等により、収益は13,031百万円(前年同期比17百万円減、同0.1%減)、税引前利益は883百万円(前年同期比149百万円増、同20.2%増)となりました。
[インキュベーションテクノロジー事業]
インキュベーションテクノロジー事業では、国内外のスタートアップ企業等への投資及び当社グループ内の事業との連携による投資先の育成等を行っております。
当連結会計年度は、投資先のIPO、ファイナンスによる公正価値の大幅増加及び海外上場銘柄を中心に売却したこと、また外国為替相場が円安傾向で推移したこと等により、収益は32,787百万円(前年同期比21,305百万円増、同185.6%増)、税引前利益は31,215百万円(前年同期比20,951百万円増、同204.1%増)となりました。
また、営業投資有価証券の残高は77,950百万円(前連結会計年度末比30,780百万円増)となりました。
[ロングタームインキュベーション事業]
ロングタームインキュベーション事業では、当社グループがこれまで培ってきた投資育成や事業開発のノウハウを活かし、中長期的かつ継続的な事業利益の創出に取り組んでおります。
当連結会計年度は、持分法適用会社である㈱カカクコムの業績が新型コロナウイルス感染症拡大の影響から回復しました。一方、前連結会計年度において連結子会社の事業譲渡を実施したことや当連結会計年度において連結子会社におけるのれんの減損損失を計上したこと等により、収益は4,567百万円(前年同期比1,364百万円減、同23.0%減)、税引前利益は1,380百万円(前年同期比1,272百万円減、同48.0%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 前年同期比 増減額 | ||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 7,047 | 7,059 | 12 | |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △864 | △7,978 | △7,114 | |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △914 | 6,244 | 7,157 | |
現金及び現金同等物の期末残高 | 37,989 | 43,415 | 5,427 | |
有利子負債(リース負債除く) | 45,617 | 49,932 | 4,315 | |
短期 (1年以内返済予定の長期有利子負債は除く) | 3,850 | 6,500 | 2,650 | |
長期 | 41,767 | 43,432 | 1,665 |
ⅰ.キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、43,415百万円(前年同期比5,427百万円増、同14.3%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は7,059百万円となりました。収入の主な内訳は、税引前利益45,393百万円、営業債務及びその他の債務の増加額4,170百万円、営業債権及びその他の債権の減少額2,383百万円であり、支出の主な内訳は、営業投資有価証券の増加額30,444百万円、投資有価証券に関する利益12,581百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は7,978百万円となりました。支出の主な内訳は、投資有価証券の取得による支出4,794百万円、有形固定資産の取得による支出1,501百万円、無形資産の取得による支出1,354百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、獲得した資金は6,244百万円となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入11,700百万円、自己株式の処分による収入4,629百万円、短期借入金の純増額2,650百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出10,330百万円、リース負債の返済による支出1,738百万円、配当金の支払額1,474百万円であります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金調達)
当社グループは、事業の維持拡大に必要なレベルの流動性確保と財務の健全性・安全性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達手段の多様化と資本効率の向上を企図し、金融機関からの借入や転換社債型新株予約権付社債の発行等、一部有利子負債を活用しております。また、複数の金融機関との間で総額100億円のコミットメントライン契約を締結することで、十分な資金の流動性を確保しております。
当連結会計年度末における有利子負債(リース負債除く)の残高は、49,932百万円であります。
当社グループでは、年度事業計画に基づく資金調達計画を策定するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・管理しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、主要な取引先金融機関と良好な取引関係を維持し、加えて財務体質の強化にも努めております。
なお、当社グループでは、長期かつ安定的な資金調達を行うべく、短期借入金に依存した資金調達は実施しておりません。その結果として、当連結会計年度末における有利子負債(リース負債除く)に占める短期借入金(1年以内返済予定の長期借入金は除く)の比率は13.0%となりました。
(資金需要の主な内容)
当社グループの事業資金需要の主なものは、各事業セグメントにおける事業資金及び販売費及び一般管理費等の営業費用等のほか、フィナンシャルテクノロジー事業における収納代行業務の一時的な立替資金によるものであります。また、投資資金需要の主なものは、フィナンシャルテクノロジー事業のシステム機能拡充・強化等によるものに加え、インキュベーションテクノロジー事業を中心とした株式等の投資によるものであります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら対応していく方針であります。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、2021年3月期を初年度とし「Designing our New Normal Context」をスローガンに掲げた中期経営計画(2021年3月期から2025年3月期までの5ヵ年)を策定しております。
中期経営計画の2年目である2022年3月期は、フィナンシャルテクノロジー事業では、新型コロナウイルス感染症拡大による特需の一部反動があったものの、EC市場の拡大による取扱い増加や旅行系の決済の回復に加え、国内対面決済の取扱い増加等により、増収増益を達成致しました。
マーケティングテクノロジー事業では、主力の金融クライアント向けの広告取扱高が前期比11%増と増加した一方で、CRM等の受託開発案件が減少したことやデジタルアド事業において注力業種の見直しを実施したこと等により、減収増益となりました。
ロングタームインキュベーション事業では、持分法適用会社である㈱カカクコムが新型コロナウイルス感染症拡大の影響から回復し、ECや求人サイトも堅調に推移した一方で、連結子会社におけるのれんの減損損失を計上したこと等により減収減益となりました。
インキュベーションテクノロジー事業では、海外上場銘柄を中心に売却したことにより、投資ハードルレート(ROI)は5.1倍と、目標の2.5倍を上回る結果となりました。米国の投資先がナスダック上場を果たすなど、FinTech/DX先進企業への戦略出資が奏功しております。また、インドネシア投資先の上場やインド投資先が上場申請をするなど、北米・アジア・日本等の各エリアの投資が順調に進捗しております。
また、ROEは38.4%、税引前事業キャッシュフローに対する配当性向は23.7%とそれぞれ目標を上回る結果となり、資本効率の向上と安定した株主還元の実現を図ることができました。
定量目標に対する実績は以下のとおりであります。
中期経営計画の定量目標に対する実績(2021年3月期~2022年3月期)
成長性指標(税引前利益 年平均成長率) | 目標値 | 実績 | ||
フィナンシャルテクノロジー事業 | 20%以上 | +6.0% | ||
マーケティングテクノロジー事業 | 20%以上 | △30.9% | ||
ロングタームインキュベーション事業 | 15%以上 | △45.8% | ||
投資ハードルレート(ROI) | 目標値 | 実績 | ||
2021年3月期 | 2022年3月期 | |||
インキュベーションテクノロジー事業 | 2.5倍 | 3.5倍 | 5.1倍 | |
資本収益性指標 | 目標値 | 実績 | ||
2021年3月期 | 2022年3月期 | |||
ROE | 20%以上 | 17.1% | 38.4% | |
株主還元指標 | 目標値 | 実績 | ||
2021年3月期 | 2022年3月期 | |||
税引前事業キャッシュフローに対する配当性向 | 20%以上 | 20.6% | 23.7% |
※ 投資ハードルレートは、日本基準をベースとした利益実績を基に算出しております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。