訂正有価証券報告書-第23期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2022/11/14 15:57
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、企業収益の回復や雇用環境の改善などを背景として緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、海外におきましては、米国やEU諸国などの不安定な政治情勢や、アジア地域などにおける地政学的リスクの高まりなど、先行きは依然として不透明な状況が続いております。一方で、インターネットビジネスを取り巻く環境につきましては、平成28年9月末時点での国内のインターネット利用者数は1億84万人、人口普及率は83.5%と前年比ほぼ横ばいとなっておりますが、端末別の利用者の割合をみるとスマートフォンは57.9%(前年比3.6ポイント増)と継続的に拡大基調にあります(注1)。また、平成29年のインターネット広告費は前年比27.3%増と高い成長率で拡大している運用型広告が市場を牽引し、前年比15.2%増の1兆5,094億円となり(注2)、消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は前年比9.1%増の16兆5,054億円と堅調に拡大を続けております(注3)。
出所 (注1)総務省「平成28年通信利用動向調査の結果」
(注2)㈱電通「2017年日本の広告費」
(注3)経済産業省「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」
このような事業環境の下、当社は当連結会計年度より「Open Incubation toward 2020」をスローガンに掲げた新中期経営計画をスタート致しました。「IT/MT/FT×Open Innovation」をスローガンとして掲げた前中期経営計画の基本方針は変えず、様々な企業と協力しながら技術革新を進める「Open Innovation」をさらに一歩進め、将来性のある事業の萌芽をグループ会社や他社との連携によるオープンなエコシステムのなかで育成するという意味を「Open Incubation」という言葉に込めております。スタートアップから大企業まで先進的取り組みを行う様々な企業と連携しながら、技術革新がもたらす新しいビジネスをコンテクストで結び、新しい日本をインキュベートしていきます。
新中期経営計画の策定に伴い、当連結会計年度より、従来の報告セグメントのうち、「メディアインキュベーション事業」を「ロングタームインキュベーション事業」へ変更致しました。この変更は、中長期かつ継続的な事業利益の創出に取り組むことを意図としたものであり、これに伴い従来「インキュベーションテクノロジー事業」に含まれていた一部の事業会社等を「ロングタームインキュベーション事業」に移管しております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
ⅰ.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて15,871百万円増加し、75,496百万円となりました。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて1,233百万円増加し、33,295百万円となりました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて10,724百万円増加し、49,540百万円となりました。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて1,733百万円増加し、20,233百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べて4,646百万円増加し、39,017百万円となりました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度の業績につきましては、マーケティングテクノロジー事業及びフィナンシャルテクノロジー事業が順調に推移し、また、インキュベーションテクノロジー事業において、前連結会計年度を上回る保有有価証券の売却を実行したことにより、売上高は60,168百万円、営業利益は2,310百万円となりました。また、ロングタームインキュベーション事業が堅調に推移したこと等により、持分法による投資利益2,768百万円を計上し、経常利益は5,017百万円となりました。さらに、関係会社株式売却益1,471百万円及び投資有価証券売却益1,032百万円を特別利益に計上したこと等から、税金等調整前当期純利益は7,619百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5,460百万円となりました。
なお、当社は、前連結会計年度より決算期の末日を6月30日から3月31日に変更致しました。これに伴い、前連結会計年度は経過期間となり、当社及び6月決算から3月決算に変更した連結対象会社は9ヶ月間(平成28年7月1日~平成29年3月31日)、連結決算日変更前から3月決算であった連結対象会社は12ヶ月間(平成28年4月1日~平成29年3月31日)を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、前年同期との比較分析は行っておりません。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
[マーケティングテクノロジー事業]
マーケティングテクノロジー事業では、当連結会計年度における売上高は34,938百万円、税金等調整前当期純利益は1,959百万円となりました。
[フィナンシャルテクノロジー事業]
フィナンシャルテクノロジー事業では、当連結会計年度における売上高は20,956百万円、税金等調整前当期純利益は2,539百万円となりました。
[インキュベーションテクノロジー事業]
インキュベーションテクノロジー事業では、当連結会計年度における売上高は3,123百万円、税金等調整前当期純利益は1,325百万円となりました。
[ロングタームインキュベーション事業]
ロングタームインキュベーション事業では、当連結会計年度における売上高は1,150百万円、税金等調整前当期純利益は3,176百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて12,913百万円増加し、38,248百万円ととなりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は14,293百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、獲得した資金は1,008百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は2,307百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ.生産実績
当社グループの事業は、提供する主要なサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから、記載を省略しております。
ⅱ.受注実績
当社グループの提供する主要なサービスは、受注から売上までの期間が短期間であり、期中の受注高と販売実績がほぼ対応するため、記載を省略しております。
ⅲ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
マーケティングテクノロジー事業(百万円)34,938-
フィナンシャルテクノロジー事業(百万円)20,956-
インキュベーションテクノロジー事業(百万円)3,123-
ロングタームインキュベーション事業(百万円)1,150-
合計(百万円)60,168-

※1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
※2 金額には、消費税等は含まれておりません。
※3 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
※4 前連結会計年度より決算期の末日を6月30日から3月31日に変更致しました。従いまして、前連結会計年度は経過期間となり、当社及び6月決算から3月決算に変更した連結対象会社は9ヶ月間(平成28年7月1日~平成29年3月31日)、連結決算日変更前から3月決算であった連結対象会社は12ヶ月間(平成28年4月1日~平成29年3月31日)を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、対前年同期比については記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.経営成績等
イ.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて15,871百万円増加し、75,496百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が9,892百万円、決済事業に係る金銭の信託が3,043百万円、未収入金が1,466百万円、受取手形及び売掛金が685百万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて1,233百万円増加し、33,295百万円となりました。この主な要因は、投資有価証券が1,805百万円減少した一方、のれんが2,410百万円、ソフトウエアが235百万円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて10,724百万円増加し、49,540百万円となりました。この主な要因は、短期借入金が2,100百万円減少した一方、決済事業等に係る預り金が11,371百万円、支払手形及び買掛金が1,304百万円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて1,733百万円増加し、20,233百万円となりました。この主な要因は、長期借入金が1,682百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べて4,646百万円増加し、39,017百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上により5,460百万円増加した一方、剰余金の配当により942百万円減少したことによるものであります。
ロ.経営成績
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度につきましては、マーケティングテクノロジー事業及びフィナンシャルテクノロジー事業が順調に推移し、また、インキュベーションテクノロジー事業において、前連結会計年度を上回る保有有価証券の売却を実行したことにより、売上高は60,168百万円、営業利益は2,310百万円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、ロングタームインキュベーション事業が堅調に推移したこと等により、持分法による投資利益2,768百万円を計上し、経常利益は5,017百万円となりました。
(税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における当期純利益は、関係会社株式売却益1,471百万円及び投資有価証券売却益1,032百万円を特別利益に計上したこと等から、税金等調整前当期純利益は7,619百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5,460百万円となりました。
ハ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、38,248百万円と前連結会計年度末と比べ12,913百万円(51.0%)の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は14,293百万円となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益7,619百万円に加え、預り金の増加額11,365百万円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額1,228百万円、売上債権の増加額907百万円、未収入金の増加額411百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、獲得した資金は1,008百万円となりました。収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入2,863百万円、関係会社株式の売却による収入1,763百万円であり、支出の主な内訳は、投資有価証券の取得による支出1,190百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出1,142百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出538百万円、関係会社出資金の払込による支出500百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は2,307百万円となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入5,600百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出4,879百万円、短期借入金の純減額2,200百万円、配当金の支払額943百万円であります。
ⅱ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
ⅲ.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの運転資金需要の主なものは、収納代行業務における一時的な立替資金や投資事業における棚卸資産(営業投資有価証券)の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用等によるものであります。また、設備投資資金の主なものは、フィナンシャルテクノロジー事業のシステム機能拡充・強化等によるものであります。
(財務政策)
当社グループの運転資金につきましては、手持資金(利益等の内部留保資金)で賄っておりますが、手持資金に不足が生じた場合には当座貸越を利用するか、短期借入金で資金調達を行っております。また、設備投資資金等につきましては、大規模な企業買収等、多額の資金が必要となる投資を行う場合には、案件ごとに、手持資金の状況を勘案しながら、長期借入金により資金調達を行っております。
ⅳ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上を意識した経営を推進すべく、「自己資本当期純利益率(ROE)」及び「配当性向(連結)」等を経営指標として採用しています。当連結会計年度における「自己資本当期純利益率(ROE)」は15.3%(前年同期比1.8ポイント増)であり、「配当性向(連結)」は20.7%(前年同期比1.3ポイント減)となりました。引き続き、これらの指標を改善するよう取り組んで参ります。
ⅴ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
[マーケティングテクノロジー事業]
マーケティングテクノロジー事業では、ウェブとリアルを融合した総合プロモーション及びインターネット広告等のウェブマーケティングやビッグデータを活用したデータマネジメントビジネスを行っております。
インターネット広告を手掛ける当社マーケティングテクノロジーカンパニーは、パフォーマンスアドがスマートフォン/アプリ分野をはじめ様々な分野に浸透し、売上高が順調に拡大致しました。広告種別には、ソーシャル広告の取扱いが拡大致しました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は34,938百万円、税金等調整前当期純利益は1,959百万円となりました。
[フィナンシャルテクノロジー事業]
フィナンシャルテクノロジー事業では、Eコマース(EC)をはじめとするBtoCの商取引に必要不可欠なクレジットカード決済やコンビニ決済等の電子決済ソリューションの提供を行っております。
決済事業を展開するベリトランス㈱及び㈱イーコンテクストにおいて、引き続きCtoC領域(個人間取引)を中心に事業が順調に拡大していることに加え、訪日外国人によるインバウンド決済、飲食や不動産、葬儀など各業界に特化した非EC決済や仮想通貨取引所向けの決済が増加した結果、当期の決済取扱高は1兆5,000億円を超え、市場成長率を上回って伸長致しました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は20,956百万円、税金等調整前当期純利益は2,539百万円となりました。
[インキュベーションテクノロジー事業]
インキュベーションテクノロジー事業では、国内外のベンチャー企業への投資及びマーケティングや決済といった当社グループ内の事業との連携による投資先の育成などを行っております。
米国企業向けデータセキュリティ領域のソリューション開発・提供事業において売上高が順調に拡大し、また、投資事業において、国内外で保有有価証券の売却が進んだこと等により、前連結会計年度を上回る売却益等を計上致しました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は3,123百万円、税金等調整前当期純利益は1,325百万円となりました。
[ロングタームインキュベーション事業]
ロングタームインキュベーション事業では、当社がこれまで培ってきた投資育成や事業開発のノウハウを活かし、コンテンツ事業及びライフスタイル支援事業等の拡大を通じて、中長期的かつ継続的な事業利益の創出に取り組んでおります。
持分法適用関連会社である㈱カカクコムの業績が順調に推移した等の結果、当連結会計年度における売上高は1,150百万円、税金等調整前当期純利益は3,176百万円となりました。
なお、セグメント資産及び負債については、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象とはなっていないため記載しておりません。