有価証券報告書-第40期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/22 14:45
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当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
①業績等の概要
(経済及び業界の環境)
当連結会計年度のわが国経済は、全般的に緩やかな回復が継続しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大影響により、経済活動が急速に落ち込み、先行きの不確実性が高まっております。
企業収益は製造業を中心に弱含む中ではあったものの、概ね底堅く推移し、顧客企業におけるシステム投資は堅調に推移いたしました。
(企業集団の営業の経過及び成果)
当連結会計年度は、事業部間の密接な連携による営業活動展開、本体・子会社が一体となった開発実行体制の拡充など、お客様とのリレーションシップの更なる強化に向けた取組みを推進いたしました。また、日本製鉄㈱向けシステム対応、サービスビジネスの強化、デジタルイノベーションの展開、働き方変革への取り組み及び本社オフィスの2拠点化など当社の持続的な成長に向けた諸課題に取り組みました。
日本製鉄㈱向けシステム対応につきましては、同社の高度IT活用に向けたデータ解析・AI開発プラットフォーム「NS-DIG™(エヌエスディグ)」の構築支援を行う等、日本製鉄グループの事業体制強化に向けた取り組みを進めました。
サービスビジネスの強化につきましては、日本オラクル㈱のOracle Cloudデータセンター東京リージョンと当社のマネージドクラウド・サービス「absonne(アブソンヌ)」を接続したマルチクラウドサービスを開始しました。また、日本マイクロソフト㈱が提供するクラウドプラットフォームMicrosoft Azureへの既存システムの移行を効率化するアセスメントサービスの提供を開始し、サービスメニューの拡充を図りました。
デジタルイノベーションの展開につきましては、AI機械学習プラットフォームであるDataRobotを90社以上のお客様に提供しており、お客様のAI活用とDX(デジタルトランスフォーメーション)推進への更なる貢献のためDataRobot社と戦略的業務提携契約を締結し、同社に出資いたしました。また、データ利活用によるビジネス戦略の立案や新しいサービスの創出をスピーディかつ仮説検証的に行うため、直感的なデータ分析を可能とする「ThoughtSpot(ソートスポット)」を採用し、ビジネスユーザ自身によるデータ分析を支援するデータアナリティクスソリューションに取り組みました。さらに、工場等の製造現場における安全管理のIoXソリューション「安全見守りくん」のラインナップを拡充し、お客様のニーズへ柔軟に対応するためのエントリーモデルの販売を開始しました。加えて、お客様におけるDXを推進するデータ収集・活用基盤となる自営無線網(ローカル5G/プライベートLTE)のソリューションの整備・展開を推進するとともに、日本製鉄㈱室蘭製鉄所において、生産現場へソリューションを提供するための実証実験の検討を開始しました。
全社的な取り組みを進めている働き方変革につきましては、社員一人一人が、より健康で意欲的に仕事に取り組める就業環境を構築するべく、効率的な働き方の実現による総労働時間の削減や有休取得の拡大に継続して取り組みました。また、SE業務の一層の高度化と生産性向上を狙い、コンテナ・PaaSの最新技術を活用したモダン開発環境プラットフォーム「TetraLink」を構築しました。当社は豊かな社会づくりに向けてESGの観点で様々な事業活動に取り組んでおり、社内においては、ダイバーシティ&インクルージョン施策、働き方変革及び健康経営に取り組み、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2020」に認定されました。また、ESG投資のための株価指数である「FTSE4Good Index Series」及び「FTSE Blossom Japan Index」構成銘柄に採用されました。
本社地区オフィスの2拠点化(新川地区:住友ツインビル、虎ノ門地区:虎ノ門ヒルズビジネスタワー)につきましては、執務環境の刷新・改善による社員間のコミュニケーション強化、コラボレーションの促進等による効率的かつ創造的な働き方の実現や大規模自然災害の発生等による事業継続リスク低減に向け、着実に準備を進めました。虎ノ門地区オフィスでの業務を2020年5月より開始するとともに、新川地区のオフィス再整備を実行し、虎ノ門・新川の2拠点において働きやすく創造的な執務環境を実現いたします。
また、新型コロナウイルス感染症の発生と拡大を受け、当社は社員及びパートナー社員の安全と健康に配慮していち早くリモートワーク環境を整え、リモートワーク対象者、対象業務範囲を拡大し、事業継続性を確保する取り組みを行っております。
当連結会計年度の売上高は、274,843百万円と前連結会計年度(255,116百万円)と比べ19,727百万円の増収となりました。売上総利益は、増収の影響により増益となりました。販売費及び一般管理費は、営業力強化に加え、研究開発、採用・教育、社内基盤整備の実行により増加しました。経常利益は、28,275百万円と前年同期(25,812百万円)と比べ2,462百万円の増益となりました。
当連結会計年度をサービス分野別(業務ソリューション事業、サービスソリューション事業)に概観しますと、以下のとおりであります。
(業務ソリューション事業)
業務ソリューション事業につきましては、当連結会計年度の売上高は180,071百万円と前連結会計年度(165,479百万円)と比べ14,591百万円の増収となりました。
産業、流通・サービス分野
産業、流通・サービス分野向けにつきましては、製造業、輸送、旅行、小売り向けのシステム投資の増加に加え、大型基盤案件が寄与し、売上高は前年同期と比べ増収となりました。
金融分野
金融分野向けにつきましては、プロダクトを中心に増加し、売上高は前年同期と比べ増収となりました。
公共公益分野
公共公益分野向けにつきましては、官公庁案件の積み上がり等により、売上高は前年同期と比べ増収となりました。
(サービスソリューション事業)
サービスソリューション事業につきましては、当連結会計年度の売上高は、94,772百万円と前連結会計年度(89,636百万円)と比べ5,136百万円の増収となりました。
ITインフラ分野
ITインフラ分野につきましては、ITインフラ分野におけるマルチクラウド案件、DaaS/VDI案件等が増加し、売上高は前年同期と比べ増収となりました。
鉄鋼分野
鉄鋼分野につきましては、日本製鉄㈱の高度IT活用によるIT投資が高い水準で推移したことにより、売上高は前年同期と比べ増収となりました。
② 経営成績の分析
1)売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度の255,116百万円に対し7.7%増収の274,843百万円となりました。サービス分野別の状況は以下のとおりであります。
業務ソリューション事業につきましては、当連結会計年度の売上高は180,071百万円と前連結会計年度(165,479百万円)と比べ14,591百万円の増収となりました。
サービスソリューション事業につきましては、当連結会計年度の売上高は、94,772百万円と前連結会計年度(89,636百万円)と比べ5,136百万円の増収となりました。
2)売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度の202,820百万円に対し7.6%増加し218,244百万円となりました。その結果、売上高総利益率は、前連結会計年度の20.5%に対し0.1%向上し20.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、営業力強化に加え、研究開発、採用・教育、社内基盤整備の実行により前連結会計年度の26,910百万円に対し4.8%増加し28,210百万円となりました。
3)営業利益
当連結会計年度の営業利益は、販売費及び一般管理費が増加したものの、売上総利益の増益により、前連結会計年度の25,385百万円に対し11.8%増加し28,387百万円となりました。
4)営業外損益
当連結会計年度の営業外損益は、特別調査費用等及び事業撤退損失引当金繰入額の増加等により、前連結会計年度の427百万円に対し539百万円減少し△112百万円となりました。
5)経常利益
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度の25,812百万円に対し9.5%増加し28,275百万円となりました。
6)特別損益
当連結会計年度の特別損益は、退職給付費用、退職給付制度終了損及びオフィス整備費用があったものの、投資有価証券売却益により388百万円となりました。前連結会計年度の特別損益は、オフィス整備費用があったものの、投資有価証券売却益により2百万円でした。
7)税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の25,815百万円に対し11.0%増加し28,663百万円となりました。
8)法人税等
当連結会計年度の法人税等は、前連結会計年度の8,475百万円に対し10.7%増加し9,386百万円となりました。
9)非支配株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の625百万円に対し15.9%増加し725百万円となりました。
10)親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の16,713百万円に対し11.0%増加し18,552百万円となりました。また、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の178.44円に対し13.6%増加し202.76円となりました。
③生産、受注及び販売の状況
当社は情報サービス単一セグメントでありますが、サービス分野別の当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)の生産実績、受注実績及び販売実績を示すと、次のとおりであります。
1)生産実績
(単位:百万円)
サービス分野別の名称生産高前年同期比
業務ソリューション事業179,3496.6%
サービスソリューション事業92,6540.5%
合計272,0044.4%

(注)1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2)受注実績
(単位:百万円)
サービス分野別の名称受注高前年同期比受注残高前年同期比
業務ソリューション事業176,646△0.1%74,225△4.4%
サービスソリューション事業91,651△2.7%52,655△5.6%
合計268,298△1.0%126,880△4.9%

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3)販売実績
(単位:百万円)
サービス分野別の名称販売高前年同期比
業務ソリューション事業180,0718.8%
サービスソリューション事業94,7725.7%
合計274,8437.7%

最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
相手先前連結会計年度
(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
販売高割合(%)販売高割合(%)
日本製鉄㈱51,04120.055,98320.4

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
(貸借対照表)
①資産の部
当連結会計年度末の資産の部は、前連結会計年度末232,779百万円から7,668百万円増加し、240,448百万円となりました。主な内訳は、預け金の増加8,410百万円、受取手形及び売掛金の増加5,332百万円、投資有価証券の減少△6,386百万円であります。
②負債の部
当連結会計年度末の負債の部は、前連結会計年度末86,878百万円から1,822百万円減少し、85,055百万円となりました。主な内訳は、前受金の減少△1,856百万円であります。
③純資産の部
当連結会計年度末の純資産の部は、前連結会計年度末145,901百万円から9,491百万円増加し、155,392百万円となりました。主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益18,552百万円、配当金の支払5,490百万円、その他有価証券評価差額金の減少△4,101百万円であります。その結果、自己資本比率は62.2%となります。
(3) キャッシュ・フロー
(キャッシュ・フロー計算書)
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、58,036百万円となりました。前連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額が1,753百万円であったのに対し、当連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額は9,599百万円となりました。各活動区分別には以下のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度は、税金等調整前当期純利益25,815百万円、減価償却費4,858百万円、たな卸資産の増加△5,419百万円、企業間信用△6,107百万円、法人税等の支払△7,165百万円等により19,690百万円となりました。一方、当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益28,663百万円、減価償却費5,205百万円、たな卸資産の減少2,824百万円、企業間信用△6,644百万円、法人税等の支払△9,421百万円等により19,366百万円となりました。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度は、有価証券の償還による収入2,000百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出△2,612百万円、投資有価証券の取得による支出△2,030百万円、投資有価証券の売却による収入1,156百万円等により△1,624百万円となりました。一方、当連結会計年度は、有形及び無形固定資産の取得による支出△5,577百万円、投資有価証券の取得による支出△1,652百万円、投資有価証券の売却による収入2,558百万円、投資有価証券の償還による収入2,000百万円等により△2,975百万円となりました。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度は、自己株式の取得による支出△10,001百万円、配当金の支払△4,953百万円、リース債務の返済による支出△1,078百万円等により△16,255百万円となりました。一方、当連結会計年度は、配当金の支払△5,490百万円、リース債務の返済による支出△1,072百万円等により△6,796百万円となりました。
(資本の財源、資金の流動性に係る情報)
①基本方針
当社グループは将来にわたり競争力を維持強化し、企業価値を高めていくことが重要と考えております。
そのため、最新テクノロジーによるSI業務の生産性向上や、DXビジネスの推進、グローバルビジネスの拡大、エンゲージメントの高い組織づくり等による事業成長及び広域災害等の事業リスクに備えた内部留保確保をするとともに、利益配分につきましては株主の皆様に対する適正かつ安定的な配当等を行うことを基本としております。
配当につきましては、連結業績に応じた利益還元を重視し連結配当性向30%を目安といたします。
②資金需要及び資金調達の主な内容
当社グループの主要な資金需要は、材料費、外注費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備投資等であります。これらの資金需要につきましては自己資金により充当しております。
手許の運転資金につきましては、当社及び一部の国内子会社において当社のキャッシュマネージメントシステム(CMS)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理をしております。また、当社は、日本製鉄㈱のCMSを利用しており、当連結会計年度末は53,794百万円を預け入れております。
突発的な資金需要に対しては、大手各行及び親会社である日本製鉄㈱に対し当座借越枠を確保することにより、流動性リスクに備えております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
その作成には、経営者による見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債、及び開示期間の収益・費用の金額に影響を与えます。これらの見積りについては過去の実績等、連結財務諸表及び財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大により見積りに大きな影響を与える事象は発生しておりません。しかしながら、今後の事業に対する影響につきましては、注視していく必要があるものと考えております。