有価証券報告書-第43期(2022/04/01-2023/03/31)
※当社グループは当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
①業績等の概要
(経済及び業界の環境)
当連結会計年度のわが国経済は、一部に弱さが見られるものの緩やかに持ち直しておりますが、世界的な金融引き締めなどによる海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクがあり、先行き不透明な状況が続いております。また、物価上昇、供給面での制約、金融市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
企業収益は総じてみれば改善しておりますが、一部に弱含みの傾向が見られ、顧客企業におけるシステム投資については、緩やかな増加となりました。
(企業集団の営業の経過及び成果)
当社グループは、2021-2025年度中期事業方針(2021年4月公表)に基づき、「デジタル製造業」「プラットフォーマー支援」「デジタルワークプレースソリューション」「ITアウトソーシング」の4領域について事業成長を牽引する「注力領域」として定め、お客様のDX推進に伴うニーズを最大限に獲得し、事業拡大に取り組んでおります。
デジタル製造業領域につきましては、日本製鉄㈱向けに、各製鉄所製造拠点データを一元管理する無線IoTセンサ活用プラットフォーム「NS-IoT」を構築し、設備の早期異常検知を目的とした実運用を4月より開始したほか、経営情報やKPIをリアルタイムに把握し的確なアクションを可能とする統合データプラットフォーム「NS-Lib」を構築するなど、同社のDX推進に向けた取り組みを進めてまいりました。各製鉄所で個々に蓄積しているデータや経営上必要とするデータを統合するこれらの取り組みが高く評価され、一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム主催の「データマネジメント2023」において同社が大賞を受賞することに貢献いたしました。また、当社の統合データマネジメントプラットフォーム「DATAOPTERYX(データオプテリクス)」についてDXを推進する企業様向けに提供を開始し、製薬企業と共同で統合データ利活用基盤を構築いたしました。加えて、製造業のお客様向けには、工場内の天井クレーンの遠隔運転の実現に向けたローカル5Gソリューション「nsraven(エヌエスレイヴン)」の提供を開始するなど、製造現場のDX推進支援を進めてまいりました。
プラットフォーマー支援領域ではネットサービス・EC(エレクトロニックコマース)事業者などのプラットフォーマーや金融サービス分野のDX推進、デジタルワークプレースソリューション領域では仮想デスクトップサービスである「M³DaaS@absonne(エムキューブダース・アット・アブソンヌ)」のセキュリティ強化などの機能拡充、ITアウトソーシング領域ではマルチクラウド化を推進するソリューションの提供など、注力領域の成長に向けそれぞれ取り組んでまいりました。
この他、成長に向けた取り組みとして、DXニーズへの対応力強化を図るべく、AI領域、データ利活用領域、業務プロセスのデジタル化支援、豊富なDX人材リソース等、それぞれ強みを有する各企業との資本業務提携や戦略的パートナーシップの契約締結を行いました。加えて、電力取引・リスク管理サービス「Enepharos(エネファロス)」、金融機関向けクラウド活用最適化サービス「FINARCH(フィナーチ)」、食品業界の需給計画業務DXを支援するクラウドサービス「PPPlan(ピーピープラン)」、従業員エンゲージメントの向上を狙うキャリアリフレクションツール「なやさぽ」等の新規ソリューション開発に取り組みました。
サステナビリティ経営の推進にあたっては、当社が目指す社会的存在意義であるパーパスを起点に価値創造プロセスを整理し、5つのマテリアリティを定め、取り組んでおります。マテリアリティの一つである「環境負荷低減」については、TCFD提言へ賛同を表明しGHG排出量削減目標を定め、その実現に資する取り組みを進めております。また、当社グループの人権方針を策定し、「多様な人材が活躍できる場の創出」への取り組みも進めており、LGBTQ+などの性的マイノリティに関する取り組みの評価指標である「PRIDE指標2022」で最高位の「ゴールド」を受賞しました。当社はこれらの取り組みを踏まえマルチステークホルダー方針を公表いたしました。この他、小学校高学年向けに製鉄の生産管理をテーマとしたプログラミング学習コンテンツを日本製鉄㈱と共同開発し、出張授業を行うなどのプログラミング教育活動の実施や、中高生をはじめとした若年層の金融リテラシー向上を支援する取り組みを開始するなど、豊かな社会づくりに向けてESGの観点から様々な事業活動に取り組んでおります。これらの取り組みの結果、ESG投資のための株価指数である「FTSE4Good Index Series」及び「FTSE Blossom Japan Index」に加え、新たに「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」構成銘柄に選定されました。
当連結会計年度の売上収益は、プラットフォーマー向けが堅調に推移したことに加え、官公庁向け大型基盤構築案件や日本製鉄㈱及び日本製鉄グループ向けの増があったことから、291,688百万円と前連結会計年度(270,332百万円)と比べ21,355百万円の増収となりました。DX加速投資、事業基盤強化投資により販売費及び一般管理費は増加となりましたが、増収による売上総利益の増が上回ったことから、営業利益は31,738百万円と前年同期(29,886百万円)と比べ1,851百万円の増益となりました。
当連結会計年度をサービス分野別(業務ソリューション、サービスソリューション)に概観しますと、次のとおりであります。
(業務ソリューション)
業務ソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は189,776百万円と前連結会計年度(175,680百万円)と比べ14,095百万円の増収となりました。
産業、流通・サービス分野
産業、流通・サービス分野向けにつきましては、運輸系で大型案件の反動減があったものの、プラットフォーマー向けが堅調に推移したことにより、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
金融分野
金融分野向けにつきましては、売上収益は前年同期と同水準となりました。
公共公益分野
公共公益分野向けにつきましては、官公庁向け大型基盤構築案件により、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
(サービスソリューション)
サービスソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は、101,911百万円と前連結会計年度(94,651百万円)と比べ7,259百万円の増収となりました。
ITインフラ分野
ITインフラ分野につきましては、クラウド事業を中心に、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
鉄鋼分野
鉄鋼分野につきましては、日本製鉄㈱及び日本製鉄グループ向けがともに好調で、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
② 経営成績の分析
1)売上収益
当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度の270,332百万円に対し7.9%増収の291,688百万円となりました。サービス分野別の状況は以下のとおりであります。
業務ソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は189,776百万円と前連結会計年度(175,680百万円)と比べ14,095百万円の増収となりました。
サービスソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は、101,911百万円と前連結会計年度(94,651百万円)と比べ7,259百万円の増収となりました。
2)売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度の209,883百万円に対し7.6%増加し225,752百万円となりました。その結果、売上総利益率は、前連結会計年度の22.3%に対し0.2%向上の22.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、営業力強化、採用・教育、社内基盤整備他の実行により前連結会計年度の30,014百万円に対し10.0%増加し33,007百万円となりました。
3)持分法による投資損益/その他の収益/その他の費用
当連結会計年度の持分法による投資損益、その他の収益及びその他の費用は、和解金が減少したものの、減損損失が増加したこと等により、前連結会計年度の△547百万円に対し117.5%増加し△1,189百万円となりました。
4)営業利益
当連結会計年度の営業利益は、販売費及び一般管理費が増加したものの、売上総利益の増益により、前連結会計年度の29,886百万円に対し6.2%増加し31,738百万円となりました。
5)金融損益
金融収益と金融費用を合わせた当連結会計年度の金融損益は、投資事業組合運用益の減少等により、前連結会計年度の800百万円に対し54.7%減少し362百万円となりました。
6)税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度の30,687百万円に対し4.6%増加し32,101百万円となりました。
7)法人所得税費用
当連結会計年度の法人所得税費用は、前連結会計年度の9,512百万円に対し1.3%減少し9,385百万円となりました。
8)親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度の20,521百万円に対し7.2%増加し22,000百万円となりました。また、基本的1株当たり当期利益は、前連結会計年度の224.27円に対し7.2%増加し240.46円となりました。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは情報サービス単一セグメントでありますが、サービス分野別の当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の生産実績、受注実績及び販売実績を示すと、次のとおりであります。
1)生産実績
(注)金額は販売価格によっております。
2)受注実績
3)販売実績
最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 財政状態
(財政状態計算書)
①資産
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末325,764百万円から5,855百万円減少し、319,908百万円となりました。主な内訳は、その他の金融資産の減少△17,922百万円、使用権資産の減少△6,336百万円、営業債権及びその他の債権の増加9,918百万円、現金及び現金同等物の増加5,616百万円等であります。なお、その他の金融資産の残高は60,604百万円であり、そのうち上場株式の金額は36,774百万円、非上場株式の金額は2,855百万円であります。
②負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末121,194百万円から9,085百万円減少し、112,108百万円となりました。主な内訳は、繰延税金負債の減少△7,297百万円、リース負債の減少△6,107百万円、契約負債の増加3,970百万円等であります。
③資本
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末204,569百万円から3,230百万円増加し、207,800百万円となりました。主な内訳は、当期利益22,715百万円、その他の包括利益△12,767百万円、配当金の支払△6,703百万円等であります。その結果、親会社所有者帰属持分比率は62.7%となります。
(3) キャッシュ・フロー
(キャッシュ・フロー計算書)
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、101,322百万円となりました。前連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額が17,126百万円であったのに対し、当連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額は5,616百万円となりました。各活動区分別には以下のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度は、税引前利益30,687百万円、減価償却費及び償却費11,637百万円、営業債権及びその他の債権の増減額△148百万円、契約資産の増減額△352百万円、棚卸資産の増減額△1,013百万円、営業債務及びその他の債務の増減額4,611百万円、法人所得税等の支払額△7,299百万円等により38,406百万円となりました。一方、当連結会計年度は、税引前利益32,101百万円、減価償却費及び償却費12,620百万円、営業債権及びその他の債権の増減額△9,848百万円、契約資産の増減額△2,449百万円、棚卸資産の増減額△1,846百万円、営業債務及びその他の債務の増減額4,542百万円、法人所得税等の支払額△10,912百万円等により26,032百万円となりました。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度は、有形固定資産及び無形資産の取得による支出△5,337百万円、その他の金融資産の取得による支出△4,089百万円、その他の金融資産の売却及び償還による収入1,067百万円等により△8,540百万円となりました。一方、当連結会計年度は、有形固定資産及び無形資産の取得による支出△4,400百万円、その他の金融資産の取得による支出△6,942百万円、その他の金融資産の売却及び償還による収入5,812百万円等により△5,635百万円となりました。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度は、リース負債の返済による支払額△7,459百万円、配当金の支払額△5,261百万円等により△12,939百万円となりました。一方、当連結会計年度は、リース負債の返済による支払額△8,189百万円、配当金の支払額△6,496百万円等により△14,943百万円となりました。
(資本の財源、資金の流動性に係る情報)
①基本方針
当社グループは将来にわたり競争力を維持強化し、企業価値を高めていくことが重要と考えております。
そのため、進展するDXニーズの着実な取り込み、高付加価値事業と総合的な企業価値の持続的向上、優秀な人材の獲得・育成の一層の強化、内部統制・リスクマネジメント徹底の継続等による事業成長に伴う資金需要及び広域災害等の事業リスクに備えて内部留保を確保するとともに、利益配分につきましては株主の皆様に対する適正かつ安定的な配当等を行うことを基本としております。
配当につきましては、連結業績に応じた利益還元を重視し連結配当性向30%を目安といたします。
②資金需要及び資金調達の主な内容
当社グループの主要な資金需要は、材料費、外注費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備投資等であります。これらの資金需要につきましては自己資金により充当しております。
手許の運転資金につきましては、当社及び一部の国内子会社において当社のキャッシュマネージメントシステム(CMS)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理をしております。また、当社は、日本製鉄㈱のCMSを利用しており、当連結会計年度末における預入額95,315百万円を現金及び現金同等物に含めて表示しております。
突発的な資金需要に対しては、大手各行及び親会社である日本製鉄㈱に対し当座借越枠を確保することにより、流動性リスクに備えております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。
その作成には、経営者による見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債、及び開示期間の収益・費用の金額に影響を与えます。これらの見積りにつきましては過去の実績等、連結財務諸表及び財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。
特に、受注損失引当金につきましては重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
(5) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表につきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表につきましては、百万円未満を切り捨てて記載しております。
① 要約連結貸借対照表
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書
要約連結損益計算書
要約連結包括利益計算書
③ 要約連結株主資本等変動計算書
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(連結の範囲の変更)
当連結会計年度より、新たに設立した株式会社Act.を連結の範囲に含めております。
(会計方針の変更)
「収益認識に関する会計基準」等
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、権利を得ると見込む対価の額で収益を認識することとしております。これにより、受注制作のソフトウェアに関して、従来、進捗部分について成果の確実性が認められる契約については工事進行基準(進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の契約については工事完成基準を適用しておりましたが、財又はサービスに対する支配が一定の期間にわたり顧客に移転する場合には、履行義務を充足するにつれて財又はサービスの対価の額を、一定の期間にわたり収益を認識する方法に変更しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した原価が、予想される原価見通しの合計に占める割合に基づいて行っております。
収益認識会計基準等の適用については、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用しております。この結果、当連結会計年度の売上高は1,950百万円減少、売上原価は1,624百万円減少、営業利益は325百万円減少、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ340百万円減少、1株当たり純資産額は17円62銭増加、1株当たり当期純利益は2円43銭減少しております。なお、潜在株式が存在しないため潜在株式調整後1株当たり当期純利益への影響額は記載しておりません。また、利益剰余金の当期首残高は1,834百万円増加しております。
「時価の算定に関する会計基準」等
「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日。以下「時価算定会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準第19項及び「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号 2019年7月4日)第44-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準等が定める新たな会計方針を、将来にわたって適用することとしております。なお、連結財務諸表に与える影響はありません。
(会計上の見積りの変更)
資産除去債務の見積額の変更
当社グループにおける本社地区の新川と虎ノ門の2拠点体制化を始めとした、オフィスの再編成及びオフィス環境の整備が完了したこと、並びにテレワークの積極活用によるオフィス環境の変化を背景として、当社グループにおけるオフィスの利用期間について従来の見積り前提を見直しております。
このことから、第1四半期連結会計期間において不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務に対応する資産除去債務について、退去時に必要とされる原状回復費用及びその使用見込期間に関して見積りの変更を行いました。
また、当連結会計年度末において、一部の賃借物件における原状回復費用について新たな情報を入手したことに伴い、当該賃借物件の退去時に必要とされる原状回復費用に関して見積りの変更を行いました。
この見積りの変更により、資産除去債務残高が2,895百万円増加し、従来の方法に比べて当連結会計年度の営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益は302百万円減少しております。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(会計方針の変更)
時価の算定に関する会計基準の適用指針
「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第31号 2021年6月17日。以下「時価算定会計基準適用指針」という。)を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準適用指針第27-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準適用指針が定める新たな会計方針を将来にわたって適用することとしております。なお、連結財務諸表に与える影響はありません。
経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「36.初度適用(IFRSへの移行に関する開示)」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準では合理的に見積られたのれんの効果が及ぶ期間にわたって定額法によりのれんを償却しておりましたが、IFRSでは企業結合により発生したのれんは、償却せずに毎期減損テストを行っております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が465百万円減少しております。
(退職給付に係る費用)
日本基準では確定給付制度による退職給付について、勤務費用、利息費用を純損益として認識しておりました。また、当該制度から生じた数理計算上の差異及び過去勤務費用についても発生年度の純損益として認識しておりました。一方、IFRSでは確定給付制度による退職給付について、当期勤務費用及び過去勤務費用は純損益として認識し、利息費用は確定給付負債(資産)の純額に割引率を乗じた金額を純損益として認識しております。また、確定給付負債(資産)の純額の再測定はその他の包括利益として認識し、発生時にその他の資本の構成要素から、純損益を通さずに、直接利益剰余金に振り替えております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価並びに販売費及び一般管理費が485百万円増加し、その他の包括利益が335百万円減少しております。
(資本性金融資産に係る会計処理)
日本基準では投資有価証券売却損益を純損益として認識しておりましたが、IFRSでは資本性金融資産をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に指定し、その売却損益を純損益として認識しておりません。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、特別利益が3,397百万円減少し、その他の包括利益が2,357百万円増加しております。
(リース)
日本基準では、借手のリースについてファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースについては通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っておりましたが、IFRSでは借手のリースについてファイナンス・リース又はオペレーティング・リースに分類せず、リース取引について使用権資産及びリース負債を認識しております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、使用権資産及びリース負債が22,399百万円及び22,088百万円増加しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
①業績等の概要
(経済及び業界の環境)
当連結会計年度のわが国経済は、一部に弱さが見られるものの緩やかに持ち直しておりますが、世界的な金融引き締めなどによる海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクがあり、先行き不透明な状況が続いております。また、物価上昇、供給面での制約、金融市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
企業収益は総じてみれば改善しておりますが、一部に弱含みの傾向が見られ、顧客企業におけるシステム投資については、緩やかな増加となりました。
(企業集団の営業の経過及び成果)
当社グループは、2021-2025年度中期事業方針(2021年4月公表)に基づき、「デジタル製造業」「プラットフォーマー支援」「デジタルワークプレースソリューション」「ITアウトソーシング」の4領域について事業成長を牽引する「注力領域」として定め、お客様のDX推進に伴うニーズを最大限に獲得し、事業拡大に取り組んでおります。
デジタル製造業領域につきましては、日本製鉄㈱向けに、各製鉄所製造拠点データを一元管理する無線IoTセンサ活用プラットフォーム「NS-IoT」を構築し、設備の早期異常検知を目的とした実運用を4月より開始したほか、経営情報やKPIをリアルタイムに把握し的確なアクションを可能とする統合データプラットフォーム「NS-Lib」を構築するなど、同社のDX推進に向けた取り組みを進めてまいりました。各製鉄所で個々に蓄積しているデータや経営上必要とするデータを統合するこれらの取り組みが高く評価され、一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム主催の「データマネジメント2023」において同社が大賞を受賞することに貢献いたしました。また、当社の統合データマネジメントプラットフォーム「DATAOPTERYX(データオプテリクス)」についてDXを推進する企業様向けに提供を開始し、製薬企業と共同で統合データ利活用基盤を構築いたしました。加えて、製造業のお客様向けには、工場内の天井クレーンの遠隔運転の実現に向けたローカル5Gソリューション「nsraven(エヌエスレイヴン)」の提供を開始するなど、製造現場のDX推進支援を進めてまいりました。
プラットフォーマー支援領域ではネットサービス・EC(エレクトロニックコマース)事業者などのプラットフォーマーや金融サービス分野のDX推進、デジタルワークプレースソリューション領域では仮想デスクトップサービスである「M³DaaS@absonne(エムキューブダース・アット・アブソンヌ)」のセキュリティ強化などの機能拡充、ITアウトソーシング領域ではマルチクラウド化を推進するソリューションの提供など、注力領域の成長に向けそれぞれ取り組んでまいりました。
この他、成長に向けた取り組みとして、DXニーズへの対応力強化を図るべく、AI領域、データ利活用領域、業務プロセスのデジタル化支援、豊富なDX人材リソース等、それぞれ強みを有する各企業との資本業務提携や戦略的パートナーシップの契約締結を行いました。加えて、電力取引・リスク管理サービス「Enepharos(エネファロス)」、金融機関向けクラウド活用最適化サービス「FINARCH(フィナーチ)」、食品業界の需給計画業務DXを支援するクラウドサービス「PPPlan(ピーピープラン)」、従業員エンゲージメントの向上を狙うキャリアリフレクションツール「なやさぽ」等の新規ソリューション開発に取り組みました。
サステナビリティ経営の推進にあたっては、当社が目指す社会的存在意義であるパーパスを起点に価値創造プロセスを整理し、5つのマテリアリティを定め、取り組んでおります。マテリアリティの一つである「環境負荷低減」については、TCFD提言へ賛同を表明しGHG排出量削減目標を定め、その実現に資する取り組みを進めております。また、当社グループの人権方針を策定し、「多様な人材が活躍できる場の創出」への取り組みも進めており、LGBTQ+などの性的マイノリティに関する取り組みの評価指標である「PRIDE指標2022」で最高位の「ゴールド」を受賞しました。当社はこれらの取り組みを踏まえマルチステークホルダー方針を公表いたしました。この他、小学校高学年向けに製鉄の生産管理をテーマとしたプログラミング学習コンテンツを日本製鉄㈱と共同開発し、出張授業を行うなどのプログラミング教育活動の実施や、中高生をはじめとした若年層の金融リテラシー向上を支援する取り組みを開始するなど、豊かな社会づくりに向けてESGの観点から様々な事業活動に取り組んでおります。これらの取り組みの結果、ESG投資のための株価指数である「FTSE4Good Index Series」及び「FTSE Blossom Japan Index」に加え、新たに「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」構成銘柄に選定されました。
当連結会計年度の売上収益は、プラットフォーマー向けが堅調に推移したことに加え、官公庁向け大型基盤構築案件や日本製鉄㈱及び日本製鉄グループ向けの増があったことから、291,688百万円と前連結会計年度(270,332百万円)と比べ21,355百万円の増収となりました。DX加速投資、事業基盤強化投資により販売費及び一般管理費は増加となりましたが、増収による売上総利益の増が上回ったことから、営業利益は31,738百万円と前年同期(29,886百万円)と比べ1,851百万円の増益となりました。
当連結会計年度をサービス分野別(業務ソリューション、サービスソリューション)に概観しますと、次のとおりであります。
(業務ソリューション)
業務ソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は189,776百万円と前連結会計年度(175,680百万円)と比べ14,095百万円の増収となりました。
産業、流通・サービス分野
産業、流通・サービス分野向けにつきましては、運輸系で大型案件の反動減があったものの、プラットフォーマー向けが堅調に推移したことにより、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
金融分野
金融分野向けにつきましては、売上収益は前年同期と同水準となりました。
公共公益分野
公共公益分野向けにつきましては、官公庁向け大型基盤構築案件により、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
(サービスソリューション)
サービスソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は、101,911百万円と前連結会計年度(94,651百万円)と比べ7,259百万円の増収となりました。
ITインフラ分野
ITインフラ分野につきましては、クラウド事業を中心に、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
鉄鋼分野
鉄鋼分野につきましては、日本製鉄㈱及び日本製鉄グループ向けがともに好調で、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
② 経営成績の分析
1)売上収益
当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度の270,332百万円に対し7.9%増収の291,688百万円となりました。サービス分野別の状況は以下のとおりであります。
業務ソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は189,776百万円と前連結会計年度(175,680百万円)と比べ14,095百万円の増収となりました。
サービスソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は、101,911百万円と前連結会計年度(94,651百万円)と比べ7,259百万円の増収となりました。
2)売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度の209,883百万円に対し7.6%増加し225,752百万円となりました。その結果、売上総利益率は、前連結会計年度の22.3%に対し0.2%向上の22.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、営業力強化、採用・教育、社内基盤整備他の実行により前連結会計年度の30,014百万円に対し10.0%増加し33,007百万円となりました。
3)持分法による投資損益/その他の収益/その他の費用
当連結会計年度の持分法による投資損益、その他の収益及びその他の費用は、和解金が減少したものの、減損損失が増加したこと等により、前連結会計年度の△547百万円に対し117.5%増加し△1,189百万円となりました。
4)営業利益
当連結会計年度の営業利益は、販売費及び一般管理費が増加したものの、売上総利益の増益により、前連結会計年度の29,886百万円に対し6.2%増加し31,738百万円となりました。
5)金融損益
金融収益と金融費用を合わせた当連結会計年度の金融損益は、投資事業組合運用益の減少等により、前連結会計年度の800百万円に対し54.7%減少し362百万円となりました。
6)税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度の30,687百万円に対し4.6%増加し32,101百万円となりました。
7)法人所得税費用
当連結会計年度の法人所得税費用は、前連結会計年度の9,512百万円に対し1.3%減少し9,385百万円となりました。
8)親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度の20,521百万円に対し7.2%増加し22,000百万円となりました。また、基本的1株当たり当期利益は、前連結会計年度の224.27円に対し7.2%増加し240.46円となりました。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは情報サービス単一セグメントでありますが、サービス分野別の当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の生産実績、受注実績及び販売実績を示すと、次のとおりであります。
1)生産実績
(単位:百万円) | |||
サービス分野別の名称 | 生産高 | 前年比 | |
業務ソリューション | 190,118 | 8.2 | % |
サービスソリューション | 103,455 | 7.9 | % |
合計 | 293,573 | 8.1 | % |
(注)金額は販売価格によっております。
2)受注実績
(単位:百万円) | ||||||
サービス分野別の名称 | 受注高 | 前年比 | 受注残高 | 前年比 | ||
業務ソリューション | 201,862 | 21.4 | % | 84,223 | 16.8 | % |
サービスソリューション | 111,701 | 6.0 | % | 61,489 | 18.9 | % |
合計 | 313,564 | 15.5 | % | 145,713 | 17.7 | % |
3)販売実績
(単位:百万円) | |||
サービス分野別の名称 | 販売高 | 前年比 | |
業務ソリューション | 189,776 | 8.0 | % |
サービスソリューション | 101,911 | 7.7 | % |
合計 | 291,688 | 7.9 | % |
最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||||
相手先 | 前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | ||
販売高 | 割合(%) | 販売高 | 割合(%) | |
日本製鉄㈱ | 55,282 | 20.4 | 57,912 | 19.9 |
(2) 財政状態
(財政状態計算書)
①資産
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末325,764百万円から5,855百万円減少し、319,908百万円となりました。主な内訳は、その他の金融資産の減少△17,922百万円、使用権資産の減少△6,336百万円、営業債権及びその他の債権の増加9,918百万円、現金及び現金同等物の増加5,616百万円等であります。なお、その他の金融資産の残高は60,604百万円であり、そのうち上場株式の金額は36,774百万円、非上場株式の金額は2,855百万円であります。
②負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末121,194百万円から9,085百万円減少し、112,108百万円となりました。主な内訳は、繰延税金負債の減少△7,297百万円、リース負債の減少△6,107百万円、契約負債の増加3,970百万円等であります。
③資本
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末204,569百万円から3,230百万円増加し、207,800百万円となりました。主な内訳は、当期利益22,715百万円、その他の包括利益△12,767百万円、配当金の支払△6,703百万円等であります。その結果、親会社所有者帰属持分比率は62.7%となります。
(3) キャッシュ・フロー
(キャッシュ・フロー計算書)
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、101,322百万円となりました。前連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額が17,126百万円であったのに対し、当連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額は5,616百万円となりました。各活動区分別には以下のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度は、税引前利益30,687百万円、減価償却費及び償却費11,637百万円、営業債権及びその他の債権の増減額△148百万円、契約資産の増減額△352百万円、棚卸資産の増減額△1,013百万円、営業債務及びその他の債務の増減額4,611百万円、法人所得税等の支払額△7,299百万円等により38,406百万円となりました。一方、当連結会計年度は、税引前利益32,101百万円、減価償却費及び償却費12,620百万円、営業債権及びその他の債権の増減額△9,848百万円、契約資産の増減額△2,449百万円、棚卸資産の増減額△1,846百万円、営業債務及びその他の債務の増減額4,542百万円、法人所得税等の支払額△10,912百万円等により26,032百万円となりました。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度は、有形固定資産及び無形資産の取得による支出△5,337百万円、その他の金融資産の取得による支出△4,089百万円、その他の金融資産の売却及び償還による収入1,067百万円等により△8,540百万円となりました。一方、当連結会計年度は、有形固定資産及び無形資産の取得による支出△4,400百万円、その他の金融資産の取得による支出△6,942百万円、その他の金融資産の売却及び償還による収入5,812百万円等により△5,635百万円となりました。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度は、リース負債の返済による支払額△7,459百万円、配当金の支払額△5,261百万円等により△12,939百万円となりました。一方、当連結会計年度は、リース負債の返済による支払額△8,189百万円、配当金の支払額△6,496百万円等により△14,943百万円となりました。
(資本の財源、資金の流動性に係る情報)
①基本方針
当社グループは将来にわたり競争力を維持強化し、企業価値を高めていくことが重要と考えております。
そのため、進展するDXニーズの着実な取り込み、高付加価値事業と総合的な企業価値の持続的向上、優秀な人材の獲得・育成の一層の強化、内部統制・リスクマネジメント徹底の継続等による事業成長に伴う資金需要及び広域災害等の事業リスクに備えて内部留保を確保するとともに、利益配分につきましては株主の皆様に対する適正かつ安定的な配当等を行うことを基本としております。
配当につきましては、連結業績に応じた利益還元を重視し連結配当性向30%を目安といたします。
②資金需要及び資金調達の主な内容
当社グループの主要な資金需要は、材料費、外注費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備投資等であります。これらの資金需要につきましては自己資金により充当しております。
手許の運転資金につきましては、当社及び一部の国内子会社において当社のキャッシュマネージメントシステム(CMS)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理をしております。また、当社は、日本製鉄㈱のCMSを利用しており、当連結会計年度末における預入額95,315百万円を現金及び現金同等物に含めて表示しております。
突発的な資金需要に対しては、大手各行及び親会社である日本製鉄㈱に対し当座借越枠を確保することにより、流動性リスクに備えております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。
その作成には、経営者による見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債、及び開示期間の収益・費用の金額に影響を与えます。これらの見積りにつきましては過去の実績等、連結財務諸表及び財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。
特に、受注損失引当金につきましては重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
(5) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表につきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表につきましては、百万円未満を切り捨てて記載しております。
① 要約連結貸借対照表
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (2022年3月31日) | 当連結会計年度 (2023年3月31日) | |
資産の部 | ||
流動資産 | 187,686 | 207,734 |
固定資産 | ||
有形固定資産 | 23,747 | 20,278 |
無形固定資産 | 6,900 | 6,647 |
投資その他の資産 | 78,455 | 60,942 |
固定資産合計 | 109,103 | 87,868 |
資産合計 | 296,790 | 295,602 |
負債の部 | ||
流動負債 | 62,165 | 66,642 |
固定負債 | 31,195 | 22,483 |
負債合計 | 93,360 | 89,125 |
純資産の部 | ||
株主資本 | 158,051 | 175,383 |
その他の包括利益累計額 | 38,636 | 23,813 |
非支配株主持分 | 6,741 | 7,280 |
純資産合計 | 203,429 | 206,477 |
負債純資産合計 | 296,790 | 295,602 |
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書
要約連結損益計算書
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | |
売上高 | 270,332 | 291,688 |
売上原価 | 210,011 | 225,414 |
売上総利益 | 60,321 | 66,273 |
販売費及び一般管理費 | 30,505 | 33,405 |
営業利益 | 29,815 | 32,868 |
営業外収益 | 1,627 | 859 |
営業外費用 | 631 | 811 |
経常利益 | 30,811 | 32,915 |
特別利益 | - | 3,397 |
特別損失 | 702 | 1,187 |
税金等調整前当期純利益 | 30,109 | 35,125 |
法人税等 | 9,495 | 10,542 |
当期純利益 | 20,613 | 24,583 |
非支配株主に帰属する当期純利益 | 636 | 740 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 19,977 | 23,842 |
要約連結包括利益計算書
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | |
当期純利益 | 20,613 | 24,583 |
その他の包括利益合計 | 320 | △14,817 |
包括利益 | 20,934 | 9,765 |
(内訳) | ||
親会社株主に係る包括利益 | 20,287 | 9,019 |
非支配株主に係る包括利益 | 646 | 745 |
③ 要約連結株主資本等変動計算書
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(単位:百万円) | ||||
株主資本 | その他の 包括利益累計額 | 非支配株主持分 | 純資産合計 | |
当期首残高 | 141,501 | 38,325 | 6,301 | 186,128 |
会計方針の変更による累積的影響額 | 1,834 | - | 12 | 1,846 |
会計方針の変更を反映した当期首残高 | 143,335 | 38,325 | 6,313 | 187,975 |
当期変動額 | 14,715 | 310 | 428 | 15,454 |
当期末残高 | 158,051 | 38,636 | 6,741 | 203,429 |
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円) | ||||
株主資本 | その他の 包括利益累計額 | 非支配株主持分 | 純資産合計 | |
当期首残高 | 158,051 | 38,636 | 6,741 | 203,429 |
当期変動額 | 17,332 | △14,822 | 538 | 3,047 |
当期末残高 | 175,383 | 23,813 | 7,280 | 206,477 |
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 32,313 | 19,903 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △8,540 | △5,635 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △6,845 | △8,814 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 199 | 163 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 17,126 | 5,616 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 78,579 | 95,706 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 95,706 | 101,322 |
⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(連結の範囲の変更)
当連結会計年度より、新たに設立した株式会社Act.を連結の範囲に含めております。
(会計方針の変更)
「収益認識に関する会計基準」等
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、権利を得ると見込む対価の額で収益を認識することとしております。これにより、受注制作のソフトウェアに関して、従来、進捗部分について成果の確実性が認められる契約については工事進行基準(進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の契約については工事完成基準を適用しておりましたが、財又はサービスに対する支配が一定の期間にわたり顧客に移転する場合には、履行義務を充足するにつれて財又はサービスの対価の額を、一定の期間にわたり収益を認識する方法に変更しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した原価が、予想される原価見通しの合計に占める割合に基づいて行っております。
収益認識会計基準等の適用については、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用しております。この結果、当連結会計年度の売上高は1,950百万円減少、売上原価は1,624百万円減少、営業利益は325百万円減少、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ340百万円減少、1株当たり純資産額は17円62銭増加、1株当たり当期純利益は2円43銭減少しております。なお、潜在株式が存在しないため潜在株式調整後1株当たり当期純利益への影響額は記載しておりません。また、利益剰余金の当期首残高は1,834百万円増加しております。
「時価の算定に関する会計基準」等
「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日。以下「時価算定会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準第19項及び「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号 2019年7月4日)第44-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準等が定める新たな会計方針を、将来にわたって適用することとしております。なお、連結財務諸表に与える影響はありません。
(会計上の見積りの変更)
資産除去債務の見積額の変更
当社グループにおける本社地区の新川と虎ノ門の2拠点体制化を始めとした、オフィスの再編成及びオフィス環境の整備が完了したこと、並びにテレワークの積極活用によるオフィス環境の変化を背景として、当社グループにおけるオフィスの利用期間について従来の見積り前提を見直しております。
このことから、第1四半期連結会計期間において不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務に対応する資産除去債務について、退去時に必要とされる原状回復費用及びその使用見込期間に関して見積りの変更を行いました。
また、当連結会計年度末において、一部の賃借物件における原状回復費用について新たな情報を入手したことに伴い、当該賃借物件の退去時に必要とされる原状回復費用に関して見積りの変更を行いました。
この見積りの変更により、資産除去債務残高が2,895百万円増加し、従来の方法に比べて当連結会計年度の営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益は302百万円減少しております。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(会計方針の変更)
時価の算定に関する会計基準の適用指針
「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第31号 2021年6月17日。以下「時価算定会計基準適用指針」という。)を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準適用指針第27-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準適用指針が定める新たな会計方針を将来にわたって適用することとしております。なお、連結財務諸表に与える影響はありません。
経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「36.初度適用(IFRSへの移行に関する開示)」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準では合理的に見積られたのれんの効果が及ぶ期間にわたって定額法によりのれんを償却しておりましたが、IFRSでは企業結合により発生したのれんは、償却せずに毎期減損テストを行っております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が465百万円減少しております。
(退職給付に係る費用)
日本基準では確定給付制度による退職給付について、勤務費用、利息費用を純損益として認識しておりました。また、当該制度から生じた数理計算上の差異及び過去勤務費用についても発生年度の純損益として認識しておりました。一方、IFRSでは確定給付制度による退職給付について、当期勤務費用及び過去勤務費用は純損益として認識し、利息費用は確定給付負債(資産)の純額に割引率を乗じた金額を純損益として認識しております。また、確定給付負債(資産)の純額の再測定はその他の包括利益として認識し、発生時にその他の資本の構成要素から、純損益を通さずに、直接利益剰余金に振り替えております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価並びに販売費及び一般管理費が485百万円増加し、その他の包括利益が335百万円減少しております。
(資本性金融資産に係る会計処理)
日本基準では投資有価証券売却損益を純損益として認識しておりましたが、IFRSでは資本性金融資産をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に指定し、その売却損益を純損益として認識しておりません。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、特別利益が3,397百万円減少し、その他の包括利益が2,357百万円増加しております。
(リース)
日本基準では、借手のリースについてファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースについては通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っておりましたが、IFRSでは借手のリースについてファイナンス・リース又はオペレーティング・リースに分類せず、リース取引について使用権資産及びリース負債を認識しております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、使用権資産及びリース負債が22,399百万円及び22,088百万円増加しております。