有価証券報告書-第23期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営環境
当連結会計年度における日本経済は、所得環境や雇用の改善等各種政策の効果により回復基調が見られ、個人消費も緩やかに持ち直しており、当社の事業に関連する消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は2018年に物販系分野で9.3兆円(前年比8.12%増)、ネット予約を中心とした飲食サービスの市場規模は6,375億円(前年比41.61%増)と、堅調に増加してきたものの(※1)、一方で、金融市場の変動の影響や消費増税に伴う需要の反動減、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動の停滞懸念等、今後の先行きは不透明な状況が続いております。
※1 出所:「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」(2019年5月16日発表)
② 経営成績及び財政状態の状況
当社グループの経営成績は、以下のとおりです。
当連結会計年度は『価格.com』、『食べログ』、『求人ボックス』及び『スマイティ』並びに連結子会社㈱カカクコム・インシュアランスの各事業が好調に成長したことによって、売上収益は60,978百万円(前年同期比11.2%増)、営業利益は27,217百万円(前年同期比8.6%増)で、増収増益となりました。
セグメントごとの業績(内部取引消去後)は次のとおりです。
当連結会計年度のインターネット・メディア事業の売上収益は58,755百万円(前年同期比10.6%増)、セグメント利益は26,480百万円(前年同期比8.1%増)となりました。当連結会計年度のファイナンス事業の売上収益は2,223百万円(前年同期比29.3%増)、セグメント利益は733百万円(前年同期比30.5%増)となりました。
当社グループの財政状態は、以下のとおりです。
資産合計は63,317百万円となり、前連結会計年度末と比較し12,075百万円増加いたしました。これは主にIFRS第16号「リース」の適用により使用権資産が7,947百万円増加したこと、及び現金及び現金同等物が3,082百万円増加したことによるものであります。
負債合計は20,014百万円となり、前連結会計年度末と比較し9,713百万円増加いたしました。これは主にIFRS第16号「リース」の適用によりリース負債が7,807百万円増加したこと、及び未払法人所得税が537百万円増加、その他の流動負債が484百万円増加したことによるものであります。
資本合計は43,303百万円となり、前連結会計年度末と比較し2,362百万円増加いたしました。これは主に親会社の所有者に帰属する当期利益18,348百万円を計上した一方で、剰余金の配当7,929百万円、自己株式の取得及び処分による減少7,859百万円を計上したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ3,082百万円増加し、29,504百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は23,997百万円(前年同期は18,291百万円の収入)となりました。
これは、主として税引前利益26,619百万円を計上した一方で、法人所得税の支払額が8,038百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は3,958百万円(前年同期は3,163百万円の支出)となりました。
これは、主としてサーバーで使用するソフトウェアの購入等の無形資産の取得による支出が1,454百万円、有形固定資産の取得による支出が1,249百万円、投資有価証券の取得による支出が712百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は16,946百万円(前年同期は9,734百万円の支出)となりました。
これは、主として自己株式の取得による支出が8,014百万円、配当金の支払による支出が7,928百万円あったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
生産実績
当社グループの業務には生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度における販売先については、いずれも販売実績が総販売実績の100分の10未満のため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 重要な会計方針及び見積り
重要な会計方針及び見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針 及び 4. 重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりであります。
② 経営成績及び財政状態の状況
当連結会計年度における当社グループの売上収益は60,978百万円(前年同期比11.2%増)となりました。上半期は消費税増税前の駆込み需要によって売上が増加した『価格.com』をはじめとして各事業が増収(上半期売上収益、前年同期比15.1%増)となり、営業利益も大幅な増益(上半期累計営業利益、前年同期比16.1%増)となりました。第3四半期は消費税増税後の需要の反動減で『価格.com』のショッピング及び広告事業が減収となりましたが、食べログの飲食店販促事業や新興メディア・ソリューション/ファイナンスの売上増加により、計画通りの成長(第3四半期売上収益、前年同期比10.4%増)となりました。第4四半期は新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことにより成長減速(第4四半期売上収益、前年同期比5.2%増)となりました。
このような事業成長に伴い、営業費用のうち、人件費及び『食べログ』に係る広告宣伝費、並びにオフィス増床に伴う当連結会計年度下半期の家賃が増加しましたが、上半期において売上収益が大幅に増加したことによって営業利益は27,217百万円(前年同期比8.6%増)となりました。
税引前利益は26,619百万円(前年同期比7.2%増)となりました。これは主として、持分法による投資損失396百万円を計上した一方で営業利益が増加したことによるものであります。
親会社の所有者に帰属する当期利益は18,348百万円(前年同期比9.9%増)となりました。
セグメントの業績(内部取引消去後)は、次のとおりであります。
1.インターネット・メディア事業
当連結会計年度のインターネット・メディア事業の売上収益は58,755百万円(前年同期比10.6%増)、セグメント利益は26,480百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
[価格.com]
当連結会計年度の売上収益は23,960百万円(前年同期比6.4%増)となりました。
ショッピング事業及び広告事業は当連結会計年度の上半期において、消費税増税前の駆込み需要に伴い売上収益が大幅に増加。下半期には消費税増税後の一時的な需要の反動減に加えて新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一部の耐久財の売上及び家電メーカーからの広告出稿による売上が減少となりました。その結果、当連結会計年度におけるショッピング事業の売上収益は9,328百万円(前年同期比0.8%増)、広告事業の売上収益は4,585百万円(前年同期比3.0%増)となりました。サービス事業は、金融領域においてクレジットカードやカードローン比較の売上が継続的に増加したため、売上収益は10,046百万円(前年同期比14.1%増)となりました。
月間利用者数は2020年3月度に6,309万人(※1)となりました。
[食べログ]
当連結会計年度の売上収益は26,369百万円(前年同期比8.3%増)となりました。
有料プラン(※2)契約店舗数は新規契約の獲得により、2020年3月時点で5.91万店舗となりました。ネット予約人数は、当連結会計年度の第4四半期において新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、通期においてはネット予約対応店舗及びネット予約比率の増加により、累計で3,777万人(前年同期比23.6%増)となりました。その結果、飲食店販促事業の売上収益は21,509百万円(前年同期比12.6%増)となりました。ユーザー会員事業は、有料サービス加入者数の減少により売上収益は2,337百万円(前年同期比19.1%減)となりました。広告事業は、バナー及び記事広告の売上が増加したことにより売上収益は2,522百万円(前年同期比7.0%増)となりました。
月間利用者数は2020年3月度に1億647万人(※1)となりました。
[新興メディア・ソリューション]
当連結会計年度の売上収益は8,426百万円(前年同期比34.8%増)となりました。
『求人ボックス』は月間利用者数及び送客率の上昇により手数料収入が増加しました。加えて『スマイティ』は物件の問合せ数の増加により手数料収入が増加しました。
※1 月間利用者数とは、サイトを訪れた人をブラウザベースで数えた人数であり、1ヵ月の間に複数回訪問した人も1人と数えた正味の人数です。なお、モバイル端末のウェブページ高速表示に伴う利用者数の重複や、第三者による自動収集プログラムなどの機械的なアクセスについては可能な限り排除して計測しています。
※2 『食べログ』の有料プランとは、飲食店販促事業における月額固定料金に加えてネット予約来店人数に応じた従量料金が発生する料金プラン及び月額固定料金のみの料金プランです。
2.ファイナンス事業
当連結会計年度のファイナンス事業の売上収益は2,223百万円(前年同期比29.3%増)、セグメント利益は733百万円(前年同期比30.5%増)となりました。
㈱カカクコム・インシュアランスが運営する『価格.com保険』は生命保険及び損害保険のオンライン契約申込み数が増加したことにより手数料収入が増加しました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大により、生活必需品への需要集中、外食、旅行・娯楽関連の消費の自粛、事業者の休業など市場動向に大きな変化が生じており、当社グループにおいては当連結会計年度末以降も、特に外食、旅行及び娯楽の各領域におけるサービス利用者数、加えて広告事業における出向のそれぞれについて、影響が生じております。
当社グループでは対策本部を構え、事業への影響の把握と事業継続のために必要な対処の検討・実施を進めておりますが、感染収束の時期など不確定要素が多く、先行きの見通しが困難な状況がしばらく続くものと見られます。
④ 資本の財源及び資金の流動性
(経営資源の配分に関する考え方)
既存事業の運営及び成長投資に必要な資金を手元に残した上で、過剰な内部留保は行わずに株主還元を行うこと、また株主還元は年2回の配当及び機動的な自己株の取得によって継続的に実施することを方針としております。
なお、成長投資は、ⅰ)既存事業の拡大や新規事業創出に伴う人的資源への投資、ⅱ)先端技術に関する研究開発及び事業への活用に対する投資、並びにⅲ)事業ポートフォリオ拡大及び成長の加速を目的としたM&Aや出資をその対象としています。
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの主な資金需要は運転資金及び設備資金であります。運転資金の主なものは、営業活動における人件費や販売代理店に支払う販売手数料、またサービス利用者増加を目的とした広告宣伝費によるものであります。設備資金の主なものは、サーバー及びネットワークの設備投資によるものであります。
(財務政策)
当社グループの事業拡大に必要な資金は営業キャッシュ・フローから獲得した資金を充当しております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等について
当社グループは、新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業の連結売上構成比を20%まで引き上げることを目指しております。当連結会計年度は17.5%となりました。
[新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業の連結売上構成比率の推移]
また、継続的な事業拡大と経営の効率維持のために親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)を重要な指標と位置付け、その目安を40%としております。当連結会計年度のROEは44.0%となりました。
[ROEの推移]
なお、継続的な事業拡大のためにはサイト利用者数の増加が重要であると認識しております。当社グループサイトの積み上げ月間利用者数は2020年3月時点で2億5,587万人を超えております。
加えて各事業においては、各事業の売上収益についても指標として重視しております。
[各事業の売上] (単位:百万円)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営環境
当連結会計年度における日本経済は、所得環境や雇用の改善等各種政策の効果により回復基調が見られ、個人消費も緩やかに持ち直しており、当社の事業に関連する消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は2018年に物販系分野で9.3兆円(前年比8.12%増)、ネット予約を中心とした飲食サービスの市場規模は6,375億円(前年比41.61%増)と、堅調に増加してきたものの(※1)、一方で、金融市場の変動の影響や消費増税に伴う需要の反動減、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動の停滞懸念等、今後の先行きは不透明な状況が続いております。
※1 出所:「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」(2019年5月16日発表)
② 経営成績及び財政状態の状況
当社グループの経営成績は、以下のとおりです。
当連結会計年度は『価格.com』、『食べログ』、『求人ボックス』及び『スマイティ』並びに連結子会社㈱カカクコム・インシュアランスの各事業が好調に成長したことによって、売上収益は60,978百万円(前年同期比11.2%増)、営業利益は27,217百万円(前年同期比8.6%増)で、増収増益となりました。
セグメントごとの業績(内部取引消去後)は次のとおりです。
当連結会計年度のインターネット・メディア事業の売上収益は58,755百万円(前年同期比10.6%増)、セグメント利益は26,480百万円(前年同期比8.1%増)となりました。当連結会計年度のファイナンス事業の売上収益は2,223百万円(前年同期比29.3%増)、セグメント利益は733百万円(前年同期比30.5%増)となりました。
当社グループの財政状態は、以下のとおりです。
資産合計は63,317百万円となり、前連結会計年度末と比較し12,075百万円増加いたしました。これは主にIFRS第16号「リース」の適用により使用権資産が7,947百万円増加したこと、及び現金及び現金同等物が3,082百万円増加したことによるものであります。
負債合計は20,014百万円となり、前連結会計年度末と比較し9,713百万円増加いたしました。これは主にIFRS第16号「リース」の適用によりリース負債が7,807百万円増加したこと、及び未払法人所得税が537百万円増加、その他の流動負債が484百万円増加したことによるものであります。
資本合計は43,303百万円となり、前連結会計年度末と比較し2,362百万円増加いたしました。これは主に親会社の所有者に帰属する当期利益18,348百万円を計上した一方で、剰余金の配当7,929百万円、自己株式の取得及び処分による減少7,859百万円を計上したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ3,082百万円増加し、29,504百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は23,997百万円(前年同期は18,291百万円の収入)となりました。
これは、主として税引前利益26,619百万円を計上した一方で、法人所得税の支払額が8,038百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は3,958百万円(前年同期は3,163百万円の支出)となりました。
これは、主としてサーバーで使用するソフトウェアの購入等の無形資産の取得による支出が1,454百万円、有形固定資産の取得による支出が1,249百万円、投資有価証券の取得による支出が712百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は16,946百万円(前年同期は9,734百万円の支出)となりました。
これは、主として自己株式の取得による支出が8,014百万円、配当金の支払による支出が7,928百万円あったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
生産実績
当社グループの業務には生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
インターネット・メディア事業 | 58,755 | 110.6 |
ファイナンス事業 | 2,223 | 129.3 |
合計 | 60,978 | 111.2 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度における販売先については、いずれも販売実績が総販売実績の100分の10未満のため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 重要な会計方針及び見積り
重要な会計方針及び見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針 及び 4. 重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりであります。
② 経営成績及び財政状態の状況
当連結会計年度における当社グループの売上収益は60,978百万円(前年同期比11.2%増)となりました。上半期は消費税増税前の駆込み需要によって売上が増加した『価格.com』をはじめとして各事業が増収(上半期売上収益、前年同期比15.1%増)となり、営業利益も大幅な増益(上半期累計営業利益、前年同期比16.1%増)となりました。第3四半期は消費税増税後の需要の反動減で『価格.com』のショッピング及び広告事業が減収となりましたが、食べログの飲食店販促事業や新興メディア・ソリューション/ファイナンスの売上増加により、計画通りの成長(第3四半期売上収益、前年同期比10.4%増)となりました。第4四半期は新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことにより成長減速(第4四半期売上収益、前年同期比5.2%増)となりました。
このような事業成長に伴い、営業費用のうち、人件費及び『食べログ』に係る広告宣伝費、並びにオフィス増床に伴う当連結会計年度下半期の家賃が増加しましたが、上半期において売上収益が大幅に増加したことによって営業利益は27,217百万円(前年同期比8.6%増)となりました。
税引前利益は26,619百万円(前年同期比7.2%増)となりました。これは主として、持分法による投資損失396百万円を計上した一方で営業利益が増加したことによるものであります。
親会社の所有者に帰属する当期利益は18,348百万円(前年同期比9.9%増)となりました。
セグメントの業績(内部取引消去後)は、次のとおりであります。
1.インターネット・メディア事業
当連結会計年度のインターネット・メディア事業の売上収益は58,755百万円(前年同期比10.6%増)、セグメント利益は26,480百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
[価格.com]
当連結会計年度の売上収益は23,960百万円(前年同期比6.4%増)となりました。
ショッピング事業及び広告事業は当連結会計年度の上半期において、消費税増税前の駆込み需要に伴い売上収益が大幅に増加。下半期には消費税増税後の一時的な需要の反動減に加えて新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一部の耐久財の売上及び家電メーカーからの広告出稿による売上が減少となりました。その結果、当連結会計年度におけるショッピング事業の売上収益は9,328百万円(前年同期比0.8%増)、広告事業の売上収益は4,585百万円(前年同期比3.0%増)となりました。サービス事業は、金融領域においてクレジットカードやカードローン比較の売上が継続的に増加したため、売上収益は10,046百万円(前年同期比14.1%増)となりました。
月間利用者数は2020年3月度に6,309万人(※1)となりました。
[食べログ]
当連結会計年度の売上収益は26,369百万円(前年同期比8.3%増)となりました。
有料プラン(※2)契約店舗数は新規契約の獲得により、2020年3月時点で5.91万店舗となりました。ネット予約人数は、当連結会計年度の第4四半期において新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、通期においてはネット予約対応店舗及びネット予約比率の増加により、累計で3,777万人(前年同期比23.6%増)となりました。その結果、飲食店販促事業の売上収益は21,509百万円(前年同期比12.6%増)となりました。ユーザー会員事業は、有料サービス加入者数の減少により売上収益は2,337百万円(前年同期比19.1%減)となりました。広告事業は、バナー及び記事広告の売上が増加したことにより売上収益は2,522百万円(前年同期比7.0%増)となりました。
月間利用者数は2020年3月度に1億647万人(※1)となりました。
[新興メディア・ソリューション]
当連結会計年度の売上収益は8,426百万円(前年同期比34.8%増)となりました。
『求人ボックス』は月間利用者数及び送客率の上昇により手数料収入が増加しました。加えて『スマイティ』は物件の問合せ数の増加により手数料収入が増加しました。
※1 月間利用者数とは、サイトを訪れた人をブラウザベースで数えた人数であり、1ヵ月の間に複数回訪問した人も1人と数えた正味の人数です。なお、モバイル端末のウェブページ高速表示に伴う利用者数の重複や、第三者による自動収集プログラムなどの機械的なアクセスについては可能な限り排除して計測しています。
※2 『食べログ』の有料プランとは、飲食店販促事業における月額固定料金に加えてネット予約来店人数に応じた従量料金が発生する料金プラン及び月額固定料金のみの料金プランです。
2.ファイナンス事業
当連結会計年度のファイナンス事業の売上収益は2,223百万円(前年同期比29.3%増)、セグメント利益は733百万円(前年同期比30.5%増)となりました。
㈱カカクコム・インシュアランスが運営する『価格.com保険』は生命保険及び損害保険のオンライン契約申込み数が増加したことにより手数料収入が増加しました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大により、生活必需品への需要集中、外食、旅行・娯楽関連の消費の自粛、事業者の休業など市場動向に大きな変化が生じており、当社グループにおいては当連結会計年度末以降も、特に外食、旅行及び娯楽の各領域におけるサービス利用者数、加えて広告事業における出向のそれぞれについて、影響が生じております。
当社グループでは対策本部を構え、事業への影響の把握と事業継続のために必要な対処の検討・実施を進めておりますが、感染収束の時期など不確定要素が多く、先行きの見通しが困難な状況がしばらく続くものと見られます。
④ 資本の財源及び資金の流動性
(経営資源の配分に関する考え方)
既存事業の運営及び成長投資に必要な資金を手元に残した上で、過剰な内部留保は行わずに株主還元を行うこと、また株主還元は年2回の配当及び機動的な自己株の取得によって継続的に実施することを方針としております。
なお、成長投資は、ⅰ)既存事業の拡大や新規事業創出に伴う人的資源への投資、ⅱ)先端技術に関する研究開発及び事業への活用に対する投資、並びにⅲ)事業ポートフォリオ拡大及び成長の加速を目的としたM&Aや出資をその対象としています。
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの主な資金需要は運転資金及び設備資金であります。運転資金の主なものは、営業活動における人件費や販売代理店に支払う販売手数料、またサービス利用者増加を目的とした広告宣伝費によるものであります。設備資金の主なものは、サーバー及びネットワークの設備投資によるものであります。
(財務政策)
当社グループの事業拡大に必要な資金は営業キャッシュ・フローから獲得した資金を充当しております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等について
当社グループは、新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業の連結売上構成比を20%まで引き上げることを目指しております。当連結会計年度は17.5%となりました。
[新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業の連結売上構成比率の推移]
2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
連結売上構成比率 | 10.0% | 14.5% | 17.5% |
また、継続的な事業拡大と経営の効率維持のために親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)を重要な指標と位置付け、その目安を40%としております。当連結会計年度のROEは44.0%となりました。
[ROEの推移]
2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
ROE | 45.7% | 45.1% | 44.0% |
なお、継続的な事業拡大のためにはサイト利用者数の増加が重要であると認識しております。当社グループサイトの積み上げ月間利用者数は2020年3月時点で2億5,587万人を超えております。
加えて各事業においては、各事業の売上収益についても指標として重視しております。
[各事業の売上] (単位:百万円)
事業 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 当連結会計年度 |
価格.com | 5,597 | 11,698 | 17,698 | 23,960 |
ショッピング事業 | 2,235 | 4,591 | 6,937 | 9,328 |
サービス事業 | 2,373 | 4,928 | 7,250 | 10,046 |
広告事業 | 989 | 2,180 | 3,511 | 4,585 |
食べログ | 6,313 | 12,808 | 19,855 | 26,369 |
飲食店販促事業 | 5,194 | 10,516 | 16,165 | 21,509 |
ユーザー会員事業 | 623 | 1,216 | 1,788 | 2,337 |
広告事業 | 497 | 1,076 | 1,902 | 2,522 |
新興メディア・ソリューション | 1,854 | 4,012 | 6,120 | 8,426 |
ファイナンス | 459 | 1,011 | 1,582 | 2,223 |