四半期報告書-第22期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/02/08 9:01
【資料】
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【項目】
28項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
医療業界は世界的に治療技術の発展が目覚ましい状況が続いています。遺伝子治療は免疫不全症・血液系疾患・代謝異常症などの難治性疾患に対する革新的な治療法として注目され、再生医療分野では患者様を対象とした臨床試験が世界の複数国で開始されています。そのような世界的な潮流の中で、当社グループは、新しい医療技術・医薬品の開発に貢献すべく、再生医療等の領域において技術開発を推進するとともに、医薬品等の臨床開発を多角的に支援しています。
創業以来の中核事業であるSMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)事業におきましては、製薬企業の医薬品の開発ニーズが、がんやその他の希少疾患に変化してきているとともに、医薬品・医療機器等の開発のグローバル化、開発期間の短縮化、ならびに開発手法の変化等により臨床試験に対するニーズも多様化してきています。このような市場環境の変化に対応すべく、CRC(臨床研究コーディネーター)の質を高めるため、教育研修制度や社内認定制度等の充実を図るとともに、積極的なM&Aや業務提携により、高度専門医療機関を中心とした医療機関との提携を広げています。平成29年6月にグループ化した㈱エシックとの相乗効果等により、地域中核病院との提携やがん・腎疾患領域を中心として支援領域の拡大が進んでいます。さらに、オーストラリアにおいて南オーストラリア州アデレード市を拠点としてSMO事業を開始し、SMO事業のグローバル展開にも取り組んでいます。
CRO(Contract Research Organization:開発業務受託機関)事業では、オーストラリアを核として、欧米や日本を含むアジア・オセアニア地域の製薬企業等の医薬品開発を支援しています。南オーストラリア州において臨床試験実施施設を運営するCMAX CLINICAL RESEARCH PTY LTDでは、グローバルな大規模臨床試験や被験薬をヒトに対して世界で初めて投与するFIH(First In Human)試験を含む早期臨床試験等の支援を行っており、その豊富な実績とサービスの品質が国際的に高く評価されています。
先端医療事業では、臨床用および研究用のiPS細胞作製キットCytoTune®-iPSを全世界で販売するとともに、茨城県つくば市にあるGMP(Good Manufacturing Practice:医薬品等の製造管理および品質管理に関する基準)ベクター製造施設・CPC(Cell Processing Center:細胞培養加工施設)において、医薬品製造受託機関として、臨床用ベクター・遺伝子治療製剤・再生医療等製品を受託製造しています。さらに、当第3四半期においてはiPS細胞や樹状細胞等の細胞の培養・加工および長期保管に係る細胞バンク事業をフランチャイズ・システムとして開始し、再生医療の実用化に向けた積極的な貢献を図っています。また、基盤技術として持つセンダイウイルスベクター等のベクター技術を用いた遺伝子治療製剤等の研究開発を進めています。
メディカルサポート事業においては、クリニックモールの開設・運営を通じて患者様の利便を図り通院の負担を軽減する医療環境の提案を行っています。医療機関・薬局などに対しては、新規開業のための診療圏の調査や物件紹介等を行うことに加え、グループの知見を活かし、クリニックの開業を目指す医師を強力にサポートしています。
その結果、当第3四半期連結累計期間においては、売上高は7,954百万円(前年同四半期比28.5%増)、営業利益は875百万円(前年同四半期比13.7%増)、経常利益は858百万円(前年同四半期比4.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は687百万円(前年同四半期比52.8%減)となりました。なお、当社は当第3四半期において、総額199百万円の自己株式の取得を行いました。
当社グループでは、SMO事業およびCRO事業において安定した売上・利益を確保するとともに、当社グループの保有する知的資産や各事業間の相乗効果を最大限に活用することで、グループの更なる発展に向けて各事業を推進しています。今後中期的には、人材教育をこれまで以上に強化するとともに、これまで築き上げてきた事業基盤を活かしながら、各事業の変革と革新に積極的に取り組むことで、模倣困難な優位性の確立を目指してまいります。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① SMO事業
当セグメントにおきましては、㈱エシックのグループ化により支援疾患領域や支援地域が拡大するとともに、積極的な施設開拓により、大学病院や専門医療センター等の基幹病院との提携拡大が進んでおり、がんや難治性疾患等の疾患領域の新規受託が好調に推移しています。製薬企業の開発パイプラインの件数は例年に比べ若干の減少がみられるものの、当社グループが支援する臨床試験の件数は堅調に推移しており、その中でも特にがん・腎疾患領域の割合が伸びています。難治性疾患を中心に臨床試験が複雑化かつ高度化していることに伴い、より高品質なサービス提供を進めるとともに、支援内容に応じた適切な受託単価の設定により収益向上を図っています。また、グループシナジーを活かした試験支援や確実な実績の積み重ねにより、臨床薬理試験の受託も堅調に推移しています。さらに当第3四半期は、南オーストラリア州アデレード市を拠点とする開業医医師会GP Partners Australiaとパートナーシップ契約を締結し、オーストラリアにおいて初めてとなるSMO事業を開始することといたしました。今後、現地のクリニック等における臨床試験の環境整備やその実施を支援することで、グローバルなSMO事業の展開を進めてまいります。
その結果、売上高は5,644百万円(前年同四半期比22.7%増)、営業利益は1,832百万円(前年同四半期比40.3%増)となりました。
② CRO事業
当セグメントにおきましては、南オーストラリア州のCMAX CLINICAL RESEARCH PTY LTDを中心とした事業拡大を図っており、同社において受託している早期臨床試験が順調に進捗しています。スクリーニング等の業務効率の向上やより多くの試験を受託することを目的としてCMAX CLINICAL RESEARCH PTY LTDの施設の拡大を進めていることから、費用が先行して発生しています。今後、本施設を活用した大規模試験等の実施も予定されており、来期以降のオーストラリアにおける事業拡大や収益向上に資するものです。国内においては、企業主導の臨床試験支援を行うとともに、大学での難治性疾患等の医師主導型治験・臨床研究支援を行っており、当社グループの注力領域である先端医療製品等の臨床試験支援へと事業拡大を図っています。
その結果、売上高は1,052百万円(前年同四半期比3.8%増)、営業損失は57百万円(前年同四半期は営業利益39百万円)となりました。
③ 先端医療事業
当セグメントにおきましては、研究用のiPS細胞作製キットの販売が堅調に推移するとともに、センダイウイルスベクターを用いたiPS細胞を作製する技術の特許実施許諾に関わる引き合いが増加しています。また、複数の企業や研究機関と、創薬スクリーニングや各種分化細胞の誘導を目的とした共同研究を積極的に実施することで、センダイウイルスベクターを用いた事業機会を創出し、基盤技術の利用拡大を推進しています。
GMPベクター製造施設・CPCにおいては、国内外の製薬企業・研究機関・バイオベンチャー等からの臨床用ベクターの製造や細胞培養等の受託件数や、臨床試験に用いられる遺伝子治療製剤の受託製造等が堅調に伸びています。また、医療機関において提供される第三種再生医療等に用いられる細胞の培養受託も開始しており、研究から臨床への事業拡大が進んでいます。製造体制や品質の更なる強化を図りながら、当社グループのSMO事業がもつ医療機関とのネットワーク等を活かすことで、同様の案件を積極的に受託し、製造実績を積み重ねてまいります。
さらに、当第3四半期においては、iPS細胞や樹状細胞等の細胞の培養・加工および長期保管に係る細胞バンク事業をフランチャイズ・システムとして開始し、事業の本格化に向け、加盟社とともに設備整備等の準備を進めています。
開発を進めている虚血肢治療製剤については、日本、オーストラリア、および中国での臨床試験を推進しており、引き続き早期上市に向けた環境整備等を進めてまいります。
その結果、売上高は225百万円(前年同四半期比39.5%増)、営業損失は73百万円(前年同四半期は営業損失87百万円)となりました。
④ メディカルサポート事業
当セグメントにおきましては、開発事業者や不動産会社などと連携して、駅からのアクセスや地域の医療機関の需要など、様々な条件を満たす主に新築の物件を厳選してクリニックモールを開設しています。また、クリニックモールでの開業を検討する医師に対して開業支援を手がけるとともに、開業後の医療機関に臨床試験を紹介するなどその経営を多角的に支援しており、収益は堅調に推移しています。一方、当第3四半期においては、提携医療機関である医療法人財団緑秀会田無病院の固定資産を取得し、それに伴う取得費用等が発生しました。今後、同医療機関に対する経営・運営支援を行うとともに、SMO事業における早期臨床試験の実施拡大や再生医療技術の提供を進めてまいります。
さらにクリニックモール事業で培ったネットワークや不動産取引のノウハウを活かして不動産事業を手がけており、前連結会計年度より継続して進めているプロジェクトについて、一部売上を計上しました。引き続き、成約を目指して取り組んでまいります。
その結果、売上高は1,022百万円(前年同四半期比151.3%増)、営業利益は11百万円(前年同四半期比84.8%減)となりました。
⑤ その他
その他の事業におきましては、ITインフラを活用した事業等により、売上高は10百万円(前年同四半期比7.1%増)、営業利益は45百万円(前年同四半期は営業損失13百万円)となりました。
(注)売上高は外部取引のみの合計であり、セグメントの営業利益は、セグメント間の内部取引による利益を含んだ合計であります。
(2)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、139百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。